JP2004018608A - 絶縁性薄膜 - Google Patents

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JP2004018608A
JP2004018608A JP2002173542A JP2002173542A JP2004018608A JP 2004018608 A JP2004018608 A JP 2004018608A JP 2002173542 A JP2002173542 A JP 2002173542A JP 2002173542 A JP2002173542 A JP 2002173542A JP 2004018608 A JP2004018608 A JP 2004018608A
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李   軍
Masakatsu Kuroki
黒木 正勝
Hiroyuki Hanabatake
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Abstract

【課題】多孔性シリカ薄膜の比誘電率が低く、安定で、半導体素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐える機械的強度を有する多孔性シリカ薄膜を提供する。
【解決手段】アルコキシシランに由来する珪素原子を特定の割合で含有するシリカ前駆体と、ポリエーテルブロックコポリマーを含む特定の有機ポリマーと、特定量の有機溶媒を含有することを特徴とする絶縁薄膜製造用の塗布組成物。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜の機械強度が高く、比誘電率が十分に低い薄膜を提供することが可能な、貯蔵安定性に優れた塗布組成物およびそれにより得られる絶縁性薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔性のシリカは軽量、耐熱性などの優れた特性を有するために、構造材料、触媒担体、光学材料などに幅広く用いられている。例えば近年、多孔性のシリカは誘電率を低くできる、という点から期待を集めている。
【0003】
半導体集積回路をはじめとする半導体素子の多層配線構造体用の絶縁薄膜には、従来緻密なシリカ膜が一般的に用いられてきた。しかし近年、半導体集積回路の配線密度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶縁体の比誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その結果配線を通じて伝達される電気信号の遅延、いわゆる配線遅延が顕著となるため、問題となっている。このような問題を解決するため、配線構造体用の絶縁薄膜の素材として、比誘電率のより低い物質が強く求められている。一方、配線遅延を低減するもう一つの方法として、配線材料を従来のアルミニウムから、より電気抵抗の低い銅に変更する方法も提案されている。銅はアルミニウムと異なり、配線パターンを形成する際に適当なドライエッチングの方法が知られていないため、絶縁薄膜中に配線パターンとなる溝や導通孔を形成した後、これらの溝や導通孔に銅を埋め込み、しかる後に余分な銅を化学機械研磨(以下、CMP工程と称する)によって除去するのが一般的である。
【0004】
半導体素子の配線構造に用いられる絶縁薄膜は、上述のCMP工程のほか、エッチング工程や洗浄工程などを経て所望の配線パターンを有する配線構造に加工される。そのため、これらの工程を経た後も絶縁薄膜としての特性が保持できるだけの耐薬品性、耐水性、機械強度などが要求される。このような要求特性を満たすべく、これまでにさまざまな材料が提案されている。例えば、特開平5−85762号公報や国際公開(WO)第99/03926号パンフレットには一般的なアルコキシシランと有機ポリマーの混合系から、誘電率が極めて低く、均一細孔および細孔分布を持った多孔性のシリカを得ようとする方法が開示されている。また特開平4−285081号公報には、アルコキシシランのゾル−ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させて行い、均一な孔径を有する多孔性のシリカを得ようとする方法が開示されている。
【0005】
さらに、特開2001−49184号公報には2官能性、3官能性、4官能性のアルコキシシランの仕込み量を分子内に2個の珪素原子を有する4、5、6官能性のアルコキシシランの仕込み量より多くし、有機ポリマーにブロックコポリマーを用いることで、誘電率特性、吸水性に優れ、かつ空隙サイズが小さい低密度膜を形成する方法が開示されている。
しかしながら、いずれの方法でも比誘電率が十分に低くかつ経時的に安定であり、かつCMP工程に耐えるような、十分な機械的強度を有する多孔性シリカは得られていない状況にある。特にCMP工程においては、多孔性シリカ層とその上下に配置される層との密着が完全でないと剥離が起こりやすいという問題がある。すなわち、銅を用いた半導体素子の配線構造においては、銅の拡散を防ぐ等の目的で、低誘電率を有する絶縁薄膜の上下に、窒化ケイ素や酸化ケイ素、あるいは炭化ケイ素等からなる下地層やキャップ層を設けることが多いが、CMP工程では、絶縁薄膜および下地層やキャップ層の両方に圧縮応力とシェア応力とがかかるため、絶縁薄膜と下地層やキャップ層との間の密着性が十分でないと容易に剥離が生じ得るからである。
【0006】
また、従来から知られているシリカ/有機ポリマー複合体から有機ポリマーを加熱により除去しようとする場合、450℃以上の加熱温度が必要であることが半導体素子製造プロセス上の大きな制約になっていた。すなわち、半導体素子製造プロセスにおいて金属配線の酸化および結晶成長、熱ストレス等を考慮すると、加熱温度の上限は400℃付近、かつ非酸化性の雰囲気が推奨されている。しかし、この加熱条件では、上記のシリカ/有機ポリマー複合体は大部分の有機ポリマーが残存、またはチャー化してしまい、たとえば多層配線構造を作成する場合、下層中に残存した有機ポリマー由来のガスが下層から発生し上層の接着力低下や剥離を引き起こす可能性がある。さらに、有機ポリマー由来の残存物の存在により、配線を形成した半導体デバイスにおいて、高い電圧(例えば、5MV/cm程度)をかけた場合に線間や層間のリーク電流や絶縁破壊が発生してしまう可能性が生ずることも実用上の問題となっている。
【0007】
これを解決するため熱的に分解しやすい有機ポリマーを使用するという手段も検討されてはいるが、熱に対して有機ポリマーが鋭敏すぎて、取り扱いが著しく危険であったり、ゾルゲル反応触媒によって分子量が低下して成膜性が劣化したり、またシリカ前駆体との相溶性が悪いために、塗布溶液中で沈殿を生じたり、成膜時に分解/揮発して膜が緻密化するなどの問題が生じ、多孔性シリカの作成は困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであって、多孔性の絶縁性シリカ薄膜の機械強度が高くて、比誘電率が低くて経時的に安定で、かつ溶液の貯蔵安定性に優れた多孔性の絶縁性薄膜およびこれを製造するための塗布組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、シリカ前駆体と一般式(R8 O)x −(R10O)y −(R9 O)z (式中、R8 、R9 およびR10は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、xは2〜200、yは2〜100、zは0〜200の整数を示す)で表され、かつ3元ブロックコポリマーであるポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)を除く2元または3元の脂肪族エーテルブロックコポリマーが全有機ポリマーに対して10重量%以上含まれる有機ポリマーと特定の有機溶媒を含有する塗布組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明により得られる絶縁性薄膜は、機械強度が高く、比誘電率が著しく低い、吸湿性の改善も達成すると同時に、その原料である塗布液の貯蔵安定性も非常に高い。
【0010】
本発明の上記およびその他の諸目的、諸特性ならびに諸利益は、以下に述べる詳細な説明および請求範囲の記載から明らかになる。
即ち本発明は、
1.(A)下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される1〜6官能性のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有するシリカ前駆体であって、アルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子の合計に対する1〜3官能性のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子の合計の割合が5mol%〜80mol%であるシリカ前駆体と、
1  n (Si)(OR2 4−n                 (1)
(式中、R1 、R2 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である)
3  m (R4 O)3−m Si−(R7 p −Si(OR5 3−q 6  q   (2)
(式中、R3 、R4 、R5 およびR6 は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、1価の有機基を示し、mおよびqは、同一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7 は酸素原子または(CH2 r で表される基を示し、rは1〜6を、pは0または1を示す。)
(B)一般式;(R8 O)x −(R10O)y −(R9 O)z 
(式中、R8 、R9 およびR10は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、xは2〜200、yは2〜100、zは0〜200の整数を示す)
で表され、かつ3元ブロックコポリマーであるポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)を除く2元または3元の脂肪族エーテルブロックコポリマーが全有機ポリマーに対して10重量%以上含まれる有機ポリマーと、
(C)アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種の有機溶媒と、
を含有することを特徴とする絶縁性薄膜製造用の塗布組成物、
2.上記(B)に記載の有機ポリマーの末端基の少なくとも一つがシリカ前駆体に対して化学的に不活性な基であることを特徴とする1記載の絶縁性薄膜製造用塗布組成物、
3.1又は2に記載の塗布組成物を基板上に塗布した後に、シリカ前駆体をゲル化することにより得られるシリカ/有機ポリマー複合薄膜から有機ポリマーが除去されてなることを特徴とする多孔性のシリカからなる絶縁性薄膜、
4.3記載の薄膜を絶縁物として用いることを特徴とする配線構造体、
5.4記載の配線構造体を包含してなる半導体素子、
である。
【0011】
尚、本発明でいう多孔性のシリカとは下記の式(3)で表されたものを主成分とした多孔質のものであることを特徴としている。
x y SiOz     (3)
