JP6725128B2 - 試錐システム及び試錐方法 - Google Patents

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本発明は、地層サンプルを採取するために収納管を内装したドリルパイプで地中を試錐する試錐システム及び試錐方法に関する。特に、ドリルパイプに拡径機構を装着して孔壁を拡径することが可能な試錐システム及び試錐方法に関する。
<地層サンプル採取>
地層サンプル(「コア」とも呼ばれる)は、鉱山における鉱脈の探査や、坑道の掘削計画を立案するための指標として重視される。その地層サンプルは、試錐装置で掘進された試錐孔の深さに関連付けられ、地層の一部を円柱状に切り出したものを、試錐孔入口(以下、「孔口」ともいう)から引き出して採取される。より具体的には、地層サンプルを採取するための収納管を内装したドリルパイプで地中を試錐し、土砂の詰まった収納管(「コアチューブ」とも呼ばれる)を回収することにより実現する。
すなわち、試錐装置のドリルパイプで地中を掘り進め、ドリルパイプに内装された収納管内に、円柱状に切り取られた地層の一部を地層サンプルとして収納する。ここで掘進を一旦止め、地層サンプルを含んだ収納管を孔口まで引き出して円柱状の地層サンプルだけを採取する。地層サンプルを採取されて空になった収納管は、再びドリルパイプの先端近傍の内部に固定され、より深い位置の地層サンプルを採取するため適宜に反復利用される。
<拡径機構>
拡径機構(以下、「拡径ユニット」ともいう)の機能は、ドリルパイプで掘削した孔径をより大きく拡径することである。通常のドリルパイプは、その外径とほぼ同じ大きさの孔径で地中を掘削する。また、掘削中のドリルパイプには、その外周に接触する孔壁との摩擦抵抗が作用する。これに対し、ドリルパイプで掘削した孔径を、拡径ユニットで拡径することにより、摩擦抵抗を抑制して掘進をスムーズにすることが必要である。その場合、ドリルパイプの先端に、ドリルパイプと一体回転させることが可能な拡径ユニットを装着して用いることが一般的である。
一方、掘進工程において軟弱地層に遭遇した場合、ドリルパイプの外周と孔壁の間に、ケーシングパイプなどの補強材を、孔口から軟弱地層まで嵌入して孔壁を補強することが必要な場合がある。その際、嵌入するケーシングパイプの外径よりわずかに大きな孔を形成するために、拡径ユニットを用いて拡径する必要がある。このような場合、ドリルパイプ全体を試錐孔から地表に一旦引き出した状態で、ドリルパイプの先端に拡径ユニットを装着するという作業負担を余儀なくされる。
<公知例>
従来、拡径機構のビットを孔口から交換可能にした試錐装置及びその方法が知られている(例えば、特許文献1)。これによれば、インナビットで掘進しつつ、地層サンプルを回収して確認した結果、湧水層が見つかった場合、その前後の地層を補強するケーシングを入れるために、アウタビットを取り付けて拡径する。アウタビットは孔径を広げるため展開されている。アウタビットは、バネの力でビットを展開しており、掘進方向から受ける力では閉じないが、逆の方向(引き抜くときなど)は閉じるように設計されている。このため、拡径終了後に引き抜かれる時にはアウタロッドなどに引っかかることなくスムーズに取り出せる、というものである。
また、掘削時間の短縮やトラブルの低減を可能とするノンコア削孔装置も知られている(例えば、特許文献2)。しかし、これら特許文献1,2に開示されたものは、試錐孔から地表に移動する方向、すなわち孔口へ逆戻りする方向(以下、「逆進方向」ともいう)に、ドリルパイプ全体を引き出す工程(以下、「逆進工程」ともいう)において拡径掘削できるものではない。また、ドリルパイプに収納管を取り付けたワイヤライン掘削装置及びその工法も知られている(例えば、特許文献3,4)。しかし、これら特許文献3,4に開示されたものは、ドリルパイプに拡径ユニットを取り付けることはできない。
特開2003-161092号公報 特開2001-207771号公報 特開2011-190632号公報 特開2011-214387号公報
