JP4696674B2 - 包装箱及びこの包装箱に包装された電池 - Google Patents

包装箱及びこの包装箱に包装された電池 Download PDF

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Description

本発明は、主に収納物の保管や運搬の際に傷付いたりや汚れが付着するのを防止するための包装箱及びこの包装箱に包装された電池に関するものである。
例えば図6に示すような自動車用の鉛蓄電池1は、質量が大きいので、持ち運びを容易にするために、取っ手2を取り付けることがある。また、この鉛蓄電池1を段ボール製のパッキングケースに収納する場合には、この取っ手2をパッキングケースの上端開口部を塞ぐ上蓋フラップに設けた開口部から取り出して、パッキングケースごと持ち運ぶようにするのが一般的である。
ここで、剛性を有するプラスチック製の取っ手を鉛蓄電池の蓋板の上部に回転自在に取り付け、パッキングケースの上蓋フラップに設けた開口部からこの取っ手を突出させることができるようにしたものが従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。この場合には、取っ手を回転させて寝かせておけば、上蓋フラップの開口部から突出させないようにすることができるので、パッキングケースを積み上げるようなときに、この取っ手が邪魔になるようなことがなくなるという利点を有する。
ところが、鉛蓄電池を収納したパッキングケースを持ち運ぶために取っ手を突出させるには、一旦上蓋フラップを開き、この取っ手を回転させて直立させ、再度上蓋フラップを閉じなければならず、しかも、再び取っ手を突出させないようにするときにも、一旦上蓋フラップを開き、この取っ手を回転させて寝かせ、再度上蓋フラップを閉じる必要がある。このため、例えば鉛蓄電池を収納したパッキングケースが積み上げられているときに、これを1個ずつ取っ手を持って運び再び別の場所に積み上げるというような運搬作業を行う際に、いちいち取っ手を出したり納めたりする作業が面倒になるという問題があった。
また、ある程度可撓性のある樹脂製の取っ手を鉛蓄電池の蓋板の上部に取り付け、パッキングケースの上蓋フラップに設けた観音開き状の開口部からこの取っ手を取り出すことができるようにしたものも従来からあった(例えば、特許文献2参照。)。この場合には、観音開き状の開口部に取っ手を押し込めば、この取っ手を容易に上蓋フラップの下方に納めることができ、しかも、開口部を開いてこの取っ手を取り出すことも容易にできるようになるので、取っ手を出したり納めたりする作業が面倒になるということもなくなる。
ところが、この取っ手は、鉛蓄電池の上部に両端部を確実に係止等により取り付けることによって、この重い鉛蓄電池を持ち運ぶことができるので、上蓋フラップの開口部に押し込まれても両端部の位置は容易には移動せず、このため湾曲した中央部が弾性によって再び観音開き状の開口部を下から押し開いて上方に突出しようとする。即ち、パッキングケースの上蓋フラップだけに支持される取っ手であれば、両端部が上蓋フラップの内側で抜け止めだけが行われ、両端部側へのスライドは自在となるので、この取っ手を開口部に押し込んで中央の湾曲部を平坦な状態にしても、両端部が広がることにより大きな弾性は生じない。しかしながら、両端部が鉛蓄電池に取り付けられて位置が固定されている状態では、湾曲した中央部を下方に押すと、大きな弾性が生じて上方に押し返す力が発生する。従って、このようなパッキングケースを積み上げると、下のパッキングケースの上蓋フラップの開口部から上方に突出しようとする取っ手が上のパッキングケースに押されて再び納まることもあるが、観音開き状の開口部に引っ掛かって完全には納まらなかった場合に、上のパッキングケースの底面との間に挟まって積み上げたパッキングケースが不安定となり、荷崩れを生じるおそれがあるという問題があった。
