JP2003089769A - 絶縁薄膜製造用の塗布組成物 - Google Patents

絶縁薄膜製造用の塗布組成物

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JP2003089769A
JP2003089769A JP2001283539A JP2001283539A JP2003089769A JP 2003089769 A JP2003089769 A JP 2003089769A JP 2001283539 A JP2001283539 A JP 2001283539A JP 2001283539 A JP2001283539 A JP 2001283539A JP 2003089769 A JP2003089769 A JP 2003089769A
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博之 花畑
Takaaki Ioka
崇明 井岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性シリカ薄膜の比誘電率が低く、半導体
素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐える機械
的強度を有し、かつビア形成時のガス発生の少ない多孔
性シリカ薄膜を提供する。 【解決手段】 4〜6官能基性のアルコキシシランに由
来する珪素原子に対して特定量の1〜3官能性のアルコ
キシシランに由来する珪素原子を含有するシリカ前駆体
と、ポリエーテルブロックコポリマーを含む特定の有機
ポリマーと、酸触媒および溶媒とを含有することを特徴
とする絶縁薄膜製造用の塗布組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の比誘電率が
十分に低く、かつ機械的強度が極めて高い絶縁性薄膜を
提供することが可能な塗布組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性のシリカは軽量、耐熱性などの優
れた特性を有するために、構造材料、触媒担体、光学材
料などに幅広く用いられている。例えば近年、多孔性の
シリカは誘電率を低くできる、という点から期待を集め
ている。LSIをはじめとする半導体素子の多層配線構
造体用の絶縁薄膜素材としては、従来緻密なシリカ膜が
一般的に用いられてきた。しかし近年、LSIの配線密
度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上
の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶
縁体の誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その
結果配線を通じて伝達される電気信号の遅延が顕著とな
るため、問題となっている。このような問題を解決する
ため、多層配線構造体用の絶縁膜の素材として、誘電率
のより低い物質が強く求められている。一方、配線材料
として、従来のアルミニウムに代わって、より低抵抗な
銅が使われ始めていることも誘電率のより低い物質が求
められる理由となっている。
【0003】特開平5−85762号公報や国際公開
(WO)第99/03926号パンフレットには一般的
なアルコキシシランと有機ポリマーの混合系から、誘電
率が極めて低く、均一細孔および細孔分布を持った多孔
性のシリカを得ようとする方法が開示されている。また
特開平4−285081号公報には、アルコキシシラン
のゾル-ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させて行
い、均一な孔径を有する多孔性のシリカを得ようとする
方法が開示されている。
【0004】さらに、特開2001−49184号公報
には2官能性、3官能性、4官能性のアルコキシシラン
の仕込み量を分子内に2個の珪素原子を有する4,5,
6官能性のアルコキシシランの仕込み量より多くし、有
機ポリマーにブロックコポリマーを用いることで、誘電
率特性、吸水性に優れ、かつ空隙サイズが小さい低密度
膜を形成する方法が開示されている。しかしながら、い
ずれの方法でも比誘電率が十分に低くかつ経時的に安定
であり、かつCMP工程に耐えるような、十分な機械的
強度を有する多孔性シリカは得られていない状況にあ
る。尚、本発明においてCMP工程とは、エッチング加
工により形成された絶縁薄膜中の溝に配線となる銅を埋
め込む場合に、絶縁薄膜上の余分の銅を表面を研磨して
平坦化する工程のことである。この工程では、絶縁薄膜
のみならず、該薄膜上のバリヤー薄膜(通常は絶縁薄膜
上に数百〜数千Åの酸化ケイ素を堆積させる)の両方
に、圧縮応力とシェア応力とがかかるため、絶縁薄膜に
は機械的強度が必要とされる。
【0005】さらに、一般にこれらのシリカ/有機ポリ
マー複合体から有機ポリマーを加熱により除去しようと
する場合、450℃以上の加熱温度が必要であることが
半導体素子製造プロセス上の大きな制約になっていた。
例えば、半導体素子製造プロセスにおいて金属配線の酸
化および結晶成長、熱ストレス等を考慮すると、加熱温
度の上限は400℃付近、かつ非酸化性の雰囲気が推奨
されている。しかし、この加熱条件では、上記のシリカ
/有機ポリマー複合体は大部分の有機ポリマーが残存、
またはチャー化してしまい、たとえば多層配線構造を作
成する場合、下層中に残存した有機ポリマー由来のガス
が下層から発生し上層の接着力低下や剥離を引き起こす
可能性がある。
【0006】これを解決するため熱的に分解しやすい有
機ポリマーを使用するという手段も検討されてはいる
が、熱的に有機ポリマーが鋭敏すぎて、取り扱いが著し
く危険であったり、ゾルゲル反応触媒によって分子量が
低下して成膜性が劣化したり、またシリカ前駆体との相
溶性が悪いために、塗布溶液中で沈殿を生じたり、成膜
時に分解/揮発して膜が緻密化するなどの問題が生じ、
多孔性シリカの作成は困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するものであって、多孔性の絶縁性シリカ薄膜の比
誘電率が低くて安定で、かつ機械的強度が高く、半導体
素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐え、さら
にビア工程における分解ガスの発生の少ない、多孔性の
絶縁性シリカ薄膜製造用の塗布組成物を提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決すべ
く、鋭意検討を重ねた結果、1〜3官能性のアルコキシ
シランの仕込み量を4〜6官能性のアルコキシシランの
仕込み量より少なくしたシリカ前駆体と、ブロックコポ
リマーを含む有機ポリマーおよび酸触媒とを含有する絶
縁性薄膜製造用塗布組成物が上記課題を解決することを
見出し、本発明を完成した。さらに、本発明では、吸湿
性の改善も達成し、比誘電率が著しく低い効果も有す
る。
【0009】本発明の上記およびその他の諸目的、諸特
性ならびに諸利益は、以下に述べる詳細な説明および請
求範囲の記載から明らかになる。即ち本発明は、 1、(A) 下記一般式(1)および/または一般式
(2)で表されるアルコキシシランおよびその加水分解
物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物
を含有するシリカ前駆体であって、一般式(1)および
/または一般式(2)で表されるアルコキシシランのう
ち1,2,3官能性のアルコキシシランおよびその加水
分解物、重縮合物に由来する珪素原子と、一般式(1)
および/または一般式(2)で表されるアルコキシシラ
ンのうち4,5,6官能性のアルコキシシランおよびそ
の加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子との合計に
対する一般式(1)および/または一般式(2)で表さ
れるアルコキシシランのうち1,2,3官能性のアルコ
キシシランおよびその加水分解物、重縮合物に由来する
珪素原子の割合が1〜50mol%であるシリカ前駆体
と、 R1 n(Si)(OR24-n (1) (式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それ
ぞれ1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である) R3 m(R4O)3-mSi-(R7p-Si(OR53-q6 q (2) (R3,R4,R5およびR6は、同一でも異なっていても
よく、それぞれ1価の有機基を示し、mおよびqは、同
一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7
酸素原子-または(CH2)r-で表される基を示し、r
は1〜6を、pは0または1を示す。) (B)直鎖状または分岐状の2元以上のポリエーテルブ
ロックコポリマーを少なくとも含有する有機ポリマー
と、(C)アルコール系、ケトン系溶媒、アミド系溶媒
およびエステル系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種
の有機溶媒と、を含有することを特徴とする包含する絶
縁薄膜製造用の塗布組成物。 2、1記載の有機ポリマーが、直鎖状または分岐状の2
元以上のブロックコポリマーと有機ポリマー末端基の少
なくとも一つの末端基がシリカ前駆体に対して化学的に
不活性な基を有する有機ポリマーとを含有することを特
徴とする1記載の塗布組成物。 3、1記載の有機ポリマーが少なくとも1重量%以上の
直鎖状または分岐状の2元以上のブロックコポリマーを
包含することを特徴とする1ないし2記載の塗布組成
物。 4、該塗布組成物が少なくとも一種類の酸を含有するこ
とを特徴とする1〜3のいずれかに記載の塗布組成物。 5、1〜4のいずれかに記載の塗布組成物を基板上に塗
布した後に、シリカ前駆体をゲル化することにより得ら
れるシリカ/有機ポリマー複合薄膜から有機ポリマーが
除去された多孔性シリカ薄膜。 6、5記載の薄膜を絶縁物として用いることを特徴とす
る配線構造体。 7、6記載の配線構造体を包含してなる半導体素子。
【0010】尚、本発明でいう多孔性のシリカとは下記
の式(3)で表されたものを主成分とした多孔質のもの
であることを特徴としている。 RxySiOz (3) (Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐上および環状のアル
キル基、アリール基を表し、0≦x<2、0≦y<2、
0≦(x+y)<2、1<z≦2である)。また、本発
明において先記した一般式(1)で表されるアルコキシ
シランにおいて、Si(OR24を4官能性のアルコキ
シシランと言い、一般式(1)でnが1の場合、即ちR
1(Si)(OR23を3官能性のアルコキシシラン、
nが2の場合、即ち R1 2(Si)(OR22を2官能
性のアルコキシシラン、nが3の場合、即ちR1 3(S
i)(OR2)を1官能性のアルコキシシランとする。
【0011】さらに、一般式(2)で表されるアルコキ
シシランにおいて、たとえばm=q=1でR3(R4O)
2Si-(R7p-Si(OR526の化合物を4官能性
のアルコキシシラン、m=0、q=1またはm=1、q
=0で、(R4O)3Si-(R7p-Si(OR526
の化合物を5官能性のアルコキシシラン、m=q=0で
(R4O)3Si-(R7p-Si(OR53の化合物を6
官能性のアルコキシシランとし、一般式(2)でm=q
=2、すなわちR3 2(R4O)Si-(R7p-Si(O
5)R6 2を2官能性のアルコキシシラン、m=2、q=
1またはm=1、q=2で、R3 2(R4O)Si-
(R7p-Si(OR526 の化合物を3官能性のア
ルコキシシランとする。そしてアルコキシシランが加水
分解、重縮合してその縮合率が90%を越えるものを本
発明ではシリカという。
【0012】以下に本発明に用いる絶縁薄膜製造用塗布
組成物(以下、塗布組成物と称する)について説明す
る。本発明に用いる塗布組成物は、アルコキシシランお
よびその加水分解物、重縮合物のうちいずれか1種以上
を含有するシリカ前駆体と、有機ポリマーおよび溶媒と
を主成分とする。
【0013】先ず本発明において用いるシリカ前駆体
(A)について説明する。本発明において用いることが
できるシリカ前駆体に含まれる一般式(1)で表される
アルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物はそ
の出発原料であるアルコキシシランが4、3、2および
1官能性のものである。アルコキシシランおよびその加
水分解物、重縮合物を以下、アルコキシシラン等と称す
る。一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち4
官能性のアルコキシシランの具体的な例として、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−
プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラ
ン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ-sec-ブ
トキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-
プロポキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシラン、
テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシ
ラン、テトラ-tert-ブトキシシランなどが挙げられ
る。
【0014】一般式(1)で表されるアルコキシシラン
のうち3官能性のアルコキシシランの具体的な例として
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピ
ルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、
イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ア
リルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-プロポキシシ
ラン、メチルトリ-iso-プロポキシシラン、メチルト
リ-n-ブトキシシラン、メチルトリ-sec-ブトキシシ
ラン、メチルトリ-tert-ブトキシシラン、エチルト
リ-n-プロポキシシラン、エチルトリ-iso-プロポキ
シシラン、エチルトリ-n-ブトキシシラン、エチルトリ
-sec-ブトキシシラン、エチルトリ-tert-ブトキ
