JP2010029435A - 内視鏡用チューブ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ易く、且つ潰れ難くする。
【解決手段】鉗子チャンネルチューブ25は、チューブ本体31、補強テープ32、外皮33から構成される。補強テープ32は、補強層34、接着層35から構成される。補強層34は、補強ネット36、樹脂層37から構成される。補強ネット36は、周方向補強繊維36aと、軸方向補強繊維36bとが編組みされて構成される。周方向補強繊維36aは、軸方向補強繊維36bよりも太径で形成される。樹脂層37は、UV硬化樹脂により構成され、補強ネット36が充填される。接着層35は、樹脂層37の下面に取り付けられる。補強テープ32は、チューブ本体31の外周面31aに巻き付けられ、接着層35で固定される。補強テープ32は、チューブ本体31の径方向に加えられる力に対する剛性を、チューブ本体31に加えられる曲げ力に対する剛性よりも高くして、チューブ本体31の剛性に異方性を持たせる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内視鏡の鉗子チャンネル等に使用される内視鏡用チューブ及びその製造方法に関するものである。
内視鏡を利用した医療検査では、スネアループ等の処置具を、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通して、生体組織の採取や切除など様々な処置を行っている。内視鏡は、被検体に挿入される挿入部の先端に、湾曲可能な湾曲部が連結されており、鉗子チャンネルは、挿入部及び湾曲部に連通して設けられている。
鉗子チャンネルに用いられる鉗子チャンネルチューブには、処置具が挿通される内表面の滑り性、耐汚染性能及び耐薬品性を満たすために、フッ素樹脂が使用されている。内視鏡は、検査時に湾曲部を湾曲させるため、鉗子チャンネルチューブの湾曲部内を挿通されている部分も一緒に湾曲する。鉗子チャンネルチューブをフッ素樹脂チューブ単体で構成した場合には、湾曲時にチューブが径方向に潰れるキンク(座屈)が発生する。チューブにキンクが発生すると、処置具の挿入性が悪くなり、場合によっては破けるおそれもある。そこで、湾曲時の折れやキンクを防ぐために、鉗子チャンネルチューブを補強する技術が提案されている。
特許文献1では、フッ素樹脂チューブに、金網が埋め込まれた外層を接着することにより補強を行っており、特許文献2では、フッ素樹脂チューブの外周面に螺旋溝を形成し、この溝に金属バネを巻き付けることにより補強を行っている。
特許文献3では、多孔質のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)にシリコンゴムを充填した基体チューブの外周面に、気密性材料からなる第二層を形成し、さらに第二層の外周面に多孔質PTFEからなる補強層を形成し、チューブを補強している。第二層及び補強層を形成する際には、これらのフィルムを、基体チューブ及び第二層の外周面に接着剤で巻き付け固定する態様が記載されている。
特開平4−341836号公報 特開平5−228106号公報 特開平6−270301号公報
特許文献1、3に記載の発明は、外層及び補強層によって、チューブの径方向に加えられる力に対する剛性(チューブの潰れ難さ)を高めることはできるが、同時にチューブに加えられる曲げ力に対する剛性も高まってしまう。このため、チューブが曲げ難くなり、内視鏡の挿入性や操作性に支障を来すおそれがある。また、特許文献2に記載の発明は、繰り返しの湾曲によって溝から金属バネが飛び出してしまうおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、曲げ易く、且つ潰れ難い内視鏡用チューブ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡用チューブは、可撓性を有するチューブ本体と、接着層、及び前記接着層に積層され、前記チューブ本体の径方向に加えられる力に対する第1の剛性が、前記チューブ本体に加えられる曲げ力に対する第2の剛性よりも高くなるように、前記チューブ本体の剛性に異方性を持たせるための補強層を有し、前記接着層で前記チューブ本体の外周面に巻き付け固定された補強テープと、前記補強テープの上から前記チューブ本体を覆う外皮と、を備えることを特徴とする。
