JP4700781B2 - ガス・バネによる上下免震構造及びその施工方法 - Google Patents

ガス・バネによる上下免震構造及びその施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固有周期が1秒以上である建造物の上下方向震動に対して免震する上下免震構造及びその施工方法の技術分野に属し、更に云えば、ガス・バネによる上下免震構造及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の殆どの免震構造は、水平方向震動を免震対象としている。上下方向震動を対象とした免震は、技術的に困難と考えられてきた。
【0003】
水平方向震動を免震できるだけでも、建築構造設計上、大変有利に作用する。しかし、建築の種別や用途によっては、上下方向震動の免震が必要とされる場合も少なくない。
【0004】
ところで、従来の免震構造は、積層ゴムやコイルバネ、皿バネ等の「機械式バネ」を用いている。しかし、「機械式バネ」による免震構造は、全て水平震動に対する免震構造であり、上下方向震動に対する免震構造として使用することは不適切と考えられている。
【0005】
従来の上下免震構造が、例えば特開平11−6541号公報に記載されている。該公報に記載された上下免震構造は、シリンダーを基礎面(下部構造)上に立設し、建物に連繋されたロッドをシリンダーに対して出入り可能としてオイル・ダンパを形成している。このオイル・ダンパは、シリンダー内にロッドを挿入することにより形成され、ロッド反力を設定する油圧室を有している。この油圧室は、ロッド内の容室に連通されている。この容室内には、油面を境にして区画されたガス室が設けられている。このガス室は、高さ調整弁を介して、ガス供給源に連結されている。そして、ロッドのシリンダーに対する出入り量に応じて、高さ調整弁がガス室のガス圧を調整する。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
従来の「機械式バネ」による免震構造が上下方向震動の免震に不適切と考えられてきた最大の理由は、鉛直バネの自重による変形量の大きさにある。建造物の上下方向(鉛直)の固有周期と、自重による鉛直変形量との関係は、次のようになる。即ち、鉛直固有周期が1秒の場合、変形量が24.8cmであり、鉛直固有周期が2秒の場合、変形量が99.3cmである。また、鉛直固有周期が3秒の場合、変形量が223.4cmであり、鉛直固有周期が4秒の場合、変形量が397.2cmである。
【0007】
従来の上下免震構造の課題の1つは、上下免震構造用の鉛直バネが上述の変形を許容し、且つ地震時には最大30〜50cmの上下方向変位も許容するように設計する必要があったことである。しかし、ゴム、コイルバネ、皿バネ等の機械式バネ(以下、総称して機械式バネという)により、この鉛直バネを設計することは、非常に困難であった。特に、建物全体を免震しようとしたときは、柱当たり500トンから1000トンの荷重を支える必要がある。よって、鉛直バネの設計には、この荷重に対して大きな変形を可能にする必要があるが、かかる必要性を満足する設計ができなかった。
【0008】
また、従来の上下免震構造の第2の課題は、建築を施工する際に上述の鉛直変形が徐々に現れるため、建築の施工に障害を与えることである。特に上下固有周期が4秒に至るような設計をした場合、その自重による変形が397.2cmとなり、事実上施工が不可能であった。これを回避するためには、予め鉛直バネに想定される柱軸力に相当する初期荷重を与えて初期変形を生じさせ、これを固定治具により固定する必要があった。しかし、500トンから1000トンもの初期荷重を固定する治具は、極めて大きな物であり、設計ができたとしても大変不経済な仮設物となる。
【0009】
機械式バネの方式により上下方向震動を免震する場合の第3の課題は、設計時の鉛直荷重の計算値を用いて、バネ剛性を設計する点にある。一般的な建築構造物における柱の存在応力は不明であり、設計時の鉛直力とは当然異なる。そのため各柱における鉛直方向の固有周期を一致させることは、事実上不可能である。水平方向免震の場合は、剛床仮定が成立しているために、柱軸力のばらつきや存在応力の不明確さは無視できる。しかし、上下方向免震の場合、「剛構面」なるものが一般的に存在しない。そのため、機械式バネの免震方式を採用した場合は、各柱における振動性状の違いにより、柱毎にバラバラな動きとなってしまう。よって、梁に大きなせん断力がかかり、損傷を与える。したがって、上部構造は、上下動に対して剛であるとみなせる建物でない限り、機械式バネの上下方向免震を採用した場合における上部構造の設計は非常に困難となる。
