図1は本発明のMOS型オルタネータの第1の実施例である。図1において符号100は交流発電機であり、1a,1b,1cはステータコイル、1fは界磁コイルである。符号101〜103はハイサイドMOSFET、111〜113はロウサイドMOSFETであり、ハイサイドMOSFETの各ドレインは共通接続されてバッテリVBの正極に接続され、ロウサイドMOSFETの各ソースは共通接続されてバッテリVBの負極に接続されていて、これらのハイサイドMOSFETとロウサイドMOSFETとで全波整流器を構成する。
U相V相W相それぞれの相のハイサイドMOSFETのソースと、対応するロウサイドMOSFETのドレインとは共通接続され、交流発電機の出力U,V,Wに接続する。なお、バッテリVBの正極と負極の間には負荷RLを接続する。符号160は3相全波整流器駆動装置であり、好ましくは1チップの集積回路で実現される。3相全波整流器駆動装置160中、符号121〜123はロウサイド駆動回路、131〜133はハイサイド駆動回路、141〜143は診断論理回路である。また、符号150は過電圧,過電流,過熱などを判定する保護診断回路である。
ロウサイド駆動回路121は交流発電機100の出力UとバッテリVBの負極電位とからロウサイドMOSFET111のオンタイミングとオフタイミングを判定し、さらにロウサイド駆動回路122,123の出力122a,123a及び後述するハイサイド駆動回路131の出力131aとから前述の判定結果の妥当性をチェックして最終的なオンオフのタイミングを決定し、決定結果121aをハイサイド駆動回路131,他のロウサイド駆動回路122と123に出力すると共に最終ゲート駆動信号ULDをロウサイドMOSFET111のゲートに出力する。
ロウサイド駆動回路121はこの他に強制オン信号151と強制オフ信号152を入力できて、前述の決定結果を無効にしてロウサイドMOSFET111を必要に応じて強制的にオン又はオフにできる。ロウサイド駆動回路122,123についても同様であるので説明は省略する。
ハイサイド駆動回路131は交流発電機の出力UとバッテリVBの正極電位とからハイサイドMOSFET101のオンタイミングとオフタイミングを判定し、さらにハイサイド駆動回路132,133の出力132a,133aと、ロウレベルサイド駆動回路121の出力121aとから前述の判定結果の妥当性をチェックして最終的なオンオフのタイミングを決定し、決定結果131aを他のハイサイド駆動回路132と133に出力すると共にゲート駆動信号UHDをハイサイドMOSFET101のゲートに出力する。
ハイサイド駆動回路131はこの他に強制オン信号151と強制オフ信号152を入力できて、前述の決定結果を無効にしてハイサイドMOSFET101を必要に応じて強制的にオン又はオフにできる。ハイサイド駆動回路132,133についても同様であるので説明は省略する。
ロウサイド駆動回路121のオン判定は交流発電機の出力Uがバッテリの負極電位より低くなり、且つロウサイドMOSFETの寄生ダイオードの順バイアスがサブスレッシュホールド電流領域を越えない所定の電位になったタイミングで行う。図12に示すようにダイオードに所定の順バイアス電圧をかけた時の電流、例えば100Aを1.0とした時、順バイアス電圧が100Aの場合より0.6ボルトだけ小さい場合の電流は100Aの1.0×10-12以下になる。このような小電流領域では小数キャリヤの蓄積が微小であるため寄生ダイオードのリカバリ電流も無視できる大きさになり、バッテリから交流発電機への逆流によるラジオノイズの問題が解消される。
ロウサイド駆動回路121のオフ判定は交流発電機の出力Uが上昇しバッテリの負極電位に等しくなるタイミングすなわちMOSFET111のソース・ドレイン間電圧がゼロになるタイミングで行う。MOSFETの特性からソース・ドレイン間電圧がゼロになるとゲート・ソース間電圧にオンバイアスを加えていてもドレイン電流は自動的にゼロになる。従ってこのタイミングでMOSFET111をオフにすると遮断時のdi/dtノイズを無くすことができる。
ハイサイド駆動回路131のオン判定は交流発電機の出力Uがバッテリ電位VBより高くなり、且つハイサイドMOSFETの寄生ダイオードの順バイアスがサブスレッシュホールド電流領域を越えない所定の電位になったタイミングで行う。この場合、ロウサイド駆動回路121のオン判定と同様の理由でバッテリから交流発電機への逆流によるラジオノイズの問題が解消される。