また、前記補強層は、表面が平坦化されていることが好ましい。さらに、前記補強層は、前記チューブ本体の軸方向に高剛性部と低剛性部とが周期的に配置され、且つ前記チューブ本体の周方向の全体にわたって前記高剛性部と前記低剛性部とが配置されるように形成されていることが好ましい。
また、前記高剛性部は第一の繊維であり、前記低剛性部は前記第一の繊維が充填される樹脂であることが好ましい。さらに、前記補強層は、前記第一の繊維と編組みされてネットを形成する第二の繊維を有し、前記樹脂には、前記ネットが充填されていることが好ましい。
また、前記第二の繊維は、前記チューブ本体の軸方向に沿うように配置されていることが好ましい。さらに、前記第一の繊維及び前記第二の繊維は、同じ材料からなることが好ましく、さらには、前記第一の繊維及び前記第二の繊維は、ポリエステルからなることが好ましい。
また、前記第一の繊維は、前記第二の繊維よりも高剛性の材料から構成されていることが好ましく、さらには、前記第一の繊維は、前記第二の繊維よりも太い、または前記第一の繊維は、前記第二の繊維よりも本数が多いことが好ましい。さらに、内視鏡の鉗子チャンネルに用いられることが好ましい。
また、本発明の内視鏡用チューブの製造方法は、可撓性を有するチューブ本体の径方向に加えられる力に対する剛性が、前記チューブ本体に加えられる曲げ力に対する剛性よりも高くなるように、前記チューブ本体の剛性に異方性を持たせるための補強層を作製する補強層作製工程と、作製された前記補強層に接着層を付加し、前記補強層及び接着層からなる補強シートを作製する補強シート作製工程と、作製された前記補強シートを所定幅にカットして補強テープを作製する補強テープ作製工程と、作製された前記補強テープを、前記チューブ本体の剛性に異方性を持たせるように、内部に芯材が挿入された前記チューブ本体の外周面に巻き付け、前記接着層で固定する補強テープ固定工程と、固定された前記補強テープの上に外皮を形成する外皮形成工程と、を備えることを特徴とする。
また、前記補強テープ固定工程の前に、接着性を高めるための表面処理を前記チューブ本体の外周面に施すことが好ましく、前記表面処理は、化学エッチング、プラズマ照射、または機械的研磨のうちのいずれか1つであることが好ましい。
さらに、前記補強テープ固定工程では、前記補強層を加熱しながら前記補強テープの巻き付けを行うことが好ましい。
また、前記補強層作製工程では、樹脂モノマーの塗布層に第一の繊維を取り付けて樹脂モノマーを硬化させ、前記第一の繊維を樹脂に充填して補強層を作製することが好ましい。
さらに、前記補強層作製工程では、前記第一の繊維と第二の繊維とを編組みしてネットを形成し、前記樹脂モノマーの塗布層に前記ネットを取り付けて前記樹脂モノマーを硬化させ、前記ネットを前記樹脂に充填して前記補強層を作製することが好ましい。
また、前記補強層作製工程では、前記樹脂モノマーの塗布層に取り付ける前に、前記ネットを加熱圧着して平坦化することが好ましい。
本発明によれば、チューブ本体の径方向に加えられる力に対する剛性が、チューブ本体に加えられる曲げ力に対する剛性よりも高くなるように、チューブ本体の剛性に異方性を持たせるから、曲げ易く、且つ潰れ難くすることができ、良好な操作性を確保しながら、湾曲時の径方向への潰れを防止することができる。
また、接着層で補強テープをチューブ本体の外周面に巻き付け固定するから、繰り返しの曲げに対する耐久性も向上する。
[第1実施形態]
図1に示すように、内視鏡10は、被検体内に挿入される可撓性の挿入部11と、挿入部11の基端部分に連設された操作部12とを備えている。
挿入部11の先端には、被検体内撮影用の撮像素子としてのCCD(図示せず)などが内蔵された先端部15が連設されている。先端部15の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部16が設けられている。湾曲部16は、操作部12に設けられたアングルノブ17が操作されて、挿入部11内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部15が被検体内の所望の方向に向けられる。
操作部12には、スネア等の処置具が挿入される鉗子入口21と、送気・送水装置(図示せず)から供給される空気や洗浄水の送気・送水を行う送気・送水ボタン22とが設けられている。先端部15の先端面には、鉗子出口23が設けられている。操作部12、挿入部11、湾曲部16及び先端部15の内部には、鉗子入口21と鉗子出口23とをつなぐ内視鏡用鉗子チャンネルチューブ(以下、鉗子チャンネルチューブと称する)25が挿入されている。鉗子入口21から挿入されたスネア等の処置具は、鉗子チャンネルチューブ25内部を挿通され、鉗子出口23から出される。
