JP2002173641A - 絶縁薄膜用の多孔性シリカ薄膜 - Google Patents

絶縁薄膜用の多孔性シリカ薄膜

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JP2002173641A
JP2002173641A JP2000374711A JP2000374711A JP2002173641A JP 2002173641 A JP2002173641 A JP 2002173641A JP 2000374711 A JP2000374711 A JP 2000374711A JP 2000374711 A JP2000374711 A JP 2000374711A JP 2002173641 A JP2002173641 A JP 2002173641A
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organic polymer
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Hiroyuki Hanabatake
博之 花畑
Takaaki Ioka
崇明 井岡
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性シリカ薄膜の比誘電率が低く、半導体
素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐える機械
的強度を有する多孔性シリカ薄膜を提供する。 【解決手段】 密度が0.5〜1.5で、密度(d)
と、ヤングモジュラス(E)と硬度(H)との関係が下
記関係式(1)および(2)で表され、アルキル基及び
/又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数に対し5〜
100モル%であることを特徴とする多孔性シリカ薄
膜。 1.5+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(1) 0.2+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度、(E)
はヤングモジュラスを示す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁薄膜用の多孔
性シリカ薄膜に関するものであって、さらに詳しくは、
比誘電率が低くて安定で、銅配線形成工程における化学
機械研磨(CMP)工程における材料耐性に極めて優れ
た多孔性シリカ薄膜、薄膜製造用の塗布組成物、さらに
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性のシリカは軽量、耐熱性などの優
れた特性を有するために、構造材料、触媒担体、光学材
料などに幅広く用いられている。例えば近年、多孔性の
シリカは誘電率を低くできる、という点から期待を集め
ている。LSIをはじめとする半導体素子の多層配線構
造体用の絶縁薄膜素材としては、従来緻密なシリカ膜が
一般的に用いられてきた。しかし近年、LSIの配線密
度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上
の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶
縁体の誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その
結果配線を通じて伝達される電気信号の遅延が顕著とな
るため、問題となっている。このような問題を解決する
ため、多層配線構造体用の絶縁膜の素材として、誘電率
のより低い物質が強く求められている。一方、配線材料
として、従来のアルミニウムに代わって、より低抵抗な
銅が使われ始めている。
【0003】多孔性のシリカ薄膜を製造する方法とし
て、特開平4−285081号公報には、アルコキシシ
ランのゾル−ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させ
て行い、一旦シリカ/有機ポリマー複合体を製造し、そ
の後で有機ポリマーを除去して、均一な孔径を有する多
孔性のシリカを得る方法が開示されている。特開平5−
85762号公報や国際公開(WO)第99/0392
6号パンフレットにも、アルコキシシランと有機ポリマ
ーの混合系から、誘電率が極めて低く、均一細孔および
細孔分布を持った多孔性のシリカを得ようとする方法が
開示されている。
【0004】さらに、特開平10−25359号公報、
および特公平7−88239号公報には、アルコキシシ
ランを含む金属アルコキシドのオリゴマー中に有機ポリ
マー微粒子を分散させて、ゲルを生成し、引き続き有機
ポリマー微粒子を焼成除去して、細孔系を制御した多孔
性のシリカを得る方法も報告されている。しかしなが
ら、これらの方法でもCMP工程に耐えるような、十分
な機械的強度を有する多孔性シリカは得られていない状
況にある。すなわち、以上より明らかなように、誘電率
が低くて、低吸湿性でかつCMP耐性が十分な多層配線
構造体用の絶縁薄膜は得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するものであって、多孔性シリカ薄膜の比誘電率が
低く安定で、半導体素子の銅配線工程におけるCMP工
程に十分耐えるヤングモジュラスと硬度とを有する多孔
性シリカ薄膜、薄膜製造用の塗布組成物およびその製造
法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決すべ
く、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、シリカ前駆体
との相溶性が良好な有機ポリマーを用い、かつ塗布溶液
中の水とアルコールの量およびpHを特定の範囲に制御
すると、従来の薄膜では達成し得なかった高いヤングモ
ジュラス、高い硬度とを発現し、CMP耐性に著しく優
れた多孔性の絶縁膜材料が得られることを見出し、さら
にシリカ中のアルキル基含有量を制御することによっ
て、比誘電率が低くて安定な薄膜が得られることが判明
し、本発明を完成するにいたった。
【0007】即ち、本発明は、 1、密度が0.5〜1.5で、密度と硬度との関係が下
記関係式(1)で表され、アルキル基及び/又はフェニ
ル基の含有量が全ケイ素原子数に対し5〜100モル%
であることを特徴とする多孔性シリカ薄膜、 0.2+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示
す。〕 2、密度が0.5〜1.5で、密度とヤングモジュラス
との関係が下記関係式(2)で表され、アルキル基及び
/又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数に対し5〜
100モル%であることを特徴とする多孔性シリカ薄
膜、 1.5+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Eは薄膜のヤングモジュ
ラスを示す。〕
【0008】3、上記2の多孔性シリカ薄膜であって、
密度と硬度との関係が下記関係式(1)で表されること
を特徴とする多孔性シリカ薄膜、 0.2+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示
す。〕 4、膜厚が100μm以下であることを特徴とする1〜
3のいずれかに記載の多孔性シリカ薄膜、 5、複数の絶縁層およびその上に形成された配線を包含
し、該絶縁層の少なくとも1層が1〜4のいずれかに記
載の多孔性シリカ薄膜より構成されてなることを特徴と
する多層配線構造体、 6、上記5に記載の多層配線構造体を包含してなる半導
体素子、
【0009】7、下記一般式(3)で表されるアルコキ
シシランおよび/またはその加水分解物を主成分とする
シリカ前駆体と、有機ポリマーとを包含し、pHが5.