ハイサイド駆動回路131のオフ判定は交流発電機の出力Uが下降してバッテリ電位に等しくなるタイミングすなわちMOSFET101のソース・ドレイン間電圧がゼロになるタイミングで行う。MOSFETの特性からソース・ドレイン間電圧がゼロになるとゲート・ソース間電圧にオンバイアスを加えていてもドレイン電流は自動的にゼロになる。従ってこのタイミングでMOSFET101をオフにすると遮断時のdi/dtノイズを無くすことができる。
図10に以上で説明した交流発電機のU相V相W相の電圧とハイサイドMOSFET,ロウサイドMOSFETのそれぞれに印加されるゲート電圧のタイムチャートを示す。
図1の符号141〜143はハイサイド駆動回路とロウサイド駆動回路の一方又は両方の故障を診断する論理回路である。論理回路141の一つの入力はロウサイドMOSFET111のゲート信号ULDであり、他の一つの入力はハイサイドMOSFET101のゲート信号UHDである。論理回路141〜143の出力はオープンドレイン又はオープンコレクタ形式の出力回路になっており、それぞれの出力がワイヤードORされて端子Lに接続する。
正常な動作ではULD・UHD=1の論理状態はあり得ないが、故障によりULD・UHD=1となった場合は端子Lに異常状態を出力する。ただし、強制オン信号151を印加する場合はULD・UHD=1となるので異常状態を出力しないようにマスクする。論理回路142,143についても同様である。
図2は本発明のハイサイド駆動回路の第1実施例である。図2において、符号200はソースが交流発電機のU相に接続し、ドレインがバッテリVBの正極に接続したMOSFETであり、寄生ダイオードD1も示してある。符号201はハイサイドステータ電圧取り込み回路であり、U相の電圧を取り込み出力する。符号202はハイサイドバッテリ電圧取り込み回路であり、バッテリVBの正極電圧を取り込み出力する。
符号203は比較器であり、その反転入力に前記ハイサイドステータ電圧取り込み回路201の出力を入力し、非反転入力にハイサイドバッテリ電圧取り込み回路202の出力を入力して、反転入力の電圧が非反転入力の電圧より高い場合にロウレベルを出力し、低い場合にハイレベルを出力する。この比較器の出力信号がMOSFET200のオンオフタイミングを判定する信号であり、次段の論理ゲート204に出力されるが、この段階ではまだオンオフを決定する信号ではない。
論理ゲート204は負論理のNANDゲートであり、比較器203の出力の他に強制オフ信号204aと、後述するロウサイド論理回路からの出力204bと、論理ゲート207の出力207cとを入力し、全ての入力がロウレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する決定論理回路である。
すなわち、比較器203からのオンオフ判定信号がロウレベルであっても前記信号204a,204b,204cの少なくとも一つがハイレベルの時は論理ゲート204の出力はロウレベルになる。論理ゲート207は負論理のORゲートであり、信号207aと207bは他の相の決定論理回路の出力であり、少なくともどちらか一方がロウレベルで無い時はオンオフを判定する比較回路203からのオン指令信号は不正信号として無視される。
論理ゲート204の出力はハイサイドMOSFETのオンオフ決定信号であり、論理ゲート205に出力される他に後述するロウサイド駆動回路の論理ゲートに出力される。論理ゲート205は正論理のORゲートであり、論理ゲート204の出力の他に強制オン信号205aを入力し、少なくとも一方の入力がハイレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する論理回路である。すなわち、論理ゲート204からの信号204cがハイレベルの時は論理ゲート205の出力はハイレベルになり、強制オン信号205aがハイレベルの時もハイレベルになる。論理ゲート205の出力はハイサイドMOSFETの最終オンオフ決定信号であり、バッファ回路206を介してハイサイドMOSFET200のゲートに供給され、オンオフを制御する。
符号208はオープンドレイン又はオープンコレクタ出力形式の論理ゲートであり、回路の故障などによる同一相のハイサイドMOSFETとロウサイドMOSFETの同時オンを検出する。論理ゲートの入力であるバッファ回路206の出力206aと後述するロウサイド駆動回路からの出力208aが共にハイレベルの時、出力208bから電流をシンクし、少なくともどちらか一方がロウレベルの時及び強制オン信号205aがハイレベルの時、出力はハイインピーダンス状態になる。
