JP3195019B2 - 原点信号検出装置 - Google Patents

原点信号検出装置

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JP3195019B2
JP3195019B2 JP03067592A JP3067592A JP3195019B2 JP 3195019 B2 JP3195019 B2 JP 3195019B2 JP 03067592 A JP03067592 A JP 03067592A JP 3067592 A JP3067592 A JP 3067592A JP 3195019 B2 JP3195019 B2 JP 3195019B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気式エンコーダ等の
磁気記録媒体に着磁された原点記録信号を検出して原点
信号を出力する原点信号検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気式エンコーダにおいて、回転
型、直線移動型のものを問わず、所定の変位量ごとのイ
ンクリメンタル信号と原点位置を示す原点信号とを出力
するようになっている。
【0003】図7はこの種の従来の磁気式エンコーダの
原点信号検出装置を示す電気回路図、図8は図7の原点
信号検出装置に備えられる磁気抵抗素子の構成を示す
図、図9は図8の磁気抵抗素子が対向する磁気記録媒体
の原点記録信号の着磁部分を示す斜視図、図10は図7
の原点信号検出装置の動作を示すタイミングチャート、
図11は図7の原点信号検出装置の問題点を説明するた
めのタイミングチャートである。
【0004】図9に示す磁気記録媒体1には、N極とS
極の一対の極を有する原点記録信号2が着磁される。図
7に示す原点信号検出装置は、2つの検出素子Ra、R
bからなり信号Vaを出力する磁気抵抗素子3と、該信
号Vaを参照電圧Vrfaと比較する比較回路4とから
なっている。前記磁気抵抗素子3では、図8に示すよう
に、検出素子Ra、Rbの各一端が電源Vcが直列に接
続されて電流通路となっており、該検出素子Ra、Rb
は、それぞれ短冊状に形成され、互いに平行に配置され
る。また、検出素子Ra、Rbは、図10の(a)に示
すように、磁気記録媒体1と対向して設けられるととも
に、該磁気記録媒体1の移動方向に並ぶように配置され
る。そして、これらの検出素子Ra、Rbの各中心線間
の距離をDaとし、前記原点記録信号2の着磁部分の幅
をDcとしたとき、この幅Dcは前記距離Daの1.5
倍程度に設定される。なお、前記参照電圧Vrfaは、
Vc/2より高いレベルに設定されている。
【0005】この従来の原点信号検出装置では、図10
の(b)に示すような磁気記録媒体1に平行な磁界成分
Hのみを検出素子Ra、Rbが感知し、この磁界成分H
が大きくなるに伴い、図10の(c)に示すように抵抗
値が小さくなる。この図10の(c)は、各検出素子R
a、Rbの抵抗値の変化を示しており、図10の(a)
に示す矢印の向きに磁気記録媒体1を移動させると、検
出素子Ra、Rbの抵抗値は磁気記録媒体1の原点記録
信号2を感知して検出素子Ra、Rbの距離Daに見合
う位相差をもって変化する。検出素子Ra、Rbは図7
に示すように直列接続され、これに電圧Vcが印加され
ているため、Rb>RaのときVa>Vc/2、一方、
Rb<RaのときVa<Vc/2となり、磁気抵抗素子
3の出力信号Vaは図10の(d)のようになる。この
信号Vaと参照電圧Vrfaとを比較回路4で比較する
とき、図10の(e)に示す幅Pのパルス信号が原点信
号として出力される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで上述した従来
