JP4055408B2 - 磁性体検出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界によって抵抗値が変化するInSb(インジウム・アンチモン)を感磁性材料として使用するMR素子(半導体磁気抵抗素子)を用いて例えばパチンコ玉などの鋼球などの磁性体を検出対象として検出する磁性体検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図22を参照してこのようなMR素子を用いた従来の磁性体検出器の回路構成を説明する。この磁性体検出器Bは、破線で囲む検出回路1を有する。電源供給部6と検出出力部7との間に、出力トランジスタ5のコレクタ・エミッタが接続される。出力トランジスタ5のコレクタ・ベース間に、MR素子2と、チャタリング防止抵抗9と、温度補正抵抗3と、FET4のソース・ドレインとが直列状態で挿入接続される。出力トランジスタ5のベース・エミッタ間にMR素子2が接続される。検出出力部7と接地との間に出力抵抗8が接続される。出力トランジスタ5のコレクタ・ベース間にFET4のゲート・ソース間に温度補正抵抗3が接続されてなる定電流回路が接続されている。MR素子2は、上記のように定電流回路からの電流供給ラインに接続されている一方、不図示のバイアス磁石により磁界が付与されていて、検出対象である磁性体が接近すると、その抵抗値が増大する。
【0003】
このような磁性体検出器においては、MR素子2に磁性体が近付いていないか、近付いているかにより、MR素子2の抵抗値が変化し、これによって、出力トランジスタ5のオン・オフを介して検出出力部7の検出電圧Voutをそれに対応して変化させることで、検出出力部7に接続されている不図示の制御回路での磁性体の検出を可能としているものである。
【0004】
なお、定電流回路は、電源電圧Vinが変動しても、MR素子2に対して定電流を供給し、MR素子2が電源電圧の変動の影響を受けにくくしている。また、温度補正抵抗3は、MR素子2の抵抗温度特性に対応した抵抗温度特性を有しており、MR素子2が温度変化の影響を受けにくくしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記磁性体検出器の場合、そのMR素子2に対して検出対象でない外部磁界が印加されてもMR素子2が抵抗値変化を起こして誤動作する可能性がある。例えば、磁性体検出器がパチンコ台における鋼球(パチンコ玉)を磁性体とし、この鋼球の通過を検出する用途に使用された場合、パチンコ台の正面ガラスの外側から磁石(外部磁石:非検出対象)などでMR素子2に対して外部磁界を印加させると、鋼球が通過していないのに、鋼球通過と誤検出する。
【0006】
そこで、本発明者らは、上記誤動作を防止するべく研究を重ね、前記温度補正抵抗3に代えてMR素子を設けて両MR素子を互いに電流供給ラインに直列状態で接続した構成の磁性体検出器を考えた。この磁性体検出器では、鋼球の接近に対しては、一方のMR素子を他方のMR素子より強く反応させることで鋼球の検出を行うことができ、また、外部磁石に対しては両MR素子を同程度に反応させることにより、外部磁石を鋼球と誤検出することを防止している。
【0007】
上記磁性体検出器は、外部磁石を検出対象として誤検出することを防止できるはずであるが、さらに鋭意研究を重ねたところ、次の課題が残されていることが判明した。すなわち、上記磁性体検出器の場合、その前提が、両MR素子に対して外部磁石が同程度に反応することであるから、パチンコ玉の正面ガラスに対する外部磁石の位置が、両MR素子が同程度に反応できない位置に置かれた場合、一方のMR素子が他方のMR素子よりも強く反応するようになり、外部磁石を鋼球と誤検出することがある。
【0008】
したがって、本発明は、上記のような磁性体検出器において、MR素子に対する外部磁界の印加態様によらず当該外部磁界による誤検出を確実に防止できるようにすることを解決すべき課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、電流供給ラインに対して互いに直列状態で接続された少なくとも2つの第1および第2のMR素子を含み、磁界強度に対する前記両MR素子それぞれの抵抗値変化を異ならせることを特徴とする。なお、前記直列状態とは、両MR素子が直接接続される場合のみならず、抵抗やその他を介して接続される接続態様も含む。上記構成においては、外部磁界が加わった場合、両MR素子の抵抗値は大きくなる方向に変動するものの抵抗値変化が異なる。そのため、第2のMR素子の抵抗値が増加して第1のMR素子に供給される電流は減少するが、第1のMR素子の抵抗値変化が第2のMR素子とは異なるから、検出電圧を外部磁界が印加されない状態にほぼ維持させることができ、外部磁界による誤検出を防止できるようになる。
【0010】