図3は本発明のロウサイド駆動回路の第1実施例である。図3において、符号300はソースがバッテリVBの負極にドレインが交流発電機のU相に接続したMOSFETであり、寄生ダイオードD2も付記する。符号301はロウサイドステータ電圧取り込み回路であり、U相の電圧を取り込み出力する。符号302はロウサイドバッテリ電圧取り込み回路であり、バッテリVBの負極電圧を取り込み出力する。
符号303は比較器であり、その非反転入力に前記ロウサイドステータ電圧取り込み回路301の出力を入力し、反転入力にロウサイドバッテリ電圧取り込み回路302の出力を入力する。比較器の非反転入力の電圧が反転入力の電圧より低い場合にロウレベルを出力し、高い場合はハイレベルを出力する。この出力信号はMOSFET300のオンオフタイミングを判定する信号であり、次段の論理ゲート304に出力されるが、この段階ではまだオンオフを決定する信号ではない。
論理ゲート304は負論理のNANDゲートであり、比較器303の出力の他に強制オフ信号304aと、前述したハイサイド論理回路からの出力304bと、論理ゲート307の出力307cとを入力し、全ての入力がロウレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力するオンオフ決定論理回路である。
すなわち、比較器303からのオンオフ判定信号がロウレベルであっても前記信号304a,304b,307cの少なくとも一つがハイレベルの時は論理ゲート304の出力はロウレベルになる。
論理ゲート307は負論理のORゲートであり、信号307aと307bは他の相の決定論理回路の出力であり、少なくともどちらか一方がロウレベルで無い時はオンオフ判定回路303からのオン指令信号は不正信号として無視される。論理ゲート304の出力はロウサイドMOSFETのオンオフ決定信号であり、論理ゲート305に出力される他に前述したハイサイド駆動回路の論理ゲートに出力される。
論理ゲート305は正論理のORゲートであり、論理ゲート304の出力の他に強制オン信号305aを入力し、少なくとも一方の入力がハイレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する。すなわち、論理ゲート304からの信号304cがハイレベルの時は論理ゲート305の出力はハイレベルになり、強制オン信号305aがハイレベルの時もハイレベルになる。
論理ゲート305の出力はロウサイドMOSFETの最終オンオフ決定信号であり、バッファ回路306を介してロウサイドMOSFET300のゲートに供給され、オンオフを制御する。符号308はオープンドレイン又はオープンコレクタ出力形式の論理ゲートであり、回路の故障などによる同一相のハイサイドMOSFETとロウサイドMOSFETの同時オンを検出する。論理ゲートの入力であるバッファ回路306の出力306aと前述したハイサイド駆動回路からの出力308aとが共にハイレベルの時、出力308bから電流をシンクし、少なくともどちらか一方がロウレベルの時及び強制オン信号305aがハイレベルの時、出力はハイインピーダンス状態になる。
図4は本発明のハイサイド駆動回路の第2実施例である。図4において、符号400はソースが交流発電機のU相に接続し、ドレインがバッテリVBの正極に接続したMOSFETであり、寄生ダイオードD1も示す。電圧シフト手段401,逆流阻止ダイオード410,定電流源411がハイサイドステータ電圧取り込み回路であり、U相の電圧を所定電圧VXだけシフトダウンして比較器に出力する。
電圧シフト手段402,408,定電流源412はハイサイドバッテリ電圧取り込み回路であり、バッテリVBの正極電圧を電圧シフト手段402で所定電圧VY1だけシフトダウンし、さらに電圧シフト手段408で所定電圧VY2だけシフトダウンしてアナログマルチプレクサ409に出力する。なお、VX=VY1+VY2の関係である。符号409はアナログマルチプレクサであり、制御信号により入力信号a,bのどちらかを選択して信号cとして出力する。