従来の拡径ユニットは、ドリルパイプと一体になって試錐孔の奥へ掘進する方向(以下、「掘進方向」ともいう)の掘進工程においてのみ拡径機能を発揮させるが、逆進工程では拡径できない構造であった。そのため、従来の拡径ユニットをドリルパイプに適宜装着して拡径掘進する試錐装置又は試錐方法では、たとえ、拡径ユニットがドリルパイプに装着された状態であっても、逆進しながら拡径する必要が生じても対応することが困難であった。
上述のように、掘進工程において軟弱地層に遭遇し、掘進による試錐孔が軟弱地層を貫通する際、孔壁が崩れるような場合がある。その場合、ドリルパイプ全体を試錐孔から抜き出すことなく地中に留置させた状態で、部分的に前進と後退を適宜に反転しながら拡径して堀直したいという要望も強かった。しかし、特許文献1,2に開示されている拡径ビットは、後戻りする方向に動くとき閉じるので、拡径掘削はできない。したがって、掘進工程を一時中断し、逆進工程に切り替えて拡径することは困難であった。
また、一般的なドリルパイプは、拡径ユニットと収納管の両者を同時に取り付けて用いることはできない。つまり、ドリルパイプの中空部や先端部において、拡径ユニットと収納管とは構造や機能の点で、何れか一方だけしか挿通させたり、取り付けたりすることはできない。まず、収納管はドリルパイプの中空部に内装されて地層サンプルを収納する筒状容器であり、例えばワイヤライン工法(以下「WL工法」ともいう)によって、ドリルパイプの中空部を孔奥と手前の間で移動しながら地層サンプルを採取可能とする構造である。また、同様にドリルパイプの中空部を移動可能な拡径ユニットがあるとしても、拡径ユニットは中空部の一部を占有してほぼ閉塞する構造である。
これに対し、拡径ユニットと収納管とは、ドリルパイプの中空部において、孔奥と手前の間で前後を適宜に入れ替える必要がある。しかし、両者はドリルパイプの管内ですれ違うことができない。そのため、ドリルパイプを地中に残したままでは、両者の前後関係を入れ替えることはできない。したがって、特許文献3,4に開示されているように、両者は1つのドリルパイプで共存できず、同時に取り付けて用いることはできなかった。
また、試錐のため収納管を内装して地中を掘進中のドリルパイプが、上述の軟弱地層に遭遇するような地層の変化に対応するため拡径を要する場合、ドリルパイプから収納管を外して拡径ユニットに換装し、掘進方向に拡径することが必要となる。この場合、収納管を内装して地中を掘進中であったドリルパイプを一旦地上まで引き上げて、収納管を外して拡径ユニットに換装し、試錐孔へ再度挿入するという手順以外に適切な方法はなかった。このように、地層サンプルの採取を中断し、一連のドリルパイプ全体を抜き差しすることにより、本来の工程が遅延するだけでなく、無駄な経費が発生するといった問題もあった。
上述のように、1つのドリルパイプに収納管と拡径ユニットを常時併設して掘進することはできないという構造上の制約がある。これに対し、地中のドリルパイプ全体を地上まで引き上げることなく、孔奥に位置するドリルパイプの先端部に、収納管と拡径ユニットを適宜換装できるようにした試錐システムが要望されていた。また、試錐孔の内部でドリルパイプを逆進させながらであっても拡径掘削できるようにすることも要望されていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、試錐孔の内部でドリルパイプを逆進させながらであっても拡径する掘削が可能であり、かつ、ドリルパイプを地中に残したままで、拡径ユニットを収納管と換装することも可能な試錐システム及び試錐方法を提供することにある。