しかも、このような問題を解消するために、例えば取っ手に樹脂製の繊維の織物からなる帯材を用いることにより、弾性をほとんどなくし柔軟性を有するものとすれば、上蓋フラップの観音開き状の開口部を下から押し開いて突出するようなことはなくなるが、この開口部の内側に納めたときに、上蓋フラップの下方に完全に落ち込んで横ずれ等を生じ、再度開口部から引き出そうとしても、その真下にはないために取り出すことが困難になるという問題が生じる。
さらに、布製等の柔軟性のある取っ手を鉛蓄電池の蓋板の上部に取り付け、パッキングケースの上蓋フラップに設けた切り込みを開いてこの取っ手を取り出すことができるようにしたものも従来からあった(例えば、特許文献3参照。)。
ところが、この取っ手は、一旦引き出すと、再び上蓋フラップの切り込みの内側に押し戻すことが困難である。しかしながら、鉛蓄電池を収納したパッキングケースは、上記のように、1個ずつ取っ手を持って運んだ後に再び積み上げることもあるので、柔軟性のある取っ手とはいえども、積み上げたパッキングケースの間にこの取っ手が挟まると、積み荷が不安定になって荷崩れを生じるおそれがあるという問題があった。
特開昭62−66562号公報 特許第2956357号公報 実開平7−7066号公報
本発明は、取っ手を内側上蓋フラップのスリットを通して引き出すと共に、係止部によってこのスリットより下方に全体が落ち込むのを防止することにより、この取っ手の使用時には容易に引き出すことができ、不使用時には積載の邪魔になるようなことのない包装箱及びこの包装箱に包装された電池を提供しようとするものである。
請求項1の包装箱は、底面と四方の側面とを有すると共に、一の側面又は向かい合う両側面の上端から突設され、四方の側面の上端開口部を覆うように折り曲げ可能となった内側上蓋フラップと、この内側上蓋フラップが突設された側面とは別の向かい合う両側面の上端から突設され、四方の側面の上端開口部を覆った内側上蓋フラップの上に重なるように折り曲げ可能となった外側上蓋フラップとを有し、一方又は双方の内側上蓋フラップの先端から折り曲げ基部方向に向けて、先端側に基部側付近よりもスリット幅が狭くなる係止部をせり出させて設けた切り込み状のスリットが形成され、前記外側上蓋フラップは、一方が他方よりも突出長さが長く、突出長さの長い方の外側上蓋フラップには、内側上蓋フラップの上に重ねたときに前記スリットの上方に位置する部分に、長孔状の繰り抜き部が形成されていることを特徴とする。
(削除)
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請求項2の電池は、前記包装箱に包装されたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、収納物の取っ手を内側上蓋フラップのスリットの基部付近を通して包装箱の上方に引き出すことができるので、この取っ手を持って包装箱に収納された収納物を運ぶことができる。また、この取っ手は、柔軟性を有するものとすることにより、内側上蓋フラップの先端より先の間隙やスリットの先端付近の間隙を通して内部に落とし込むことができ、容易に内側上蓋フラップの下方に納めることができる。しかも、この際、取っ手の一部はスリットの係止部に係止されたままとなるので、完全に内側上蓋フラップの下方に落ち込むことはなく、この係止された部分を上方に引っ張ることにより、容易に引き出すことができるようになる。さらに、この取っ手は、未使用時には不要となる部分を内側上蓋フラップの下方に落とし込むことにより、スリットの係止部に係止される部分が不必要に長くなって折り重なったりねじれたりすることがないので、この内側上蓋フラップの上に重なる外側上蓋フラップよりも上方に突出するようなことがなくなり、包装箱を積み重ねたときに荷崩れを生じるようなおそれもなくなる。
なお、内側上蓋フラップは、短辺側の向かい合う両側面の上端から一対突設されるのが通常であるが、長辺側の向かい合う両側面から突設されるようにしてもよいし、向かい合う両側面のいずれか一方のみから突設されるようにしてもよい。しかも、内側上蓋フラップが一対突設されている場合、スリットは、双方に形成することが好ましいが、いずれか一方にのみ形成することもできる。
