JP5923986B2 - 医療機器および医療機器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療機器および医療機器の製造方法に関する。
近年、遠位端部を屈曲させることにより体腔への進入方向を調整できるカテーテルが提供されている。たとえば、特許文献1には、中央内腔(メインルーメン)の周囲に、これよりも細径の2つのワイヤ内腔(サブルーメン)を180度対向して設け、サブルーメンの内部に変向ワイヤを挿通してなるカテーテルが記載されている。
このようなカテーテルにおいて、サブルーメンを形成する際には、マンドレルに装着された内層の外面に沿って、ワイヤ内腔(サブルーメン)を有するスパゲッティチューブ(中空管)を軸方向に敷設し、これを外層で被覆して一体化している(同文献の図2を参照)。
特開2006−192269号公報
特許文献1に記載された製造方法においては、内層と中空管とを外層で被覆する作業は容易ではなく、メインルーメンとサブルーメンとの位置関係を安定して再現することは困難であった。
特に、近年、血管内への挿通性などの観点から細径化が進められ、外径が1mm以下の非常に小さなカテーテルを提供することが求められている。この場合、中空管の外径が数十μm程度となるため、極細の中空管を内層に対して所望の位置に配置し、この状態を維持することがきわめて困難となる。そのため、メインルーメンとサブルーメンとの位置関係が不安定となり、製造安定性が悪いものとなる。
なお、ここでは、カテーテルを例示して説明したが、メインルーメンとサブルーメンとを有する他の医療機器においても同様の課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。
本発明によれば、メインルーメンが長手方向に延在し、かつ前記メインルーメンが内部に形成された管状の内層と、第一樹脂組成物からなり前記内層の周囲に形成された外層とを積層してなる管状本体と、前記外層の周面に、前記長手方向に沿って延在する溝部と、前記溝部内に配置され、サブルーメンを区画する中空管と、前記中空管を前記溝部内に固定するための第二樹脂組成物からなる接着剤とを備え、前記溝部は、前記管状本体における前記外層の外周面に形成されており、前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低く、前記接着剤は、前記中空管と前記管状本体の前記外層の外周面に形成された前記溝部との間を埋め込むとともに、前記管状本体の前記溝部に配置された前記中空管および前記管状本体を被覆するように管状に構成されたものである医療機器が提供される。
この発明によれば、管状本体の周面に、長手方向に沿って延在する溝部が形成され、この溝部に中空管が装着されている。このため、メインルーメンとサブルーメンとの所望の位置関係を再現性よく実現することができる。
さらに、本発明では、接着剤を構成する第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、管状本体の第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低い。管状本体の融点あるいは軟化点である温度Bよりも低温で接着剤を溶融させて、中空管を溝部に固定できる。これにより、中空管を溝部に接着する際に、管状本体が変形してしまうことを防止できる。従って、メインルーメンとサブルーメンとの所望の位置関係を再現性よく実現することができる。以上より、本発明の医療機器は製造安定性に優れたものとなる。
さらに、本発明によれば、上述した医療機器の製造方法も提供できる。
すなわち、本発明によれば、メインルーメンが長手方向に延在しかつ前記メインルーメンが内部に形成された管状の内層と、第一樹脂組成物からなり前記内層の周囲に形成された外層とを積層してなる管状本体を用意する工程と、第二樹脂組成物からなる接着剤を溶融させて、溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする工程と、前記接着剤を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度A未満で前記接着剤を冷却して、前記溝部に前記中空管を固定する工程とを含み、溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、前記接着剤をあらかじめ管状に成形し、管状の前記接着剤の内部に、前記中空管を挿通させ、前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置し、その後、前記接着剤を、前記接着剤を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度B未満で加熱して、前記接着剤を溶融させる医療機器の製造方法も提供できる。
ここで、温度Aは、接着剤を構成する第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点を示す。第二樹脂組成物が結晶性であり、融点を示す場合には、温度Aは、第二樹脂組成物の融点となる。一方で、第二樹脂組成物が非晶性であり、融点を示さない場合には、温度Aは、第二樹脂組成物の軟化点となる。温度Bも、同様であり、管状本体を構成する第一樹脂組成物が結晶性であり、融点を示す場合には、温度Bは、第一樹脂組成物の融点となる。一方で、第一樹脂組成物が非晶性であり、融点を示さない場合には、温度Bは、第一樹脂組成物の軟化点となる。
また、管状本体は、第一樹脂組成物からなるとしているが、第一樹脂組成物は、複数の成分から構成されず、単一成分で構成されていてもよい。
同様に、第二樹脂組成物は、複数の成分から構成されず、単一成分で構成されていてもよい。
前記融点はJISK7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求めることができる。また、軟化点は、JISK2207、7234に準じて、環球法によって測定できる。
本発明によれば、製造安定性に優れた医療機器および医療機器の製造方法が提供される。
本発明の第一実施形態にかかるカテーテルの先端部の側断面図である。 図1のII-II方向の断面図である。 図2の要部を示す図である。 カテーテルの動作例を示す模式図である。 カテーテルの製造装置を示す模式図である。 第二実施形態におけるカテーテルの製造工程を示す模式図である。 中空管の周囲に接着剤を設けた状態を示す断面図である。 カテーテルの製造工程を示す模式図である。 第三実施形態におけるカテーテルの製造工程を示す模式図である。 カテーテルの製造工程を示す模式図である。 本発明の変形例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
(第一実施形態)
<カテーテル>
図1は、本発明の実施形態に係るカテーテル10を示す縦断面図である。同図は、カテーテル10を長手方向に切った断面を示している。同図の左方がカテーテル10の遠位端(先端)側にあたり、右方が近位端(基端)側にあたる。ただし、同図においては、カテーテル10の近位端側は図示を省略している。
図2は図1のII-II断面(横断面)図であり、図3は図2に破線で示した円III領域の拡大図である。
はじめに、本実施形態のカテーテル10の概要について説明する。
本実施形態のカテーテル10は、管状本体(外層60)と、溝部28と、中空管32と、操作線40と、を有している。外層60は第一樹脂組成物から構成される。
外層60の内側には、その長手方向に沿って、メインルーメン20が形成されている。
溝部28は、外層60に長手方向に伸びて形成されている。中空管32は、メインルーメン20よりも小径のサブルーメン30を備えるとともに溝部28に装着されている。
中空管32は、第二樹脂組成物で構成される接着剤62を介して、溝部28に固定されている。