シシラン、n-プロピルトリ-n-プロポキシシラン、n-
プロピルトリ-iso-プロポキシシラン、n-プロピル
トリ-n-ブトキシシラン、n-プロピルトリ-sec-ブ
トキシシラン、n-プロピルトリ-tert-ブトキシシ
ラン、i-プロピルトリメトキシシラン、i-プロピルト
リエトキシシラン、i-プロピルトリ-n-プロポキシシ
ラン、i-プロピルトリ-iso-プロポキシシラン、i-
プロピルトリ-n-ブトキシシラン、i-プロピルトリ-s
ec-ブトキシシラン、i-プロピルトリ-tert-ブト
キシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチル
トリエトキシシラン、n-ブチルトリ-n-プロポキシシ
ラン、n-ブチルトリ-iso-プロポキシシラン、n-ブ
チルトリ-n-ブトキシシラン、n-ブチルトリ-sec-
ブトキシシラン、n-ブチルトリ-tert-ブトキシシ
ラン、n-ブチルトリフェノキシシラン、sec-ブチル
トリメトキシシラン、sec-ブチル-トリ-n-プロポキ
シシラン、sec-ブチル-トリ-iso-プロポキシシラ
ン、sec-ブチル-トリ-n-ブトキシシラン、sec-
ブチル-トリ-sec-ブトキシシラン、sec-ブチル-
トリ-tert-ブトキシシラン、t-ブチルトリメトキ
シシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルト
リ-n-プロポキシシラン、t-ブチルトリ-iso-プロ
ポキシシラン、t-ブチルトリ-n-ブトキシシラン、t-
ブチルトリ-sec-ブトキシシラン、t-ブチルトリ-t
ert-ブトキシシラン、フェニルトリ-n-プロポキシ
シラン、フェニルトリ-iso-プロポキシシラン、フェ
ニルトリ-n-ブトキシシラン、フェニルトリ-sec-ブ
トキシシラン、フェニルトリ-tert-ブトキシシラン
などが挙げられる。
【0015】アルコキシシラン類の部分加水分解物を原
料としてもよい。これら4官能性および3官能性のアル
コキシシランの中でも特に好ましいのがテトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、
トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシランである。
【0016】一般式(1)で表される2官能性のアルコ
キシシランの具体的な例として、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ(n−プ
ロポキシ)シラン、ジメチルジ(i−プロポキシ)シラ
ン、ジメチルジ(n−ブトキシ)シラン、ジメチルジ
(sec-ブトキシ)シラン、ジメチルジ(tert-ブ
トキシシラン)、ジエチルジメトキシシラン、ジエチル
ジエトキシシラン、ジエチルジ(n−プロポキシ)シラ
ン、ジエチルジ(i−プロポキシ)シラン、ジエチルジ
(n−ブトキシ)シラン、ジエチルジ(sec-ブトキ
シ)シラン、ジエチルジ(tert-ブトキシシラ
ン)、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエト
キシシラン、ジフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、
ジフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、ジフェニルジ
(n−ブトキシ)シラン、ジフェニルジ(sec-ブト
キシ)シラン、ジフェニルジ(tert-ブトキシシラ
ン)、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジ
エトキシシラン、メチルエチルジ(n−プロポキシ)シ
ラン、メチルエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチ
ルエチルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルエチルジ
(sec-ブトキシ)シラン、メチルエチルジ(ter
t-ブトキシシラン)、メチルプロピルジメトキシシラ
ン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピジ
(n−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジ(i−プ
ロポキシ)シラン、メチルプロピルジ(n−ブトキシ)
シラン、メチルプロピルジ(sec-ブトキシ)シラ
ン、メチルプロピルジ(tert-ブトキシシラン)、
メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエ
トキシシラン、メチルフェニルジ(n−プロポキシ)シ
ラン、メチルフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、メ
チルフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルフェニ
ルジ(sec-ブトキシ)シラン、メチルフェイルジ
(tert-ブトキシシラン)、エチルフェニルジメト
キシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、エチル
フェニルジ(n−プロポキシ)シラン、エチルフェニル
ジ(i−プロポキシ)シラン、エチルフェニルジ(n−
ブトキシ)シラン、エチルフェニルジ(sec-ブトキ
シ)シラン、エチルフェニルジ(tert-ブトキシシ
ラン)、などのケイ素原子上に2個のアルキル基または
アリール基が結合したアルキルシランなどがあげられ
る。
【0017】また、メチルビニルジメトキシシラン、メ
チルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジ(n−プ
ロポキシ)シラン、メチルビニルジ(i−プロポキシ)
シラン、メチルビニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチ
ルビニルジ(sec-ブトキシ)シラン、メチルビニル
ジ(tert-ブトキシシラン)、ジビニルジメトキシ
シラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ(n−
プロポキシ)シラン、ジビニルジ(i−プロポキシ)シ
ラン、ジビニルジ(n−ブトキシ)シラン、ジビニルジ
(sec-ブトキシ)シラン、ジビニルジ(tert-ブ
トキシシラン)、などケイ素原子上に1ないし2個のビ
ニル基が結合したアルキルシランなども好適である。
【0018】一般式(1)で表される1官能性のアルコ
キシシランの具体例として、トリメチルメトキシシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(n−プロ
ポキシ)シラン、トリメチル(i−プロポキシ)シラ
ン、トリメチル(n−ブトキシ)シラン、トリメチル
(sec-ブトキシ)シラン、トリメチル(tert-ブ
トキシシラン)、トリエチルメトキシシラン、トリエチ
ルエトキシシラン、トリエチル(n−プロポキシ)シラ
ン、トリエチル(i−プロポキシ)シラン、トリエチル
(n−ブトキシ)シラン、トリエチル(sec-ブトキ
シ)シラン、トリエチル(tert-ブトキシシラ
ン)、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエト
キシシラン、トリプロピル(n−プロポキシ)シラン、
トリプロピル(i−プロポキシ)シラン、トリプロピル
(n−ブトキシ)シラン、トリプロピル(sec-ブト
キシ)シラン、トリプロピル(tert-ブトキシシラ
ン)、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエト
キシシラン、トリフェニル(n−プロポキシ)シラン、
トリフェニル(i−プロポキシ)シラン、トリフェニル
(n−ブトキシ)シラン、トリフェニル(sec-ブト
キシ)シラン、トリフェニル(tert-ブトキシシラ
ン)、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチル
エトキシシラン、メチルジエチル(n−プロポキシ)シ
ラン、メチルジエチル(i−プロポキシ)シラン、メチ
ルジエチル(n−ブトキシ)シラン、メチルジエチル
(sec-ブトキシ)シラン、メチルジエチル(ter
t-ブトキシシラン)、メチルジプロピルメトキシシラ
ン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピ
ル(n−プロポキシ)シラン、メチルジプロピル(i−
プロポキシ)シラン、メチルジプロピル(n−ブトキ
シ)シラン、メチルジプロピル(sec-ブトキシ)シ
ラン、メチルジプロピル(tert-ブトキシシラ
ン)、メチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェ
ニルエトキシシラン、メチルジフェニル(n−プロポキ
シ)シラン、メチルジフェニル(i−プロポキシ)シラ
ン、メチルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、メチル
ジフェニル(sec-ブトキシ)シラン、メチルジフェ
ニル(tert-ブトキシシラン)、エチルジメチルメ
トキシシラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチル
ジメチル(n−プロポキシ)シラン、エチルジメチル
(i−プロポキシ)シラン、エチルジメチル(n−ブト
キシ)シラン、エチルジメチル(sec-ブトキシ)シ
ラン、エチルジメチル(tert-ブトキシシラン)、
エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエ
トキシシラン、エチルジプロピル(n−プロポキシ)シ
ラン、エチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、エ
チルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、エチルジプロ
ピル(sec-ブトキシ)シラン、エチルジプロピル
(tert-ブトキシシラン)、エチルジフェニルメト
キシシラン、エチルジフェニルエトキシシラン、エチル
ジフェニル(n−プロポキシ)シラン、エチルジフェニ
ル(i−プロポキシ)シラン、エチルジフェニル(n−
ブトキシ)シラン、エチルジフェニル(sec-ブトキ
シ)シラン、エチルジフェニル(tert-ブトキシシ
ラン)、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジ
メチルエトキシシラン、プロピルジメチル(n−プロポ
キシ)シラン、プロピルジメチル(i−プロポキシ)シ
ラン、プロピルジメチル(n−ブトキシ)シラン、プロ
ピルジメチル(sec-ブトキシ)シラン、プロピルジ
メチル(tert-ブトキシシラン)、プロピルジエチ
ルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、
プロピルジエチル(n−プロポキシ)シラン、プロピル
ジエチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジエチル
(n−ブトキシ)シラン、プロピルジエチル(sec-
ブトキシ)シラン、プロピルジエチル(tert-ブト
キシシラン)、プロピルジフェニルメトキシシラン、プ
ロピルジフェニルエトキシシラン、プロピルジフェニル
(n−プロポキシ)シラン、プロピルジフェニル(i−
プロポキシ)シラン、プロピルジフェニル(n−ブトキ
シ)シラン、プロピルジフェニル(sec-ブトキシ)
シラン、プロピルジフェニル(tert-ブトキシシラ
ン)フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチ
ルエトキシシラン、フェニルジメチル(n−プロポキ
シ)シラン、フェニルジメチル(i−プロポキシ)シラ
ン、フェニルジメチル(n−ブトキシ)シラン、フェニ
ルジメチル(sec-ブトキシ)シラン、フェニルジメ
チル(tert-ブトキシシラン)、フェニルジエチル
メトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、フ
ェニルジエチル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジ
エチル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジエチル
(n−ブトキシ)シラン、フェニルジエチル(sec-
ブトキシ)シラン、フェニルジエチル(tert-ブト
キシシラン)、フェニルジプロピルメトキシシラン、フ
ェニルジプロピルエトキシシラン、フェニルジプロピル
(n−プロポキシ)シラン、フェニルジプロピル(i−
プロポキシ)シラン、フェニルジプロピル(n−ブトキ
シ)シラン、フェニルジプロピル(sec-ブトキシ)
シラン、フェニルジプロピル(tert-ブトキシシラ
ン)などが挙げられる。
【0019】また、ケイ素原子上に1〜3個のビニル基
が結合したアルキルシランなども好適である。具体的に
は、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシ
ラン、トリビニル(n−プロポキシ)シラン、トリビニ
ル(i−プロポキシ)シラン、トリビニル(n−ブトキ
シ)シラン、トリビニル(sec-ブトキシ)シラン、
トリビニル(tert-ブトキシシラン)、ビニルジメ
チルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、
ビニルジメチル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジメ
チル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル(n−
ブトキシ)シラン、ビニルジメチル(sec-ブトキ
シ)シラン、ビニルジメチル(tert-ブトキシシラ
ン)、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチル
エトキシシラン、ビニルジエチル(n−プロポキシ)シ
ラン、ビニルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビニ
ルジエチル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジエチル
(sec-ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(ter
t-ブトキシシラン)、ビニルジプロピルメトキシシラ