符号403は比較器であり、その反転入力に電圧シフト手段401の出力を、非反転入力にアナログマルチプレクサ409の出力を入力し、反転入力の電圧が非反転入力の電圧より高い場合にロウレベルを出力し、低い場合にハイレベルを出力する。この出力信号は次段の論理ゲート404に出力され、MOSFET400のオンオフタイミングを判定する信号となるが、この段階ではまだオンオフを決定する信号ではない。
論理ゲート404は負論理のNANDゲートであり、比較器403の出力の他に強制オフ信号404a、後述するロウサイド論理回路からの出力404b及び論理ゲート407の出力407cを入力し、全ての入力がロウレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力するオンオフタイミング決定論理回路である。すなわち、比較器403からのオンオフ判定信号がロウレベルであっても信号404a,404b,404cの少なくとも一つがハイレベルの時は論理ゲート404の出力はロウレベルになる。
論理ゲート407は負論理のORゲートであり、信号407aと407bは他の相の決定論理回路の出力であり、少なくともどちらか一方がロウレベルで無い時は比較器403からのオン指令信号は不正信号として無視される。論理ゲート404の出力404cはハイサイドMOSFETのオンオフ決定信号であり、論理ゲート405に出力される他に後述するロウサイド駆動回路のオンオフタイミング決定論理回路に出力され、さらにアナログマルチプレクサ409の制御信号として出力される。
論理ゲート404の出力404cがロウレベルの時、比較器403の非反転入力にはアナログマルチプレクサ409のa入力が供給される。従って、比較器403の出力はステータ電圧Uがバッテリの正極電圧より所定電圧VY2だけ高くなったタイミングでロウレベルに反転する。論理ゲート404の出力404cがハイレベルに反転すると比較器403の非反転入力にはアナログマルチプレクサ409のb入力が供給される。従って、比較器403の出力はステータ電圧Uがバッテリの正極電圧と同じ電位まで低下しタイミングでハイレベルに反転する。
なお、ここで所定電圧VY2はゼロボルトより大きく、且つ寄生ダイオードD1の電流がサブスレッシュホールド電流領域を越えない範囲の順方向電圧領域に設定する。論理ゲート405は正論理のORゲートであり、論理ゲート404の出力の他に強制オン信号405aを入力し、少なくとも一方の入力がハイレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する。すなわち、論理ゲート404からの信号404cがハイレベルの時は論理ゲート405の出力はハイレベルになり、強制オン信号405aがハイレベルの時にもハイレベルになる。論理ゲート405の出力はハイサイドMOSFETの最終オンオフ決定信号であり、バッファ回路406を介してハイサイドMOSFET400のゲートに供給され、オンオフを制御する。
図5は本発明のロウサイド駆動回路の第2実施例である。図5において、符号500はドレインが交流発電機のU相に接続し、ソースがバッテリVBの負極に接続したMOSFETであり、寄生ダイオードD2も付記してある。電圧シフト手段501と、逆流阻止ダイオード510と、定電流源511とがロウサイドステータ電圧取り込み回路であり、U相の電圧を所定電圧VXだけシフトアップして比較器503に出力する。
電圧シフト手段502,定電流源512はロウサイドバッテリ電圧取り込み回路であり、バッテリVBの負極電圧を電圧シフト手段502で所定電圧VYだけシフトアップしてアナログマルチプレクサ509に出力する。なお、ここではVX=VYの関係である。
符号509のアナログマルチプレクサは、制御信号により入力信号a,bのどちらかを選択して信号cとして出力する。符号503は比較器であり、その非反転入力に電圧シフト手段501の出力を、反転入力にアナログマルチプレクサ509の出力を入力し、非反転入力の電圧が反転入力の電圧より低い場合にロウレベルを出力し、高い場合はハイレベルを出力する。この出力信号は次段の論理ゲート504に出力され、MOSFET500のオンオフタイミングを判定する信号となるが、この段階ではまだオンオフを決定する信号ではない。
論理ゲート504は負論理のNANDゲートであり、比較器503の出力の他に強制オフ信号504aと、ハイサイド論理回路からの出力504bと、論理ゲート507の出力507cとを入力し、全ての入力がロウレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力するオンオフタイミング決定論理回路である。