接着剤62を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、外層60を構成する第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低い。
次に、本実施形態のカテーテル10について詳細に説明する。
カテーテル10は、造影剤や薬液などの薬剤を患部に供給するメインルーメン20が長手方向(図1における左右方向)に設けられている。そして、メインルーメン20と隔離して設けられたサブルーメン30に操作線40が挿通されて、カテーテル10の遠位端部15を屈曲操作することができる。
カテーテル10は、カテーテル10の本体をなすシース16を有する。シース16は、メインルーメン20が内部に形成された管状の内層21と、内層21と同種または異種の第一樹脂組成物からなり内層21の周囲に形成された外層60と、を積層してなる。
内層21には、一例として、フッ素系の熱可塑性ポリマー材料を用いることができる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などを用いることができる。
内層21にフッ素系樹脂を用いることにより、カテーテル10のメインルーメン20を通じて造影剤や薬液などを患部に供給する際のデリバリー性が良好となる。
シース16の主たる肉厚を構成する外層60は、第一樹脂組成物からなる。
第一樹脂組成物の主成分としては、熱可塑性ポリマーが広く用いられる。一例として、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のほか、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ナイロンエラストマー、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリプロピレン(PP)、熱可塑性エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体からなる群から選択される1種以上の材料を用いることができる。ポリエーテルブロックアミド共重合体を使用する場合には、第二樹脂組成物に使用されるポリエーテルブロックアミド共重合体よりも融点が高いものを使用すればよい。なお、ポリエーテルブロックアミド共重合体は後述する式(1)で示されるものである。
なお、第一樹脂組成物は、熱可塑性ポリマーの一成分のみから構成されるものであってもよく、また、複数の成分で構成されるものであってもよい。
メインルーメン20の先端側の開口は、シース16の遠位端DEに形成されている。一方、メインルーメン20の基端側の開口は近位端部17(図4を参照)の端面または周面に形成されている。
外層60の内部には、一つまたは複数のサブルーメン30が遠位端部15から近位端部17に亘って形成されている。
図2に示すように、本実施形態のカテーテル10は、複数個のサブルーメン30がメインルーメン20の周方向に分散して配置されている。また、メインルーメン20とサブルーメン30とは互いに離間して個別に設けられている。具体的には、本実施形態のカテーテル10の場合、4個のサブルーメン30がメインルーメン20の周囲に90度間隔で配置されている。ただし、サブルーメン30の個数は、これに限られるものではない。
ここで、カテーテル10の遠位端部15とは、カテーテル10の遠位端DEを含む所定の長さ領域をいう。同様に、カテーテル10の近位端部17(図4を参照)とは、カテーテル10の近位端PEを含む所定の長さ領域をいう。
操作線40は、複数本設けられており、本実施形態では、対向する2個のサブルーメン30にそれぞれ摺動可能に1本ずつ挿通されている。操作線40は、カテーテル10の遠位端部15に固定されている。具体的には、本実施形態では、操作線40は、カテーテル10の遠位端部15を構成するマーカー66に固定されている。
操作線40は円形断面の線材あるいは、複数の細線で構成された撚り線であり、外径は30〜60μm程度である。
操作線40の材料としては、たとえば、PEEK、PPS、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、PIもしくはPTFEなどの高分子ファイバー、または、ステンレス鋼(SUS)、耐腐食性被覆した鋼鉄線、チタンもしくはチタン合金などの可撓性の金属線を用いることができる。
溝部28は、シース16の周面に長手方向に伸びて形成されている。溝部28が形成されるシース16の周面は、外周面18でも、内周面19でもよい。ただし、溝部28の内部に中空管32を固定する際の作業性の観点から、本実施形態では、溝部28をシース16の外周面18、すなわち外層60の側面に形成している。
溝部28は、シース16の軸方向に対して平行に形成されている。
また、溝部28は、カテーテル10の遠位端部15から近位端部17まで全長さに亘って形成されてもよく、または一部長さにのみ形成されてもよい。
溝部28の断面形状は、中空管32が内部に装着可能であるかぎり特に限定されず、たとえばV字溝またはU字溝とすることができる。
中空管32は、サブルーメン30を画定するものであり、内部にサブルーメン30が貫通して形成された管状の部材である。
中空管32は、外層60を構成する第一樹脂組成物よりも、耐熱性、柔軟性および摺動性の高い熱可塑性のポリマー材料を含む第三樹脂組成物で構成される。一例としては、PTFE、PFAもしくは四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系ポリマー材料のほか、PI、PAI、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)もしくは液晶ポリマー(LCP)などの非フッ素系ポリマー材料が用いられる。
第三樹脂組成物は、単一の成分で構成されてもよく、複数成分で構成されてもよい。
中空管32を成形するポリマー材料には、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタンなどの無機フィラーを混合してもよい。無機フィラーをポリマー材料に混合して中空管32の内壁面の平滑性を向上することにより、中空管32に対して操作線40を挿通する際の作業性の向上と、操作線40の牽引操作時の摩擦低減が図られる。
中空管32は、カテーテル10の遠位端部15から近位端部17まで全長さに亘って溝部28に装着されてもよく、または一部長さのみが溝部28に装着されてもよい。
ここで、中空管32が溝部28に装着されているとは、中空管32の横断面の一部が溝部28に嵌合しているか、または中空管32の横断面の全体が溝部28に収容されている状態をいう。
このうち、本実施形態の場合は、溝部28の深さは中空管32の外径よりも大きく、中空管32はシース16に対して外周面18よりも内側に装着されている。
本実施形態の中空管32は、接着剤62によって溝部28に埋め込まれている。
接着剤62は、前述した第一樹脂組成物とは異なる第二樹脂組成物で構成され、接着剤62を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、人体の体温よりも高く(たとえば、40℃以上)、外層60を構成する第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低い。さらに、前記温度Aは、中空管32を構成する第三樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Cよりも低い。
接着剤62は、融解させて塗布するが、塗布性を考慮すると、前記温度Aよりも高い温度で溶融させることが考えられる。そのため、温度Aと温度Bとの差、温度Cと温度Aとの差は、10℃以上であることが好ましい。
たとえば、温度Aは、100℃以上、150℃以下であることが好ましく、温度B、Cは、120℃以上、160℃以下であることがこのましい。
