JP4697498B2 - 磁気センサ装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、紙幣等の磁性体媒体を検出する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、紙幣等の識別装置において、その処理能力を高めるために、紙幣等媒体の移動速度を速めることが重要な課題となっている。紙幣等媒体を識別する方法としては、媒体に光をあててその反射量や透過量を検出して判別したり、磁気ヘッドや、磁気センサ装置に代表されるように、媒体の磁気を検出して判別したりする。
【0003】
磁気センサ装置における磁気の検出方法としては、図1に示すように永久磁石上に2個以上の磁気抵抗素子を直列に接続し、その両端に一定電圧を印可し磁気抵抗素子間の接続部分から出力を取り出すよう構成する。磁性媒体が接近することによって、2個の磁気抵抗素子に異なる磁界が加わり抵抗値が変化することにより接続中点の電圧値が変化する。このような構造をした磁気センサ装置の出力は、図2に示すように、磁気抵抗素子と磁性体媒体との距離に大きく依存する。図2において、横軸は磁気抵抗素子と磁性体媒体との距離、縦軸は出力である。このような構造をした磁気センサ装置に於いては、高い出力を得るためや、出力の再現性、安定度を高めるために、磁性体媒体と磁気センサ装置とをほぼ密着状態かわずかな接触状態で検出する。
【0004】
しかし、近年においては、識別装置の処理能力を高めるために、紙幣等の磁性体媒体の搬送速度を速める要求が高まっている。紙幣等媒体の移動速度を速めると、磁気検出のため磁気センサ装置と磁性体媒体が密着か、もしくは接触状態にあると、その部分で紙幣等磁性体媒体の引っ掛かりが生じ媒体の移動の障害となる問題があり高速化は困難とされていた。そのため、紙幣等媒体を検出するセンサ−やその他周辺機器は、媒体を移動させる為のベルトやロ−ラ−等を除いては非接触であることが望ましい。上述した光の反射量や透過量を検出する判別手段では、非接触で検出するのが通常であり、磁気を検出し判別する手段にも非接触化が切望されていた。
【0005】
磁気センサ装置において、紙幣等媒体の磁気を非接触で検出する手段としては、例えば、実公昭62−41266に既に開示されているように、半導体磁気抵抗素子を対極し、その対極面の空隙部分に紙幣等媒体を通過させ、対極した磁気抵抗素子の出力電圧を加算増幅する方法が提案されている。しかし、このように出力電圧を加算増幅すると磁気抵抗素子を駆動する為の電源のリップルや電源ノイズ、更には、磁気抵抗素子に誘導してしまう外来ノイズ等も加算されてしまい、実紙幣においては対向した2つの磁気センサ装置の間隔が1.5〜3.75mm、つまり、実紙幣がこの間隔のほぼ中央部を通過するものとすれば、磁気センサ装置の検出面と実紙幣と間隔は0.75mm以上ではノイズレベルより出力が小さく検出ができないという問題があった。実紙幣には当然折れ曲がりやしわなどがあり、この実紙幣を高速で移動させ、なおかつ引っ掛かりを防止するためには磁気センサ装置の検出面と実紙幣との距離は少なくとも1mm以上が望ましい。
【0006】
磁気抵抗素子と磁性材媒体との距離を大きくすると、前述したように出力が小さくなるため、媒体と磁気抵抗素子が密着状態と同等のS/Nを得るためには、ノイズ成分を更に小さくする必要がある。特にノイズ低減のため従来から苦慮している電源について、更に低ノイズ化を図ることとなる。磁気センサ装置と紙幣等の磁性体媒体とが密着状態での出力電圧は約1mV程度であるが、その距離を大きくすると出力は数μVかそれ以下となる。