JP3572878B2 - 車両用回路保護装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用回路保護装置にかかり、特に、車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させるときの電力供給を監視しながら過熱検出する車両用回路保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両内の機器について電子化が進んでおり、複数の集積回路(以下、ICという。)が搭載されることも稀ではなくなってきている。ICは、正常に動作する温度範囲が設定されていることは周知のことであるが、車両内には温度変化が大きい使用環境の厳しい部位もあり、ICを搭載した回路基板の設置位置によっては、回路動作が不安定になったり素子破壊を引き起こしたりすることがある。このため、過熱検出を行う必要がある。
【0003】
過熱検出とは、ICにおいて異常過熱による素子破壊を防止するため、負荷駆動させるための出力回路やICチップの温度(以下、ジャンクション温度という)が一定温度を超えたことを検出することをいい、ジャンクション温度が一定温度を超えた場合には例えば出力回路の出力を強制的にオフさせる過熱検出回路が付随されることがある。
【0004】
上記過熱検出を行って、出力回路を強制的にオフさせる装置の一例を図4及び図5を参照して説明する。まず、入力回路100は出力回路104から所定信号を出力させるための入力値を入力するためのものであり、その入力値は制御回路102へ入力される。制御回路102は、入力値により出力回路104を制御して、出力回路104から所定信号を出力させる。この制御回路102には、正常時すなわち予め定めた温度以下のとき制御回路102に何ら影響を与えない過熱検出回路106が接続されており、異常過熱時すなわち予め定めた温度を超えた温度のときに過熱検出回路が信号を送信する。これにより、制御回路102は例えば出力回路を強制的にオフさせる。
【0005】
過熱検出回路106では、基準電圧Vrを抵抗114、116にて分圧し、その分圧した電圧V1をコンパレータ108の閾値としてコンパレータ108の基準側に入力する。コンパレータの検出側には基準電圧Vrから定電流を発生する電流発生器112を介して温度検出のためのダイオード110のアノード側に接続され、ダイオード110のカソード側は接地される。すなわち電流発生器112からの定電流により発生する電圧V2をコンパレータ108の検出側に入力する。これによって、接合点Sの電圧により換算した温度を基準とした接合点Jの電圧により換算した温度であるジャンクション温度を検出する。
【0006】
ジャンクション温度が予め定めた温度T2まで上昇すると、コンパレータ108はローレベル信号を制御回路102へ出力し、制御回路102が出力を強制オフする。この出力オフにより電圧V2が上昇し、ジャンクション温度に換算してT1まで低下すると、コンパレータ108はハイレベル信号を制御回路102へ出力し、出力を復帰し(強制オフを解除し)、正常動作に戻す。
【0007】
このような、過熱検出を行うものとして、特定部分が所定温度以上になったときに、電流を供給する通電路を遮断する車両用補助電源装置が提案されている(特開平5−208645号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両内には温度変化が大きい使用環境の厳しい部位がある。例えば−40〜85°Cの動作保証温度であるような使用環境が厳しいとき、T2(出力を強制オフさせるジャンクション温度)の設定が困難である。
【0009】
すなわち温度T2を低めに設定すると、素子へのダメージは低減されるが、正常動作時に過熱検出が働いて出力オフする虞がある。一方、温度T2を高めに設定すると、正常動作時に過熱検出が誤動作する虞はなくなるが、素子へ与えるダメージが増加する。特に、負荷短絡により過電流になると、短時間に急激に電流がICに印加されるため、素子破壊を起こす虞がある。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して、厳しい使用温度環境下であっても、容易に過熱検出できる車両用回路保護装置を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の車両用回路保護装置は、車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させる電力供給をするための出力手段と、前記出力手段の電力供給の量を制御すると共に入力される変更信号により前記出力手段の電力供給が減少するように制御する制御手段と、温度を検出すると共に、検出温度が異常過熱により素子破壊を引き起こす直前温度として予め定めた温度しきい値を超えたときに前記制御手段が制御する電力供給量を減少させるための変更信号を出力する指示手段と、前記出力手段の電力供給の量が前記負荷駆動装置の過電流状態のときの量として予め定めた所定値を超えたときに前記温度しきい値を該温度しきい値より低い温度しきい値に設定する設定手段と、を備えている。
【0012】
前記設定手段は、前記予め定めた温度しきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備え、前記出力手段の電力供給の量が前記所定値以下のときに前記予め定めた温度しきい値を維持するように設定すると共に、前記出力手段の電力供給の量が前記所定値を超えたときに前記温度しきい値より低い温度しきい値になるように前記スイッチ手段を切り換えることができる。
【0013】
また、前記設定手段は、複数の抵抗の組み合わせによる抵抗比により前記予め定めた温度しきい値及び該温度しきい値と異なる値の温度しきい値を定めることができる。
【0014】