図2に示すように、鉗子チャンネルチューブ25は、チューブ本体31と、補強テープ32と、外皮33とから構成されている。チューブ本体31は、可撓性を有する材料、例えばフッ素樹脂からなる。外皮33は、例えば、ポリウレタンからなり、補強テープ32の上からチューブ本体31を覆う。なお、図2においては、外皮33を途中で切断した状態を示している。
補強テープ32は、所定の幅(例えば、10mm)のテープ状に形成されており、チューブ本体31の外周面31aに巻き付け固定されている。補強テープ32は、チューブ本体31の径方向に加えられる力に対する剛性(以下、径方向剛性と称する)が、チューブ本体31に加えられる曲げ力に対する剛性(以下、曲げ方向剛性と称する)よりも高くなるように、チューブ本体31の剛性に異方性を持たせる。なお、補強テープ32による補強後は、チューブ本体31の径方向剛性が、チューブ本体31の曲げ方向剛性の1.1〜1000倍程度であることが好ましく、2〜1000倍であることがさらに好ましい。
鉗子チャンネルチューブ25を製造するときには、図3のフローチャートに示すように、先ず、チューブ本体31内に、金属製の芯材(図示せず)を挿入する(ステップ(以下、S)1)。芯材の挿入により、補強テープ32を巻き付けるときのチューブ本体31の変形を防止する。なお、チューブ本体31を芯材と一緒に押出成型する場合には、(S1)を省くことができる。
チューブ本体31の外周面31aに、ナトリウム金属溶液などによる化学エッチング処理を施す(S2)。この表面処理により、外周面31aの表面を平坦化して、補強テープ32との接着性を上げる。表面処理としては、化学エッチング処理の他に、プラズマ照射による処理、機械加工による研磨処理などが挙げられるが、外周面31a表面の物理的、科学的安定性を図るためには、化学エッチング処理またはプラズマ照射処理が好ましい。なお、表面処理は、補強テープ32を外周面31aに巻き付け固定する直前に行ってもよい。
次に、補強層34と接着層35とからなる補強テープ32を作製する(S3)。そして、補強テープ32を、外周面31aに巻き付けて、接着層35により固定する(S4)。このとき、自動テープ巻付機を用いるとともに、補強テープ32の補強層34を加熱しながら巻き付けることにより、補強層34が変形することなく安定した形状で巻き付けることができる。なお、この際、チューブ本体31の先端及び後端から補強テープ32がはみ出すように巻き付けた後、はみ出した部分をカットすることにより、チューブ本体31の外周面31aの全範囲に補強テープ32を貼り付けることができる。また、自動テープ巻付機としては、特許文献2の図7等に示すコイル巻付機の如く、鉗子チャンネルチューブ25をその軸を中心に回転させながら、補強テープ32を外周面31aに螺旋状に巻き付けるものを採用することができる。
補強テープ32をチューブ本体31に貼り付けた後、補強テープ32の表面にポリウレタンなどのコーティング層を塗布して外皮33を形成する(S5)。この外皮33により、補強テープ32の表面を滑らかにし、鉗子チャンネルチューブ25の外周面の摺動性を向上する。そして、外皮33を形成した後、チューブ本体31から芯材を引き抜く(S6)。なお、ポリウレタンによるコーティング処理に代えて、熱収縮チューブを、補強テープ32の上から被せて加熱収縮させ、補強テープ32をコートして表面を滑らかにしてもよい。なお、便宜上、補強テープ32の作製(S3)を、表面処理(S2)と巻き付け(S4)との間の工程として説明しているが、(S3)を他の工程と切り離して、補強テープ32を予め作り置きしておいてもよい。
以下、(S3)の工程を詳述する。図4(A)に示すように、補強テープ32は、補強層34と、接着層35とから構成される。補強層34は、補強ネット36と、樹脂層37とから構成される。補強ネット36は、チューブ本体31に補強テープ32を巻き付け固定したときにチューブ本体31の周方向(図2参照)に沿うように配置される複数の周方向補強繊維(第1の繊維)36aと、チューブ本体31の軸方向(図2参照)に沿うように配置される複数の軸方向補強繊維(第2の繊維)36bとが編組みされて構成されている。各補強繊維36a,36bは、同じ材料(例えば、ポリエステル)から構成されている。周方向補強繊維36aは、軸方向補強繊維36bよりも太径で形成されている。
樹脂層37は、周方向補強繊維36a(ポリエステル)に比べて低剛性のUV硬化樹脂により構成され、補強ネット36が充填されている。接着層35は、樹脂層37の下面に取り付けられている。
