JP4697147B2 - ブローバイガス燃料含有量調整装置 - Google Patents

ブローバイガス燃料含有量調整装置 Download PDF

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本発明は、潤滑油から蒸発した内燃機関の燃料が、内燃機関へ過剰に再供給されることを抑制することができるブローバイガス燃料含有量調整装置に関する。本ブローバイガス燃料含有量調整装置は、内燃機関、特に自動車等のエンジンに適用することができる。
自動車等のエンジンにおいてシリンダ内で燃焼させる混合気の一部は、シリンダスリーブ及びピストンリングの間を通過し、ブローバイガスとしてクランクルーム内に到達する。また、シリンダの内壁面等に付着した潤滑油に混合気中の燃料が溶解し、その後滴下して、クランクルーム内に到達してオイルパンに蓄積される。更に、蓄積された潤滑油中の燃料は、再蒸発して、ブローバイガス中に混合する。
ブローバイガスは、燃料等の未焼成分等が含まれるためそのまま排出するには適さない。このため、ブローバイガスを完全に燃焼させ、浄化装置を介して排出するために吸気通路に還流するブローバイガス通路が設けられている。
上記の通り、潤滑油中の燃料は再度蒸発してブローバイガス中に混合するため、多く潤滑油中に含まれることがないが、短時間の運転を繰り返す等の条件の場合は、エンジンの運転により潤滑油の油温が十分に上昇しないため蒸発することなく蓄積されることがある。更に、燃料が潤滑油中に多く蓄積される場合は、潤滑油を希釈して粘性を変化させる恐れがあるため、オイルパン中の潤滑油を加熱して燃料を除去させる手段が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。
特開2004−190513号公報 特開2004−340056号公報
しかし、上記燃料の除去手段、並びに潤滑油中に燃料が多く蓄積されたときにエンジンの運転により潤滑油の油温が十分に上昇することによって、潤滑油中の燃料が一度に蒸発してブローバイガス通路を介して吸気通路に供給される場合は、吸気通路内の混合気の調整済みの空燃比を大きく変化させ、ノッキング等の異常燃焼を起こす恐れがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、潤滑油から蒸発した内燃機関の燃料が、内燃機関へ過剰に再供給されることを抑制することができるブローバイガス燃料含有量調整装置を提供することを解決すべき課題とする。
本発明は、以下の通りである。
1.エンジンのクランクルームと吸気通路との間に具備されるブローバイガス通路に設けられた貯留タンクと、該貯留タンクの下方側に設けられ、且つ該クランクルーム側のブローバイガス通路に接続される導入口と、該貯留タンクの上方側に設けられ、且つ該吸気通路側のブローバイガス通路に接続される排出口と、該貯留タンク内を分離室及び蒸発室に区画する隔壁と、少なくとも該蒸発室の下方側に設けられる貯留部と、該分離室を冷却するように該貯留タンクに設けられる冷却部と、を備え、該分離室及び該蒸発室は、各上端側同士及び各下端側同士が連通し、該分離室は該導入口から排出されるブローバイガス中の燃料を分離液化させ、その後該ブローバイガスを該排出口から排出し、該蒸発室は該燃料を蒸発させて該排出口から排出することを特徴とするブローバイガス燃料含有量調整装置。
2.上記冷却部は、上記貯留タンクの外側に設けられる冷却手段を具備する上記1.記載のブローバイガス燃料含有量調整装置。
3.上記貯留部は、その底部側に発熱手段を具備する上記1.又は上記2.記載のブローバイガス燃料含有量調整装置。
4.上記貯留タンクは、上記貯留部の上部に上記貯留タンク外に通じるドレン孔を更に具備する、上記1.乃至上記3.のいずれかに記載のブローバイガス燃料含有量調整装置。
本ブローバイガス燃料含有量調整装置によれば、ブローバイガス通路を通過するブローバイガスを分離室の冷却部によって冷却して、ブローバイガス中の燃料を液化させ、次いで液化した燃料を貯留部に貯留することができる。更に、貯留部に貯留させた燃料は蒸発室を介して更にブローバイガス中に含有させることができる。このため、蒸発室における燃料の蒸発量を調節することでブローバイガス中の燃料含有量を調節することができる。また、吸気通路内の混合気の調整済みの空燃比が大きく変化したことを理由とする、ノッキング等の異常燃焼を抑制することができる。更に、液化したブローバイガス中の燃料は貯留部に貯留されるため、潤滑油を希釈させることはなく、その分だけ潤滑油中の燃料の除去手段の規模を小さくすることができる。