また、外側上蓋フラップは、内側上蓋フラップを突設した側面と隣接する長辺側の向かい合う両側面の双方の上端から突設されることが多いが、短辺側の向かい合う両側面の双方から突設されていてもよい。
記外側上蓋フラップは、内側上蓋フラップのスリットを形成した部分の上方に重ねて配置される位置に繰り抜き部が形成されているので、この繰り抜きを通して取っ手を上方に引き出すようにすることができる
なお、前記包装箱は、前記スリットが、基部付近のスリット幅を広くし、これより先端側のスリット幅を係止部により一定の狭い幅とすることによりT字形状としたものとすることができる。
このようにすれば、スリットがT字形状であるため、取っ手を帯状とした場合に、この取っ手をスリットの奥のスリット幅が広い部分に係止して容易には移動しないようにすることができるので、係止部を通って下方に抜け落ちるのを確実に防止することができるようになる。
なお、前記スリットが、基部付近のスリット幅を広くし、これより先端側のスリット幅を係止部により、先端側に向かうほど徐々に狭くし、このスリット幅がある程度狭くなると、それより先端側を一定の狭い幅とすることによりY字形状とすることもできる。この場合にも、スリットがY字形状であるため、取っ手を帯状とした場合に、この取っ手をスリットの奥のスリット幅が広い部分に係止して容易には移動しないようにすることができるので、係止部を通って下方に抜け落ちるのを確実に防止することができるようになる。しかも、収納物を包装箱から取り出すために内側上蓋フラップを開く際に、スリットの奥から手前側に向けて狭くなるテーパ部分が取っ手を係止部による狭いスリット幅の部分に案内してスムーズに通り抜けるようにするので、この取っ手を容易に外すことができるようになる。
また、前記包装箱は、前記スリットのスリット幅を一定の狭い幅となるようにした係止部の先端付近に、先端に至るまで幅が徐々に広くなる挿入テーパ部が形成されるようにすることができる。
このようにすれば、最初に取っ手をスリットに嵌め込む際に、このスリットの先端側の挿入テーパ部によって、係止部による狭いスリット幅の部分に案内してスムーズに通り抜けるようにすることができるので、この取っ手を容易にスリットの奥のスリット幅の広い部分に係止させことができるようになる。
請求項の発明によれば、上記包装箱に電池が収納されるので、重くなりがちな電池がこの包装箱から引き出した取っ手を持って運び易くなると共に、この包装箱を積み重ねた場合にも、荷崩れを生じるようなおそれがなくなる。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態は、自動車用の鉛蓄電池1を収納する段ボール製のパッキングケース3について説明する。また、鉛蓄電池1は、図6に示したものと同じ構成のものを用いる。
この鉛蓄電池1は、樹脂製の電槽1aの上端開口部に樹脂製の蓋板1bを熱溶着したものであり、この蓋板1bの向かい合う短辺側の両側辺中央部にそれぞれ取っ手2を取り付けるための取付部1c、1dが形成されている。また、この蓋板1bからは、正負極の端子1e、1fが上方に突出している。
取っ手2は、ポリエステル繊維を布状に織った帯材であり、十分な引っ張り強度は有するが、極めて高い柔軟性を有しているので、自由状態では、図6に示すようなアーチ状の形状を維持することはできず、蓋板1bの上に垂れ落ちた状態となる。また、この取っ手2は、長尺方向の両端部にそれぞれ剛性の高い係止杆2a、2b(ただし、図では係止杆2bは蓋板1bの陰に隠れて見えない)が設けられていて、これらの係止杆2a、2bが蓋板1bの取付部1c、1dに係止することにより、蓋板1b上を通して両端部を鉛蓄電池1に取り付けられる。なお、この取っ手2は、鉛蓄電池1を自動車に装着して使用するときには、不要となるので取り外す。