【0010】
上述の理由により、従来、上下免震構造を建造物全体に対して行う場合には、固有周期を0.5秒程度以下としている。ところで、建造物全体を対象とした上下方向免震の場合に、積層ゴムの各層のゴム厚を大きめに取ることにより、上下方向バネを通常の積層ゴムより柔らかくすることが提案されている。この場合、上下方向のバネ剛性を柔らかくするには限界があるため、水平方向で行われているような高い性能を有する本格的な免震構造は望めない。
【0011】
一方、固有周期が1秒以上の本格的な免震が必要な場合には、荷重の小さな免震床などに限定的に実施されている。免震床など軽量構造物の場合は、空気バネがよく用いられている。かかる空気バネ機構は、車両の防振機構として多用されているものと同様である。空気バネ機構を用いた場合、上下方向バネは比較的柔らかくでき、上下方向の固有周期をある程度長くできる。しかし、空気バネは、密閉性を高める必要から、可動部分にゴムのべローズ等を採用しており、内圧の設定に限界があり、支持荷重にも限界がある。
【0012】
建築構造物の免震化を狙ったガス・バネ機構も提案されている。しかし、ガス・バネ機構でも、ゴムの密閉容器を使用しているため、内圧の設定に限界がある。ガス・バネ機構が、例えば約160トンの荷重を支えるためには、非常に大きな装置となってしまう。一方、実際の建造物を支持するためには、500トンから1000トンを一つの装置で支持する必要がある。
【0013】
上述した特開平11−6541公報に記載された従来技術では、高圧配管をガス配管としている。また、減衰性能を得るための絞り(オリフィス構造)がシリンダー・ロッドに内蔵されている。ガスの体積は、免震構造としての周期を決定する重要な要素なので、油圧や空気圧システムを構成するにあたって、配管系が自由に配置できないと、システム設計が困難となる。その点、特開平11−6541公報記載の従来技術では、ガス配管を用いているので、ガスの体積を、配管系を含めて設計する必要があるため、配管の長さ等を自由に設定できず、設計の自由度が大きく制約される。
【0014】
実際的問題として、ガス圧部品は、総て高圧ガス部品であり、認定を受けた特定業者の製品のみが使用できる。よって、特開平11−6541号公報に記載の従来技術では、ガス配管システムは、高圧ガス配管となるために、実際にこのシステムを実施しようとした場合は、国の認定を受けなければならないなどの面倒がある。また、特開平11−6541号公報に記載の従来技術では、絞りがシリンダー・ロッドに内蔵されているために、免震システム完成後の調整が不可能であるという問題も含んでいる。
【0015】
したがって、本発明の目的は、上述の従来技術の上記欠点を解決し、建築物全体を対象にできるガス・バネによる上下免震構造を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、ガス・バネによる上下免震構造の合理的な施工方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する手段として、請求項1記載の発明に係るガス・バネによる上下免震構造は、
移動自在なピストン3bを備えピストン前室に作動油6を収容するシリンダー3aと、前記ピストン3bに一端を結合され他端はシリンダー3aの一端部から突き出されシリンダー3a内のピストン3bと共に移動するピストンロッド3cを備え、上部構造2と下部構造1の間の免震層にピストンロッド3cを垂直姿勢に設置された複数のシリンダー・ロッド機構3と、
作動油6を収容し、且つ作動油6の油面を加圧する高圧ガス7を収容したアキュムレータ4と、
前記シリンダー・ロッド機構3のピストン前室と前記アキュムレータ4の作動油収納部位とを接続した油圧配管5と、及び同油圧配管5の途中に設置された流量調整弁(絞り弁)8とでガス・バネ機構が構成され、
前記シリンダー・ロッド機構3のシリンダー3a又はロッド3cのいずれか一方が免震層を形成する上部構造2と結合され、他方は下部構造1と結合されてシリンダー・ロッド機構3は免震層へピストンロッド3cを垂直姿勢に設置され、
前記油圧配管流量調整弁8の調整により設計値の減衰性能がガス・バネ機構に設定され、上部構造2は前記構成の複数のガス・バネ機構によって免震支持され