0〜7.5の多孔性シリカ薄膜用塗布組成物であって、
該塗布組成物中の水のシリカ前駆体に対する重量比(W
R)が0.01≦WR≦10であり、かつ水の重量が該
塗布組成物中のアルコールの重量より大なることを特徴
とする多孔性シリカ薄膜形成用塗布組成物、 R1 n (Si)(OR2 4-n ・・・(3) (式中、R1 はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状
および環状のアルキル基またはアリール基を表し、R2
は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基を表
す。またnは0〜3の整数である)
【0010】8、有機ポリマーの末端基の少なくとも一
つの末端基が、炭素数1〜8の直鎖状および環状のアル
キルエーテル基、アルキルエステル基およびアルキルア
ミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基、さらに
トリアルキルシリル基よりなる群より選ばれる末端基を
有する脂肪族ポリマーまたは糖鎖であることを特徴とす
る7記載の多孔性シリカ薄膜形成用塗布組成物、 9、有機ポリマーの含有量が、アルコキシシランの全量
が加水分解および縮合反応されて得られる生成物1重量
部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とす
る6又は7のいずれかに記載の多孔性シリカ薄膜形成用
塗布組成物、
【0011】10、(a)7〜9のいずれかに記載の多
孔性シリカ薄膜形成用塗布組成物を基板上に塗布した
後、0〜300℃でシリカ前駆体のゲル化反応を行い、
シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を製造する工程と、
(b)該シリカ/有機ポリマー複合体薄膜の有機ポリマ
ーを300〜450℃で除去する工程とを、(a)
(b)の順に行って製造することを特徴とする1〜6の
いずれかに記載の多孔性シリカ薄膜の製造方法、に関す
るものである。
【0012】本発明の上記の構成およびその他の諸目
的、諸特性ならびに諸利益は、以下に述べる本発明の詳
細な説明および請求範囲の記載から明らかになる。本発
明の理解を容易にするために、本発明の基本的諸特徴お
よび好ましい態様を列挙する。以下、本発明を詳細に説
明する。尚、本願明細書中で用いられるシリカとは、珪
素酸化物(SiO2 )のほかに珪素上に炭化水素や水素
原子を有する、R1 x y SiO(2-(x+y)/2) (式中、
1 は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状アルキ
ル基、または芳香族基を表し、0≦x≦2、0≦y≦
2、である。)で表されるものを含む。
【0013】本発明で得られる多孔性シリカ薄膜の第一
の特徴は、薄膜の密度が0.5g/cc〜1.5g/c
cであり、該密度の範囲におけるヤングモジュラスと硬
度が、以下の関係式(1)(2)で表されることであ
る。 1.5+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Eは薄膜のヤングモジュ
ラスを示す。〕 0.2+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度(g/cc)、Hは薄膜の
硬度(GPa)を示す。〕 たとえば、本発明の多孔性シリカ薄膜の密度が0.5の
場合にはヤングモジュラスが2.5GPaでしかも硬度
が0.34GPaのものが得られており、この薄膜は銅
配線化工程におけるCMP耐性を発現する。
【0014】CMP工程とは、エッチング加工により形
成された絶縁薄膜中の溝に配線となる銅を埋め込む場合
に、絶縁薄膜上にどうしても余分の銅が残るので、この
表面を研磨して平坦化する工程のことであるが、この工
程中絶縁薄膜のみならず、該薄膜上のバリヤー薄膜(通
常は絶縁薄膜上に数百〜数千ÅのP−TEOSと呼ばれ
る酸化ケイ素を堆積させる)の両方に、圧縮応力とシェ
ア応力とがかかる。本発明の薄膜のようにヤングモジュ
ラスが高いと、上記のようなCMP中にかかる応力に対
する抵抗力が強く、薄膜自体の塑性的な破壊が起こらな
い。さらに、本発明の薄膜では硬度も高いので、CMP
中の応力に対して薄膜自体の変形が少なく、硬度の異な
るバリヤー膜との間で応力歪みが生じ難くく、バリヤー
膜の剥離や破壊など起こらない。
【0015】密度が0.7〜1.2の範囲にあると、ヤ
ングモジュラス、硬度と比誘電率とのバランス上より好
ましい。密度が0.5より小さいと薄膜はCMPに耐え
なくなる。逆に密度が1.5を超えると比誘電率が高く
なりすぎて好ましくない。本発明の多孔性シリカ薄膜が
このような高ヤングモジュラス、高硬度を示すのは、後
述するように、多孔性シリカ薄膜形成用塗布組成物中に
含まれる、シリカ前駆体と有機ポリマーとの相溶性が
良好で、さらに該塗布組成物中の水とアルコール量が
特定量に制御され、かつ該塗布組成物中のpHが特定
範囲に制御されることによって達成される。
【0016】本発明の多孔性シリカ薄膜が構造中に空孔
を有するにもかかわらずこのような高ヤングモジュラ
ス、高硬度を発現する理由については明確ではないが、
該薄膜が仮に文献「Sol−Gel Science」
(C.J.Brinker &G.W.Scherer
著、Academic Press、1990年発行)
に記載されているように、ゾルゲル過程を経て成膜され
ているものとすると、薄膜構造の構成単位であるゾル粒
子が細粒化し、その分布が狭くなり、またゾル粒子間の
結合状態や粒子間結合力が強化され、さらに粒子中およ
び粒子間に存在すると考えられる空孔径が小さくなり、
空孔径分布などが従来の膜に比してより狭くなったから
と考えられる。
【0017】本発明の多孔性シリカ薄膜の第二の特徴
は、構造中にアルキル基及び/又はアリール基を全ケイ
素原子数に対し5〜100モル%含有することであり、
これによって従来の多孔性シリカ薄膜に対して吸湿性が
著しく改善され、薄膜の経時による比誘電率の上昇が起
こらず、安定化する。アルキル基及び/又はアリール基
が5モル%以下であると、薄膜が吸湿性になり、薄膜の
比誘電率が経時的に上昇するので好ましくない。逆にこ
れらの基が100モル%を超えると、所望するような薄
膜硬度が得られない。アルキル基及び/又はアリール基
の含有量が10〜90モル%であると、本発明の効果が
より顕著に現れるのでより好ましい。アルキル基及び/
又はアリール基として好ましい基は、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などが挙げられ
るが、この中でメチル基が特に好ましい。次に本発明の
多孔性シリカ薄膜の製造法のうち、まずシリカ前駆体お
よび該前駆体を含む塗布溶液の製造法について説明する
が、本発明は以下の記載に制限されるものではない。
【0018】本発明において用いることができるアルコ
キシシランの具体的な例として、まず珪素原子上にアル
キル基およびフェニル基を有するシランが好適である。
例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチル
トリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブ
トキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、
メチルトリ−−ert−ブトキシシラン、エチルトリメ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ
−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポ
キシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチル
トリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert
−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、
n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−
n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プ
ロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラ
ン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−
プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピ
ルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラ
ン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プ
ロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピル
トリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec
−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブト
キシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチ
ルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキ
シシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラ
ン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチル
トリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−te
rt−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラ
ン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチ
ル−i−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−
n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso
−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブト
キシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシ
シラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシ
ラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリ
エトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラ
ン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−
ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−s
ec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシ
ラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェ
ニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec
−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシ
シランなどが挙げられる。
【0019】本発明では上記のアルコキシシラン類以外
に、以下のアルコキシシランを混合して用いてもよい。
例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プ
ロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テ
トラ(t−ブトキシ)シラン、トリメトキシシラン、ト
リエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフ
ェニルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)
メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−
ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ト
リエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキ
シシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリ
ル)ベンゼンなどが挙げられる。この中でも特に好まし
いのがテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
トリメトキシシラン、トリエトキシシランである。アル
コキシシラン類の部分加水分解物を原料としてもよい。
【0020】さらに、得られる多孔性シリカ薄膜を改質
するために、ケイ素原子上に2〜3個の水素、アルキル
基又はアリール基をもつアルコキシシランを上記のアル
コキシシラン類に混合することも可能である。例えば、
トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラ
ン、トリプロピルメトキシシラン、トリフェニルメトキ
シシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメ
チルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラ
ン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチ
ルエトキシシランなどが挙げられる。混合する量は、原
料のアルコキシシラン類の全モル数のうち80モル%以
下となるようにする。80モル%を超えるとゲル化しな
い場合がある。本発明のアルコキシシランには、上記の
化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、該化合物
の部分または全加水分解物、さらに加水分解・縮合物も
含まれる。
【0021】本発明で好適に用いられる有機ポリマーと
しては、後述するような加熱焼成によって塗布膜が多孔
性シリカ薄膜に変換する場合に、熱分解温度が低く、か
つシリカ前駆体およびシリカとの相溶性が良好な脂肪族
ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボ
ネート、脂肪族ポリアンハイドライド、さらに糖鎖を主
たる構成成分とするポリマーであって、かつ該ポリマー
の末端基の少なくとも一つの末端基が、シリカ前駆体と
の相溶性が良好な炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および
環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アル
キルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基お
よびトリアルキルシリル基で変性されたポリマー群の中
から選ばれる。
【0022】ポリマーは1種類でも2種類以上を併用し
てもよいし、これらのポリマーの構成単位であるモノマ
ーどうしの共重合体やブロック共重合体、その他の任意
のモノマーたポリマーとの共重合体を用いてもよい。さ
らに、有機ポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわな
い範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリ
マー鎖を含んでいてもよい。また、本発明の末端基はシ
リカ前駆体との相溶性が特に良好なので、ポリマー形態
として分岐ポリマーほうが分子内により多くの末端基を
有することが可能になり好ましい。このような場合、分
岐部分はグリセロール、エリスリトール、エリスロー
ス、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペントー
ス、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプトースなどに代表
される糖鎖に含まれるヒドロキシル基のうちの少なくと
も3つと有機ポリマー鎖が結合した構造、及び/又はヒ
ドロキシル酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシル
基のうち少なくとも3つと有機ポリマー鎖が結合した構
造であることが好ましい。
【0023】糖鎖の具体的な例としては、グリセロー
ル、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キ
シリトール、スレイトール、マルチトール、アラビトー
ル、ラクチトール、アドニトール、セロビトール、グル
コース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マン
ノース、ガラクトース、エリスロース、キシルロース、
アルロース、リボース、ソルボース、キシロース、アラ
ビノース、イソマルトース、デキストロース、グルコヘ
プトースなどが挙げられる。ヒドロキシル酸の具体的な
例としてはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、
グルクロン酸、グルコヘプトン酸、グルコオクタン酸、
スレオニン酸、サッカリン酸、ガラクトン酸、ガラクタ
ル酸、ガラクツロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシコハ
ク酸などが挙げられる。
【0024】本発明の脂肪族ポリエーテルの例として、
主鎖がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリイソブチレングリコール、ポリトリメチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペン
タメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコー
ル、ポリジオキソラン、ポリジオキセパン、さらにポリ
エチレンポリプロピレングリコールブロックコポリマー
などのアルキレングリコール類を挙げることができる。
また、そのすくなくとも一つの末端がアルキルエーテ
ル、アルキルエステル、アルキルアミド、アルキルカー
ボネート、ウレタン、トリアルキルシリルで変性された
ものが挙げられる。エーテル、エステル、アミド、カー
ボネートのグループはポリマー末端の繰り返し単位と直
接化学結合していてもいいし、有機基を介して結合して
いても構わない。
【0025】脂肪族ポリエーテルの末端基をエーテル化
した例としては、上記アルキレングリコール類の少なく
とも一つの末端を例えばメチルエーテル、エチルエーテ
ル、プロピルエーテル、グリシジルエーテルなどでエー
テルとしたものが挙げられ、具体的には例えば、ポリエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレング
リコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジメチルエーテル、ポリイソブチレングリコールジメチ
ルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリ
エチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレング
リコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ポリエチレンポリプロピレング
リコールジメチルエーテル、グリセリンポリエチレング
リコールトリメチルエーテル、ペンタエリスリトールポ
リエチレングリコールテトラメチルエーテル、ペンチト
ールポリエチレングリコールペンタメチルエーテル、ソ
ルビトールポリエチレングリコールヘキサメチルエーテ
ルなどが特に好ましく用いられる。
【0026】末端にエステル基を持つ脂肪族ポリエーテ
ル類としては、上記アルキレングリコール類の少なくと
も一つの末端を例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エ
ステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、
安息香酸エステルとしたものなどが挙げられる。また、
アルキレングリコール類の末端をカルボキシメチルエー
テル化し、この末端のカルボキシル基をアルキルエステ
ル化したものも好適に用いられる。具体的には例えば、
ポリエチレングリコールモノ酢酸エステル、ポリエチレ
ングリコールジ酢酸エステル、ポリプロピレングリコー
ルモノ酢酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酢酸
エステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステ
ル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、ポ
リエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、ポリ
エチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチ
レングリコールビスカルボキシメチルエーテルジメチル
エステル、ポリプロピレングリコールビスカルボキシメ
チルエーテルジメチルエステル、グリセリンポリエチレ
ングリコールトリ酢酸エステル、ペンタエリスリトール
ポリエチレングリコールテトラ酢酸エステル、ペンチト
ールポリエチレングリコールペンタ酢酸エステル、ソル
ビトールポリエチレングリコールヘキサ酢酸エステルな
どが好ましい例として挙げられる。
【0027】末端にアミド基を持つ脂肪族ポリエーテル
類としては、上記のアルキレングリコール類の少なくと
も一つの末端をカルボキシメチルエーテル化し、そのあ
とでアミド化する方法、ヒドロキシ末端をアミノ基変性
したあとにアミド化する方法、などが挙げられ、具体的
には、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチル
エーテルジメチルアミド)、ポリプロピレングリコール
ビス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポ
リエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテル
ジエチルアミド)、グリセリンポリエチレングリコール
トリカルボキシメチルエーテルジメチルアミド、ペンタ
エリスリトールポリエチレングリコールテトラカルボキ
シメチルエーテルジメチルアミド、ペンチトールポリエ
チレングリコールペンタカルボキシメチルエーテルジメ
チルアミド、ソルビトールポリエチレングリコールヘキ
サカルボキシメチルエーテルジメチルアミドなどが好適
に用いられる。
【0028】末端にアルキルカーボネート基を持つ脂肪
族ポリエーテル類としては、例えば上記アルキレングリ
コール類の少なくとも一つの末端に、ホルミルエステル
基をつける方法が挙げられ、具体的には、ビスメトキシ
カルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエトキ
シカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエト
キシカルボニルオキシポリプロピレングリコール、ビス
tert−ブトキシカルボニルオキシポリエチレングリ
コールなどが挙げられる。さらに末端にウレタン基やト
リアルキルシリル基で変性した脂肪族ポリエーテル類も
使用することができる。トリアルキルシリル変性ではト
リメチルシリル変性が特に好ましく、これはトリメチル
クロロシランやトリメチルクロロシリルアセトアミドま
たはヘキサメチルジシラザンなどによって変性できる。
【0029】脂肪族ポリエステルの例としては、ポリグ
リコリド、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン等
のヒドロキシカルボン酸の重縮合物やラクトンの開環重
合物、およびポリエチレンオキサレート、ポリエチレン
スクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン
セバケート、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシジ
エチレンアジペート等のジカルボン酸とアルキレングリ
コールとの重縮合物、ならびにエポキシドと酸無水物と
の開環共重合物であって、該ポリマーの少なくとも一つ
の末端にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、ア
ルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基
さらにはトリアルキルシリル基で変性されたものを挙げ
ることができる。
【0030】脂肪族ポリカーボネートの例としては、主
鎖部分としてポリエチレンカーボネート、ポリプロピレ
ンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポ
リヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートを
挙げることができ、該ポリマーの少なくとも一つの末端
にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキル
アミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基さらに
はトリアルキルシリル基で変性されたものを挙げること
ができる。
【0031】脂肪族ポリアンハイドライドの例として
は、主鎖部分としてポリマロニルオキシド、ポリアジポ
イルオキシド、ポリピメロイルオキシド、ポリスベロイ
ルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコイ
ルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物をあげることが
でき、該ポリマーの少なくとも一つの末端にアルキルエ
ーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、ア
ルキルカーボネート基、ウレタン基さらにはトリアルキ
ルシリル基で変性されたものを挙げることができる。
【0032】有機ポリマーの分子量は数平均で100か
ら100万であることが好ましい。分子量が100未満
であると、有機ポリマーが後述するシリカ/有機ポリマ
ー複合体から除去されるのが速すぎて、所望するような
空孔率を持った多孔性シリカ薄膜が得られないし、有機
ポリマー分子量が100万を超えると、今度は有機ポリ
マーが除去される速度が遅すぎて、有機ポリマーが残存
するので好ましくない。特に、より好ましい有機ポリマ
ーの分子量は200〜5万であり、この場合には、所望
するような高い空孔率を持った多孔性シリカ薄膜がきわ
めて容易に得られる。ここで注目すべきことは、多孔性
シリカ薄膜の空孔の大きさは、有機ポリマーの分子量に
はあまり依存せずに、きわめて小さくかつ均一なことで
ある。これは高CMP耐性を発現するためにきわめて重
要である。