上記鉛蓄電池1を収納するパッキングケース3は、1枚の段ボールを所定形状に抜き加工して組み立てたものであり、底面と四方の側面31〜34とを有する筐体状の包装箱である。このパッキングケース3の底面は、側面31〜34の下端から突設された底フラップを折り曲げて、先端部同士を組み合わせたりテープや金具で固定する等の任意の構造により、重い鉛蓄電池1を収納して持ち上げても底が抜けることがないようになっている。四方の側面31〜34は、向かい合って直立する短辺側の一対の側面31、32と、これらに隣接して向かい合って直立する長辺側の一対の側面33、34とからなる。
このパッキングケース3の短辺側の側面31、32の上端からは、それぞれ内側上蓋フラップ35、36が突設され、長辺側の側面31〜34の上端からは、それぞれ外側上蓋フラップ37、38が突設されている。内側上蓋フラップ35、36は、段ボールにおける短辺側の側面31、32の上端と繋がって切り出されたほぼ方形の部分であり、これらの側面31、32の上端辺で折り曲げられて四方の側面31〜34の上端開口部の一部を覆うようになっている。また、これらの内側上蓋フラップ35、36は、先端中央部から側面31、32の上端辺に近い折り曲げ基部にかけて、切り込み状のスリット35a、36aが形成されている。これらのスリット35a、36aは、帯状の取っ手2とほぼ同じスリット幅を有するが、実際にこのような広いスリット幅は奥の僅かな部分だけであり、これより先端側は、幅方向の両側から係止部35b、36bがせり出して、帯状の取っ手2の幅よりも十分に狭く厚さよりは少し広い程度まで狭められたスリット幅を有することによりT字形状となっている。しかも、これらのスリット35a、36aが開口する先端部では、係止部35b、36bによって狭められた幅が先端に至るまで再び徐々に広くなって挿入テーパ部35c、36cが形成されている。
この内側上蓋フラップ35、36には、スリット35a、36aの側方の先端から折り曲げ基部にかけて、切り込み状の差し込み溝35d、36dも形成されている。これらの差し込み溝35d、36dは、段ボールの厚さのほぼ2倍の均一な幅を有する切り込みである。
外側上蓋フラップ37、38は、段ボールにおける長辺側の側面33、34の上端と繋がって切り出されたほぼ方形の部分であり、これらの側面33、34の上端辺で折り曲げられて、四方の側面31〜34の上端開口部を覆う内側上蓋フラップ35、36の上に重なるようになっている。ただし、一方の外側上蓋フラップ37は、他方の外側上蓋フラップ38よりも、突出長さが長くなっていて、双方の突出長さの合計が短辺側の側面31、32の上端辺の長さとほぼ同じになるようになっている。また、これらの外側上蓋フラップ37、38は、先端の両端部を除いた部分からさらに差し込み部37a、38aが突設されている。これらの差し込み部37a、38aも、段ボールにおける外側上蓋フラップ37、38の先端と繋がって切り出された突出方向に短い方形の部分であり、これらの外側上蓋フラップ37、38の先端辺で折り曲げられて、内側上蓋フラップ35、36の差し込み溝35d、36dに共に重なって差し込まれるようになっている。さらに、突出長さの長い方の外側上蓋フラップ37は、内側上蓋フラップ35、36の上に重ねたときにスリット35a、36aの上方に位置する部分に、長孔状の繰り抜き部37bが形成されている。
上記構成のパッキングケース3は、図2に示す状態から内側上蓋フラップ35、36を上方に開き、側面31〜34の上端開口部から内部に図6に示した鉛蓄電池1を挿入して収納する。次に、図1に示すように、内側上蓋フラップ35、36を閉じて側面31〜34の上端開口部の一部を覆うと共に、鉛蓄電池1に取り付けられた取っ手2をこれらの内側上蓋フラップ35、36のスリット35a、36aにそれぞれ嵌め込む。この際、スリット35a、36aの先端側の挿入テーパ部35c、36cによって取っ手2が案内されるので、係止部35b、36bによる狭いスリット幅をスムーズに通り抜けて、奥の幅の広い部分に達することができる。また、このようにしてスリット35a、36aの奥の幅の広い部分に達した取っ手2は、先端側のスリット幅の狭い係止部35b、36bに遮られて、容易にはスリット35a、36aから抜け落ちることができないので、確実に係止されることになる。
