JP2023053563A - 電力供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電源リレーを備えない構成において、逆接続保護リレーのイニシャルチェックを適切に実施する電力供給装置を提供する。【解決手段】電力供給装置10の逆接続保護リレー52は、バッテリ15と入力部コンデンサ55との間の電源ラインLpに設けられ、バッテリ15側からインバータ(電力変換器)60側への電流を導通する還流ダイオードが並列接続されており、且つ、OFF時にインバータ60側からバッテリ15側への電流を遮断する。イニシャルチェック時に、昇圧回路20は、目標電圧を通常動作時の値よりも一時的に上昇させる「過昇圧処理」を実施する。プリチャージ回路30は、過昇圧処理による昇圧電圧を入力部コンデンサ55の高電位側電極に印加する。監視回路40は、逆接続保護リレー52のインバータ60側の電圧であるリレー後電圧Vryに応じて逆接続保護リレー52のON固着異常又はOFF固着異常を検出する。【選択図】図1
Description
本発明は、電力供給装置に関する。
従来、バッテリの直流電力をインバータ等の電力変換器で変換し、三相モータ等の負荷に供給する電力供給装置において、バッテリと電力変換器との間の電源ラインに逆接続保護リレーを備えた構成が知られている。
例えば特許文献1に開示された装置では、電源ラインのバッテリ側の電源リレー(第1FET)と、インバータ側の逆接続保護リレー(第2FET)とが直列接続されている。逆接続保護リレーとインバータとの間にはコンデンサの高電位側電極が接続されている。イニシャルチェック時に制御部は、コンデンサの高電位側電極に電圧をチャージした状態で、電源リレーと逆接続保護リレーとの間の箇所P1の電圧、及び、逆接続保護リレーとインバータとの間の箇所P2の電圧に基づき、電源リレー及び逆接続保護リレーの故障を検出する。
特許文献1のイニシャルチェックにおいて電源リレーが正常であることを前提とすると、逆接続保護リレーがON固着異常の場合、OFF操作時にリレー間(箇所P1)の電圧はコンデンサのチャージ電圧Vcとなる。また、逆接続保護リレーがOFF固着異常の場合、ON操作時にリレー間の電圧は0[V]となる。このように、リレー間の電圧が異常監視に用いられる。
ところで、部品低減のため電源リレーを廃止することが要求されている。電源リレーが設けられないことで、システム停止中もバッテリ電圧がインバータ入力部のコンデンサに印加され、充電電圧が安定する等のメリットがある。しかし、電源リレーが無いとリレー間の電圧を監視することができない。また、バッテリ電圧とコンデンサのチャージ電圧との差が小さい場合、検出誤差等により、正常時とON固着又はOFF固着異常時との判別を誤る可能性があり、逆接続保護リレーの異常検出が困難である。
本発明は上述の点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、電源リレーを備えない構成において、逆接続保護リレーのイニシャルチェックを適切に実施する電力供給装置を提供することにある。
本発明の電力供給装置は、電力変換器(60)と、入力部コンデンサ(55)と、昇圧回路(20)と、プリチャージ回路(30)と、逆接続保護リレー(52)と、を備える。電力変換器は、バッテリ(15)に接続される電源ライン(Lp)とグランドライン(Lg)との間に直列接続された一組以上の上下アームのスイッチング素子(61-66)を含み、バッテリの直流電力を変換して負荷(80)に供給する。
入力部コンデンサは、電力変換器のバッテリ側でバッテリに並列接続されている。昇圧回路は、バッテリから供給された入力電圧を目標電圧に昇圧する。プリチャージ回路は、昇圧回路が出力した昇圧電圧を入力部コンデンサの高電位側電極に印加してプリチャージする。