すなわち、比較器503からのオンオフ判定信号がロウレベルであっても信号504a,504b,504cの少なくとも一つがハイレベルの時は論理ゲート504の出力はロウレベルになる。論理ゲート507は負論理のORゲートであり、信号507aと507bは他の相の決定論理回路の出力であり、少なくともどちらか一方がロウレベルで無い時は比較器503からのオン指令信号は不正信号として無視される。
論理ゲート504の出力504cはロウサイドMOSFETのオンオフ決定信号であり、論理ゲート505に出力される他にハイサイド駆動回路のオンオフタイミング決定論理回路に出力され、さらにアナログマルチプレクサ509の制御信号として出力される。論理ゲート504の出力504cがロウレベルの時、比較器503の反転入力にはアナログマルチプレクサ509のb入力が供給される。
従って、比較器503の出力はステータ電圧Uがバッテリの負極電圧より所定電圧VYだけ低くなったタイミングでロウレベルに反転する。論理ゲート504の出力504cがハイレベルに反転すると比較器403の非反転入力にはアナログマルチプレクサ509のa入力が供給される。従って、比較器503の出力はステータ電圧Uがバッテリの負極電圧と同じ電位まで上昇したタイミングでハイレベルに反転する。
なお、ここで所定電圧VYはゼロボルトより大きく、且つ寄生ダイオードD2の電流がサブスレッシュホールド電流領域を越えない範囲の順方向電圧領域に設定する。論理ゲート505は正論理のORゲートであり、論理ゲート504の出力の他に強制オン信号505aを入力し、少なくとも一方の入力がハイレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する論理回路である。すなわち、論理ゲート504からの信号504cがハイレベルの時は論理ゲート505の出力はハイレベルになり、強制オン信号505aがハイレベルの時もハイレベルになる。論理ゲート505の出力はロウサイドMOSFETの最終オンオフ決定信号であり、バッファ回路506を介してハイサイドMOSFET500のゲートに供給され、オンオフを制御する。
図6は本発明のハイサイド駆動回路の第3実施例である。図6において、符号600は、ソースが交流発電機のU相に接続し、ドレインがバッテリVBの正極に接続したMOSFETであり、寄生ダイオードD1も付記する。電圧シフト手段である抵抗601と、逆流阻止ダイオード610と、定電流源としてのMOSFET614とがハイサイドステータ電圧取り込み回路であり、U相の電圧を所定電圧VXだけシフトダウンして比較器603に出力する。
電圧シフト手段である抵抗602,608と、定電流源としてのMOSFET613とがハイサイドバッテリ電圧取り込み回路であり、バッテリVBの正極電圧を602で所定電圧VY1だけ、608で所定電圧VY2だけシフトダウンしてアナログマルチプレクサ609に出力する。なお、VX=VY1+VY2の関係である。
符号609のアナログマルチプレクサは、制御信号により入力信号a,bのどちらかを選択して信号cとして出力する。なお、本実施例の電圧シフト手段601,602,608は抵抗である。定電流源611,MOSFET612は基準電流発生回路である。
符号603は比較器であり、その反転入力に電圧シフト手段である抵抗601の出力を、非反転入力にアナログマルチプレクサ609の出力を入力し、反転入力の電圧が非反転入力の電圧より高い場合にロウレベルを出力し、低い場合にハイレベルを出力する。この出力信号は次段の論理ゲート604に出力され、MOSFET600のオンオフタイミングを判定する信号となるが、この段階ではまだオンオフを決定する信号ではない。
論理ゲート604は負論理のNANDゲートであり、比較器603の出力の他に強制オフ信号604a,ロウサイド論理回路からの出力604b及び論理ゲート607の出力607cを入力し、全ての入力がロウレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力するオンオフタイミング決定論理回路である。すなわち、比較器603からのオンオフ判定信号がロウレベルであっても信号604a,604b,604cの少なくとも一つがハイレベルの時は論理ゲート604の出力はロウレベルになる。