(2) 本発明は、第1の抵抗ブロックと、FETおよび該FETのゲート・ソース間に接続された第2の抵抗ブロックを含む定電流回路と、第1の抵抗ブロックがベース・エミッタ間に、また、定電流回路がベース・コレクタ間に、それぞれ、接続されている出力トランジスタとを含み、前記両抵抗ブロックは、それぞれ、MR素子を含むとともに、磁界強度に対する前記両MR素子それぞれの抵抗値の変化が異なるよう構成されていることを特徴とする。上記構成においては、外部磁界が加わった場合、両抵抗ブロックの抵抗値は大きくなる方向に変動するものの抵抗値変化が異なる。そして、第2の抵抗ブロックの抵抗値が増加すると、定電流回路から第1の抵抗ブロックに供給される定電流は減少するが、第1の抵抗ブロックのMR素子の抵抗値の変化が異なるから、出力トランジスタのベース・エミッタへの入力電圧の大きさを外部磁界が印加されない状態にほぼ維持させることができ、外部磁界による誤検出を防止できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態では、検出対象としての磁性体をパチンコ玉(鋼球)に適用して説明する。
【0013】
図1を参照して、この磁性体検出器Aは、破線で囲まれている検出回路1を有する。この検出回路1は、第1の抵抗ブロック2、第2の抵抗ブロック3、定電流制御トランジスタ(FET)4およびnpn型出力トランジスタ5を含む。6は、電源供給部、7は、検出出力部である。検出出力部7は、出力抵抗8を介して接地されている。
【0014】
第2の抵抗ブロック3およびFET4は、定電流回路9を構成して、電源供給部6から供給される電源電圧Vinの変動に対して第1の抵抗ブロック2に定電流を供給する。出力トランジスタ5のコレクタは、電源受給部6に接続され、そのエミッタは、検出出力部7に接続されている。第2の抵抗ブロック3は、出力トランジスタ5のベース・コレクタ間に、また、第1の抵抗ブロック2は、出力トランジスタ5のベース・エミッタ間に、それぞれ、接続されている。両抵抗ブロック2、3は、MR素子だけ、またはMR素子と抵抗とで構成されている。なお、以降の説明では、第1の抵抗ブロック2および第2の抵抗ブロック3は、単にMR素子だけで構成されているものとし、MR素子2およびMR素子3と言うことにする。この構成で両MR素子2、3は、定電流供給ラインに対して互いに直列状態で接続されていることになる。なお、鋼球の検出はMR素子3で行うとする。
【0015】
MR素子2は、出力トランジスタ5のベース・エミッタ間に接続されていることにより、その両端間電圧VMRを出力トランジスタ5のベース・エミッタへの入力電圧として印加する。そして、出力トランジスタ5は、その入力電圧がしきい値を越えるときにオンし、しきい値を下回るときにオフする。したがって、MR素子2の両端間電圧VMRが磁性体非検出状態で高くなって出力トランジスタ5がオンしていると、検出出力部7の検出電圧Voutは、ハイレベル(電源電圧レベル)に、また、MR素子2の両端間電圧VMRが磁性体検出状態で低くなって出力トランジスタ5がオフするとローレベル(接地レベル)になる。この検出出力部7に接続されている不図示の制御回路は、この検出出力部7の出力電圧がハイレベルであるときは磁性体である鋼球非通過状態として、また、ローレベルであるときは磁性体である鋼球通過状態として、それぞれ、検出できるようになっている。
【0016】
図2および図3を参照して、この磁性体検出器は、収納ケース10、モジュール基板11、MR素子2、3、バイアス磁石(未着時の磁性体含む)12、電源供給ピン13および検出出力ピン14を備えている。
【0017】
収納ケース10は、平面視長方形をなす凹部収納領域を有する。モジュール基板11は、収納ケース10の凹部収納領域における前半部に収納されている。収納ケース10は、鋼球15の通過が可能な鋼球通過孔16を有しており、内部に図1で示される回路部品が内蔵されている。MR素子2、3は、互いに隣り合ってモジュール基板11の端面とバイアス磁石12との間に設置され、かつ、バイアス磁石12から互いに均等に磁界がバイアスされている。電源供給ピン13と検出出力ピン14は、それぞれ、図1の電源供給部6および検出出力部7に対応し、モジュール基板11から突出状態で設けられている。これらモジュール基板11内蔵の回路部品、MR素子2、3、電源受給ピン13および検出出力ピン14それぞれの物理的接続関係は図示省略されている。
【0018】
そして、モジュール基板11に対してMR素子3は、MR素子2よりも鋼球通過孔16に近接した位置に配置されており、鋼球15が鋼球通過孔16を通過した場合、抵抗値が増加する一方、MR素子2はほとんど抵抗値が増加しない。このことにより、MR素子3を含む定電流回路9の定電流が減少し、MR素子2の両端間電圧VMRは、低下する。これによって、出力トランジスタ5はオンからオフに転移し、検出出力部7の検出電圧はハイレベル(鋼球15通過検出無し)からローレベル(鋼球15通過検出有り)に低下する。
【0019】