ン、ビニルジプロピルエトキシシラン、ビニルジプロピ
ル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(i−
プロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(n−ブトキ
シ)シラン、ビニルジプロピル(sec-ブトキシ)シ
ラン、ビニルジプロピル(tert-ブトキシシラン)
などが挙げられる。
【0020】本発明の1官能性および2官能性のアルコ
キシシランとして、先述したようなアルコキシシランが
用いられるが、その中でより好ましいのが、トリメチル
メトキシシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエ
チルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ
プロピルメトキシシラン、トリプロピルメトキシシラ
ン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルメトキ
シシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメ
チルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラ
ン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチ
ルエトキシシランなどのアルキルシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル
エチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシ
ラン、エチルフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジ
メトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル
エチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシ
ラン、エチルフェニルジメトキシシランなどのが挙げら
れる。
【0021】また、メチルジメトキシシラン、メチルジ
エトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエ
トキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルジ
エトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニル
ジエトキシシランなどのケイ素原子に直接水素原子が結
合したものも用いることもできる。次に本発明において
用いることができる一般式(2)で表されるアルコキシ
シラン等は、その出発原料であるアルコキシシランが
6、5、4、3および2官能性のものである。
【0022】一般式(2)で表されるアルコキシシラン
のうち、R7が-(CH2)n-の化合物で6、4および2
官能性のアルコキシシランの具体例として、6官能性の
アルコキシランの例としてビス(トリメトキシシリル)
メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(ト
リフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリ
ル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス
(トリフェノキシシリル)エタン、1,3-ビス(トリ
メトキシシリル)プロパン、 1,3-ビス(トリエトキ
シシリル)プロパン、1, 3-ビス(トリフェノキシシ
リル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)
ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼ
ン。
【0023】4官能性のアルコキシシランの例としてビ
ス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキ
シメチルシリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシ
リル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタ
ン、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジ
エトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシフェ
ニルシリル)エタン、ビス(ジエトキシフェニルシリ
ル)エタン、1,3 -ビス(ジメトキシメチルシリル)
プロパン、1,3- ビス(ジエトキシメチルシリル)プ
ロパン、1,3-ビ ス(ジメトキシフェニルシリル)プ
ロパン、1,3-ビ ス(ジエトキシフェニルシリル)プ
ロパンなどが挙げられる。
【0024】2官能性のアルコキシシランの具体例とし
て、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エ
トキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェ
ニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリ
ル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、
ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキ
シジフェニルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニ
ルシリル)エタン、1,3-ビス(メトキシジメチルシ
リル)プロパン、1,3-ビス (エトキシジメチルシリ
ル)プロパン、1,3-ビス (メトキシジフェニルシリ
ル)プロパン、1,3-ビス (エトキシジフェニルシリ
ル)プロパンなどが挙げられる。
【0025】一般式(2)でR7が酸素原子の化合物と
しては、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシ
ジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,
1,1,3,3-ペンタメトキシ-3-メチルジシロキサ
ン、1,1,1,3,3-ペンタエトキシ-3-メチルジ
シロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメトキシ- 3-
フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタエ
トキシ-3-フェニルジシロキサン、1,1,3, 3-テ
トラメトキシ-1,3-ジメチルジシロキサン、 1,
1,3,3-テトラエトキシ-1,3-ジメチルジ シロキ
サン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3 -ジフェ
ニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラエトキシ-
1,3-ジフェニルジシロキサン、1,1,3 -トリメ
トキシ-1,3,3-トリメチルジシロキサ ン、1,
1,3-トリエトキシ-1,3,3-トリメチルジシロキ
サン、1,1,3-トリメトキシ-1,3, 3-トリフェ
ニルジシロキサン、1,1,3-トリエト キシ-1,
3,3-トリフェニルジシロキサン、1,3 -ジメトキ
シ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキ サン、1,
3-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメ チルジシロキ
サン、1,3-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラフェ
ニルジシロキサン、1,3-ジエトキシ -1,1,3,
3-テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることがで
きる。2官能性の化合物としては、3 -ジメトキシ-
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジ
エトキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、
1,3-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラフェニルジ
シロキサン、1,3-ジエトキシ -1,1,3,3-テト
ラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。
【0026】一般式(2)で、pが0の化合物で6,
5,4、3および2官能性のアルコキシシランの具体例
として、6官能性のアルコキシシランの具体例としてヘ
キサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキ
サフェニキシジシラン、5官能性のアルコキシシランの
具体例として1,1,1,2,2-ペンタメトキシ-2-
メチルジシラン、1,1,1,2,2-ペンタエトキシ-
2-メチルジシラン、1,1,1,2,2-ペンタメトキ
シ-2-フェニルジシラン、1,1,1,2,2-ペンタ
エトキシ-2-フェニルジシラン、4官能性のアルコキシ
シランの具体例として1,1,2,2-テトラメ トキシ
-1,2-ジメチルジシラン、1,1,2,2-テトラエ
トキシ-1,2-ジメチルジシラン、1,1,2,2-テ
トラメトキシ-1,2-ジフェニルジシラン、1,1,
2,2-テトラエトキシ-1,2-ジフェニルジシラン、
3官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2
-トリメトキシ-1,2,2 -トリメチルジシラン、1,
1,2-トリエトキシ- 1,2,2-トリメチルジシラ
ン、1,1,2-トリメトキシ-1,2,2-トリフェニ
ルジシラン、1,1,2-トリエトキシ-1,2,2-ト
リフェニルジシラン、2官能性のアルコキシシランの具
体例として1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ
メチルジシラン、1,2-ジエトキシ-1,1,2,2-
テトラメチルジシラン、1,2-ジメトキシ-1,1,
2,2-テトラフェニルジシラン、1,2-ジエトキシ-
1,1,2,2-テトラフェニルジシランなどを挙げる
ことができる。
【0027】以上の一般式(2)で表されるアルコキシ
シランのうち5官能性および3官能性のアルコキシシラ
ンを用いることは好適である。本発明のシリカ前駆体に
は上記のアルコキシシランおよびその加水分解、重縮合
したものうち少なくともいずれか1種以上含んでいる。
加水分解物には部分加水分解物も含まれる。例えば、シ
リカ前駆体(A)に用いられる4官能性のアルコキシシ
ランの場合、4つのアルコキシのすべてが加水分解され
ている必要はなく、例えば1個だけが加水分解されてい
るもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは
これらの混合物が存在していてもかまわない。
【0028】また、本発明におけるシリカ前駆体(A)
に含有される重縮合物とは、シリカ前駆体(A)の加水
分解物のシラノール基が縮合してSi-O-Si結合を形
成したものであるが、シラノール基がすべて縮合してい
る必要はなく、一部のシラノール基が縮合したもの、縮
合の程度が異なっているものの混合物などを表す。
【0029】本発明の塗布組成物に含まれるシリカ前駆
体は上記一般式(1)、一般式(2)で表されるアルコ
キシシラン等のうち、4、5、6官能性のアルコキシシ
ラン等に由来する珪素原子と1、2、3官能性アルコキ
シシラン等に由来する珪素原子との合計に対して、1、
2、3官能性アルコキシシラン等に由来する珪素原子が
1〜50モル%包含されることが特徴である。好ましく
は5〜30モル%、より好ましくは10〜30モル%で
ある。1、2、3官能性アルコキシシランに由来する珪
素原子が1モル%未満では薄膜の比誘電率が下がらない
し、一方50モル%を超えると薄膜の機械強度が低下し
てしまうので好ましくない。
【0030】尚、本発明の1、2、3官能性のアルコキ
シシランとして、先述したようなアルコキシシランが用
いられるが、その中でより好ましいのが、トリメチルエ
トキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピ
ルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェ
ニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルエトキ
シシランなどのケイ素原子に直接3個のアルキル基また
はアリール基が結合したアルキルシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル
エチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシ
ラン、エチルフェニルジエトキシシランなどのケイ素原
子に直接2個のアルキル基またはアリール基が結合した
アルキルシラン、さらに、前述したケイ素原子に直接1
個のアルキル基またはアリール基が結合したアルコキシ
シランが挙げられる。
【0031】また、メチルジエトキシシラン、ジメチル
ビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン
などのケイ素原子に直接水素原子が結合したものも用い
ることもできる。さらに、ビス(エトキシジメチルシリ
ル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタ
ン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エ
トキシジフェニルシリル)エタン、1,3-ビス (エト
キシジメチルシリル)プロパン、1,3-ビス (エトキ
シジフェニルシリル)プロパン、3-ジエトキシ-1,
1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジエト
キシ -1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン、
1,2-ジエトキシ-1,1,2,2-テトラメチルジシ
ラン、1,2-ジエトキシ -1,1,2,2-テトラフェ
