JP4700173B2 - カテーテルの製造方法およびカテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば血管に挿入して使用されるカテーテルの製造方法およびカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、選択血管造影や血管拡張術を行う際に、造影用カテーテル、ガイディングカテーテル、拡張用カテーテル、塞栓術用カテーテル(マイクロカテーテル)等が用いられる。
【0003】
このようなカテーテルは、細く複雑なパターンの血管系に、迅速にかつ確実な選択性をもって挿入できるように、優れた操作性が要求される。
【0004】
また、挿入領域の選択の幅を広げ、患者の負担を軽減し、かつ挿入操作等の操作性を向上するために、一定の内径を確保しつつ外径をできるだけ小さくして、カテーテルを細径化することが要求される。
【0005】
カテーテルに要求される操作性には以下のものが含まれる。すなわち、血管内を前進させるための術者による押し込む力がカテーテルの基端側から先端側に確実に伝達され得るいわゆる押し込み性(プッシャビリティー);カテーテルの基端側で加えられた回転力が先端側に確実に伝達され得るトルク伝達性(トラッカビリティ);曲がった血管内を先行するガイドワイヤーに沿って円滑かつ確実に進み得る追従性;および、目的領域までカテーテル先端が到達しガイドワイヤーを引き抜いた後でも、血管の湾曲、屈曲した領域でカテーテルに折れ曲がりが生じない耐キンク性である。また、カテーテルには、その先端が血管内壁を損傷することがないように、安全性も要求される。
【0006】
良好な押し込み性およびトルク伝達性を得るためにはカテーテルの先端部を除く部分を比較的硬質な材料で構成することが好ましい。良好な追従性および安全性を得るためにはカテーテルの先端部を比較的柔軟な材料で構成することが好ましい。
【0007】
上記のような特性を有するカテーテルとして、異種材料からなる単位チューブを連結することにより製造されたもの(USP5,792,124)、および複数種の樹脂を同時押出成形することにより製造されたもの(USP5,456,674)が知られている。
【0008】
しかし、異種材料からなる単位チューブを連結して製造されたカテーテルは、連結部で接着強度の低下による切断のおそれがある。このため、こうしたカテーテルは、チューブの厚さ(内外径の差)を厚くする必要があり、細径化が困難である。また、連結部の外表面に段差が形成され、カテーテル挿入時に血管内壁に損傷を与えるおそれがある。しかも、連結部で剛性が急激に変化するため、カテーテルはこの部分で折れ曲がりを生じ易く、耐キンク性が劣っている。
【0009】
また、複数種の樹脂を同時押出成形してカテーテルを製造する方法では、大がかりで高価な製造装置が必要となるため、実用性に乏しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、押し込み性、トルク伝達性、追従性、耐キンク性等の操作性に優れ、細径化に有利なカテーテルの製造方法およびカテーテルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔を規定する管状部材を具備するカテーテルの製造方法は、第1の樹脂材料からなる第1の線状体および第2の樹脂材料からなる第2の線状体を用意する工程と、第1の線状体を、管状部材の第1領域で密な螺旋状または網目状に、管状部材の第2領域で疎な螺旋状または網目状に配設する工程と、第2の線状体を、管状部材の第1領域で疎な螺旋状または網目状に、管状部材の第2領域で密な螺旋状または網目状に配設する工程とを有する。
【0012】
本発明の方法は、さらに、第1の線状体を、第1領域と第2領域との中間領域で第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設する工程と、第2の線状体を、第1領域と第2領域との中間領域で第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設する工程とを含んでいてもよい。
【0013】
この場合、例えば、第1領域、中間領域および第2領域が、前記管状部材の基端側からこの順に設けられる。
【0014】
本発明の方法は、具体的には、例えば第1の線状体の供給源および第2の線状体の供給源をそれぞれ前記管状部材の周囲で回転させ、各供給源の相対回転速度を調整し、管状部材上の第1および第2の線状体の配設密度を調整することにより実施される。
【0015】
本発明の方法では、前記第1の線状体は、前記第2の線状体よりも、高い曲げ剛性を有することが好ましい。
【0016】
本発明の方法は、さらに、管状部材上に配設された第1および第2の線状体を、少なくとも部分的に溶融し、互いに混合または融合一体化する工程と、第1および第2の線状体を固化する工程を有していてもよい。
【0017】
本発明の方法は、さらに、管状部材上に配設された前記第1および第2の線状体上に熱収縮性チューブを被せる工程と、第1および第2の線状体を加熱して少なくとも部分的に溶融し、互いに混合または融合一体化する工程と、第1および第2の線状体を固化する工程を有していてもよい。
【0018】
本発明の方法は、さらに、管状部材の第1領域に対して基端側の領域に、第1の線状体のみを配設する工程を有していてもよい。
【0019】
本発明の方法は、さらに、管状部材の第2領域に対して先端側の領域に、第2の線状体のみを配設する工程を有していてもよい。
【0020】
本発明に係るカテーテルは、基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔を規定する管状部材を具備し、管状部材の第1領域に配設された、密な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料とから構成される第1の樹脂層と、管状部材の第2領域に配設された、密な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料とから構成される第2の樹脂層とを有する。
【0021】
本発明のカテーテルは、さらに、前記管状部材の第1領域と第2領域との中間領域に、第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設された前記第1の線状体と、第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設された前記第2の線状体とから構成される樹脂層を有していてもよい。
【0022】
本発明のカテーテルでは、例えば第1領域、中間領域および第2領域が、管状部材の基端側からこの順に設けられる。
【0023】
上記の構造を有するカテーテルでは、さらに、管状部材の第1領域に対して基端側の領域に、第1の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていてもよい。上記の構造を有するカテーテルでは、さらに、管状部材の第2領域に対して先端側の領域に、第2の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていてもよい。
【0024】
また、本発明のカテーテルでは、管状部材の第1領域に対して基端側および先端側の2つの第2領域に、密な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料から構成される第2の樹脂層が配設され、基端側の第2領域、第1領域、および先端側の第2領域が、管状部材の基端側からこの順に設けられていてもよい。
【0025】
上記の構造を有するカテーテルでは、さらに、基端側の第2領域に対して基端側の領域に、第1の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていてもよい。上記の構造を有するカテーテルでは、さらに、先端側の第2領域に対して先端側の領域に、第2の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていてもよい。
【0026】
本発明のカテーテルでは、第1の樹脂材料は、第2の樹脂材料よりも、高い曲げ剛性を有することが好ましい。
【0027】
本発明のカテーテルでは、第1および第2の樹脂層は、第1の樹脂材料および第2の樹脂材料が、少なくとも部分的に溶融され、互いに混合または融合一体化され、混合または融合一体化された樹脂材料が固化された生成物からなっていてもよい。この場合、第1および第2の樹脂材料の少なくとも一方は、部分的に溶融されてその骨格を残していてもよい。
【0028】
本発明のカテーテルでは、第1および第2の樹脂層は、管状部材の先端部を除く領域に形成されていてもよい。
【0029】
本発明のカテーテルは、さらに、管状部材上に金属からなる補強層を有していてもよい。この補強層は、金属ワイヤまたは金属リボンの編組体で構成されていることが好ましい。本発明のカテーテルは、さらに、前記管状部材の内面に低磨耗層を有する。本発明のカテーテルは、さらに、第1および第2の樹脂層上に外層を有していてもよい。
【0030】
本発明に係る他のカテーテルの製造方法は、第1の樹脂材料からなる第1の線状体、第2の樹脂材料からなる第2の線状体、およびマンドレルを用意する工程と、前記第1の線状体を、前記マンドレルの第1領域で密な螺旋状または網目状に、前記マンドレルの第2領域で疎な螺旋状または網目状に配設する工程と、前記第2の線状体を、前記マンドレルの第1領域で疎な螺旋状または網目状に、前記マンドレルの第2領域で密な螺旋状または網目状に配設する工程と、前記マンドレル上に配設された前記第1および第2の線状体を、少なくとも部分的に溶融し、互いに混合または融合一体化する工程と、前記第1および第2の線状体を固化する工程と、前記マンドレルを引き抜くことにより、基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔を規定する樹脂層からなるカテーテルを形成する工程とを有する。
【0031】
本発明に係る他のカテーテルは、基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔を規定する管状の樹脂層を具備し、前記樹脂層の第1領域は、密な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料とから構成される第1の樹脂層からなり、前記樹脂層の第2領域は、密な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料とから構成される第2の樹脂層からなる。このカテーテルは、樹脂層の基材となる管状部材を持たないものである。
