JP4699204B2 - 高周波増幅回路 - Google Patents
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かかる回路においては、互いに並列接続されたバイポーラトランジスタ間の発熱による温度差がベースバイアスへフィードバックされ、発熱温度の高い一部のバイポーラトランジスタのコレクタに流れる電流が異常に増加し、その結果、他の並列に接続されたバイポーラトランジスタのコレクタに流れていた電流が、上述の発熱温度の高い一部のバイポーラトランジスタのコレクタへ集中して流れ、遂には破壊に至ることがある。
このような一部のバイポーラトランジスタへの電流集中を抑圧するため、並列接続された各々のバイポーラトランジスタのエミッタ及びベースに抵抗素子、いわゆるバラスト抵抗を接続する方法が従来から公知の方法として広く用いられているが、かかる方法は、簡易で確実である反面、高周波増幅回路の電力利得の低下と安定性の低下を招くという欠点がある。
図6に示された高周波増幅回路は、8個のバイポーラトランジスタが並列接続されて構成されたものとなっている。
以下、具体的に説明すれば、この高周波増幅回路は、第1の高周波増幅回路160と第2の高周波増幅回路161が並列接続されて構成されたものとなっており、第1及び第2の高周波増幅回路160,161は、対称に構成されて、同一の動作をするようになっている。
第1の高周波増幅回路160は、4つのバイポーラトランジスタ64a,65a,66a,67aを有してなり、第1のバイポーラトランジスタ64aは、そのベースが、第1のコンデンサ64b及び第1の抵抗素子64cを介して、それぞれ高周波入力端子61及びベースバイアス端子62に接続される一方、コレクタが高周波出力端子63に接続されている。かかる構成は、第2乃至第4のバイポーラトランジスタ65a,66a,67aについても同様であるので、それぞれについてここでの詳細な構成の説明は省略し、図6において、上述の各構成要素に対応する構成要素に符号を付すに留めることとする。
一方、上記構成の高周波増幅回路において、入力された高周波信号は、第1乃至第4のコンデンサ64c,65c,66c,67cを通過して、第1乃至第4のバイポーラトランジスタ64a,65a,66a,67aの対応するベースに入力されるため、抵抗素子を介して高周波信号がベースに印加される構成に比べて電力利得の低下が小さい。
具体的には、例えば、図7に示された構成例における入力電力に対する出力電力の変化特性が図8に示されているが、同図によれば、入力電力があるレベルを超えると、出力電力特性が不連続に変化することが確認できる(図8の点線の囲み部分参照)。
さらに、図9によれば、各々のバイポーラトランジスタ84a,85a,86a,87aのコレクタ電流は、上述のように出力電力特性が不連続となる入力状態か否かに関わらず相互の大きさに差が生じており、最大で75%程の差となっていることが確認できる。このような電流の不均衡は、バイポーラトランジスタの温度上昇により一部のバイポーラトランジスタへの電流の集中を招く要因となるものである。
これらの高周波電力増幅器は、高出力電力特性とするため、上述のような互いに並列接続された複数個のバイポーラトランジスタを用いて回路構成されることが多いが、小型化への要求に応えるため、並列接続された複数個のバイポーラトランジスタを近接配置する構造を採ると、互いのバイポーラトランジスタの放熱経路が交錯し、熱抵抗が増加することから温度上昇を招き、上述のような各バイポーラトランジスタのコレクタ電流の不均衡と相まって一部のバイポーラトランジスタへの電流集中を惹起させるため、いわゆる熱暴走の抑圧が必要となる。
相互に並列接続された第1のサブ高周波増幅回路と第2のサブ高周波増幅回路とを有し、当該第1及び第2のサブ高周波増幅回路は、それぞれ、増幅動作を行うn個のトランジスタ回路が並列接続されて構成されてなる高周波増幅回路であって、
前記n個のトランジスタ回路は、それぞれバイポーラトランジスタ又は電界効果トランジスタを用いてなり、各々のバイポーラトランジスタ又は電界効果トランジスタは、コレクタ同士又はドレイン同士、エミッタ同士又はソース同士がそれぞれ相互に並列接続される一方、各々のベース又はゲートには、それぞれ、抵抗器とベースコンデンサの各々の一端が接続されてなり、前記各々の抵抗器の他端は、直流バイアス入力端子とされ、前記各々のベースコンデンサの他端は、信号入力端子とされてなり、