逆接続保護リレーは、バッテリと入力部コンデンサとの間の電源ラインに設けられ、バッテリ側から電力変換器側への電流を導通する還流ダイオードが並列接続されており、且つ、OFF時に電力変換器側からバッテリ側への電流を遮断する。また、この電力供給装置は、バッテリと逆接続保護リレーとの間の電源ラインに、OFF時にバッテリ側から電力変換器側への電流を遮断する電源リレーを備えていない。
この電力供給装置は、電力供給装置のイニシャルチェックにおいて前記逆接続保護リレーのON固着異常又はOFF固着異常を検出する監視回路(40)をさらに備える。
イニシャルチェック時に、昇圧回路は、目標電圧を通常動作時の値よりも一時的に上昇させる過昇圧処理を実施する。プリチャージ回路は、過昇圧処理による昇圧電圧(VS)を入力部コンデンサの高電位側電極に印加する。監視回路は、逆接続保護リレーの電力変換器側の電圧であるリレー後電圧(Vry)に応じて逆接続保護リレーのON固着異常又はOFF固着異常を検出する。
過昇圧処理では、例えば約12[V]のバッテリ電圧が22[V]程度に昇圧されて入力部コンデンサにプリチャージされる。逆接続保護リレーがON固着異常の場合、逆接続保護リレーのOFF操作時に印加された昇圧電圧が保持されず、リレー後電圧がバッテリ電圧相当となる。逆接続保護リレーがOFF固着異常の場合、逆接続保護リレーのON操作時にリレー後電圧が低下しない。本発明では過昇圧処理の目標電圧をバッテリ電圧に対して十分に高く設定することで、正常時と固着異常時との電圧を正しく判別可能となる。よって、逆接続保護リレーのイニシャルチェックを適切に実施することができる。
本発明の一実施形態による電力供給装置を図面に基づいて説明する。本実施形態の電力供給装置は、電動パワーステアリング装置において、バッテリの直流電力を変換して「負荷」としての操舵アシストモータに供給する。操舵アシストモータは三相ブラシレスモータで構成されている。
具体的には、電動パワーステアリング装置のECUが電力供給装置として機能する。ECUは、マイコンやプリドライバ等で構成され、図示しないCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ECUは、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
電動パワーステアリング装置のECUは、一般に車両のイグニッション信号がONされると起動(すなわち駆動開始)し、イグニッション信号がOFFされると駆動停止する。以下、イニシャルチェック時の動作時を通常動作時という。本実施形態において、図示しない制御部により行われる通常動作時のモータ制御構成は、一般的なモータ制御装置と同様である。本実施形態では、特にECU起動時におけるイニシャルチェックに着目する。
(一実施形態)
図1に第1実施形態の回路構成を示す。一系統の回路構成を例示するが、冗長二系統構成に適用されてもよい。電力供給装置10は、「電力変換器」としてのインバータ60により生成した三相交流電力をモータ80の三相巻線81、82、83に供給する。例えばY結線のモータ80の場合、三相巻線81、82、83は中性点84で接続されている。なお、三相巻線81、82、83はΔ結線されてもよい。
図1に第1実施形態の回路構成を示す。一系統の回路構成を例示するが、冗長二系統構成に適用されてもよい。電力供給装置10は、「電力変換器」としてのインバータ60により生成した三相交流電力をモータ80の三相巻線81、82、83に供給する。例えばY結線のモータ80の場合、三相巻線81、82、83は中性点84で接続されている。なお、三相巻線81、82、83はΔ結線されてもよい。
電力供給装置10は、インバータ60、入力部コンデンサ55、逆接続保護リレー52、昇圧回路20、プリチャージ回路30、監視回路40等を備える。インバータ60は、バッテリ15の正極と電源ラインLpを介して接続され、バッテリ15の負極とグランドラインLgを介して接続される。インバータ60は、電源ラインLpとグランドラインLgとの間に直列接続された、三組の上下アームのスイッチング素子61-66を含む。