(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐上および環状のアルキル基、アリール基を表し、0≦x<2、0≦y<2、0≦(x+y)<2、1<z≦2である。)
また、本発明において先記した一般式(1)で表されるアルコキシシランにおいて、、nが0の場合、即ちでSi(OR2 4 を4官能性のアルコキシシランと言い、nが1の場合、即ちR1 (Si)(OR2 3 を3官能性のアルコキシシラン、nが2の場合、即ちR (Si)(OR2 2 を2官能性のアルコキシシラン、nが3の場合、即ちR (Si)(OR2 )を1官能性のアルコキシシランとする。
【0012】
さらに、一般式(2)で表されるアルコキシシランにおいて、たとえばm=q=1でR3 (R4 O)2 Si−(R7 p −Si(OR5 2 6 の化合物を4官能性のアルコキシシラン、m=0、q=1またはm=1、q=0で、(R4 O)3 Si−(R7 p −Si(OR5 2 6 の化合物を5官能性のアルコキシシラン、m=q=0で(R4 O)3 Si−(R7 p −Si(OR5 3 の化合物を6官能性のアルコキシシランとし、一般式(2)でm=q=2、すなわちR (R4 O)Si−(R7 p −Si(OR5 )R を2官能性のアルコキシシラン、m=2、q=1またはm=1、q=2で、R (R4 O)Si−(R7 p −Si(OR5 2 6 の化合物を3官能性のアルコキシシランとする。
そしてアルコキシシランが加水分解、重縮合してその縮合率が90%を越えるものを本発明ではシリカという。
【0013】
以下に本発明に用いる絶縁薄膜製造用塗布組成物(以下、塗布組成物と称する)について説明する。
本発明に用いる塗布組成物はアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物のうちいずれか1種以上を含有するシリカ前駆体と、有機ポリマーおよび溶媒とを主成分とする。
先ず本発明において用いるシリカ前駆体(A)について説明する。
本発明において用いることができるシリカ前駆体に含まれる一般式(1)で表されるアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物はその出発原料であるアルコキシシランが4、3、2および1官能性のものである。アルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物を以下、アルコキシシラン等と称する。
一般式(1)で表される4官能性のアルコキシシランの具体的な例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
【0014】
一般式(1)で表される3官能性のアルコキシシランの具体的な例として、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、アリールトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−i−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、
【0015】
エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−i−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−i−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、
【0016】
n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
【0017】
アルコキシシラン類の部分加水分解物を原料としてもよい。
これら4官能性および3官能性のアルコキシシランの中でも特に好ましいのがテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランである。
また、ケイ素原子上にビニル基が結合した3官能性のアルキルシランなども好適である。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、などが挙げられる。
【0018】
一般式(1)で表される2官能性のアルコキシシランの具体的な例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−i−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−i−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ−n−プロポキシシラン、
【0019】
メチルエチルジ−i−プロポキシシラン、メチルエチルジ−n−ブトキシシラン、メチルエチルジ−sec−ブトキシシラン、メチルエチルジ−tert−ブトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピジ−n−プロポキシシラン、メチルプロピルジ−i−プロポキシシラン、メチルプロピルジ−n−ブトキシシラン、メチルプロピルジ−sec−ブトキシシラン、メチルプロピルジ−tert−ブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジ−n−プロポキシシラン、メチルフェニルジ−i−プロポキシシラン、メチルフェニルジ−n−ブトキシシラン、メチルフェニルジ−sec−ブトキシシラン、メチルフェイルジ−tert−ブトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジ−n−プロポキシシラン、エチルフェニルジ−i−プロポキシシラン、エチルフェニルジ−n−ブトキシシラン、エチルフェニルジ−sec−ブトキシシラン、エチルフェニルジ−tert−ブトキシシラン、などのケイ素原子上に2個のアルキル基またはアリール基が結合したアルキルシランなどが挙げられる。
【0020】
また、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジ−n−プロポキシシラン、メチルビニルジ−i−プロポキシシラン、メチルビニルジ−n−ブトキシシラン、メチルビニルジ−sec−ブトキシシラン、メチルビニルジ−tert−ブトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ−n−プロポキシシラン、ジビニルジ−i−プロポキシシラン、ジビニルジ−n−ブトキシシラン、ジビニルジ−sec−ブトキシシラン、ジビニルジ−tert−ブトキシシラン、などケイ素原子上に1 ないし2個のビニル基が結合したアルキルシランなども好適である。
【0021】
一般式(1)で表される1官能性のアルコキシシランの具体例として、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリメチル−i−プロポキシシラン、トリメチル−n−ブトキシシラン、トリメチル−sec−ブトキシシラン、トリメチル−tert−ブトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリエチル−i−プロポキシシラン、トリエチル−n−ブトキシシラン、トリエチル−sec−ブトキシシラン、トリエチル−tert−ブトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピル−n−プロポキシシラン、トリプロピル−i−プロポキシシラン、トリプロピル−n−ブトキシシラン、トリプロピル−sec−ブトキシシラン、
【0022】
トリプロピル−tert−ブトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニル−n−プロポキシシラン、トリフェニル−i−プロポキシシラン、トリフェニル−n−ブトキシシラン、トリフェニル−sec−ブトキシシラン、トリフェニル−tert−ブトキシシラン、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、メチルジエチル−n−プロポキシシラン、メチルジエチル−i−プロポキシシラン、メチルジエチル−n−ブトキシシラン、メチルジエチル−sec−ブトキシシラン、メチルジエチル−tert−ブトキシシラン、メチルジプロピルメトキシシラン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピル−n−プロポキシシラン、
【0023】
メチルジプロピル−i−プロポキシシラン、メチルジプロピル−n−ブトキシシラン、メチルジプロピル−sec−ブトキシシラン、メチルジプロピル−tert−ブトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、メチルジフェニル−n−プロポキシシラン、メチルジフェニル−i−プロポキシシラン、メチルジフェニル−n−ブトキシシラン、メチルジフェニル−sec−ブトキシシラン、メチルジフェニル−tert−ブトキシシラン、エチルジメチルメトキシシラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチルジメチル−n−プロポキシシラン、エチルジメチル−i−プロポキシシラン、エチルジメチル−n−ブトキシシラン、エチルジメチル−sec−ブトキシシラン、エチルジメチル−tert−ブトキシシラン、エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエトキシシラン、エチルジプロピル−n−プロポキシシラン、
【0024】
エチルジプロピル−i−プロポキシシラン、エチルジプロピル−n−ブトキシシラン、エチルジプロピル−sec−ブトキシシラン、エチルジプロピル−tert−ブトキシシラン、エチルジフェニルメトキシシラン、エチルジフェニルエトキシシラン、エチルジフェニル−n−プロポキシシラン、エチルジフェニル−i−プロポキシシラン、エチルジフェニル−n−ブトキシシラン、エチルジフェニル−sec−ブトキシシラン、エチルジフェニル−tert−ブトキシシラン、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、プロピルジメチル−n−プロポキシシラン、プロピルジメチル−i−プロポキシシラン、プロピルジメチル−n−ブトキシシラン、プロピルジメチル−sec−ブトキシシラン、プロピルジメチル−tert−ブトキシシラン、
【0025】
プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、プロピルジエチル−n−プロポキシシラン、プロピルジエチル−i−プロポキシシラン、プロピルジエチル−n−ブトキシシラン、プロピルジエチル−sec−ブトキシシラン、プロピルジエチル−tert−ブトキシシラン、プロピルジフェニルメトキシシラン、プロピルジフェニルエトキシシラン、プロピルジフェニル−n−プロポキシシラン、プロピルジフェニル−i−プロポキシシラン、プロピルジフェニル−n−ブトキシシラン、プロピルジフェニル−sec−ブトキシシラン、プロピルジフェニル−tert−ブトキシシランフェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジメチル−n−プロポキシシラン、フェニルジメチル−i−プロポキシシラン、フェニルジメチル−n−ブトキシシラン、フェニルジメチル−sec−ブトキシシラン、
【0026】