なお、温度Aは、接着剤62を構成する第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点を示す。第二樹脂組成物が結晶性であり、融点を示す場合には、温度Aは、第二樹脂組成物の融点となる。一方で、第二樹脂組成物が非晶性であり、融点を示さない場合には、温度Aは、第二樹脂組成物の軟化点となる。温度Bも、同様であり、第一樹脂組成物が結晶性であり、融点を示す場合には、温度Bは、第一樹脂組成物の融点となる。一方で、第一樹脂組成物が非晶性であり、融点を示さない場合には、温度Bは、第一樹脂組成物の軟化点となる。温度Cも同様であり、第三樹脂組成物が結晶性であり、融点を示す場合には、温度Cは、第三樹脂組成物の融点となる。一方で、第三樹脂組成物が非晶性であり、融点を示さない場合には、温度Cは、第三樹脂組成物の軟化点となる。
第二樹脂組成物の主成分となる樹脂としては、熱可塑性エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体、プロピレン成分を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の材料を使用できる。第二樹脂組成物は、単一の成分で構成されてもよく、複数成分で構成されてもよい。
ポリエーテルブロックアミド共重合体は、以下の式(1)に示されるものであり、(イ) ジアミンとジカルボン酸の塩(ポリアミド)、ラクタム類、またはアミノカルボン酸(PA構成成分)、(ロ)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール(PE構成成分)、(ハ)ジカルボン酸、を重縮合させることによって調製されるものである。ポリエーテルブロックアミド共重合体は、その融点が130〜150℃のものを使用することが好ましい。
Figure 0005923986
(式(1)中PAはポリアミドを表し、PEはポリエーテルを表す。nは任意の整数である。)
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、プロピレン成分を主成分とするとともにエチレン成分を含むものであり、その融点が120〜130℃のものが好ましい。
また、接着剤62を構成する第二樹脂組成物の引っ張り弾性率は、外層60を構成する第一樹脂組成物の引っ張り弾性率よりも低い。このようにすることで、接着剤62によるカテーテル10の弾性率の増加を抑制することができ、遠位端をスムーズに屈曲させることができる。
なお、中空管32を構成する第三樹脂組成物の引っ張り弾性率は、接着剤62を構成する第二樹脂組成物の引っ張り弾性率および外層60を構成する第一樹脂組成物の引っ張り弾性率よりも高い。
図3に示すように、本実施形態のカテーテル10においては、シース16(外層60)の外周面18に彫り込み形成された溝部28に中空管32が装填され、溝部28の壁面とサブルーメン30との間に接着剤62が充填されている。接着剤62は、中空管32の外周面を膜状に連続的に覆っている。
本実施形態の接着剤62は、外周面18のほぼ面一の高さまで溝部28に充填されている。ただし、接着剤62は、溝部28よりも盛り上がって、外周面18よりも突出して充填されてもよい。
外層60の周囲には、カテーテル10の最外層として形成された親水性のコート層64が積層形成されている。コート層64は、シース16のうち遠位端DE側の一部長さ領域に設けられて溝部28の一部長さを覆っている。
コート層64は、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドンなどの親水性の樹脂材料で成形するか、または外表面に潤滑処理を施すことにより、少なくとも外表面が親水性である。
コート層64と溝部28との間には、図3に示すように空隙Vが存在してもよく、またはコート層64と溝部28とは気密に密着してもよい。
さらに、本実施形態のカテーテル10は、図1に示すように、内層21の周囲にコイル層50を備えている。コイル層50は、巻き線52を巻回して構成されたものであり、外層60に内包されている。
本実施形態のカテーテル10においては、図1、3に示すように、操作線40がそれぞれ挿通されたサブルーメン30は、外層60の内部であって、コイル層50の外側に形成されている。
また、カテーテル10の遠位端部15には、X線等の放射線が不透過な材料からなるリング状のマーカー66が設けられている。具体的には、マーカー66には白金などの金属材料を用いることができる。本実施形態のマーカー66は、メインルーメン20の周囲であって、外層60の内部に設けられている。
操作線40の先端(遠位端)は、カテーテル10の遠位端部15に固定されている。操作線40の先端を遠位端部15に固定する態様は特に限定されない。たとえば、操作線40の先端をマーカー66に締結してもよく、シース16の遠位端部15に溶着してもよく、または接着剤によりマーカー66またはシース16の遠位端部15に接着固定してもよい。
ここで、本実施形態のカテーテル10の代表的な寸法について説明する。
メインルーメン20の半径は200〜300μm程度、内層21の厚さは10〜30μm程度、外層60の厚さは50〜150μm程度、コイル層50の外径(直径)は、500μm〜860μm程度、コイル層50の内径(直径)は420μm〜660μm程度とすることができる。そして、カテーテル10の軸心からサブルーメン30の中心までの半径は300〜350μm程度、サブルーメン30の内径(直径)は40〜100μmとし、操作線40の太さを30〜60μmとすることができる。また、中空管32の肉厚を10〜30μmとし、溝部28の深さを20〜100μmとすることができる。
そして、カテーテル10の最外径(半径)を350〜490μm程度とすることができる。
すなわち、本実施形態のカテーテル10の外径は直径1mm未満であり、腹腔動脈などの血管に挿通可能である。
次に、図4を用いて、本実施形態のカテーテル10の動作を説明する。図4各図では、2本の操作線40のうち1本のみを図示している。
操作線40の近位端41は、サブルーメン30から近位側に突出している。また、操作線40の近位側には、複数の操作線40を個別に牽引してカテーテル10の遠位端部15を屈曲させる操作部70が設けられている。操作部70の構造に関する詳細な図示および説明は省略する。
本実施形態のカテーテル10において、操作線40の近位端41を基端側(同図における右方)に牽引すると、カテーテル10の遠位端部15には引張力が与えられる。かかる引張力が所定以上であると、カテーテル10の軸心から当該操作線40が挿通されているサブルーメン30の側に向かって、遠位端部15が屈曲する。
そして、2本の操作線40の牽引長さを個別に制御することにより、カテーテル10の遠位端部15を360度に亘り任意の向きに屈曲させることができる。これにより、カテーテル10の進入方向を自在に操作することが可能となる。このため、本実施形態のカテーテル10は、たとえば分岐する血管等の体腔に対して、所望の方向に進入させることが可能である。
操作線40は、きわめて微細径の線材からなるため、その近位端41をシース16に対して押し込んだ場合には、当該操作線40は座屈し、カテーテル10の遠位端部15には押込力が実質的に与えられることはない。
このため、操作者が操作線40をカテーテル10に対して押し込んだとしても、操作線40がカテーテル10の遠位端部15から外れて遠位端DEより突出することがない。このため、体腔内に挿入されたカテーテル10を操作するに際して、被験者の安全が図られている。
<カテーテルの製造方法>
以下、本実施形態にかかるカテーテルの製造方法(本方法)について詳細に説明する。
本方法は、本体成形工程と、溝部形成工程と、中空管成形工程と、挿通工程と、装着工程と、操作線固定工程とを含む。
本体成形工程では、メインルーメン20が長手方向に伸びて形成された、シース16を成形する。溝部形成工程では、シース16の外層60の周面(外周面18)に対して長手方向に溝部28を形成する。中空管成形工程では、メインルーメン20よりも小径のサブルーメン30を備える中空管32を成形する。挿通工程では、サブルーメン30に操作線40を挿通する。装着工程では、中空管32を溝部28に装着する。そして、操作線固定工程では、操作線40の先端をシース16の遠位端部15に固定する。