前記n個のトランジスタ回路の内、第1のトランジスタ回路の前記信号入力端子は第1の伝送線路を介して高周波入力端子に接続される一方、
第1乃至第nのトランジスタ回路の各々隣接する前記信号入力端子間には、直列接続されて対をなす伝送線路と線路接続用コンデンサが、それぞれ、前記第1の伝送線路側に前記対をなす各々の伝送線路が位置するように接続され、これら複数の対となる伝送線路と線路接続用コンデンサが前記高周波入力端子に対して縦属接続されてなる高周波増幅回路において、
前記第2乃至第nのトランジスタ回路の各々のベースコンデンサの容量と、当該ベースコンデンサの前記他端と前記高周波入力端子との間に直列接続された前記線路接続用コンデンサの容量の合成容量を有するコンデンサを、新たな第2乃至第nのトランジスタ回路の各々のベースコンデンサとすると共に、当該ベースコンデンサが前記線路接続用コンデンサを兼ねるものとし、前記新たな第2乃至第nのトランジスタ回路の各々のベースコンデンサは互いに異なる容量であるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における高周波増幅回路の第1の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
この高周波増幅回路は、第1のサブ高周波増幅回路100と第2のサブ高周波増幅回路101が並列接続されて構成されたものとなっており、第1及び第2のサブ高周波増幅回路100,101は、対称に構成されて、同一の動作をするものとなっている。
第1及び第2のサブ高周波増幅回路100,101は、同一の回路構成であるので、ここでは、第1のサブ高周波増幅回路100を例に採り、そのより具体的な構成について説明し、その説明を以て第2のサブ高周波増幅回路101の説明に代えることとする。
そして、第1のサブ高周波増幅回路100は、同一の構成を有してなる第2のサブ高周波増幅回路101と、高周波入力端子1と高周波出力端子3との間に、互いに並列接続されたものとなっている。
なお、この構成例においては、バイポーラトランジスタとしてnpn型が用いられたものとなっている。
そして、第1乃至第4の直流入力端子4f,5f,6f,7fは、互いに並列にベースバイアス端子2に接続される一方、第1乃至第4のコレクタ端子4d,5d,6d,7dは、互いに並列に高周波出力端子3に接続されている。
すなわち、第1の信号入力端子4eと高周波入力端子1は、第1の伝送線路8を介して接続されると共に、第1の信号入力端子4eと第1の伝送線路8の接続点には、第2の伝送線路9の一端が接続され、第2の伝送線路9の他端は、第2の線路接続用コンデンサ10の他端に接続されており、さらに、第2の線路接続用コンデンサ10の他端は、第2の信号入力端子5eに接続されている。
そして、第3の線路接続用コンデンサ12の他端は、さらに、第4の伝送線路13の一端に接続されており、この第4の伝送線路13の他端は、第4の線路接続用コンデンサ14を介して第4の信号入力端子7eに接続されたものとなっている。
すなわち、換言すれば、伝送線路9,11,13と、それぞれに対応して直列接続された第2乃至第4の線路接続用コンデンサ10,12,14とが対をなし、それぞれの対が第1の信号入力端子4eと第4の信号入力端子7e間において、隣接する端子間にそれぞれ接続されており、これによって、これらの対が高周波入力端子1に対して縦属接続された構成となっている。
なお、伝送線路8,9,11,13は、具体的には、マイクロストリップライン、インダクタンスを有した配線材料、あるいは、インダクタンス素子などが用いられてなるものである。
そこで、本発明の実施の形態においては、第2乃至第4の線路接続用コンデンサ10,11,14は、それぞれ直列接続された第2乃至第4の伝送線路9,11,13のインダクタンス成分を打ち消す容量を有するものとなっている。
最初に、図2を参照しつつ入力電力に対する出力電力の変化特性について説明すれば、同図より、上述した本発明の実施の形態における高周波増幅回路は、従来と異なり(図8参照)、入力電力の大きさの如何に関わらず、出力変化が不連続となるようなことがないものであることが確認できる。
そして、図3によれば、上述した本発明の実施の形態における高周波増幅回路では、入力電力の変化に対して、各バイポーラトランジスタ4a,5a,6a,7aのコレクタ電流に差はあるものの、最大でも25%程度に抑圧されている。
この点、例えば、図9に示された従来回路の特性例においては、最大で75%程の差があることからすれば、本発明の実施の形態における高周波増幅回路は、格段の特性改善がなされたものであることが確認できる。