フェニルジメチル−tert−ブトキシシラン、フェニルジエチルメトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、フェニルジエチル−n−プロポキシシラン、フェニルジエチル−i−プロポキシシラン、フェニルジエチル−n−ブトキシシラン、フェニルジエチル−sec−ブトキシシラン、フェニルジエチル−tert−ブトキシシラン、フェニルジプロピルメトキシシラン、フェニルジプロピルエトキシシラン、フェニルジプロピル−n−プロポキシシラン、フェニルジプロピル−i−プロポキシシラン、フェニルジプロピル−n−ブトキシシラン、フェニルジプロピル−sec−ブトキシシラン、フェニルジプロピル−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
【0027】
また、ケイ素原子上に1〜3個のビニル基が結合したアルキルシランなども好適である。具体的には、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニル−n−プロポキシシラン、トリビニル−i−プロポキシシラン、トリビニル−n−ブトキシシラン、トリビニル−sec−ブトキシシラン、トリビニル−tert−ブトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチル−n−プロポキシシラン、ビニルジメチル−i−プロポキシシラン、ビニルジメチル−n−ブトキシシラン、ビニルジメチル−sec−ブトキシシラン、ビニルジメチル−tert−ブトキシシラン、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、ビニルジエチル−n−プロポキシシラン、ビニルジエチル−i−プロポキシシラン、ビニルジエチル−n−ブトキシシラン、ビニルジエチル−sec−ブトキシシラン、ビニルジエチル−tert−ブトキシシラン、ビニルジプロピルメトキシシラン、ビニルジプロピルエトキシシラン、ビニルジプロピル−n−プロポキシシラン、ビニルジプロピル−i−プロポキシシラン、ビニルジプロピル−n−ブトキシシラン、ビニルジプロピル−sec−ブトキシシラン、ビニルジプロピル−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
【0028】
本発明の1官能性および2官能性のアルコキシシランとして、先述したようなアルコキシシランが用いられるが、その中でより好ましいのが、トリメチルメトキシシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシランなどのアルキルシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシランなどのが挙げられる。
また、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシランなどのケイ素原子に直接水素原子が結合したものも用いることもできる。
【0029】
次に本発明において用いることができる一般式(2)で表されるアルコキシシラン等は、その出発原料であるアルコキシシランが6、5、4、3および2官能性のものである。
一般式(2)で表されるアルコキシシランのうち、R7 が−(CH2 n −の化合物で6、5、4、3および2官能性のアルコキシシランの具体例として、まず6官能性のアルコキシランの例としてビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0030】
5官能性のアルコキシシランとして、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタンなどが挙げられる。
【0031】
4官能性のアルコキシシランの例としてビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)エタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(ジメトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシフェニルシリル)プロパンなどが挙げられる。
【0032】
3官能性のアルコキシシランとして、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(エトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(n−プロポキジメチルシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(i−プロポキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(n−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(sec−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(t−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(エトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(n−プロポキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(i−プロポキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(n−ブトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(sec−ブトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(t−ブトキシジメチルシリル)エタンなどが挙げられる。
【0033】
2官能性のアルコキシシランの具体例として、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(エトキシジフェニルシリル)プロパンなどが挙げられる。
【0034】
一般式(2)でR7 が酸素原子の化合物で6官能性のアルコキシシランとしてはヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、5官能性のアルコキシシランとして1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、4官能性のアルコキシシランとして1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3 −ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、
【0035】
3官能性のアルコキシシランとして1,1,3 −トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、2官能性のアルコキシシランとして1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。
【0036】
一般式(2)で、pが0の化合物で6,5,4、3および2官能性のアルコキシシランの具体例として、6官能性のアルコキシシランの具体例としてヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェニキシジシラン、5官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、4官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、
【0037】
1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、3官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2−トリメトキシ−1,2,2 −トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ− 1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、2官能性のアルコキシシランの具体例として1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを挙げることができる。
【0038】
尚、本発明の1、2、3官能性のアルコキシシランとして、先述したようなアルコキシシランが用いられるが、その中でより好ましいのが、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシランなどのケイ素原子に直接3個のアルキル基またはアリール基が結合したアルキルシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシランなどのケイ素原子に直接2個のアルキル基またはアリール基が結合したアルキルシラン、さらに、前述したケイ素原子に直接1個のアルキル基またはアリール基が結合したアルコキシシランが挙げられる。
【0039】
また、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのケイ素原子に直接水素原子が結合したものも用いることもできる。
さらに、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(エトキシジフェニルシリル)プロパン、3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ −1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ −1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを好適に用いることができる。
【0040】
これらの中で特に好ましいアルコキシシランとして、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシランが挙げられる。
本発明のシリカ前駆体には上記のアルコキシシランおよびその加水分解、重縮合したものうち少なくともいずれか1種以上含んでいる。
【0041】
加水分解物には部分加水分解物も含まれる。例えば、シリカ前駆体(A)に用いられる4官能性のアルコキシシランの場合、4つのアルコキシのすべてが加水分解されている必要はなく、例えば1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物が存在していてもかまわない。
また、本発明におけるシリカ前駆体(A)に含有される重縮合物とは、シリカ前駆体(A)の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などを表す。
【0042】
本発明の塗布組成物に含まれるシリカ前駆体は上記一般式(1)、一般式(2)で表されるアルコキシシラン等のうち、1〜3官能性アルコキシシラン等に由来する珪素原子の合計は全体の1〜6官能性アルコキシシランに由来する珪素原子に対して5モル%〜80モル%包含されることが特徴である。好ましくは10モル%〜70モル%、より好ましくは20モル%〜60モル%である。1〜3官能性アルコキシシランに由来する珪素原子が5モル%未満では薄膜の比誘電率が下がらないし、一方80モル%を超えると薄膜の機械強度が低下してしまうので好ましくない。
【0043】
本発明の塗布組成物中のシリカ前駆体の含有量は全固形分濃度として表すことができる。