詳しくは、U相、V相、W相の上アームのスイッチング素子61、62、63及び下アームのスイッチング素子64、65、66がブリッジ接続されている。各スイッチング素子61-66が制御部から指令されるゲート信号によりスイッチング動作することで、インバータ60は、バッテリ15の直流電力を変換してモータ80の三相巻線81、82、83に供給する。
本実施形態では、インバータ60のスイッチング素子61-66としてMOSFETが用いられる。スイッチング素子61-66は、低電位側から高電位側への電流を導通する還流ダイオードが、素子内部の寄生ダイオードとして構成されている。各相の上下アームのスイッチング素子の接続点であるアーム間接続点Nu、Nv、Nwは、モータ80の三相巻線81、82、83に接続されている。各相の電流経路にはモータリレーが設けられてもよい。
入力部コンデンサ55は、インバータ60のバッテリ15側でバッテリ15に並列接続されている。通常動作時、入力部コンデンサ55は、バッテリ15から供給される入力電圧を平滑化し、また、インバータ60のスイッチングノイズが外部に伝わることを抑制する。入力部コンデンサ55の高電位側電極は、プリチャージ回路30に接続されている。
バッテリ15と入力部コンデンサ55との間の電源ラインLpには、逆接続保護リレー52が設けられている。逆接続保護リレー52は、バッテリ15側からインバータ60側への電流を導通する還流ダイオードが並列接続されている。本実施形態では、逆接続保護リレー52を構成するMOSFETの寄生ダイオードがバッテリ15側からインバータ60側への電流を導通する。逆接続保護リレー52は、OFF時にインバータ60側からバッテリ側への電流を遮断する。寄生ダイオードによる電圧降下をVfと記す。
逆接続保護リレー52は、特許文献1(特許第5311233号公報)の図1に開示された第2FET32に相当する。ところで、特許文献1の図1において、バッテリと逆接続保護リレーとの間の電源ラインには、「電源リレー」である第1FET31が設けられている。この電源リレーは、寄生ダイオードの向きが逆接続保護リレーとは逆向きになるように接続されており、OFF時にバッテリ側からインバータ側への電流を遮断する。
それに対し、本実施形態の電力供給装置10は、二点鎖線で示すXの位置に電源リレーを備えていない。これにより本実施形態では電源リレーの部品を低減することができる。また、電力供給装置10が駆動停止するシステム停止中もバッテリ電圧が入力部コンデンサ55に印加され、充電電圧が安定する。一方、電源リレーを備えないことのデメリットについては後述する。
次に、昇圧回路20は、バッテリから供給された入力電圧を目標電圧に昇圧する。昇圧回路20は、リアクトル21、昇圧スイッチング素子22、ダイオード23及び昇圧コンデンサ24を含むチョッパ式の昇圧回路である。昇圧スイッチング素子22はNチャネルMOSFETで構成されている。
リアクトル21は、一端がダイオード19を介してバッテリ15の正極に接続されており、バッテリ電圧(例えば約12[V])からダイオード19の電圧降下を差し引いた電圧が入力電圧として印加される。昇圧スイッチング素子22は、リアクトル21の他端とグランドとの間に接続されている。ダイオード23は、アノードがリアクトル21と昇圧スイッチング素子22との接続点Nに接続されている。昇圧コンデンサ24は、高電位側電極がダイオード23のカソードに接続され、昇圧された電圧が充電される。
昇圧回路20は、昇圧スイッチング素子22のPWM動作により、リアクトル21が誘導エネルギーの蓄積と放出とを繰り返すことで入力電圧を昇圧して出力する。昇圧スイッチング素子22は、出力された昇圧電圧VSが目標電圧に一致するようにフィードバック制御される。