【0032】
本発明によれば、物性の異なる2種の樹脂材料を用い、それらの配設密度を調整することにより、基端側から先端側へ向かうに従って曲げ剛性が小さくなるカテーテルを提供できる。このようなカテーテルは、優れた追従性、安全性および耐キンク性を発揮する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカテーテルおよびその製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明に係る血管カテーテルの全体を示す平面図、図2および図3はそれぞれ本発明のカテーテルに用いられる基材チューブの例を示す断面図、図4〜図7はそれぞれ本発明のカテーテルの製造工程を示す図である。
【0035】
図1に示すカテーテル1はカテーテル本体2を有する。この例では、カテーテル本体2を、基端21側から、主要部22および先端部23に区分して説明する。さらに、主要部22を、基端21側から、第1領域221、中間領域222、第2領域223と区分する。
【0036】
図2〜図7に示すように、カテーテル本体2には、基端21から先端まで延びる内腔3が形成されている。カテーテル1の血管への挿入時には、内腔3内にガイドワイヤーが挿通される。また、内腔3は造影剤や薬液などの流路としても用いられる。
【0037】
図6に示すように、カテーテル本体2の主要部22は管状部材である基材チューブ(内層)4の周囲に樹脂層5を形成した構造を有する。図7に示すように、必要に応じて、樹脂層5の周囲に外層6を形成してもよい。カテーテル本体2の先端部23は、樹脂層5を有さず、基材チューブ4のみから構成される。その代わりに、先端部23は、基材チューブ4と外層6とから構成されていてもよい。
【0038】
図1に示すように、カテーテル本体2の基端21にはハブ7が装着されている。ハブ7は、内腔3内へのガイドワイヤーの挿入口、内腔3内への薬液等の注入口として機能し、またカテーテル1を操作する際の把持部としても機能する。
【0039】
本発明において、樹脂層5は、第1の樹脂材料からなる第1の線状体51および第2の樹脂材料からなる第2の線状体52を用いて形成される。第1の線状体51および第2の線状体52は、いずれも樹脂材料、特に熱可塑性樹脂で構成されているが、これらは互いに物性が異なっている。この物性としては、例えば、曲げ剛性(柔軟性)、表面硬度、伸び率、引張強さ、せん断強さ、アイゾット衝撃強さ、曲げ弾性率、曲げ強さ、誘電率、軟化点、融点、比重、吸水率、親水性などの物理的特性が挙げられるが、これらに限定されない。また、第1および第2の樹脂材料は互いに上記の性質が異なっている。本実施形態では、第1の樹脂材料は第2の樹脂材料より曲げ剛性が高く、このため第1の線状体51は第2の線状体52より曲げ剛性が高い(柔軟性が低い)。
【0040】
樹脂層5は、カテーテル本体の第1領域に第1の線状体51を密に、第2の線状体52を疎に配設して形成された第1の樹脂層と、カテーテル本体の第2領域に第1の線状体51を疎に、第2の線状体52を密に配設して形成された第2の樹脂層とを有している。また、必要に応じ、第1領域と第2領域との中間領域に、第1領域と第2領域の中間の密度で配設された第1の線状体51と、第1領域と第2領域の中間の密度で配設された第2の線状体52とから構成される樹脂層を有していてもよい。この場合、中間領域では第1の線状体51と第2の線状体52の配設密度がほぼ同じになっている部分があるが、両者の配設密度は特に限定されない。第1の線状体51および第2の線状体52は基材チューブ4の外周に螺旋状または網目状に配設されるが、まず螺旋状に巻き付ける場合について説明する。
【0041】
図4および図5に示す実施形態では、基材チューブ4の外周に、第1の線状体51と第2の線状体52とがそれぞれ螺旋状にかつ互いに反対方向に巻かれている。この場合、カテーテル本体2の主要部分22の第1領域221で第1の線状体51が密に、第2の線状体52が疎に配設されており、第2領域223で第1の線状体51が疎に、第2の線状体52が密に配設されている。第1領域221と第2領域223の中間領域222では第1の線状体51と第2の線状体52とがほぼ同じ密度で配設されている。第1の線状体51と第2の線状体52の密度は、各領域にわたって連続的に、または3段階以上で段階的に変化させることが好ましい。
【0042】
この実施形態では、カテーテル本体2の先端部23には樹脂層5を設けていない。この場合、先端部23の途中まで第1の線状体51と第2の線状体52のいずれか一方のみを設け、そこから先端までは双方を設けないようにしてもよい。また、第2線状体52が非常に剛性の小さい(柔軟性の高い)ものであれば、これを先端部23の先端まで配設してもよい。なお、図示していないが、カテーテル本体2の第1領域221に対して基端側の領域には、第1の線状体51のみを配設してもよい。このように、第1の線状体51および第2の線状体52の密度が部分的に異なる領域が、カテーテル本体2の長手方向に沿って連続的に形成される。
【0043】
第1の線状体51および第2の線状体52は、巻いたままの状態でもよいが、加熱溶融して互いに混合または融合一体化した後に、冷却し固化して樹脂層を形成することが好ましい。第1の線状体51および第2の線状体52を溶融して固化すると、例えば図6に示すように、基材チューブ4の外周に平坦な樹脂層5が形成される。なお、第1の線状体51および第2の線状体52は完全に溶融されずに、元の線状体の骨格をある程度保っていてもよい。巻いたままの状態にある第1の線状体51および第2の線状体52はカテーテルの使用時に移動するおそれがある。一方、第1の線状体51および第2の線状体52を溶融および固化して形成された樹脂層はカテーテルの使用時にも移動することがない。このため、カテーテル本体2の各部における曲げ剛性、柔軟性などが安定する。
【0044】
以上のようなカテーテル1では、カテーテル本体2の曲げ剛性は、第1領域221、中間領域222および第2領域223の順に小さくなってゆく。したがって、第1領域221は十分な剛性を有し、優れた押し込み性およびトルク伝達性を発揮する。また、カテーテル本体2の曲げ剛性が先端側へ向かうにつれて小さくなっていると、優れた追従性および耐キンク性が得られ、血管内壁に与える刺激も極めて少ない。また、先端部23または先端部23の先端側に樹脂層5を設けないことにより、先端部23は柔軟性に富み、カテーテル1を挿入する血管(体腔)の内壁を損傷することが確実に防止され、極めて高い安全性が得られる。
【0045】
第1の線状体51および第2の線状体52の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール(PA)、ポリアリレート、ポリオキシメチレン(POM)、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物(EVOH)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド等の各種熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、あるいはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが挙げられる。
【0046】
第1の線状体51および第2の線状体52を溶融する場合には、両者の樹脂材料として互いに相溶性のあるものを選択することが好ましい。互いに相溶性のある樹脂材料の組み合わせとしては、例えば、ポリウレタンとポリアミド、ポリアミドとポリアミドエラストマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンとポリオレフィンエラストマー、ポリエチレンテレフタレートとポリエステルエラストマー、ポリウレタンとポリエステルエラストマー、高可塑化ポリ塩化ビニルと低可塑化ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0047】
第1の線状体51の曲げ弾性率は、8000〜25000kg/cm2が好ましく、10000〜15000kg/cm2がより好ましい。また、第2の線状体52の曲げ弾性率は、100〜4000kg/cm2が好ましく、300〜2500kg/cm2がより好ましい。第1の線状体51の曲げ弾性率を1とした場合、第2の線状体52の曲げ弾性率を0.004〜0.5とするのが好ましく、0.02〜0.17とするのがより好ましい。このような範囲とすることにより、押し込み性、トルク伝達性、追従性および耐キンク性をバランスよく両立することができる。
【0048】
第1の線状体51および第2の線状体52は、単繊維でもよいし、単繊維を縒った繊維の集合体でもよい。
【0049】
第1の線状体51および第2の線状体52は、断面形状が円形のものでもよいし、断面形状が扁平なリボンでもよい。図5は第1の線状体51および第2の線状体52としてリボンを用いた例を示している。また、第1の線状体51と第2の線状体52とで、その断面形状が異なっていてもよい。
【0050】
第1の線状体51および第2の線状体52は、断面形状が円形である場合、直径0.01〜0.5mmが好ましく、0.03〜0.3mmがより好ましい。第1の線状体51および第2の線状体52がリボンである場合、幅0.03〜5mm、厚さ0.03〜0.2mmが好ましい。
【0051】
第1の線状体51および第2の線状体52の径または幅は、カテーテル本体全長にわたって一定でなくてもよく、連続的ないし断続的に変化させてもよい。例えば、カテーテル本体2の基端側から先端側へに向かうにつれて、剛性の高い第1の線状体51の径または幅を小さくし、かつ第2の線状体52の径または幅を大きくして、両者の密度をさらに変化させるようにしてもよい。
【0052】
第1領域221における第1の線状体51および第2の線状体52の比率は、第1の線状体51:第2の線状体52の面積比または重量比で、1:0.1〜1:0.95が好ましく、1:0.3〜1:0.7がより好ましい。
【0053】
第2領域223における第1の線状体51および第2の線状体52の比率は、第1の線状体51:第2の線状体52の面積比または重量比で、0.1:1〜0.95:1が好ましく、0.3:1〜0.7:1がより好ましい。