上記パッキングケース3は、外側上蓋フラップ37、38を側面33、34の上端辺で折り曲げて、差し込み部37a、38aを内側上蓋フラップ35、36の差し込み溝35d、36dに差し込むことにより、図3に示すように、これらの内側上蓋フラップ35、36の上に外側上蓋フラップ37、38を重ねて蓋をする。この際、外側上蓋フラップ37、38は、差し込み部37a、38aが差し込み溝35d、36dに差し込まれて容易には抜けないようになるので、パッキングケース3による鉛蓄電池1の包装が確実に行われるようになる。
上記パッキングケース3の内部では、鉛蓄電池1の蓋板1bから上方に突出する正負極の端子1e、1fが内側上蓋フラップ35、36を下方から支持することができるが、その他の部分では、これらの内側上蓋フラップ35、36の下方に空間が空くことになる。しかしながら、差し込み溝35d、36dに差し込まれた差し込み部37a、38aが、このパッキングケース3の内部空間で直立し、下方の先端が鉛蓄電池1の蓋板1bの上面に接する付近にまで達するので、このパッキングケース3の上に別のパッキングケース3を載置することにより大きな重量が加わった場合にも、外側上蓋フラップ37、38を支持するリブとなってパッキングケース3の上部が押し潰されるのを防ぐことができる。
上記パッキングケース3は、取っ手2がスリット35a、36aの奥を通って一旦内側上蓋フラップ35、36の上に導き出されるが、通常時には、中央部分がこれらの内側上蓋フラップ35、36の先端の間の間隙からパッキングケース3の内部空間に落とし込まれる。しかも、取っ手2は、十分な柔軟性を有するので、強い弾性によって中央部分が再び上方に突出するようなこともない。従って、この取っ手2は、厚さ分を考慮しても、外側上蓋フラップ37、38の上面よりも上方にはみ出すことはないので、このようなパッキングケース3を複数個積み重ねた場合にも、各パッキングケース3の間に取っ手2が挟まって荷積みが不安定になるようなおそれは生じない。
また、上記パッキングケース3を持ち運ぶ場合には、スリット35a、36aの奥から内側上蓋フラップ35、36の上に導き出された取っ手2を手掛かりに、図3に示したように、この取っ手2の中央部を繰り抜き部37bや内側上蓋フラップ35、36の間を通して上方に引き出すことにより、この取っ手2を手で持って重い鉛蓄電池1をパッキングケース3と共に持ち運ぶことができるようになる。しかも、運んだパッキングケース3を再び積み上げる場合には、引き出した取っ手2の中央部を繰り抜き部37bや内側上蓋フラップ35、36の間から容易に下方に落とし込むことができるので、荷積みの邪魔にならないようにすることができる。
以上説明したように、本実施形態のパッキングケース3は、持ち運ぶ際には、取っ手2を上方に引き出して手で持つことができ、繰り抜き部37bや内側上蓋フラップ35、36の間から内部に押し込めば、荷積みの邪魔になるようなこともなくなる。しかも、取っ手2の中央部をパッキングケース3の内部に落とし込んだ場合であっても、この取っ手2の両端部は、係止部35b、36bによってスリット35a、36aに確実に係止されるので、この部分を手掛かりにして、取っ手2の中央部を再び容易に引き出すことができる。
なお、上記実施形態では、ポリエステル繊維を布状に織った帯材の取っ手2を用いる場合を示したが、柔軟性を有するものであれば、材質は任意であり、織物であるかどうかも問わない。また、幅広の帯材に限らず、例えばロープ状のものでもよく、通常時にパッキングケース3の内部に落とし込む中央部のみを手で持ち易いように太く形成したものであってもよい。ただし、ロープ状の取っ手2の場合には、スリット35a、36aに設けた係止部35b、36bによるスリット幅は、このロープ状の取っ手2の直径よりも少し狭くする必要がある。さらに、この取っ手2は、鉛蓄電池1に着脱自在に取り付ける場合に限らず、使用時にも取り外すことができないようになっていてもよい。