【0033】本発明における有機ポリマーの添加量は、
アルコキシシラン類1重量部に対し10-2〜100重量
部、好ましくは10-1〜10重量部である。有機ポリマ
ーの添加量が10-2重量部より少なくても、100重量
部より多くても、多孔体の特性が現れず実用性に乏し
い。
【0034】本発明の多孔性シリカ薄膜の原料であるア
ルコキシシランの加水分解には水が必要である。アルコ
キシシランに対する水の添加は液体のまま、あるいはア
ルコールや水溶液として加えるのが一般的であるが、水
蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激に行う
と、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合
が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充
分な時間をかける、均一化させるためにアルコールなど
の溶媒を共存させる、低温で添加する、などの手法が単
独または組み合わせて用いられる。
【0035】アルコキシシランは水の存在下、加水分解
してシラノールになり、次にシラノール基間の縮合反応
によりシロキサン結合を有するオリゴマー状のシリカ前
駆体へと生長する。このようにあらかじめアルコキシシ
ランをオリゴマー状にしておくほうが、後述するよう
に、(1)薄膜製造用の塗布液の粘度が適度に上がるの
で、塗膜の保形性が確保でき膜厚を均一にできる、
(2)さらにシリカ前駆体がゲル化する場合に、シリカ
骨格の形成がマイルドに起こるので、膜収縮が起こり難
く、より好ましい。
【0036】また、塗布溶液には、オリゴマー状のシリ
カ前駆体と有機ポリマー以外に、アルコキシシランの加
水分解によって副生してくるアルコールと、その次の縮
合反応における副生成物である水とが溶媒として含有さ
れるが、水の含有量はシリカ前駆体に対する重量比(W
R)として0.01≦WR≦10でなければならない。
WRが0.01未満であると、塗膜の基板上での展延性
が悪化する。逆にWRが10を超えると、シリカ前駆体
が溶液中から析出し、溶液が不均一になるので好ましく
ない。より好ましいWRの範囲は0.1≦WR≦5であ
る。また、水の含有量はアルコールの含有量よりも多く
なければならない。この関係が逆転すると、最終製品で
ある多孔性シリカ薄膜の機械強度が低下し、CMP耐性
を失ってしまう。
【0037】本発明で用いられるアルコールとしては、
本発明のアルコキシシランの加水分解によって副成され
るアルコール以外に、溶媒として後で別に加えるような
アルコールも含まれる。このアルコールの具体的な例と
しては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコ
ールなどのアルコールに加え、エチレングリコール、プ
ロピレングリコールやグリセリンなどの多価アルコール
も含まれる。
【0038】塗布溶液中の水とアルコールの量を制御す
る方法として、たとえば、水とアルコールとを直接留去
する方法、シリカ前駆体および有機ポリマーに対しては
溶解性に乏しく、水およびアルコールに対しては溶解性
が良好であるような溶媒を用いるか、または逆の性質を
持つ溶媒を使って、水とアルコールとを抽出する方法な
どが挙げられるが、この中で留去法が簡便かつアルコー
ルと水の量を制御しやすいので好適である。水およびア
ルコールの留去は大気圧下または減圧下、いずれでも可
能であるが、常圧であると留去温度が一般的に高くな
り、留去中にシリカ前駆体が固化する恐れがあるので、
減圧下で留去するのが好ましい。好適な留去温度は0〜
100℃、より好ましくは5〜40℃の範囲である。上
述の方法において、有機ポリマーは水とアルコールの量
を制御する前に添加してもよく、水とアルコールの量を
制御した後に添加してもよい。上記以外にも水とアルコ
ールの量を制御する方法として、直接水を添加する方法
も含まれる。
【0039】ここで得られた塗布溶液は塗布液としてそ
のまま使用できるので、他の溶媒は必ずしも必須ではな
いが、シリカ前駆体、有機ポリマーおよび水とアルコー
ルのすべてを溶解するものであれば特に限定することな
く用いることが可能である。用いられる溶媒の例として
は、上述したようなアルコールのほかに、ギ酸エチル、
酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコー
ルジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレンなどのエステル類;ホルムアミド、N−メチル
ホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N
−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリ
ン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジ
ン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジ
ン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピ
ペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジンなどのアミ
ド類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、テトラメ
チルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジノンなど
のウレア類;などが挙げられる。これらは、単独、また
は混合物として用いても良い。
【0040】その他、所望であれば、たとえば感光性付
与のための光触媒発生剤、基板との密着性を高めるため
の密着性向上剤、長期保存のための安定剤など任意の添
加物を、塗布溶液に添加することも可能である。本発明
においては、さらに塗布液のpHが5〜7.5でなけれ
ばならない。より好ましいpHは5〜7である。pHが
5未満であると、最終製品である多孔性シリカ薄膜の機
械強度が十分に発現されなくなり好ましくない。逆にp
Hが7.5を超えると、塗布液中のシリカ前駆体の縮合
が加速化されるために溶液粘度が極端に上昇してまい、
塗布直後の膜厚に凸凹が生じるので好ましくない。pH
を調整する目的で有機酸、無機酸、有機塩基または無機
塩基を添加してもかまわない。
【0041】以下、本発明の塗布液による成膜方法につ
いて、より詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限
定されるものではない。なお、本発明においては、塗布
溶液を用いて塗膜を形成した後、その塗膜に包含される
シリカ前駆体を縮合反応させることをゲル化という。ま
ず本発明の塗布溶液を用いて、得られた塗膜中のシリカ
前駆体をゲル化させることによって、シリカと有機ポリ
マーとの2成分からなるシリカ/有機ポリマー複合体薄
膜を得る方法について説明する。
【0042】本発明において、薄膜の形成は基板上に、
上記の方法によって得られた塗布溶液混合物を塗布する
ことによって行う。膜形成方法としては、流延、浸漬、
スピンコートなどの周知の方法で行うことができるが、
半導体素子の多層配線構造体用絶縁層の製造に用いるに
はスピンコートが好適である。薄膜の厚さは塗布溶液の
粘度や回転速度を変えることによって、0.1μm〜1
00μmの範囲で制御できる。100μmより厚いとク
ラックが発生する場合がある。半導体素子の多層配線構
造体用の絶縁層としては、通常0.5μm〜5μmの範
囲で用いられる。
【0043】基板としては、シリコン、ゲルマニウム等
の半導体基板、ガリウム−ヒ素、インジウム−アンチモ
ン等の化合物半導体基板等を用いこともできるし、これ
らの表面に他の物質の薄膜を形成したうえで用いること
も可能である。この場合、薄膜としては、アルミニウ
ム、チタン、クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タ
ングステン、オスミウム、白金、金などの金属の他に、
二酸化ケイ素、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−
リンガラス、ホウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アル
ミナ、チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタ
ン、窒化タンタル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキ
サン等の無機化合物、メチルシルセスキオキサン、アモ
ルファスカーボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポ
リイミド、その他任意の有機ポリマーからなる薄膜を用
いることができる。
【0044】シリカ前駆体のゲル化温度は、特に限定さ
れないが、通常は0〜300℃、好ましくは60〜30
0℃の範囲で行う。より好ましい温度範囲は60〜20
0℃である。温度が0℃よりも低いと反応速度が小さ
く、シリカ前駆体がゲル化するのに多大の時間を要し、
逆に300℃よりも高いと巨大なボイドが生成しやす
く、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜の均質性が低下す