本発明では、車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させる電力供給をするための出力手段の電力供給の量を制御手段が制御する。これと共に制御手段は、入力される変更信号により出力手段の電力供給が減少するように制御する。指示手段は、温度を検出すると共に、検出温度が予め定めた温度しきい値を超えたときに前記制御手段が制御する電力供給量を減少させるための変更信号を出力する。この変更信号には、制御を停止させ電力供給量を減少させるための停止信号がある。予め定めた温度しきい値には、異常過熱により素子破壊を引き起こす直前温度が設定される。これによって、異常過熱による素子破壊を防止することができる。設定手段は、出力手段の電力供給の量が前記負荷駆動装置の過電流状態のときの量として予め定めた所定値を超えたときに前記温度しきい値を異なる値の温度しきい値に設定する。この出力手段の電力供給の量の所定値には、負荷短絡による過電流があり、設定されるべき異なる値の温度しきい値には、その過電流で換算した値、また、該温度しきい値より低い温度しきい値、がある。これによって、異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる。
【0015】
なお、前記設定手段において異なる値のしきい値に設定するには、予め定めた温度しきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備えて、出力手段の電力供給の量が前記所定値以下のときに前記予め定めた温度しきい値を維持するように設定すると共に、出力手段の電力供給の量が前記所定値を超えたときに前記温度しきい値より低い温度しきい値になるように前記スイッチ手段を切り換えることによって、簡単な構成で異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる。
【0016】
また、前記温度しきい値は、複数の抵抗の組み合わせによる抵抗比により前記予め定めた温度しきい値及び該温度しきい値と異なる値の温度しきい値を定めることができる。すなわち、複数の抵抗を組み合わせて直列に接続することによって、全体の電圧レベルに対して接続した抵抗間から出力をとるようにすれば、抵抗比に応じた分圧を生成することができ、容易に異なる複数の温度しきい値を生成することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は過熱検出が誤動作することなく、負荷短絡等の過電流による素子破壊を防止する車両用回路保護装置に本発明を適用したものである。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の車両用回路保護装置は、入力回路10、制御手段としての制御回路12、出力手段としての出力回路14、及び過熱検出回路30を備えている。入力回路10は制御回路12を介して出力回路14に接続されており、制御回路12の制御側12Bには過熱検出回路30が接続されている。なお、過熱検出回路30は、本発明の指示手段及び設定手段を構成する。
【0019】
出力回路14は、パワーMOS FET(以下、FETという)20を備え、FET20のローサイド出力とした回路である。FET20のドレイン側は、端子16を介して負荷装置18に接続されている。この負荷装置18にはファンやランプ等の電装品があり、負荷装置18は電源電圧Vccに接続されている。FET20のソース側は抵抗22を介して接地されている。また、FET20のゲートは制御回路12に接続されている。
【0020】
入力回路10は出力回路14から所定信号を出力させるための入力値を入力するためのものであり、制御回路12に接続されている。すなわち、入力回路10は端子16によって接続された負荷装置18を駆動するための入力値に応じた電気信号を出力するものであり、その入力値は制御回路12へ入力される。制御回路12は、入力値により出力回路14を制御して、出力回路14から所定信号を出力させたり図に示すように負荷装置18を駆動させたりするためのものである。
【0021】
過熱検出回路30は、コンパレータ32、34を備えている。コンパレータ32は、少なくとも検出温度がしきい値を超えたときにハイレベル信号を出力するためのものである。温度検出には、ダイオード38が用いられ、ダイオード38のアノード側は定電流回路36を介して基準電圧Vref を生成する基準電源48に接続されている。一方、ダイオード38のカソード側は接地されている。この定電流回路36とダイオード38のアノード側との間の接合点P1にはコンパレータ32のマイナス側端子32Mが接続されている。なお、この温度検出はツェナーダイオード等の素子を用いて温度を電圧に変換して検出してもよい。これによって、定電流回路36からの定電流Iにより発生するダイオード38のアノード側の電圧Vがコンパレータ32の比較側(マイナス側端子32M)に入力される。
【0022】
上記コンパレータ32、ダイオード38、定電流回路36、基準電源48は本発明の指示手段を構成する。
【0023】
過熱検出回路30では、コンパレータ32に基準電圧を入力するために、基準電源48、抵抗40、42、44が直列に接続され、抵抗44の他端は接地されている。これら抵抗40、42、44を直列に接続することによって、各抵抗の間で基準電圧Vref からの分圧出力を可能としている。抵抗42、44の接合点P2に、コンパレータ32のプラス側端子32Pが接続されている。これによって、基準電源48の基準電圧Vref による抵抗40、42、44の組み合わせ、すなわち(抵抗40の抵抗値+抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による分圧、または(抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による分圧(詳細は後述)がコンパレータ32の基準側(プラス側端子32P)に入力される。
【0024】
コンパレータ32の出力端32Yは、制御回路12の制御端12Bに接続されている。コンパレータ32は、基準側の電圧を比較側の電圧が超えるとローレベル信号を出力し、比較側の電圧が基準側の電圧以内であるとハイレベル信号を出力する。
【0025】
抵抗40、42の間の接合点P3は、スイッチ46を介して基準電源48に接続されている。このスイッチ46は制御端46Gを備えており、コンパレータ34の出力端Yに接続されている。スイッチ46は制御端46Gにハイレベル信号が入力されると、導通状態になり抵抗40、42の間が基準電源48に接続されかつ、ローレベル信号が入力されると、非導通状態になり抵抗40、42の間が基準電源48から遮断される。