補強テープ32を作製するときには、先ず、各補強繊維36a,36bを、互いに所定ピッチで交差角度が90°となるように編組し、図4(B)に示す長辺(例えば、10m)の補強ネット36を形成する。次に、図4(B)に示す状態の補強ネット36を加熱圧着(ヒートプレス)して、図4(C)に示すように、補強ネット36の上面及び下面を平坦にする。次に、図4(D)に示すように、PET等の基材Aに、樹脂層37を構成する樹脂モノマーの塗布層Bを所定の膜厚で形成した後、図4(E)に示すように、樹脂モノマーの塗布層Bの表面に補強ネット36を取り付ける。そして、樹脂モノマーの塗布層Bを、周方向補強繊維36aと軸方向補強繊維36bとの隙間に樹脂モノマーが充填された状態でUV硬化させて樹脂層37を作製し、補強ネット36を樹脂層37に充填させる。補強ネット36を樹脂層37に充填した後、図4(F)に示すように、基材Aを取り除く。なお、補強ネット36を樹脂層37に充填させる方法は、上記の方法に限らず、補強ネット36を樹脂モノマー溶液で満たされた容器に入れ、補強ネット36を引き上げた後に樹脂モノマーをUV硬化させるディップ加工により行ってもよい。
図4(A)に示すように、基材Aを取り除いた後、接着層35を、樹脂層37の下面に取り付けて、長辺の補強シートを作製する。そして、この補強シートを、10mm幅のテープ状にカットして、補強テープ32を作製する。
このように、補強テープ32によりチューブ本体31を補強し、チューブ本体31の径方向剛性を曲げ方向剛性よりも高くしたから、鉗子チャンネルチューブ25を、曲げ易く、且つ潰れ難くすることができ、良好な操作性を確保しながら、湾曲時の径方向への潰れを防止することができる。
また、樹脂層37の下面に接着層35を取り付け、接着層35により補強テープ32をチューブ本体31に巻き付け固定したから、チューブ本体31と補強テープ32との剥離を防止することができる。
なお、周方向補強繊維36aを、軸方向補強繊維36bよりも高剛性の材料から構成することにより、チューブ本体31の径方向剛性を曲げ方向剛性よりも高くした場合や、周方向補強繊維36aを設けるピッチを、軸方向補強繊維36bを設けるピッチよりも小さくして、単位面積内で周方向補強繊維36aを軸方向補強繊維36bよりも多数設けることにより、チューブ本体31の径方向剛性を曲げ方向剛性よりも高くした場合にも、第1実施形態と同様の効果を得られる。
[第2実施形態]
図5及び図6に示す第2実施形態は、鉗子チャンネルチューブ40を、チューブ本体31と、補強テープ41と、外皮42とから構成している。補強テープ41は、チューブ本体31の外周面31aに貼り付けられている。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6(A)に示すように、補強テープ41は、補強層43と接着層44とから構成されている。補強層43は、硬質樹脂43aと、この硬質樹脂43aよりも低剛性の軟質樹脂43bとからなり、各樹脂43a,43bは、チューブ本体31の軸方向に交互に、且つチューブ本体31の周方向の全体にわたって配されている。接着層44は、補強層43の下面に取り付けられている。軟質樹脂43bの厚みTbは、硬質樹脂43aの厚みTaよりも厚い。これにより、補強テープ41の剛性に異方性を持たせることができる。なお、補強テープ41による補強後は、チューブ本体31の径方向剛性が、チューブ本体31の曲げ方向剛性の1.1〜1000倍程度であることが好ましく、2〜1000倍であることがさらに好ましい。
補強テープ41を作製するときには、先ず、図6(B)に示すように、長辺(例えば、10m)の鋳型Cの凹部に、溶解した状態の硬質樹脂を流し込んで硬化させて、硬質樹脂43aを成型する。次に、図6(C)に示すように、硬質樹脂43aを鋳型Cから取り外して反転させ、硬質樹脂43aの凹部に、溶解した状態の軟質樹脂(軟化温度は硬質樹脂43aよりも低い)を流し込んで硬化させ、軟質樹脂43bを成型する。そして、図6(D)に示すように、各樹脂43a,43bの境界面が露呈するように不要部分を研磨処理などによりカットして補強層43を形成した後、図6(A)に示すように、接着層44を、補強層43の下面に取り付けて、長辺の補強シートを作製する。そして、この補強シートを、10mm幅のテープ状にカットして、補強テープ41を作製する。