図4を参照して磁性体検出器のパチンコ台への取り付け状態を説明する。図4には正面ガラス17、パチンコ台本体18、鋼球15および磁性体検出器Aが示されている。正面ガラス17は、所要の厚さを有する2枚張りのガラスであり、この正面ガラス17より図中左側は、パチンコをする人が存在する表側となり、図中右側は、パチンコ台の裏側となる。正面ガラス17とパチンコ台本体18との空間を鋼球15が通過し、磁性体検出器Aは、パチンコ台本体18に装着され、その収納ケース10の鋼球通過孔16が鋼球通過空間19に臨む形態となっている。正面ガラス17の表側には、外部磁界となる外部磁石20が位置している様子が示されている。また、G1は、鋼球通過孔16の通過位置にある鋼球15と磁性体検出器AにおけるMR素子2,3(正確には磁界に感応する表面(感磁部表面))との間のギャップ(MR素子/鋼球間ギャップ)を示し、G2は、外部磁石20とMR素子2,3(正確にはMR素子端)との間のギャップ(MR素子/外部磁石間ギャップ)を示す。
【0020】
図5を参照して上記磁性体検出器Aの動作を簡単に説明する。図5で横軸は時間(秒)、縦軸は検出出力部7の検出電圧(V)を示す。
【0021】
上記磁性体検出器Aの場合、鋼球通過孔16に鋼球15が通過していないときは、定電流回路9からは大きな定電流がMR素子2に流れている。そのため、MR素子2の両端間電圧VMRは、出力トランジスタ5のしきい値電圧を越えていて出力トランジスタ5はオンして、検出出力部7からは、ハイレベルの鋼球待機状態とする検出出力が出されている。一方、鋼球通過孔16に鋼球15が通過すると、MR素子3がMR素子2よりも鋼球通過孔16に近接した位置に配置されているから、MR素子2の抵抗値はほとんど変化しないが、MR素子3の抵抗値は増大して定電流値が減少する結果、MR素子2の両端間電圧VMRが低下して出力トランジスタ5がオフする。これによって、検出出力部7からはローレベルの鋼球検出出力が出される。
【0022】
ところで、磁界強度に対する両MR素子2、3の抵抗値変化が同様であるとき、外部磁石20により両MR素子2、3の抵抗値が同様に増大すると、両MR素子2、3の抵抗値変化率に比べて定電流回路9の定電流変化率が小さいので、MR素子2の両端間電圧VMRが変動することになる。特に外部磁石20が両MR素子2、3に対して同様な磁界を印加しない位置に配置された場合、MR素子2の両端間電圧VMRは一層変動する。
【0023】
そこで、本実施形態では、図6以降を参照して説明するように、外部磁界の強度に対する両MR素子2、3の抵抗値変化を異ならすことにより、外部磁石20によるMR素子2の両端間電圧VMRの変動を抑制し、誤検出を防止できるようにしている。
【0024】
そもそも、本発明者らは、図22の回路構成で出力トランジスタ5のベース・エミッタ間のMR素子2だけでは外部磁界の印加により鋼球が通過していないのに、鋼球通過と誤検出するのを防止するため温度補正抵抗に代えてMR素子3を設けることを考えた。
【0025】
ところで、MR素子3の抵抗値が高く変動することにより定電流が減少するが、この場合のMR素子3の抵抗値変化率より定電流変化率が小さいため、外部磁石20による磁界が加わると、MR素子2の両端間電圧VMRが変動することになる。この磁界の印加態様として次の3通りが考えられる。なお、両MR素子2、3それぞれの抵抗値を例えば500Ωとする。
【0026】
第1に、外部磁石20による磁界が同様に印加(同一の磁束密度)されて両MR素子2、3の抵抗値が共に500Ωから1000Ωに変動するとともに、定電流が1.07mAから0.73mAに変動した場合、MR素子2の両端間電圧VMRは、外部磁界印加前では500Ω×1.07mA=535mVであるが、外部磁界印加状態では、(1000/500)×(0.73/1.07)×535mV=730mVに変動する。上記式の左辺第1項は抵抗値変化率、第2項は定電流変化率である。
【0027】
第2に、外部磁石20による磁界がMR素子2に弱く、MR素子3に強く印加されてMR素子3の抵抗値が500Ωから1500Ωに変動するとともに、定電流が1.07mAから0.60mAに変動し、MR素子2の抵抗値が500Ωから800Ωに変動した場合、MR素子2の両端間電圧VMRは、外部磁界印加前では500Ω×1.07mA=535mVであるが、外部磁界印加状態では、(800/500)×(0.60/1.07)×535mV=480mVに変動する。
【0028】
第3に、外部磁石20による磁界がMR素子2に強く、MR素子3に弱く印加(磁束密度がMR素子2の方が大きい)されてMR素子3の抵抗値が500Ωから700Ωに変動するとともに、定電流が1.07mAから0.90mAに変動し、MR素子2の抵抗値が500Ωから1000Ωに変動した場合、MR素子2の両端間電圧VMRは、外部磁界印加前では500Ω×1.07mA=535mVであるが、外部磁界印加状態では、(1000/500)×(0.90/1.07)×535mV=900mVに変動する。
【0029】
そうすると、第1および第3の場合は、鋼球待機状態でMR素子2の両端間電圧VRM=535mVでオンしている出力トランジスタ5に対しては、出力トランジスタ5をより強くオンにするだけであり、誤検出することにならない。しかし、第2の場合は、出力トランジスタ5をオンからオフにする方向つまり誤検出する方向に変動する。