後述するように目的とする絶縁性薄膜の膜厚にもよるが全固形分濃度は2〜30重量%が好ましく、保存安定性にも優れる。
全固形分濃度は既知量の本発明の塗布組成物、すなわちシリカ前駆体、有機ポリマー、有機溶媒および酸を含有する組成物の全量に対する、仕込みのアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応して得られるシロキサンの重量の割合として求められる。
【0044】
次に本発明における有機ポリマー(B)について説明する。
まず本発明で用いることができる有機ポリマーのうち、本発明の必須成分である、特定の構造を有したブロックコポリマーについて説明するが、これらのポリマーは後述するような加熱焼成によって塗膜が多孔性のシリカ薄膜に変換する場合に、熱分解温度が低く、かつシリカ前駆体およびシリカとの相溶性が適度に良好であるため、本発明において極めて重要な成分である。
ここで、相溶性が適度に良好であるとは、本発明で以下に特定するブロックコポリマーが、シリカ前駆体およびシリカとの親和性が良好なもののことを言う。両者の親和性が適度に良好であると、シリカ前駆体とポリマー間での相分離状態が制御され、その後の工程でブロックコポリマーがシリカから抜き去られて多孔体が形成される場合に極端に大きなまたは小さな孔径を持つ孔がなく、孔径が均一になるので、得られた薄膜の表面平滑性がさらに向上するし、また機械強度も高くなる。
【0045】
本発明において必須成分として使用するのは、一般式が(R8 O)x −(R10O)y −(R9 O)z で表されるブロックコポリマーである。ここで、R8 、R9 およびR10は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、xは2〜200、yは2〜100、zは0〜200の整数を示す。
なお、R8 、R9 およびR10は、炭素数1〜10のアルキレン基であるが、具体的には、−CH2 −(メチレン基)、−(CH2 2 −(エチレン基)、−(CH2 3 −(トリメチレン基)、−(CH2 4 −(テトラメチレン基)、・・・、−(CH2 10−(デシルメチレン基)のように直鎖型のアルキレン鎖(アルキレン基)の他に、−CH(CH3 )CH2 −(1−メチルエチレン基)、−CH2 CH(CH3 )−(2−メチルエチレン基)、−CH(CH3 2 CH2 −(1,1−ジメチルエチレン基)、−CH(CH3 )CH(CH3 )−(1,2−ジメチルエチレン基)のような、メチレン連鎖を主鎖とし、そのプロトンの一つないしは複数をアルキル基(n−プロピル基のように直鎖状であってもiso−ブチル基のように側鎖をもつものであってもかまわない)で置換したもの(アルキレン基)であり、かつその炭素数が1〜10の範囲にあるものをすべて含む。例えば、R8 =−(CH2 2 −の場合には、(R8 O)x の連鎖はポリエチレングリコール鎖、R9 =−CH(CH3 )CH2 −、または−CH2 CH(CH3 )−の場合には、(R9 O)z の連鎖はポリプロピレングリコール鎖を意味することになる。
【0046】
本発明で規定するブロックコポリマーの各構成連鎖の重合度である、x、y、zについては、xは2〜200、yは1〜100、zは0〜200の整数であるが、z≠0の場合には、x、y、zの各整数共、好ましくは5〜90、より好ましくは5〜75、さらに好ましくは5〜60の範囲にあると、またz=0の場合には、xとyが共に、好ましくは5〜90、より好ましくは5〜75、さらに好ましくは5〜60の範囲にあると、本発明の良好な塗布組成物を得ることができる。特にz=0の場合には、本発明の必須成分であるポリマーは、(R8 O)x −(R10O)y の構造をもつ2元の脂肪族エーテルブロックコポリマーを意味する。
【0047】
特に本発明では、上述のようにして特定される2元または3元の脂肪族エーテルブロックコポリマーのうち、特に3元ブロックコポリマーであるポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)(上記表記法では、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)−ポリ(オキシエチレン)あるいは、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−2−メチルエチレン)−ポリ(オキシエチレン))を除くものとする。その理由は、原因は明らかではないが、本発明で特定される2元または3元のブロックコポリマーの中で該3元ブロックコポリマーを使用した場合にのみ、絶縁薄膜の強度が同じもの(すなわち、多孔質構造における空孔率がほぼ同じ)同士の比較において、相対的に低い比誘電率の絶縁性薄膜しか得られないためである。すなわち、ポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)を用いた場合には、本発明で特定される2元または3元のブロックコポリマーを使用した場合と比べて、バランス良く高強度/低比誘電率を有する絶縁薄膜が得られない。
【0048】
本発明で必須成分として使用するブロックコポリマーをより具体的に、国際純正応用化学連合(IUPAC )の高分子命名法委員会の勧告(高分子,vol.51,269 −279 (2002))に基づいて例示すると、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−1−エチルエチレン)、ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)−ポリ(オキシエチルエチレン)、ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)−ポリ(オキシ−1−エチルエチレン)のような2元ブロックコポリマー、さらにポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−1−エチルエチレン)−ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)−ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)、ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)−ポリ(オキシ−1−エチルエチレン)−ポリ(オキシ−1−メチルエチレン)などの3元ブロックコポリマーを挙げることができるが当然のことながらこれらに限定されるものではない。
【0049】
本発明では、これらによって規定されるブロックコポリマー以外にも本発明の効果を損なわない範囲で他の有機ポリマーを添加することが可能であるが、本発明の塗布組成物に含有される全有機ポリマーにおいて、上述した条件を満たすブロックコポリマーは10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上含まれると、本発明の好適な塗布組成物を得ることができる。含有する全有機ポリマーに占める該ブロックコポリマーの含有率が10重量%未満であると、高強度などの本発明の十分な効果が得られないので望ましくない。
【0050】
また、本発明の塗布組成物における有機ポリマー(B成分)の添加量は、出発原料であるアルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサン1重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量部より少ないと多孔体が得られず、また10重量部より多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られず、実用性に乏しい。なお、アルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサンとは上記一般式(1)、(2)のSiOR2 基、SiOR4 基SiOR5 基が100%加水分解されてSiOHになり、さらに100%縮合してシロキサン構造になったものを言う。
【0051】
次に、本発明の塗布組成物において(B)成分として添加可能であり、かつ上述した2元または3元ブロックコポリマー以外の有機ポリマー(以下、該有機ポリマーと呼ぶ)について以下に説明する。
(B)成分として添加し得る該有機ポリマーは、(A)成分が硬化する過程または硬化後に、熱により揮発もしくはガスを発生し、好ましくは系外に揮散することにより、絶縁薄膜中に極めて微細な空孔を形成し、該絶縁膜の比誘電率を低下させる作用をする成分である。該(B)成分が揮発もしくはガスを発生する温度は、大気圧下、0〜500℃の範囲であり、好ましくは25〜400℃の範囲である。
【0052】
該有機ポリマーは、本発明によって得られる塗布組成物において安定に溶解することも必要であるが、上述した条件を満たすものとして、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドなどを主なる構成成分とするポリマーを用いることができる。これらの中でも脂肪族ポリエーテル鎖を骨格構造にもつもの(ただし、本発明で規定されるブロックコポリマーを除く)が特に好ましい。該有機ポリマーは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良いし、また有機ポリマーの主鎖は、後述するように本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。
【0053】
また、該有機ポリマーの分子量は数平均で100〜100万、好ましくは100〜30万、より好ましくは200〜5万である。
分子量が100以下であると、有機ポリマーがシリカ/有機ポリマー複合体から除去されるのが速すぎて、所望するような空孔率を持った多孔性シリカ薄膜が得られないし、ポリマー分子量が100万を越えると、今度はポリマーが除去される速度が遅すぎて、ポリマーが残存するので好ましくない。特に、より好ましいポリマーの分子量は200〜5万であり、この場合には、低温でかつ短時間に所望するような高い空孔率を持った多孔性シリカ薄膜がきわめて容易に得られる。ここで注目すべきことは、多孔性シリカの空孔の大きさは、ポリマーの分子量にあまり依存せずに、きわめて小さくかつ均一なことである。
【0054】
次に該有機ポリマーとして使用し得る化合物について例示する。
脂肪族ポリエーテルの例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールのようなポリアルキレングリコール類、ポリジオキソラン、ポリジオキセパンなどが挙げられる。ここで、アルキレングリコールとは炭素数2以上のアルカンの同一炭素原子上に結合していない2個の水素原子を、それぞれ水酸基に置換して得られる2価アルコールを指す。
【0055】
さらに、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペントース、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプトースなどに代表される糖鎖に含まれるヒドロキシル基のうちの少なくとも3つとポリマー鎖が結合した構造、及び/又はヒドロキシル酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシル基のうち少なくとも3つが上述したブロックコポリマー鎖を含む脂肪族ポリエーテル鎖と結合した構造である有機ポリマーを配合しても好適に本発明の塗布用組成物を得ることができる。具体的には分岐状のグリセロールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エリスリトールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコールなどが含まれる。