る。ゲル化反応に要する時間は、熱処理温度、触媒添加
量や溶媒種および量によっても異なるが、通常数分間か
ら数日間の範囲である。
【0045】本発明で使用する有機ポリマーは、前述し
たようにシリカ前駆体およびシリカとの親和性が良好な
ものであって、その役割は重要である。その理由は、両
者の親和性が良好であると、シリカ前駆体とポリマー間
での相分離が抑制され、その後の工程で有機ポリマーが
シリカから抜き去られて多孔体が形成される場合に大き
なボイドがなく、多孔性薄膜のヤングモジュラスや硬度
が高くなるからである。このようにして得られたシリカ
/有機ポリマー複合体は、その薄膜の表面は極めて均一
であり、かつ誘電率が低く、厚膜形成性があるので、こ
のままで配線の絶縁部分として用いることもできるし、
薄膜以外の用途、たとえば光学的膜や構造材料、フィル
ム、コーティング材などとして使用することも可能であ
る。
【0046】しかし、LSI多層配線の絶縁物としてさ
らに誘電率の低い材料を得ることを目的として、多孔性
シリカ薄膜に変換することが好ましい。シリカ/有機ポ
リマー複合体薄膜から多孔性シリカ膜への変換は、シリ
カ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去す
ることによって行う。この時に、シリカのゲル化反応が
十分に進行していれば、シリカ/有機ポリマー複合体薄
膜中の有機ポリマーが占有していた領域が、多孔性シリ
カ薄膜中の空孔としてつぶれずに残る。その結果、空隙
率が高く、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜を得ることが
できる。
【0047】有機ポリマーを除去する方法としては、加
熱、プラズマ処理、溶媒抽出などが挙げられるが、現行
の半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能であ
るという観点からは、加熱がもっとも好ましい。この場
合、加熱温度は用いる有機ポリマーの種類に依存し、薄
膜状態下で単に蒸散除去されるもの、有機ポリマー分解
を伴って焼成除去されるもの、およびその混合した場合
があるが、通常の加熱温度は300〜450℃、好まし
くは350〜400℃の範囲である。300℃よりも低
いと有機ポリマーの除去が不充分で、有機物の不純物が
残るため、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜が得られない
危険がある。逆に450℃よりも高い温度で処理するこ
とは、有機ポリマーの除去の点では好ましいが、半導体
製造プロセスで用いるのは極めて困難である。
【0048】加熱時間は10秒〜24時間の範囲で行う
ことが好ましい。10秒より少ないと有機ポリマーの蒸
散や分解が十分進行しないので、得られる多孔性シリカ
薄膜に不純物として有機物が残存し、誘電率が低くなら
ない。また、通常熱分解や蒸散は24時間以内に終了す
るので、これ以上長時間の加熱はあまり意味をなさな
い。加熱は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲
気下で行うのが好ましい。空気または酸素ガスを混入さ
せたりするといった酸化性雰囲気下で行うことも可能で
あるが、この場合には該酸化性ガスの濃度を、シリカ前
駆体がゲル化する前に有機ポリマーが実質的に分解しな
いような濃度に制御することが好ましい。また、雰囲気
中にアンモニア、水素などを存在させ、シリカ中に残存
しているシラノール基を失活させることによって多孔性
シリカ薄膜の吸湿性を低減させ、誘電率の上昇を抑制す
ることもできる。
【0049】以上、本発明のシリカ前駆体/有機ポリマ
ー複合体薄膜から、比誘電率が充分に低くて安定で、表
面平滑性に優れてかつ機械強度が高くて、CMP耐性が
十分なLSI用の多層配線用絶縁膜が成膜できる。本発
明により得られる多孔性シリカ薄膜は、薄膜以外のバル
ク状の多孔性シリカ体、たとえば光学的膜や触媒担体を
はじめとして断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキン
グ防止剤、増粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防
煙剤、研磨剤、歯磨剤などとして使用することも可能で
ある。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例などを示す
が、本発明の範囲はこれら実施例などにより何ら限定さ
れるものではない。多孔質シリカ薄膜製造用の塗布溶液
の評価は下記の方法により行った。 (1)塗布溶液中における水およびアルコール量 塗布溶液1ml中に内部標準としてジメトキシエタン
0.2gを添加し、島津社製ガスクロマトグラフィーG
C−7Aを用いて該塗布溶液中の水およびエタノールの
量を測定した。カラム充填材としてジーエルサイエンス
社製Gaskuropack56を用い、温度プログラ
ムは導入100℃、2min保持、昇温速度10℃/m
in、最終200℃、16min保持とした。検出器に
はTCDを用い、別に作成した検量線を用いて内部標準
との面積比より水およびエタノールの量を求めた。
【0051】シリカ前駆体に対する水の重量比は、シリ
カ前駆体の重量を便宜上、仕込みのアルコキシシランの
全量がシリカに転化した場合の重量と上述のガスクロ法
により求めた水の重量とから算出した。シリカに転化し
た場合の重量とは、たとえばアルコキシシランとしてテ
トラメトキシシランを1モル使った場合、1モルのSi
2 のシリカに転化するので、その重量は60.1gで
ある。複数のアルコキシシランを用いた場合には、おの
おののモル分率から算出されるシリカの和の重量がシリ
カに転化した重量である。
【0052】(2)塗布溶液のpH pHは電極の先端を数回純水にて洗浄し、pH4、7、
9の緩衝標準液で補正を行った後、塗布溶液1gを99
gの50重量%エタノール溶液で希釈した溶液を堀場製
作所製、カスタニーLAB・pHメーターで電極は63
66−10Cと6377−10Dを使用し、室温にて測
定した。また、多孔性シリカの評価は下記の装置および
測定方法を用いて行った。 (3)密度:薄膜の密度の測定は、理学電機社製X線回
折装置ATX−Gを用い、多孔性シリカ薄膜を形成した
ウェハーに微小角度でX線を入射させ、X線の全反射臨
界角より密度を算出した。この手法の詳細については、
例えば文献(松野信也他、X線分析の進歩、30巻、1
999年、P.189〜)に記載されている。
【0053】(4)硬度、ヤングモジュラス:島津ダイ
ナミック超微小硬度計DUH−201を用いて求めた。
シリコンウェハーに形成された多孔性シリカ薄膜に、開
き角115度の三角錐ダイヤモンド圧子を押し込み、負
荷−徐荷の一回試験を最大荷重0.02mN以上で実施
した。負荷徐荷試験により、押し込み深さに対する荷重
(P)の変化と、徐荷曲線の初期勾配(S)を求め、前
記(3)に記載された方法により膜厚を求め、以下のよ
うにして硬度とモジュラスを求めた。算出するにあた
り、予め硬度とモジュラスが既知である熱溶融石英を測
定することにより、各押し込み深さにおける圧子の作用
領域Aを求めておくことが必要である。
【0054】硬度(H)は、押し込み深さが膜厚の10
%における荷重(P)とそのときの圧子の作用領域か
ら、 H=P/A により算出した。PとAの求め方については、文献「O
liver and Pharr、Journal o
f Materials Research、7
(6)、1564(1992)」記載の方法に従った。
ヤングモジュラス(E)は、まず見かけのモジュラスE
rを次式により算出した。 Er=1.772S/2A0.5
【0055】次にサンプルのモジュラスEsを次式によ
り求めた。 Er=((1−υ2 )/Es+(1−υ2 )/Ei)-1 ここでυは圧子のポアソン比、添え字sはサンプル、i
は圧子を示す。また、Ei=1141GPa、υ=0.
07である。最大荷重における押し込み深さが10%を
超える場合は、次式による補正を行った。 E=Es/0.6777e0.0392×(押し込み深さ/膜
厚×100) この補正式は、MTS社製、Nano Indente
rXP−ダイナミックコンタクトモジュールにより求め
た膜厚に対する押し込み深さ%とモジュラスの関係を近
似した補正式である。尚、本発明におけるヤングモジュ
ラスは、0.9〜1.1μmの膜厚で測定した。
【0056】(5)比誘電率:TiNを表面に形成した
シリコンウェハ上に多孔質膜を形成した後、この薄膜の
上部にSUS(ステンレス鋼)製のマスクを通してアル
ミニウムを蒸着し、直径1.7mmの電極を作製し、イ
ンピーダンスアナライザを用いて1MHzにおける比誘
電率(k)を求めた。 (6)アルキル基の含有量:仕込んだアルコキシシラン
中のケイ素原子のモル数に対するアルキル基が結合した
ケイ素のモル数として求めた(モル%)。 (7)吸湿性:相対湿度100%の雰囲気中に24時間
さらした前後の比誘電率の差から判断した。
【0057】(8)薄膜の表面平滑性:まず基板の円周
方向に約5mm間隔に切り込みを入れ、その切り込みに
対して垂直な方向に、米国のSloan社製DEKTA
K3型表面粗さ測定装置を用いて7000μm走査し、
シリコンウェハー表面に対して水平あわせを行う(測定