【0030】
これらは、MR素子2の両端間電圧VMRを抵抗値と定電流との積でとった場合、その両端間電圧VMRは、抵抗値変化率のみならず定電流変化率も影響してくるからである。
【0031】
そこで、本実施形態では、MR素子3に対して強い外部磁界が印加されその抵抗値変化が大きくなってもMR素子2の抵抗値変化がMR素子3と異ならせることにより、MR素子2に対しては定電流の変動に対してその抵抗値と定電流との積である両端間電圧VMRがしきい値以上となるようにしている。
【0032】
具体的には、本実施形態では、両MR素子2、3のInSb長を同じとせず、例えば、MR素子3についてはその抵抗値変化率が広い磁界変動領域に対して大きくできるような構造(InSb長やInSb幅)例えばInSb長を短く数値的には例えば20μmとする。
【0033】
そして、MR素子2についてはその抵抗値と前記定電流との積が出力トランジスタ5のしきい値電圧以上となるように、磁束密度の広い範囲にわたり抵抗値変化を抑制できるようにその構造(InSb長やInSb幅)例えばInSb長を数値的には例えば100μmとする。
【0034】
これによって、外部磁石20による磁界がMR素子3に強く、MR素子2に対して弱く印加される態様でも、出力トランジスタ5がオンして鋼球待機状態にあるときに外部磁石20によりオフして鋼球通過と誤検出することを防止ないしは抑制できるようにしている。
【0035】
以下、順次、具体的に説明する。
【0036】
(1)MR素子3と鋼球15とのギャップ:
図6にMR素子3と鋼球15とのギャップG1に対するMR素子3の抵抗値変化特性を示す。図6において、横軸は、前記ギャップG1(mm)、縦軸は、MR素子3の抵抗値変化率(鋼球15の検出感度)K1(=鋼球15有りのときのMR素子3の抵抗値RB/鋼球15無しのときのMR素子3の抵抗値R0)である。MR素子3はバイアス磁石12で磁界がバイアスされており、そのバイアス磁界に対応した抵抗値R0を有する。図6の意味を説明すると、MR素子3の抵抗値は、鋼球15が通過すると、その抵抗値がR0からRBに変化するが、その抵抗値変化は、前記ギャップG1が広くなるほど、鋼球15の通過による抵抗値変化の影響が小さくなる。このことを数値的に示したのが図6である。なお、図6は、ギャップG1に対する抵抗値変化率K1の一例であり、本発明におけるMR素子3を限定するものではない。図6からはMR素子3と鋼球15とのギャップG1を余り広くしすぎると、MR素子3の抵抗値変化が小さくなりすぎ、鋼球15の検出感度が低下することになる。したがって、鋼球15の検出感度を実験的に確認してそのギャップG1を設定する必要がある。
【0037】
(2)両MR素子2、3と外部磁石20とのギャップ:
図7に外部磁石20と両MR素子2、3とのギャップG2に対する両MR素子2、3の抵抗値変化率を示す。図6の横軸は、前記ギャップG2(mm)、縦軸は、抵抗値変化率(感度)K2(=外部磁石20有りのときのMR素子抵抗値RB/外部磁石20無しのときのMR素子抵抗値R0)を示す。外部磁石20は、50×50×32mmの希土類系磁石である。抵抗値変化率K2は、MR素子/外部磁石間ギャップG2が広がると低下している。図7の意味を説明すると、両MR素子2、3は共に外部磁石20によりその抵抗値がR0からRBに変化するが、その抵抗値変化は、前記ギャップG2が広くなるほど、外部磁界による抵抗値変化の影響が小さくなる。このことを数値的に示したのが図7である。なお、図7は、ギャップG2に対する抵抗値変化率K2の一例であり、本発明を限定するものではない。図7からはMR素子2、3と外部磁石20とのギャップG2(ただし、外部磁石20が正面ガラス17の表面に接触しているときのギャップ)を広くすると、外部磁石20の影響が小さくなり誤検出しなくなる。また、ギャップG2を狭くしすぎると、MR素子2、3の抵抗値変化が大きくなりすぎ、外部磁石20が鋼球15であると誤検出するように影響してくる。なお、パチンコ台の薄型化を図る場合、MR素子3の位置を実験的から決めてギャップG2の最下限を設定する必要がある。
【0038】
(3)MR素子3と定電流との関係:
図8にMR素子3の抵抗値と定電流値との関係を示す。図8で横軸は、MR素子3の抵抗値(Ω)、横軸は定電流値(mA)である。図8から明らかであるように、MR素子3の抵抗値が大きくなると、定電流値は小さくなる。例えば、図8によるとMR素子3の抵抗値が500Ωから1000Ω、つまり、MR素子3の抵抗値が2倍に変化(抵抗値変化率2)すると、定電流値は1.07mAから0.73mAに変化(定電流変化率0.68)する。つまり、MR素子3の抵抗値変化率にくらべて定電流変化率が小さいことを示している。
【0039】
ここで、MR素子2の両端間電圧VMRは、MR素子2の抵抗値と定電流値との積であり、正面ガラス17に対して表側の外部磁石20が無い場合はMR素子2、3にはバイアス磁石12により図9で示すように磁力線が通過して均等に両MR素子2,3に磁界が加わっている。そして、正面ガラス17に対して表側の外部磁石20が図10で示すように両MR素子2,3のほぼ中間に位置すると、両MR素子2、3には、より多くの磁力線が通過するようになり強い磁界が加わる。しかし、外部磁石20が例えばMR素子3側にずれて位置すると、図11で示すようにMR素子2に弱く、MR素子3に強く磁界が作用するようになる。