【0056】
上記の糖鎖以外でも用いることのできる糖鎖の具体的な例としては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スレイトール、マルチトール、アラビトール、ラクチトール、アドニトール、セロビトール、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マンノース、ガラクトース、エリスロース、キシルロース、アルロース、リボース、ソルボース、キシロース、アラビノース、イソマルトース、デキストロース、グルコヘプトースなどが挙げられる。また、ヒドロキシル酸の具体的な例としてはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコヘプトン酸、グルコオクタン酸、スレオニン酸、サッカリン酸、ガラクトン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシコハク酸などが挙げられる。
【0057】
さらに、本発明では、(B)成分として脂肪族高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させた直鎖状の高級脂肪族/アルキレンオキサイドブロックコポリマーも使用することが可能である。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリールエーテル、ポリオキシプロピレンステアリールエーテルなどが挙がられる。
この他に、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドも(B)成分として使用可能である。
【0058】
脂肪族ポリエステルとしては、具体的には、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の重縮合物やラクトンの開環重合物、及びポリエチレンオキサレート、ポリエチレンスクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシジエチレンアジペート等のジカルボン酸とアルキレングリコールとの重縮合物、並びにエポキシドと酸無水物との開環共重合物を挙げることができる。
脂肪族ポリカーボネートの例としては、主鎖部分としてポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートを挙げることができる。
脂肪族ポリアンハイドライドの例としては、主鎖部分としてポリマロニルオキシド、ポリアジポイルオキシド、ポリピメロイルオキシド、ポリスベロイルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコイルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物をあげることができる。ここで、ジカルボン酸とは蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのカルボキシル基を2個有する有機酸を指す。
【0059】
この他、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリイミン、ポリイミド、セルロース等の多糖類、およびこれらの誘導体を主なる構成成分とするポリマーを(B)成分として使用することができる。
これらのポリマーの構成単位であるモノマーどうしの共重合体や、その他の任意のモノマーとの共重合体を用いてもよい。
さらに本発明で(B)成分として用いることのできる有機ポリマーとして、分子内に少なくとも一つの重合可能な官能基を有するポリマーも挙げることができる。このようなポリマーを用いると、理由は定かではないが、多孔性薄膜の強度が向上する。
【0060】
重合可能な官能基としては、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基、グリシジル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、ハロゲン基などが挙げられる。これらの官能基はポリマーの主鎖中にあっても末端にあっても側鎖にあってもよい。またポリマー鎖に直接結合していてもよいし、アルキレン基やエーテル基などのスペーサーを介して結合していてもよい。同一のポリマー分子が1種類の能基を有していても、2種類以上の官能基を有していてもよい。上に挙げた官能基の中でも、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基、グリシジル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好適に用いられる。
重合可能な官能基を有するポリマーの基本骨格としては、前述したポリマーの例と同様、熱分解温度の低い脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドを主なる構成要素とするものを用いるのが特に好ましい。
【0061】
本発明で用いることができる重合性官能基を有する有機ポリマーの基本骨格を更に具体的に示す。なお、以下アルキレンとはメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、イソプロピリデン、1,2−ジメチルエチレン、2,2−ジメチルトリメチレンを指し、ここでのアルキルとはC1〜C8のアルキル基およびフェニル基、トリル基、アニシル基などのアリール基も含み、−メタ−アクリレートとはアクリレートとメタクリレートの両方を指し、ジカルボン酸とは蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの有機酸を指す。
【0062】
脂肪族ポリエーテルの例としては、ポリアルキレングリコール−メタ−アクリレート、ポリアルキレングリコールジ−メタ−アクリレート、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル−メタ−アクリレート、ポリアルキレングリコールビニルエーテル、ポリアルキレングリコールジビニルエーテル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルビニルエーテル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルグリシジルエーテルなどに代表される、末端にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基などの重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリエーテルが挙げられる。当然、前述した2元以上の直鎖または分岐状のポリエーテルブロックコポリマーをこれらの官能基で修飾したポリマーも含まれる。
【0063】
脂肪族ポリエステルの例としては、ポリカプロラクトン−メタ−アクリレート、ポリカプロラクトンビニルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエーテル、ポリカプロラクトンビニルエステル、ポリカプロラクトングリシジルエステル、ポリカプロラクトンビニルエステル−メタ−アクリレート、ポリカプロラクトングリシジルエステル−メタ−アクリレート、ポリカプロラクトンビニルエステルビニルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエステルビニルエーテル、ポリカプロラクトンビニルエステルグリシジルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエステルグリシジルエーテル、さらに、ポリカプロラクトントリオールのメタ−アクリレート、ジ−メタ−アクリレート、トリ−メタ−アクリレート、ビニルエーテル、ジビニルエーテル、トリビニルエーテル、グリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテルの各末端修飾ポリマーなどに代表される、片末端あるいは両末端にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基等の重合可能な官能基をもつポリカプロラクトンやジカルボン酸とアルキレングリコールとの重合体であり、片末端あるいは両末端にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基などの重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
【0064】
片末端あるいは両末端にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基等の重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリアルキレンカーボネートや、ジカルボン酸無水物の重合体であり、末端にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基等の重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリアンハイドライドも本発明で使用する有機ポリマーとして有効である。
これらの他に、ポリグリシジル−メタ−アクリレート、ポリアリル−メタ−アクリレート、ポリビニル−メタ−アクリレート等、側鎖にビニル基、グリシジル基、アリール基等の官能基を有するポリアクリル酸エステルやポリメタクリル酸エステルや、ポリケイ皮酸ビニル、ポリビニルアジドベンザル、エポキシ樹脂等の添加も場合によっては有効である。ただし、これらの例示によって本発明で使用される有機ポリマーが限定されるものではない。
【0065】
次に、これらの(B)成分として配合し得る脂肪族ポリエーテル系の有機ポリマーにおいて、ポリマー鎖の末端基が特定の条件を満たしているとやはり好適に本発明の塗布組成物を得ることができる。
すなわち、本発明で規定する2元または3元ブロックコポリマーを含む有機ポリマーにおいて、その末端基の少なくとも1つの末端基が化学的に不活性な基であることが望ましい。ここでいう化学的に不活性な基とは、ヒドロキシル基やカルボキシル基、アミノ基のように水中においてプロトンが容易に遊離またはその基がプロトンを受理して電離するようなシリカ前駆体に対して反応性をもつ基以外の置換基を意味する。化学的に不活性な置換基を有機ポリマーの末端に含んでいることにより、薄膜の製造時にシリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーがより容易に除去されるので望ましい。本発明における好ましい不活性基としては直鎖状、分岐状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基およびトリアルキルシリル基変性された基が挙げられる。
【0066】
以下に末端基を特定した本発明で使用可能な(B)成分の例を、特に脂肪族ポリエーテルについて示す。