本発明者らは、循環水の水圧を拡径ビットの展開に利用することよって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、試錐孔(101)を掘削するドリルパイプ(90)と、該ドリルパイプ(90)の先端部(91)に中心軸(Z)を一致させて、地層サンプル採取用の収納管(5)と換装可能に装着され拡径掘削する拡径ユニット(80)と、前記試錐孔(101)に注入される循環水(1)の水圧を制御する注水圧制御手段(50)と、を備えた試錐システム(100)であって、前記拡径ユニット(80)と前記収納管(5)とは何れか1つずつを前記ドリルパイプ(90)の内部に挿通され、前記循環水(1)により前記先端部(91)まで押しやられた際に前記拡径ユニット(80)又は前記収納管(5)の一部と前記先端部(91)とが嵌合されることで前記ドリルパイプ(90)に仮固定される一方で、試錐孔入口(102)からワイヤ(3)で引き戻すことにより回収可能であり、前記拡径ユニット(80)は、後方に穿設され前記循環水(1)を注入可能な注水口(11)と、該注水口(11)に連通する内部に形成されたシリンダ(20)と、該シリンダ(20)内に密嵌されて進退可能なピストン(25)と、該ピストン(25)に後方向の弾性力(K)を付与する付勢手段(4)と、前記ピストン(25)に連動して進退動作するラックギヤ(31〜33)と、該ラックギヤ(31〜33)に歯合して回転する複数のピニオンギヤ(61〜63)と、該ピニオンギヤ(61〜63)それぞれの半径方向(M)に片翼形状をなして延在し、前記複数のピニオンギヤ(61〜63)の正逆回転に伴って開閉可能な拡径ビット(64〜66)と、を備え、前記注水圧制御手段(50)により前記水圧を所定値以上の高水圧(HP)に高めたときだけ、該高水圧(HP)により前記注水口(11)から前記シリンダ(20)内の前記ピストン(25)を前記付勢手段(4)の弾性力に抗して押し出し、前記ピストン(25)に連動して前記ラックギヤ(31〜33)及び前記ピニオンギヤ(61〜63)が動作することにより、前記拡径ビット(64〜66)が前記拡径ユニット(80)の直径方向(X)に展開するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の試錐システム(100)において、前記拡径ユニット(80)は、前記中心軸(Z)に一致する中軸管(10)を備え、該中軸管(10)は、基端部(15)が前記ピストン(25)を貫通して植設されるとともに受圧面(33)側から前方に延在し、前記注水口(11)から前記シリンダ(20)内へ注入される循環水(1)を、前記拡径ユニット(80)の前方に位置する噴射ノズル(18)へ送水可能な送水経路を構成し、前記中軸管(10)の長さ方向の中間位置(14)に前記ラックギヤ(31〜33)が付設されたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の試錐システム(100)において、前記中軸管(10)の先端部(16)は、バイパスバルブ(2)の可動弁孔(17)を備えるとともに該バイパスバルブ(2)の本体に摺動自在に密嵌され、前記ピストン(25)が前進すると、前記バイパスバルブ(2)に設けられたバイパス(40)に前記可動弁孔(17)が連通して開弁状態となり、前記循環水(1)の一部を前記ピニオンギヤ(61〜63)の近傍に噴出させる折り返し水路(13)をさらに備えたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の試錐システム(100)において、前記ピニオンギヤ(61〜63)は1/4回転するようにしたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の試錐システム(100)において、前記拡径ビット(64〜66)は、3枚であり、前記中心軸(Z)と直角な前記拡径ユニット(80)の断面円において、中心角θが120°で3等分される展開方向に配設されているものである。
請求項6に記載の発明は、ドリルパイプ(90)の先端部(91)に固定されて地層サンプルを収納した収納管(5)を試錐孔入口(102)まで回収することにより地層サンプルを得る試錐方法であって、前記ドリルパイプ(90)の先端部(91)に前記収納管(5)及び拡径ユニット(80)のうち何れか一方を着脱可能な状態で固定し、ワイヤライン工法により前記収納管(5)及び前記拡径ユニット(80)のうち何れか1つずつが前記ドリルパイプ(90)の内部を往復通行し、該往復通行は、前記試錐孔入口(102)から注入される循環水(1)の水圧により試錐孔(101)の奥まで随時挿入される一