の原点信号検出装置にあっては、2個の電流通路を有す
る1組の検出素子Ra、Rbの中間点の出力信号Vaか
ら原点信号を得るようになっていることから、図10の
(d)のように、前記出力信号Vaの振幅Bが小さく、
この信号Vaに基づいて得られる原点信号の信号対雑音
比が劣る。
【0007】また、磁気抵抗素子の検出素子の感度およ
び信号磁界の強さはマイナスの温度特性をもっているこ
とから、前記信号Vaの振幅Bもマイナスの温度特性を
もっており、信号Vaは低温時に図11の破線で示すよ
うに振幅Bが大きく、高温時に図11の実線で示すよう
に振幅Bが小さくなり、すなわち信号Vaの振幅は温度
変化により大きく変わる。一方、上述した従来の原点信
号検出装置では、図10の(d)に示す部分Aのよう
に、前記信号Vaの参照電圧Vrfaと交差する立上り
部分および立下がり部分の勾配が緩い。このため、前記
信号Vaと参照電圧Vrfaとの比較の結果、出力され
る原点信号のパルス幅がかなり変化して、図11の示す
ように、低温時にパルス幅Pa、高温時にパルス幅Pb
となり、原点検出の信頼性が損なわれる。
【0008】したがって、上記のように原点信号の信号
対雑音比が劣るとともに原点信号のパルス幅がかなり変
化することから、高性能の検出素子および比較回路を要
し、コストが大きくなるという問題があった。
【0009】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、高性能の検出素
子および比較回路を特別に要せずに、原点信号を確実に
検出することのできる原点信号検出装置を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、磁気記録媒体に一対の異極に着磁された原
点記録信号を前記異極間を横切って相対移動することに
より検出する複数個の検出素子を備え、該原点記録信号
の検出に応じて原点信号を出力する原点信号検出装置に
おいて、それぞれ直列接続された磁気抵抗素子から成る
2組の前記検出素子が前記相対移動方向に沿って隣合う
ように配列され、かつ、互いに並列接続されて成る並列
回路と、直列接続された前記検出素子の間の各接続点か
らそれぞれ出力された信号を差動増幅する差動増幅回路
と、該差動増幅された信号を波形整形して原点信号を得
る比較回路とを有し、前記原点記録信号の着磁部分の幅
に対する、直列接続された2組の前記検出素子の中の並
列接続されて隣合う前記検出素子間の距離の比率を0.
〜0.7、好ましくは、0.5、同じく、直列接続
されて隣合う前記検出素子間の距離の比率を0.8〜
1.2の値としたものである。
【0011】
【作用】本発明は上記のように構成したので、磁気記録
媒体に着磁された原点記録信号を2組の直列接続された
検出素子により検出し、該直列接続された検出素子の各
接続点から出力される信号を差動増幅回路により差動増
幅した後、比較回路により波形整形して原点信号を得
る。上記のように、前記原点記録信号の着磁部分の幅に
対する、直列接続された2組の前記検出素子の中の並列
接続されて隣合う検出素子間の距離の比率を0.3
0.7、好ましくは、0.5、同じく、直列接続されて
隣合う前記検出素子間の距離の比率を0.8〜1.2の
値としてあることから、原点記録信号に対応する位置で
振幅が大きく、勾配の急な原点信号が得られる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の原点信号検出装置の実施例を
図に基づいて説明する。図1は本発明の原点信号検出装
置の一実施例に備えられる磁気抵抗素子を示す説明図、
図2は本実施例の原点信号検出装置の構成を示す電気回