本発明においては、挿通工程をおこなうタイミングは特に限定されず、これを中空管成形工程と同時におこなってもよく、または中空管成形工程の後かつ装着工程の前におこなってもよく、さらには装着工程の後におこなってもよい。
また、本体成形工程と中空管成形工程の先後に関しても、本発明は特に限定されない。
以下、本方法の各工程についてさらに詳細に説明する。
(本体成形工程)
本体成形工程では、シース16を作成する。具体的な製造方法の一例を以下に示す。
まず、メインルーメン20の内径に相当する外径を有する円柱状の芯線22(図5を参照)の周囲に、内層21を押出成形する。芯線22には、銅または銅合金、炭素鋼やステンレス鋼(SUS)などの合金鋼、ニッケルまたはニッケル合金などの金属材料を用いることができる。芯線22の周面には、離型処理を施しておくとよい。
つぎに、内層21の外周面に対し、巻き線52(図1を参照)を巻回してなるコイル層50を網状に被着形成する。
巻き線52には、ステンレス鋼やニッケルチタン合金など金属細線のほか、PI、PAIまたはPETなどの高分子ファイバーの細線を用いることができる。
巻き線52の断面形状は特に限定されず、丸線でも平線でもよい。
さらに、コイル層50が形成された内層21の外周面に対して、押出成形により外層60を成形する。コイル層50は外層60に内包される。以上により、内層21および外層60からなる本実施形態のシース16が成形される。
なお、ここでは、内層21を押し出し成形した後、内層21の外面に、外層60を押出成形したが、これに限られるものではない。後述する第二実施形態のように製造してもよい。具体的には、内層21、外層60をそれぞれ押し出し成形した後、内層21の周囲に巻き線52を被せ、さらに、その巻き線52の周囲に外層60を被せてもよい。その後、外層60の外周を熱収縮性の樹脂チューブで被覆し、前記樹脂チューブを加熱して収縮させる。
(中空管成形工程)
中空管成形工程では、サブルーメン30が軸心に貫通形成された中空管32を成形する。中空管32は、たとえば押出成形により作成することができる。中空管32は、熱収縮性材料で作成してもよい。この場合、サブルーメン30よりも大径の中空部を有する管状部材を一旦作成した後に、これを熱収縮させて所望の径のサブルーメン30を調製してもよい。
(挿通工程)
挿通工程では、中空管32のサブルーメン30に対して操作線40を挿通する。
挿通工程は、大別して、中空管32の成形時に操作線40を共押出する方法と、予め成形された中空管32に対して後から操作線40を挿通する方法のいずれかを採用することができる。したがって、前者の共押出の場合、挿通工程は中空管成形工程と同時におこなわれることとなる。
中空管32と操作線40を共押出する場合は、中空管32を構成する第三樹脂組成物とともに、ダイより操作線40を押し出して中空管32を成形する。
また、中空管成形工程の後に挿通工程をおこなう場合は、後述の装着工程によって中空管32が溝部28に装着される前におこなってもよく、または中空管32が溝部28に装着されてシース16に固定されたのちに挿通工程をおこなってもよい。
(溝部形成工程)
溝部形成工程では、シース16の外周面18に対し、シース16の軸方向に平行に、または螺旋状に、溝部28を形成する。
ここで、溝部形成工程、および後述の装着工程と中空管固定工程に用いられる、本実施形態のカテーテル製造装置80について説明する。
図5は、本実施形態のカテーテル製造装置80を用いて、溝部形成工程と装着固定と中空管固定工程をシース16に施している状態を示す側面模式図である。なお、同図では、コイル層50は図示を省略している。
<カテーテル製造装置>
本実施形態のカテーテル製造装置80は、メインルーメン20が長手方向に伸びて形成された、シース16を保持する保持部82と、保持されたシース16に対して長手方向に相対的に移動して、シース16の周面(外周面18)に対して溝部28を削成する切削刃84と、メインルーメン20よりも小径のサブルーメン30を備える中空管32を溝部28に押し込む押込治具85と、を有している。
溝部形成工程、装着固定および中空管固定工程では、内層21および外層60からなるシース16は芯線22に被着されている。
保持部82は、シース16を直接的にまたは間接的に保持して切削刃84とシース16とを長手方向に相対的に移動させる装置である。本実施形態では、保持部82の一例として、芯線22を長手方向に搬送する送り装置を例示する。
図5に示す保持部82は、白抜矢印で示すように、芯線22を介してシース16を保持するとともに、シース16を図中左方に搬送する。
切削刃84は、保持部82により搬送されるシース16に対して径方向に昇降可能である。切削刃84は、断面V字状またはU字状である。
そして、切削刃84をシース16に突き立てた状態で保持部82を軸方向に送ることにより、シース16の外周面18に所定深さの溝部28が形成される。切削刃84は、内層21の外周に被覆形成されたコイル層50に干渉しないよう、外層60の中間深さまで突き立てられる。
切削刃84は、電熱線などの加熱手段を備えており、溝部28を切削する際に外層60を加熱して軟化させる。これにより、装着工程にて溝部28に装着された中空管32が溝部28の壁面に被着して、シース16と中空管32との位置ズレが防止される。
(装着工程)
装着工程では、押込治具85を用いて中空管32を溝部28に装着する。
本実施形態のカテーテル製造装置80は、切削刃84の下流側に押込治具85が設けられている。
押込治具85は、上部ガイド86と下部ガイド87とを組み合わせてなる。上部ガイド86と下部ガイド87との間には、保持部82の送り方向の上流側(図5における右方)に、中空管32を押込治具85に導入するための導入溝88が設けられている。
導入溝88は、保持部82の送り方向に対してシース16の径方向に傾斜している。
上部ガイド86の延在方向は、導入溝88の伸びる傾斜方向から、シース16の軸方向に向かって、連続的に変化している。これにより、導入溝88に導入された中空管32を溝部28に沿って軸方向に向けることができる。
上部ガイド86の下流側には、シース16の径方向内側に突出する押さえ部89が形成されている。押さえ部89は、溝部28の上部に係合して、中空管32を溝部28に押し込むとともに、シース16に対して中空管32を押圧する。
(中空管固定工程)
本方法では、溝部28に装着された中空管32をシース16に対して固定する中空管固定工程をさらにおこなう。
本方法の中空管固定工程では、接着剤62によって中空管32をシース16に接合固定する。
本実施形態のカテーテル製造装置80は、押込治具85の下流側に、溝部28内に接着剤62を供給する供給手段90が設けられている。供給手段90では、あらかじめ、接着剤62の融点あるいは軟化点である温度A以上、外層60を構成する第一樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度B未満、中空管32を構成する第三樹脂組成物の温度C未満で加熱して、接着剤62を融解させておく。そして、供給手段90は、溝部28に装着された中空管32の周囲に溶融した接着剤62を充填して、中空管32を溝部28の内部に固定する。
以上により、保持部82にて軸方向に搬送されるシース16の内部に、中空管32が長手方向に伸びて埋設される。その後、中空管32が挿入されたシース16を、接着剤62の融点あるいは軟化点である温度A未満に冷却し、接着剤62を固化させる。
なお、図2に示すようにシース16の内部に90度間隔で4本の中空管32を埋設する場合には、保持部82に対するシース16の保持角度を変えて上述の溝部形成工程と装着工程を4回繰り返してもよい。
または、切削刃84、押込治具85および供給手段90からなるカテーテル製造装置80を、シース16の周囲に90度間隔で4式配設してもよい。