末端にエステル基を持つ脂肪族ポリエーテル類としては、上記アルキレングリコール類の少なくとも一つの末端を例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、安息香酸エステルとしたものなどが挙げられる。また、アルキレングリコール類の末端をカルボキシメチルエーテル化し、この末端のカルボキシル基をアルキルエステル化したものも好適に用いられる。具体的には例えば、ポリエチレングリコールモノ酢酸エステル、ポリエチレングリコールジ酢酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ酢酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酢酸エステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルジメチルエステル、ポリプロピレングリコールビスカルボキシメチルエーテルジメチルエステル、グリセリンポリエチレングリコールトリ酢酸エステル、ペンタエリスリトールポリエチレングリコールテトラ酢酸エステル、ペンチトールポリエチレングリコールペンタ酢酸エステル、ソルビトールポリエチレングリコールヘキサ酢酸エステルなどが好ましい例として挙げられる。
【0067】
末端にアミド基を持つ脂肪族ポリエーテル類としては、上記のアルキレングリコール類の少なくとも一つの末端をカルボキシメチルエーテル化し、そのあとでアミド化する方法、ヒドロキシ末端をアミノ基変性したあとにアミド化する方法、などが挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポリプロピレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジエチルアミド)、グリセリンポリエチレングリコールトリカルボキシメチルエーテルジメチルアミド、ペンタエリスリトールポリエチレングリコールテトラカルボキシメチルエーテルジメチルアミド、ペンチトールポリエチレングリコールペンタカルボキシメチルエーテルジメチルアミド、ソルビトールポリエチレングリコールヘキサカルボキシメチルエーテルジメチルアミドなどが好適に用いられる。
【0068】
末端にアルキルカーボネート基を持つ脂肪族ポリエーテル類としては、例えば上記アルキレングリコール類の少なくとも一つの末端に、ホルミルエステル基をつける方法が挙げられ、具体的には、ビスメトキシカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエトキシカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエトキシカルボニルオキシポリプロピレングリコール、ビスtert−ブトキシカルボニルオキシポリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、有機ポリマーの末端基を制御すると末端基近傍でのシリカ前駆体との相溶性が特に良好となるため、本発明の必須成分である直鎖状のブロックコポリマー以外の有機ポリマー成分として、末端基密度の高い分岐ポリマーを使用しても相溶性を良好に向上させることができ、シリカ/有機ポリマー複合体の均一性が高められるため、薄膜の表面均一性を向上させるので好ましい。
【0069】
次に本発明に用いることのできる溶媒(C)について説明する。
本発明に用いることのできる溶媒(C)は、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種の溶媒であり、これにに溶解または分散してなる。ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n− プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3 −メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、
【0070】
n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒、およびエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール− 2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒、
【0071】
およびエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0072】
これらアルコールのうち、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどが好ましい。
【0073】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル− n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i− ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5− オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0074】
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0075】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0076】
なお、溶媒(C)として、アルコール系溶媒および/またはエステル系溶媒を用いると、塗布性が良好で、かつ貯蔵安定性に優れた組成物が得られる点で好ましい。
本発明の塗布組成物は、上記の溶媒(C)を含有するが、シリカ前駆体(A)を加水分解および/または縮合する際に、同様の溶媒を追加添加することができる。
本発明ではシリカ前駆体(A)の加水分解および/または縮合速度を制御する目的で酸を添加することも可能である。
【0077】
本発明で用いることができる酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、トリポリリン酸、ホスフィン酸、ホスフォン酸などの無機酸を挙げることができる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、イソニコチン酸などを挙げることができる。
【0078】
また、本発明の塗布溶液を基板上に塗布した後で酸として機能するような化合物も含まれる。具体的には芳香族スルホン酸エステルやカルボン酸エステルのような、加熱または光により分解して酸を発生する化合物が挙げられる。
酸は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの酸成分の添加量は出発原料として仕込まれる一般式(1)および/または(2)のアルコキシシランのアルコキシシラン基の全モル数を1モルとして1モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは0.2モル%以下が適当である。1モル%より多いと沈殿物が生成し、均質な多孔質のケイ素酸化物からなる塗膜が得られ難くなったり、比誘電率の低い塗膜が得られない場合がある。
【0079】
上述したように、本発明では、いくつかの必須成分を組み合わせて塗布用組成物を製造するのだが、重要なのは、本発明で規定される各種化合物やその組成範囲の中で、安定でかつ均一性の高い組成物を得るように、各構成化合物を選定し、組成を決定することである。本発明で必須成分として使用する2元または3元のポリエーテルブロックコポリマーは水系の溶液中で極めて高い分散安定性を示すので、シリカ原料/溶媒/その他添加物の組み合わせを適切に調整することにより、塗布組成物としての貯蔵安定性も従来のものよりも大幅に向上される。
さらに、こうして得られた塗布組成物を使用することによって、それから製造される多孔性シリカ薄膜の比誘電率を著しく低くすることができる。
【0080】
その理由については明らかではないが、複合体もしくは多孔体中に存在するシリカ末端基であるシラノール基(シラノール基は吸水性で、薄膜の誘電率を著しく上昇させる原因となる)と該1,2官能性のアルコキシシラン等との反応を、ポリエーテルブロックコポリマーと酸の作用により促進することにより、シラノール基が失活されるためと推定している。また、本発明で規定する2元または3元のポリエーテルブロックコポリマーは塗布液中で強くアルコキシシラン類と相互作用し、両成分は各々で凝集を起こすことなく極めて安定な分散状態を形成するため、これを塗布し適切な熱処理を施すことにより、極めて均一な多孔質のシリカからなる構造を得ることができる。そしてこの結果、得られた絶縁性の薄膜は、CMP処理にも耐え得る高い機械強度を有すると推定される。
本発明の塗布組成物には、その他、所望であれば、例えば、コロイド状シリカや界面活性剤などの成分を添加してもよいし、感光性付与のための光触媒発生剤、基板との密着性を高めるための密着性向上剤、長期保存のための安定剤など任意の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で本発明の塗布組成物に添加することも可能である。
【0081】
次に本発明の塗布組成物の製造方法について説明する。
本発明の塗布組成物の製造方法としては、アルコキシシランを出発原料として仕込んだ後、水を添加して加水分解、縮合反応を行った後で、有機ポリマーまたは溶媒を加えても良いし、アルコキシシランにあらかじめ、有機ポリマーまたは溶媒を添加しておいてから、加水分解、重縮合反応を行ってもよい。
本発明において、アルコキシシランの加水分解には水が必要である。アルコキシシランに対する水の添加は液体のまま、あるいはアルコールや水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激に行うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充分な時間をかける、均一化させるためにアルコールなどの溶媒を共存させる、低温で添加するなどの手法が単独または組み合わせて用いられる。
【0082】
添加された水は一旦アルコキシシランの加水分解のために消費されるが、その後の縮合反応時に副生成物として生成してくるので、本発明の塗布組成物中には有機溶媒とともに適当量存在する。塗布組成物中に含まれる水の量は塗布組成物全重量に対して10wt%から70wt%、好ましくは20wt%から60wt%である。10wt%より少ないと機械的強度が発現されず、70wt%より多いとシリカ前駆体が析出しやすくなる。
水は加水分解、重縮合反応中に全量または断続的に加えてもよい。また、重縮合反応終了後に上記の含有量になるように追加して添加しても構わない。
アルコキシシランは水の存在下、加水分解してシラノールになり、次にシラノール基間の縮合反応によりシロキサン結合を有するオリゴマー状のシリカ前駆体へと生長する。
【0083】
本発明の塗布組成物では予めアルコキシシランをオリゴマー状にしておくほうが、(l)塗布液粘度が適度に上がるので、塗膜の保形性が確保でき膜厚を均一にできる、(2)さらにシリカ前駆体がゲル化する場合に、シリカ骨格の形成がマイルドに起こるので、膜収縮が起こり難く、より好ましい。
本発明において、アルコキシシランを加水分解するときの温度は通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0℃〜50℃である。0℃よりも低いと加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、溶液のゲル化が起こる場合があり好ましくない。