路図、図3は図2に示す原点信号検出装置に備えられる
差動増幅回路から出力される信号の波形を示す特性図、
図4は実験により求められた原点記録信号上空の磁界分
布を基にして原点信号をシミュレーションした図、図5
は図4に示す原点信号のシミュレーションから得られた
検出素子のギャップと読取り可能電圧幅との関係を示す
特性図、図6は図5のグラフより得られた磁気抵抗素子
間の距離と許容ギャップ範囲との関係を示す特性図であ
る。
【0013】図2に示す本実施例の原点信号検出装置
は、直列接続された1組の検出素子MR1、MR2、お
よび直列接続された他の1組の検出素子MR3、MR4
からなる磁気抵抗素子6と、該検出素子MR1、MR2
の中間点、および検出素子MR3、MR4の中間点から
それぞれ出力された信号を差動増幅する差動増幅回路7
と、該差動増幅された信号を波形整形して原点信号を得
る比較回路8とを備えている。
【0014】図1に示す磁気記録媒体9には、N極とS
極の一対の極を有する原点記録信号10が着磁され、こ
の原点記録信号10の着磁部分の幅Pzは所定寸法、例
えば100μmに設定される。該磁気記録媒体9に対し
て前記検出素子MR1〜MR4が順次配列され、前記幅
Pzに対する検出素子MR1〜MR4の2組間の距離、
すなわち隣合う検出素子MR2、MR3間の距離Dyの
比率は、0.3〜0.7の範囲の値、好ましくは、
0.5の値に設定されている。また、一方の組のMR
1、MR2間の距離Dx1、および他方の組のMR3、
MR4間の距離Dx2は、それぞれ前記幅Pzに対して
0.8〜1.2倍、例えば等倍で設定されている。
【0015】この実施例にあっては、磁気記録媒体9に
着磁された原点記録信号10を2組の直列接続された検
出素子MR1〜MR4により検出し、該検出素子MR
1、MR2の中間点、および検出素子MR3、MR4の
中間点からそれぞれ出力された信号を差動増幅回路7に
より差動増幅した後、比較回路8により波形整形して原
点信号を得るようになっている。
【0016】上述した幅Pzに対する距離Dyの比率
は、該距離Dyを例えば0、0.3Pz、0.5Pz、
0.7Pz、1.0Pzの5種類に設定して、次のよう
な手順で実験結果に基づき比較検討することができる。
すなわち、第1の手順として磁気記録媒体9の表面に1
個の検出素子いわゆるMRセンサを配置し、磁気記録媒
体9を回転させて、検出素子の抵抗変化を読み取り、原
点記録信号10上空の磁界分布を測定する。このとき、
抵抗変化率3%、感度30 Oeの検出素子を用い、アン
プの増幅率を30倍に設定し、磁気記録媒体9と検出素
子とのギャップを40μmから160μmまで20μm
おきに設定し、空間の磁界分布を測定した。その後、D
yの値を0〜1.0Pzまで変化させて得られる原点信
号をシュミレーションで求めたものが図4である。な
お、図4の(a)、(b)、(c)は距離Dyをそれぞ
れ0、0.5Pz、1.0Pzに設定してある。
【0017】第2の手順として、一般に磁気式エンコー
ダの原点信号のパルス幅Dzは、0.5Pz以上かつ
1.5Pz以下であることが要求されるので、図3に示
すように、Dz(min)=0.5Pz、Dz(ma
x)=1.5Pzになるように作図することにより、図
4の(a)、(b)、(c)などの原点信号のシミュレ
ーションから読取り可能電圧幅を測定する。その結果、
上記のように磁気記録媒体9と検出素子とのギャップを
40μmで設定した場合、距離Dy=0では1.1V、
距離Dy=0.5Pzでは1.0V、距離Dy=1.0
Pzでは0Vとなる。このようにして得た読取り可能電
圧幅を軸方向にとり、ギャップを軸方向にとると、
距離Dyがそれぞれ0、0.3Pz、0.5Pz、0.