【0040】
したがって、外部磁界に対する両MR素子2、3の抵抗値変化を同様にしているとき、図10のように外部磁石20が両MR素子2、3のほぼ中間に位置する場合、例えば両MR素子2、3の抵抗値が500Ωから1000Ωつまり2倍に変化すると、MR素子3の抵抗値変化で定電流値が1.07mAから0.73mAつまり約0.68倍に小さくなるから、MR素子2の両端間電圧VMRの変化は、2倍の抵抗値変化に0.68倍の定電流値変化を掛けて1.36倍となる。そのため、両MR素子2、3に対して外部磁石20により同様な磁界が印加される限りは、出力トランジスタ5は鋼球15の待機状態のままオン状態となり、外部磁石20により鋼球16の通過と誤検出するようなことがない。
【0041】
しかしながら、外部磁界に対する両MR素子2、3の抵抗値変化を同様にしていると、図11の場合では、MR素子3を通過する磁力線が増えてその抵抗値が大きく増加しても定電流値の減少率が小さい一方で、MR素子2の抵抗値の増加率が小さいため、第1のMR素子2の両端間電圧VMRは大きく低下するようになり、出力トランジスタ5をオフする方向に変化し、外部磁石20の存在で鋼球16の通過と誤検出する可能性が高くなる。
【0042】
(4)MR素子2、3:
上記(3)の結果から、外部磁石20により両MR素子2、3に対して前記した誤検出を防止するため、本実施形態では以下に述べるように、両MR素子2、3それぞれの磁界強度に対する抵抗値変化を異ならせるように設計している。
【0043】
(a)MR素子3の設計値:
図12を参照してMR素子3の設計値を説明する。図12において、横軸はMR素子3における磁束密度(磁界強度)B(mT)、縦軸は抵抗値変化率(感度)K3(=RB/R0)を示す。RBは磁界が存在するときのMR素子3の抵抗値、R0は磁界が存在しないときのMR素子3の抵抗値を示す。また、各特性線1〜5は、InSb長がそれぞれ異なる各MR素子3を示す。特性線1はInSb長20μm(図中黒丸●)、特性線2はInSb長40μm(図中白抜き丸○)、特性線3はInSb長60μm(図中黒三角▲)、特性線4はInSb長80μm(図中白抜き三角△)、特性線5はInSb長100μm(図中黒四角■)である。
【0044】
図12から明らかであるように、InSb長が短くなるほど、広い磁束密度Bの範囲にわたり、MR素子3の抵抗値変化率K3が大きくなることが分かる。なお、InSb長を変えるのは抵抗値変化率K3を変えることを目的とするが、この抵抗値変化率K3はInSb幅でも変えることが可能である。
【0045】
図12によれば、MR素子3の抵抗値変化率K3を広い磁束密度範囲にわたり大きくするには、InSb長を短くするとよい。MR素子3の抵抗値変化率K3をこのように設定することにより外部磁石20による磁界がMR素子3に作用した場合、その抵抗値変化による定電流の減少を大きくすることができるようになる。これは、MR素子2の両端間電圧VMRの低下を抑制できて好ましい。
【0046】
なお、InSb長およびInSb幅の説明と前記の特性線を得るための測定例とを図13および図14を参照して説明する。
【0047】
図13はMR素子3の部分斜視図を示す。MR素子3は、半導体としてのInSb中にホール電場を短絡するためのメタル境界が挿入されたものであり、そのため、InSb基板30は所要厚みdを有するとともに、そのInSb基板30の表面に複数のメタル31が設けられている。そして、各メタル31の設置間隔がInSb長(L)となり、メタル31の幅がInSb幅(W)となる。また、図14に、磁束密度の測定例を示す。一対の鉄心32にコイル33が巻回されており、この鉄心32間にMR素子3が配置されている。そして、図12の横軸の磁束密度は、前記コイル33に通電してMR素子3を通る磁束密度の測定値に対応している。
【0048】
なお、本実施形態では、MR素子3のInSb長を特性線1で示される20μmとしている。
【0049】
(b)MR素子2の両端間電圧VMR:
図15にMR素子2の両端間電圧VMRの変化を示す。ただし、外部磁石20と磁性体検出器AとのギャップG3=15mmとする。また、図15において、横軸はMR素子2のInSb長(μm)、縦軸は両端間電圧VMR(V)を示す。特性線1(図中白抜き丸○)は、バイアス磁石12と外部磁石20との対向極が同じの場合、特性線2(図中黒丸●)は、バイアス磁石12と外部磁石20との対向極が異なる場合を示す。図中上側の横太実線3は、外部磁石20が無く、鋼球通過待機時における両端間電圧VMRのレベル(ハイレベル)を示し、図中下側の横太実線4は、出力Voutのしきい値電圧を示す。この図15では、MR素子3のInSb長を図12の特性線1のInSb長20μmとしている。なお、図15、図17は、図16に示す通り、ギャップG3を一定とし、外部磁石20をX−Y二次元平面で動かし、出力Voutが最低となった場合である。このとき、磁界分布は均等になっていない。