(操作線固定工程)
操作線固定工程では、中空管32のサブルーメン30に挿通された操作線40を、シース16の遠位端部15に固定する。操作線40をシース16に固定する具体的な方法としては、中空管32より引き出した操作線40の先端を、シース16の遠位端部15に溶着してもよく、またはシース16の先端部外周に圧締されるマーカー66に固定してもよい。
操作線40をマーカー66に固定する場合、操作線40の先端をシース16の外周面18とマーカー66との間に挟んで固定してもよく、またはマーカー66自体に操作線40を接合して固定してもよい。
(親水化工程)
マーカー66が装着されて操作線40が遠位端部15に固定されたシース16の先端部外周には、親水性のコート層64を形成して親水化工程をおこなう。コート層64はシース16のうち、遠位端部15を含む一部長さに対して被着形成する。
以上の工程をおこなった後、芯線22をシース16から抜脱し、操作部70(図4を参照)をシース16に装着することにより、本実施形態のカテーテル10は作成される。
シース16から芯線22を抜脱する際には、芯線22の長手方向の両端を牽引して芯線22を細径化した状態でシース16を取り外すとよい。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
外層60の外周面に、長手方向に沿って延在する溝部28が形成され、この溝部28に中空管32が装着されている。このため、メインルーメンとサブルーメンとの所望の位置関係を再現性よく安定して実現することができる。
さらに、接着剤62を構成する第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、外層60の第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低い。外層60の融点あるいは軟化点である温度Bよりも低温で接着剤62を溶融させて、中空管32を溝部28に固定できる。これにより、中空管32を溝部28に接着する際に、管状本体が変形してしまうことを防止でき、メインルーメンとサブルーメンとの所望の位置関係を再現性よく安定して実現することができる。
これに加え、中空管32の融点あるいは軟化点である温度Cよりも接着剤62の融点あるいは軟化点である温度Aは低いため、中空管32の変形も抑制できる。
(第二実施形態)
次に、図6〜8を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。
前記実施形態では、溶融させた接着剤62を、供給手段90から溝部28に供給していたが、本実施形態では、中空管32の外周を予め接着剤62で被覆した後、溝部28に埋め込む。
まず、シース16を作成する。
前記実施形態と同様の方法で、芯線22の周囲に、内層21を形成する。その後、内層21の周囲にコイル層50を配置しておく。
一方で、あらかじめ、外層60を押し出し成形により成形しておく。
次に、内層21の周囲にコイル層50を被せた後で、そのコイル層50の周囲に外層60を被せる。
その後、本実施形態では、図6に示すように、外層60の外周を熱収縮性の樹脂チューブ91で被覆する。具体的には、管状の熱収縮性の樹脂チューブ91内に、内層21、巻き線52、外層60の構造体を挿入する。
次に、外層60および内層21を外層60の融点あるいは軟化点である温度B以上に加熱する。この加熱温度は、外層60の溶融温度よりも高く、内層21の溶融温度(融点あるいは軟化点)よりも低い。この加熱により、外層60と内層21とが溶着により接合する。
この加熱により、樹脂チューブ91が熱収縮し、外層60の径方向に向かって、外層60および内層21を含むシース16が外側から加圧されることとなる。これにより、シース16の径を調整するとともに、外層60および内層21を確実に固着させることができる。
その後、シース16を前記温度B未満に冷却し、樹脂チューブ91から、シース16を取り出す。シース16を取り出す際には、樹脂チューブ91を切り裂けばよい。
次に、前記実施形態と同様、中空管成形工程を実施し、中空管32を形成する。
その後、中空管32の外周面を接着剤62で被覆する。ここで、あらかじめ接着剤62を温度A以上に加熱して、溶融状態とし、中空管32の外周面に塗布した後、温度A未満に冷却してもよい。
また、接着剤62をあらかじめ、管状に成形しておき、管状の接着剤62の内部に中空管32を挿入し、中空管32の外周面を接着剤62で被覆してもよい。接着剤62は、中空管32の全周を隙間なく被覆することが好ましい。
接着剤62を管状に成形する方法としては、押し出し成形があげられる。
その後、中空管32のサブルーメン30に対して芯線92(図7参照)を挿入する。この芯線92は、操作線ではなく、ダミー線である。芯線92の材料としては、操作線40と同様のものを使用できる。ただし、芯線92の径は、操作線40よりも大きいことがこのましい。
また、芯線92の径は、中空管32よりも小さく、中空管32に遊挿されている。
一方で、シース16に溝部28を形成しておく。たとえば、前記実施形態の切削刃84でシース16に4本溝部28を形成する。
次に、各溝部28内に、接着剤62で被覆された中空管32を配置する。前記実施形態では、溝部28を形成しながら、溝部28に中空管32を配置していたが、本実施形態では、溝部28を完全に形成した後、中空管32を配置する。
その後、図8に示すように、溝部28に中空管32が配置されたシース16を熱収縮性の樹脂チューブ91で被覆する。具体的には、管状の熱収縮性の樹脂チューブ91内に、溝部28に中空管32が配置されたシース16を挿入する。
次に、熱収縮性の樹脂チューブ91および中空管32が配置されたシース16の全体を、接着剤62の温度A以上、外層60の融点あるいは軟化点である温度B未満、中空管32の融点あるいは軟化点である温度C未満で加熱する。これにより、樹脂チューブ91が熱収縮し、外層60の径方向に向かって、シース16が外側から加圧されることとなる。
なお、図2に示すようにシース16の内部に90度間隔で4本の中空管32を埋設する場合には、上述した溝部を形成し、中空管32を配置し、加熱加圧する工程を4回繰り返してもよい。
その後、樹脂チューブ91、中空管32が挿入されたシース16を接着剤62の融点あるいは軟化点である温度A未満に冷却し、接着剤62を固化する。そして、樹脂チューブ91から、中空管32が固定されたシース16を取り出す。
なお、接着剤62は樹脂チューブ91に付着することが考えられるため、25℃における接着剤62と樹脂チューブ91との接着力は、接着剤62と中空管32との接着力よりも低いことが好ましい。また、25℃における接着剤62と樹脂チューブ91との接着力は、接着剤62と溝部28との接着力よりも低いことが好ましい。
接着剤62と樹脂チューブ91との接着力を低減させるためには、たとえば、樹脂チューブ91を、中空管32や、外層60とは異なる樹脂組成物、たとえば、ポリテトラフルオロエチレンの等の樹脂を主成分とするもの、なかでもポリテトラフルオロエチレンからなる樹脂組成物とすることが好ましい。
また、接着剤62と樹脂チューブ91との接着力を低減させるために、樹脂チューブ91の内側に離型処理を施してもよい。
次に、メインルーメンを挟んで対向する一対の中空管32内の芯線92を抜くとともに、前記一対の中空管32内に操作線40を挿入する。
また、メインルーメンを挟んで対向する他の一対の中空管32内からは、芯線92を引き抜く。この中空管32内には、操作線40は挿入しない。
その後、前記実施形態と同様、操作線固定工程、親水化工程等を実施すればよい。
以上の工程により、カテーテル10が製造される。
このような第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、中空管32をあらかじめ接着剤62で被覆した後、溝部28に挿入しているので、中空管32と溝部28の底部との間にも接着剤62を確実に挿入することができる。これにより、中空管32をより確実に外層60に固定することができる。