また、冷却部として貯留タンクの外側に設けられる冷却手段を用いる場合は、冷却部の構成を簡単にすることができ、本ブローバイガス燃料含有量調整装置の配置の自由度を高めることができる。
貯留部がその底部側に発熱手段を具備する場合は、蒸発室における燃料の蒸発量を調節することが容易であり、ブローバイガス中の燃料含有量をより調節することができる。
貯留タンクがドレン孔を更に具備する場合は、貯留部に燃料が過剰に貯留されないように、過剰分の燃料を排出することができ、ブローバイガス中の燃料含有量の調節を維持することができる。
以下、図1〜4を例にして本発明のブローバイガス燃料含有量調整装置を詳細に説明する。
本ブローバイガス燃料含有量調整装置は、図1、2に例示するようにブローバイガス通路41、42に設けられた貯留タンク11と、貯留タンク11の下方側に設けられ、且つクランクルーム側のブローバイガス通路41に接続される導入口15と、貯留タンク11の上方側に設けられ、且つ吸気通路側のブローバイガス通路42に接続される排出口16と、貯留タンク11内を分離室111及び蒸発室112に区画する隔壁12と、少なくとも蒸発室112の下端に設けられる貯留部13と、分離室111に設けられる冷却部14と、を備える。
上記「ブローバイガス通路」は、クランクルーム内のブローバイガスを吸気通路に送るための通路である。また、ブローバイガス通路は、エンジンのヘッドカバー等を介して接続されていてもよい。
上記「貯留タンク」は、ブローバイガス中の燃料を分離及び貯留することができればよく、その形状、大きさ及び材質を問わない。
上記「分離室」は、貯留タンク内を隔壁によって区画された室であり、クランクルーム側のブローバイガス通路に接続される導入口と、吸気通路側のブローバイガス通路に接続される排出口と、の間に設けられている。また、ブローバイガス通路を通過するブローバイガス中の燃料を冷却部によって冷却し、液化することができる。更に、液化された燃料は、直接又は蒸発室を介して貯留部に貯留される。
また、分離室の形状は特に問わず、単なる空間でもよいし、仕切板等を用いてブローバイガスが通過する距離を長くして、より燃料を分離しやすくしてもよい。
上記「蒸発室」は、貯留タンク内を隔壁によって区画された室であり、その上端側及び下端側はそれぞれ分離室の上端側及び下端側と連通し、且つ下方側に貯留部が設けられている。また、上部は排出口と接続されている。更に、蒸発室は、貯留部から蒸発した燃料を排出口へ供給し、ブローバイガスと混合させることができる。
上記「隔壁」は、隔壁を介して分離室及び蒸発室内のブローバイガス及び燃料が混合しないように隔てることができるものであればよく、その形状、大きさ及び材質を問わない。
上記「貯留部」は、分離室で分離された液状の燃料を貯留することができる。また、貯留した燃料を蒸発させることができる。更に、貯留部は、少なくとも蒸発室の下方側に位置するように設けられていればよく、例えば貯留タンク内に設けられていてもよいし、貯留タンクの下部に設けられていてもよい。また、貯留部は、分離室及び蒸発室にまたがるように設けられていてもよい。
更に、混合気の空燃比をノッキング等の異常燃焼を起こさない程度に貯留した燃料を蒸発させることができるのが好ましい。このように蒸発量を調節するための手段は任意に選択することができ、例えば、発熱手段を底部側に備えて発熱手段の発熱量を変化させることによって燃料の蒸発量を調節することができる。また、発熱手段の種類は特に問わず、抵抗発熱体等を用いた電気によるヒータ、並びに高温側のエンジンの冷却水及び排気ガス等を用いた放熱器等を例示することができる。更に発熱量を制御する手段も特に問わず、バイメタル及びサーミスタ等の感熱素子を用いて温度を検知した結果を用いて、ヒータの電流や放熱器の弁を調節して発熱量を変化させてもよいし、エンジンを制御するためのコンピュータを用いて接続された水温計等から発熱量を変化させてもよい。また、エンジンの回転数が大きいほど空燃比の変化に対する許容量が大きくなるため、エンジンの回転数が大きいほど発熱量が大きくなるように変化させてもよい。このようにエンジンの回転数に比例して変化させることによって、ノッキング等の等の異常燃焼を起こすことがなくより多くの貯留した燃料を蒸発させることができる。