方、ワイヤ(3)で前記試錐孔入口(102)まで適宜に引き戻され、前記ドリルパイプ(90)に前記拡径ユニット(80)を装着する拡径ユニット装着工程(S10)と、前記拡径ユニット(80)の後方に形成されたシリンダ(20)に連通する注水口(11)から循環水(1)を注水できるように準備する注水準備工程(S20)と、前記ドリルパイプ(90)の先端部(91)に装着された前記拡径ユニット(80)により前記試錐孔(101)を拡径掘削する拡径掘削工程(S400)と、前記ドリルパイプ(90)の先端部(91)に固定された前記拡径ユニット(80)を前記収納管(5)に換装して地層サンプルを採取する地層サンプル採取工程(S80)と、を有し、前記拡径掘削工程(S400)では、注水圧制御手段(50)が前記循環水(1)を所定値以上の高水圧(HP)にして注入する高圧注水工程(S40)と、前記高水圧(HP)により前記シリンダ(20)内のピストン(25)が付勢手段(4)の弾性力(K)に抗して孔奥の方向に前進するとともに、該ピストン(25)と一体のラックギヤ(31〜33)も前進するピストン/ラックギヤ前進動作(S50)と、前記ラックギヤ(31〜33)の前進により該ラックギヤ(31〜33)に歯合する複数のピニオンギヤ(61〜63)が回転するとともに、該ピニオンギヤ(61〜63)と一体の拡径ビット(64〜66)が前記拡径ユニット(80)の直径方向(X)に展開する拡径ビット展開動作(S51)と、を有するものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の試錐方法において、前記拡径掘削工程(S400)には、バイパスバルブ開通動作(S52)と、ビット刃先冷却工程(S53)と、をさらに有し、前記バイパスバルブ開通動作(S52)では、前記ピストン/ラックギヤ前進動作(S50)に連動してバイパスバルブ(2)が開くことにより、前記循環水(1)の送水経路が折り返し水路(13)へも分岐して開通し、前記ビット刃先冷却工程(S53)では、前記折り返し水路(13)に分岐された前記循環水(1)の一部を前記複数のピニオンギヤ(61〜63)の近傍に噴射させて前記拡径ビット(64〜66)の刃先を冷却し、前記拡径掘削工程(S400)の前後には、前記拡径ビット(64〜66)を収納した状態の前記拡径ユニット(80)が前記ドリルパイプ(90)の内部を通行する非拡径挿通工程(S300)を有し、該非拡径挿通工程(S300)は、低水圧状態(S30)と、ピストン/ラックギヤ後退動作(S31)と、拡径ビット収納動作(S32)と、バイパスバルブ遮蔽動作(S33)と、を有し、前記低水圧状態(S30)では、前記注水圧制御手段(50)が前記循環水(1)を前記所定値より低い低水圧(LP)にし、前記ピストン/ラックギヤ後退動作(S31)では、前記ピストン(25)が前記付勢手段(4)の前記弾性力(K)によって試錐孔入口(102)の方向へ後退することにより前記拡径ビット収納動作(S32)し、該拡径ビット収納動作(S32)では、前記拡径ビット(64〜66)が収納されるとともにバイパスバルブ遮蔽動作(S33)し、該バイパスバルブ遮蔽動作(S33)では、前記バイパスバルブ(2)が閉じるようにしたものである。
本発明によれば、逆進中も拡径掘削が可能であり、拡径ユニットと収納管とを地中でもドリルパイプに換装できる試錐システム及び試錐方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る試錐システムの概略を示す模式説明図であり、図1(A)は収納管の挿入、図1(B)はドリルパイプの先端に収納管を装着、図1(C)はコアリング掘削、図1(D)はオーバーショットの挿入、図1(E)は収納管をワイヤで回収、図1(F)は拡径ユニットによる拡径掘削の状態をそれぞれ示す一部縦断面図、図1(G)は図1(F)の状態を正面(図の左)から視認した要部正面断面図である。 