以上のように作製した補強テープ41を、図5に示すように、チューブ本体31の外周面31aに巻き付けて、接着層44により固定する。補強テープ41の作製工程以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、補強テープ41によりチューブ本体31を補強し、チューブ本体31の径方向剛性を曲げ方向剛性よりも高くしたから、鉗子チャンネルチューブ40を、曲げ易く、且つ潰れ難くすることができ、良好な操作性を確保しながら、湾曲時の径方向への潰れを防止することができる。
また、補強層43の下面に接着層44を取り付け、接着層44により補強テープ41をチューブ本体31に巻き付け固定したから、チューブ本体31と補強テープ41との剥離を防止することができる。
なお、硬質樹脂43aの高さHaと軟質樹脂43bの高さHbとの比率、または硬質樹脂43aの剛性と軟質樹脂43bの剛性との比率を変えることにより、チューブ本体31の剛性に異方性を持たせることができ、この場合にも、第2実施形態と同様の効果を得られる。
また、硬質樹脂および軟質樹脂は、原料が同じで材料が異なっていてもよい。例えば、硬質樹脂および軟質樹脂の原料をいずれもポリエステルとし、一方に剛性を変えるための添加物(カーボン粉末等)を添加してもよい。
なお、上記実施形態では、チューブ本体31の軸方向の全範囲に補強テープ32または補強テープ41を巻き付け固定したが、チューブ本体31の湾曲部16を挿通される部分のみ補強テープ32または補強テープ41を巻き付け固定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、チューブ本体31を、フッ素樹脂により構成したが、可撓性を有するような材料から構成すればよい。
さらに、上記実施形態では、本発明を内視鏡用鉗子チャンネルチューブに実施したが、内視鏡用送気・送水チャンネルチューブ等に実施してもよい。
以上述べたように、本発明は、径方向剛性と曲げ方向剛性に異方性を持たせることで、曲げ易く、且つ潰れ難い内視鏡用チューブを製造することができる。径方向剛性と曲げ方向剛性に異方性を持たせるためには、チューブ本体の軸方向に高剛性部と低剛性部とが周期的に配置され、且つチューブ本体の周方向の全体にわたって高剛性部と低剛性部とが配置されるように補強層を作製すればよい。このため、補強層として、第1実施形態、第2実施形態で補強層34、43を例示したが、本発明はこれに限定されず、上記の要件を満たすものであれば、如何なるものでもよい。因みに、第1実施形態では、周方向補強繊維36a及び樹脂層37が高剛性部及び低剛性部にそれぞれ相当し、第2実施形態では、硬質樹脂43a及び軟質樹脂43bがそれぞれ相当する。
軸方向補強繊維36bは、径方向剛性と曲げ方向剛性に異方性を持たせることには寄与していない。軸方向補強繊維36bは、補強ネット36、ひいては周方向補強繊維36aを樹脂層37に充填する際の支持体に過ぎず、逆に軸方向補強繊維36bがあることで、チューブ本体31の曲げ方向剛性が高められ、曲げ難くなる。このため、軸方向補強繊維36bは、チューブ本体31の軸方向に沿って配置されていなくてもよく、究極的にはない方がよい。
内視鏡を示す概略図である。 内視鏡用鉗子チャンネルチューブを示す斜視図である。 鉗子チャンネルチューブの製造工程を示すフローチャートである。 (A)は、補強テープの断面図であり、(B)は周方向補強繊維及び軸方向補強繊維からなる補強ネットの断面図であり、(C)は加熱圧着した補強ネットの断面図であり、(D)は基材に樹脂モノマーを塗布した状態の断面図であり、(E)は樹脂モノマーに補強ネットを載せた状態の断面図であり、(F)は基材を取り除いた状態の断面図である。 硬質樹脂及び軟質樹脂からなる補強層と接着層とにより補強テープを構成した実施形態の内視鏡用鉗子チャンネルチューブを示す斜視図である。 (A)は、補強テープの断面図であり、(B)は、鋳型の凹部に硬質樹脂を流し込んだ状態の断面図であり、(C)は、硬質樹脂の凹部に軟質樹脂を流し込んだ状態の断面図であり、(D)は、硬質樹脂の不要部分をカットした状態の断面図である。
符号の説明
10 内視鏡
25、40 内視鏡用鉗子チャンネルチューブ
31 チューブ本体
32、41 補強テープ
33、42 外皮
34、43 補強層
35、44 接着層
36 補強ネット
36a 周方向補強繊維(第1の繊維)
36b 軸方向補強繊維(第2の繊維)
37 樹脂層
43a 硬質樹脂
43b 軟質樹脂

Claims (18)

  1. 可撓性を有するチューブ本体と、