【0026】
コンパレータ34は、出力回路14の出力電流を監視するためのものである。コンパレータ34の基準側はマイナス端子34Mとされ、抵抗50、52の間の接合点P4に接続されている。抵抗50、52は直列に接続され、一方が基準電源48に接続されると共に、他方が接地される。これによって、基準電源48の基準電圧Vref による抵抗50、52の抵抗比による分圧がコンパレータ34の基準側(マイナス側端子34M)に入力される。
【0027】
コンパレータ34の比較側は、プラス側端子34Pとされ、出力回路14のFET20と抵抗22との間の接合点P5に接続されている。これによって、出力回路14からの電流により発生する電圧がコンパレータ34の比較側(プラス側端子34P)に入力される。
【0028】
コンパレータ34は、基準側の電圧を比較側の電圧が超えるとハイレベル信号を出力し、比較側の電圧が基準側の電圧以内であるとローレベル信号を出力する。
【0029】
上記コンパレータ34、抵抗50、52、スイッチ手段としてのスイッチ46、抵抗40、42、44、及び基準電源48は本発明の指示手段を構成する。
【0030】
次に、本実施の形態の車両用回路保護装置の作動を説明する。
まず、入力回路10は出力回路14から所定信号を出力させるための入力値を制御回路12へ入力させる。通常作動時には、制御回路12は、入力値により出力回路14を制御して、負荷装置18を駆動させる。すなわち、FET20をドライブさせることにより、電源電圧Vccが負荷装置18に供給され、負荷装置18が駆動される。このとき、電源電圧Vccからの電流は、負荷装置18、端子16、FET20、及び抵抗22を介して接地方向に流れ、接合点P5における電圧Vdがコンパレータ34の比較側(プラス側端子34P)に入力される。一方、コンパレータ34の基準側(マイナス側端子34M)には抵抗50、52の抵抗比による分圧である電圧Vcが入力されており、電圧Vcと電圧Vdとが比較される。
【0031】
ここで、コンパレータ34の比較において基準とする電圧Vcは、抵抗50、52の抵抗比による分圧で定まるが、この抵抗比は負荷装置18を通常作動させたときに(非過電流状態のときに)接合点P5における電圧Vdが低く判別されるように予め設定されている。すなわち、負荷装置18が通常作動されるときにはVc≧Vdとなる。
【0032】
従って、非過電流状態の場合には、Vc≧Vdであり、コンパレータ34の出力はローレベル信号となる。コンパレータ34がローレベル信号を出力するときにはスイッチ46が非導通であり、接合点P3に基準電源48が接続されない。これによって、接合点P2の電圧は、抵抗40、42、44の組み合わせで決定される。すなわち、(抵抗40の抵抗値+抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による基準電圧Vref の分圧による電圧Vbとなる。この場合の電圧Vbは、図2に示すように、ジャンクション温度にして温度T2に相当する電圧が設定されたことになる。
【0033】
コンパレータ32の比較側(マイナス側端子32M)には、接合点P1における電圧Vaが入力されている。この電圧Vaは、基準電源48の基準電圧Vref により生じる定電流回路36の定電流Iがダイオード38を介して接地方向へ流れたときの電圧Vaで定められる。ダイオード38に発生する電圧は、温度により変動するので、電圧Vaは温度に対応する電圧の値となる。従って、コンパレータ32では、電圧Vaと電圧Vbとを比較することによって、現在温度と基準温度を比較することに相当する。すなわち、ダイオード38による電圧は負極性の温度特性を有するため、現在温度が基準温度以下のときはVa≧Vbになる。
【0034】
従って、Va≧Vbのときは、現在温度が基準温度以内であるので、通常作動とし、コンパレータ32はローレベル信号を出力する。一方、異常過熱が生じると、(ダイオード38が負極性の温度特性を有するので)ジャンクション温度が上昇して電圧Vaが低下する。そして、Va<Vbになると、現在温度が基準温度を超えたことに相当するので、コンパレータ32はハイレベル信号を出力する。制御回路12は、コンパレータ32からのハイレベル信号によって出力回路20を強制的にオフさせる。すなわち、FET20の作動を停止させる。この出力回路14の強制的なオフ作動によりジャンクション温度が低下する。そして、現在温度が基準温度T1まで下降すると、コンパレータ32がローレベル信号の出力により出力回路14を復帰させ、すなわち出力回路20の強制的なオフ作動を解除し、正常動作に戻る(図2参照)。
【0035】
次に、負荷装置18が短絡すること等によって過電流状態になる場合について説明する。このような過電流状態になると、短時間に急激に電流が印加されるため、素子破壊を起こす虞がある。
【0036】
過電流状態の場合には、接合点P5を流れる電流は増加し、Vc<Vdであり、コンパレータ34の出力はハイレベル信号となる。コンパレータ34がハイレベル信号を出力するときにはスイッチ46が導通され、接合点P3に基準電源48が接続される。これによって、接合点P2の電圧は、抵抗42、44の組み合わせで決定される。すなわち、(抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による基準電圧Vref の分圧による電圧Vb’となる。この場合の電圧Vb’は、図2に示すように、ジャンクション温度にして温度T3に相当する電圧が設定されたことになる。
【0037】
コンパレータ32の比較側(マイナス側端子32M)には、上記と同様に接合点P1における電圧Vaが入力されている。ダイオード38に発生する電圧は、温度により変動し、コンパレータ32では、電圧Vaと電圧Vb’とを比較することによって、現在温度と非過電流状態の基準温度より低く定められた基準温度を比較することに相当する。すなわち、現在温度が基準温度以下のときはVa≧Vb’になる。
【0038】