本発明の一実施形態に係る試錐システムの主要部である拡径ユニットを非拡径状態にして地中のドリルパイプを挿通可能であることを説明する縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る試錐システムの主要部である拡径ユニットを用いた逆進中の拡径掘削を説明する(A)縦断面図であり、(B)要部拡大縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る試錐方法を非拡径挿通工程から先に説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る試錐方法を拡径掘削工程から先に説明するフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一実施形態に係る試錐システム(以下、「本システム」ともいう)の概略を示す模式説明図であり、図1(A)は収納管の挿入、図1(B)はドリルパイプの先端に収納管を装着、図1(C)はコアリング掘削、図1(D)はオーバーショットの挿入、図1(E)は収納管をワイヤで回収、図1(F)は拡径ユニットによる拡径掘削の状態をそれぞれ示す一部縦断面図、図1(G)は図1(F)の状態を正面(図の左)から視認した要部正面断面図である。
図1に示すように、本システム100は、ドリルパイプ90と、拡径ユニット80と、収納管5と、オーバーショット6と、注水圧制御手段50と、を備えて構成される。なお、本システム100は、ワイヤライン(WL)工法を利用するため、図1を用いてWL工法に基づいた本システム100の構成を説明する。
まず、図1(A)に示すように、地上の孔口102に垣間見えるドリルパイプ90の基端92から内部へ収納管5を挿入する。ここは、地上部分であるため、作業者が目視しながら手作業で行える。つぎに、図1(B)に示すように、ドリルパイプ90の先端部91に収納管5を装着する。この作業については、試錐開始前であれば、ドリルパイプ90の先端部91が地上に位置するため、作業者が目視しながら手作業で行える。一方、試錐継続中であれば、各部が地中に位置するため、WL工法によって地上から遠隔操作する。
例えば、注水圧制御手段50により水圧を調整された循環水1が、孔口102からドリルパイプ90内に送水される。孔奥まで到達した循環水1は、ドリルパイプ90の先端部91において、管内から管外へあふれ出て、ドリルパイプ90の外周と孔壁103の隙間を逆流して孔口102に戻る。
その結果、圧入された循環水1は、閉塞管内で滞るようなこともなく強い水流を発生する。その水流によって、収納管5はドリルパイプ90の先端部91まで押しやられる。先端部91に到達した収納管5は、ドリルパイプ90の内周面に仮固定される。以下、その仮固定と解除の機構について、簡単に説明する。
ドリルパイプ90の内径は大部分が均一であるところ、先端部91の内径だけ、わずかに縮径された箇所がある。この縮径された内周面には、収納管5を固定するために数条の縦溝(不図示)が設けられている。
一方、収納管5は後方の連結凸部7から中央の本体までの間が概ね円錐形(図1)に延設されている。この円錐形の側面には、外径方向に起伏可能で上述の縦溝に嵌合可能な羽根状部材(不図示)が配設されている。収納管5が先端部91に到達すると、羽根状部材が少し外径側に広がるので、ドリルパイプ90の内周面の縦溝に嵌合することにより、収納管5を先端部91に固定する。
固定状態から解除するには、収納管5の連結凸部7と連結中のオーバーショット6を、地上から巻き取られるワイヤ3で引っ張る(図1(D))ことにより、羽根状部材が内径側に縮んで収納され、縦溝との嵌合が外れる。
図1(C)に示すように、先端部91が開口したドリルパイプ90の内周面に仮固定され収納管5は、ドリルパイプ90の内周より少し小さな外径の筒状体であるが、上述の仮固定により、ドリルパイプ90の軸回転と一体に回転しながらの地層サンプルを収納する。この工程はコアリング掘削とも呼ばれる。コアリング掘削によって地層サンプルを収納した収納管5は、以下の方法で孔口102まで回収される。