プリチャージ回路30は、昇圧回路20が出力した昇圧電圧VSを入力部コンデンサ55の高電位側電極に印加してプリチャージする。なお、昇圧回路20が出力した昇圧電圧VSは、プリチャージ回路30の他に、チャージポンプを経由して、逆接続保護リレー52、インバータ60の上アーム素子61-63、モータリレー等のドライバ回路に出力される。また昇圧電圧VSは、チャージポンプを経由せずに、インバータ60の下アーム素子64-66のドライバ回路に出力される。各ドライバ回路は、昇圧電圧VSを用いて各スイッチにゲート信号を出力する。
監視回路40は、電力供給装置10のイニシャルチェックにおいて逆接続保護リレー52のON固着異常又はOFF固着異常を検出する。ここで、逆接続保護リレー52のバッテリ15側の電圧を「バッテリ電圧Vb」とし、逆接続保護リレー52のインバータ60側の電圧を「リレー後電圧Vry」とする。イニシャルチェック時、プリチャージ回路30から入力部コンデンサ55の高電位側電極に印加された電圧がリレー後電圧Vryとなる。
図2に監視回路40の詳細な構成を示す。図2では図1に対し、監視回路40及び逆接続保護リレー52以外の部分を簡易的なブロックで示す。また、図2の監視回路40の構成は、後述する[検出方法2]に対応するものであり、バッテリ電圧Vbとリレー後電圧Vryとの両方を監視する。一方、[検出方法1]を採用する場合、バッテリ電圧Vbを監視せず、リレー後電圧Vryのみを監視してもよい。
監視回路40は、バッテリ電圧Vbを監視する第1監視部41、リレー後電圧Vryを監視する第2監視部42、及び、異常判定部44を含む。第1監視部41は、逆接続保護リレー52のバッテリ15側とグランドとの間に、監視スイッチMS1及び上下の分圧抵抗R1u、R1dが直列接続されている。第2監視部42は、逆接続保護リレー52のインバータ60側とグランドとの間に、監視スイッチMS2及び上下の分圧抵抗R2u、R2dが直列接続されている。監視スイッチMS1、MS2は例えばMOSFETで構成されている。電圧検出時以外は監視スイッチMS1、MS2がOFFすることで、分圧抵抗R1u、R1d、R2u、R2dを介して電流がグランドに流れることが防止される。
第1監視部41の監視スイッチMS1がONされると、分圧抵抗R1u、R1dの接続点の第1モニタ電圧Vm1が異常判定部44に取得される。第2監視部42の監視スイッチMS2がONされると、分圧抵抗R2u、R2dの接続点の第2モニタ電圧Vm2が異常判定部44に取得される。下式の通り、第1モニタ電圧Vm1及び第2モニタ電圧Vm2は、それぞれバッテリ電圧Vb及びリレー後電圧Vryを反映している。
Vm1=Vb ×R1d/(R1u+R1d)
Vm2=Vry×R2d/(R2u+R2d)
Vm2=Vry×R2d/(R2u+R2d)
異常判定部44は、第1モニタ電圧Vm1及び第2モニタ電圧Vm2を換算して得られるバッテリ電圧Vb及びリレー後電圧Vryに基づき、後述する検出方法で逆接続保護リレー52の固着異常を検出する。[検出方法2]を用いる場合、監視回路40がバッテリ電圧Vb及びリレー後電圧Vryを同じ構成で監視することで、ばらつきを抑制可能である。また、監視回路40を構成する少なくとも一部の素子は、ASIC(すなわち、カスタマイズされたIC)の内部に設けられてもよい。これにより、基板実装面積や実装工数の低減が図られる。
ところで、特許文献1のイニシャルチェックでは、電源リレー(第1FET31)と逆接続保護リレー(第2FET32)との間の箇所P1の電圧に基づき電源リレー及び逆接続保護リレーの故障を検出する。しかし、本実施形態では電源リレーが無いため、リレー間の電圧を監視することができない。また、バッテリ電圧Vbとリレー後電圧Vryとの差が小さい場合、検出誤差等により、正常時とON固着又はOFF固着異常時との判別を誤る可能性があり、逆接続保護リレー52の異常検出が困難である。