従って、Va≧Vb’のときは、現在温度が基準温度以内であるので、通常作動とし、コンパレータ32はローレベル信号を出力する。一方、異常過熱が生じると、(ダイオード38が負極性の温度特性を有するので)ジャンクション温度が上昇して電圧Vaが低下する。そして、Va<Vb’になると、現在温度が基準温度を超えたことに相当するので、コンパレータ32はハイレベル信号を出力する。制御回路12は、コンパレータ32からのハイレベル信号によって出力回路20を強制的にオフさせる。すなわち、FET20の作動を停止させる。この出力回路14の強制的なオフ作動によりジャンクション温度が低下する。そして、現在温度が基準温度T1まで下降すると、コンパレータ32がローレベル信号の出力により出力回路14を復帰させ、すなわち出力回路20の強制的なオフ作動を解除し、正常動作に戻る(図2参照)。
【0039】
このように、本実施の形態では、定めたしきい値を超えた温度に相当する電圧になったことを検出する過熱検出を行うときに、出力回路14の出力電流を監視し、その状態(過電流か否か)に応じて過熱検出のときのしきい値を切り換えることができる。すなわち、出力回路14の出力電流を監視しながら、非過電流状態のときは通常のしきい値(電圧Vb)で過熱検出を行うと共に、過電流状態のときは通常のしきい値より低いしきい値(電圧Vb’)で過熱検出を行う。このため、出力回路14をオフさせるための温度を、通常の異常過熱による対処を必要とすべき温度T2、及び負荷装置18が短絡すること等によって過電流状態により早期対処を必要とすべき温度T3のそれぞれについて個別に設定することができる。これによって、温度T2は、高めに設定することができるので、正常時に過熱検出が誤動作することがない。温度T3は低めに設定することができるので、負荷装置18が短絡すること等による素子破壊に至ることがなく素子を確実に保護することができる。
【0040】
なお、過熱検出時には必ず出力回路を強制オフするものではなく、出力の制御方法に特に制約はない。例えば、出力電流を徐々にまたは段階的に制御するようにしてもよい。また、所定値に設定するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、過熱検出のしきい値を2種類に設定したが、3種類以上でもよい。
【0042】
上記過熱検出が2種類の閾値を有することを利用して、例えば過電流状態でないときの出力の制御方法はスイッチング制限とし、過電流時の出力の制御方法は強制オフとすることができる。出力の制御方法を場合分けすることで、より確実な、より複雑な保護が可能となる。
【0043】
本実施の形態では、FET20のローサイド出力とした出力回路14の接地側の出力電流を監視した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、出力電流の監視についての他の例として、図3に示すように、出力端子の電圧を直接監視することもできる。
【0044】
詳細には、他の例としての出力回路15は、FET20のドレイン側が端子16を介して負荷装置18に接続されている。これらの端子16とFET20との間を接合点P5に設定する。一方、FET20のソース側はそのまま接地する。また、FET20の第2ゲートは制御回路12に接続する。
【0045】
これにより、他の例としての出力回路15(図3)は、図1の出力回路14に比べて抵抗22を削除することができる。これによって、素子数が減少するので、出力回路15の損失を減少させることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、指示手段によって電力供給量を減少させるための変更信号を出力するときの検出温度に対する温度しきい値を、出力手段の電力供給の量が所定値を超えたときに温度しきい値を該温度しきい値より低い温度しきい値に設定手段によって設定するので、異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる、という効果がある。
【0047】
また、予め定めたしきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備えることによって、簡単な構成で異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる、という効果がある。
【0048】
さらに、複数の抵抗の組み合わせで抵抗比を定めることによって、抵抗比に応じた分圧を生成することができ、容易に異なる複数の温度しきい値を生成することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる車両用回路保護装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】車両用回路保護装置における温度変化によって変動する過熱検出回路の出力信号の特性を示す線図である。
【図3】本実施の形態の他の例にかかる車両用回路保護装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】従来の車両用回路保護装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】従来の装置における温度変化によって変動する過熱検出回路の出力信号の特性を示す線図である。
【符号の説明】
12 制御回路(制御手段)
14 出力回路(出力手段)
30 過熱検出回路(指示手段、設定手段)
32 コンパレータ
34 コンパレータ
38 ダイオード
46 スイッチ(スイッチ手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用回路保護装置にかかり、特に、車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させるときの電力供給を監視しながら過熱検出する車両用回路保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両内の機器について電子化が進んでおり、複数の集積回路(以下、ICという。)が搭載されることも稀ではなくなってきている。ICは、正常に動作する温度範囲が設定されていることは周知のことであるが、車両内には温度変化が大きい使用環境の厳しい部位もあり、ICを搭載した回路基板の設置位置によっては、回路動作が不安定になったり素子破壊を引き起こしたりすることがある。このため、過熱検出を行う必要がある。