【0054】
なお、図示の構成では、基材チューブ4および外層6の内径および外径はそれぞれ一定になっているが、これらはカテーテル本体2の長手方向に沿って変化してもよい。また、これらの寸法が部分的に変化していてもよい。
【0055】
例えば、樹脂層5の第1の線状体51および第2の線状体52の密度の大小関係が変化する境界部や先端部23と第2領域223との境界部において、基材チューブ4または外層6の外径がカテーテル本体2の先端方向に向かって漸減するか、または基材チューブ4の内径が先端方向に向かって漸増していてもよい。このような構成では、基材チューブ4または外層6の厚さが先端方向に向かって徐々に薄くなり、カテーテル本体2の剛性(曲げ剛性)も連続的に減少するので、耐キンク性が向上する。
【0056】
第1領域221、中間領域222および第2領域223の長さは、特に限定されない。図1に示すような血管カテーテル、特に、造影用のカテーテルにおいては、次のような範囲が好適である。すなわち、第2領域223および中間領域222の長さは、それぞれ50〜300mmとするのが好ましい。また、第1領域221の長さは、カテーテルの種類等により異なり、特に限定されない。
【0057】
次に、本発明のカテーテルを構成するその他の部材について説明する。
基材チューブ4は、可撓性を有する材料で構成されている。基材チューブ4の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリイミド等の樹脂や、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものを用いることができる。
【0058】
ポリアミドエラストマーとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的である。また、ポリアミドと柔軟性の富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド)、グラフトコポリマーもしくはランダムコポリマー、ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、またはこれらの混合物を用いることもできる。
【0059】
ポリエステルエラストマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルと、ポリエーテルまたはポリエステルとのブロック共重合体が代表的である。また、これらのポリマーアロイや、飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、またはこれらの混合物を用いることもできる。
【0060】
基材チューブ4は、単一の層で構成されている場合に限らず、複数の層から構成されていてもよい。以下、その例について説明する。
【0061】
図2に示すように、基材チューブ4の外面には、補強層41が設置されていてもよい。この補強層41は、例えば鋼線、ステンレスワイヤー等の金属線42または金属リボンの編組体で構成されていることが好ましい。また、補強層として、金属などの硬質材料からなるコイルまたはスリット入りチューブを用いることもできる。補強層は、基材チューブ4の内面に設けてもよいし、基材チューブ4の内部に埋設してもよい。また、補強層は、図2と異なり、樹脂層5と外層6との間に設けてもよい。
【0062】
補強層41のカテーテル本体長手方向での設置位置は任意である。例えば、補強層41は、カテーテル本体2の全長にわたって設置してもよいし、カテーテル本体2の先端部23を除く箇所に配置してもよいし、カテーテル本体2の先端部23および第2領域223の全部または一部を除く箇所に配置してもよい。このように補強層41の設置位置は、カテーテルの用途、求められる特性などに応じて適宜変更できる。
【0063】
図3に示すように、基材チューブ4の内面には、内腔3に露出する低摩擦層43が設けられていてもよい。低摩擦層43は、内腔3の内面の摩擦を低減できればいかなる材料からなるものでもよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリエチレン、ポリイミド等で構成されたものが挙げられる。低摩擦層43は、例えば浸漬塗布法により形成することができる。
【0064】
低摩擦層43のカテーテル本体長手方向に対する設置位置は、特に限定されないが、カテーテル本体2のほぼ全長にわたって設置するのが好ましい。また、基材チューブ4を低摩擦層に用いられる材料で構成していてもよい。
【0065】
低摩擦層43を設けることにより、内腔3に挿通されたガイドワイヤーとの摺動抵抗が低減され、先行するガイドワイヤーに沿ってカテーテル1を血管内へ挿入する操作、およびカテーテル1からガイドワイヤーを抜去する操作をより容易かつ円滑に行うことができる。
【0066】
必要に応じて設けられる外層6の材料としては、基材チューブ4の材料と同様のものを挙げることができる。外層6の構成材料の硬度は、ショアD硬度が40〜80程度であるのが好ましい。図7に示すように、外層6もカテーテル本体2の先端部23および第2領域223の先端部に設けないようにすることができる。これにより、カテーテル本体2の軸方向における剛性(柔軟性)の変化がより緩やかになり、追従性、耐キンク性が向上する。
【0067】
本発明では、カテーテル本体2の各領域の剛性(柔軟性)のバランスは、主に樹脂層5の構成に依存する。したがって、基材チューブ4および外層6の材料は、物理的性質(特に剛性や硬度)の点で制約を受けず、選択の範囲が広いという利点がある。
【0068】
カテーテルの使用時にX線透視下でカテーテル本体2の位置を視認できるように、基材チューブ4(またはそれを構成する層)または外層6に、例えば、白金、金、銀、タングステンまたはこれらの合金による金属粉末、硫酸バリウム、酸化ビスマスまたはそれらのカップリング化合物のようなX線造影剤を含ませてもよい。なお、これらのX線造影剤は樹脂線状体51、52の一方もしくは両方に含ませてもよい。
【0069】
本発明では、カテーテル本体2の外表面が、親水性(または水溶性)高分子物質で覆われていることが好ましい。この場合、カテーテル本体2の外表面が血液または生理食塩水などに接触したときに摩擦係数が減少して潤滑性が付与され、カテーテル本体2の摺動性が一段と向上する。その結果、カテーテルの押し込み性、追従性、耐キンク性および安全性が一段と高まる。
【0070】
親水性高分子物質としては、以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロン(例えば、東レ社製のAQ−ナイロン P−70)は、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。また、水溶性高分子物質を不溶化した誘導体でも、分子鎖に自由度があり、含水可能なものであれば用いることができる。
【0071】
カテーテル本体2の外表面を親水性高分子物質で被覆するには、外層6中または外層6表面(外層6がない場合は樹脂層5中または樹脂層5表面)に存在するかまたは導入された反応性官能基と共有結合させることが好ましい。このようにすれば、持続的な潤滑性表面を得ることができる。
【0072】
反応性官能基は、前記高分子物質と反応し、結合または架橋して固定するものであればいかなるものでもよく、ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基等が挙げられる。特にイソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基が好適である。
【0073】
本発明のカテーテルは、少なくとも第1の線状体51および第2の線状体52を用いて形成された樹脂層5を備えていればよい。本発明の一つの態様としては、図16に示すように、前記した基材チューブ4を設けずに、樹脂層5の内側に、樹脂層5の先端と基端との間に延びる内腔3を規定する構成を挙げることができる。
【0074】
次に、本発明に係るカテーテルの製造方法について説明する。まず、定法に従い、基材チューブ4を製造する。前述したように、基材チューブ4は、補強層41や低摩擦層43を有していてもよい。
【0075】
この基材チューブ4の外周に、第1の線状体51を螺旋状に巻き付ける。具体的には、線状体供給源から第1の線状体51を繰り出し、一方、線状体供給源に対し基材チューブ4を軸方向に移動するとともにその軸を中心に相対的に回転させて、基材チューブ4の外周に線状体51を連続的に巻き付けて行く。例えば、第1の線状体51の巻き付け開始位置を先端部23と第2領域223との境界部とし、基材チューブ4を一定の速度で回転させ、基材チューブ4の軸方向の移動速度を第2領域223、中間領域222および第1領域221のそれぞれの巻き付け位置において順次減少させる。こうして、第1の線状体51の密度を先端側から基端側へ向かうにつれて、疎から密に変化させることができる(図4参照)。
【0076】
次に、第1の線状体51が巻きつけられた基材チューブ4に、第2の線状体52を前記と同様の装置で螺旋状に巻き付ける。例えば、第2の線状体52の巻き付け開始位置を先端部23と第2領域223との境界部とし、基材チューブ4を一定の速度で前記と反対方向に回転させ、基材チューブ4の軸方向の移動速度を第2領域223、中間領域222および第1領域221のそれぞれの巻き付け位置において順次増加させる。こうして、第2の線状体52の密度を先端側から基端側へ向かうにつれて、密から疎に変化させることができる(図5参照)。
【0077】
以上のようにして第1の線状体51および第2の線状体52を巻き付けた後、これらを加熱して溶融した後、冷却して固化すると、図6に示すように、基材チューブ4の外周に平坦な樹脂層5が形成される。
【0078】
加熱の方法としては、例えば、第1の線状体51および第2の線状体52が配設された基材チューブ4を、目標外径とほぼ同寸法の口部を有する熱ダイスに通過させる方法、第1の線状体51および第2の線状体52の上に例えばフッ素系樹脂からなる熱収縮性チューブを被せ、これを加熱して熱収縮させる方法が挙げられる。なお、処理後の熱収縮性チューブは除去してもよいが、そのまま残せば外層6として用いることができる。
【0079】
加熱条件は、基材チューブ4、第1の線状体51および第2の線状体の材質、特に融点を考慮して適宜決定されるが、通常は100〜500℃で1〜15分が好ましい。