【0050】
なお、参考のため図16(a)で特性線1のようにバイアス磁石12と外部磁石20とが同極で対向している状態を、また、図16(b)で、特性線2のようにバイアス磁石12と外部磁石20とが異極で対向している状態を示す。
【0051】
図15から明らかであるように、MR素子3のInSb長を20μmとしたとき、バイアス磁石12と外部磁石20とが異極で対向しているときは、MR素子2のInSb長は、20〜100μmにおいて検出電圧がしきい値電圧と待機時電圧との間にあり、誤検出しない。しかし、バイアス磁石12と外部磁石20とが同極で対向しているときは、MR素子2のInSb長が45μmより小さくなると、検出電圧がしきい値電圧より小さくなり、誤検出する。したがって、MR素子2のInSb長としては前記同極および異極のいずれにも誤検出しないようにするには、少なくとも45μm以上である。ただし、MR素子2のInSb長は45μm以上であれば100μmでもよいのであるが、最適なInSb長としては、両特性線1、2が交わる領域を含めこれの近傍つまりInSb長が50〜80μm付近、好ましくは60〜75μm、より好ましくは68〜72μmとなる。
【0052】
ここで、MR素子2のInSb長を45μm以上の100μm、MR素子3のInSb長を20μmとし、かつ、バイアス磁石12と外部磁石20とが同極対向している場合と異極対向している場合を説明する。なお、鋼球15は通過していない状態で、かつ、外部磁石20が無い状態で出力トランジスタ5はオンして検出出力部7の検出電圧は鋼球待機のハイレベルとなっているとする。
【0053】
▲1▼ 同極対向:
そして、外部磁石20がバイアス磁石12と同極対向すると、両MR素子2、3に対する外部磁界は減少するが、MR素子2のInSb長が100μmのため、外部磁界の減少の割合に比べて抵抗値の低下は小さい。一方、MR素子3のInSb長は20μmのため、外部磁界の減少の割合にくらべて抵抗値の低下が大きい。そのため、定電流回路からの定電流の増加の割合は大きい。したがって、MR素子2の抵抗値が減少するものの、定電流が大きく増加するから、結局、MR素子2の両端間電圧VMRは、出力トランジスタ5をオフにするようには低下せず、同極対向では誤検出がない。
【0054】
▲2▼ 異極対向:
次に、外部磁石20がバイアス磁石12と異極対向すると、両MR素子2、3に対する外部磁界は増加するが、MR素子2のInSb長が100μmのため、外部磁界の増加の割合に比べて抵抗値の増加は小さい。一方、MR素子3のInSb長は20μmのため、外部磁界の増加の割合にくらべて抵抗値の増加が大きい。そのため、定電流回路からの定電流の減少の割合は大きい。しかし、MR素子2の抵抗値の増加は、定電流の減少の割合より大きいから、結局、MR素子2の両端間電圧VMRは、出力トランジスタ5をオフにするようには低下せず、異極対向でも、同極対向と同様に、誤検出がない。
【0055】
(c)MR素子2のInSb長とギャップG3との設定比較:
ここで、図17にInSb長が異なる2つのMR素子2に対して外部磁石20とのギャップG3を変えた場合の両端間電圧VRMの変化を示す。図17において、横軸はギャップG3(mm)、縦軸は両端間電圧VMR(V)を示す。特性線1(図中黒丸●)は、InSb長が20μmのMR素子2であり、特性線2(図中白抜き丸○)は、InSb長が60μmのMR素子2である。
【0056】
図17から明らかであるように、InSb長が20μmのMR素子2の場合では、ギャップG3を例えば25mmのように広くして外部磁石20の影響を小さくなるようにしても誤動作をするようになるが、InSb長が60μmのMR素子2の場合では、ギャップG3を狭くしても8mm付近まで誤動作しない。これは、パチンコ台を薄型にできることを意味する。このようなことからもMR素子2のInSb長は、45μm以上であるが、ギャップG3の関係からは、長くすることが好ましい。なお、図17は、測定の一例にすぎず、本発明を限定するものでは何らない。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、MR素子3に対して広い磁束密度範囲に対してその抵抗値変化率の変化が大きくなるように設定する一方、MR素子2に対してその両端間電圧VMRが出力トランジスタ5のしきい値電圧以上となるように例えばInSb長を調整して抵抗値変化率を設定して、外部磁界に対して誤検出しにくくした。
【0058】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる実施形態にも適用することができる。
【0059】