そのような低い信号成分以下のノイズやリップルの小さな電源で磁気抵抗素子を駆動させることは、電源部分が大型化してしまい、なおかつ製造コストも上がってしまい実現は困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙幣等の微少な磁気の検出でも非接触での検出が可能で、更にはS/N特性の優れた磁気センサ装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する為に半導体磁気抵抗素子を対向させ、2つの磁気センサ装置を構成し、対向した2つの磁気センサ装置の出力信号が反転し出力されるよう磁気抵抗素子を配置する。そのように構成した磁気センサ装置のそれぞれの磁気抵抗素子からの出力信号を差動増幅することにより、反転した磁気信号は加算増幅、同相のノイズ成分は減算増幅しS/Nを改善しようとするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
半導体磁気抵抗素子は、少なくとも2個一対の磁気抵抗素子を直列接続させ、その接続点から出力電圧を取り出す。その出力電圧は、
Vout=Vin×R2/(R1+R2)
であらわす事は既に周知である。ここで、Voutは出力電圧、Vinは磁気抵抗素子への印可電圧、R1は高電位側磁気抵抗素子抵抗値、R2は低電位側磁気抵抗素子抵抗値である。
【0010】
一対の磁気抵抗素子を図3のように接続し磁性体媒体を矢印方向、つまり磁気抵抗素子の高電位側から低電位側に向かって移動させると、高電位側磁気抵抗素子MR1の抵抗値が高くなり、逆に低電位側磁気抵抗素子MR2の抵抗値は低くなる。更に、磁性媒体が移動をすると高電位側磁気抵抗素子MR1と低電位側磁気抵抗素子MR2の抵抗値は等しくなる。更に磁性媒体が移動を続けると、高電位側磁気抵抗素子MR1の抵抗値は低くなり逆に低電位側磁気抵抗素子MR2の抵抗値は高くなる。図4はその出力を波形として表したものである。横軸は磁性媒体移動量、縦軸は出力電圧である。
【0011】
また、一対の磁気抵抗素子を図5のように接続し磁性体媒体を矢印方向、つまり低電位側磁気抵抗素子から高電位側磁気抵抗素子に向かって移動させると、低電位側磁気抵抗素子MR2の抵抗値が高くなり、逆に高電位側磁気抵抗素子MR1の抵抗値は低くなる。更に、磁性媒体が移動をすると低電位側磁気抵抗素子MR2と高電位側磁気抵抗素子MR1の抵抗値は等しくなる。更に磁性媒体が移動を続けると、低電位側磁気抵抗素子MR2の抵抗値は低くなり逆に高電位側磁気抵抗素子MR1の抵抗値は高くなる。図6はその出力を波形として表したものである。横軸は磁性媒体移動量、縦軸は電圧出力である。
【0012】
つまり、磁性体媒体が一対の磁気抵抗素子の高電位側から接近した場合と、低電位側から接近した場合では、それぞれの出力電圧は反転した形態となる。
【0013】
このような原理を基に、磁気抵抗素子を対向させ、対向された磁気抵抗素子の、それぞれの磁気抵抗素子の接続中点より高電位側磁気抵抗素子と低電位側磁気抵抗素子が逆になるように対面配置することにより、2つの磁気センサから出力される波形は反転された形態となり出力される。
しかし、これらから出力される波形には、前述したように実際には電源からなるノイズ成分も含まれているのが実状である。この、電源のノイズを除去するためには、対向した2個の磁気センサの電源を共通にし、図7に示すように各々から出力される電源ノイズの含まれた磁気に応じた信号成分を、増幅器71で差動増幅することによりそのノイズ成分は減算され、互いに反転した磁気に応じた信号成分は、実際には加算されたように増幅される。つまり、信号処理後の出力電圧Vout1は、同相のノイズ成分は除去され、信号成分のみが増幅された信号である。なお、図7中破線は接続線を示す。
【0014】
また、対向する永久磁石は同極対向させると対向した空隙部分の中央部においては、永久磁石の磁場が分散してしまい分解能が著しく低下してしまうため、異極対向とし、平行磁場に近い状態を保ち分解能の低下を防いだ。
【0015】
更なるS/N向上のため対向した磁気抵抗素子を共通の筐体に内蔵したり、加えて前記筐体内に差動増幅回路や電源回路を内蔵することもある。
【0016】