【0080】
このとき、第1の線状体51および第2の線状体52は、両者が完全に溶融しほぼ均一に混合または融合一体化した状態で固化してもよい。また、第1の線状体51および第2の線状体52が少なくとも部分的に溶融するが、完全には混合せず、少なくとも一方の線状体が骨格をある程度残した状態、すなわち溶融前の形をある程度残した状態で存在していてもよい。本発明の一態様としては、第1の線状体51および第2の線状体52のうち、低融点のものが溶融し、高融点のものが線状体の元の形状をある程度残した状態で存在する。この場合、溶融樹脂が元の形状を残している線状体の隙間に入り込むようにして一体化される。
【0081】
第1の線状体51の樹脂材料の融点をT1、第2の線状体52の樹脂材料の融点をT2としたとき、これらの差ΔT=|T1−T2|は3〜120℃が好ましく、5〜70℃がより好ましい。この程度の融点の差があれば、上記のような溶融状態を容易に得ることができる。
【0082】
本発明では、接着剤または溶剤を用いて、第1の線状体51および第2の線状体52を基材チューブ4に固定してもよい。
【0083】
以上のようにして樹脂層5を形成した後、必要に応じて、その外周を外層6で被覆する。外層6は被覆方法としては、種々の方法が用いられる。例えば、接着剤または溶剤を用い、外層6を樹脂層5が形成された基材チューブ4に接着してもよい。外層6を樹脂層5が形成された基材チューブ4に熱融着または高周波融着してもよい。加熱または溶剤により膨張させた外層6の内部に樹脂層5が形成された基材チューブ4を挿入した後に外層6を収縮させてもよい。樹脂層5が形成された基材チューブ4上に、押出成形により溶融した外層材料を被着させるか、または外層材料の溶液をコーティングした後、冷却して固化させるかまたは溶媒を揮発させて外層6を形成してもよい。
【0084】
必要に応じて、外層6(外層6がない場合は樹脂層5)の外表面を親水性高分子物質で覆う処理を行った後、カテーテル本体2の基端21にハブ7を装着して、本発明のカテーテル1を製造する。
【0085】
本発明に係るカテーテルの他の製造方法として、前記の基材チューブ4に代わりにマンドレルの周囲に第1および第2の線状体を巻きつけ、最終的にマンドレルを抜き取ってカテーテルを形成してもよい。この方法では、図16に示すような基材チューブ4を持たないカテーテル本体2が得られる。このようなカテーテルの製造方法を、図17、図18、および図19を参照して以下に説明する。
【0086】
この方法で使用されるマンドレル8としては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ステンレス等の金属ワイヤを用いることができる。なお、最終的にマンドレルを抜き取り易くするために、マンドレルの外面にシリコーンオイル、フッ素系オイル、流動パラフィン、パラフィンワックス等の離型剤を塗布してもよい。
【0087】
次に、マンドレル8の外周に、第1の線状体51を螺旋状に巻き付ける。具体的には、線状体供給源から第1の線状体を繰り出し、一方、線状体供給源に対しマンドレル8を軸方向に移動するとともにその軸を中心に相対的に回転させて、マンドレル8の外周に線状体51を連続的に巻き付けていく。例えば、第1の線状体51の巻き付け開始位置を先端部23と第2領域223との境界部とし、マンドレル8を一定の速度で回転させ、マンドレル8の軸方向の移動速度を第2領域223、中間領域222、および第1領域221のそれぞれの巻き付け位置において順次減少させる。こうして、第1の線状体51の密度を先端側から基端側へ向かうにつれて、疎から密に変化させることができる(図17参照)。
【0088】
次に、第1の線状体51が巻き付けられたマンドレル8に、第2の線状体52を前記と同様の装置で螺旋状に巻き付ける。例えば、第2の線状体52の巻き付け開始位置を先端部23と第2領域223との境界部とし、マンドレル8を一定の速度で前記と逆方向に回転させ、マンドレル8の軸方向の移動速度を第2領域223、中間領域222、および第1領域221のそれぞれの巻き付け位置において順次増加させる。こうして、第2の線状体52の密度を先端側から基端側へ向かうにつれて、密から疎に変化させることができる(図18参照)。
【0089】
以上のようにして第1の線状体51および第2の線状体52を巻き付け、これらを加熱して溶融した後、冷却して固化すると、マンドレル8の外周に平坦な樹脂層5が形成される。加熱の方法、加熱条件、線状体の溶融状態等は、前記した製造方法と同様である。
【0090】
以上のようにして樹脂層5を形成した後、必要に応じて、その外周を外層6で被覆する。外層6の被覆方法としては、前記した製造方法と同様のものが挙げられる。
【0091】
次に、樹脂層5が被覆成形されたマンドレル8を抜き取り、成形されたカテーテル本体2を得る。マンドレル8の抜き取りは、成形された樹脂層5(および外層6)の一端を固定し、他端からマンドレル8を引き抜くことにより行うことができる。また、マンドレル8に伸びを与えて細径化し、成形した樹脂層5をマンドレル8から剥離させた後、樹脂層5の一端を固定し、他端からマンドレル8を抜き取ってもよい。マンドレル8に伸びを与えるには、マンドレル8の一端を固定し、他端を引っ張る方法を用いてもよいし、マンドレル8を両端から引っ張る方法を用いてもよい。マンドレル8に与える伸びの量は10〜30%程度でよく、通常は15〜25%程度に設定される。
【0092】
以上のようにして、基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔3を規定する管状の樹脂層5を具備するカテーテル本体2が形成される。必要に応じて、外層6(外層6がない場合は、樹脂層5)の外面を親水性高分子物質で覆う処理を行う。その後、カテーテル本体2の基端21にハブ7を装着して、本発明のカテーテル1を製造する。なお、親水性高分子物質で覆う処理は、マンドレル8を樹脂層5から抜き取る前に行ってもよい。
【0093】
なお、前記した第1および第2の線状体51、52の巻き付けに関し、前記した説明とは反対に、カテーテル本体2の基端側から第1の線状体51および/または第2の線状体の巻き付けを開始してもよいことはいうまでもない。また、基材チューブ4またはマンドレル8の軸方向の移動速度を一定とし、第2領域223、中間領域222および第1領域221のそれぞれの巻き付け位置において、基材チューブ4またはマンドレル8の回転速度を順次変化させてもよい。
【0094】
本発明の方法では、基材チューブ4またはマンドレル8と線状体供給源とが相対的に回転し、かつ相対的に軸方向に移動すればよい。したがって、基材チューブ4またはマンドレル8を回転させ、線状体供給部を軸方向に移動させてもよい。基材チューブ4またはマンドレル8を軸方向に移動させ、線状体供給源を基材チューブ4またはマンドレル8の外周回りに回転させてもよい。基材チューブ4またはマンドレル8を固定し、線状体供給源を基材チューブ4またはマンドレル8の外周回りに回転させるとともに軸方向に移動させてもよい。さらに、これらの方法を組み合わせてもよい。
【0095】
このような方法で第1の線状体51および第2の線状体52を配設すれば、基材チューブ4またはマンドレル8と線状体供給源との相対移動速度または相対回転速度を適宜調整するだけで、第1の線状体51および第2の線状体52を所定の密度に配置することができる。すなわち、カテーテル本体2の各部の剛性等を所望のバランスに調整することができ、使用目的や症例に適した特性を有するカテーテルを容易に製造することができる。
【0096】
また、基材チューブ4またはマンドレル8と線状体供給源との相対移動速度または相対回転速度を連続的に変化させるだけで、第1の線状体51および第2の線状体52の密度をカテーテル本体2の軸方向に沿って連続的に変化させたカテーテルでも容易に製造することができる。
【0097】
なお、以上では、第1の線状体51の巻き付けを行った後、第2の線状体52の巻き付けを行う実施形態について説明しているが、2つの線状体の巻きつけ方法は特に限定されない。例えば、第1の線状体51と第2の線状体52とを同方向または逆方向から、同時にまたは所定の時間差をおいて巻き付ける方法を採用してもよい。また、第2の線状体52を先に巻き付けてから第1の線状体51を巻き付けてもよい。
【0098】
次に、第1の線状体51および第2の線状体52を基材チューブ4の外周に網目状に配設する場合について、図8〜図11を参照して説明する。この実施形態でも、第1の線状体51は、第2の線状体52より曲げ剛性が高い(柔軟性が低い)樹脂材料からなっている。
【0099】
図8〜図10は、カテーテル本体2の主要部22における第1の線状体51および第2の線状体52のパターンを示す平面図であり、図8は第1領域221、図9は中間領域222、図10は第2領域223を示している。
【0100】
これらの図に示すように、第1の線状体51(図中黒色線で示す)および第2の線状体52(図中白色線で示す)は、基材チューブ4の外周に網目状に編組されている。第1領域221では第1の線状体51が密に、第2の線状体52が疎に編組され(図8参照)、中間領域222では第1の線状体51と第2の線状体52とがほぼ同じ密度で編組され(図9参照)、第2領域223では第1の線状体51が疎に、第2の線状体52が密に編組されている(図10参照)。その他の構成、数値範囲、作用、効果等については、前述した実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0101】
次に、図8〜図10に示すカテーテルの製造方法について説明する。まず、定法に従い、基材チューブ4を製造する。前述したように、基材チューブ4は、補強層41や低摩擦層43を有していてもよい。この基材チューブ4の外周に、第1の線状体51および第2の線状体52を網目状に編組する。
【0102】
図11に、線状体を編組するために用いられる、公知のブレーダーを改良した装置10を示す。この線状体配設装置10は、同心的に回転する内側ターンテーブル11と外側ターンテーブル12とを有し、内側ターンテーブル11の中心開口には、基材チューブ4がほぼ垂直に挿通されている。
【0103】
内側ターンテーブル11上には、第1の線状体51の供給源であるキャリア(線状体を繰り出す糸巻き状のもの)13が90°間隔で2個ずつ(合計8個)搭載されている。外側ターンテーブル12上には、第2の線状体52の供給源であるキャリア(線状体を繰り出す糸巻き状のもの)14が90°間隔で2個ずつ(合計8個)搭載されている。内側ターンテーブル11と外側ターンテーブル12とは、互いに独立して回転することができる。
