JP2007284230A - クレーン及びその免震方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震時の免震作用が確実で、既設のクレーン本体の改造を最小限として、安価で改造工程を短縮できる免震装置を備えたクレーン及びその免震方法を提供する。
【解決手段】クレーン本体1と、クレーン本体1をレール5に沿って走行させるための走行装置10と、素行装置10の下部イコライザビーム12と上部イコライザビーム20との間に設置された免震装置30とを有し、この免震装置30を、下部イコライザビーム12に設けられ上部イコライザビーム20に沿って鉛直方向に摺動する摺動部と、下部イコライザビーム12と上部イコライザビーム20との間に設けられた油圧シリンダ41aを含む減衰要素を有する油圧機構と、油圧機構の制御部とによって構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震などに起因する脱輪等を防止するための免震装置を備えたクレーン及びその免震方法に関するものである。なお、本発明におけるクレーンとは、橋型クレーン等の大型クレーンを含むが、これに限定するものではなく、脚構造が門型となる橋型クレーンにおいて、免震装置が必要とされるクレーンであれば、これに該当する。
一般に大型のコンテナクレーンやアンローダ等では、図12,図13に示すように、その脚部が門型に形成されたクレーン本体1が、その下端の四隅部に設けた走行装置10により、レール5に沿って走行できるようになっている。
このような脚部が門型のクレーン本体1を有する走行式クレーンにおいては、地震時の震動によって、走行方向と直角方向のラジアル荷重Rと共に、走行方向と直角方向の転倒モーメントM、水平面内の旋回ねじり荷重S、及び鉛直方向の衝撃的なアキシャル荷重Aが加わるようになる。また、大型のクレーン本体1を有する場合、重心位置が高く固有周期が長くなるため、地震時の振動によるクレーン本体1の走行方向と直角方向への変位量も大きくなる。
上述のような地震時のクレーン本体1への影響を緩和するために、クレーン本体1と走行装置10との間に免震装置が設けられている。この免震装置は、走行装置10とクレーン本体1との間に、走行装置10と直角方向にクレーン本体1が差動するような機構として取付けられている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、免震装置は、走行装置10とクレーン本体1との間に取付けられるが、その作動方向は鉛直方向であり、さらに海側(図12参照)には一切の装置はなく、陸側の2か所の走行装置10に対して免震装置を取付ければよいとしたものがある。この原理は、走行方向と直角方向に地震時の震動がクレーン本体1に作用した場合、その震動をクレーン本体1の海側のレールを回転中心とした回転運動に変えることで、走行方向と直角方向の震動に対して弱いという橋型クレーンの弱点を克服するものである(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、橋梁の橋脚部分に浮き上りを許容する免震構造を採用したものである。これは、上記非特許文献1による原理と同じであるが、作動方向が浮き上り方向のみであり、浮き上り後着地するような挙動を示すことがわかる(例えば、非特許文献2参照)。
特開2002−211881号公報 特開2003−182975号公報 (社)日本機械学会 論文集(C編) 69巻 686号 2003年10月号(第56頁−第63頁) 鹿島出版会 免震設計入門 1996年11月15日発行 (第232頁−第235頁)
特許文献1,2及び非特許文献1のクレーンの免震装置は、いずれもクレーンを新規に製作する場合は、問題なく所期の性能を発揮するように設計され、取り付けられるが、既設のクレーンに対してこのような免震装置を追加するような改造においては、クレーン本体と走行装置に対して大掛かりな改造が必要で、改造工程が多く工期も長くなるという問題があった。
また、非特許文献2に示す方法においては、鉛直荷重を受けることから、そのばね要素の選定において制約が生じるという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、地震時などにおけるクレーンの免震作用が確実であり、また既設のクレーン本体の改造を安価で改造工程を短縮することのできる免震装置を備えたクレーン及びその免震方法を提供することを目的としたものである。