また、あらかじめ中空管32を接着剤62で被覆しているので、接着剤62の塗布量が均一となるように制御しやすい。中空管32の長手方向にわたって、均一に接着剤62を塗布することができるので、シース16をねじる操作をした場合において、長手方向に沿ってねじり角度に分布が生じてしまうことを抑制できる。
本実施形態では、接着剤62で被覆された中空管32を溝部28に配置した後、接着剤62で被覆された中空管32およびシース16を加熱するとともに、熱収縮性の樹脂チューブ91で中空管32およびシース16を加圧している。
樹脂チューブ91は熱収縮し、外層60の径方向に向かって、中空管32およびシース16が外側から加圧されることとなる。このような加圧方法では、中空管32の長手方向にわたって均一に加圧できる。そのため、中空管32の長手方向にわたって加圧が不均一となり、中空管32がねじれてしまうことを防止できる。
さらに、本実施形態では、接着剤62で被覆された中空管32およびシース16を加熱加圧する際に、中空管32内部には芯線92が挿入されている。これにより、中空管32が加熱加圧の際につぶれてしまうことを防止できる。特に、芯線92は、操作線40よりも径が大きいため、中空管32の径を操作線40よりも大きく確保でき、操作線40の操作性の低下を確実に防止できる。
(第三実施形態)
次に、図9,10を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。図9,10は、シース16の長手方向と直交する断面図である。ただし、図9,10においては、コイル層50の図示を省略している。
第二実施形態では、中空管32の外周を予め接着剤62で被覆した後、溝部28に埋め込んでいた。これに対し、本実施形態では、溝部28に中空管32を配置した後、中空管32およびシース16を、接着剤62で被覆する。
まず、第二実施形態と同様の方法で、シース16を製造する。前記各実施形態と同様の方法で、芯線22の周囲に、内層21を形成する。その後、内層21の周囲にコイル層50を配置しておく。
一方で、あらかじめ、外層60を押し出し成形により成形しておく。
次に、内層21の周囲にコイル層50を被せた後で、そのコイル層50の周囲に外層60を被せる(図9(a)参照)。
その後、前記各実施形態と同様に、中空管成形工程を実施し、中空管32を形成する。次に、図9(b)に示すように、外層60に形成された溝部28内に中空管32を配置する。なお、中空管32のサブルーメン30に対して芯線92を挿入しておいてもよい。
一方で、あらかじめ、接着剤62を管状に成形しておく。
次に、管状の接着剤62の内部に、外層60、内層21、中空管32で構成される構造体を挿入する(図9(c))。
次に、図10(a)に示すように、接着剤62の周囲を熱収縮性の樹脂チューブ91で被覆する。具体的には、管状の熱収縮性の樹脂チューブ91内に、溝部28に中空管32が配置され、かつ、接着剤62で被覆されたシース16を挿入する。樹脂チューブ91としては第二実施形態と同様のものを使用できる。
次に、熱収縮性の樹脂チューブ91および、中空管32が配置され、かつ、接着剤62で被覆されたシース16の全体を、接着剤62の融点あるいは軟化点である温度A以上、外層60の融点あるいは軟化点である温度B未満、中空管32の融点あるいは軟化点である温度C未満で加熱する。これにより、樹脂チューブ91が熱収縮し、外層60の径方向に向かって、シース16が外側から加圧されることとなる。また、接着剤62は溶融し、溝部28と中空管32との間に流れ込むこととなり、中空管32が接着剤を介して溝部28内に配置された状態となる。特に、溝部28の底部と、中空管32との間に接着剤が流れ込むことが好ましい。
その後、樹脂チューブ91、中空管32が挿入されたシース16を接着剤62の融点あるいは軟化点である温度A未満に冷却し、接着剤62を固化する。そして、樹脂チューブ91から、中空管32が固定されたシース16を取り出す。その後の工程は、前記各実施形態と同様であり、芯線92を操作線40と置換する工程や、操作線固定工程、親水化工程等を実施すればよい。
接着剤62は、シース16の溝部28内に充填されて、中空管32と溝部28とを固定する。
さらに、管状の接着剤62は、シース16の外周および中空管32の溝部28の底部と反対側の表面を一体的に被覆する。具体的には、図10(b)に示すように、接着剤62は、シース16の長手方向と直交する断面において、シース16の外周全体を連続的に被覆し、リング状となっている。
また、図10(b)に示すように、シース16の長手方向と直交する断面において、接着剤62は、中空管32の外周全周を取り囲むとともに、接着剤62は、溝部28内に位置する部分と、シース16の外周面(溝部28を除いた部分)を被覆する部分とが連続している。さらに、接着剤62は、シース16の長手方向に沿って延在する。
このような本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
中空管32が配置され、かつ、接着剤62で被覆されたシース16の全体を、熱収縮性の樹脂チューブ91で加熱している。これにより、樹脂チューブ91が熱収縮し、外層60の径方向に向かって、シース16、接着剤62が外側から加圧されることとなる。そのため、接着剤62の一部を溝部28内部に確実に流し込むことができ、中空管32と溝部28とを接着することができる。
さらに、本実施形態では、接着剤62は、管状に成形されており、シース16の溝部28に配置された中空管32およびシース16の外周面を一体的に被覆しているので、中空管32が溝部28から外れてしまうことを抑制できる。
また、本実施形態では、管状の接着剤62内に、複数の中空管32が配置されたシース16を挿入した後、接着剤62を溶融させて、各中空管32と溝部28との間に接着剤の一部を供給している。そのため、前記実施形態のように、各中空管32をそれぞれ接着剤で被覆する場合に比べ、製造工程の簡略化を図ることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記各実施形態では、外層60を切削することで溝部28を形成していたが、これに限られるものではない。たとえば、あらかじめ溝部28が形成された外層60を押し出し成形で成形してもよい。さらには、図11に示すように、外層60にあらかじめ、ワイヤ等の芯線Wを埋め込んでおく。そして、ワイヤWの端部を引き、外層60の外周面を引き裂いて溝部28を形成してもよい。このようにすることで、溝部28がカテーテル10の長手方向に曲がって形成されてしまうことを防止できる。
さらに、前記各実施形態では、医療機器として、カテーテル10を例示したが、これに限られるものではない。たとえば、医療機器は、内視鏡であってもよい。
また、第二実施形態では、接着剤62で被覆された中空管32およびシース16を、熱収縮性の樹脂チューブ91で被覆して、加熱加圧を行なったが、これに限られるものではない。
たとえば、加熱手段を外層60の長手方向に沿って移動させて、接着剤62を一部づつ、順次溶融させてもよい。
以下、参考形態の例を付記する。
1.メインルーメンが長手方向に延在し、第一樹脂組成物からなる管状本体と、
前記管状本体の周面に、前記長手方向に沿って延在する溝部と、
前記溝部内に配置され、サブルーメンを区画する中空管と、
前記中空管を前記溝部内に固定するための第二樹脂組成物からなる接着剤とを備え、
前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低い医療機器。
2.1.に記載の医療機器において、
前記中空管は、第三樹脂組成物から構成され、
前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、前記第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Cよりも低い医療機器。
3.1.または2.に記載の医療機器において、