(a)図18にバイアス磁石12の相違による磁束密度BとMR素子の抵抗値変化率K(=RB/R0)との関係を示す。図18において、横軸は、バイアス磁石12と外部磁石20とによる磁束密度(mT)を示し、縦軸は、MR素子の抵抗値変化率Kを示している。図12において、特性線1(図中白抜き○)は磁界が1.5kG(キロガウス)のバイアス磁石12を用いた場合、特性線2(図中黒丸●)は、磁界が1kGのバイアス磁石12を用いた場合を示している。また、MR素子は、図12の特性線1のMR素子(InSb長20μm)である。横軸の「0」位置は、外部磁石20無しでバイアス磁石12のみの場合の磁束密度である。横軸の「0」位置での抵抗値変化率Kを縦軸の「1」に規格化している。
【0060】
図18で明らかであるように、バイアス磁石12の磁界を変えることでも外部磁界に対応してMR素子の抵抗値変化率Kに差があり、上述の実施形態と同様な作用効果がある。
【0061】
なお、バイアス磁界を変える手段としては、図19(a)で示すようにMR素子2、3それぞれに対して異なる種類(寸法、材料)のバイアス磁石12を用いたり、図19(b)で示すようにMR素子2、3それぞれをバイアス磁石12に対して異なる位置に偏らせて配置したり、図19(c)で示すようにMR素子2をバイアス磁石12に対してギャップを付けて配置し、MR素子3をバイアス磁石12に接触させて配置する、などの手段や方法がある。
【0062】
MR素子の抵抗値変化率は、一般的に、低磁場では磁束密度の2乗に比例し、高磁場では磁束密度に比例すると説明されているが、本発明者らの実験によると、高磁場でも僅かに増加していく傾向にあるため、両MR素子2、3のバイアス磁界を変えることで上述の実施形態と同様の作用効果を見込める。
【0063】
なお、両MR素子2、3は、共に、外部磁界の印加に対して同じ抵抗値変化率を示すもので、かつ、異なるバイアス磁界で磁気バイアスされていてもよい。
【0064】
なお、両MR素子2、3は、共に、外部磁界の印加に対して異なる抵抗値変化率を示すもので、かつ、異なるバイアス磁界で磁気バイアスされていてもよい。
【0065】
(b)図20に搭載基板の相違による磁束密度と抵抗値変化率の関係を示す。図20において、横軸は、磁束密度B(mT)、縦軸は、MR素子の抵抗値変化率Kを示す。特性線1(図中白抜き○)は、MR素子搭載基板が非磁性基板であり、特性線2(図中黒丸●)は、MR素子搭載基板が磁性基板であることを示す。MR素子搭載基板を磁性基板とするか非磁性基板とするかによってもMR素子の抵抗値変化率に相違が得られるから、MR素子搭載基板を変えることでも上述の実施形態と同様の作用効果を見込める。図21に、磁性基板40に一方のMR素子2、3を、また、非磁性基板41に他方のMR素子2、3を搭載した例を示す。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電流供給ラインに対して互いに直列状態で接続された少なくとも2つの第1および第2のMR素子を含み、第1のMR素子が、出力トランジスタのベース・エミッタ間に接続され、その両端間電圧を前記出力トランジスタの入力電圧として発生させるように用いられ、第2のMR素子が、FETのゲート・ソース間に接続されて定電流回路を構成し、定電流を第1のMR素子に供給するように用いられ、磁界強度の変化による第2のMR素子の抵抗値の変化量と、磁界強度の変化による第1のMR素子の抵抗値の変化量とを異ならせ、第1のMR素子の抵抗値の変化量は、磁界強度の変化による第2のMR素子の抵抗値の変化に伴なう定電流回路の電流の変化量に対して、前記入力電圧が誤動作しない電圧の変化量の範囲内になるように設定されているから、外部磁界による誤検出を確実に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁性体検出器の電気的回路図
【図2】図1の磁性体検出器の構造を示す斜視図
【図3】図1の磁性体検出器の構造を示す平面図
【図4】図1の磁性体検出器をパチンコ台に設置した状態を示す断面図
【図5】図1の磁性体検出器の動作説明に用いる波形図
【図6】MR素子/鋼球間ギャップと抵抗値変化率との関係図
【図7】MR素子/外部磁石間ギャップと抵抗値変化率との関係図
【図8】MR素子と定電流値との関係図
【図9】磁性体検出器のバイアス磁石からの磁力線発生の様子を示す図
【図10】図9に対応し外部磁界とバイアス磁石とからの磁力線発生の様子を示す図
【図11】図9に対応し外部磁界とバイアス磁石とからの磁力線発生の様子を示す図
【図12】磁束密度と抵抗値変化率との関係図
【図13】InSb長の説明に用いるMR素子の部分斜視図
【図14】InSb長の測定の説明に用いる測定回路図
【図15】InSb長と検出電圧との関係図
【図16】図15においてバイアス磁石と外部磁界との磁極対向状態を示す図
【図17】磁性体検出器端/外部磁石間ギャップと検出電圧との関係図
【図18】本発明の他の実施形態に係りバイアス磁界と外部磁界とに対する抵抗値変化率の関係図
【図19】図18に対応しバイアス磁界の印加態様を示す図
【図20】磁束密度と抵抗値変化率の関係図
【図21】図20に対応しMR素子をそれぞれ磁性基板と非磁性基板とに搭載した状態を示す図
【図22】従来の磁性体検出器の電気的回路図
【符号の説明】
2、3 MR素子