【0104】
内側ターンテーブル11上では、回転に伴い、例えば90°回転するごとに、半径方向で隣り合う2つのキャリア13が、中心側の位置および外周側の位置を交互に入れ替わるように移動する。同様に、外側ターンテーブル12上では、回転に伴い、例えば90°回転するごとに、半径方向に隣り合う2つのキャリア14が、中心側の位置および外周側の位置を交互に入れ替わるように移動する。
【0105】
図11の線状体配設装置10を用い、基材チューブ4を上方へ移動しつつ、内側ターンテーブル11および外側ターンテーブル12を同方向に回転させ、それらに搭載された各キャリア13、14から合計16本の第1の線状体51および第2の線状体52を繰り出す。このとき、半径方向に隣り合う2つのキャリア13同士およびキャリア14同士は、中心側の位置および外周側の位置を交互に入れ替わるように移動するので、基材チューブ4の外周面に連続的に巻き付けられ、編組体となった樹脂層5が形成される。
【0106】
この装置では、基材チューブ4の軸方向への移動速度を一定に設定した場合、内側ターンテーブル11の回転速度(角速度)を外側ターンテーブル12のそれより速くすると、第1の線状体51が密に、第2の線状体52が疎に巻かれ、内側ターンテーブル11と外側ターンテーブル12の回転速度(角速度)を等しくすると、第1の線状体51と第2の線状体52とはほぼ同じ密度で巻かれ、外側ターンテーブル12の回転速度(角速度)を内側ターンテーブル11のそれより速くすると、第2の線状体52が密に、第1の線状体51が疎に巻かれる。
【0107】
以上のようにして第1の線状体51および第2の線状体52を編組した後、これらを加熱して溶融し、冷却して固化することにより、基材チューブ4の外周に樹脂層5が形成される。加熱の方法、条件、線状体の溶融状態等については、前記と同様である。その後、必要に応じて、その外周を外層6で被覆する。外層6の被覆方法は前記と同様である。さらに、必要に応じて、外層6の外表面を親水性高分子物質で覆う処理を行った後、カテーテル本体2の基端21にハブ7を装着して、本発明のカテーテル1を製造する。
【0108】
第1の線状体51および第2の線状体52を網目状に配設する場合において、前記の基材チューブ4の代わりにマンドレルの周囲に第1および第2の線状体51、52を編組し、最終的にマンドレルを抜き取って、図16に示すようなカテーテルを作製してもよい。この方法では、基材チューブ4を持たないカテーテル本体2が得られる。このようなカテーテルの製造方法を、図11および図19を参照して説明する。
【0109】
この方法で使用されるマンドレル8としては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ステンレス等の金属ワイヤを用いることができる。なお、最終的にマンドレルを抜き取り易くするために、マンドレルの外面にシリコーンオイル、フッ素系オイル、流動パラフィン、パラフィンワックス等の離型剤を塗布してもよい。
【0110】
次に、このマンドレル8の外周に、第1の線状体51および第2の線状体52を編組する。これらの線状体を編組するための装置としては、前記した方法と同様、図11に示す線状体配設装置10を用いることができる。そして、この装置10の内側ターンテーブル11の中心開口にマンドレル8をほぼ垂直に挿通し、マンドレル8を上方へ移動しつつ、内側ターンテーブル11および外側ターンテーブル12を周方向に回転させ、それらに搭載された各キャリア13、14から合計16本の第1の線状体51および第2の線状体52を繰り出す。このとき、半径方向に隣り合う2つのキャリア13同士およびキャリア14同士は、中心側の位置および外周側の位置を交互に入れ替わるように移動するので、マンドレル8の外周面に連続的に巻き付けられ、編組体となった樹脂層5が形成される。
【0111】
この装置では、マンドレル8の軸方向への移動速度を一定に設定した場合、内側ターンテーブル11の回転速度(角速度)を外側ターンテーブル12のそれより速くすると、第1の線状体51が密に、第2の線状体52が疎に巻かれ、内側ターンテーブル11と外側ターンテーブル12の回転速度(角速度)を等しくすると、第1の線状体51と第2の線状体52とはほぼ同じ密度で巻かれ、外側ターンテーブル12の回転速度(角速度)を内側ターンテーブル11のそれより速くすると、第2の線状体52が密に、第1の線状体51が疎に巻かれる。
【0112】
以上のようにして第1の線状体51および第2の線状体52を編組した後、これらを加熱して溶融し、冷却して固化することにより、マンドレル8の外周に平坦な樹脂層5が形成される。加熱の方法、条件、線状体の溶融状態等については、前記した製造方法と同様である。
【0113】
以上のようにして樹脂層5を形成した後、必要に応じて、その外周を外層6で被覆する。外層6の被覆方法は前記した製造方法と同様である。
【0114】
次に、樹脂層5が被覆形成されたマンドレル8を抜き取り、成形されたカテーテル本体2を得る。マンドレル8の抜き取り方法は、前記した第1、第2の線状体51、52を螺旋状に配設する場合について説明したものと同様である。
【0115】
以上のようにして、先端と基端とを有し、先端と基端との間に延びる内腔3を規定する管状の樹脂層5を具備するカテーテル本体2が形成される。必要に応じて、外層6(外層6がない場合は、樹脂層5)の外面を親水性高分子物質で覆う処理を行う。その後、カテーテル本体2の基端21にハブ7を装着して、本発明のカテーテル1を製造する。なお、親水性高分子物質で覆う処理は、マンドレル8を樹脂層5から抜き取る前に行ってもよい。
【0116】
以上説明した方法では、内側ターンテーブル11と外側ターンテーブル12の回転速度(角速度)を適宜調節することにより、第1領域221、中間領域222および第2領域223のそれぞれにおいて、第1および第2の線状体51、52の配設密度を調整することができる。
【0117】
図11の装置を用いれば、基材チューブ4またはマンドレル8に対するキャリア13および14のそれぞれの相対回転速度を適宜調整するだけで、第1の線状体51および第2の線状体52を所定の密度で配置することができる。したがって、カテーテル本体2の各部の剛性を所望のバランスに調整することができ、使用目的や症例に適した特性を有するカテーテルを容易に製造することができる。
【0118】
また、キャリア13および14の相対回転速度を連続的に変化させれば、長手方向に沿って第1の線状体51および第2の線状体52の密度が連続的に変化したカテーテルを容易に製造することができる。
【0119】
なお、上記では、第1の線状体51の編組と第2の線状体52の編組を同時に行っている場合について説明しているが、編組方法は特に限定されない。例えば、第1の線状体51を編組した後に第2の線状体52を編組してもよい。逆に、第2の線状体52を編組した後に第1の線状体51を編組してもよい。また、第1の線状体51と第2の線状体52とを所定の時間差をおいて編組してもよい。
【0120】
本発明は、以上で説明した血管カテーテルに限定されず、例えば、ガイディングカテーテル、造影用カテーテル、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)用、経皮経管動脈形成術(PTA)用、IABP用などの各種バルーンカテーテル、超音波カテーテル、アテレクトミーカテーテル、内視鏡用カテーテル、留置カテーテル、薬液投与用カテーテル、脳や肝臓などの臓器に導入される塞栓術用カテーテル(マイクロカテーテル)等の種々のカテーテルに適用することができる。
【0121】
次に、本発明に係るガイディングカテーテルについて説明する。ガイディングカテーテルは、治療用カテーテルや診断用カテーテルを体腔内の目的領域の近傍まで導入するために用いられる。
【0122】
図12は本発明に係るガイディングカテーテルの一例を示す平面図、図13は図12に示すガイディングカテーテルの湾曲形状をなす先端部を直線状に伸ばして示す縦断面図である。これらの図に示されるガイディングカテーテル1は、左冠動脈用のものであり、いわゆるジャドキンス型の湾曲形状をなす先端部を有する。図12では、ガイディングカテーテル1のカテーテル本体2を、基端21側から、領域22、領域23、領域24、領域25、および領域26に区分して説明する。このガイディングカテーテルでは、治療用カテーテルや診断用カテーテルを挿入することにより生じる反作用を緩和するためのバックアップ力を与えるために、最も大きく湾曲している領域24は、隣接する領域23および25よりも高い剛性(領域22に近い剛性)を有するように設計される。
【0123】
なお、本発明は、アンプラッツ型等の他の湾曲形状をなすガイディングカテーテルや、右冠動脈や頭部等の他の患部に用いられるガイディングカテーテルにも適用できる。
【0124】
図12に示すように、カテーテル1は、カテーテル本体2と、このカテーテル本体2の基端21に装着されたハブ7と、Yコネクタ70で構成されている。カテーテル本体2は、その基端21から先端にかけて内部に内腔3が形成されている。ガイドワイヤーならびにPTCA拡張カテーテルやその他の医療器具は、Yコネクタ70のポート72から導入され、Yコネクタ70およびハブ7の内部空間を通って、カテーテル本体2の内腔3内に挿入される。Yコネクタ70には、管状の分岐部71が形成されている。分岐部71は、例えば、血管内の所望の目的領域へのX線造影剤の注入に用いられる。分岐部71より注入されたX線造影剤は、Yコネクタ70の内腔およびカテーテル本体2の内腔3を経て先端開口より吐出される。カテーテル本体2の外径は冠状動脈の径より小さく、10Fr(3.33mm)以下である。図13に示すように、カテーテル本体2は、基材チューブ4の外周に補強層41が形成され、さらにその外周に樹脂層5が形成された構造を有する。
【0125】
上述したようにカテーテル本体2は、基端21側から、領域22、領域23、領域24、領域25および領域26の5つの領域に区分される。これらの各領域における樹脂層5は、比較的高い剛性を有する第1の線状体および比較的低い剛性を有する第2の線状体を用い、これらの線状体を螺旋状(図4および図5参照)または網目状(図8〜図10参照)に配設した後、溶融して固化することにより形成されている。
【0126】