本発明に係るクレーンは、クレーン本体と、該クレーン本体をレールに沿って走行させるための走行装置と、該走行装置の下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に設置された免震装置とを有し、該免震装置を、前記下部イコライザビームに設けられ前記上部イコライザビームに沿って鉛直方向に摺動する摺動部と、前記下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に設けられた油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、該油圧機構の制御部とによって構成したものである。
また、上記の免震装置を、両側に上部イコライザビームに設けたガイド部に沿って鉛直方向に摺動する摺動部を有し、下部イコライザビームに連結されたガイドブラケットと、該ガイドブラケットと前記上部イコライザビームとの間に設けられた油圧シリンダと、該油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、該油圧機構を制御する制御部とによって構成したものである。
また、本発明に係るクレーンは、クレーン本体と、該クレーン本体をレールに沿って走行させるための走行装置と、該走行装置の上部イコライザビームと前記クレーン本体との間に設けられた免震装置とを有し、該免震装置を、前記上部イコライザビームに設けられ前記クレーン本体に沿って鉛直方向に摺動する摺動部と、前記上部イコライザビームとクレーン本体との間に設けられた油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、該油圧機構の制御部とによって構成したものである。
また、上記の油圧機構の制御部を、油圧シリンダの油圧が所定値を超えた場合及び/又はクレーン本体に設けた地震計が検出した地震荷重が所定値を超えた場合は、前記油圧シリンダによる下部イコライザビーム又は上部イコライザビームと、上部イコライザビーム又はクレーン本体との拘束を解除し、前記油圧機構により減衰効果を発現するように構成したものである。
また、上記の下部イコライザビーム又は上部イコライザビームに設けたガイドブラケットと、前記上部イコライザビーム又はクレーン本体との間にバッファ部材を設けたものである。
また、本発明に係るクレーンの免震方法は、上記いずれかの免震装置によりクレーンの免震を行うようにしたものである。
本発明によれば、地震時に減衰特性を有する免震作用が確実に行われ、また、既設のクレーンの改造を安価で改造工程を短縮することのできる免震装置を備えたクレーン及びクレーンの免震方法を得ることができる。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るクレーンの一方の側(例えば、図12の陸側)のクレーン本体と走行装置の要部を示す説明図である。
図において、1は門型のクレーン本体、10はクレーン本体1の下部に連結され、レール5上を走行する走行装置、30は免震装置である。
走行装置10は、レール5上を走行する2個の車輪15を備えた4台のトラック14、及び隣接する2台のトラック14が軸16により揺動可能に連結された2台の下部イコライザビーム12からなる台車11と、免震装置30を介して台車11(2台の下部イコライザビーム12)に連結された上部イコライザビーム20とからなり、上部イコライザビーム20は軸21によりクレーン本体1に揺動可能に連結されている。
このような免震装置30を備えた走行装置10は、クレーン本体1の走行方向の一方の側(例えば、図12の陸側)に2組設けられており、他方の側には免震装置30は介在せず、下部イコライザビーム12が直接上部イコライザビーム20に揺動可能に連結された走行装置が設けられている。なお、橋型クレーンの走行装置は、車輪数やその組合わせにおいて、上述のような構造と異なるものがあるが、下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に免震装置30を設けることは可能である。
図2〜図6は免震装置30の一例を示す説明図である。この免震装置30は、下部イコライザビーム12と上部イコライザビーム20との間に介装されて、両者を所定の位置に拘束(固定)可能な油圧シリンダ機構である2基の油圧シリンダ41a,41b、及びこの油圧シリンダ41a,41bを制御する減衰特性を有する油圧回路45からなる油圧機構40(図5)と、この油圧機構40を制御する制御部60(図6)とを備えている。なお、減衰特性を得るために、別置きのダンパー等を配してもよい。
図2は免震装置30の機構を示す正面図、図3は一部を断面で示した図2の側面図、図3は図1の分解斜視図であるが、油圧シリンダ41a,41bは省略してある。