論理ゲート607は負論理のORゲートであり、信号607aと607bは他の相の決定論理回路の出力であり、少なくともどちらか一方がロウレベルで無い時は比較器603からのオン指令信号は不正信号として無視される。論理ゲート604の出力604cはハイサイドMOSFETのオンオフ決定信号であり、論理ゲート605に出力される他に後述するロウサイド駆動回路のオンオフタイミング決定論理回路に出力され、さらにアナログマルチプレクサ609の制御信号として出力される。
論理ゲート604の出力604cがロウレベルの時、比較器603の非反転入力にはアナログマルチプレクサ609のa入力が供給される。従って、比較器603の出力はステータ電圧Uがバッテリの正極電圧より所定電圧VY2だけ高くなったタイミングでロウレベルに反転する。
論理ゲート604の出力604cがハイレベルに反転すると比較器603の非反転入力にはアナログマルチプレクサ609のb入力が供給される。従って、比較器603の出力はステータ電圧Uがバッテリの正極電圧と同じ電位まで低下したタイミングでハイレベルに反転する。なお、ここで所定電圧VY2はゼロボルトより大きく、且つ寄生ダイオードD1の電流がサブスレッシュホールド電流領域を越えない範囲の順方向電圧領域に設定する。
論理ゲート605は正論理のORゲートであり、論理ゲート604の出力の他に強制オン信号605aを入力し、少なくとも一方の入力がハイレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する論理回路である。すなわち、論理ゲート604からの信号604cがハイレベルの時は論理ゲート605の出力はハイレベルになり、強制オン信号605aがハイレベルの時もハイレベルになる。論理ゲート605の出力はハイサイドMOSFETの最終オンオフ決定信号であり、バッファ回路606を介してハイサイドMOSFET600のゲートに供給され、オンオフを制御する。
図7は本発明のロウサイド駆動回路の第3実施例である。図7において、符号700はドレインが交流発電機のU相にソースがバッテリVBの負極に接続したMOSFETであり、寄生ダイオードD2も付記した。電圧シフト手段である抵抗701と、逆流阻止ダイオード710と、定電流源としてのMOSFET714とがロウサイドステータ電圧取り込み回路であり、U相の電圧を所定電圧VXだけシフトアップして比較器に出力する。電圧シフト手段である抵抗702と、定電流源としてのMOSFET713とがロウサイドバッテリ電圧取り込み回路であり、バッテリVBの負極電圧を702で所定電圧VYだけシフトアップしてアナログマルチプレクサに出力する。なお、ここではVX=VYの関係がある。
符号709はアナログマルチプレクサであり、制御信号により入力信号a,bのどちらかを選択して信号cとして出力する。符号703は比較器であり、その非反転入力に電圧シフト手段である抵抗701の出力を、反転入力にアナログマルチプレクサ709の出力を入力し、非反転入力の電圧が反転入力の電圧より低い場合にロウレベルを出力し、高い場合はハイレベルを出力する。この出力信号は次段の論理ゲート704に出力され、MOSFET700のオンオフタイミングを判定する信号となるが、この段階ではまだオンオフを決定する信号ではない。
論理ゲート704は負論理のNANDゲートであり、比較器703の出力の他に強制オフ信号704aと、ハイサイド論理回路からの出力704bと、論理ゲート707の出力707cとを入力し、全ての入力がロウレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力するオンオフタイミング決定論理回路である。
すなわち、比較器703からのオンオフ判定信号がロウレベルであっても信号704a,704b,704cの少なくとも一つがハイレベルの時は論理ゲート704の出力はロウレベルになる。論理ゲート707は負論理のORゲートであり、信号707aと707bは他の相の決定論理回路の出力であり、少なくともどちらか一方がロウレベルで無い時は比較器703からのオン指令信号は不正信号として無視される。
論理ゲート704の出力704cはロウサイドMOSFETのオンオフ決定信号であり、論理ゲート705に出力される他に前述したハイサイド駆動回路のオンオフタイミング決定論理回路に出力され、さらにアナログマルチプレクサ709の制御信号として出力される。論理ゲート704の出力704cがロウレベルの時、比較器703の反転入力にはアナログマルチプレクサ709のb入力が供給される。
