JP4692883B2 - ロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査工法及び装置 - Google Patents

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本発明は、サンプラの貫入速度を測定して、地盤の強度と関連づけることができるロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査工法及び装置に関する。
地盤の強度を調査する方法に標準貫入試験がある。これは地上にやぐらを組み、滑車で吊り上げた63.5kgのおもりを75cmの高さで自由落下させ、ロッドパイプに装着されたノッキングヘッドを打撃し、ロッドパイプの他端に取り付けられたサンプラを地盤に貫入させるものである。筒状のサンプラにコアを採取することができる。ここで、サンプラが30cm貫入するのに要した打撃回数をN値と呼んで、地盤の強度を表す数値としている。通常、標準貫入試験は、ボーリング調査と同時に行なわれ、例えば深度1m毎に貫入抵抗の調査とコア採取を行なっている。
N値の具体例を上げると、打撃回数が25回で貫入が30cmの場合、N値は25である。打撃回数が2回で貫入が50cmの場合、N値は1.2(=(2/50)×30)である。打撃回数が50回に達すると打止めで、打撃回数が50回の時に貫入が20cmの場合、N値は75(=(50/20)×30)である。一般に、N値が10以下は軟弱な地盤とされる。また、50以上のN値が5mに渡って連続する場合、支持地盤などとされる。
ビルを建設する場合、地盤調査は地下150mにも達する。そのため標準貫入試験は、打撃を1回づつ行ない、サンプラを地上に回収するためにロッドパイプを毎回引き抜く。引き抜き時は、ロッドパイプを所定の長さ引き抜く毎にねじによるロッドパイプの連結を解除しなくてはならない。また、ロッドパイプを掘削孔に挿入時は、所定の長さ挿入する毎にロッドパイプの連結作業が生じる。このように標準貫入試験は、手間のかかる作業であるため、これに代わる高速の地盤調査工法及び装置が求められている。
本出願人は、特許文献1に示すように、地盤調査技術の1つとして、ロータリーパーカッションドリルを利用したパーカッションワイヤラインサンプリング装置を提案した。このパーカッションワイヤラインサンプリング装置は、ロッドパイプの先にアウターチューブとインナーチューブからなる2重管構造のアセンブリが設けられ、各チューブの先端に設けられた掘削ビットで掘進しながら、インナーチューブにコアを採取する。一定深さを掘進する毎に、コアが採取されたインナーチューブをロッドパイプに通したワイヤラインで引き上げる。この時ロッドパイプは引き抜く必要がないので、地盤のサンプルであるコアを効率よく採取することができる。しかし、地盤の強度については、採取したコアの土質解析から推定するしかなかった。
特開平5−263582号公報
本発明の目的は、地盤の強度測定とコアの収集を効率よく行なうことができる地盤調査工法及び装置を提供することにある。
本発明によるロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査工法は、回転と打撃力とスラスト力を加えて一定の深さを掘削する毎に、インナーチューブをワイヤラインで地上に引き上げ、インナーチューブに取り付けられたインナービットをサンプラに交換する段階とアウタービットが掘削孔の底部から離れるようにアウターチューブをサンプラの長さ分だけ上昇させる段階と、ワイヤラインを降ろしてサンプラを取り付けたインナーチューブをアウターチューブに装着し、サンプラをアウターチューブから突出させて、サンプラの先端を掘削孔の底部に接触させる段階とロータリーパーカッションドリルの駆動部から、回転を伴わずに打撃力とスラスト力をサンプラに加えて地層に貫入させる段階とサンプラが地盤に貫入する貫入速度を計測する段階と一定の貫入深さになると、ワイヤラインでサンプラを取り付けたインナーチューブを引き上げてコアを採取する段階と目標の深さに達した場合は終了とし、目標の深さに達しない場合は、インナーチューブにインナービットを取り付けアウターチューブに装着して掘削を行なうか否かを判断する段階と、が備えられることを特徴とする。
本発明によるロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査装置は、一端がロッドパイプに連結され他端がアウタービットに連結されるアウターチューブと、一端がワイヤラインに連結され他端がインナービットに連結されるインナーチューブからなる掘削アセンブリと、前記インナーチュウーブの前記インナービットと交換可能に取り付けられるコア採取用のサンプラと、前記掘削アセンブリに前記サンプラが取り付けられた状態では、前記サンプラに所定のスラスト力及び所定の連続した打撃力を作用させる駆動部と、前記スラスト力及び打撃力を作用させた時に、前記サンプラが地盤に貫入する速度を測定する貫入速度測定手段とが設けられたことを特徴とする。