【実施例】
第1の実施例を図8に示す。
基板82上に2個の磁気抵抗素子MR1、MR2を固定する。2個の磁気抵抗素子MR1、MR2のそれぞれの一端は基板82の配線パタ−ン82bに電気的に接続し、配線パタ−ン82bで直列接続し、更に、配線パタ−ン82bは出力端子84に接続する。磁気抵抗素子MR1のもう一端は基板82上の配線パタ−ン82aに電気的に接続し、更に、配線パタ−ン82aは、電源入力端子83に接続する。磁気抵抗素子MR2のもう一端は基板82上の配線パタ−ン82cに電気的に接続し、更に、配線パタ−ン82cはグランド端子85に接続する。基板82の磁気抵抗素子MR1、MR2を固定した同一面は、磁気抵抗素子MR1、MR2が筐体86と接触しないように僅かな空隙を保つためにスペ−サ81を介して固定する。基板82の磁気抵抗素子MR1、MR2を固定した反対の面は、永久磁石のS極面と固定する。
基板82’上に2個の磁気抵抗素子MR1’、MR2’を固定する。2個の磁気抵抗素子MR1’、MR2’のそれぞれの一端は基板82’の配線パタ−ン82b’に電気的に接続し、配線パタ−ン82b’で直列接続し、更に、配線パタ−ン82b’は出力端子84’に接続する。磁気抵抗素子MR1’のもう一端は基板82’上の配線パタ−ン82a’に電気的に接続し、更に、配線パタ−ン82a’は、電源入力端子83’に接続する。磁気抵抗素子MR2’のもう一端は基板82’上の配線パタ−ン82c’に電気的に接続し、更に、配線パタ−ン82c’はグランド端子85’に接続する。基板82’の磁気抵抗素子MR1’、MR2’を固定した同一面は、磁気抵抗素子MR1’、MR2’が筐体86と接触しないように僅かな空隙を保つためにスペ−サ81’を介し、磁気抵抗素子MR1、MR2と対面配置となるよう固定する。基板82’の磁気抵抗素子MR1’、MR2’を固定した反対の面は、永久磁石のN極面と固定する。筐体86は磁性体媒体が通過できるよう空隙Lが保たれる。電源入力端子83と83’は基板のパタ−ンもしくは配線86によって電気的に接続され、電源Vinが印可される、グランド端子85と85’は基板のパタ−ンかもしくはリ−ド線87とによって電気的に接続され、電源のグランド側へと接続される。本実施例では、永久磁石11のS極面、永久磁石11’のN極面をそれぞれ基板82、82’に固定したが、図示はしないが、永久磁石11のN局面、永久磁石11’のS極面をそれぞれ基板82、82’に固定しても異極対向となるため同様の効果を得られる。また、図示はしないが、基板の配線又はリ−ド線86を電源のグランドに、また、基板の配線又はリ−ド線87に電源を印可しても同様の効果は得られる。
【0017】
本発明による磁気センサ装置の信号処理例を図9に示す。磁性体媒体が移動することによって得られる信号Voutはコンデンサ−C1、抵抗R1を介して増幅器91の非反転入力端子へ入力する。また、磁性体が移動することによって得られる信号Vout’はコンデンサ−C1’、抵抗R1’を介して増幅器91の反転入力端子へと入力する。増幅器91の非反転入力端子は抵抗R2を介してグランドに接続し、増幅器91の出力端子と増幅器91の反転入力端子はコンデンサC2と抵抗R3を並列に接続する。このように差動増幅回路を構成することにより、磁気に応じたそれぞれ反転している出力信号Vout、Vout1は実際には加算されることとなり、また出力信号にのっている同相のノイズ信号は減算され、磁気に応じた信号成分のみ増幅されることとなる。
【0018】
図10に本発明による磁気センサ装置による磁性体媒体の検出結果を示す。図10(a)は検出に用いた磁性体媒体である。磁性体媒体101は、紙幣とほぼ同等の磁性を施した幅約2mm、ピッチ約3mmの7本のパタ−ンとした。図10(b)に示すように本発明による磁気センサ装置102の被検出媒体通路の空隙Lを2.2mmとして、そのほぼ中央部に磁性体媒体101を移動させ磁気デ−タとして検出した。図10(c)に検出結果を示す。