また、上記実施形態では、外側上蓋フラップ37、38の差し込み部37a、38aがリブの役割を果たす場合を示したが、パッキングケース3が積載時にも潰れるおそれがなければ、外側上蓋フラップ37、38は、単に内側上蓋フラップ35、36の上に重ねて止め付けられるだけでもよい。ただし、逆に差し込み部37a、38aによるリブだけではパッキングケース3の強度が十分でない場合には、内側上蓋フラップ35、36の先端からも補強部を突設して、これらの補強部を下方に折り曲げることにより、差し込み部37a、38aと直交するリブの役割を果たすようにすることもできる。
また、上記実施形態では、内側上蓋フラップ35、36を短辺側の側面31、32から突設し、外側上蓋フラップ37、38を長辺側の側面33、34から突設する場合を示したが、これら短辺側と長辺側の側面31〜34を逆にすることもできる。さらに、パッキングケース3は、筐体状であればよく、四方の側面31〜34の幅が等しい正方形状の開口部を有するものであってもよい。
また、上記実施形態では、スリット35a、36aの幅方向の両側から係止部35b、36bをせり出させて設ける場合を示したが、これらのスリット35a、36aのスリット幅が十分に狭くなれば取っ手2を係止することはできるので、片側からのみせり出させて設けてもよい。ただし、帯状の取っ手2の場合、片側にのみ係止部35b、36bを設けてスリット35a、36aをL字形状にすると、この帯状の端から抜け出し易くなるおそれは生じるので、上記実施形態のように両側に係止部35b、36bを設けてT字形状とする方が好ましい。
また、上記実施形態では、スリット35a、36aの先端部に挿入テーパ部35c、36cを設ける場合を示したが、鉛蓄電池1の梱包作業時に取っ手2をスリット35a、36aに係止させる作業が面倒でなければ、必ずしもこのような挿入テーパ部35c、36cを設ける必要はない。
また、上記実施形態では、係止部35b、36bがスリット35a、36aの側面から直角にせり出す場合を示したが、図4に示すように、これらのスリット35a、36aのスリット幅が最も奥から先端側にかけて徐々に狭くなるテーパ状となるように係止部35b、36bをせり出させ、このスリット幅がある程度狭くなると一定の狭い幅となるようにして、スリット35a、36aがY字形状となるようにしてもよい。この場合には、取っ手2を意図的にスリット35a、36aから外そうとすると、このテーパ状の部分によって幅の狭い係止部35b、36bのスリット幅をスムーズに通り抜けるように取っ手2を案内することができるので、鉛蓄電池1をパッキングケース3から取り出す際に取っ手2が邪魔になるようなことがなくなる。
また、上記実施形態では、スリット35a、36aの本来の広いスリット幅が奥部だけであり、この奥部より先端側のスリット幅のほとんどが係止部35b、36bによって狭められている場合を示したが、図5に示すように、一定のスリット幅のスリット35a、36aの奥に近い部分だけに両側から凸状の係止部35b、36bを突設して、この部分のスリット幅だけを狭めるようにするだけでもよい。即ち、これらの係止部35b、36bは、スリット35a、36aの幅を広い範囲に限らず局所的にも狭めることができればよいので、その形状は任意である。さらに、係止部35b、36bによって狭められたスリット幅は、その幅が0であってもよい。つまり、切り込みはあるが、見た目の隙間は空いていな状態であっても、取っ手2を挿入して押し広げることにより、係止部35b、36bによるスリット幅が0の部分を通り抜けることはできる。
また、上記実施形態では、双方の内側上蓋フラップ35、36にスリット35a、36aを形成する場合を示したが、いずれか一方の内側上蓋フラップにのみスリットを形成することもできる。取っ手2は、両端部をスリット35a、36aの係止部35b、36bに係止された場合に限らず、片方の端部をスリットの係止部に係止されていても、容易に引き出すことはできるからである。