図1(D)に示すように、孔口102からワイヤ3に曳行されたオーバーショット6をドリルパイプ90内に挿入する。ドリルパイプ90とオーバーショット6は、シリンダ内で液圧により移動するピストンのような関係である。したがって、オーバーショット6は、循環水1の強い水流によって、ドリルパイプ90の基端部92から先端部91に位置する収納管5の手前まで押しやられる。なお、オーバーショット6は半自動連結機構を備えており、地中で拡径ユニット80又は収納管5の何れか1つと自動連結し、地上に引き上げてから手動により連結と解除の操作をすることが可能である。以下、半自動連結機構について、簡単に説明する。
収納管5は頭部(図の左)が開口し、尾部(図の右)は概ね円錐形であり、その突端の周囲に係合溝を有して連結凸部7が形成されている。一方、オーバーショット6の頭部(図の左)につかみ機構、すなわち連結凹部8が形成されている。オーバーショット6の連結凹部8は、収納管5の尾部に形成された連結凸部7に対し、押し当てれば自動的に連結され、引っ張っても外れなくなり曳行可能になる。逆に連結の解除は自動的でなく、地上に引き出してから手動操作で行う。
オーバーショット6は、連結凹部8とその近辺に内蔵された不図示のスプリングでつかみ機構を構成する。スプリングは、つかみ機構が連結凸部7をつかむ方向に弾性力を付勢している。連結凹部8は、連結凸部7に正面から当接し、スプリングの弾性に打ち勝つ力で押すと、一旦つかみ機構を広げて連結凸部7をつかんでから係合溝に深く係合して連結する。連結後は収納管5を地上へ引き出して手動解除するまでは、自動的に連結解除されることはない。
図1(E)に示すように、収納管5にオーバーショット6が連結された状態で孔口102からワイヤ3で曳行し、収納管5を孔口102まで回収できる。地上に回収された収納管5から地層サンプルが採取される。図1(A)の収納管挿入から図1(E)の収納管をワイヤで回収するまでのコアリング掘削工程は、適宜回数だけ繰り返し実行される。また、コアリング掘削中に、試錐孔101の保孔作業が必要となった場合、コアリング掘削を中断して拡径掘削を行う。これについては後述する。
図1(F)に示すように、収納管5と拡径ユニット80を差し替えることができる。両者の差し替えは、ワイヤ3に曳行されたオーバーショット6を用いるWL工法により行う。なお、収納管5の連結凸部7と同等の連結凸部9が、拡径ユニット80にも形成されているので、オーバーショット6の連結凹部8と連結可能である。つまり、オーバーショット6は、収納管5と拡径ユニット80の何れに対しても、連結と解放を自在にできる。なお、図1では、WL工法に基づいた本システム100の概要を説明するため、連結凸部7、連結凹部8及びオーバーショット6を明示したが、図2より以降の図では紙面等の都合により記載を省略している。
また、拡径ユニット80をドリルパイプ90の先端部91に仮固定し、それを解除する機構については、収納管5を仮固定した場合と同様である。さらに、ドリルパイプ90の先端部91の縮径された内周面に、拡径ユニット80被支持部を仮固定すると、嵌合部の外内周が密着してシールされた状態となる。したがって、ドリルパイプ90は拡径ユニット80の前後を境にして液密に近い状態で保持される。その結果、ドリルパイプ90の基端部92から圧入された基準水量の循環水1は、行き場を失って高水圧HPとなる。この高水圧HPの作用により、ピストン25の後面26を前方へ押し出して拡径ユニット80を拡径状態にする(図3)。
図1(F)の左から見た拡径ユニット80の要部を正面断面図として図1(G)に示すように、拡径ユニット80の拡径ビット64〜66は、拡径掘削するとき(以下、「拡径時」ともいう)に、ドリルパイプ90の外で展開されるように構成されている。また、拡径時以外の拡径ビット64〜66は、ドリルパイプ90の内径の範囲内に収納されるので、中空のドリルパイプ90内を支障なく挿通自在である。図1(G)に符号を付して示した各部材について、図2〜図5も交えて詳細に説明する。
図2は、拡径ユニット80を非拡径状態にすれば、地中のドリルパイプ90内を挿通可能であることを説明する縦断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る試錐システムの主要部である拡径ユニットを用いた逆進中の拡径掘削を説明する(A)縦断面図であり、(B)要部拡大縦断面図である。図2と図3の相違点は、拡径ユニット80の拡径ビット64,65について、図2は非拡径状態のところ、図3は拡径状態という点である。