検出結果からわかるように出力波形103は、空隙Lを2.2mm、つまり非検出体と磁気センサ装置との距離を1.1mmとしても、出力信号がノイズに埋もれることもなく検出は可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明により、磁気センサ装置の検出面と媒体との距離が1mm以上でも磁気を検出する事ができるため、紙幣識別機の高速化が可能となる。
【0020】
また、磁性体媒体と接触することが無いので半永久的に使用する事ができ、摺動性ノイズの発生も低減できる。
【0021】
更には、従来から苦慮していた電源も、電源に含まれるノイズやリップル等が減算されるため、電源回路の設計が容易になり、加えてスイッチングレギュレ−タからの電源の供給も可能となった
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の磁気センサ装置の断面図
【図2】従来の磁気センサ装置のギャップ特性
【図3】従来の磁気センサ装置の検出模式図
【図4】磁気センサ装置の検出波形
【図5】従来の磁気センサ装置の検出模式図
【図6】磁気センサ装置の検出波形
【図7】本発明による磁気センサ装置の検出模式図
【図8】本発明による磁気センサ装置の断面図
【図9】本発明による磁気センサ装置の信号処理回路例
【図10】(a)被検出体
(b)本発明による磁気センサ装置の被検出体の検出方法
(c)本発明による磁気センサ装置の検出結果
【符号の説明】
Vout、Vout’ 出力電圧
Vin 入力電圧
GND グランド
MR1、MR1’ 高電位側磁気抵抗素子
MR2、MR2’ 低電位側磁気抵抗素子
Vout1 信号処理後の出力電圧
L 空隙長
C1、C1’、C2 コンデンサ−
R1、R1’、R2、R3 抵抗器
S 永久磁石のS極
N 永久磁石のN極
11 永久磁石
12、12’ 磁気抵抗素子
31 磁性体媒体
71 差動増幅器
81、81’ スペ−サ
82、82’ 基板
82a、82a’、82b、82b’、82c、82c’ 基板パタ−ン
83、83’ 電源入力端子
84、84’ 出力端子
85、85’ グランド端子
86 電源パタ−ン、もしくはリ−ド線
87 グランドパタ−ン、もしくはリ−ド線
88 88’ 出力パタ−ン、もしくはリ−ド線
89 信号処理部
101 被検出体
102 本発明による磁気センサ装置
103 出力波形
Claims (1)
- 第1の永久磁石の近傍に、接続中点から出力を取り出せるように直列接続された少なくとも2個1対の第1の磁気抵抗素子を配置し、第2の永久磁石の近傍に、接続中点から出力を取り出せるように直列接続された少なくとも2個1対の第2の磁気抵抗素子を配置し、第1の磁気抵抗素子と、第2の磁気抵抗素子は所定の空隔をおいて対向配置し、第1の永久磁石と第2の永久磁石は第1の磁気抵抗素子と第2の磁気抵抗素子を挟み込むよう対向配置し、第1の磁気抵抗素子と第2の磁気抵抗素子との所定の空隔中を非検出体が通過する構造をもつ磁気センサ装置において、第1の永久磁石と第2の永久磁石は異極対向配置し、少なくとも2個1対の第1の磁気抵抗素子の接続中点より高電位側磁気抵抗素子は、少なくとも2個1対の第2の磁気抵抗素子の接続中点より低電位側磁気抵抗素子と対面配置し、少なくとも2個1対の第1の磁気抵抗素子の接続中点より低電位側磁気抵抗素子は、少なくとも2個1対の第2の磁気抵抗素子の接続中点より高電位側磁気抵抗素子と対面配置し、少なくとも2個1対の第1の磁気抵抗素子と、少なくとも2個1対の第2の磁気抵抗素子には1つからなる電源装置から電圧を供給し、少なくとも2個1対の第1の磁気抵抗素子の出力電圧と、少なくとも2個1対の第2の磁気抵抗素子の出力電圧を差動増幅回路により増幅することを特徴とした、磁気センサ装置。
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