なお、図3において、Tr1、Tr2、Tr3、Tr4は、バイポーラトランジスタ4a,5a,6a,7aをそれぞれ表している。
なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の構成例は、図1に示された第1の構成例における第2乃至第4の線路接続用コンデンサ10,11,14を、対応するベースコンデンサ5b,6b,7bに合成することで、第2乃至第4の線路接続用コンデンサ10,11,14を廃することができるように構成したものである。
同様に、第3のベースコンデンサ26bは、第3のベースコンデンサ6b(図1参照)の容量と、第3の線路接続用コンデンサ12(図1参照)の容量値の合成容量を有するものとなっている。
さらに、同様に、第4のベースコンデンサ27bは、第4のベースコンデンサ7b(図1参照)の容量と、第4の線路接続用コンデンサ14(図1参照)の容量値の合成容量を有するものとなっている。
したがって、かかる回路の動作及び特性は、先の第1の構成例と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の構成例は、図1に示された第1の構成例における第1乃至第4のベースコンデンサ4a,5a,6a,7aを廃する一方、新たに、第1の線路接続用コンデンサ49を設けると共に、第1乃至第4の線路接続用コンデンサ49,51,53,55の容量を後述するように設定したものである。
まず、第1の伝送線路8と第1のバイポーラトランジスタ4aとの間に第1の線路接続用コンデンサ49が設けられている。
そして、第1乃至第4の線路接続用コンデンサ49,51,53,55は、それぞれ対応する第1乃至第4のバイポーラトランジスタ4a,5a,6a,7aのベースバイアスにおける直流成分を除去(DCカット)する役割を果たすと共に、それぞれ対応する第1乃至第4の伝送線路8,9,11,13のインダクタンス成分を打ち消す役割を果たすものとなっている。そのため、第1乃至第4の線路接続用コンデンサ49,51,53,55は、DCカットに必要な容量に、インダクタンス成分の打ち消しに必要な容量を加味した容量値に設定されたものとなっている。
8…第1の伝送線路
9…第2の伝送線路
10…第2の線路接続用コンデンサ
11…第3の伝送線路
12…第3の線路接続用コンデンサ
13…第4の伝送線路
14…第4の線路接続用コンデンサ
100…第1のサブ高周波増幅回路
101…第2のサブ高周波増幅回路
Claims (1)
- 相互に並列接続された第1のサブ高周波増幅回路と第2のサブ高周波増幅回路とを有し、当該第1及び第2のサブ高周波増幅回路は、それぞれ、増幅動作を行うn個のトランジスタ回路が並列接続されて構成されてなる高周波増幅回路であって、
前記n個のトランジスタ回路は、それぞれバイポーラトランジスタ又は電界効果トランジスタを用いてなり、各々のバイポーラトランジスタ又は電界効果トランジスタは、コレクタ同士又はドレイン同士、エミッタ同士又はソース同士がそれぞれ相互に並列接続される一方、各々のベース又はゲートには、それぞれ、抵抗器とベースコンデンサの各々の一端が接続されてなり、前記各々の抵抗器の他端は、直流バイアス入力端子とされ、前記各々のベースコンデンサの他端は、信号入力端子とされてなり、
前記n個のトランジスタ回路の内、第1のトランジスタ回路の前記信号入力端子は第1の伝送線路を介して高周波入力端子に接続される一方、
第1乃至第nのトランジスタ回路の各々隣接する前記信号入力端子間には、直列接続されて対をなす伝送線路と線路接続用コンデンサが、それぞれ、前記第1の伝送線路側に前記対をなす各々の伝送線路が位置するように接続され、これら複数の対となる伝送線路と線路接続用コンデンサが前記高周波入力端子に対して縦属接続されてなる高周波増幅回路において、
前記第2乃至第nのトランジスタ回路の各々のベースコンデンサの容量と、当該ベースコンデンサの前記他端と前記高周波入力端子との間に直列接続された前記線路接続用コンデンサの容量の合成容量を有するコンデンサを、新たな第2乃至第nのトランジスタ回路の各々のベースコンデンサとすると共に、当該ベースコンデンサが前記線路接続用コンデンサを兼ねるものとし、前記新たな第2乃至第nのトランジスタ回路の各々のベースコンデンサは互いに異なる容量であることを特徴とする高周波増幅回路。
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