ニルジシランなどを好適に用いることができる。
【0032】これらの中で特に好ましいアルコキシシラ
ンとして、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエト
キシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニ
ルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、
ジフェニルメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエト
キシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフ
ェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシ
ランが挙げられる。
【0033】本発明では上記のようにシリカ前駆体を制
御することと、後述する特定の有機ポリマー、さらには
酸との組み合わせによって、比誘電率が著しく低く、モ
ジュラスが高く、かつ、分解ガス発生のすくない多孔性
シリカ薄膜が得られる。このようなシリカ前駆体を特定
範囲に制御することと本発明のポリエーテルブロックコ
ポリマー(後述する)および酸との組み合わせによっ
て、比誘電率が著しく低く、かつモジュラスの高い多孔
性シリカ薄膜が得られる。本発明の塗布組成物中のシリ
カ前駆体の含有量は全固形分濃度として表すことができ
る。後述するように目的とする絶縁性薄膜の膜厚にもよ
るが全固形分濃度は2〜30重量%が好ましく、保存安
定性にも優れる。
【0034】次に本発明における有機ポリマー(B)に
ついて説明する。まず本発明で用いることができる有機
ポリマーのうち、ブロックコポリマーについて説明する
が、この有機ポリマーは後述するような加熱焼成によっ
て塗膜が多孔性のシリカ薄膜に変換する場合に、熱分解
温度が低く、かつシリカ前駆体およびシリカとの相溶性
が適度に良好な、直鎖状または分岐状の2元以上のブロ
ックコポリマーで、ブロック部が炭素数1〜8の直鎖状
および環状のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする
有機ポリマーであり、該ブロックコポリマー単位を1本
のポリマー鎖中に60重量%以上含むものである。
【0035】ここで、相溶性が適度に良好であるとは、
本発明で使用するブロックコポリマーが、シリカ前駆体
およびシリカとの親和性が良好なもののことを言う。両
者の親和性が適度に良好であると、シリカ前駆体とポリ
マー間での相分離状態が制御され、その後の工程でブロ
ックコポリマーがシリカから抜き去られて多孔体が形成
される場合に極端に大きなまたは小さな孔径を持つ孔が
なく、孔径が均一になるので、得られた薄膜の表面平滑
性がさらに向上するし、また機械強度も高くなる。
【0036】具体的なブロックコポリマーとしては、ポ
リエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールポリブチレングリコールのような2
元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコール
ポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチ
レングリコールポリエチレングリコールなどの直鎖状の
3元ブロックコポリマーのようなポリエーテルブロック
コポリマーが挙げられる。さらに、グリセロール、エリ
スリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペ
ントース、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプトースなど
に代表される糖鎖に含まれるヒドロキシル基のうちの少
なくとも3つとポリマー鎖が結合した構造、及び/又は
ヒドロキシル酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシ
ル基のうち少なくとも3つがブロックコポリマー鎖が結
合した構造であることが好ましい。具体的には分岐状の
グリセロールポリエチレングリコールポリプロピレング
リコール、エリスリトールポリエチレングリコールポリ
プロピレングリコールポリエチレングリコールなどが含
まれる。
【0037】上記の糖鎖以外でも用いることのできる糖
鎖の具体的な例としては、ソルビトール、マンニトー
ル、キシリトール、スレイトール、マルチトール、アラ
ビトール、ラクチトール、アドニトール、セロビトー
ル、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトー
ス、マンノース、ガラクトース、エリスロース、キシル
ロース、アルロース、リボース、ソルボース、キシロー
ス、アラビノース、イソマルトース、デキストロース、
グルコヘプトースなどが挙げられる。また、ヒドロキシ
ル酸の具体的な例としてはクエン酸、リンゴ酸、酒石
酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコヘプトン酸、グ
ルコオクタン酸、スレオニン酸、サッカリン酸、ガラク
トン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、グリセリン
酸、ヒドロキシコハク酸などが挙げられる。
【0038】さらに、本発明では、脂肪族高級アルコー
ルにアルキレンオキサイドを付加重合させた直鎖状の高
級脂肪族/アルキレンオキサイドブロックコポリマーも
使用することが可能である。具体的にはポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリ
オキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレ
ンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテ
ル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキ
シプロピレンステアリルエーテルなどが挙がられる。
【0039】上記のブロックコポリマー末端基は特に限
定されないが水酸基はじめ、直鎖状および環状のアルキ
ルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド
基、アルキルカーボネート基、ウレタン基およびトリア
ルキルシリル基変性された基であることが好ましい。本
発明の塗布組成物中のブロックコポリマーの量は、以下
に述べるブロックコポリマー以外の有機ポリマーを含む
ポリマー全量に対して1重量%以上含まれると、本発明
の効果の一つである多孔性シリカ薄膜の吸湿性が著しく
抑制され、きわめて低い比誘電率が達成される。1重量
%未満であると、本発明の効果が発現されない。より好
ましい含有量は5重量%以上である。さらに好ましくは
10重量%以上である。
【0040】本発明において用いられる有機ポリマーは
上記ブロックコポリマー以外に、含有されるポリマーが
ポリマー末端基の少なくとも一つの末端基がシリカ前駆
体に対して化学的に不活性な基を有するポリマーである
とより効果を奏する。即ちこのポリマーをブロックコポ
リマーと併用することにより、シリカ/有機ポリマー複
合体薄膜から有機ポリマーがより容易に除去される。以
下に本発明に用いることができるポリマー末端基の少な
くとも一つの末端基がシリカ前駆体に対して化学的に不
活性な基を有するポリマーについて説明する。
【0041】好適なポリマー末端基としては、炭素数1
〜8の直鎖状、分岐状および環状のアルキルエーテル
基、アルキルエステル基およびアルキルアミド基、アル
キルカーボネート基があげられる。そして、ポリマーの
主鎖骨格構造は特別限定されることはないが、具体例と
してポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリアンハイドライド、ポリアミド、ポリウレタン、ポ
リウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリア
クリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニ
トリル、ポリメタクリロニトリル、ポリオレフィン、ポ
リジエン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポ
リビニルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルエステ
ル、ポリビニルアルコール、ポリハロゲン化ビニル、ポ
リハロゲン化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサ
ン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリイミン、ポリ
イミド、セルロース、およびこれらの誘導体を主なる構
成成分とするポリマーが挙げられる。
【0042】これらのポリマーの構成単位であるモノマ
ーどうしの共重合体や、その他の任意のモノマーとの共
重合体を用いてもよい。また有機ポリマーは1種類でも
2種類以上を併用してもよい。上記のポリマーの中でも
好適に用いられるものは加熱焼成によって消失し多孔質
のケイ素酸化物に容易に変換する、脂肪族ポリエーテ
ル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂
肪族ポリアンハイドライドを主なる構成成分とするもポ
リマーである。
【0043】上記ポリマーは単独であっても、複数のポ
リマーの混合であってもよい。またポリマーの主鎖は、
本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰
り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。本
発明の脂肪族ポリエーテルの例として、主鎖がポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソ
ブチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリ
コール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリジオキソ
ラン、ポリジオキセパンなどのアルキレングリコール類
で、そのすくなくとも一つの末端がアルキルエーテル、
アルキルエステル、アルキルアミド、アルキルカーボネ
ート化されたものをあげることができる。エーテル、エ
ステル、アミド、カーボネートのグループはポリマー末
端の繰り返し単位と直接化学結合していてもいいし、有
機基を介して結合していても構わない。
【0044】脂肪族ポリエーテルの末端基をエーテル化
した例としては、上記アルキレングリコール類の少なく
とも一つの末端を例えばメチルエーテル、エチルエーテ
ル、プロピルエーテル、グリシジルエーテルなどでエー
テルとしたものが挙げられ、具体的には例えば、ポリエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレング
リコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジメチルエーテル、ポリイソブチレングリコールジメチ
ルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリ
エチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレング
リコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ポリエチレンポリプロピレング
リコールジメチルエーテル、グリセリンポリエチレング
リコールトリメチルエーテル、ペンタエリスリトールポ
リエチレングリールテトラメチルエーテル、ペンチトー
ルポリエチレングリコールペンタメチルエーテル、ソル
ビトールポリエチレングリコールヘキサメチルエーテル
などが特に好ましく用いられる。
【0045】末端にエステル基を持つ脂肪族ポリエーテ
ル類としては、上記アルキレングリコール類の少なくと
も一つの末端を例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エ
ステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、
安息香酸エステルとしたものなどが挙げられる。また、
アルキレングリコール類の末端をカルボキシメチルエー
テル化し、この末端のカルボキシル基をアルキルエステ
ル化したものも好適に用いられる。
【0046】具体的には例えば、ポリエチレングリコー
ルモノ酢酸エステル、ポリエチレングリコールジ酢酸エ
ステル、ポリプロピレングリコールモノ酢酸エステル、
ポリプロピレングリコールジ酢酸エステル、ポリエチレ
ングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコ
ールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールモ
ノメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメ
タクリル酸エステル、ポリエチレングリコールビスカル
ボキシメチルエーテルジメチルエステル、ポリプロピレ
ングリコールビスカルボキシメチルエーテルジメチルエ
ステル、グリセリンポリエチレングリコールトリ酢酸エ
ステル、ペンタエリスリトールポリエチレングリコール
テトラ酢酸エステル、ペンチトールポリエチレングリコ
ールペンタ酢酸エステル、ソルビトールポリエチレング
リコールヘキサ酢酸エステルなどが好ましい例として挙
げられる。
【0047】末端にアミド基を持つ脂肪族ポリエーテル
類としては、上記のアルキレングリコール類の少なくと
も一つの末端をカルボキシメチルエーテル化し、そのあ
とでアミド化する方法、ヒドロキシ末端をアミノ基変性
したあとにアミド化する方法、などが挙げられ、具体的
には、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチル
エーテルジメチルアミド)、ポリプロピレングリコール
ビス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポ
リエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテル
ジエチルアミド)、グリセリンポリエチレングリコール
トリカルボキシメチルエーテルジメチルアミド、ペンタ
エリスリトールポリエチレングリコールテトラカルボキ