4 FET
5 出力トランジスタ
12 バイアス磁石
20 外部磁石

Claims (14)

  1. 電流供給ラインに対して互いに直列状態で接続された少なくとも2つの第1および第2のMR素子を含み、磁界強度に対する前記両MR素子それぞれの抵抗値変化を異ならせ
    第1のMR素子が、出力トランジスタのベース・エミッタ間に接続され、その両端間電圧を前記出力トランジスタの入力電圧として発生させるように用いられ、
    第2のMR素子が、FETのゲート・ソース間に接続されて定電流回路を構成し、定電流を第1のMR素子に供給するように用いられる、
    ことを特徴とする磁性体検出器。
  2. 請求項に記載の磁性体検出器において、
    磁界強度の変化に対する第2のMR素子の抵抗値変化を、磁界強度の変化に対する第1のMR素子の抵抗値変化より大きく設定している、ことを特徴とする磁性体検出器。
  3. 請求項1または2に記載の磁性体検出器において、
    各MR素子が、それぞれ、異なるバイアス磁界で磁気バイアスされている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  4. 請求項に記載の磁性体検出器において、
    各MR素子が、磁界が異なるバイアス磁石で磁気バイアスされている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  5. 請求項に記載の磁性体検出器において、
    各MR素子が、同一のバイアス磁石上に異なる位置に設けられている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  6. 請求項に記載の磁性体検出器において、
    一方のMR素子がバイアス磁石に対して非接触状態で、また、他方のMR素子がバイアス磁石に対して接触状態で、それぞれ、配置されている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  7. 請求項3ないし6いずれかに記載の磁性体検出器において、
    前記バイアスが、希土類系の磁石を用いて付与されるものである、ことを特徴とする磁性体検出器。
  8. 請求項1ないし7いずれかに記載の磁性体検出器において、
    少なくともいずれか一方のMR素子が、磁性基板に搭載されている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  9. 第1の抵抗ブロックと、
    FETおよび該FETのゲート・ソース間に接続された第2の抵抗ブロックを含む定電流回路と、
    第1の抵抗ブロックがベース・エミッタ間に、また、定電流回路がベース・コレクタ間に、それぞれ、接続されている出力トランジスタと、
    を含み、
    前記第1および第2の両抵抗ブロックは、それぞれ、第1および第2のMR素子を含むとともに、磁界強度に対する前記両MR素子それぞれの抵抗値変化を異ならせる、ことを特徴とする磁性体検出器。
  10. 請求項1または9に記載の磁性体検出器において、
    第1のMR素子の抵抗値の変化量は、磁界強度の変化による第2のMR素子の抵抗値の変化に伴なう定電流回路の電流の変化量に対して、前記入力電圧が誤動作しない電圧の変化量の範囲内になるように設定されている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  11. 請求項に記載の磁性体検出器において、
    磁界強度の変化に対する第2のMR素子の抵抗値変化率変化特性が、磁界強度の変化に対する第1のMR素子の抵抗値変化変化特性より大きく設定されている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  12. 請求項11に記載の磁性体検出器において、
    各MR素子の抵抗値変化率変化特性が、InSb長により設定されている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  13. 請求項12に記載の磁性体検出器において、
    第1のMR素子のInSb長が、少なくとも45μmより長く設定されている、ことを特徴とする磁性体検出器。
  14. 鋼球通過孔を有するとともに所要の磁性体検出用回路が内蔵されたモジュール基板と、電流供給ラインに対して互いに直列状態で接続された少なくとも2つの第1および第2のMR素子とを含み、前記第2のMR素子が、第1のMR素子よりも鋼球通過孔の近くに配置されているとともに、前記磁性体検出用回路が、FETのゲート・ソース間に第2のMR素子を接続してなる定電流回路と、第1のMR素子がベース・エミッタ間に、また、定電流回路がベース・コレクタ間に、それぞれ、接続されている出力トランジスタとを含み、磁界強度に対する前記両MR素子それぞれの抵抗値変化を異ならせる、ことを特徴とする磁性体検出器。
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