従って、比較器703の出力はステータ電圧Uがバッテリの負極電圧より所定電圧VYだけ低くなったタイミングでロウレベルに反転する。論理ゲート704の出力704cがハイレベルに反転すると比較器703の非反転入力にはアナログマルチプレクサ709のa入力が供給される。従って、比較器703の出力はステータ電圧Uがバッテリの負極電圧と同じ電位まで上昇したタイミングでハイレベルに反転する。
なお、ここで所定電圧VYはゼロボルトより大きく、且つ寄生ダイオードD2の電流がサブスレッシュホールド電流領域を越えない範囲の順方向電圧領域に設定する。論理ゲート705は正論理のORゲートであり、論理ゲート704の出力の他に強制オン信号705aを入力し、少なくとも一方の入力がハイレベルの時にハイレベルを出力し、それ以外はロウレベルを出力する論理回路である。すなわち、論理ゲート704からの信号704cがハイレベルの時は論理ゲート705の出力はハイレベルになり、強制オン信号705aがハイレベルの時もハイレベルになる。論理ゲート705の出力はロウサイドMOSFETの最終オンオフ決定信号であり、バッファ回路706を介してロウサイドMOSFET700のゲートに供給され、オンオフを制御する。
図8は本発明のMOS型オルタネータの第2の実施例である。図8で図1と同じ符号は同じ構成要素である。符号161は3相全波整流器駆動装置であり、好ましくは1チップの集積回路で実現される。
ロウサイド駆動回路121は交流発電機の出力Uとバッテリの負極電位とからロウサイドMOSFET111のオンタイミングとオフタイミングを判定し、さらにロウサイド駆動回路122,123の出力122a,123aとハイサイド駆動回路131の出力131aとから前述の判定結果の妥当性をチェックして最終的なオンオフのタイミングを決定し、決定結果121aをハイサイド駆動回路131、他のロウサイド駆動回路122と123に出力すると共に最終ゲート駆動信号ULDをロウサイドMOSFET111のゲートに出力する。
ロウサイド駆動回路121はこの他に強制オン信号151とPWM(Pulse width Modulation)信号153を入力できるように構成されており、強制オン信号151が印加されると前述の決定結果を無効にしてロウサイドMOSFET111を強制的にオンにできる。また、PWM信号153を印加すると前述の決定結果に対してパルス幅変調をかけロウサイドMOSFET111のオン期間を変え、出力電流を調整できる。なお、本実施例ではロウサイド駆動回路121〜123には強制オフ信号152が供給されていないが、PWM信号153のパルスデューティをゼロにすることにより強制オフ動作ができる。また、PWM信号をハイサイド駆動回路側に入れても同様に整流器の出力電流を調整できる。ロウサイド駆動回路122,123についても同様であるので説明は省略する。ハイサイド駆動回路131〜133,診断論理回路141〜143は、構成及び動作が図1の実施例と同一なので説明を省略する。
図9は本発明のMOS型オルタネータの第3の実施例である。図9で図1と同じ符号は同じ構成要素である。符号162は3相全波整流器駆動装置であり、好ましくは1チップの集積回路で実現される。本実施例において、ロウサイド駆動回路121〜123は外部のコントローラ901からの駆動信号ULG,VLG,WLGによって駆動され、ロウサイドMOSFET111〜113のオンオフを制御する。同様に、ハイサイド駆動回路131〜133は外部のコントローラ900の駆動信号UHG,VHG,WHGで駆動され、ハイサイドMOSFET101〜103のオンオフを制御する。
ロウサイド駆動回路121は上記外部信号ULGによってロウサイドMOSFET111のオンタイミングとオフタイミングを判定し、さらにロウサイド駆動回路122,123の出力122a,123aとハイサイド駆動回路131の出力131aとから前述の判定結果の妥当性をチェックして最終的なオンオフのタイミングを決定し、決定結果121aをハイサイド駆動回路131,他のロウサイド駆動回路122と123に出力すると共に最終ゲート駆動信号ULDをロウサイドMOSFET111のゲートに出力する。
ロウサイド駆動回路121はこの他に強制オン信号151と強制オフ信号152を入力できるように構成されており、強制オン信号151が印加されると前述の決定結果を無効にしてロウサイドMOSFET111を強制的にオンにできる。また、強制オフ信号152を印加すると前述の決定結果を無視してロウサイドMOSFET111を強制的にオフにできる。なお、図8の実施例で説明したように強制オフ信号152に換えてPWM信号を印加しても良い。ロウサイド駆動回路122,123についても同様であるので説明は省略する。