31はガイドブラケットで、コ字状の本体部32の側壁の内壁面間の幅W1は、下部イコライザビーム12の外壁面間の幅Wとほぼ等しく嵌装可能に形成されており、両側壁の外壁面には、断面コ字状の摺動部材33a,33bが溶接により接合されている。34a,34bは摺動部材33a,33bのウエブに設けたブラケット、35はブラケット34a,34bの下部に設けた貫通穴である。なお、上記の説明では、本体部32の両側壁にコ字状断面の摺動部材33a,33bを接合した場合を示したが、これに代えて、摺動部材33a,33bのフランジと同じ間隔で摺動板を溶接により接合してもよい(以下、摺動部材33a,33bと摺動板を合せて、摺動部ということがある)。この場合は、ブラケット34a,34bを本体部32に設ければよい(他の実施の形態においても同様である)。
また、上部イコライザビーム20の両端部近傍の両側壁には、所定の間隔(その内壁間の間隔W3は、ガイドブラケット31の摺動部材33a,33bのフランジの外壁間の間隔W2とほぼ等しい)で、それぞれ摺動部材33a,33bのガイド部である一対のガイド板21a,21aと21b,21bが溶接により接合されており、両ガイド板21aと21a、21bと21bの間にはブラケット22a,22bが設けられている。なお、このガイド部は、摺動部材33a,33bと同様に断面コ字状に形成してもよく、また、ガイド板21a,21bの外壁間の間隔を摺動部材33a,33bの内壁間の間隔とほぼ等しく形成してもよい。
上記のような免震装置30は、ガイドブラケット31の本体部32が下部イコライザビーム12に上部から嵌合され、貫通穴35,13に挿通した軸17により揺動可能に連結される。そして、油圧シリンダ41a,41bのピストン42(図5参照)に設けた上部ロッドが上部イコライザビーム20のブラケット22a,22bに連結され、下部ロッドがガイドブラケット31のブラケット34a,34bに連結される。このとき、ガイドブラケット31の摺動部材33a,33bの上部は、上部イコライザビーム20のガイド板21a,21aと21b,21bとの間に、それぞれ鉛直方向に摺動可能に保持される。なお、上記の油圧シリンダ41a,41bは、一方のレール(例えば、陸側のレール)上を走行する2台の走行装置10にそれぞれ4基、合計8基が設けられている。
36(図2,図3)はゴム、ばね等の弾性材からなり、ガイドブラケット31の本体部32の上面と上部イコライザビーム20の下面との間に介装されたバッファ部材で、下部イコライザビーム12、したがってガイドブラケット31が所定のストロークを超えて上昇したときの緩衝作用を行うものである(他の実施の形態においてもこれに準ずる)。このバッファ部材36は省略してもよい。
油圧機構40を構成する油圧回路45は、図5に示すように、油圧シリンダ41a,41bのピストン42の両側のシリンダ室に接続された管路Pa,Pbには、常時は解放された緊急用の手動ストップバルブ46a,46b、油圧シリンダ41a,41bのピストン42の差動によりシリンダ室内に発生する油圧の変化を検出する圧力センサ47a,47b(以下、単に47と記すことがある)が設けられている。また、トリガー装置を構成するソレノイド50a,50b(以下、単に50と記すことがある)を備え、常時は閉止されているシャットオフバルブ49a,49b、及びその下流側において油圧を減衰する緩衝手段であるリリーフバルブ51a,51bがそれぞれ設けられている。なお、シャットオフバルブ49a,49bにトリガー装置50として地震計63(図6参照)を設けることがある。また、油圧を減衰する手段は、別置きの油圧ダンパー等で発現させることも可能である。
48a,48b,48cは作動油供給用の手動ポンプである。なお、この手動ポンプ48a〜48cは、油圧シリンダ41a,41bの中立位置設定用としても機能する。52a,52bはリリーフバルブ51a,51bと手動ポンプ48b,48cとの間に設けられた圧力計、53a,53bは同じくアキュムレータで、油圧回路45に作動油を供給すると共に、油圧機構40に鉛直方向のばね特性を付与する。
図6は免震装置30の制御部の説明図である。
制御部60において、61は中央演算装置を構成する演算開路(CPU)で、圧力センサ47、クレーン本体に設けた風力計62及び地震計63からの信号が入力されて演算し、演算結果に基づいてトリガー装置50に制御信号を出力する。64は無停電電源装置、65はトリガー装置50の解放設定部である。61aはリセットスイッチ、61bは暴風時解放禁止スイッチ、61cは手動開放スイッチである。62aは解放値表示器、62bは暴風時ロック表示器、62cは解放表示器、62dはトリガー回路電源ON表示器、62eは風力表示器で、これら表示器はLEDによって表示される。
次に、上記のように構成した免震装置30の作用を説明する。
油圧シリンダ41a,41bは、通常時は上部イコライザビーム20(したがってクレーン本体1)を台車11の所定の位置に拘束(固定)し、油圧機構40により上部構造物の鉛直方向の荷重に対抗して、免震装置30が作動しないようになっている。