【0003】
過熱検出とは、ICにおいて異常過熱による素子破壊を防止するため、負荷駆動させるための出力回路やICチップの温度(以下、ジャンクション温度という)が一定温度を超えたことを検出することをいい、ジャンクション温度が一定温度を超えた場合には例えば出力回路の出力を強制的にオフさせる過熱検出回路が付随されることがある。
【0004】
上記過熱検出を行って、出力回路を強制的にオフさせる装置の一例を図4及び図5を参照して説明する。まず、入力回路100は出力回路104から所定信号を出力させるための入力値を入力するためのものであり、その入力値は制御回路102へ入力される。制御回路102は、入力値により出力回路104を制御して、出力回路104から所定信号を出力させる。この制御回路102には、正常時すなわち予め定めた温度以下のとき制御回路102に何ら影響を与えない過熱検出回路106が接続されており、異常過熱時すなわち予め定めた温度を超えた温度のときに過熱検出回路が信号を送信する。これにより、制御回路102は例えば出力回路を強制的にオフさせる。
【0005】
過熱検出回路106では、基準電圧Vrを抵抗114、116にて分圧し、その分圧した電圧V1をコンパレータ108の閾値としてコンパレータ108の基準側に入力する。コンパレータの検出側には基準電圧Vrから定電流を発生する電流発生器112を介して温度検出のためのダイオード110のアノード側に接続され、ダイオード110のカソード側は接地される。すなわち電流発生器112からの定電流により発生する電圧V2をコンパレータ108の検出側に入力する。これによって、接合点Sの電圧により換算した温度を基準とした接合点Jの電圧により換算した温度であるジャンクション温度を検出する。
【0006】
ジャンクション温度が予め定めた温度T2まで上昇すると、コンパレータ108はローレベル信号を制御回路102へ出力し、制御回路102が出力を強制オフする。この出力オフにより電圧V2が上昇し、ジャンクション温度に換算してT1まで低下すると、コンパレータ108はハイレベル信号を制御回路102へ出力し、出力を復帰し(強制オフを解除し)、正常動作に戻す。
【0007】
このような、過熱検出を行うものとして、特定部分が所定温度以上になったときに、電流を供給する通電路を遮断する車両用補助電源装置が提案されている(特開平5−208645号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両内には温度変化が大きい使用環境の厳しい部位がある。例えば−40〜85°Cの動作保証温度であるような使用環境が厳しいとき、T2(出力を強制オフさせるジャンクション温度)の設定が困難である。
【0009】
すなわち温度T2を低めに設定すると、素子へのダメージは低減されるが、正常動作時に過熱検出が働いて出力オフする虞がある。一方、温度T2を高めに設定すると、正常動作時に過熱検出が誤動作する虞はなくなるが、素子へ与えるダメージが増加する。特に、負荷短絡により過電流になると、短時間に急激に電流がICに印加されるため、素子破壊を起こす虞がある。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して、厳しい使用温度環境下であっても、容易に過熱検出できる車両用回路保護装置を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の車両用回路保護装置は、車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させる電力供給をするための出力手段と、前記出力手段の電力供給の量を制御すると共に入力される変更信号により前記出力手段の電力供給が減少するように制御する制御手段と、温度を検出すると共に、検出温度が異常過熱により素子破壊を引き起こす直前温度として予め定めた温度しきい値を超えたときに前記制御手段が制御する電力供給量を減少させるための変更信号を出力する指示手段と、前記出力手段の電力供給の量が前記負荷駆動装置の過電流状態のときの量として予め定めた所定値を超えたときに前記温度しきい値を該温度しきい値より低い温度しきい値に設定する設定手段と、を備えている。
【0012】
前記設定手段は、前記予め定めた温度しきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備え、前記出力手段の電力供給の量が前記所定値以下のときに前記予め定めた温度しきい値を維持するように設定すると共に、前記出力手段の電力供給の量が前記所定値を超えたときに前記温度しきい値より低い温度しきい値になるように前記スイッチ手段を切り換えることができる。
【0013】
また、前記設定手段は、複数の抵抗の組み合わせによる抵抗比により前記予め定めた温度しきい値及び該温度しきい値と異なる値の温度しきい値を定めることができる。
【0014】
本発明では、車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させる電力供給をするための出力手段の電力供給の量を制御手段が制御する。これと共に制御手段は、入力される変更信号により出力手段の電力供給が減少するように制御する。指示手段は、温度を検出すると共に、検出温度が予め定めた温度しきい値を超えたときに前記制御手段が制御する電力供給量を減少させるための変更信号を出力する。この変更信号には、制御を停止させ電力供給量を減少させるための停止信号がある。予め定めた温度しきい値には、異常過熱により素子破壊を引き起こす直前温度が設定される。これによって、異常過熱による素子破壊を防止することができる。設定手段は、出力手段の電力供給の量が前記負荷駆動装置の過電流状態のときの量として予め定めた所定値を超えたときに前記温度しきい値を異なる値の温度しきい値に設定する。この出力手段の電力供給の量の所定値には、負荷短絡による過電流があり、設定されるべき異なる値の温度しきい値には、その過電流で換算した値、また、該温度しきい値より低い温度しきい値、がある。これによって、異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる。