前記管状本体の外周面に前記溝部は形成されており、
前記接着剤は、前記中空管と前記管状本体の外周面に形成された前記溝部との間を埋め込むとともに、前記管状本体の前記溝部に配置された前記中空管および前記管状本体を被覆するように管状に構成されたものである医療機器。
4.1.乃至3.のいずれかに記載の医療機器において、
前記サブルーメン内に摺動可能に挿入される操作線を有し、
前記操作線の近位端を操作することで、前記管状本体の遠位端部が屈曲する医療機器。
5.1.乃至4.のいずれかに記載の医療機器において、
前記第二樹脂組成物の引っ張り弾性率は、前記第一樹脂組成物の引っ張り弾性率よりも低い医療機器。
6.1.乃至5.のいずれかに記載の医療機器において、
前記第一樹脂組成物は、ポリエーテルブロックアミド共重合体、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレートのいずれかを主成分とし、
前記第二樹脂組成物は、ポリエーテルブロックアミド共重合体、プロピレン成分を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択されるいずれか1種を主成分とする医療機器。
7.1.乃至6.のいずれかに記載の医療機器において、
当該医療機器は、カテーテルである医療機器。
8.メインルーメンが長手方向に延在し、第一樹脂組成物からなる管状本体を用意する工程と、
第二樹脂組成物からなる接着剤を溶融させて、溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする工程と、
前記接着剤を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度A未満で前記接着剤を冷却して、前記溝部に前記中空管を固定する工程とを含み、
溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、前記接着剤を、前記接着剤を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度B未満で加熱して、前記接着剤を溶融させる医療機器の製造方法。
9.8.に記載の医療機器の製造方法において、
溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
前記接着剤により、前記中空管の外周を被覆した後、
前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置し、
その後、前記接着剤を、前記第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱して、溶融させる医療機器の製造方法。
10.9.に記載の医療機器の製造方法において、
溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
前記接着剤をあらかじめ管状に成形し、
管状の接着剤の内部に、前記中空管を挿通させ、
前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置し、その後、前記接着剤を溶融させる医療機器の製造方法。
11.10.に記載の医療機器の製造方法において、
溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
あらかじめ中空管内部に芯線を挿入しておき、
前記管状の接着剤の内部に、前記中空管を挿通させ、
前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置した後、
前記接着剤、前記中空管、前記管状本体、前記芯線からなる構造体を、第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱して、前記接着剤を溶融させるとともに、前記構造体を前記管状本体の径方向に向かって外部から加圧する医療機器の製造方法。
12.11.に記載の医療機器の製造方法において、
溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
前記接着剤、前記中空管、前記管状本体、前記芯線からなる構造体を熱収縮性の被覆部で被覆し、
前記構造体を温度A以上、温度B未満、温度C未満で加熱することで、前記被覆部を熱収縮させて、前記構造体を加圧し、
前記接着剤を冷却して前記溝部に前記中空管を固定する前記工程後、
25℃における前記被覆部と前記接着剤との接着力は、前記接着剤と前記溝部との接着力よりも低い医療機器の製造方法。
13.11.または12.のいずれかに記載の医療機器の製造方法において、
前記溝部に前記中空管を固定する前記工程後、
前記芯線を前記中空管から引き抜くとともに、前記中空管内部に前記芯線よりも径の小さい操作線を挿入する医療機器の製造方法。
14.8.に記載の医療機器の製造方法において、
溶融した前記接着剤を介して前記管状本体の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
前記接着剤を予め管状に成形する工程と、
前記中空管を前記管状本体の外周面に形成された前記溝部内に配置する工程と、
前記管状の接着剤の内部に、前記中空管および前記管状本体を挿通させて構造体を構成する工程と、
接着剤を、第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱して、前記接着剤を溶融させることで、前記接着剤を前記管状本体の前記溝部と中空管との間に流し込む工程とを実施する医療機器の製造方法。
15.14.に記載の医療機器の製造方法において、
前記接着剤を前記管状本体の前記溝部と中空管との間に流し込む前記工程では、
接着剤を、第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱するとともに、前記構造体を前記管状本体の径方向に向かって外部から加圧する医療機器の製造方法。
16.8.乃至15.のいずれかに記載の医療機器の製造方法において、
管状本体を用意する前記工程では、
前記管状本体の内部に、管状の内層を配置し、前記管状本体を前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B以上に加熱して、前記内層と前記管状本体とを固定する医療機器の製造方法。
17.8.に記載の医療機器の製造方法において、
管状本体を用意する前記工程では、
芯線が埋め込まれた管状本体を用意し、
前記芯線を引っ張ることで、前記管状本体の外周面を引き裂き、前記管状本体の外周面に溝部を形成する医療機器の製造方法。
10 カテーテル
15 遠位端部
16 シース
17 近位端部
18 外周面
19 内周面
20 メインルーメン
21 内層
22 芯線
28 溝部
30 サブルーメン
32 中空管
40 操作線
41 近位端
50 コイル層
52 巻き線
60 外層
62 接着剤
64 コート層
66 マーカー
70 操作部
80 カテーテル製造装置
82 保持部
84 切削刃
85 押込治具
86 上部ガイド
87 下部ガイド
88 導入溝
89 押さえ部
90 供給手段
91 樹脂チューブ
92 芯線
DE 遠位端
PE 近位端
V 空隙
W 芯線

Claims (15)

  1. メインルーメンが長手方向に延在し、かつ前記メインルーメンが内部に形成された管状の内層と、第一樹脂組成物からなり前記内層の周囲に形成された外層とを積層してなる管状本体と、
    前記外層の周面に、前記長手方向に沿って延在する溝部と、
    前記溝部内に配置され、サブルーメンを区画する中空管と、
    前記中空管を前記溝部内に固定するための第二樹脂組成物からなる接着剤とを備え、
    前記溝部は、前記管状本体における前記外層の外周面に形成されており、
    前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Bよりも低く、