そこで本実施形態では、イニシャルチェック時に次のような処理が実施される。昇圧回路40は、目標電圧を通常動作時の値よりも一時的に上昇させる「過昇圧処理」を実施する。例えば約12[V]の入力電圧が、通常動作時には約16[V]に昇圧されるのに対し、過昇圧処理では約22[V]に昇圧される。
プリチャージ回路30は、過昇圧処理による昇圧電圧VSを入力部コンデンサ55の高電位側電極に印加する。そのため、過昇圧処理による昇圧電圧VSが逆接続保護リレー52のインバータ60側に印加される。この状態で監視回路40は、リレー後電圧Vryに応じて逆接続保護リレー52のON固着異常又はOFF固着異常を検出する。
続いて図3~図5を参照し、イニシャルチェックにおける逆接続保護リレー52の固着異常検出方法について詳しく説明する。各図には上段から順に、イグニッションスイッチ(図中「IG」)のON/OFF、昇圧電圧VS及びリレー後電圧Vry、リレー前後電位差ΔV、プリチャージのON/OFF、逆接続保護リレー52のON/OFFを示す。リレー前後電位差ΔVは、リレー後電圧Vryからバッテリ電圧Vbを差し引いた電位差(ΔV=Vry-Vb)と定義され、逆接続保護リレー52の両端の電位差に相当する。
図3~図5においてリレー後電圧Vry及びリレー前後電位差ΔV以外は共通である。図3には正常時、図4にはON固着異常時、図5にはOFF固着異常時におけるリレー後電圧Vry及びリレー前後電位差ΔVの挙動を示す。電力供給装置10の起動前、イグニッションスイッチはOFF、プリチャージ回路30によるプリチャージはON、逆接続保護リレー52はOFFである。
まず、各図に共通して二点鎖線で示される昇圧電圧VSについて説明する。ここで、バッテリ電圧を12[V]、通常動作時の昇圧電圧VSを16[V]、過昇圧処理による昇圧電圧VSを22[V]とする。時刻toにイグニッションスイッチがONされると、昇圧電圧VSは12[V]から16[V]に上昇する。その後、時刻tsから時刻teの間、昇圧回路20が過昇圧処理を実施し、昇圧電圧VSは一時的に22[V]に上昇する。時刻teに過昇圧処理が終了すると、昇圧電圧VSは通常動作時の16[V]に戻る。
時刻teに昇圧回路20が過昇圧処理を終了すると同時にプリチャージ回路30による入力部コンデンサ55へのプリチャージがOFFされる。また、時刻teに逆接続保護リレー52がOFF状態からON操作される。時刻tsから時刻teまでの期間がON固着検出タイミングとなる。その後、時刻teから時刻tcまでの期間がOFF固着検出タイミングとなる。
図3に示す正常時、時刻ts以前は逆接続保護リレー52がOFFしており、バッテリ15側からインバータ60への電流は寄生ダイオードのみを通って流れる。リレー後電圧Vryは、バッテリ電圧Vbから寄生ダイオードの電圧降下Vfを差し引いた値(Vb-Vf)となる。このとき、リレー前後電位差ΔVは、0[V]から寄生ダイオードの電圧降下Vfを差し引いた値(-Vf)となる。
時刻ts以後、正常の場合、リレー後電圧Vryは昇圧電圧VSの上昇に対して遅れて追従し、最終的に最大電圧(≒VS-Vf)まで昇圧する。それに伴って、リレー前後電位差ΔVは、0[V]を超えて正の最大値まで拡大する。しかし、図4に示すように逆接続保護リレー52がON固着異常の場合、リレー後電圧Vryは保持されず、常にバッテリ電圧Vbの相当値となる。また、リレー前後電位差ΔVは常に0[V]となる。
時刻teにプリチャージがOFFされると、正常の場合、入力部コンデンサ55の放電によりリレー後電圧Vryは低下する。また、逆接続保護リレー52がONされるため、リレー後電圧Vryは、バッテリ電圧Vbに向かって次第に収束する。それに伴って、リレー前後電位差ΔVは、0[V]に向かって縮小する。しかし、図5に示すように逆接続保護リレー52がOFF固着異常の場合、リレー後電圧Vryは、過昇圧処理による最大電圧から低下しない。また、リレー前後電位差ΔVも最大値から低下しない。