そして、油圧シリンダ41a,41bの作動によりシリンダ室に発生する油圧の変化は、荷重信号として常時圧力センサ47a,47bにより検知され、その検知信号が制御部60に送られている。
地震時に地震荷重により油圧シリンダ41a,41bのシリンダ室の油圧が変化して、その検出値が解放設定部65で設定された設定値を超えると、制御部60はトリガー装置50に制御信号を送り、シャットオフバルブ49を解放する。
これにより、油圧シリンダ41a,41bによる台車11と上部イコライザビーム20との拘束(固定)が、8基の油圧シリンダ41a,41bについて一斉に解除され、免震装置30が作動し、クレーン本体1と走行装置10との相対移動を適切に緩和しながら、地震エネルギーの吸収が行われ、震動が減衰されてクレーンを保護する。なお、クレーン1と走行装置10の相対移動にあたっては、台車11に設けたガイドブラケット31の摺動部材33a,33bが、上部イコライザビーム20の両面に設けたガイド板21a,21bに沿って摺動する。
本発明においては、8個の圧力センサ47のうち、1個でも荷重信号が設定値を超えれば、すべての免震装置30が作動するようになっている。このとき、リリーフバルブ51a,51bは、シャットオフバルブ49a,49bの下流側において、油圧の減衰を行う緩衝装置としてダンパ機能を発揮し、油圧機構40を保護する。なお、緩衝手段として、リリーフバルブ51a,51bに代えて絞りバルブを設けてもよく、同様の効果が得られる。さらに、減衰要素を別置きとしてもよい。
上記のような免震装置30において、クレーン本体1あるいは地上側に設けた地震計63(図6)が設定値以上の地震荷重を検出した場合もシャットオフバルブ49a,49bが解除され、油圧シリンダ41a,41bが上部イコライザビーム20と台車11との拘束(固定)を解除し、免震装置30が作動するようになっている。なお、暴風時には免震装置30を拘束(固定)する必要があるので、風力計62(図6)により暴風時であることを風力信号として制御部に取り込み、トリガー装置50を解放しないシーケンス制御が取り入れられている。
次に、上記の油圧機構40のトリガー装置50の開閉作用につき、さらに詳細に説明する。
図7は圧力センサ47を用いた場合のトリガー装置50の作動フロー図である。通常時は、前述のように油圧シリンダ41a,41bにより上部イコライザビーム20(クレーン本体1)と台車11(下部イコライザビーム12)とは拘束(固定)されており、制御部60に各圧力センサ47からの荷重信号が入力され、その最大値が演算される(ステップS1)。そして、荷重信号が設定値を超えているかどうかを判断し、油圧シリンダ41a,41b、換言すればトリガー装置50を解放するか否かを判断する(ステップS2)。
そして、トリガー装置50を解放するとの判断(YES)であれば、制御部60に風力計62からの風力信号を入力し、風力信号の平均値を演算して(ステップS3)、風力が暴風時のそれに該当するかどうかを判断する(ステップS4)。暴風時の風力でなければ(NO)、トリガー装置50に制御信号を出力してトリガー装置50を開放し(ステップS5)、免震装置30を作動させる。暴風時の風力であれば(YES)、トリガー装置50を開放せず、免震装置30を作動させない。
図8は地震計63を用いた場合のトリガー装置の作動フロー図である。通常時は、油圧シリンダ41a,41bにより上部イコライザビーム20と台車11とは拘束(固定)されている。制御部60は地震計63からの信号を入力し、荷重信号が開放設定部65で設定した設定値を超えているかどうかを判断し(ステップ11)、油圧シリンダ41a,41b、換言すればトリガー装置50を開放するか否かを判断する(ステップS12)。地震計63を複数設けた場合は、制御部60はその最大値について演算する。
トリガー装置を開放するとの判断(YES)であれば、制御部60に風力計62からの風力信号を入力し、風力信号の平均値を演算して(ステップS13)、風力が暴風時のそれに該当するかどうかを判断する(ステップS14)。暴風時の風力でなければ(NO)、トリガー装置50に制御信号を出力してトリガー装置50を開放し(ステップS15)、免震装置30を作動させる。暴風時の風力であれば(YES)トリガー装置50を開放せず、免震装置30を作動させない。
上記の説明は、圧力センサ47の荷重信号又は地震計63の荷重信号が設定値を超え、かつ暴風時でないときに免震装置30を作動させる場合について述べたが、免震装置30に圧力計47と地震計63の両者を設け、圧力センサ47の荷重信号と地震計63の荷重信号のそれぞれの最大値を演算し、そのうち1つでも設定値を超え、かつ暴風時でない場合は免震装置30を作動させるようにしてもよい。
また、非特許文献1に記載されたセミアクティブ制御をそのまま本発明に適用することも可能であり、油圧シリンダ41a,41bの減衰を2段以上に切替制御することにより、各種の地震玻や走行方向に発生する地震にも有効に対応することができるようになる。