本発明の塗布組成物に含有されるシリカ前駆体の縮合率は10〜90%、好ましくは20〜85%、より好ましくは30〜85%である。縮合率が10%よりも低いと、上記の(1)および(2)が達成されないので、好ましくない。縮合率が90%を超えると塗布組成物全体がゲル化してしまう。
尚、シリカ前駆体の縮合率は後述するシリカ組成比を求める場合と同様の測定法により算出される。
【0084】
本発明における酸の添加は、アルコシシランの加水分解、縮合反応時に全量添加しても良いし、段階的に添加しても良い。また、塗布組成物の塗布する直前に添加しても良い。
また、塗布組成物中のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属および鉄の含量が、15ppb以下、特に10ppb以下であることが塗膜の低リーク電流の観点から好ましい。アルカリ金属および鉄は、使用する原料から混入する場合があり、シリカ前駆体(A)、有機ポリマー(B)および溶媒(C)などを蒸留などにより精製することが好ましい。
本発明では以上のようにして得られる塗布組成物を塗布液として用い、得られた塗膜中のシリカ前駆体をゲル化させることによって、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を得ることができる。
【0085】
以下、本発明の塗布組成物を塗膜して薄膜を得る方法、および薄膜をゲル化して複合体薄膜とする方法、さらに複合体薄膜から有機ポリマーを除去させる方法について詳細に説明する。
本発明における塗布組成物の全固形分濃度は、前記のごとく2〜30重量%が好ましいが、使用目的に応じて適宜調整される。塗布組成物の全固形分濃度が2〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。なお、この全固形分濃度の調整は、必要であれば、濃縮または上記溶媒(C)による希釈によって行われる。
本発明において、薄膜の形成は基板上に本発明の塗布組成物を塗布することによって行う。塗布方法としては流延、浸漬、スピンコートなどの周知の方法で行うことができるが、半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層の製造に用いるにはスピンコートが好適である。薄膜の厚さは塗布組成物の粘度や回転速度を変えることによって0.1μm〜100μmの範囲で制御できる。100μmより厚いとクラックが発生する場合がある。半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層としては、通常0.1μm〜5μmの範囲で用いられる。
【0086】
基板としてはシリコン、ゲルマニウム等の半導体基板、ガリウム−ヒ素、インジウム−アンチモン等の化合物半導体基板等を用いることもできるし、これらの表面に他の物質の薄膜を形成したうえで用いることも可能である。この場合、薄膜としてはアルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、金などの金属の他に、二酸化ケイ素、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−リンガラス、ホウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキサン等の無機化合物、メチルシルセスキオキサン、アモルファスカーボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポリイミド、その他任意のブロックコポリマーからなる薄膜を用いることができる。
【0087】
薄膜の形成に先立ち、上記基板の表面を、あらかじめ密着向上剤で処理してもよい。この場合の密着向上剤としてはいわゆるシランカップリング剤として用いられるものやアルミニウムキレート化合物などを使用することができる。特に好適に用いられるものとして、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などが挙げられる。これらの密着向上剤を塗布するにあたっては必要に応じて他の添加物を加えたり、溶媒で希釈して用いてもよい。密着向上剤による処理は公知の方法で行う。
【0088】
塗布組成物を塗膜にした後、引き続き行うゲル化温度は特に限定されないが、通常は100〜300℃、好ましくは150〜300℃、ゲル化反応に要する時間は熱処理温度、触媒添加量や溶媒種および量によっても異なるが、通常数秒間から10時間の範囲である。好ましくは30秒〜5時間、より好ましくは1分〜2時間である。この操作により、塗布組成物中のシリカ前駆体のゲル化反応が十分に進行しシリカとなる。シリカの縮合率として100%近くまで達する場合がある。通常は90%を越える程度である。この場合の縮合率は、固体NMRで求めることができる。温度が100℃よりも低いと、後工程であるポリマー除去工程において、ゲル化が十分に進行する前にポリマーが除去され始めるので、その結果、塗膜の高密度化が起こってしまう。また300℃よりも高いと、巨大なボイドが生成しやすく、後述するシリカ/有機ポリマー複合体薄膜の均質性が低下する。
【0089】
このようにして得られたシリカ/有機ポリマー複合体薄膜は、誘電率も低く、厚膜形成性があるので、このままで配線の絶縁部分として用いることもできるし、薄膜以外の用途、たとえば光学的膜や構造材料、フィルム、コーティング材などとして使用することも可能である。しかし、LSI多層配線の絶縁物としてさらに誘電率の低い材料を得ることを目的として、多孔性シリカ薄膜に変換することが好ましい。
シリカ/有機ポリマー複合体薄膜から絶縁性の多孔性シリカ薄膜へは、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜からポリマーを除去することによって行う。この時に、シリカ前駆体のゲル化反応が十分に進行していれば、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜中の有機ポリマーが占有していた領域が、多孔性シリカ薄膜中の空孔としてつぶれずに残る。その結果、空隙率が高く、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜を得ることができる。
【0090】
有機ポリマーを除去する方法としては、加熱、プラズマ処理、溶媒抽出などが挙げられるが、現行の半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能であるという観点からは、加熱がもっとも好ましい。この場合、加熱温度は用いる有機ポリマーの種類に依存し、薄膜状態下で単に蒸散除去されるもの、有機ポリマーの分解を伴って焼成除去されるもの、およびその混合した場合があるが、通常の加熱温度は300〜450℃未満、好ましくは350〜400℃の範囲である。300℃よりも低いと有機ポリマーの除去が不充分で、有機物の不純物が残るため、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜が得られない危険がある。また汚染ガス発生量も多い。逆に450℃よりも高い温度で処理することは、有機ポリマーの除去の点では好ましいが、半導体製造プロセスで用いるのは極めて困難である。
【0091】
加熱時間は10秒〜24時間の範囲で行うことが好ましい。好ましくは10秒〜5時間、特に好ましくは1分〜2時間である。10秒より短いと有機ポリマーの蒸散や分解が十分進行しないので、得られる多孔性シリカ薄膜に不純物として有機物が残存し、誘電率が低くならない。また通常熱分解や蒸散は24時間以内に終了するので、これ以上長時間の加熱はあまり意味をなさない。加熱は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下で行うのが好ましい。空気または酸素ガスを混入させたりといった酸化性雰囲気下で行うことも可能であるが、この場合には該酸化性ガスの濃度を、シリカ前駆体がゲル化する前に有機ポリマーが実質的に分解しないような濃度に制御することが好ましい。また雰囲気中にアンモニア、水素などを存在させ、シリカ中に残存しているシラノール基を失活させることによって多孔性シリカ薄膜の吸湿性を低減させ、誘電率の上昇を抑制することもできる。
【0092】
以上の加熱条件下で本発明の有機ポリマーを除去した後の多孔性シリカ薄膜中の残渣ポリマー量は著しく低減されるので、先述したような有機ポリマーの分解ガスによる上層膜の接着力の低下や剥離などの現象がおこらない。尚、本発明の塗布組成物中の有機ポリマーがポリエーテルブロックコポリマーとシリカ前駆体に対して化学的に不活性な末端基を有するポリマーとを包含することで、さらにその効果が顕著になる。
本発明はシリカ/有機ポリマー複合体薄膜を形成する工程を経た後ポリマーを除去する工程を上記条件下で行うものであれば、その工程の前後に任意の温度や雰囲気による工程を経ても問題はない。
本発明において加熱は、半導体素子製造プロセス中で通常使用される枚葉型縦型炉あるいはホットプレート型の焼成システムを使用することができる。もちろん、本発明の製造工程を満足すれば、これらに限定されるものではない。
【0093】
以上、本発明の多孔性シリカ薄膜を用いることにより、機械強度が高く、かつ誘電率が充分に低いLSI用の多層配線用絶縁膜が成膜できる。本発明の多孔性シリカ薄膜の比誘電率は、通常2.8〜1.2、好ましくは2.3〜1.2、さらに好ましくは2.3〜1.6である。この比誘電率は本発明の塗布組成物中の(B)成分の組成および含有量により調節することができる。また、本発明の多孔性薄膜中には、BJH法による細孔分布測定において、20nm以上の空孔は実質上認められず、層間絶縁膜として好適である。通常10nm以上の孔は存在しない。
本発明により得られる多孔性シリカ薄膜は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば反射防止膜や光導波路のような光学的膜や触媒担体はじめ断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨剤、歯磨剤などとして使用することも可能である。
【0094】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例および比較例をもって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
多孔性シリカ薄膜製造用の塗布組成物および薄膜の評価は下記の方法により行った。
(1)シリカ組成比
本発明では塗布組成物中に含まれる官能性基数の異なるアルコキシシラン等に由来する珪素原子を各々29Si−NMRによるシグナルの面積から算出した数値で表し、それらを対比することで塗布組成物中に含まれるアルコキシシラン等の組成比としている。また、その塗布組成物を用いて製造される絶縁性薄膜中のアルコキシシラン等から得られるシリカの組成比も同様の測定方法で得ている。
【0095】
一例として、アルコキシシランとしてテトラエトキシシラン(TEOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDES)及びビス(トリエトキシシリル)エタン(BSE)を用いた場合の薄膜中のDMDES起因のSi原子のモル%(シリカ組成比)の算出法を説明する。
装置:JEOL−ラムダ400
測定モード:NNE
試料管:外径10mm、内径3mm
(塗布組成物、薄膜ともD化エタノール、TMSを少量添加)