前記地盤調査装置には、オペレータの指示を受けて前記駆動部を起動し、起動した後の停止は、前記貫入速度測定手段で得られる前記サンプラの貫入距離が、所定の距離に達したことで行なう制御手段が設けられることが好ましい。
本発明による請求項1と請求項2に記載のロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査工法及び装置によれば、(1)掘削時は、ロータリーパーカッションドリルの強力な回転力と打撃力とスラスト力で掘進するから早い。(2)また、コア採取時は、インナービットをサンプラに交換し、標準貫入試験と同じように、サンプラを地盤に貫入させる試験とすることができる。(3)サンプラには、所定のスラスト力と、所定の連続した打撃力を加えるのでサンプラの貫入操作が1回で済む。(4)サンプラの貫入速度を測定し、これを地盤の強度と関連づける指標とすることができる。
請求項3によれば、スラスト力と打撃力を加える駆動部の停止を、貫入速度測定手段で得られるサンプラの貫入距離で行なうようにした制御手段を設けたので、目測の貫入量で駆動部を停止させる場合に生じるオーバーランがない。

以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による地盤調査工法で使用するロータリーパーカッションドリルの構造図である。ロータリーパーカッションドリル100は、自走式の台車(クローラ)60に搭載され、後方に油圧発生装置を含むディーゼルエンジン55が備えられる。前方にアーム50があって、その前方側面にドリルヘッド20がスライド可能に取り付けられる。ドリルヘッド20は、ロッドパイプ3が取り付けられ、クランプ部32で支持される。ロッドパイプ3の先端にはビットを有する掘削アセンブリ40が設けられ掘進する。ドリルヘッド20は、油圧モータ30の回転がチェーン31に伝達され下方に押し下げられる。これによりロッドパイプ3にスラスト力が加えられる。また、油圧モータ30を逆回転してチェーン31を反対に回し、ロッドパイプ3を地中から引き抜く。油圧モータ30とチェーン31がスラスト力の駆動部となっている。
ドリルヘッド20は、ロッドパイプ3に打撃力を加える油圧ピストン25と、ロッドパイプ3に回転を与える、図面手前側と奥側に設けられた2つの油圧モータ26からなる。油圧ピストン25は、シリンダ(図示せず)に装着されたもので、油圧ピストン25の上部のシリンダ室に油圧がかかると、油圧ピストン25は下方に押し下げられ、下部のシリンダ室に油圧がかかると、油圧ピストン25は上方に押し上げられる。この動作を油圧バルブの切り替えによって高速に行ない、連続的な打撃力を生成する。すなわち、油圧ピストン25が打撃力を作り出す駆動部で、油圧モータ26が回転力を作り出す駆動部となっている。
通常、ロッドパイプ3は1.5m掘削される毎に継ぎ足される。このロッドパイプ3の地中側の一端には、掘削アセンブリ40が設けられる。掘削アセンブリ40には、図3、図4で後述するように、アウタービット5とインナービット6からなる掘削ビットからなり、インナービット6はサンプラ7に交換して装着される。計測手段35は、ドリルヘッド20とクランプ部32の距離を一定時間間隔でサンプリングする。この距離は、掘削ビットまたはサンプラ7の掘削/貫入の深さを表すものである。単位時間当たりの貫入深さを貫入速度として、制御手段36に表示する。サンプラの30cmの貫入にかかった平均速度をP値と呼ぶ。Pはパーカッションの頭文字である。
図2に、制御手段と駆動部とサンプラと測定手段の関係を示す。コアのサンプリングと同時にサンプラの貫入速度を測定するのがポイントになっている。
大型のロータリーパーカッションドリルでは、打撃数が2200回/分、打撃エネルギーが750J(75kgf−m)、スラストが60kN(6000kgf)、回転数が40〜80rpm、回転トルクが8kN−mなどとなっている。このようなロータリーパーカッションドリルの駆動部から、掘削時は、ロッドパイプ3にスラスト、打撃、回転を加え、コア採取時は、所定の条件で打撃とスラストを加える。コア採取時には回転を加えないから測定条件が簡単化される。P値は、サンプラが所定の深さ地盤に貫入するときの貫入速度であり、地盤が硬いならP値は小さく、地盤が柔らかいならP値は大きいと関連づけることができる。P値は、地盤の強さを表す指標とすることができる。
ロータリーパーカッションドリル100の打撃数を300回/分に設定した場合、打撃は5回/秒、あるいは1回/200msとなる。例として、100ms毎にサンプリングするなら、30cmの深さに至る間に、どのように貫入速度が変化したかを知ることができる。スラスト力は油圧によって調節できる。標準貫入試験と比較して、ロータリーパーカッションドリルを使用した試験は、スラスト力と連続的した打撃力に特徴がある。