シメチルエーテルジメチルアミド、ペンチトールポリエ
チレングリコールペンタカルボキシメチルエーテルジメ
チルアミド、ソルビトールポリエチレングリコールヘキ
サカルボキシメチルエーテルジメチルアミドなどが好適
に用いられる。
【0048】末端にアルキルカーボネート基を持つ脂肪
族ポリエーテル類としては、例えば上記アルキレングリ
コール類の少なくとも一つの末端に、ホルミルエステル
基をつける方法が挙げられ、具体的には、ビスメトキシ
カルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエトキ
シカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエト
キシカルボニルオキシポリプロピレングリコール、ビス
tert−ブトキシカルボニルオキシポリエチレングリ
コールなどが挙げられる。さらに末端にウレタン基やト
リアルキルシリル基で変性した脂肪族ポリエーテル類も
使用することができる。トリアルキルシリル変性ではト
リメチルシリル変性が特に好ましく、これはトリメチル
クロロシランやトリメチルクロロシリルアセトアミドま
たはヘキサメチルジシラザンなどによって変性できる。
【0049】脂肪族ポリエステルの例としては、ポリグ
リコリド、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン等
のヒドロキシカルボン酸の重縮合物やラクトンの開環重
合物、およびポリエチレンオキサレート、ポリエチレン
スクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン
セバケート、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシジ
エチレンアジペート等のジカルボン酸とアルキレングリ
コールとの重縮合物、ならびにエポキシドと酸無水物と
の開環共重合物であって、該ポリマーの少なくとも一つ
の末端にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、ア
ルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基
さらにはトリアルキルシリル基で変性されたものを挙げ
ることができる。
【0050】脂肪族ポリカーボネートの例としては、主
鎖部分としてポリエチレンカーボネート、ポリプロピレ
ンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポ
リヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートを
挙げることができ、該ポリマーの少なくとも一つの末端
にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキル
アミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基さらに
はトリアルキルシリル基で変性されたものを挙げること
ができる。
【0051】脂肪族ポリアンハイドライドの例として
は、主鎖部分としてポリマロニルオキシド、ポリアジポ
イルオキシド、ポリピメロイルオキシド、ポリスベロイ
ルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコイ
ルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物をあげることが
でき、該ポリマーの少なくとも一つの末端にアルキルエ
ーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、ア
ルキルカーボネート基、ウレタン基さらにはトリアルキ
ルシリル基で変性されたものを挙げることができる。
尚、アルキレングリコールとは炭素数2以上のアルカン
の同一炭素原子上に結合していない2個の水素原子を、
それぞれ水酸基に置換して得られる2価アルコールを指
す。またジカルボン酸とは蓚酸、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸などのカルボキシル基を2個有
する有機酸を指す。
【0052】また、本発明の末端基はシリカ前駆体との
相溶性が特に良好なので、ポリマー形態として分岐ポリ
マーほうが分子内により多くの末端基を有することが可
能になり好ましい。分岐ポリマーを使うと、相溶性が向
上することにより、シリカ/有機ポリマー複合体の均一
性がさらに良好になり、その結果、薄膜の表面がさらに
向上するのでより好ましい。上記のような末端基をもつ
ポリマーはブロックコポリマーのように糖鎖に含まれる
ヒドロキシル基のうちの少なくとも3つと結合した構造
をとってもかまわない。
【0053】また、本発明では、分子内に少なくとも一
つの重合可能な官能基を有する有機ポリマーも用いるこ
とができる。このようなポリマーを用いると、理由は定
かではないが、多孔性薄膜の強度が向上する。重合可能
な官能基としてはビニル基、ビニリデン基、ビニレン
基、グリシジル基、アリル基、アクリレート基、メタク
リレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、
アミノ基、イミノ基、ハロゲン基などが挙げられる。こ
れらの官能基はポリマーの主鎖中にあっても末端にあっ
ても側鎖にあってもよい。また、ポリマー鎖に直接結合
していてもよいし、アルキレン基やエーテル基などのス
ペーサーを介して結合していてもよい。同一のポリマー
分子が1種類の能基を有していても、2種類以上の官能
基を有していてもよい。上に挙げた官能基の中でも、ビ
ニル基、ビニリデン基、ビニレン基、グリシジル基、ア
リル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリル
アミド基、メタクリルアミド基が好適に用いられる。
【0054】有機ポリマーとしては、分子鎖中に少なく
とも1つの重合性官能基を有するものであれば、特別限
定されることなく、具体例としてポリエーテル、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポ
リアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル
酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリ
メタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタ
クリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロ
ニトリル、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリビニルエ
ーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルアミド、ポリビ
ニルアミン、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコー
ル、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデ
ン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリスルフィド、
ポリスルホン、ポリイミン、ポリイミド、セルロース、
およびこれらの誘導体を主なる構成成分とするポリマー
が挙げられる。これらのポリマーの構成単位であるモノ
マーどうしの共重合体や、その他の任意のモノマーとの
共重合体を用いてもよい。また有機ポリマーは1種類で
も2種類以上を併用してもよい。
【0055】上記のポリマーの中でも好適に用いられる
ものはポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアンハイドライド、ポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エス
テル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、
ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニ
ルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルエステル、ポ
リビニルアルコール、ポリイミン、ポリイミドを主なる
構成成分とするものである。さらに、後述するように加
熱焼成によって多孔質ケイ素酸化物に変換する場合に
は、熱分解温度の低い脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリ
エステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハ
イドライドを主なる構成成分とするものを用いるのが特
に好ましい。
【0056】本発明で用いることができる重合性官能基
を有する有機ポリマーの基本骨格を更に具体的に示す。
なお、以下アルキレンとはメチレン、エチレン、プロピ
レン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレ
ン、ヘキサメチレン、イソプロピリデン、1,2−ジメ
チルエチレン、2,2−ジメチルトリメチレンを指し、
アルキルとはC1〜C8のアルキル基およびフェニル
基、トリル基、アニシル基などのアリール基を指し、
(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレー
トの両方を指し、ジカルボン酸とは蓚酸、マロン酸、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの有機酸を指す。
【0057】(a)ポリアルキレングリコール(メタ)
アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリアルキレングリコールアルキルエーテ
ル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールビ
ニルエーテル、ポリアルキレングリコールジビニルエー
テル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルビニ
ルエーテル、ポリアルキレングリコールグリシジルエー
テル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルグリシ
ジルエーテルなどに代表される、末端にアクリレート
基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基などの
重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリエーテル。
【0058】(b)ポリカプロラクトン(メタ)アクリ
レート、ポリカプロラクトンビニルエーテル、ポリカプ
ロラクトングリシジルエーテル、ポリカプロラクトンビ
ニルエステル、ポリカプロラクトングリシジルエステ
ル、ポリカプロラクトンビニルエステル(メタ)アクリ
レート、ポリカプロラクトングリシジルエステル(メ
タ)アクリレート、ポリカプロラクトンビニルエステル
ビニルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエステ
ルビニルエーテル、ポリカプロラクトンビニルエステル
グリシジルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエ
ステルグリシジルエーテル、などに代表される、片末端
あるいは両末端にアクリレート基、メタクリレート基、
ビニル基、グリシジル基等の重合可能な官能基をもつポ
リカプロラクトン。
【0059】(c)ポリカプロラクトントリオールの
(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ
(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ジビニルエー
テル、トリビニルエーテル、グリシジルエーテル、ジグ
リシジルエーテル、トリグリシジルエーテル。 (d)ジカルボン酸とアルキレングリコールとの重合体
であり、片末端あるいは両末端にアクリレート基、メタ
クリレート基、ビニル基、グリシジル基などの重合可能
な官能基をもつ脂肪族ポリエステル。
【0060】(e)片末端あるいは両末端にアクリレー
ト基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基等の
重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリアルキレンカーボネ
ート。 (f)ジカルボン酸無水物の重合体であり、末端にアク
リレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル
基等の重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリアンハイドラ
イド。
【0061】(g)ポリグリシジル(メタ)アクリレー
ト、ポリアリル(メタ)アクリレート、ポリビニル(メ
タ)アクリレート等、側鎖にビニル基、グリシジル基、
アリル基等の官能基を有するポリアクリル酸エステルや
ポリメタクリル酸エステル。 (h)ポリケイ皮酸ビニル、ポリビニルアジドベンザ
ル、エポキシ樹脂等。これらの中でも、後述するような
加熱焼成による多孔質ケイ素酸化物への変換が容易であ
る脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポ
リカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドなどが特
に好適に用いられる。
【0062】以上本発明に用いることのできる有機ポリ
マーについて説明したが、有機ポリマーの分子量は数平
均で100〜100万、好ましくは100〜30万、よ
り好ましくは200〜5万である。分子量が100以下
であると、有機ポリマーがシリカ/有機ポリマー複合体
から除去されるのが速すぎて、所望するような空孔率を
持った多孔性シリカ薄膜が得られないし、ポリマー分子
量が100万を越えると、今度はポリマーが除去される
速度が遅すぎて、ポリマーが残存するので好ましくな
い。特に、より好ましいポリマーの分子量は200〜5
万であり、この場合には、低温でかつ短時間に所望する
ような高い空孔率を持った多孔性シリカ薄膜がきわめて
容易に得られる。ここで注目すべきことは、多孔性シリ
カの空孔の大きさは、ポリマーの分子量にあまり依存せ
ずに、きわめて小さくかつ均一なことである。