速度:35秒)。走査した中の3000μmの範囲をと
り、その部分における表面粗度(Ra)を以下の式
(3)より算出した。表面平滑性の判定は、Raが 3
0Å以下ならば良好(表1中では、○印)、30Åを超
えた場合には不良(表1中では、×、××印)とした。
【0058】
【式1】
【0059】(9)密着性:シリコンウエハ上に形成さ
れた多孔性シリカ薄膜に、ERICHSEN社製のCross Hatch
Cutterを塗膜に対し20度に保って押し当て、2〜5秒
/10cmの速度で幅1mm、100升の碁盤目状の切
り傷をつけた。碁盤目の上に幅18mm、粘着力2.9
4N/10mm以上のセロハン粘着テープを貼り付け、
塗膜にテープを完全に付着させた後、テープの一端を持
って塗布面に直角に保ち、瞬間的に引き剥がす。碁盤目
状の傷の状態を観察し、JIS−K−5400付着性に
記載されている碁盤目試験の評価点数に従い評価した。
【0060】(10)化学機械研磨(CMP)試験:本
発明の多孔性シリカ薄膜上に、厚さ1000ÅのP−T
EOSをアプライドマテリアルズ社製のプラズマCVD
装置、モデルP5000を用いてデポジションした。こ
のようにして得られたP−TEOS付の薄膜上に研磨ス
ラリーを2滴滴下し、研磨パッド(直径17mm)を用
いて、上方から4.8psiの押圧を印可しながら15
0rpmの速さで2分間研磨した。目視および光学顕微
鏡にて表面観察を行い、表面の平滑性、膜はがれがない
か否か、さらに基板が完全に露出しているか否かを調べ
た。研磨スラリーはシリカゾル系(シリカ濃度13%、
一次粒径30nm、pH=10.8(アンモニア性))
のものを使用した。研磨パッドは発泡ポリウレタン系パ
ッド(厚さ約1.8mm)を使用した。
【0061】
【実施例1】メチルトリエトキシシラン1480g、テ
トラエトキシシラン480.0g、水523.0g、お
よび水湿潤スルホン酸型陽イオン交換樹脂(オルガノ社
製、アンバーリストRCP−160M:商品名)120
ml(水92g含有)を混合し、50℃、8時間攪拌し
て前処理を行い、イオン交換樹脂をろ別した。ろ過した
溶液790gに、有機ポリマーとしてペンタエリスリト
ールポリエチレングリコールテトラ酢酸エステル(数平
均分子量は800)267.0gを加えた溶液1057
gから、ロータリーエバポレーターで50℃、1時間の
減圧処理を行うことで、水およびエタノール混合物を留
去し、水およびエタノールの含有量を調整した。得られ
た溶液に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテ
ート963g、および水30.0gを加えることで、塗
布溶液を調製した。該塗布溶液中に含まれる水のシリカ
前駆体に対する重量比(WR)は0.6であった。該塗
布溶液中に含まれる水のエタノールに対する重量比は
2.5であり、水重量>エタノール重量であった。さら
に、該溶液のpHは5.6であった。
【0062】この塗布溶液を6インチシリコンウェハー
上に3ml滴下し、2000rpmにて60秒間回転塗
布した。その後空気中120℃にて1分間、窒素雰囲気
下200℃にて1時間、続いて窒素雰囲気下400℃に
て1時間焼成して、表面が平滑な膜厚が0.98μmの
多孔性シリカ塗膜を得た。得られた薄膜の密度は0.7
2g/cc、また水銀プローブにより求められた1MH
zにおける比誘電率は1.92であり、SiO2 の誘電
率である4.5を大きく下回っていた。さらに24時間
後の比誘電率は1.93であり、比誘電率は安定であっ
た。表面平滑性は良好で、硬度は0.62GPa、ヤン
グモジュラスは3.3GPa、密着性テストは10点
(正方形部分のはがれはまったく無い)で、CMPテス
トのあとの薄膜表面には傷などはまったく見られなかっ
た。
【0063】
【実施例2】実施例1において、有機ポリマーとして数
平均分子量が800のペンチットポリエチレングリコー
ルペンタ酢酸エステルを用いた以外は実施例1と同様の
操作で、本実施例の塗布溶液を調製した。該塗布溶液中
に含まれる水のシリカ前駆体に対する重量比(WR)は
0.6であった。該塗布溶液中に含まれる水のエタノー
ルに対する重量比は2.9であり、水重量>エタノール
重量であった。塗布溶液のpHは5.4であった。調製
した該塗布溶液を実施例1と同様の操作で塗布、成膜し
て、表面が平滑な厚さ0.99μmの多孔性シリカ薄膜
を得た。得られた薄膜の密度は0.75g/cc、また
水銀プローブにより求められた1MHzにおける比誘電
率は1.91であり、さらに24時間後の比誘電率は
1.93であり、比誘電率は安定であった。表面平滑性
は良好で、硬度は0.65GPa、ヤングモジュラスは
3.1GPa、密着性テストは10点であり、CMPテ
ストのあとの薄膜表面には傷などはまったく見られなか
った。
【0064】
【実施例3】実施例1において、有機ポリマーとして数
平均分子量が800のペンタエリスリトールポリエチレ
ングリコールテトラ(カルボキシメチルエーテルジメチ
ルアミド)を用いた以外は実施例1と同様の操作で、本
実施例の塗布溶液を調整した。該塗布溶液中に含まれる
水のシリカ前駆体に対する重量比(WR)は0.6であ
った。該塗布溶液中に含まれる水のエタノールに対する
重量比は2.9であり、水重量>エタノール重量であっ
た。塗布溶液のpHは5.5であった。調製した該塗布
溶液を実施例1と同様の操作で塗布、成膜して、表面が
均一な厚さ1.01μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得
られた薄膜は、密度は0.75g/cc、また水銀プロ
ーブにより求められた1MHzにおける比誘電率は1.
93であり、さらに24時間後の比誘電率は1.91で
あり、比誘電率の上昇はなく安定であった。表面平滑性
は良好で、硬度は0.69GPa、ヤングモジュラスは
3.6GPa、密着性テストは10点であり、CMPテ
ストのあとの薄膜表面には傷などはまったく見られなか
った。
【0065】
【実施例4】実施例1において、留去後の溶液に添加す
る水を480gにした以外は実施例1と同様の操作で、
本実施例の塗布溶液を調製した。該塗布溶液中に含まれ
る水のシリカ前駆体に対する重量比(WR)は2.7で
あった。該塗布溶液中に含まれる水のエタノールに対す
る重量比は12.1であり、水重量>エタノール重量で
あった。調製した該塗布溶液を実施例1と同様の操作を
行うことで、表面が均一な厚さ0.92μmの多孔性シ
リカ薄膜を得た。得られた薄膜は、密度は0.74g/
cc、また水銀プローブにより求められた1MHzにお
ける比誘電率は1.94であり、さらに24時間後の比
誘電率は1.93であり、比誘電率の上昇はなく安定で
あった。表面平滑性は良好で、硬度は0.63GPa、
ヤングモジュラスは3.0GPa、さらに密着性テスト
は10点であり、CMPテストのあとの薄膜表面には傷
などはまったく見られなかった。
【0066】
【実施例5】メチルトリエトキシシラン1480g、テ
トラエトキシシラン480g、水523g、ポリエチレ
ングリコールジメチルエーテル(数平均分子量は500
で80重量%水溶液)869g、および水湿潤スルホン
酸型陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーリスト
RCP−160M)120ml(水92g含有)を混合
し、50℃、8時間攪拌して前処理を行い、イオン交換
樹脂をろ別することで溶液を調製した。調製した溶液1
060.1gから実施例1と同様の操作で本実施例の塗
布溶液を調製した。該塗布溶液中に含まれる水のシリカ
前駆体に対する重量比(WR)は0.6であった。該塗
布溶液中に含まれる水のエタノールに対する重量比は
2.6であり、水重量>エタノール重量であった。該溶
液に微量のアンモニア水溶液を添加して、溶液のpHを
6.8に調製した。該塗布溶液を使って、実施例1と同
様の操作で塗布、焼成することで、表面が均一な厚さ
0.99μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜
は、密度は0.72g/cc、また水銀プローブにより
求められた1MHzにおける比誘電率は1.96であ
り、さらに24時間後の比誘電率は1.91であり、比
誘電率の上昇はなく安定であった。表面平滑性は良好
で、硬度は0.81GPa、ヤングモジュラスは4.2
GPa、密着力は10点であり、CMPテストのあとの
薄膜表面には傷などはまったく見られなかった。
【0067】
【実施例6】メチルトリエトキシシラン1480g、テ
トラエトキシシラン480.0g、水523.0g、お
よび水湿潤スルホン酸型陽イオン交換樹脂(オルガノ社
製、アンバーリストRCP−160M)120ml(水
92g含有)を混合し、50℃、8時間攪拌して前処理
を行い、イオン交換樹脂をろ別した。ろ過した溶液79
0gに、有機ポリマーとしてペンタエリスリトールポリ
エチレングリコールテトラ酢酸エステル( 数平均分子量
は800) 106.7gを加えた溶液896.7gか
ら、ロータリーエバポレーターで50℃、1時間の減圧
処理を行うことで、水およびエタノールを留去した。得
られた溶液に、プロピレングリコールメチルエーテルア
セテート963g、および水30.0gを加えること
で、塗布溶液を調製した。該塗布溶液中に含まれる水の
シリカ前駆体に対する重量比(WR)は0.59であっ
た。該塗布溶液中に含まれる水のエタノールに対する重