下部構造1と上部構造2の間の免震層に、下部構造1と上部構造2を連結するロッキング防止用の平行リンク機構9がそのリンクを下部構造1及び上部構造2と連結して設置され、
下部構造1に上部構造2の外周面と対峙する外周壁1aが設けられ、前記外周壁1aと上部構造2の外周面との間に上部構造2の水平方向変位は拘束し上下方向震動をガイドするスライド機構10が設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項記載の発明に係るガス・バネによる上下免震構造の施工方法は、
シリンダー3a内のピストン前室に作動油6を収容し、シリンダー3a内を移動自在なピストン3bと、及び一端を前記ピストン3bと結合され他端はシリンダー3aの一端から突き出されたロッド3cを備えシリンダー・ロッド機構3のシリンダー3a又はピストンロッド3cのいずれか一方を、免震層を形成する下部構造1と結合して下部構造1上へ複数のシリンダー・ロッド機構3をピストンロッド3cが垂直姿勢に設置する段階と、
下部構造1の上に、上部構造2を支持する仮受け治具11を、前記の各シリンダー・ロッド機構3の外周へ集中的に配置して設置し、前記仮受け治具11の上に同仮受け治具11支持された上部構造2の構築を進める段階と、
上記の各シリンダー・ロッド機構3のピストン前室とアキュムレータ4とを油圧配管5で接続すると共に前記油圧配管5の途中に流量調整弁8を設置してガス・バネ機構を構成し、上部構造2の竣工後に、前記流量調整弁8を調整して前記シリンダー・ロッド機構3のピストン前室へアキュムレータ4の作動油6を供給すると共に上部構造2を支持し得る高圧ガス圧力をアキュムレータ4の油面へ作用させて上部構造2の支持をガス・バネ機構へ盛り替え、そのに前記仮受け治具11を撤去する段階とよりなることを特徴とする。
【0022】
【本発明の実施形態及び実施例】
本発明の好適な実施形態を、添付図を参照して説明する。
【0023】
図1は、ガス・バネ機構による上下免震構造の基本形態を示したもので、建造物の下部構造1と上部構造2の間の免震層に設置した垂直姿勢のシリンダー・ロッド機構3と、アキュムレータ4、及び両者を接続する油圧配管5とでガス・バネ機構が構成され、上部構造2は該ガス・バネ機構によって支持されている。
【0024】
前記シリンダー・ロッド機構3は、シリンダ3aの底部を下部構造1と結合されている。シリンダー3a内には、上下方向へ移動自在なピストン3b及びそのロッド(ピストンロッド)3cを備え、ピストン下室に作動油6が収容されている。ロッド3cの上端が上部構造2と結合されている。
【0025】
アキュムレータ4は、その約下半分に作動油6が収容され、その上部には油面を加圧する高圧ガス7が収容されている。油圧配管5が、シリンダ3aのピストン下室の作動油6と、アキュムレータ4内の作動油6とを連通させる。
【0026】
こうしてアキュムレータ4内の高圧ガス7により作動されるガス・バネ機構を上下方向バネに用いた上下免震構造の構成方程式は、次のようになる。
【0027】
(1)アキュムレータ4内の釣り合いは、P =P(V−ΔV)となる。
但し、Pは自重と釣り合うアキュムレータ4の内圧(高圧ガス7の圧力)、Vはガス7の体積、ΔVはシリンダー・ロッド機構3におけるピストンによる体積変動、Pはシリンダー・ロッド機構3に収容した作動油の圧力、nはポリトロープ指数である。
【0028】
(2)前記シリンダー・ロッド機構3におけるピストン3bによる体積変動ΔVは、ΔV=xAとなる。
但し、xはシリンダー・ロッド機構3におけるピストン3bの上下変位量であり、Aはピストン3bの受圧面積である。
【0029】
(3)シリンダー・ロッド機構3における釣り合いは、F=PAとなる。
ここで、Fはガス・バネ機構の復元力である。
【0030】
(4)長期鉛直荷重の釣り合いは、W=PAとなる。
但し、Wはロッド3cに加わる鉛直力である。
【0031】
(5)上記(1)の式より、P=V /(V−ΔV) となる。
【0032】
(6)よってガス・バネ機構の復元力Fは、[数1]で表される。
【数1】
Figure 0004700781
【0033】
(7)また、長期荷重支持状態の運動方程式は、[数2]、[数3]で表される。
【数2】
Figure 0004700781
【数3】
Figure 0004700781
【0034】
上記[数3]中には鉛直荷重Wが含まれないため、Vo/Aを各柱下の上下免震構造で一定にすれば、総ての柱に対して上下方向の固有周期を同じにできる。したがって、従来技術の第3課題であった柱の存在応力の不明による上下振動のばらつきの問題を解決できる。