また、貯留部の開口面積を変化させることによって燃料の蒸発量を調節することができる。貯留部の開口面積を変化させる手段は特に問わず、例えば貯留部の上部を覆う蓋を開閉することを挙げることができる。
上記「冷却部」は、ブローバイガス中の燃料を液化して分離するために分離室を冷却する。冷却部を配設する場所は特に限定されず、貯留タンク外に設けられていてもよいし、貯留タンク内に設けられていてもよい。更に、貯留タンクと一体となるように設けられていてもよい。特に、上記冷却部は、上記貯留タンクの外側に設けられる冷却手段を具備することができる。この冷却手段は任意に選択することができ、例えば空冷手段及び液冷手段を例示することができる。また、空冷手段の場合は、貯留タンクの周囲に冷却フィンを設けて冷却することを例示することができる。このように配設することで、冷媒や冷却用の動力供給のための配線が不要であるため、本ブローバイガス燃料含有量調整装置の配置の自由度を高めることができる。
上記「ドレン孔」は、貯留部の上部から貯留タンク外に通じるよう設けられた孔であり、貯留部に貯留しきれない燃料を貯留タンク外に排出することができる。貯留タンク外に排出される燃料は任意に扱うことができ、エンジンのクランクルーム内に再び戻してもよいし、燃焼させて発熱手段の熱源にしてもよい。
以下、実施例により本発明のブローバイガス燃料含有量調整装置を具体的に説明する。
1.ブローバイガス燃料含有量調整装置の構成
本実施例1のブローバイガス燃料含有量調整装置1は図1及び2に示すように、エンジン2のクランクルーム21と吸気通路3との間に接続されるブローバイガス通路41、42間に設けられ、貯留タンク11と、貯留タンク11の下方側に設けられ、且つクランクルーム21側のブローバイガス通路41が接続される導入口15と、貯留タンク11の上方側に設けられ、且つ吸気通路3側のブローバイガス通路42が接続される排出口16と、貯留タンク11内を分離室111及び蒸発室112に区画する隔壁12と、蒸発室112の下方に設けられ底部に発熱手段131を具備する貯留部13と、分離室111に設けられる冷却手段である冷却フィン141からなる冷却部14と、を備える。
貯留タンク11は略円筒形状であり、その内部を縦断するように設けられた隔壁12によって分離室111及び蒸発室112に区画されている。また、隔壁12の上端部及び下端部は貯留タンク11の内壁と接合されていないため、分離室111及び蒸発室112の上下端部はそれぞれ流通可能になっている。
発熱手段131は抵抗発熱体からなるヒータであり、エンジン運転中は常に通電され、一定の発熱量で発熱する。
2.ブローバイガス燃料含有量調整装置の使用方法及び効果
本実施例1のブローバイガス燃料含有量調整装置1の貯留タンク11の導入口15に燃料を含むブローバイガスを導入すると、ブローバイガスの多くは分離室111を通過して排出口16から排出される。このとき、分離室111は冷却部14の冷却フィンによって放熱されているため、ブローバイガスを冷却してブローバイガス中の燃料を液化させることができる。そのため、分離室111を通過するブローバイガスから燃料を分離することができる。
また、液化したブローバイガス中の燃料は、隔壁12下側の隙間を通って貯留部13に貯留される。更に、貯留されている燃料は、発熱手段131によって一定量で蒸発し、蒸発室112を通過した後、隔壁12上側で分離室111を通過したブローバイガスと混合され排出口16から排出される。このため、排出口16から排出されるブローバイガスは、一定量の燃料を含有する。
このようなブローバイガス燃料含有量調整装置1は、発熱手段131によって蒸発する燃料の量を混合気の空燃比を大きく変化させない程度に、発熱手段131の発熱量を調節することによって潤滑油から蒸発した内燃機関の燃料が、内燃機関へ過剰に再供給されることを抑制し、ノッキング等の異常燃焼を抑制することができる。
1.ブローバイガス燃料含有量調整装置の構成
本実施例2は、実施例1と異なる形状の分離室111及び蒸発室112を備え、ドレン孔を更に備えたブローバイガス燃料含有量調整装置1Aである。