量比は2.5であり、水重量>エタノール重量であっ
た。さらに、該溶液のpHは5.6であった。
【0068】この塗布溶液を6インチシリコンウェハー
上に3ml滴下し、2000rpmにて60秒間回転塗
布した。その後、空気中120℃にて1分間、窒素雰囲
気下200℃にて1時間、続いて窒素雰囲気下400℃
にて1時間焼成して、表面が平滑な膜厚が0.99μm
の多孔性シリカ塗膜を得た。得られた薄膜は、密度は
1.05g/cc、また水銀プローブにより求められた
1MHzにおける比誘電率は2.22であり、SiO2
の誘電率である4.5を大きく下回っていた。さらに2
4時間後の比誘電率は2.23であり、比誘電率は安定
であった。表面平滑性は良好で、硬度は1.32GP
a、ヤングモジュラスは5.5GPa、密着性は10点
であり、CMPテストのあとの薄膜表面には傷などはま
ったく見られなかった。
【0069】
【比較例1】実施例1において、有機ポリマーとして数
平均分子量が1000のポリプロピレングリコールを用
いた以外は実施例1と同様の操作で、本比較例の塗布溶
液を調製した。該塗布溶液中に含まれる水のシリカ前駆
体に対する重量比(WR)は0.6であった。該塗布溶
液中に含まれる水のエタノールに対する重量比は2.9
であり、水重量>エタノール重量であった。塗布溶液の
pHは5.3であった。調製した該塗布溶液を実施例1
と同様の操作で塗布、成膜して、厚さ1.05μmの多
孔性シリカ薄膜を得たが、表面の平滑性が著しく悪く、
薄膜の評価が不可能であった。
【0070】
【比較例2】実施例1において水およびエタノールを留
去しない以外は、実施例1と同様の操作で、本比較例の
塗布溶液を調製した。該塗布溶液中に含まれる水のシリ
カ前駆体に対する重量比(WR)は0.8であった。該
塗布溶液中に含まれる水のエタノールに対する重量比は
0.4であり、水重量<エタノール重量であった。pH
は5.7であった。得られた薄膜の密度は0.73g/
cc、また水銀プローブにより求められた1MHzにお
ける比誘電率は1.95であり、さらに24時間後の比
誘電率は1.98であり、比誘電率は安定であったが、
表面平滑性が不良で、硬度は0.24GPa、ヤングモ
ジュラスも1.3GPaであり、密着性も0点であった
ため、CMPテストのあとの薄膜表面には剥離状の傷が
多数見られ、銅配線用の絶縁薄膜としては不適であるこ
とが分かった。
【0071】
【比較例3】実施例1において、塗布溶液に硫酸を添加
する以外は実施例1と同様の操作で、本比較例の塗布溶
液を調製した。該塗布溶液中に含まれる水のシリカ前駆
体に対する重量比(WR)は0.6であった。該塗布溶
液中に含まれる水のエタノールに対する重量比は2.9
であり、水重量>エタノール重量であった。塗布溶液の
pHは4.1であった。調製した塗布溶液を実施例1と
同様の操作で塗布、成膜して、厚さ0.95μmの多孔
性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜は、密度は0.76
g/cc、また水銀プローブにより求められた1MHz
における比誘電率は1.96であり、さらに24時間後
の比誘電率は1.95であり、比誘電率の上昇はなく安
定であった。表面平滑性は良好であったが、硬度は0.
28GPa、ヤングモジュラスは1.2GPaであり、
密着性は2点で、CMPテストのあとの薄膜表面には無
数の傷が見られ、銅配線用の絶縁膜としては不適であ
る。実施例および比較例で用いた塗布溶液の組成、物性
および得られた多孔性シリカ薄膜の物性をまとめて表1
に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】本発明による多孔性シリカ薄膜は、比誘
電率が十分に低く安定で、かつヤングモジュラスと硬度
が十分に高いので、LSI多層配線用基板や半導体素子
の絶縁膜用として最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/316 H01L 21/316 G Fターム(参考) 4G072 AA25 BB09 BB15 HH30 LL15 MM01 PP05 RR05 RR12 TT19 TT30 UU01 4J038 DD022 DD082 DD242 DE012 DF012 DF042 DL021 DL031 DN012 GA06 GA09 GA11 GA12 GA15 NA11 NA21 PA19 PB09 5F058 AC03 AF04 AG01 BA20 BC02 BF27 BF46 BH01 BJ02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.5〜1.5で、密度と硬度と
    の関係が下記関係式(1)で表され、アルキル基及び/
    又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数に対し5〜1
    00モル%であることを特徴とする多孔性シリカ薄膜。 0.2+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示
    す。〕
  2. 【請求項2】 密度が0.5〜1.5で、密度とヤング
    モジュラスとの関係が下記関係式(2)で表され、アル
    キル基及び/又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数
    に対し5〜100モル%であることを特徴とする多孔性
    シリカ薄膜。 1.5+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Eは薄膜のヤングモジュ
    ラスを示す。〕
  3. 【請求項3】 請求項2記載の多孔性シリカ薄膜であっ
    て、密度と硬度との関係が下記関係式(1)で表される
    ことを特徴とする多孔性シリカ薄膜。 0.2+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示
    す。〕
  4. 【請求項4】 膜厚が100μm以下であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性シリカ薄
    膜。
  5. 【請求項5】 複数の絶縁層およびその上に形成された
    配線を包含し、該絶縁層の少なくとも1層が請求項1〜
    4のいずれかに記載の多孔性シリカ薄膜より構成されて
    なることを特徴とする多層配線構造体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の多層配線構造体を包含
    してなる半導体素子。
  7. 【請求項7】 下記一般式(3)で表されるアルコキシ
    シラン及び/又はその加水分解物を主成分とするシリカ
    前駆体と、有機ポリマーとを包含し、pHが5.0〜
    7.5の多孔性シリカ薄膜用塗布組成物であって、該塗
    布組成物中の水のシリカ前駆体に対する重量比(WR)
    が0.01≦WR≦10であり、かつ水の重量が該塗布
    組成物中のアルコールの重量より大なることを特徴とす
    る多孔性シリカ薄膜形成用塗布組成物。 R1 n (Si)(OR2 4-n ・・・(3) (式中、R1 はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状
    および環状のアルキル基またはアリール基を表し、R2
    は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基を表
    す。またnは0〜3の整数である。)
  8. 【請求項8】 有機ポリマーが、その末端基の少なくと
    も一つの末端基が炭素数1〜8の直鎖状および環状のア
    ルキルエーテル基、アルキルエステル基およびアルキル
    アミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基、さら
    にトリアルキルシリル基よりなる群より選ばれる末端基
    を有する脂肪族ポリマーまたは糖鎖であることを特徴と
    する請求項7記載の多孔性シリカ薄膜形成用塗布組成
    物。
  9. 【請求項9】 有機ポリマーの含有量が、アルコキシシ
    ランの全量が加水分解および縮合反応されて得られる生
    成物1重量部に対して、0.1〜10重量部であること
    を特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の多孔性
    シリカ薄膜形成用塗布組成物。
  10. 【請求項10】 (a)請求項7〜9のいずれかに記載
    の多孔性シリカ薄膜形成用塗布組成物を基板上に塗布し
    た後、0〜300℃でシリカ前駆体のゲル化反応を行
    い、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を製造する工程
    と、(b)該シリカ/有機ポリマー複合体薄膜の有機ポ
    リマーを300〜450℃で除去する工程とを、(a)
    (b)の順に行って製造することを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の多孔性シリカ薄膜の製造方法。
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