【0035】
図2は、本発明の更なる実施形態を示す。この実施形態は、図1に示す実施形態の構成に、シリンダー・ロッド機構3とアキュムレータ4を連結する油圧配管5の途中位置に流量調整弁(絞り弁)8を設置した構成である。その他の構成は、図1の構成と同じである。
【0036】
上記のように油圧配管5の途中位置に流量調整弁8を設けたので、この流量調整弁8の開度を適宜設定し、更にアキュムレータ4のガス圧を設定することにより、上記した総ての柱に対する上下方向の固有周期を同じにでき、設計値通りの減衰を上下免震用ガス・バネ機構に設定できる。これによりバネと減衰機構とを一体化できる。
【0037】
図3は、発明に係る上下免震構造の実施形態を示す。
【0038】
この第3実施形態は、図1又は図2に示した実施形態の構成に対し、上部構造2のロッキング振動を防止するため、平行運動するロッキング防止リンク機構9を設置した構成を特徴とする。その他の構成は、図1及び図2の構成と同じである。
【0039】
一般に、上下免震構造の鉛直固有周期を長くした場合、免震層で発生するロッキング振動の問題が懸念される。しかし、図3に示す実施形態によれば、リンク機構9によって平行運動に規制されるので、ロッキング振動に関しては剛性が高くなり、純粋な上下方向震動にのみ固有周期を長くできる。
【0040】
図4は、発明に係る上下免震構造の具体的実施形態を示す。
【0041】
この第4実施形態は、図1〜図3に示した各実施形態の構成を前提とし、上部構造2の上下方向震動をガイドするスライド機構(ベアリング機構)10を、下部構造1に附属する外周壁1aを利用して設けた構成を特徴とする。その他の構成は、図1〜図3の構成と同じである。
【0042】
この実施形態では、上下免震構造の上部構造2と下部構造1の間に、上下に可動で、水平方向の変位は拘束するスライド機構10を設置したため、下部構造1と上部構造2と水平方向へ一体的関係で震動するところとなり、シリンダー・ロッド機構3及びリンク機構9に加わる水平せん断力を低減できる。
【0043】
次に、図5以下には、請求項記載の発明に係る、上述した上下免震構造の施工方法の枢要な工程を順に示している。
【0044】
まず、図5Aは、第1の工程として、シリンダー・ロッド機構3を下部構造1の上に垂直姿勢に設置した段階を示す。図5Bは更に、アキュムレータ4を設置し、前記シリンダー・ロッド機構3と油圧配管5で接続した段階を示している。この段階では、アキュムレータ4内のガス圧力は大気圧と同じ状態にしておく。なお、この第1工程は、図5Bに示すように、シリンダー・ロッド機構3のみを下部構造1上に施工して、以下の施工を進めてもよい。この場合には免震用バネは、まだ形成されていない。
【0045】
図6は、第2工程として、前記シリンダー・ロッド機構3の施工と略同時に、又はその後に、上部構造2(鉛直重荷)を支持する仮受け治具11をシリンダー・ロッド機構3の外周に集中させた配置で、下部構造1の上に設置した段階を示す。前記仮受け治具11は、上部構造2の建築中はその鉛直荷重を支持し、シリンダー・ロッド機構3に負担をかけない構造と配置とする。
【0046】
図7は、前記仮受け治具11に支持された上部構造2の建築を開始した段階を示す。図8は、上部構造2が竣工し、その後、アキュムレータ4内へ高圧ガス・ボンベ12から上述の高圧ガスを注入することにより、ガス・バネ機構を形成する段階を示す。即ち、シリンダー・ロッド機構3のピストン下室へ作動油6を供給し、且つ上部構造2を支持し得る作動油圧力を得るべくアキュムレータ4内の作動油6の油面へ高圧ガス7を作用させて上部構造2の支持を仮受け治具11からガス・バネ機構へ盛り替える。
【0047】
図9は、最終工程として、前記高圧ガス7の注入によってシリンダー・ロッド機構3に鉛直荷重の支持力が必要な大きさ生じた段階(上下方向のバネが形成された段階)で、ガス・バネ機構へ支持力を盛り替えて、全ての仮受け治具11を撤去した段階を示す。
【0048】
全てのアキュムレータ4へ高圧ガスを注入し、仮受け治具11を撤去して、上下免震構造が完成する。よって、従来技術に関して述べた第1及び2の課題を解決できる。
【0049】