【0015】
なお、前記設定手段において異なる値のしきい値に設定するには、予め定めた温度しきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備えて、出力手段の電力供給の量が前記所定値以下のときに前記予め定めた温度しきい値を維持するように設定すると共に、出力手段の電力供給の量が前記所定値を超えたときに前記温度しきい値より低い温度しきい値になるように前記スイッチ手段を切り換えることによって、簡単な構成で異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる。
【0016】
また、前記温度しきい値は、複数の抵抗の組み合わせによる抵抗比により前記予め定めた温度しきい値及び該温度しきい値と異なる値の温度しきい値を定めることができる。すなわち、複数の抵抗を組み合わせて直列に接続することによって、全体の電圧レベルに対して接続した抵抗間から出力をとるようにすれば、抵抗比に応じた分圧を生成することができ、容易に異なる複数の温度しきい値を生成することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は過熱検出が誤動作することなく、負荷短絡等の過電流による素子破壊を防止する車両用回路保護装置に本発明を適用したものである。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の車両用回路保護装置は、入力回路10、制御手段としての制御回路12、出力手段としての出力回路14、及び過熱検出回路30を備えている。入力回路10は制御回路12を介して出力回路14に接続されており、制御回路12の制御側12Bには過熱検出回路30が接続されている。なお、過熱検出回路30は、本発明の指示手段及び設定手段を構成する。
【0019】
出力回路14は、パワーMOS FET(以下、FETという)20を備え、FET20のローサイド出力とした回路である。FET20のドレイン側は、端子16を介して負荷装置18に接続されている。この負荷装置18にはファンやランプ等の電装品があり、負荷装置18は電源電圧Vccに接続されている。FET20のソース側は抵抗22を介して接地されている。また、FET20のゲートは制御回路12に接続されている。
【0020】
入力回路10は出力回路14から所定信号を出力させるための入力値を入力するためのものであり、制御回路12に接続されている。すなわち、入力回路10は端子16によって接続された負荷装置18を駆動するための入力値に応じた電気信号を出力するものであり、その入力値は制御回路12へ入力される。制御回路12は、入力値により出力回路14を制御して、出力回路14から所定信号を出力させたり図に示すように負荷装置18を駆動させたりするためのものである。
【0021】
過熱検出回路30は、コンパレータ32、34を備えている。コンパレータ32は、少なくとも検出温度がしきい値を超えたときにハイレベル信号を出力するためのものである。温度検出には、ダイオード38が用いられ、ダイオード38のアノード側は定電流回路36を介して基準電圧Vref を生成する基準電源48に接続されている。一方、ダイオード38のカソード側は接地されている。この定電流回路36とダイオード38のアノード側との間の接合点P1にはコンパレータ32のマイナス側端子32Mが接続されている。なお、この温度検出はツェナーダイオード等の素子を用いて温度を電圧に変換して検出してもよい。これによって、定電流回路36からの定電流Iにより発生するダイオード38のアノード側の電圧Vがコンパレータ32の比較側(マイナス側端子32M)に入力される。
【0022】
上記コンパレータ32、ダイオード38、定電流回路36、基準電源48は本発明の指示手段を構成する。
【0023】
過熱検出回路30では、コンパレータ32に基準電圧を入力するために、基準電源48、抵抗40、42、44が直列に接続され、抵抗44の他端は接地されている。これら抵抗40、42、44を直列に接続することによって、各抵抗の間で基準電圧Vref からの分圧出力を可能としている。抵抗42、44の接合点P2に、コンパレータ32のプラス側端子32Pが接続されている。これによって、基準電源48の基準電圧Vref による抵抗40、42、44の組み合わせ、すなわち(抵抗40の抵抗値+抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による分圧、または(抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による分圧(詳細は後述)がコンパレータ32の基準側(プラス側端子32P)に入力される。
【0024】
コンパレータ32の出力端32Yは、制御回路12の制御端12Bに接続されている。コンパレータ32は、基準側の電圧を比較側の電圧が超えるとローレベル信号を出力し、比較側の電圧が基準側の電圧以内であるとハイレベル信号を出力する。
【0025】
抵抗40、42の間の接合点P3は、スイッチ46を介して基準電源48に接続されている。このスイッチ46は制御端46Gを備えており、コンパレータ34の出力端Yに接続されている。スイッチ46は制御端46Gにハイレベル信号が入力されると、導通状態になり抵抗40、42の間が基準電源48に接続されかつ、ローレベル信号が入力されると、非導通状態になり抵抗40、42の間が基準電源48から遮断される。
【0026】
コンパレータ34は、出力回路14の出力電流を監視するためのものである。コンパレータ34の基準側はマイナス端子34Mとされ、抵抗50、52の間の接合点P4に接続されている。抵抗50、52は直列に接続され、一方が基準電源48に接続されると共に、他方が接地される。これによって、基準電源48の基準電圧Vref による抵抗50、52の抵抗比による分圧がコンパレータ34の基準側(マイナス側端子34M)に入力される。
【0027】
コンパレータ34の比較側は、プラス側端子34Pとされ、出力回路14のFET20と抵抗22との間の接合点P5に接続されている。これによって、出力回路14からの電流により発生する電圧がコンパレータ34の比較側(プラス側端子34P)に入力される。