【0063】本発明で用いるブロックコポリマーの各ブ
ロックの分子量は100〜10万、好ましくは100〜
5万、より好ましくは200〜2万である。分子量が1
00以下でも10万以上でも、シリカ前駆体とポリマー
間で適度な相溶性が得らないので、多孔性シリカ薄膜の
機械強度が発現されない。本発明における有機ポリマー
の添加量は、出発原料であるアルコキシシランの仕込み
全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られる
シロキサン1重量部に対し0.01〜10重量部、好ま
しくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜
3重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量
部より少ないと多孔体が得られず、また10重量部より
多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得ら
れず、実用性に乏しい。尚、アルコキシシランの仕込み
全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られる
シロキサンとは一般式(1)、(2)のSiOR2基、
SiOR4基SiOR5基が100%加水分解されてSi
OHになり、さらに100%縮合してシロキサン構造に
なったものを言う。
【0064】次に本発明に用いることのできる溶媒
(C)について説明する。本発明に用いることのできる
溶媒(C)は、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミ
ド系溶媒およびエステル系溶媒の群から選ばれた少なく
とも1種の溶媒に溶解または分散してなる。ここで、ア
ルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n
- プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i
-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n
-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノー
ル、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、3 -メト
キシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノ
ール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、s
ec-ヘプタノール、ヘプタノール-3、n-オクタノー
ル、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n
-ノニルアルコール、2,6-ジメチル ヘプタノール-
4、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、ト
リメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアル
コール、sec-ヘプタデシルアルコール、フェノー
ル、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、
3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジル
アルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコー
ル系溶媒、およびエチレングリコール、1,2-プロピ
レングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンタ
ンジ オール-2,4、2-メチルペンタンジオール-2,
4、ヘキサンジオール-2,5、ヘプタンジオール-
2,4、2-エチルヘキサンジオール-1,3、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレン
グリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アル
コール系溶媒、およびエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキ
シル エーテル、エチレングリコールモノフェニルエー
テル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レン グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシル
エーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレン
グリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメ
チルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエー
テル、 ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
などの多価アルコール部分エーテル系溶媒などを挙げる
ことができる。これらのアルコール系溶媒は、1種ある
いは2種以上を同時に使用してもよい。
【0065】これらアルコールのうち、n-プロパノー
ル、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノー
ル、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノ
ール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、sec
-ペンタノール、t-ペンタノール、3-メトキシブタノ
ール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノー ル、s
ec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、プロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピ
ルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル
などが好ましい。ケトン系溶媒としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル
- n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチ
ルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチ
ルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i- ブチル
ケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2-
ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4 -ペンタ
ンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェ
ンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2, 4-ヘキ
サンジオン、2,4-ヘプタンジオン、3,5 -ヘプタ
ンジオン、2,4-オクタンジオン、3,5- オクタン
ジオン、2,4-ノナンジオン、3,5-ノナンジオン、
5-メチル-2,4-ヘキサンジオン、2, 2,6,6-
テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、 1,1,1,
5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ヘプタンジオンな
どのβ-ジケトン類などが挙げられる。 これらのケトン
系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時 に使用しても
よい。
【0066】アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N
-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミ
ド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルム
アミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,
N-ジメチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、
N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルプロピオンア
ミド、N-メチルピロリドン、N-ホルミルモルホリン、
N-ホルミルピペリジン、N-ホルミルピロリジン、N-
アセチルモルホリン、N-アセチルピペリジン、N-アセ
チルピロリジンなどが挙げられる。これらアミド系溶媒
は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0067】エステル系溶媒としては、ジエチルカーボ
ネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-
バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、
酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸sec-ブチル、
酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸 3-メト
キシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチ
ル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、 酢酸シク
ロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸 n-ノニ
ル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ- n-ブチ
ルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエー
テル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、
酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸
プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、
酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プ
ロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-アミル、シュウ
酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸
エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエ
チル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げ
られる。これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以
上を同時に使用してもよい。
【0068】なお、溶媒(C)として、アルコール系溶
媒および/またはエステル系溶媒を用いると、塗布性が
良好で、かつ貯蔵安定性に優れた組成物が得られる点で
好ましい。本発明の塗布組成物は、上記の溶媒(C)を
含有するが、シリカ前駆体(A)を加水分解および/ま
たは縮合する際に、同様の溶媒を追加添加することがで
きる。
【0069】本発明では塗布組成物に酸を添加してもよ
い。本発明で用いることができる酸の具体例としては、
塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、トリポリリン酸、
ホスフィン酸、ホスフォン酸などの無機酸を挙げること
ができる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン
酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン
酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレ
イン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没
食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、
2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リ
ノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p-
アミノ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ
酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン
酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク
酸、イソニコチン酸などを挙げることができる。
【0070】また、本発明の塗布溶液を基板上に塗布し
た後で酸として機能するような化合物も含まれる。具体
的には芳香族スルホン酸エステルやカルボン酸エステル
のような、加熱または光により分解して酸を発生する化
合物が挙げられる。酸は単独で用いても、2種以上を併
用してもよい。これらの酸成分の添加量は出発原料とし
て仕込まれる一般式(1)および/または(2)のアル
コキシシランのSiOR2基SiOR4基SiOR5基の
全モル数を1モルとして1モル以下、好ましくは0.1モ
ル以下が適当である。1モルより多いと沈殿物が生成
し、均質な多孔質のケイ素酸化物からなる塗膜が得られ
難くなる場合がある。
【0071】以上、本発明の酸はじめ前述したような特
定割合のアルコキシシランおよびポリエーテルブロック
コポリマーとを組み合わせることによってそれから製造