    前記接着剤は、前記中空管と前記管状本体の前記外層の外周面に形成された前記溝部との間を埋め込むとともに、前記管状本体の前記溝部に配置された前記中空管および前記管状本体を被覆するように管状に構成されたものである医療機器。
  2. 請求項1に記載の医療機器において、
    前記中空管は、第三樹脂組成物から構成され、
    前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度Aは、前記第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度Cよりも低い医療機器。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の医療機器において、
    前記サブルーメン内に摺動可能に挿入される操作線を有し、
    前記操作線の近位端を操作することで、前記管状本体の遠位端部が屈曲する医療機器。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の医療機器において、
    前記第二樹脂組成物の引っ張り弾性率は、前記第一樹脂組成物の引っ張り弾性率よりも低い医療機器。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の医療機器において、
    前記第一樹脂組成物は、ポリエーテルブロックアミド共重合体、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレートのいずれかを主成分とし、
    前記第二樹脂組成物は、ポリエーテルブロックアミド共重合体、プロピレン成分を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択されるいずれか1種を主成分とする医療機器。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の医療機器において、
    当該医療機器は、カテーテルである医療機器。
  7. メインルーメンが長手方向に延在しかつ前記メインルーメンが内部に形成された管状の内層と、第一樹脂組成物からなり前記内層の周囲に形成された外層とを積層してなる管状本体を用意する工程と、
    第二樹脂組成物からなる接着剤を溶融させて、溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする工程と、
    前記接着剤を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度A未満で前記接着剤を冷却して、前記溝部に前記中空管を固定する工程とを含み、
    溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、前記接着剤をあらかじめ管状に成形し、管状の前記接着剤の内部に、前記中空管を挿通させ、前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置し、その後、前記接着剤を、前記接着剤を構成する前記第二樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の融点あるいは軟化点である温度B未満で加熱して、前記接着剤を溶融させる医療機器の製造方法。
  8. 請求項に記載の医療機器の製造方法において、
    溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
    前記接着剤により、前記中空管の外周を被覆した後、
    前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置し、
    その後、前記接着剤を、前記第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱して、溶融させる医療機器の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の医療機器の製造方法において、
    溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
    あらかじめ中空管内部に芯線を挿入しておき、
    前記管状の接着剤の内部に、前記中空管を挿通させ、
    前記接着剤により被覆された前記中空管を前記溝部に配置した後、
    前記接着剤、前記中空管、前記管状本体、前記芯線からなる構造体を、第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱して、前記接着剤を溶融させるとともに、前記構造体を前記管状本体の径方向に向かって外部から加圧する医療機器の製造方法。
  10. 請求項に記載の医療機器の製造方法において、
    溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
    前記接着剤、前記中空管、前記管状本体、前記芯線からなる構造体を熱収縮性の被覆部で被覆し、
    前記構造体を温度A以上、温度B未満、温度C未満で加熱することで、前記被覆部を熱収縮させて、前記構造体を加圧し、
    前記接着剤を冷却して前記溝部に前記中空管を固定する前記工程後、
    25℃における前記被覆部と前記接着剤との接着力は、前記接着剤と前記溝部との接着力よりも低い医療機器の製造方法。
  11. 請求項または10のいずれかに記載の医療機器の製造方法において、
    前記溝部に前記中空管を固定する前記工程後、
    前記芯線を前記中空管から引き抜くとともに、前記中空管内部に前記芯線よりも径の小さい操作線を挿入する医療機器の製造方法。
  12. 請求項に記載の医療機器の製造方法において、
    溶融した前記接着剤を介して前記外層の周面の溝部に中空管が配置された状態とする前記工程では、
    前記接着剤を予め管状に成形する工程と、
    前記中空管を前記管状本体の外周面に形成された前記溝部内に配置する工程と、
    前記管状の接着剤の内部に、前記中空管および前記管状本体を挿通させて構造体を構成する工程と、
    前記接着剤を、前記第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱して、前記接着剤を溶融させることで、前記接着剤を前記管状本体の前記溝部と中空管との間に流し込む工程とを実施する医療機器の製造方法。
  13. 請求項12に記載の医療機器の製造方法において、
    前記接着剤を前記管状本体の前記溝部と中空管との間に流し込む前記工程では、
    前記接着剤を、前記第二樹脂組成物の融点または軟化点である温度A以上、前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B未満、前記中空管を構成する第三樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度C未満で加熱するとともに、前記構造体を前記管状本体の径方向に向かって外部から加圧する医療機器の製造方法。
  14. 請求項乃至13のいずれかに記載の医療機器の製造方法において、
    管状本体を用意する前記工程では、
    前記管状本体の内部に、管状の前記内層を配置し、前記管状本体を前記第一樹脂組成物の軟化点あるいは融点である温度B以上に加熱して、前記内層と前記管状本体とを固定する医療機器の製造方法。
  15. 請求項に記載の医療機器の製造方法において、
    管状本体を用意する前記工程では、
    芯線が埋め込まれた管状本体を用意し、
    前記芯線を引っ張ることで、前記管状本体の前記外層の外周面を引き裂き、前記管状本体の前記外層の外周面に溝部を形成する医療機器の製造方法。
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