単位時間毎の貫入深さを測定し、貫入の深さが30cmに達するまでの時間をA秒とすると、貫入速度であるP値は、P=30/A(cm/s)となる。打撃力の強さと周期、スラスト力の強さは、ロータリーパーカッションドリルの機種によらず所定の値に統一しておくことが望ましい。
図3は、掘削アセンブリの断面図である。掘削アセンブリ40は、外側はアウターチューブ1、内側はインナーチューブ2の二重管構造である。アウターチューブ1は、一端がロッドパイプ3に連結され、他端がアウタービット5に連結される。インナーチューブ2は、一端がワイヤライン4のオーバーショット21に連結され、他端がインナービット6に連結される。ロッドパイプ3を介して、打撃力、回転力、スラスト力がアウタービット5とインナービット6に伝えられて掘削が進められる。一定の掘削が進む毎に、インナーチューブ2はワイヤライン4で地上に引き上げられ、インナービット6がサンプラ7に交換される。
インナーチューブ2のアウターチューブ1への装着は、インナーチューブ2に設けられた突出板8が、バネの力で拡径され、アウターチューブ1の嵌合溝10に嵌め込まれることによる。この状態で、アウターチューブ1がロッドパイプ3からの力を受けて掘進すると、インナーチューブ2も掘進される。インナーチューブ2のアウターチューブ1からの脱着は、ワイヤライン4を引っ張り上げることによって、まずインナーチューブ上部2aが地上方向に動き、これによってインナーチューブ上部2aが突出板8を縮径させるので、突出板8がアウターチューブ1の嵌合溝10から外れることによる。
図4は、インナーチューブにサンプラが取り付けられた場合の断面図である。サンプラ7は、アウターチューブ1の先端からさらに突出するように、インナーチューブ2に取り付けられる。
図5は、アウターチューブの断面図である。図面左側のアウターチューブ1の一端(下部)には、アウタービット5と連結するためのネジ12が設けられる。他端(上部)には、ロッドパイプ3と連結のネジ11が設けられる。中央付近には、突出板8と嵌合する嵌合溝10が設けられる。
図6は、インナーチューブの断面図である。ロック用突出板8付近の断面は省略している。図面左側のインナーチューブ2の一端(下部)には、インナービット6(2点鎖線で示す)またはサンプラ7が取り付けられ、そのためのネジ13が設けられる。他端(上部)には、オーバーショット21に嵌合するスピアヘッド9が設けられる。インナーチューブ上部2aとインナーチューブ下部2bは互いにスライド可能に連結される。これにより突出板8の拡径と縮径ができる。
図7、図8は詳細な部品断面図である。図7の(a)は、一端にネジ18が設けられたインナービット6の断面図である。図7の(b)は、一端にネジ17が設けられたアウタービット5の断面図である。図8は、一端にネジ19が設けられたサンプラ7の断面図である。サンプラ7は、標準貫入試験で使用するサンプラの形状に合わせて、シュー14、スプリットバレル15、コネクタ16からなる。材質は、ロータリーパーカッションドリルの打撃とスラストに耐えられるものとしている。サンプラ7は、シュー14とコネクタ16を外すと、スプリットバレル15が半円筒形に割れるので容易にコアを取り出すことができる。
図9は、ロータリーパーカッションドリルを使用した貫入試験の操作手順を示すフローチャートである。例えば1mを掘削する毎に、インナーチューブ2をワイヤライン4で地上に引き上げる。そして、インナービット6をサンプラ7に交換する。(S70〜73)
インナーチューブ2を引き上げた段階で、ロッドパイプ3及びアウターチューブ1をサンプラ7の長さ分だけ上昇させる。これにより、サンプラ7が取り付けられたインナーチューブ2が、アウターチューブ1に装着されると、サンプラ7の先端が、掘削孔の底部に接触するように設置できる。このようにロッドパイプ3の引き抜きを最小限にとどめ、引き抜きは、油圧モータ30を逆回転させて行なう。(S74〜75)
次に、ロータリーパーカッションドリル100の駆動部から、打撃力とスラスト力をサンプラ7に加えて、地層に貫入させる。この場合、打撃力とスラスト力は、油圧ピストン25、油圧モータ30の油圧が調節されて、貫入試験での所定の値になるように設定されることが好ましい。例えば油圧力を半分にすると打撃数(回/分)も半分になる。貫入試験の開始はオペレータの指示によるが、停止の指示は、目測ではオーバーランしやすいので、例えばドリルヘッド20が30cm下降したら停止の指示が出るようにプログラム制御されることが好ましい。(S76)