される多孔性シリカ薄膜の比誘電率を著しく低くするこ
とができる。その理由については明らかではないが、複
合体もしくは多孔体中に存在するシリカ末端基であるシ
ラノール基(シラノール基は吸水性で、薄膜の誘電率を
著しく上昇させる原因となる)と該1,2官能性のアル
コキシシラン等との反応を、ポリエーテルブロックコポ
リマーと酸の作用により促進することにより、シラノー
ル基が失活されるためと推定している。
【0072】その他、所望であれば、たとえばコロイド
状シリカや界面活性剤などの成分を添加してもよいし、
感光性付与のための光触媒発生剤、基板との密着性を高
めるための密着性向上剤、長期保存のための安定剤など
任意の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で本発
明の塗布組成物に添加することも可能である。次に本発
明の塗布組成物の製造方法について説明する。本発明の
塗布組成物の製造方法としては、アルコキシシランを出
発原料として仕込んだ後、水を添加して加水分解、縮合
反応を行った後で、有機ポリマーまたは溶媒を加えても
良いし、アルコキシシランにあらかじめ、有機ポリマー
または溶媒を添加しておいてから、加水分解、重縮合反
応を行ってもよい。
【0073】本発明において、アルコキシシランの加水
分解には水が必要である。アルコキシシランに対する水
の添加は液体のまま、あるいはアルコールや水溶液とし
て加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもか
まわない。水の添加を急激に行うと、アルコキシシラン
の種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じ
る場合があるため、水の添加に充分な時間をかける、均
一化させるためにアルコールなどの溶媒を共存させる、
低温で添加するなどの手法が単独または組み合わせて用
いられる。
【0074】水は加水分解、重縮合反応中に全量または
断続的に加えてもよい。アルコキシシランは水の存在
下、加水分解してシラノールになり、次にシラノール基
間の縮合反応によりシロキサン結合を有するオリゴマー
状のシリカ前駆体へと生長する。本発明の塗布組成物で
は予めアルコキシシランをオリゴマー状にしておくほう
が、(l)塗布液粘度が適度に上がるので、塗膜の保形
性が確保でき膜厚を均一にできる、(2)さらにシリカ
前駆体がゲル化する場合に、シリカ骨格の形成がマイル
ドに起こるので、膜収縮が起こり難く、より好ましい。
【0075】本発明において、アルコキシシランを加水
分解するときの温度は通常0〜150 ℃、好ましくは
0〜100℃、より好ましくは0℃〜50℃である。0
℃よりも低いと加水分解の進行が十分でないし、逆に1
50℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、溶液のゲ
ル化が起こる場合があり好ましくない。本発明の塗布組
成物に含有されるシリカ前駆体の縮合率は10〜90
%、好ましくは20〜85%、より好ましくは30〜8
5%である。縮合率が10%よりも低いと、上記の
(1)および(2)が達成されないので、好ましくな
い。縮合率が90%を超えると塗布組成物全体がゲル化
してしまう。尚、シリカ前駆体の縮合率は後述するシリ
カ組成比を求める場合と同様の測定法により算出され
る。
【0076】また、塗布組成物中のナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属および鉄の含量が、15ppb以
下、特に10ppb 以下であることが塗膜の低リーク
電流の観点から好ましい。アルカリ金属および鉄は、使
用する原料から混入する場合があり、シリカ前駆体
(A)、有機ポリマー(B)および溶媒(C)などを蒸
留などにより精製することが好ましい。本発明では、以
上のようにして得られる塗布組成物を塗布液として用
い、得られた塗膜中のシリカ前駆体をゲル化させること
によって、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を得ること
ができる。
【0077】以下、本発明の塗布組成物を塗膜して薄膜
を得る方法、および薄膜をゲル化して複合体薄膜とする
方法、さらに複合体薄膜から有機ポリマーを除去させる
方法について詳細に説明する。本発明における塗布組成
物の全固形分濃度は、先記のごとく2〜30重量%が好
ましいが、使用目的に応じて適宜調整される。塗布組成
物の全固形分濃度が2〜30重量%であると、塗膜の膜
厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるもので
ある。なお、この全固形分濃度の調整は、必要であれ
ば、濃縮または上記溶媒(C)による希釈によって行わ
れる。
【0078】全固形分濃度は既知量の塗布組成物に対す
るアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応し
て得られるシロキサン化合物の重量%として求められ
る。本発明において、薄膜の形成は基板上に本発明の塗
布組成物を塗布することによって行う。塗布方法として
は流延、浸漬、スピンコートなどの周知の方法で行うこ
とができるが、半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層
の製造に用いるにはスピンコートが好適である。薄膜の
厚さは塗布組成物の粘度や回転速度を変えることによっ
て0.1μm〜100μmの範囲で制御できる。100
μmより厚いとクラックが発生する場合がある。半導体
素子の多層配線構造体用の絶縁層としては、通常0.1
μm〜5μmの範囲で用いられる。
【0079】基板としてはシリコン、ゲルマニウム等の
半導体基板、ガリウム−ヒ素、インジウム−アンチモン
等の化合物半導体基板等を用いこともできるし、これら
の表面に他の物質の薄膜を形成したうえで用いることも
可能である。この場合、薄膜としてはアルミニウム、チ
タン、クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タングス
テン、オスミウム、白金、金などの金属の他に、二酸化
ケイ素、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−リンガ
ラス、ホウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アルミナ、
チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタン、窒
化タンタル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキサン等
の無機化合物、メチルシルセスキオキサン、アモルファ
スカーボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポリイミ
ド、その他任意のブロックコポリマーからなる薄膜を用
いることができる。
【0080】薄膜の形成に先立ち、上記基板の表面を、
あらかじめ密着向上剤で処理してもよい。この場合の密
着向上剤としてはいわゆるシランカップリング剤として
用いられるものやアルミニウムキレート化合物などを使
用することができる。特に好適に用いられるものとし
て、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロ
ピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、ヘキサメチルジシラザン、エチルアセトアセテ
ートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムト
リス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス
(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネー
ト、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)など
が挙げられる。これらの密着向上剤を塗布するにあたっ
ては必要に応じて他の添加物を加えたり、溶媒で希釈し
て用いてもよい。密着向上剤による処理は公知の方法で
行う。
【0081】塗布組成物を塗膜にした後、引き続き行う
ゲル化温度は特に限定されないが、通常は100〜30
0℃、好ましくは150〜300℃、ゲル化反応に要す
る時間は熱処理温度、触媒添加量や溶媒種および量によ
っても異なるが、通常数秒間から10時間の範囲であ
る。好ましくは30秒〜5時間、よりこの好ましくは1
分〜2時間である。この操作により、塗布組成物中のシ
リカ前駆体のゲル化反応が十分に進行しシリカとなる。
シリカの縮合率として100%近くまで達する場合があ
る。通常は90%を越える程度である。この場合の縮合
率は、固体NMRやIR分析などで求めることができ
る。温度が100℃よりも低いと、後工程であるポリマ
ー除去工程において、ゲル化が十分に進行する前にポリ
マーが除去され始めるので、その結果、塗膜の高密度化
が起こってしまう。また300℃よりも高いと、巨大な
ボイドが生成しやすく、後述するシリカ/有機ポリマー
複合体薄膜の均質性が低下する。
【0082】このようにして得られたシリカ/有機ポリ
マー複合体薄膜は、誘電率も低く、厚膜形成性があるの
で、このままで配線の絶縁部分として用いることもでき
るし、薄膜以外の用途、たとえば光学的膜や構造材料、
フィルム、コーティング材などとして使用することも可
能である。しかし、LSI多層配線の絶縁物としてさら
に誘電率の低い材料を得ることを目的として、多孔性シ
リカ薄膜に変換することが好ましい。
【0083】シリカ/有機ポリマー複合体薄膜から絶縁
性の多孔性シリカ薄膜へは、シリカ/有機ポリマー複合
体薄膜からポリマーを除去することによって行う。この
時に、シリカ前駆体のゲル化反応が十分に進行していれ
ば、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜中の有機ポリマー
が占有していた領域が、多孔性シリカ薄膜中の空孔とし
てつぶれずに残る。その結果、空隙率が高く、誘電率の
低い多孔性シリカ薄膜を得ることができる。
【0084】有機ポリマーを除去する方法としては、加
熱、プラズマ処理、溶媒抽出などが挙げられるが、現行
の半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能であ
るという観点からは、加熱がもっとも好ましい。この場
合、加熱温度は用いる有機ポリマーの種類に依存し、薄
膜状態下で単に蒸散除去されるもの、有機ポリマーの分
解を伴って焼成除去されるもの、およびその混合した場
合があるが、通常の加熱温度は300〜450℃、好ま
しくは350〜400℃の範囲である。300℃よりも
低いと有機ポリマーの除去が不充分で、有機物の不純物
が残るため、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜が得られな
い危険がある。また汚染ガス発生量も多い。逆に450
℃よりも高い温度で処理することは、有機ポリマーの除
去の点では好ましいが、半導体製造プロセスで用いるの
は極めて困難である。
【0085】加熱時間は10秒〜24時間の範囲で行う
ことが好ましい。好ましくは10秒〜5時間、特にこの
好ましくは1分〜2時間である。10秒より短いと有機
ポリマーの蒸散や分解が十分進行しないので、得られる
多孔性シリカ薄膜に不純物として有機物が残存し、誘電
率が低くならない。また通常熱分解や蒸散は24時間以
内に終了するので、これ以上長時間の加熱はあまり意味
をなさない。加熱は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不
活性雰囲気下で行うのが好ましい。空気または酸素ガス
を混入させたりといった酸化性雰囲気下で行うことも可
能であるが、この場合には該酸化性ガスの濃度を、シリ
カ前駆体がゲル化する前に有機ポリマーが実質的に分解
しないような濃度に制御することが好ましい。また雰囲
気中にアンモニア、水素などを存在させ、シリカ中に残
存しているシラノール基を失活させることによって多孔
性シリカ薄膜の吸湿性を低減させ、誘電率の上昇を抑制
することもできる。
【0086】以上の加熱条件下で本発明の有機ポリマー
を除去した後の多孔性シリカ薄膜中の残渣ポリマー量は
著しく低減されるので、先述したような有機ポリマーの
分解ガスによる上層膜の接着力の低下や剥離などの現象
がおこらない。尚、本発明の塗布組成物中の有機ポリマ
ーがポリエーテルブロックコポリマーとシリカ前駆体に
対して化学的に不活性な末端基を有するポリマーとを包
含することで、さらにその効果が顕著になる。
【0087】本発明はシリカ/有機ポリマー複合体薄膜
を形成するステップを経た後ポリマーを除去するステッ
プを上記条件下で行うものであれば、そのステップの前
後に任意の温度や雰囲気によるステップを経ても問題は
ない。本発明において加熱は、半導体素子製造プロセス
中で通常使用される枚葉型縦型炉あるいはホットプレー
ト型の焼成システムを使用することができる。もちろ
ん、本発明の製造工程を満足すれば、これらに限定され
るものではない。
【0088】以上、本発明の多孔性シリカ薄膜を用いる
ことにより、機械強度が高く、かつ誘電率が充分に低い
LSI用の多層配線用絶縁膜が成膜できる。本発明の多
孔性シリカ薄膜の比誘電率は、通常2.8〜1.2、好
ましくは2.3〜1.2、さらに好ましくは2.3〜
1.6である。この比誘電率は本発明の塗布組成物中の
(B)成分の含有量により調節することができる。ま
た、本発明の多孔性薄膜中には、BJH法による細孔分
布測定において、20nm以上の空孔は実質上認められ
ず、層間絶縁膜として好適である。通常10nm以上の
孔は存在しない。
【0089】本発明により得られる多孔性シリカ薄膜
は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば反
射防止膜や光導波路のような光学的膜や触媒担体はじめ
断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増
粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨
剤、歯磨剤などとして使用することも可能である。
【0090】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例および比較
例をもって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら
実施例などにより何ら限定されるものではない。多孔性