【0028】
コンパレータ34は、基準側の電圧を比較側の電圧が超えるとハイレベル信号を出力し、比較側の電圧が基準側の電圧以内であるとローレベル信号を出力する。
【0029】
上記コンパレータ34、抵抗50、52、スイッチ手段としてのスイッチ46、抵抗40、42、44、及び基準電源48は本発明の指示手段を構成する。
【0030】
次に、本実施の形態の車両用回路保護装置の作動を説明する。
まず、入力回路10は出力回路14から所定信号を出力させるための入力値を制御回路12へ入力させる。通常作動時には、制御回路12は、入力値により出力回路14を制御して、負荷装置18を駆動させる。すなわち、FET20をドライブさせることにより、電源電圧Vccが負荷装置18に供給され、負荷装置18が駆動される。このとき、電源電圧Vccからの電流は、負荷装置18、端子16、FET20、及び抵抗22を介して接地方向に流れ、接合点P5における電圧Vdがコンパレータ34の比較側(プラス側端子34P)に入力される。一方、コンパレータ34の基準側(マイナス側端子34M)には抵抗50、52の抵抗比による分圧である電圧Vcが入力されており、電圧Vcと電圧Vdとが比較される。
【0031】
ここで、コンパレータ34の比較において基準とする電圧Vcは、抵抗50、52の抵抗比による分圧で定まるが、この抵抗比は負荷装置18を通常作動させたときに(非過電流状態のときに)接合点P5における電圧Vdが低く判別されるように予め設定されている。すなわち、負荷装置18が通常作動されるときにはVc≧Vdとなる。
【0032】
従って、非過電流状態の場合には、Vc≧Vdであり、コンパレータ34の出力はローレベル信号となる。コンパレータ34がローレベル信号を出力するときにはスイッチ46が非導通であり、接合点P3に基準電源48が接続されない。これによって、接合点P2の電圧は、抵抗40、42、44の組み合わせで決定される。すなわち、(抵抗40の抵抗値+抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による基準電圧Vref の分圧による電圧Vbとなる。この場合の電圧Vbは、図2に示すように、ジャンクション温度にして温度T2に相当する電圧が設定されたことになる。
【0033】
コンパレータ32の比較側(マイナス側端子32M)には、接合点P1における電圧Vaが入力されている。この電圧Vaは、基準電源48の基準電圧Vref により生じる定電流回路36の定電流Iがダイオード38を介して接地方向へ流れたときの電圧Vaで定められる。ダイオード38に発生する電圧は、温度により変動するので、電圧Vaは温度に対応する電圧の値となる。従って、コンパレータ32では、電圧Vaと電圧Vbとを比較することによって、現在温度と基準温度を比較することに相当する。すなわち、ダイオード38による電圧は負極性の温度特性を有するため、現在温度が基準温度以下のときはVa≧Vbになる。
【0034】
従って、Va≧Vbのときは、現在温度が基準温度以内であるので、通常作動とし、コンパレータ32はローレベル信号を出力する。一方、異常過熱が生じると、(ダイオード38が負極性の温度特性を有するので)ジャンクション温度が上昇して電圧Vaが低下する。そして、Va<Vbになると、現在温度が基準温度を超えたことに相当するので、コンパレータ32はハイレベル信号を出力する。制御回路12は、コンパレータ32からのハイレベル信号によって出力回路20を強制的にオフさせる。すなわち、FET20の作動を停止させる。この出力回路14の強制的なオフ作動によりジャンクション温度が低下する。そして、現在温度が基準温度T1まで下降すると、コンパレータ32がローレベル信号の出力により出力回路14を復帰させ、すなわち出力回路20の強制的なオフ作動を解除し、正常動作に戻る(図2参照)。
【0035】
次に、負荷装置18が短絡すること等によって過電流状態になる場合について説明する。このような過電流状態になると、短時間に急激に電流が印加されるため、素子破壊を起こす虞がある。
【0036】
過電流状態の場合には、接合点P5を流れる電流は増加し、Vc<Vdであり、コンパレータ34の出力はハイレベル信号となる。コンパレータ34がハイレベル信号を出力するときにはスイッチ46が導通され、接合点P3に基準電源48が接続される。これによって、接合点P2の電圧は、抵抗42、44の組み合わせで決定される。すなわち、(抵抗42の抵抗値)と(抵抗44の抵抗値)との比による基準電圧Vref の分圧による電圧Vb’となる。この場合の電圧Vb’は、図2に示すように、ジャンクション温度にして温度T3に相当する電圧が設定されたことになる。
【0037】
コンパレータ32の比較側(マイナス側端子32M)には、上記と同様に接合点P1における電圧Vaが入力されている。ダイオード38に発生する電圧は、温度により変動し、コンパレータ32では、電圧Vaと電圧Vb’とを比較することによって、現在温度と非過電流状態の基準温度より低く定められた基準温度を比較することに相当する。すなわち、現在温度が基準温度以下のときはVa≧Vb’になる。
【0038】
従って、Va≧Vb’のときは、現在温度が基準温度以内であるので、通常作動とし、コンパレータ32はローレベル信号を出力する。一方、異常過熱が生じると、(ダイオード38が負極性の温度特性を有するので)ジャンクション温度が上昇して電圧Vaが低下する。そして、Va<Vb’になると、現在温度が基準温度を超えたことに相当するので、コンパレータ32はハイレベル信号を出力する。制御回路12は、コンパレータ32からのハイレベル信号によって出力回路20を強制的にオフさせる。すなわち、FET20の作動を停止させる。この出力回路14の強制的なオフ作動によりジャンクション温度が低下する。そして、現在温度が基準温度T1まで下降すると、コンパレータ32がローレベル信号の出力により出力回路14を復帰させ、すなわち出力回路20の強制的なオフ作動を解除し、正常動作に戻る(図2参照)。
【0039】