積算回数:1300回
PD(パルスディレー) 250秒
BF(ブロードニングファクター) 30Hz
【0096】
以上の測定装置および測定条件から得られた数値を用いて以下に示す計算式より算出する。
Figure 2004018608
(式中、T0、D0及びB0はそれぞれ上記の装置で原料のTEOS、DMDES及びBSE中のエトキシ基が少なくとも一部加水分解されて水酸基となった化合物に帰属されるシグナル積分強度を表し、T1、D1及びB1はTEOS、DMDES及びBSE中の各Siの一箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成される基に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T2、D2及びB2はTEOS、DMDES、及びBSE中の各Siの二箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成される基に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T3及びB3はTEOS及びBSE中のSiの三箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成される基に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T4はTEOS中のSiの四箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成される基に帰属されるシグナルの積分強度を表す)。
【0097】
(2)比誘電率
ソリッドステートメジャーメント社製、SSM495型自動水銀CV測定装置を用いて測定した。
(3)比誘電率の安定性
本発明の多孔性シリカ薄膜を23℃で相対湿度が60%の雰囲気下に1週間放置した
放置前後の薄膜の比誘電率の変化割合が10%未満の場合は○、10%以上の場合を×と評価した。
(4)膜厚測定
理学電機製、RINT 2500 を用いて測定した。測定条件は、発散スリット:1/6 °、散乱スリット:1/6 °、受光スリット:0.15mmで検出器(シンチレーションカウンタ)の前にグラファイトモノクロメータをセットした。管電圧と管電流は、それぞれ40kVと50mAで測定したが、必要に応じて変えることができる。また、ゴニオメータの走査法は2 θ/ θ走査法で、走査ステップは0.02°とした。
【0098】
(5)ヤングモジュラス
MTS Systems Corporation社製、ナノインデンター DCMで測定した。測定方法は、バーコビッチ型のダイヤモンド製圧子を試料に押し込み、一定荷重に達するまで負荷したのちそれを除き、変位をモニターすることにより荷重―変位曲線を求めた。表面はコンタクトスティフネスが200N/mになる条件で認識した。硬度の算出は、以下の式による。
H=P/A
ここで、Pは印加した荷重であり、接触面積Aは接触深さhc の関数で次式により、実験的に求めた。
A=24.56hc  2 
この接触深さは圧子の変位hと次の関係にある。
hc =h−εP/S
ここでεは0.75、Sは除荷曲線の初期勾配である。
ヤングモジュラスの算出はスネドンの式によって求めた。
Er=( √π・S) / 2 √A
ここで、複合弾性率Er は次式で表される。
Er =[( 1−νs)/Es + (1−νi)/Ei ] −1
ここで、νはポアソン比、添字Sはサンプル、iは圧子を表す。本発明ではνi =0.07、Ei =1141GPa、また本材料のポアッソン比は未知であるがνs =0.18としてサンプルのヤングモジュラスEs を算出した。尚、本発明におけるヤングモジュラスは、0.8μ〜1.2μmの膜厚で測定した。
【0099】
【実施例1】
テトラエトキシシラン12.5g、ビス(トリエトキシシリル)エタン12.8g、メチルトリエトキシシラン9.6g、エタノール57.1g、水40.8g、ポリエチレングリコール−ポリ(α―ブチレン)グリコール−ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量2000、ポリ(α―ブチレン)グリコール部分の数平均分子量は1000)4.8g、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量600)1.2g、0.9%しゅう酸水溶液0.06gを混合し、50℃にて6時間攪拌し反応させた。該一次反応溶液を、50℃、50mmHgにて溶媒を留去し、39.8gまで濃縮した。得られた濃縮液に水20g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gを加え、塗布原液を得た。33gの該塗布原液を取り、水6.7g、エタノール0.22g、プロピレングリコールモノメチルエーテル7.0g、0.2%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液0.48g、10%酢酸水溶液0.48gを加え、本発明の塗布溶液を得た。該溶液中の3官能性アルコキシシラン由来のSi原子は30モル%であった。また、該溶液中ポリエーテルブロックコポリマーが全有機ポリマーに対して80重量%であった。当溶液を6インチシリコンウェハ上に3ml滴下し、1400rpmにて60秒間回転塗布した。その後空気中120℃にて1分間、窒素雰囲気下200℃にて1時間、続いて窒素雰囲気下400℃にて1時間加熱焼成して、膜厚が1.03μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.38で、その安定性は○、ヤングモジュラスは8.26GPaであった。
【0100】
【実施例2】
テトラエトキシシラン8.3g、メチルトリエトキシシラン12.8gで置き換えた以外には実施例1と同一の操作を行い、本発明の塗布溶液を得、該溶液中の3官能性アルコキシシラン由来のSi原子は40モル%であった。膜厚が1.05μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.31で、その安定性は○、ヤングモジュラスは6.71GPaであった。
【0101】
【実施例3】
ポリエチレングリコール−ポリ(α−ブチレン)グリコール−ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量2000、ポリ(α−ブチレン)グリコール部分の数平均分子量は1000)7.2gで置き換えた以外に実施例2と同一の操作を行った。膜厚が1.01μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.01で、その安定性は○、ヤングモジュラスは4.33GPaであった。
【0102】
【比較例1】
実施例1において、ポリエチレングリコール−ポリ(α−ブチレン)グリコール−ポリエチレングリコールジメチルエーテルを使用せずに、ポリエチレングリコールジメチルエーテル7.2g(ポリエーテルブロックコポリマーが全有機ポリマーに対して0重量%)を用いた以外には実施例2と同一の操作を行い、膜厚が1.03μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.35、ヤングモジュラスは3.97GPaであり、実施例1および2と比較して比誘電率は同程度であるが、機械強度は低いという結果であった。
【0103】
【比較例2】
実施例3に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量6400)7.2gで置き換えた以外に実施例3と同一操作を行い、膜厚が1.07μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.21、ヤングモジュラスは4.58GPaであり、実施例3と比較してモジュラスは同程度であるにもかかわらず、比誘電率は相対的に低いという結果であった。
【0104】
【表1】
Figure 2004018608
【0105】
【発明の効果】
本発明による多孔性シリカ薄膜は、比誘電率が十分に低く安定で、半導体素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分に耐えることができるので、LSI多層配線用基板や半導体素子の絶縁膜用として最適である。

Claims (5)

  1. (A)下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される1〜6官能性のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有するシリカ前駆体であって、アルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子の合計に対する1〜3官能性のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子の合計の割合が5mol%〜80mol%であるシリカ前駆体と、
    1  n (Si)(OR2 4−n        (1)
    (式中、R1 、R2 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素または1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である)
    3  m (R4 O)3−m Si−(R7 p −Si(OR5 3−q 6  q   (2)
    (R3 ,R4 ,R5 およびR6 は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素または1価の有機基を示し、mおよびqは、同一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7 は酸素原子または(CH2 r で表される基を示し、rは1〜6を、pは0または1を示す。)
    (B)一般式;(R8 O)x −(R10O)y −(R9 O)z 
    (式中、R8 ,R9 およびR10は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、xは2〜200、yは2〜100、zは0〜200の整数を示す)
    で表され、かつ3元ブロックコポリマーであるポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)を除く2元または3元の脂肪族エーテルブロックコポリマーが全有機ポリマーに対して10重量%以上含まれる有機ポリマーと、
    (C)アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種の有機溶媒と、
    を含有することを特徴とする絶縁性薄膜製造用塗布組成物。
  2. 有機ポリマーの末端基の少なくとも一つがシリカ前駆体に対して化学的に不活性な基であることを特徴とする請求項1記載の絶縁性薄膜製造用塗布組成物。
  3. 請求項1または2に記載の塗布組成物を基板上に塗布した後に、シリカ前駆体をゲル化することにより得られるシリカ/有機ポリマー複合薄膜から有機ポリマーが除去してなることを特徴とする多孔性のシリカからなる絶縁性薄膜。
  4. 請求項3記載の絶縁性薄膜を絶縁物として用いることを特徴とする配線構造体。
  5. 請求項4記載の配線構造体を包含してなる半導体素子。
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