以上の挙動に基づき、監視回路40は、リレー後電圧Vryに基づく[検出方法1]、及び、リレー前後電位差ΔVに基づく[検出方法2]の二通りの固着異常検出方法を実施可能である。
[検出方法1]
検出方法1では、通常動作時の昇圧電圧VSである16[V]より少し高い値(例えば約18[V])に電圧閾値Vthが設定される。そして、逆接続保護リレー52が正常の場合に、時刻ts後、リレー後電圧Vryが電圧閾値Vthまで昇圧する時間に基づき、所定の昇圧時間TAが設定される。また、時刻te後、リレー後電圧Vryが電圧閾値Vthまで降圧する時間に基づき、所定の降圧時間TDが設定される。昇圧時間TA及び降圧時間TDの設定にあたっては検出誤差やばらつきが考慮される。
検出方法1では、通常動作時の昇圧電圧VSである16[V]より少し高い値(例えば約18[V])に電圧閾値Vthが設定される。そして、逆接続保護リレー52が正常の場合に、時刻ts後、リレー後電圧Vryが電圧閾値Vthまで昇圧する時間に基づき、所定の昇圧時間TAが設定される。また、時刻te後、リレー後電圧Vryが電圧閾値Vthまで降圧する時間に基づき、所定の降圧時間TDが設定される。昇圧時間TA及び降圧時間TDの設定にあたっては検出誤差やばらつきが考慮される。
ON固着検出タイミングにおいて、図3に示すように、時刻tsから昇圧時間TAの経過後のリレー後電圧Vryが電圧閾値Vth以上である場合、正常と判断される。図4に示すように、時刻tsから昇圧時間TAの経過後のリレー後電圧Vryが電圧閾値Vthより小さい場合、ON固着異常と判断される。
OFF固着検出タイミングにおいて、図3に示すように、時刻teから降圧時間TDの経過後のリレー後電圧Vryが電圧閾値Vth以下である場合、正常と判断される。図5に示すように、時刻teから降圧時間TDの経過後のリレー後電圧Vryが電圧閾値Vthより大きい場合、OFF固着異常と判断される。
このように検出方法1では、監視回路40は、逆接続保護リレー52をOFF操作した状態で、過昇圧処理による昇圧電圧VSの印加が開始された時刻tsから所定の昇圧時間TAの経過後のリレー後電圧Vryに基づき逆接続保護リレー52のON固着異常を検出する。また監視回路40は、その後、逆接続保護リレー52をON操作し、過昇圧処理による昇圧電圧VSの印加が終了した時刻teから所定の降圧時間TDの経過後のリレー後電圧Vryに基づき逆接続保護リレー52のOFF固着異常を検出する。
[検出方法2]
検出方法2では、逆接続保護リレー52の両端が等電位であることを示す0[V]より少し大きい値に電位差閾値ΔVthが設定される。そして、逆接続保護リレー52が正常の場合に、時刻ts後、リレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVthまで拡大する時間に基づき、所定の電位差拡大時間Taaが設定される。また、時刻te後、リレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVthまで縮小する時間に基づき、所定の電位差縮小時間Tddが設定される。電位差拡大時間Taa及び電位差縮小時間Tddの設定にあたっては検出誤差やばらつきが考慮される。
検出方法2では、逆接続保護リレー52の両端が等電位であることを示す0[V]より少し大きい値に電位差閾値ΔVthが設定される。そして、逆接続保護リレー52が正常の場合に、時刻ts後、リレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVthまで拡大する時間に基づき、所定の電位差拡大時間Taaが設定される。また、時刻te後、リレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVthまで縮小する時間に基づき、所定の電位差縮小時間Tddが設定される。電位差拡大時間Taa及び電位差縮小時間Tddの設定にあたっては検出誤差やばらつきが考慮される。