ハイサイド駆動回路131は上記外部信号UHGによってハイサイドMOSFET101のオンタイミングとオフタイミングを判定し、さらにハイサイド駆動回路132,133の出力132a,133a及びロウサイド駆動回路121の出力121aとから前述の判定結果の妥当性をチェックして最終的なオンオフのタイミングを決定し、決定結果131aをロウサイド駆動回路121,他のハイサイド駆動回路132と133に出力すると共に最終ゲート駆動信号UHDをハイサイドMOSFET101のゲートに出力する。
ハイサイド駆動回路131はこの他に強制オン信号151と強制オフ信号152を入力できるように構成されており、強制オン信号151が印加されると前述の決定結果を無効にしてハイサイドMOSFET101を強制的にオンにできる。また、強制オフ信号152を印加すると前述の決定結果を無視してハイサイドMOSFET101を強制的にオフにできる。ハイサイド駆動回路132,133についても同様であるので説明は省略する。
なお、診断論理回路141〜143については、構成及び動作の説明が図1の実施例と同一なので省略する。本実施例によれば、整流用MOSFETを外部コントローラからの駆動信号でオンオフ制御する場合、仮にコントローラ900からの誤指令があった場合でもMOS整流器の誤動作を抑止できる。また、コントローラ900と全波整流器駆動装置を接続する配線の故障や、配線に結合したノイズによる不正動作を抑止できる。
図11はMOS整流型オルタネータにおける交流発電機の出力電圧モニタ回路の実施例である。図11において、符号1101〜1103はダイオードであり、ダイオード1101のアノードが交流発電機のU相に接続し、カソードが共通接続点に接続する。同様にダイオード1102のアノードは交流発電機のV相に、カソードは共通接続点に接続され、ダイオード1103のアノードは交流発電機のW相に、カソードは共通接続点に接続する。
カソード共通接続点とGNDの間に、抵抗1104と1105とからなる分圧器が設けられている。分圧器の出力は比較器1106の非反転入力と比較器1107の反転入力に接続する。また、比較器1106の反転入力には第1の参照電圧Vref1が接続し、比較器1107の非反転入力には第2の参照電圧Vref2が接続する。
この回路では3相交流電圧U,V,Wがダイオード1101,1102,1103によって半波整流され、分圧器1104,1105から直流電圧が取り出される。この電圧は比較器1106で参照電圧Vref1と比較され、より高い場合は出力1106aにハイレベルを出力し、低い場合はロウレベルを出力する。この出力は例えば発電機出力の過電圧モニタとして利用され、この状態が起きた時、例えば発電機の出力を抑制制御したり、整流MOSの駆動回路のオンオフを制御したりする。また、比較器1107の出力1107aは発電機出力の低電圧モニタとして利用され、この状態が起きた時、発電機の出力を増大制御したり、整流MOSの駆動回路のオンオフを制御したりする。なお、分圧器の出力はリップル成分を含むため、必要に応じて抵抗1105と並列にキャパシタを設ける。
100…交流発電機、101,102,103,111,112,113…MOSFET、121,122,123…ロウサイド駆動回路、131,132,133…ハイサイド駆動回路、141,142,143…論理ゲート回路、150…保護回路、160,161,162…3相全波整流器駆動装置、201…ハイサイドステータ電圧取り込み部、202…ハイサイドバッテリ電圧取り込み部、203…比較回路、204,205,207,208…論理ゲート回路、206…バッファ回路、301…ロウレベルサイドステータ電圧取り込み部、302…ロウサイドバッテリ電圧取り込み部、401,402,408,501,502…電圧シフト手段、409,509,609,709…アナログマルチプレクサ、410,510,1101,1102,1103…ダイオード、411,412,511,512,611,711…定電流源、601,602,701,702…抵抗、603,1106,1107…比較器、612,613,614…NMOSFET、712,713,714…PMOSFET、900…コントローラ。