貫入試験の間、計測手段35によって記録されたデータから、サンプラ7の例えば30cmの貫入速度を求めることができる。計測手段のサンプリング時間は細かく刻んでおくと、詳細な速度変化がわかる。なお、貫入試験時には、油圧のデータも測定されることが好ましい。貫入速度はP値として扱う。(S77)
一定の貫入深さになるか、地盤が固くて貫入が進まず一定に時間に達したような場合、操作が中止される。そして、インナーチューブ2が引き上げられ、コアが採取される。目標とする深さ、例えば150mに達していないなら、インナーチューブ2にインナービット6が再び取り付けられ、アウターチューブ1に装着され、同じ動作が繰り返される。目標の深さに達したときに、ロッドパイプ3が引き上げられ、掘削アセンブリ40が回収される。(S78〜83)
本発明は、コア採取と地盤の強度測定が効率よく行なえる地盤調査工法であり、その装置としては、ロータリーパーカッションドリルに必要な装置を追加して構成したものである。
本発明による地盤調査工法で使用するロータリーパーカッションドリルの構造図である。(実施例1) 制御手段と駆動部とサンプラと測定手段の関係図である。 掘削アセンブリの断面図である。先端に掘削ビットが取り付けられている。(実施例1) インナーチューブにサンプラが取り付けられた場合の断面図である。(実施例1) アウターチューブの断面図である。(実施例1) インナーチューブの断面図である。(実施例1) (a)はインナービットの断面図である。(b)はアウタービットの断面図である。(実施例1) サンプラの断面図である。(実施例1) 本発明によるロータリーパーカッションドリルを使用した貫入試験の操作手順を示すフローチャートである。(実施例1)
符号の説明
1 アウターチューブ
2 インナーチューブ
2a インナーチューブ上部
2b インナーチューブ下部
3 ロッドパイプ
4 ワイヤライン
5 アウタービット
6 インナービット
7 サンプラ
8 突出板
9 スピアヘッド
10 嵌合溝
11、12、13 ネジ
14 シュー
15 スプリットバレル
16 コネクタ
17、18、19 ネジ
20 ドリルヘッド
21 オーバーショット
25 打撃用の油圧ピストン
26 回転用の油圧モータ
30 スラスト用の油圧モータ
31 チェーン
32 クランプ部
35 計測手段
36 制御手段
40 掘削アセンブリ
50 アーム
55 ディーゼルエンジン
60 クローラ
S70〜S83 手順
100 ロータリーパーカッションドリル

Claims (3)

  1. 回転と打撃力とスラスト力を加えて一定の深さを掘削する毎に、インナーチューブをワイヤラインで地上に引き上げ、インナーチューブに取り付けられたインナービットをサンプラに交換する段階と
    掘削孔の底部から離れるようにアウターチューブをサンプラの長さ分だけ上昇させる段階と、
    ワイヤラインを降ろしてサンプラを取り付けたインナーチューブをアウターチューブに装着し、サンプラをアウターチューブから突出させて、サンプラの先端を掘削孔の底部に接触させる段階と
    ロータリーパーカッションドリルの駆動部から、回転を伴わずに打撃力とスラスト力をサンプラに加えて地層に貫入させる段階と
    サンプラが地盤に貫入する貫入速度を計測する段階と
    一定の貫入深さになると、ワイヤラインでサンプラを取り付けたインナーチューブを引き上げてコアを採取する段階と
    目標の深さに達した場合は終了とし、目標の深さに達しない場合は、インナーチューブにインナービットを取り付けアウターチューブに装着して掘削を行なうか否かを判断する段階と、が備えられることを特徴とするロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査工法。
  2. 一端がロッドパイプに連結され他端がアウタービットに連結されるアウターチューブと、一端がワイヤラインに連結され他端がインナービットに連結されるインナーチューブからなる掘削アセンブリと、
    前記インナーチューブの前記インナービットと交換可能に取り付けられるコア採取用のサンプラと、
    前記掘削アセンブリに前記サンプラを取り付けた状態では、前記サンプラに所定のスラスト力及び所定の連続した打撃力を作用させる駆動部と、
    前記スラスト力及び打撃力を作用させた時に、前記サンプラが地盤に貫入する速度を測定する貫入速度測定手段と、が設けられたことを特徴とするロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査装置。
  3. オペレータの指示を受けて前記駆動部を起動し、起動した後の停止は、前記貫入速度測定手段で得られる前記サンプラの貫入距離が、所定の距離に達したことで行なう制御手段が設けられることを特徴とする請求項2に記載のロータリーパーカッションドリルを用いた地盤調査装置。
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