ON固着検出タイミングにおいて、図3に示すように、時刻tsから電位差拡大時間Taaの経過後のリレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVth以上である場合、正常と判断される。図4に示すように、時刻tsから電位差拡大時間Taaの経過後のリレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVthより小さい場合、ON固着異常と判断される。
OFF固着検出タイミングにおいて、図3に示すように、時刻teから電位差縮小時間Tddの経過後のリレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVth以下である場合、正常と判断される。図5に示すように、時刻teから電位差縮小時間Tddの経過後のリレー前後電位差ΔVが電位差閾値ΔVthより大きい場合、OFF固着異常と判断される。
このように検出方法2では、監視回路40は、逆接続保護リレー52をOFF操作した状態で、過昇圧処理による昇圧電圧VSの印加が開始された時刻tsから所定の電位差拡大時間Taaの経過後のリレー前後電位差ΔVに基づき逆接続保護リレー52のON固着異常を検出する。また監視回路40は、その後、逆接続保護リレー52をON操作し、過昇圧処理による昇圧電圧VSの印加が終了した時刻teから所定の電位差縮小時間Tddの経過後のリレー前後電位差ΔVに基づき逆接続保護リレー52のOFF固着異常を検出する。
検出方法1では、ON固着異常の検出において、リレー後電圧Vryが電圧閾値Vthまで上昇するのに時間がかかる。特にバッテリ電圧Vbが低い場合には、充電に時間がかかり、異常検出が遅れる。それに対し検出方法2では、過昇圧処理による昇圧電圧VSの印加が開始されると、バッテリ電圧Vbに関係なく、正常時にはリレー前後電位差ΔVがすぐに電位差閾値ΔVthに到達する。つまり、検出方法2の電位差拡大時間Taaは、検出方法1の昇圧時間TAよりも短く設定可能であり、ON固着異常を早く検出できるというメリットがある。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、昇圧回路20による過昇圧処理の目標電圧をバッテリ電圧Vbに対して十分に高く設定することで、正常時と固着異常時との電圧を正しく判別可能となる。よって、逆接続保護リレー52のイニシャルチェックを適切に実施することができる。
以上のように本実施形態では、昇圧回路20による過昇圧処理の目標電圧をバッテリ電圧Vbに対して十分に高く設定することで、正常時と固着異常時との電圧を正しく判別可能となる。よって、逆接続保護リレー52のイニシャルチェックを適切に実施することができる。
(その他の実施形態)
(a)電力供給装置10の負荷は三相モータ80に限らず、単相モータや三相以外の多相モータであってもよく、或いは、モータ以外のアクチュエータやその他の負荷であってもよい。インバータの上下アームのスイッチング素子の数は三組に限らず、一組以上であればよい。「電力変換器」として、多相インバータに代えてHブリッジ回路等が用いられてもよい。
(a)電力供給装置10の負荷は三相モータ80に限らず、単相モータや三相以外の多相モータであってもよく、或いは、モータ以外のアクチュエータやその他の負荷であってもよい。インバータの上下アームのスイッチング素子の数は三組に限らず、一組以上であればよい。「電力変換器」として、多相インバータに代えてHブリッジ回路等が用いられてもよい。
(b)逆接続保護リレー52やその他のスイッチング素子はMOSFETに限らず、他種類のトランジスタ等で構成されてもよい。