本ブローバイガス燃料含有量調整装置1Aは、図3及び4に示すように、エンジン2のクランクルーム21と吸気通路3との間に接続されるブローバイガス通路41、42間に設けられ、貯留タンク11と、貯留タンク11の下方側に設けられ、且つクランクルーム21側のブローバイガス通路41が接続される導入口15と、貯留タンク11の上方側に設けられ、且つ吸気通路3側のブローバイガス通路42が接続される排出口16と、貯留タンク11内を分離室111及び蒸発室112に区画する隔壁12と、蒸発室112の下方に設けられ底部に発熱手段131を具備する貯留部13と、分離室111の上側に設けられる冷却フィン141からなる冷却部14と、貯留部13の上部に設けられたドレン孔17と、を備える。
貯留タンク11は略円筒形状であり、その天井から垂下するように設けられた円筒形状の隔壁12によって分離室111及び蒸発室112に区画されている。また、隔壁12の上端部は流通孔121が設けられており、隔壁12の下端部は貯留タンク11の内壁と接合されていないため、分離室111及び蒸発室112の上下端部はそれぞれ流通可能になっている。
発熱手段131は抵抗発熱体からなるヒータであり、エンジン運転中は常に通電され、一定の発熱量で発熱する。
ドレン孔17は、クランクルーム21に通じる配管に接続されており、クランクルーム21へ過剰燃料が流れるように勾配が設けられている。
2.ブローバイガス燃料含有量調整装置の使用方法及び効果
本実施例2のブローバイガス燃料含有量調整装置1Aは、実施例1のブローバイガス燃料含有量調整装置1と同様に、貯留タンク11の導入口15に燃料を含むブローバイガスを導入すると、分離室111を通過することによってブローバイガスから一旦燃料が分離されて貯留部13に蓄積された後、発熱手段131によって一定量で蒸発し、隔壁12上側で分離室111を通過したブローバイガスと混合され排出口16から排出される。このため、排出口16から排出されるブローバイガスは、実施例1と同様に一定量の燃料を含有する。
更に、ドレン孔17によって、貯留部13に燃料が過剰に貯留されないように、過剰分の燃料をクランクルーム21に排出することができ、ブローバイガス中の燃料含有量の調節を維持することができる。
本実施例1のブローバイガス燃料含有量調整装置の構成を説明するための模式断面図である。 本実施例1のブローバイガス燃料含有量調整装置の構成の詳細を説明するための模式断面図である。 本実施例2のブローバイガス燃料含有量調整装置の構成を説明するための模式断面図である。 本実施例2のブローバイガス燃料含有量調整装置の構成の詳細を説明するための模式断面図である。
符号の説明
1;ブローバイガス燃料含有量調整装置、11;貯留タンク、111;分離室、112;蒸発室、12;隔壁、13;貯留部、131;発熱手段、14;冷却部、141;冷却フィン、15;導入口、16;排出口、
2;エンジン、21;クランクルーム、3;吸気通路、41、42;ブローバイガス通路。

Claims (4)

  1. エンジンのクランクルームと吸気通路との間に具備されるブローバイガス通路に設けられた貯留タンクと、該貯留タンクの下方側に設けられ、且つ該クランクルーム側のブローバイガス通路に接続される導入口と、該貯留タンクの上方側に設けられ、且つ該吸気通路側のブローバイガス通路に接続される排出口と、該貯留タンク内を分離室及び蒸発室に区画する隔壁と、少なくとも該蒸発室の下方側に設けられる貯留部と、該分離室を冷却するように該貯留タンクに設けられる冷却部と、を備え、
    該分離室及び該蒸発室は、各上端側同士及び各下端側同士が連通し、該分離室は該導入口から排出されるブローバイガス中の燃料を分離液化させ、その後該ブローバイガスを該排出口から排出し、該蒸発室は該燃料を蒸発させて該排出口から排出することを特徴とするブローバイガス燃料含有量調整装置。
  2. 上記冷却部は、上記貯留タンクの外側に設けられる冷却手段を具備する請求項1記載のブローバイガス燃料含有量調整装置。
  3. 上記貯留部は、その底部側に発熱手段を具備する請求項1又は2記載のブローバイガス燃料含有量調整装置。
  4. 上記貯留タンクは、上記貯留部の上部に上記貯留タンク外に通じるドレン孔を更に具備する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブローバイガス燃料含有量調整装置。
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