7Pz、1.0Pzの場合の読取り可能電圧幅は、図5
に示すように作図される。
【0018】一般に、上記の読取り可能電圧幅が大きい
場合、ドリフト特性の悪い安価なIC、センサを用いる
ことができることから設計上望ましく、また、上記の検
出素子の磁気記録媒体との許容ギャップ範囲が広いと、
比較的大きな部品公差で設計でき、組立が容易であるこ
とから設計上望ましい。そこで、第3の手順として、読
取り可能電圧幅を0.8V、1.1V、1.4Vに設定
して図5のグラフより許容ギャップ範囲を測定する。そ
の結果、距離Dyを横軸方向に、許容ギャップ範囲を縦
軸方向にとると、読取り可能電圧幅がそれぞれ0.8
V、1.1V、1.4Vの場合の許容ギャップ範囲は、
図6に示すように作図される。したがって、この図6の
グラフを検討すると、許容ギャップ範囲が比較的良好な
のは0.35Pz≦距離Dy≦0.7Pz、また、特に
良好なのは距離Dy=0.5Pzである。したがって、
上述したように距離Dyを例えば0.5Pzの値で設定
するようになっている。
【0019】このように構成した実施例では、直列接続
された1組の検出素子MR1、MR2、および直列接続
された他の1組の検出素子MR3、MR4の各中間点か
ら出力される信号を差動増幅回路7により差動増幅する
とともに、原点記録信号10の着磁部分の幅Pzに対す
る検出素子MR2、MR3間の距離Dyの比率を例えば
0.5の値で設定してあることから、原点記録信号10
に対応する位置で振幅の大きく、勾配の急な信号が得ら
れ、これによって、高性能の検出素子および比較回路を
特別に要せずに、原点信号を確実に検出することができ
る。なお、本実施例では距離Dyを例えば0.5Pzに
設定したが、必要に応じて、該距離Dyを0.35Pz
〜0.7Pzのいずれかに設定することもできる。さら
に、本実施例では距離Dx1、Dx2をそれぞれ1Pzで
設定したが、必要に応じて、距離Dx1、Dx2を0.8
Pz〜1.2Pzのいずれかに設定することもでき、こ
のことは上記と同様の実験によって確かめることができ
る。
【0020】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、高
性能の検出素子および比較回路を特別に要せずに、原点
信号を確実に検出することができ、したがって、エンコ
ーダの製造時の許容誤差範囲が広くて製造が容易である
とともに、部品コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原点信号検出装置の一実施例に備えら
れる磁気抵抗素子を示す説明図である。
【図2】本実施例の原点信号検出装置の構成を示す電気
回路図である。
【図3】図2に示す原点信号検出装置に備えられる差動
増幅回路から出力される信号の波形を示す特性図であ
る。
【図4】図4は実験により求められた原点記録信号上空
の磁界分布を基にして原点信号をシミュレーションした
図である。
【図5】図4に示す原点信号のシミュレーションから得
られた検出素子のギャップと読取り可能電圧幅との関係
を示す特性図である。
【図6】図5のグラフより得られた磁気抵抗素子間の距
離と許容ギャップ範囲との関係を示す特性図である。
【図7】従来の磁気式エンコーダの原点信号検出装置を
示す電気回路図である。
【図8】図7の原点信号検出装置に備えられる磁気抵抗
素子の構成を示す図である。
【図9】図8の磁気抵抗素子が対向する磁気記録媒体の
原点記録信号の着磁部分を示す斜視図である。
【図10】図7の原点信号検出装置の動作を示すタイミ
ングチャートである。
【図11】図7の原点信号検出装置の問題点を説明する
ためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
6 磁気抵抗素子 7 差動増幅回路 8 比較回路 9 磁気記録媒体 10 原点記録信号 MR1〜MR4 検出素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01D 5/00 - 5/62 G01B 7/00 - 7/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体に一対の異極に着磁された
    原点記録信号を前記異極間を横切って相対移動すること
    により検出する複数個の検出素子を備え、該原点記録信
    号の検出に応じて原点信号を出力する原点信号検出装置
    において、それぞれ直列接続された磁気抵抗素子から成
    る2組の前記検出素子が前記相対移動方向に沿って隣合
    うように配列され、かつ、互いに並列接続されて成る並
    列回路と、直列接続された前記検出素子の間の各接続点
    からそれぞれ出力された信号を差動増幅する差動増幅回
    路と、該差動増幅された信号を波形整形して原点信号を
    得る比較回路とを有し、前記原点記録信号の着磁部分の
    幅に対する、直列接続された2組の前記検出素子の中の
    並列接続されて隣合う前記検出素子間の距離の比率を
    0.3〜0.7、同じく、直列接続されて隣合う前記
    検出素子間の距離の比率を0.8〜1.2の値としたこ
    とを特徴とする原点信号検出装置。
  2. 【請求項2】 原点記録信号の着磁部分の幅に対する、
    直列接続された2組の前記検出素子の中の並列接続され
    て隣合う前記検出素子間の距離の比率を0.5の値とし
    たことを特徴とする請求項1記載の原点信号検出装置。
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