(c)上記実施形態の説明中にも記載した通り、監視回路40を構成する少なくとも一部の素子は、ASICの内部に設けられてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
15・・・バッテリ、
20・・・昇圧回路、 30・・・プリチャージ回路、 40・・・監視回路、
52・・・逆接続保護リレー、
55・・・入力部コンデンサ、
60・・・インバータ(電力変換器)、 61-66・・・スイッチング素子、
80・・・モータ(負荷)、
Lp・・・電源ライン、 Lg・・・グランドライン。
20・・・昇圧回路、 30・・・プリチャージ回路、 40・・・監視回路、
52・・・逆接続保護リレー、
55・・・入力部コンデンサ、
60・・・インバータ(電力変換器)、 61-66・・・スイッチング素子、
80・・・モータ(負荷)、
Lp・・・電源ライン、 Lg・・・グランドライン。
Claims (3)
- バッテリ(15)に接続される電源ライン(Lp)とグランドライン(Lg)との間に直列接続された一組以上の上下アームのスイッチング素子(61-66)を含み、前記バッテリの直流電力を変換して負荷(80)に供給する電力変換器(60)と、
前記電力変換器の前記バッテリ側で前記バッテリに並列接続されている入力部コンデンサ(55)と、
前記バッテリから供給された入力電圧を目標電圧に昇圧する昇圧回路(20)と、
前記昇圧回路が出力した昇圧電圧を前記入力部コンデンサの高電位側電極に印加してプリチャージするプリチャージ回路(30)と、
前記バッテリと前記入力部コンデンサとの間の前記電源ラインに設けられ、前記バッテリ側から前記電力変換器側への電流を導通するダイオードが並列接続されており、且つ、OFF時に前記電力変換器側から前記バッテリ側への電流を遮断する逆接続保護リレー(52)と、
を備え、
前記バッテリと前記逆接続保護リレーとの間の前記電源ラインに、OFF時に前記バッテリ側から前記電力変換器側への電流を遮断する電源リレーを備えていない電力供給装置であって、
当該電力供給装置のイニシャルチェックにおいて前記逆接続保護リレーのON固着異常又はOFF固着異常を検出する監視回路(40)をさらに備え、
イニシャルチェック時に、前記昇圧回路は、前記目標電圧を通常動作時の値よりも一時的に上昇させる過昇圧処理を実施し、前記プリチャージ回路は、前記過昇圧処理による昇圧電圧(VS)を前記入力部コンデンサの高電位側電極に印加し、前記監視回路は、前記逆接続保護リレーの前記電力変換器側の電圧であるリレー後電圧(Vry)に応じて前記逆接続保護リレーのON固着異常又はOFF固着異常を検出する電力供給装置。 - 前記監視回路は、
前記逆接続保護リレーをOFF操作した状態で、前記過昇圧処理による昇圧電圧の印加が開始された時(ts)から所定の昇圧時間(TA)の経過後の前記リレー後電圧に基づき前記逆接続保護リレーのON固着異常を検出し、
その後、前記逆接続保護リレーをON操作し、前記過昇圧処理による昇圧電圧の印加が終了した時(te)から所定の降圧時間(TD)の経過後の前記リレー後電圧に基づき前記逆接続保護リレーのOFF固着異常を検出する請求項1に記載の電力供給装置。 - 前記リレー後電圧から前記バッテリの電圧(Vb)を差し引いた電位差をリレー前後電位差(ΔV)と定義すると、
前記監視回路は、
前記逆接続保護リレーをOFF操作した状態で、前記過昇圧処理による昇圧電圧の印加が開始された時(ts)から所定の電位差拡大時間(Taa)の経過後の前記リレー前後電位差に基づき前記逆接続保護リレーのON固着異常を検出し、
その後、前記逆接続保護リレーをON操作し、前記過昇圧処理による昇圧電圧の印加が終了した時(te)から所定の電位差縮小時間(Tdd)の経過後の前記リレー前後電位差に基づき前記逆接続保護リレーのOFF固着異常を検出する請求項1に記載の電力供給装置。
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