このように、本実施の形態では、定めたしきい値を超えた温度に相当する電圧になったことを検出する過熱検出を行うときに、出力回路14の出力電流を監視し、その状態(過電流か否か)に応じて過熱検出のときのしきい値を切り換えることができる。すなわち、出力回路14の出力電流を監視しながら、非過電流状態のときは通常のしきい値(電圧Vb)で過熱検出を行うと共に、過電流状態のときは通常のしきい値より低いしきい値(電圧Vb’)で過熱検出を行う。このため、出力回路14をオフさせるための温度を、通常の異常過熱による対処を必要とすべき温度T2、及び負荷装置18が短絡すること等によって過電流状態により早期対処を必要とすべき温度T3のそれぞれについて個別に設定することができる。これによって、温度T2は、高めに設定することができるので、正常時に過熱検出が誤動作することがない。温度T3は低めに設定することができるので、負荷装置18が短絡すること等による素子破壊に至ることがなく素子を確実に保護することができる。
【0040】
なお、過熱検出時には必ず出力回路を強制オフするものではなく、出力の制御方法に特に制約はない。例えば、出力電流を徐々にまたは段階的に制御するようにしてもよい。また、所定値に設定するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、過熱検出のしきい値を2種類に設定したが、3種類以上でもよい。
【0042】
上記過熱検出が2種類の閾値を有することを利用して、例えば過電流状態でないときの出力の制御方法はスイッチング制限とし、過電流時の出力の制御方法は強制オフとすることができる。出力の制御方法を場合分けすることで、より確実な、より複雑な保護が可能となる。
【0043】
本実施の形態では、FET20のローサイド出力とした出力回路14の接地側の出力電流を監視した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、出力電流の監視についての他の例として、図3に示すように、出力端子の電圧を直接監視することもできる。
【0044】
詳細には、他の例としての出力回路15は、FET20のドレイン側が端子16を介して負荷装置18に接続されている。これらの端子16とFET20との間を接合点P5に設定する。一方、FET20のソース側はそのまま接地する。また、FET20の第2ゲートは制御回路12に接続する。
【0045】
これにより、他の例としての出力回路15(図3)は、図1の出力回路14に比べて抵抗22を削除することができる。これによって、素子数が減少するので、出力回路15の損失を減少させることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、指示手段によって電力供給量を減少させるための変更信号を出力するときの検出温度に対する温度しきい値を、出力手段の電力供給の量が所定値を超えたときに温度しきい値を該温度しきい値より低い温度しきい値に設定手段によって設定するので、異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる、という効果がある。
【0047】
また、予め定めたしきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備えることによって、簡単な構成で異常過熱による素子破壊を防止できると共に、負荷短絡による過電流から引き起こされる素子破壊を防止できる、という効果がある。
【0048】
さらに、複数の抵抗の組み合わせで抵抗比を定めることによって、抵抗比に応じた分圧を生成することができ、容易に異なる複数の温度しきい値を生成することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる車両用回路保護装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】車両用回路保護装置における温度変化によって変動する過熱検出回路の出力信号の特性を示す線図である。
【図3】本実施の形態の他の例にかかる車両用回路保護装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】従来の車両用回路保護装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】従来の装置における温度変化によって変動する過熱検出回路の出力信号の特性を示す線図である。
【符号の説明】
12 制御回路(制御手段)
14 出力回路(出力手段)
30 過熱検出回路(指示手段、設定手段)
32 コンパレータ
34 コンパレータ
38 ダイオード
46 スイッチ(スイッチ手段)
Claims (3)
- 車両に設けられた負荷駆動装置を駆動させる電力供給をするための出力手段と、
前記出力手段の電力供給の量を制御すると共に入力される変更信号により前記出力手段の電力供給が減少するように制御する制御手段と、
温度を検出すると共に、検出温度が異常過熱により素子破壊を引き起こす直前温度として予め定めた温度しきい値を超えたときに前記制御手段が制御する電力供給量を減少させるための変更信号を出力する指示手段と、
前記出力手段の電力供給の量が前記負荷駆動装置の過電流状態のときの量として予め定めた所定値を超えたときに前記温度しきい値を該温度しきい値より低い温度しきい値に設定する設定手段と、
を備えた車両用回路保護装置。 - 前記設定手段は、前記予め定めた温度しきい値を維持する温度しきい値または該温度しきい値より低い温度しきい値に切り換えるスイッチ手段を備え、前記出力手段の電力供給の量が前記所定値以下のときに前記予め定めた温度しきい値を維持するように設定すると共に、前記出力手段の電力供給の量が前記所定値を超えたときに前記温度しきい値より低い温度しきい値になるように前記スイッチ手段を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の車両用回路保護装置。
- 前記設定手段は、複数の抵抗の組み合わせによる抵抗比により前記予め定めた温度しきい値及び該温度しきい値と異なる値の温度しきい値を定めることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用回路保護装置。
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