上記のように構成した免震装置30は、新規にクレーンを製造する場合に設置しうることは言う迄もないが、免震装置が設けられていない既設のクレーンに本実施の形態に係る免震装置30を設置することもできる。この場合は、先ずクレーン本体をジャッキアップし、一方のレールの走行装置の上部イコライザビームをクレーン本体から取外してレール上を移動させる。次に、本実施の形態に係る免震装置30を備えた走行装置10をレール上に設置してクレーン本体1の下まで移動し、その上部イコライザビーム20を軸21によりクレーン本体1に揺動可能に連結して、クレーン本体1を下降させればよい。このようにして、一方のレール上の走行装置10を順次交換することにより、免震装置30を備えたクレーンに改造することができる。
また、クレーン本体と走行装置との間に免震装置が設けられた既設のクレーンに、本実施の形態に係る免震装置30を追加する場合は、先ず、既設の免震装置の上部イコライザビームへの固定を取り外したのち、上記の場合と同様に走行装置を取外して、本発明に係る免震装置30を備えた走行装置10をクレーン本体1の下に位置させ、クレーン本体1を下降させたのち、既設の免震装置を上部イコライザビームに固定すればよい。
本実施の形態に係るクレーンは、走行装置20の台車11と上部イコライザビーム20との間に上記のような免震装置30を設け、通常時は上記イコライザビーム20を台車11に拘束(固定)し、地震発生時には台車11と上部イコライザビーム20との拘束を解除して両者の間に相対移動が生じるように構成したので、これにより地震エネルギーが吸収されて減衰し、クレーンを保護することができる。
また、走行装置10に免震装置30を設けたので、既設のクレーンの製造に対して走行装置10を交換するだけで、クレーン本体との接合部の改造を必要としないので、安価でかつ改造工程を短縮することができる。さらに、免震装置を備えたクレーンを新規に製造する場合においても、その設計の自由度を高めることができる。
[実施の形態2]
図9は本発明の実施の形態2に係るクレーンに設けた免震装置の側面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
実施の形態1の免震装置30においては、下部イコライザビーム12と上部イコライザビーム20の両側においてそれぞれ1基、合計2基の油圧シリンダ41a,41bを設けた場合を示したが、本実施の形態は、下部イコライザビーム12と上部イコライザビーム20のいずれか一方の側に1基の油圧シリンダ41を設けたものである。
本実施の形態の作用、効果は実施の形態1の場合とほぼ同様であるが、さらに油圧シリンダ41の数を2分の1に減らすことができるので、製作費を低減することができる。
[実施の形態3]
図10は本発明の実施の形態3に係るクレーンの免震装置の油圧機構の説明図である。なお、実施の形態1の油圧機構と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
実施の形態1の油圧機構40においては、2基の油圧シリンダ41a,41bのシリンダ室のピストン42の両側の油圧の変化(差圧)を、圧力センサ47a,47bでそれぞれ検出する場合を示したが、本実施の形態においては、油圧シリンダ41a,41bのピストン42の一方の側のシリンダ室の油圧の変化を油圧センサ47で検出するようにしたものである。なお、図には、リリーフバルブに代えて、絞りバルブ54を設けた場合を示してある。
このように構成することにより、他方の側の手動ストップバルブ46b、圧力センサ47b、シャットオフバルブ49b及びソレノイド50b、リリーフバルブ51b、圧力計52b、アキュムレータ53bを省略することができる。
本実施の形態においても、実施の形態1の油圧機構40の場合とほぼ同様の作用、効果を得ることができるが、さらに多くの部品を省略できるので、制作費を低減することができる。
[実施の形態4]
図11は本発明の実施の形態4に係るクレーンの免震装置の模式図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
実施の形態1〜3では、走行装置10を構成する台車11と、上部イコライザビーム20との間に免震装置30を設けた場合を示したが、本実施の形態においては、走行装置10を構成する上部イコライザビーム20とクレーン本体1との間に、実施の形態1の免震装置30とほぼ同じ構成の免震装置30を設けたものである。
本実施の形態においては、車輪15を有する下部イコライザビーム12は、上部イコライザビーム20に軸17により揺動可能に連結されており、上部イコライザビーム20の上部中央部には、免震装置30を構成するガイドブラケット31の本体部32が嵌合され、軸21により揺動可能に連結されている。また、クレーン本体1の下部部材2の両側壁には、ガイド板21a,21b及びブラケット22a,22bが設けられている。