本実施形態のガイディングカテーテルにおける各領域のより詳細な構成は以下の通りである。領域22の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体のみを配設することにより形成されている。領域23の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体を疎に、第2の線状体を密に配設することにより形成されている。領域24の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体を密に、第2の線状体を疎に配設することにより形成されている。領域25の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体を疎に、第2の線状体を密に配設することにより形成されている。領域26の樹脂層5は基材チューブ4に第2の線状体のみを配設することにより形成されている。
【0127】
このような構成により、領域22は十分な曲げ剛性を有し、一方で領域26は柔軟性に富み、高い安全性が得られる。領域22と領域26との間の領域23、24、25は、領域22よりも曲げ剛性が低く、かつ領域26よりも曲げ剛性が高くなる。このため、領域22から領域26にかけて、曲げ剛性の急激な変化が防止される。また、領域24は、隣接する領域23や25よりも高い剛性を有する。したがって、領域24はカテーテル本体2を通して治療用カテーテル等を挿入することにより生じる反作用を緩和するためのバックアップ力を与え、治療用カテーテル等を目的領域まで滑らかに導入することを可能にする機能を発揮する。
【0128】
なお、領域22〜26の境界部において、第1の線状体および第2の線状体の配設密度をカテーテルの長手方向に徐々に変化させ、曲げ剛性の変化をよりなだらかにすることが好ましい。
【0129】
本実施形態では、第1の線状体には、曲げ弾性率14000〜15500kg/cm2、ショアD硬度65〜74の樹脂材料を用いることが好ましい。第2の線状体には、曲げ弾性率150〜520kg/cm2、ショアD硬度29〜38の樹脂材料を用いることが好ましい。
【0130】
領域23および25における第1の線状体および第2の線状体の配設密度は、第1の線状体:第2の線状体の面積比または重量比で、1:9〜5:5が好ましく、2:8〜3:7がより好ましい。
【0131】
領域24における第1の線状体および第2の線状体の配設密度は、第1の線状体:第2の線状体の面積比または重量比で、9:1〜5:5が好ましく、8:2〜7:3がより好ましい。
【0132】
これらの線状体は、基材チューブ4および補強層41の上に巻き付けるか編組された後、加熱により少なくとも部分的に溶融され、固化されて樹脂層5を形成する。このときの加熱方法、加熱条件および線状体の溶融状態は上述した通りである。このため、第1および第2の線状体の樹脂材料として互いに相溶性のあるものを選択することが好ましい。第1および第2の線状体の好適な組み合わせとしては、例えば、ポリウレタンとポリアミド、ポリアミドとポリアミドエラストマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンとポリオレフィンエラストマー、ポリエチレンテレフタレートとポリエステルエラストマー、ポリウレタンとポリエステルエラストマー、高可塑化ポリ塩化ビニルと低可塑化ポリ塩化ビニル等が挙げられる。特に、高剛性のポリアミドと低剛性のポリアミドエラストマー、高剛性のポリウレタンと低剛性のポリエステルエラストマーが好適である。
【0133】
樹脂層5の厚さは、10〜150μmが好ましい。樹脂層5の厚さ、したがってカテーテル本体2の外径はカテーテル1の全長にわたって一定でなくともよい。例えば、カテーテル1の基端側領域の外径を先端側領域よりも太くすると、曲げ剛性を高めることができる。
【0134】
領域22〜26の長さは、カテーテルの形状、種類等により適宜設定され、特に限定されない。図示のようなジャドキンス型の左冠動脈用ガイディングカテーテルにおいては、下記のような範囲が好ましい。すなわち、領域22の長さは500〜1000mm、領域23の長さは80〜150mm、領域24の長さは20〜80mm、領域25の長さは5〜20mm、領域26の長さは2〜15mmが好ましい。
【0135】
本実施形態ではバックアップ力向上の観点から領域24の剛性を領域23および25よりも高くしている。本発明はこれに限定されず、領域23〜25にわたって2つの線状体の配設密度を徐々に変化させて、基端側で領域22の剛性に近い剛性から先端側で領域26の剛性に近い剛性にまで徐々に変化させてもよい。このときの剛性の変化のさせ方は、連続的でもよいし、段階的でもよい。
【0136】
次に、本発明のカテーテルを構成するその他の部材について説明する。
基材チューブ4は、内腔3を規定するものであり、低摩擦材料からなっている。基材チューブ4の内面は摩擦が低いので、内腔3に挿通されたガイドワイヤーや拡張カテーテル等との摺動抵抗が低減される。したがって、先行するガイドワイヤーに沿ってカテーテル1を血管内に挿入する操作や、カテーテル1からガイドワイヤーを抜去する操作をより容易かつ円滑に行うことができる。
【0137】
基材チューブ4は、内面の摩擦を低減できるものであれば、いかなる材料からなっていてもよい。例えば、フッ素系樹脂、ナイロン66、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリイミド等が挙げられる。特に、フッ素系樹脂がより好ましい。
【0138】
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。特に、ポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。
【0139】
基材チューブ4の厚さは特に限定されないが、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。基材チューブ4の厚さが厚すぎると、カテーテル本体2の細径化に不利である。
【0140】
図13に示すように、基材チューブ4は、カテーテル本体2の領域26の途中から先端側には設けないことが好ましい。このような構成では、カテーテル本体2の最先端部分の柔軟性が向上し、血管内壁の損傷を防止し、安全性が向上する。
【0141】
基材チューブ4の外周には補強層41が設けられている。補強層41は、押し込み性、トルク伝達性、耐キンク性ならびに耐圧性の観点から、例えば鋼線、ステンレスワイヤー等の金属線よりなる編組体で構成することが好ましい。また、補強層41のその他の例としては、金属等の硬質材料によるコイル、金属等の硬質材料で構成されたスリット入りのチューブが挙げられる。
【0142】
補強層41を構成する金属線は、その断面形状が図示のような円形のもの(ワイヤ)に限らず、偏平形状のもの(リボン)であってもよい。断面形状が円形の金属ワイヤは、直径が10〜70μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。金属リボンは、幅が100〜200μm、厚さが10〜50μmが好ましい。
【0143】
補強層41は、基材チューブ4の先端から基端側へ所定長離れた位置を先端位置として、領域26の基端側領域、領域25、24、23および22にわたって設置されている。このように、領域26の先端側領域に補強層41を設置しないことにより、カテーテル本体2の最先端領域26の先端側領域の柔軟性が向上し、血管内壁の損傷を防止し、安全性が向上する。
【0144】
なお、第1の線状体、第2の線状体、または基材チューブ4中に、例えば、白金、金、銀、タングステンまたはこれらの合金からなる金属粉末、硫酸バリウム、酸化ビスマスまたはそれらのカップリング化合物を含むX線造影剤を添加してもよい。このようにすることにより、カテーテル1の使用時にX線透視下でカテーテル本体2の位置を視認することが可能となる。
【0145】
次に、本発明に係るマイクロカテーテル(塞栓術用カテーテル)について説明する。マイクロカテーテルは、脳や腹部臓器(例えば肝臓)の目的領域に各種治療薬、塞栓物質、造影剤などを投与、注入するために用いられる。
【0146】
図14は本発明に係るマイクロカテーテルの一例を示す平面図、図15は図14に示すカテーテルの縦断面図である。
【0147】
図14に示すように、カテーテル1は、カテーテル本体2と、このカテーテル本体2の基端21に装着されたハブ7とで構成されている。カテーテル本体2は、その基端21から先端にかけて内部に内腔3が形成されている。カテーテル1の血管への挿入時は、内腔3内にガイドワイヤーが挿通される。この内腔3はX線造影剤や薬液等の流路としても用いられる。図15に示すように、カテーテル本体2は、基材チューブ4の外周に補強層41が形成され、さらにその外周に樹脂層5が形成された構造を有する。
【0148】
図14では、マイクロカテーテル1のカテーテル本体2を、基端21側から、領域22、領域23、領域24、領域25、および領域26に区分して説明する。これらの各領域における樹脂層5は、比較的高い剛性を有する第1の線状体および比較的低い剛性を有する第2の線状体を用い、これらの線状体を螺旋状(図4および図5参照)または網目状(図8〜図10参照)に配設した後、溶融して固化することにより形成されている。
【0149】
本実施形態のマイクロカテーテルにおける各領域のより詳細な構成は以下の通りである。領域22の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体のみを配設することにより形成されている。領域23の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体を密に、第2の線状体を疎に配設することにより形成されている。領域24の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体と第2の線状体をそれぞれ領域23と25の中間の密度で配設することにより形成されている。領域25の樹脂層5は基材チューブ4に第1の線状体を疎に、第2の線状体を密に配設することにより形成されている。領域26の樹脂層5は基材チューブ4に第2の線状体のみを配設することにより形成されている。
【0150】
このような構成により、領域22は十分な曲げ剛性を有し、一方で領域26は柔軟性に富み、高い安全性が得られる。そして、カテーテル本体2の曲げ剛性が領域22、23、24、25,26の順に先端方向に向かって徐々に減少しているので、優れた追従性および耐キンク性を発揮する。