シリカ薄膜製造用の塗布組成物および薄膜の評価は下記
の方法により行った。 (1)シリカ組成比 本発明では塗布組成物中に含まれる官能性基数の異なる
アルコキシシラン等に由来する珪素原子を各々29Si−
NMRによるシグナルの面積から算出した数値で表し、
それらを対比することで塗布組成物中に含まれるアルコ
キシシラン等の組成比としている。また、その塗布組成
物を用いて製造される絶縁性薄膜中のアルコキシシラン
等から得られるシリカの組成比も同様の測定方法で得て
いる。
【0091】一例として、アルコキシシランとしてテト
ラエトキシシラン(TEOS)、ジメチルジエトキシシ
ラン(DMDES)及びビス(トリエトキシシリル)エ
タン(BSE)を用いた場合の薄膜中のDMDES起因
のSi原子のモル%(シリカ組成比)の算出法を説明す
る。 装置:JEOL−ラムダ400 測定モード:NNE 試料管:外径10mm、内径3mm (塗布組成物、薄膜ともD化エタノール、TMSを少量
添加) 積算回数:1300回 PD(パルスディレー) 250秒 BF(ブロードニングファクター)30Hz 以上の測定装置および測定条件から得られた数値を用い
て以下に示す計算式より算出する。 DMDESのモル%=100×(D0+D1+D2)/{(T0
+T1+T2+T3+T4)+(D0+D1+D2)+2(B0+B1+B2
+B3)} (式中、T0、D0及びB0はそれぞれ上記の装置で原
料のTEOS、DMDES及びBSE中のエトキシ基が
少なくとも一部加水分解されて水酸基となった化合物に
帰属されるシグナル積分強度を表し、T1、D1及びB
1はTEOS、DMDES及びBSE中の各Siの一箇
所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成さ
れる基に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T2、
D2及びB2はTEOS、DMDES、及びBSE中の
各Siの二箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結
合して形成される基に帰属されるシグナルの積分強度を
表し、T3及びB3はTEOS及びBSE中のSiの三
箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成
される基に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T4
はTEOS中のSiの四箇所が隣接のSi原子と酸素原
子を介して結合して形成される基に帰属されるシグナル
の積分強度を表す)。
【0092】(2)比誘電率 ソリッドステートメジャーメント社製SSM495型自
動水銀CV測定装置を用いて測定した。 (3)膜厚測定 理学電機製RINT 2500を用いて測定した。測定条件は、
発散スリット:1/6°、散乱スリット:1/6°、受光スリ
ット:0.15mmで検出器(シンチレーションカウンタ)の
前にグラファイトモノクロメータをセットした。管電圧
と管電流は、それぞれ40kVと50mAで測定したが、必要に
応じて変えることができる。また、ゴニオメータの走査
法は2θ/θ走査法で、走査ステップは0.02°とした。 (4)ヤングモジュラス MTS Systems Corporation社製ナノインデンター DCM
で測定した。測定方法は、バーコビッチ型のダイヤモン
ド製圧子を試料に押し込み、一定荷重に達するまで負荷
したのちそれを除き、変位をモニターすることにより荷
重―変位曲線を求めた。表面はコンタクトスティフネス
が200N/mになる条件で認識した。硬度の算出は、以下の
式による。 H=P/A ここで、Pは印加した荷重であり、接触面積Aは接触深
さhcの関数で次式により、実験的に求めた。
【0093】
【数1】
【0094】この接触深さは圧子の変位hと次の関係に
ある。 hc=h−εP/S ここでεは0.75、Sは除荷曲線の初期勾配である。ヤン
グモジュラスの算出はスネドンの式によって求めた。 Er=(√π・S) / 2√A ここで、複合弾性率Erは次式で表される。 Er =[(1-νs2)/ Es + (1-νi2)/ Ei ]-1 ここで、νはポアソン比、添字Sはサンプル、iは圧子
を表す。本発明ではνi=0.07、 Ei=1141G
Pa、また本材料のポアッソン比は未知であるがνs=
0.18としてサンプルのヤングモジュラスEsを算出
した。尚、本発明におけるヤングモジュラスは、0.8
μ〜1.2μmの膜厚で測定した。(5)ガス発生量:
島津製作所TGA−50を用いて熱重量分析(TGA)
を行い、室温から20℃/分で425℃まで昇温し、4
25℃で60分間保持した前後の重量減少率(重量%)
をガス発生量とした。
【0095】
【実施例1】テトラエトキシシラン16.5g、ジメチ
ルジエトキシシラン5.0g、ビス(トリエトキシシリ
ル)エタン14.1g、エタノール58.8g、水4
0.5g、0.1mol/lの硝酸8.3gを混合し、
40℃にて6時間攪拌し反応させた。該溶液45gをと
り、乳酸エチル20gを加え、50℃、50mmHgに
て溶媒を留去し、18.1gまで濃縮した後、水5.6
g、エタノール0.78g、乳酸エチル30.8gを加
えた。得られた溶液のうち5gにポリエチレングリコー
ル−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコー
ル(数平均分子量6400、ポリプロピレングリコール
部分の数平均分子量は3200)0.48gを加え、本
発明の塗布溶液を得た。該溶液中のジメチルジエトキシ
シラン等由来のSi原子は17モル%であった。当溶液
を6インチシリコンウェハ上に3ml滴下し、1500
rpmにて60秒間回転塗布した。その後空気中120
℃にて1分間、窒素雰囲気下200℃にて1時間、続い
て窒素雰囲気下400℃にて1時間加熱焼成して、膜厚
が1.13μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄
膜の1MHzにおける比誘電率は2.0、ヤングモジュ
ラスは4.80GPaであった。さらにガス発生量は2
%未満であった。
【0096】
【実施例2】ポリエチレングリコール−ポリプロピレン
グリコール−ポリエチレングリコール0.48gのうち
0.42gをポリエチレングリコールジメチルエーテル
(数平均分子量600)で置き換えた以外には実施例1
と同一の操作を行い、膜厚が0.70μmの多孔性シリ
カ薄膜を得た。得られた薄膜の1MHzにおける比誘電
率は2.1、ヤングモジュラスは5.70GPaであっ
た。ガス発生量は1%未満であった。
【0097】
【比較例1】ポリエチレングリコール−ポリプロピレン
グリコール−ポリエチレングリコールの代わりにポリプ
ロピレングリコール(数平均分子量3000)0.48
gを用いた以外には実施例1と同一の操作を行い、膜厚
が0.95μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄
膜の1MHzにおける比誘電率は2.10、ヤングモジ
ュラスは3.38GPaであり、実施例1および2と比
較して誘電率は同程度であるが、機械強度は低いという
結果であった。
【0098】
【実施例3】テトラエトキシシラン5.29gとジメチ
ルジエトキシシランを1.00gおよびビス(トリエト
キシシリル)エタン1.12g、さらに数平均分子量が
6400のポリエチレングリコールポリプロピレングリ
コールポリエチレングリコールブロックコポリマー(ポ
リプロピレングリコール部分の数平均分子量は320
0)を2.0g加え、さらに水8.1g、エタノール1
1.75gおよび0.1N硝酸1.65gとを混合し、
35℃で3時間反応させたあとで、本発明の塗布溶液を
得た。該溶液中のジメチルジエトキシシラン等由来のS
i原子は15モル%であった。該溶液を6インチシリコ
ンウェハー上に3ml滴下し、1050rpmにて60
秒間回転塗布した。その後空気中120℃にて1分間、
窒素雰囲気下200℃にて1時間、続いて窒素雰囲気下
400℃にて1時間焼成して、膜厚が0.91μmの多
孔性シリカ薄膜を得た。当薄膜の1MHzにおける比誘
電率は2.1、ヤングモジュラスは5.50GPaであ
り、ガス発生量は2%未満であった。
【0099】
【比較例2】メチルトリメトキシシラン243. 6
g、1, 2-ビス(トリエトキシシリル)エタン21
4.5g、プロピレングリコールモノプロピルエーテル
559.3g、メチル -n-ペンチルケトン239.7
gの混合溶液に、マレイン酸1.0gを水162.0g
に溶かした水溶液を室温で1 時間かけて滴下した。混
合物の滴下終了後、さらに60 ℃で2時間反応させた
のち、減圧下で全溶液量1,00 0gとなるまで濃縮
し、固形分含有量20%のポリシロキサンゾルを得た。
尚、この場合の固形分濃度は、シリカ前駆体が完全に加
水分解および縮合反応したものをシリカの固形分として
計算した。
【0100】上記で得たポリシロキサンゾル100g
に、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオ
キシエチレンブロックコポリマー(三洋化成(株)製、
ニューポール61(HO-PEO 2 -PPO30-PEO2
-OH相当)8.6gを添加し、得られた混合物を8イ
ンチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、
大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間
加熱したのち、さらに真空下で340℃、360℃、3
80℃の順でそれぞれ30分 間ずつ加熱し、さらに真
空下425℃で1時間加熱し、 無色透明の膜を形成し
た。得られた薄膜の比誘電率は2.4、ヤングモジュラ
スは4.1GPaであり、またガス発生量は2%以上で
あった。
【0101】
【発明の効果】本発明による多孔性シリカ薄膜は、比誘
電率が十分に低く安定で、半導体素子の銅配線工程にお
けるCMP工程に十分耐え、ビア形成時のガス発生が少
ないので、LSI多層配線用基板や半導体素子の絶縁膜
用として最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 DF002 DL021 DL031 NA11 NA17 NA21 5F058 AA10 AC03 AC10 AF04 AG01 AH02 BA20 BC02 BC20 BF46 BH01 BJ02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 下記一般式(1)および/また
    は一般式(2)で表されるアルコキシシランおよびその
    加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上
    の化合物を含有するシリカ前駆体であって、一般式
    (1)および/または一般式(2)で表されるアルコキ
    シシランのうち1,2,3官能性のアルコキシシランお
    よびその加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子と、
    一般式(1)および/または一般式(2)で表されるア
    ルコキシシランのうち4,5,6官能性のアルコキシシ
    ランおよびその加水分解物、重縮合物に由来する珪素原
    子との合計に対する一般式(1)および/または一般式
    (2)で表されるアルコキシシランのうち1,2,3官
    能性のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合
    物に由来する珪素原子の割合が1〜50mol%である
    シリカ前駆体と、 R1 n(Si)(OR24-n (1) (式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それ
    ぞれ1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である) R3 m(R4O)3-mSi-(R7p-Si(OR53-q6 q (2) (R3,R4,R5およびR6は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ1価の有機基を示し、mおよびqは、同
    一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7
    酸素原子-または(CH2)r-で表される基を示し、r
    は1〜6を、pは0または1を示す。) (B)直鎖状または分岐状の2元以上のポリエーテルブ
    ロックコポリマーを少なくとも含有する有機ポリマー
    と、(C)アルコール系、ケトン系溶媒、アミド系溶媒
    およびエステル系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種
    の有機溶媒と、を含有することを特徴とする包含する絶
    縁薄膜製造用の塗布組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有機ポリマーが、直鎖状
    または分岐状の2元以上のブロックコポリマーと有機ポ
    リマー末端基の少なくとも一つの末端基がシリカ前駆体
    に対して化学的に不活性な基を有する有機ポリマーとを
    含有することを特徴とする請求項1記載の塗布組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の有機ポリマーが少なくと
    も1重量%以上の直鎖状または分岐状の2元以上のブロ
    ックコポリマーを包含することを特徴とする請求項1な
    いし2記載の塗布組成物。
  4. 【請求項4】 該塗布組成物が少なくとも一種類の酸を
    含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の塗布組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の塗布組
    成物を基板上に塗布した後に、シリカ前駆体をゲル化す
    ることにより得られるシリカ/有機ポリマー複合薄膜か
    ら有機ポリマーが除去された多孔性シリカ薄膜。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の薄膜を絶縁物として用い
    ることを特徴とする配線構造体。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の配線構造体を包含してな
    る半導体素子。
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