    接着層、及び前記接着層に積層され、前記チューブ本体の径方向に加えられる力に対する第1の剛性が、前記チューブ本体に加えられる曲げ力に対する第2の剛性よりも高くなるように、前記チューブ本体の剛性に異方性を持たせるための補強層を有し、前記接着層で前記チューブ本体の外周面に巻き付け固定された補強テープと、
    前記補強テープの上から前記チューブ本体を覆う外皮と、を備えることを特徴とする内視鏡用チューブ。
  2. 前記補強層は、表面が平坦化されていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用チューブ。
  3. 前記補強層は、前記チューブ本体の軸方向に高剛性部と低剛性部とが周期的に配置され、且つ前記チューブ本体の周方向の全体にわたって前記高剛性部と前記低剛性部とが配置されるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡用チューブ。
  4. 前記高剛性部は第1の繊維であり、前記低剛性部は前記第1の繊維が充填される樹脂であることを特徴とする請求項3記載の内視鏡用チューブ。
  5. 前記補強層は、前記第1の繊維と編組みされてネットを形成する第2の繊維を有し、前記樹脂には、前記ネットが充填されていることを特徴とする請求項4記載の内視鏡用チューブ。
  6. 前記第2の繊維は、前記チューブ本体の軸方向に沿うように配置されていることを特徴とする請求項5記載の内視鏡用チューブ。
  7. 前記第1の繊維及び第2の繊維は、同じ材料からなることを特徴とする請求項5または6記載の内視鏡用チューブ。
  8. 前記第1の繊維及び第2の繊維は、ポリエステルからなることを特徴とする請求項7記載の内視鏡用チューブ。
  9. 前記第1の繊維は、前記第2の繊維よりも高剛性の材料から構成されていることを特徴とする請求項5または6記載の内視鏡用チューブ。
  10. 前記第1の繊維は、前記第2の繊維よりも太い、または前記第1の繊維は、前記第2の繊維よりも本数が多いことを特徴とする請求項5ないし9いずれか1つ記載の内視鏡用チューブ。
  11. 内視鏡の鉗子チャンネルに用いられることを特徴とする請求項1ないし10いずれか1つ記載の内視鏡用チューブ。
  12. 可撓性を有するチューブ本体の径方向に加えられる力に対する剛性が、前記チューブ本体に加えられる曲げ力に対する剛性よりも高くなるように、前記チューブ本体の剛性に異方性を持たせるための補強層を作製する補強層作製工程と、
    作製された前記補強層に接着層を付加し、前記補強層及び接着層からなる補強シートを作製する補強シート作製工程と、
    作製された前記補強シートを所定幅にカットして補強テープを作製する補強テープ作製工程と、
    作製された前記補強テープを、前記チューブ本体の剛性に異方性を持たせるように、内部に芯材が挿入された前記チューブ本体の外周面に巻き付け、前記接着層で固定する補強テープ固定工程と、
    固定された前記補強テープの上に外皮を形成する外皮形成工程と、を備えることを特徴とする内視鏡用チューブの製造方法。
  13. 前記補強テープ固定工程の前に、接着性を高めるための表面処理を前記チューブ本体の外周面に施すことを特徴とする請求項12記載の内視鏡用チューブの製造方法。
  14. 前記表面処理は、化学エッチング、プラズマ照射、または機械的研磨のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項13記載の内視鏡用チューブの製造方法。
  15. 前記補強テープ固定工程では、前記補強層を加熱しながら前記補強テープの巻き付けを行うことを特徴とする請求項12ないし14いずれか1つ記載の内視鏡用チューブの製造方法。
  16. 前記補強層作製工程では、樹脂モノマーの塗布層に第1の繊維を取り付けて樹脂モノマーを硬化させ、前記第1の繊維を樹脂に充填して補強層を作製することを特徴とする請求項12ないし15いずれか1つ記載の内視鏡用チューブの製造方法。
  17. 前記補強層作製工程では、前記第1の繊維と第2の繊維とを編組みしてネットを形成し、前記樹脂モノマーの塗布層に前記ネットを取り付けて前記樹脂モノマーを硬化させ、前記ネットを前記樹脂に充填して前記補強層を作製することを特徴とする請求項16記載の内視鏡用チューブの製造方法。
  18. 前記補強層作製工程では、前記樹脂モノマーの塗布層に取り付ける前に、前記ネットを加熱圧着して平坦化することを特徴とする請求項17記載の内視鏡用チューブの製造方法。
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