そして、ガイドブラケット31の摺動部材33a,33bの上部が、クレーン本体1に設けたガイド板21a,21bの間に鉛直方向に摺動可能に嵌入され、ブラケット22aと34a、22bと34bとの間に油圧シリンダ41a,41bが取付けられている。
本実施の形態に係る免震装置30の作用、効果は、実施の形態1の場合とほぼ同様である。なお、本実施の形態においても、実施の形態2又は3の構成を採用することができる。
上記の説明では、免震装置30をクレーン本体1の陸側の走行装置10に設けた場合を示したが、海側の走行装置10に設けてもよく、あるいは、陸側と海側の両方の走行装置10に設けてもよい。
本発明の実施の形態1に係るクレーンの一方の側のクレーン本体と走行装置の要部を示す説明図である。 図1の免震装置の正面図である。 図2の側面図である。 一部を省略した図2の分解斜視図ある。 図2の免震装置の油圧機構の説明図である。 図2の免震装置の制御部の説明図である。 図5の油圧機構のトリガー装置の作動フロー図である。 図5の油圧機構のトリガー装置の他の例の作動フロー図である。 本発明の実施の形態2に係るクレーンの免震装置の側面図である。 本発明の実施の形態3に係るクレーンの油圧機構の説明図である。 本発明の実施の形態4に係るクレーンのクレーン本体と走行装置の要部を示す説明図である。 門型クレーンの一例の説明図である。 図12の側面図である。
符号の説明
1 クレーン本体、5 レール、10 走行装置、11 台車、12 下部イコライザビーム、20 上部イコライザビーム、21 ガイド板、30 免震装置、31 ガイドブラケット、32 本体部、33a,33b 摺動部材(摺動部)、40 油圧機構、41a,41b 油圧シリンダ、45 油圧回路、47a,47b 油圧センサ、49a,49b シャットオフバルブ、50a,50b トリガー装置、60 制御部、62 風力計、63 地震計、65 開放値設定部。

Claims (6)

  1. クレーン本体と、該クレーン本体をレールに沿って走行させるための走行装置と、該走行装置の下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に設置された免震装置とを有し、
    該免震装置を、前記下部イコライザビームに設けられ前記上部イコライザビームに沿って鉛直方向に摺動する摺動部と、前記下部イコライザビームと上部イコライザビームとの間に設けられた油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、該油圧機構の制御部とによって構成したことを特徴とするクレーン。
  2. 前記免震装置を、両側に上部イコライザビームに設けたガイド部に沿って鉛直方向に摺動する摺動部を有し、下部イコライザビームに連結されたガイドブラケットと、該ガイドブラケットと前記上部イコライザビームとの間に設けられた油圧シリンダと、該油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、該油圧機構を制御する制御部とによって構成したことを特徴とする請求項1記載のクレーン。
  3. クレーン本体と、該クレーン本体をレールに沿って走行させるための走行装置と、該走行装置の上部イコライザビームと前記クレーン本体との間に設けられた免震装置とを有し、
    該免震装置を、前記上部イコライザビームに設けられ前記クレーン本体に沿って鉛直方向に摺動する摺動部と、前記上部イコライザビームとクレーン本体との間に設けられた油圧シリンダを含む減衰要素を有する油圧機構と、該油圧機構の制御部とによって構成したことを特徴とするクレーン。
  4. 前記油圧機構の制御部を、油圧シリンダの油圧が所定値を超えた場合及び/又はクレーン本体に設けた地震計が検出した地震荷重が所定値を超えた場合は、前記油圧シリンダによる下部イコライザビームと上部イコライザビーム又は上部イコライザビームとクレーン本体との拘束を解除し、前記油圧機構により減衰効果を発現するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクレーン。
  5. 前記下部イコライザビーム又は上部イコライザビームに設けたガイドブラケットと、前記上部イコライザビーム又はクレーン本体との間にバッファ部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクレーン。
  6. 請求項1〜5のいずれかの免震装置により免震を行うことを特徴とするクレーンの免震方法。
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