また、上記実施形態では、向かい合う両方の側面33、34からそれぞれ外側上蓋フラップ37、38を突設する場合を示したが、差し込み部37a、38aによるリブが不要であれば、例えば図4に示すように、片側の側面33のみから外側上蓋フラップ37を突設するようにしてもよく、この場合は、一般的なB式のパッキングケース3となる。
また、上記実施形態では、向かい合う両方の側面31、32からそれぞれ内側上蓋フラップ35、36を突設する場合を示したが、片側の側面のみから内側上蓋フラップを突設することもできる。
また、上記実施形態では、外側上蓋フラップ37に繰り抜き部37bを形成する場合を示したが、例えば図5に示すように、内側上蓋フラップ35、36におけるスリット35a、36aの差し込み溝35d、36dとは反対側にも、新たな差し込み溝35e、36eを設けると共に、一方の外側上蓋フラップ37の突出長さを他方の外側上蓋フラップ38と同じにすることにより、これらの外側上蓋フラップ37、38を内側上蓋フラップ35、36の上に重ねても、スリット35a、36aの上方が露出するようにできるので、このような場合には、繰り抜き部37bを設ける必要はなくなる。
また、上記実施形態では、自動車用の鉛蓄電池1を包装するためのパッキングケース3について説明したが、自動車用のものには限らず、他の用途の鉛蓄電池でも同様であり、鉛蓄電池以外の電池についても同様に実施可能である。また、このような電池に限らず、取っ手を取り付けたその他の収納物を収納して包装するパッキングケース3についても同様である。さらに、上記実施形態では、段ボール製のパッキングケース3について説明したが、その他の紙材料や樹脂材料等を用いた包装箱にも同様に実施可能である。
本発明の一実施形態を示すものであって、鉛蓄電池を収納し外側上蓋フラップを閉じる前のパッキングケースを示す全体斜視図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、パッキングケースの全体斜視図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、鉛蓄電池を収納し外側上蓋フラップを閉じたパッキングケースを示す部分斜視図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、パッキングケースの他の構成例を示す部分斜視図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、パッキングケースのさらに他の構成例を示す部分斜視図である。 取っ手を取り付けた鉛蓄電池の斜視図である。
符号の説明
1 鉛蓄電池
2 取っ手
3 パッキングケース
31 側面
32 側面
33 側面
34 側面
35 内側上蓋フラップ
35a スリット
35b 係止部
35c 挿入テーパ部
36 内側上蓋フラップ
36a スリット
36b 係止部
36c 挿入テーパ部
37 外側上蓋フラップ
37b 繰り抜き部
38 外側上蓋フラップ

Claims (2)

  1. 底面と四方の側面とを有すると共に、一の側面又は向かい合う両側面の上端から突設され、四方の側面の上端開口部を覆うように折り曲げ可能となった内側上蓋フラップと、この内側上蓋フラップが突設された側面とは別の向かい合う両側面の上端から突設され、四方の側面の上端開口部を覆った内側上蓋フラップの上に重なるように折り曲げ可能となった外側上蓋フラップとを有し、
    一方又は双方の内側上蓋フラップの先端から折り曲げ基部方向に向けて、先端側に基部側付近よりもスリット幅が狭くなる係止部をせり出させて設けた切り込み状のスリットが形成され、前記外側上蓋フラップは、一方が他方よりも突出長さが長く、突出長さの長い方の外側上蓋フラップには、内側上蓋フラップの上に重ねたときに前記スリットの上方に位置する部分に、長孔状の繰り抜き部が形成されていることを特徴とする包装箱。
  2. 請求項1に記載の包装箱に包装された電池。
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