【0151】
各領域の範囲内では、第1の線状体と第2の線状体の密度は一定でもよい。ただし、領域22〜26の境界部で、第1の線状体および第2の線状体の密度をカテーテルの長手方向に徐々に変化させ、曲げ剛性の変化をよりなだらかにすることが好ましい。さらに、各領域23、24、25の範囲内で、第1および第2の線状体の比率を連続的または段階的に変化させることにより、カテーテル本体2の曲げ剛性をカテーテルの先端方向に向かってより連続的に減少させることが好ましい。
【0152】
本実施形態では、第1の線状体には、曲げ弾性率14000〜15500kg/cm2、ショアD硬度65〜74の樹脂材料を用いることが好ましい。第2の線状体には、曲げ弾性率150〜520kg/cm2、ショアD硬度29〜38の樹脂材料を用いることが好ましい。
【0153】
領域23における第1の線状体および第2の線状体の配設密度は、第1の線状体:第2の線状体の面積比または重量比で、40:60〜99:1が好ましく、50:50〜95:5がより好ましい。
【0154】
領域24における第1の線状体および第2の線状体の配設密度は、第1の線状体:第2の線状体の面積比または重量比で、20:80〜60:40が好ましく、30:70〜50:50がより好ましい。
【0155】
領域25における第1の線状体および第2の線状体の配設密度は、第1の線状体:第2の線状体の面積比または重量比で、1:99〜40:60が好ましく、5:95〜30:70がより好ましい。
【0156】
これらの線状体は、基材チューブ4および補強層41の上に配設された後、加熱により少なくとも部分的に溶融され、固化されて樹脂層5を形成する。このときの加熱方法、加熱条件および線状体の溶融状態は上述した通りである。このため、第1および第2の線状体の樹脂材料として互いに相溶性のあるものを選択することが好ましい。第1および第2の線状体の好適な組み合わせとしては、高剛性のポリアミドと低剛性のポリアミドエラストマー、高剛性のポリウレタンと低剛性のポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
【0157】
樹脂層5の厚さは、50〜200μmが好ましい。樹脂層5の厚さ、したがってカテーテル本体2の外径はカテーテル1の全長にわたって一定でなくともよい。例えば、カテーテル1の基端側領域の外径を先端側領域よりも太くすると、曲げ剛性を高めることができる。
【0158】
領域22〜26の長さは、カテーテルの形状、種類等により適宜設定され、特に限定されない。図示のようなマイクロカテーテルにおいては、下記のような範囲が好ましい。すなわち、領域22の長さは750〜1300mm、領域23の長さは5〜100mm、領域24の長さは5〜100mm、領域25の長さは100〜300mm、領域26の長さは5〜100mmが好ましい。
【0159】
次に、本発明のマイクロカテーテルを構成するその他の部材について説明する。
基材チューブ4は、内腔3を規定するものであり、低摩擦材料からなっている。基材チューブ4の内面は摩擦が低いので、内腔3に挿通されたガイドワイヤーや拡張カテーテル等との摺動抵抗が低減される。したがって、先行するガイドワイヤーに沿ってカテーテル1を血管内に挿入する操作や、カテーテル1からガイドワイヤーを抜去する操作をより容易かつ円滑に行うことができる。
【0160】
基材チューブ4は、内面の摩擦を低減できるものであれば、いかなる材料からなっていてもよい。例えば、フッ素系樹脂、ナイロン66、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリイミド等が挙げられる。特に、フッ素系樹脂がより好ましい。
【0161】
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。特に、ポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。
【0162】
基材チューブ4の厚さは特に限定されないが、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。基材チューブ4の厚さが厚すぎると、カテーテル本体2の細径化に不利である。
【0163】
図15では、基材チューブ4をカテーテル本体2の長手方向の全長にわたって設けているが、必ずしもカテーテル本体2の長手方向の全長にわたって設ける必要はない。例えば、領域26の途中から先端側には設けないようにしてもよい。
【0164】
基材チューブ4の外周にはカテーテル本体2を補強するための補強層41が設けられている。本実施形態では、補強層41はコイルで構成されている。なお、補強層のその他の例としては、金属線の編組体や、金属からなるスリット入りのチューブなどが挙げられる。編組体とコイルを併用してもよい。例えば、基材チューブ4の基端側に編組体を設け、先端側にコイルを設けてもよい。また、基材チューブ4の外周に編組体とコイルを積層してもよい。
【0165】
コイルの材料は金属でも非金属でもよい。例えば、金属部材を螺旋状に形成したもの、非金属部材を螺旋状に形成したもの、金属部材と非金属部材を重ねて螺旋状に形成したものなどを用いることができる。
【0166】
金属部材の材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、プラチナ、イリジウム、タングステン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0167】
非金属部材の材料としては、例えば、カーボン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0168】
コイルの巻きピッチは、特に限定されないが、2mm以下が好ましく、0.02〜0.5mmがより好ましい。コイルの巻きピッチが前述の範囲にあれば、カテーテル本体2に適度な剛性を付与できる。また、コイルの巻きピッチはカテーテルの全長にわたって一定でなくてもよく、領域に応じて変化させてもよい。
【0169】
補強層41を構成する金属線は、その断面形状が円形のもの(ワイヤ)に限らず、偏平形状のもの(リボン)であってもよい。断面形状が円形の金属ワイヤは、直径0.03〜0.06mmが好ましく、0.04〜0.05mmがより好ましい。金属リボンは、幅が0.1〜1.0mm、厚さが0.01〜0.05mmが好ましい。
【0170】
このようなコイルや編組体で構成される補強層41は、比較的薄い場合でも十分な補強効果を与える。このため、このような補強層41を有するカテーテル本体2は細径化に有利である。
【0171】
本実施形態では、領域26において、補強層41よりも先端側にX線不透過性マーカー44が設置されている。X線不透過性マーカー44は、カテーテル本体2を血管内へ挿入する場合に、X線透視下でカテーテル本体2の位置を視認できるように設けられる。X線不透過性マーカー44は、コイルまたはリング等のいかなる形状であってもよい。X線不透過性マーカー44は、補強層41内の任意の位置に設置することができる。X線不透過性マーカー44は、1個所に限らず、複数個所に設けてもよい。本実施形態では、補強層41よりも先端側の1個所に、巻きピッチの小さいコイル形状のX線不透過性マーカー44が形成されている。
【0172】
X線不透過性マーカー44の材料としては、例えば、金、プラチナ、イリジウム、タングステン、またはこれらの合金が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0173】
なお、補強層41として、タングステン等からなるコイルを用い、先端側の領域でコイルの巻きピッチを例えば0.05mm以下に小さくすれば、その部分をX線不透過性マーカー44として用いることができる。この場合、補強層41およびX線不透過性マーカー44を同一のワイヤまたはリボンで作製することができる。
【0174】
また、第1の線状体、第2の線状体、または基材チューブ4中に、例えば、白金、金、銀、タングステンまたはこれらの合金からなる金属粉末、硫酸バリウム、酸化ビスマスまたはそれらのカップリング化合物を含むX線造影剤を添加してもよい。
【0175】
本実施形態のカテーテル1では、カテーテル本体2の表面、すなわち樹脂層5の少なくとも先端側の表面を親水性高分子物質(図示せず)で被覆することが好ましい。この場合、カテーテル本体2の外表面が血液または生理食塩水等の液体に接触したときに潤滑性が得られ、カテーテル本体2の摩擦抵抗が減少して、摺動性が一段と向上する。その結果、カテーテルの挿入時の操作性、特に押し込み性、追従性、耐キンク性および安全性が一段と高まる。
【0176】
一方、カテーテル1を血管内へ挿入する際には、カテーテル本体2の基端側を手に持って操作する。このとき手の中でカテーテル本体2が滑ると操作性が低下するため好ましくない。したがって、カテーテル本体2の基端21から先端方向に向かって、例えば150〜500mmの所定長さの領域は親水性高分子物質で被覆しないことが好ましい。
【0177】
親水性高分子物質としては、以下のような天然もしくは合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(例えば、ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロン(例えば、東レ社製のAQ−ナイロン P−70)は、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。特に、無水マレイン酸系高分子物質がより好ましく用いられる。また、水溶性高分子物質を不溶化した誘導体でも、分子鎖に自由度があり、含水可能なものであれば用いることができる。
【0178】
カテーテル本体2の外表面を親水性高分子物質で被覆するには、樹脂層5中または樹脂層5表面に存在するかまたは導入された反応性官能基と共有結合させることが好ましい。このようにすれば、持続的な潤滑性表面を得ることができる。
【0179】
反応性官能基は、前記高分子物質と反応し、結合または架橋して固定するものであればいかなるものでもよく、ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基等が挙げられる。特にイソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基が好適である。