以上は、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形、変更が可能である。例えば、第3実施形態(図3)では、第1の実施形態(図1)に、流量調整弁8及びロッキング防止リンク機構9の両方を追加したが、第1実施形態にロッキング防止リンク機構9のみを追加してもよい。また、第4実施形態(図4)では、第1実施形態に、流量調整弁8、ロッキング防止リンク機構9及びスライド機構10の総てを追加したが、第1実施形態にスライド機構10のみを追加してもよい。あるいは第1実施形態に、ロッキング防止リンク機構9及びスライド機構10のみを追加してもよい。
【0050】
請求項1記載の発明に係る上下免震構造によれば、ガス・バネ機構を用いた上下免震構造を採用することにより、固有周期が1秒以上である建造物の大きな変形量や荷重に耐えることができ、その設計も容易である。また、構造が簡単且つ小形であるため、その施工も請求項記載の発明の通り容易である。 よって、建築物の耐震性を大幅に改善することができる。
【0051】
また、配管系統に油圧配管を使用し、高圧ガスについては通常市販されている高圧アキュムレータを使用できるため、設計や認定上の問題が生じない。
【0052】
さらに、本発明は、弁機構を外付けしているために、免震システム完成後に、減衰の調整が自在であるというなどの顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1記載の発明の実施形態を示す立面図である。
【図2】 同上発明の実施形態を示す立面図である。
【図3】 発明の実施形態を示す立面図である。
【図4】 発明の実施形態を示す立面図である。
【図5】 A、Bは請求項記載の発明の第1工程を示す立面図である。
【図6】 第2工程を示す立面図である。
【図7】 第3工程を示す立面図である。
【図8】 第4工程を示す立面図である。
【図9】 最終工程を示す立面図である。

Claims (2)

  1. 移動自在なピストンを備えピストン前室に作動油を収容するシリンダーと、前記ピストンに一端を結合され他端はシリンダーの一端部から突き出されシリンダー内のピストンと共に移動するピストンロッドを備え、上部構造と下部構造の間の免震層にピストンロッドを垂直姿勢に設置された複数のシリンダー・ロッド機構と、
    作動油を収容し、且つ作動油の油面を加圧する高圧ガスを収容したアキュムレータと、 前記シリンダー・ロッド機構のピストン前室と前記アキュムレータの作動油収納部位とを接続した油圧配管と、及び同油圧配管の途中に設置された流量調整弁(絞り弁)とでガス・バネ機構が構成され、
    前記シリンダー・ロッド機構のシリンダー又はロッドのいずれか一方が免震層を形成する上部構造と結合され、他方が下部構造と結合されてシリンダー・ロッド機構は免震層へピストンロッドを垂直姿勢に設置され、
    前記油圧配管の流量調整弁の調整により設計値の減衰性能がガス・バネ機構に設定され、上部構造は前記構成の複数のガス・バネ機構によって免震支持され
    更に下部構造と上部構造の間の免震層に、下部構造と上部構造を連結するロッキング防止用の平行リンク機構がそのリンクを下部構造及び上部構造と連結して設置され、
    下部構造に上部構造の外周面と対峙する外周壁が設けられ、前記外周壁と上部構造の外周面との間に上部構造の水平方向変位を拘束し上下方向震動をガイドするスライド機構が設けられていることを特徴とする、ガス・バネによる上下免震構造。
  2. シリンダー内のピストン前室に作動油を収容し、シリンダー内を移動自在なピストンと、及び一端を前記ピストンと結合され他端はシリンダーの一端から突き出されたロッドを備えシリンダー・ロッド機構のシリンダー又はピストンロッドのいずれか一方を、免震層を形成する下部構造と結合して下部構造上へ複数のシリンダー・ロッド機構をピストンロッドが垂直姿勢に設置する段階と、
    下部構造の上に、上部構造を支持する仮受け治具を、前記の各シリンダー・ロッド機構の外周へ集中的に配置して設置し、前記仮受け治具の上に同仮受け治具支持された上部構造の構築を進める段階と、
    上記の各シリンダー・ロッド機構のピストン前室とアキュムレータとを油圧配管で接続すると共に前記油圧配管の途中に流量調整弁を設置してガス・バネ機構を構成し、上部構造の竣工後に、前記流量調整弁を調整して前記シリンダー・ロッド機構のピストン前室へアキュムレータの作動油を供給すると共に上部構造を支持し得る高圧ガス圧力をアキュムレータの油面へ作用させて上部構造の支持をガス・バネ機構へ盛り替え、そのに前記仮受け治具を撤去する段階とよりなることを特徴とする、ガス・バネによる上下免震構造の施工方法。
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