【0180】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のカテーテルは、物性の異なる第1の線状体と第2の線状体の配設密度の調整により、カテーテル各部の剛性のバランスが極めて良好となり、優れた押し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性を発揮するとともに、カテーテルを挿入する血管等への損傷も防止でき安全性が高い。また、第1の線状体および第2の線状体で構成される樹脂層がカテーテルに剛性の変化を付与するため、カテーテルの細径化に有利である。特に、カテーテルの内径を十分に確保した上で、カテーテルの外径を小さくすることができる。
【0181】
また、本発明によれば、カテーテルを容易かつ安価に製造することができ、特にカテーテル各部の剛性、柔軟性を容易かつ確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカテーテルの一例を示す平面図。
【図2】本発明のカテーテルにおける基材チューブの例を示す断面図。
【図3】本発明のカテーテルにおける基材チューブの他の例を示す断面図。
【図4】本発明のカテーテルの製造工程を示す図。
【図5】本発明のカテーテルの製造工程を示す図。
【図6】本発明のカテーテルの製造工程を示す図。
【図7】本発明のカテーテルの製造工程を示す図。
【図8】本発明のカテーテルの基端側領域における第1の線状体および第2の線状体の巻きパターンを示す平面図。
【図9】本発明のカテーテルの中間領域における第1の線状体および第2の線状体の巻きパターンを示す平面図。
【図10】本発明のカテーテルの先端側領域における第1の線状体および第2の線状体の巻きパターンを示す平面図。
【図11】本発明に係るカテーテルの他の製造方法を示す斜視図。
【図12】本発明に係る他のカテーテルの例を示す平面図。
【図13】図12のカテーテルの断面図。
【図14】本発明に係るさらに他のカテーテルの例を示す平面図。
【図15】図14のカテーテルの断面図。
【図16】本発明に係るさらに他のカテーテルの例を示す平面図。
【図17】図16のカテーテルの製造工程を示す図。
【図18】図16のカテーテルの製造工程を示す図。
【図19】図16のカテーテルの製造工程を示す図。
【符号の説明】
1…カテーテル
2…カテーテル本体
21…基端
22…主要部分
221…第1領域
222…中間領域
223…第2領域
23…先端部
3…内腔
4…基材チューブ
41…補強層
42…金属線
43…低摩擦層
5…樹脂層
51…第1の線状体
52…第2の線状体
6…外層
7…ハブ
70…Yコネクタ
71…分岐部
72…ポート
10…線状体配設装置
11…内側ターンテーブル
12…外側ターンテーブル
13、14…キャリア
Claims (26)
- 基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔を規定する管状部材を具備するカテーテルの製造方法であって、
第1の樹脂材料からなる第1の線状体および第2の樹脂材料からなる第2の線状体を用意する工程と、
前記第1の線状体を、前記管状部材の第1領域で密な螺旋状または網目状に、前記管状部材の第2領域で疎な螺旋状または網目状に配設する工程と、
前記第2の線状体を、前記管状部材の第1領域で疎な螺旋状または網目状に、前記管状部材の第2領域で密な螺旋状または網目状に配設する工程と
を有することを特徴とするカテーテルの製造方法。 - 前記第1の線状体を、第1領域と第2領域との中間領域で第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設する工程と、前記第2の線状体を、第1領域と第2領域との中間領域で第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設する工程とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルの製造方法。
- 前記第1領域、中間領域および第2領域が、前記管状部材の基端側からこの順に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテルの製造方法。
- 第1の線状体の供給源および第2の線状体の供給源をそれぞれ前記管状部材の周囲で回転させ、各供給源の相対回転速度を調整することにより、前記管状部材上の前記第1および前記第2の線状体の配設密度を調整することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカテーテルの製造方法。
- 前記第1の線状体は、前記第2の線状体よりも、高い曲げ剛性を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のカテーテルの製造方法。
- さらに、前記管状部材上に配設された前記第1および第2の線状体を少なくとも部分的に溶融し、互いに混合または融合一体化する工程と、前記第1および第2の線状体を固化する工程を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカテーテルの製造方法。
- さらに、前記管状部材上に配設された前記第1および第2の線状体上に熱収縮性チューブを被せる工程と、前記第1および第2の線状体を加熱して少なくとも部分的に溶融し、互いに混合または融合一体化する工程と、前記第1および第2の線状体を固化する工程を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカテーテルの製造方法。
- 溶融した樹脂を元の形状を残している線状体の隙間に入り込むように一体化させることを特徴とする請求項6または7に記載のカテーテルの製造方法。
- さらに、前記管状部材の第1領域に対して基端側の領域に、前記第1の線状体のみを配設する工程を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のカテーテルの製造方法。
- さらに、前記管状部材の第2領域に対して先端側の領域に、前記第2の線状体のみを配設する工程を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のカテーテルの製造方法。
- 基端と先端とを有し、基端と先端との間に延びる内腔を規定する管状部材を具備するカテーテルであって、
前記管状部材の第1領域に配設された、密な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料とから構成される第1の樹脂層と、
前記管状部材の第2領域に配設された、密な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料とから構成される第2の樹脂層とを有し、
前記第1の樹脂材料および第2の樹脂材料が少なくとも部分的に溶融し、溶融した樹脂が元の形状を残している樹脂材料の隙間に入り込むように一体化していることを特徴とするカテーテル。 - さらに、前記管状部材の第1領域と第2領域との中間領域に、第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設された前記第1の樹脂材料と、第1領域と第2領域の中間の密度で螺旋状または網目状に配設された前記第2の樹脂材料とから構成される樹脂層を有することを特徴とする請求項11に記載のカテーテル。
- 前記第1領域、中間領域および第2領域が、前記管状部材の基端側からこの順に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のカテーテル。
- さらに、前記管状部材の第1領域に対して基端側の領域に、前記第1の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載のカテーテル。
- さらに、前記管状部材の第2領域に対して先端側の領域に、前記第2の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載のカテーテル。
- 前記管状部材の第1領域に対して基端側および先端側の2つの第2領域に、密な螺旋状または網目状に形成された第2の樹脂材料と、疎な螺旋状または網目状に形成された第1の樹脂材料から構成される第2の樹脂層が配設され、前記基端側の第2領域、第1領域、および先端側の第2領域が、前記管状部材の基端側からこの順に設けられていることを特徴とする請求項11に記載のカテーテル。
- さらに、前記基端側の第2領域に対して基端側の領域に、前記第1の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル。
- さらに、前記先端側の第2領域に対して先端側の領域に、前記第2の樹脂材料のみから構成される樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項16または17に記載のカテーテル。
- 前記第1の樹脂材料は、前記第2の樹脂材料よりも、高い曲げ剛性を有することを特徴とする請求項11ないし18のいずれかに記載のカテーテル。
- 前記第1および第2の樹脂層は、前記第1の樹脂材料および第2の樹脂材料が、少なくとも部分的に溶融され、互いに混合または融合一体化され、該混合または融合一体化された樹脂材料が固化された生成物からなることを特徴とする請求項11ないし19のいずれかに記載のカテーテル。
- 前記第1および第2の樹脂材料の少なくとも一方は、部分的に溶融されてその骨格を残していることを特徴とする請求項20に記載のカテーテル。
- 前記第1および第2の樹脂層は、前記管状部材の先端部を除く領域に形成されていることを特徴とする請求項11ないし21のいずれかに記載のカテーテル。
- さらに、前記管状部材上に金属からなる補強層を有することを特徴とする請求項11ないし22のいずれかに記載のカテーテル。
- 前記補強層は、金属ワイヤまたは金属リボンの編組体で構成されていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテル。
- さらに、前記管状部材の内面に低磨耗層を有することを特徴とする請求項11ないし24のいずれかに記載のカテーテル。
- さらに、前記第1および第2の樹脂層上に外層を有することを特徴とする請求項11ないし25のいずれかに記載のカテーテル。
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