また、図2と図3に限らず、各図にわたって同一効果の構成部材には同一符号を付して説明の重複を避ける。なお、図2及び図3では、拡径ユニット80の内部機構を詳細に説明するため、図1では付設されているものとして記載した連結凸部9、連結凹部8及びオーバーショット6の記載を省略したので、同一符号を付された同一部材であっても、各図にわたって形状が異なる場合もある。
ここで、本システム100の特徴を簡単に説明する。例えば、コアリング掘削中に、湧水層104(図3)を貫通して試錐孔101の保孔作業が必要となった場合、収納管5をワイヤ3で回収し(図1(E))、その代わりに、拡径ユニット80を非拡径状態(図2)にして地中のドリルパイプ90の先端部91まで挿通させる。つぎに、図1(F)及び図3に示すように、拡径ユニット80により孔壁103を拡径する。このとき、拡径ユニット80は、孔口102へ戻る逆進方向の拡径掘削を行うことが可能である。つまり、湧水層104を掘進方向に拡径した直後に孔壁が崩壊しても、拡径ユニット80を後退させながら拡径掘削することが可能である。
以下、本システム100の構成を詳しく説明する。ドリルパイプ90は、規定長さの鋼管を掘削深さに応じた長さだけ連結しながら、図1〜図3の左方向へ試錐孔101の掘削を進める(掘進する)ものである。このドリルパイプ90は、試錐孔101の入り口(以下、「孔口」ともいう)102の外部に設置された不図示の回転機構により試錐孔101の深さ方向に一致する中心軸Zを中心にして一体回転させるように構成されている。
ドリルパイプ90の先端部91には、拡径ユニット80を仮固定して拡径掘削することが可能である(図1(F),図3)。また、試錐孔101の保孔作業が完了したならば、ドリルパイプ90を地上に引き上げることなく、コアリング掘削を再開できる。すなわち、地中に残したドリルパイプ90の先端部91において、拡径ユニット80を再び収納管5に換装してコアリング掘削し、地層サンプルの採取を継続することが可能となる。注水圧制御手段50は、給水ポンプの機能も含み、試錐孔101に注入される循環水1の水圧を制御する。往路の循環水1は、孔口102からドリルパイプ90内に送水され、ドリルパイプ90の先端部91の拡径ユニット80に達すると、噴射ノズル18からを孔奥へと噴射される。
循環水1は、注水圧制御手段50により孔口102から水圧を付与されて孔奥に到達すると、そこを折り返し点とし、ドリルパイプ90の外周と孔壁103との隙間を通って孔口102まで戻る。復路の循環水1は、孔奥その他で発生する掘削屑を伴って孔口102まで戻るので、掘削屑を孔口102から外部へ排出することが可能である。孔口102まで戻った循環水1は、掘削屑を分離された後、注水圧制御手段50で制御されながら孔口102から再びドリルパイプ90内に送水されて循環する。
中空のドリルパイプ90の内部には、拡径ユニット80と収納管5との何れか1つだけならば、往復方向に挿通させることができる。しかし、両者が、ドリルパイプ90の内部ですれ違うことはできない。これらは、循環水1の水圧に押されて孔奥まで圧入される一方、試錐孔入口102からワイヤ3に引かれて回収することも可能である。また、後述するように、拡径ユニット80の拡径ビット64〜66は、拡径時以外、ドリルパイプ90の内径の範囲内に収納され(図2)、拡径時にドリルパイプ90の外で展開される(図1(F),図1(G),図3)ように構成されている。
拡径ユニット80は、図1〜図3にわたって、一部又は全部を示すとおりである。この拡径ユニット80は、中軸管10と、注水口11と、シリンダ20と、ピストン25と、コイルバネ(付勢手段)4に加えて、複数のラックギヤ31〜33、ピニオンギヤ61〜63、及び拡径ビット(「アウタビット」とも呼ばれる)64〜66を備えて構成される。ピニオンギヤ61〜63は、中心軸Zと直角な拡径ユニット80の断面円に対する接線に沿って配設された複数の回動軸81〜83にそれぞれ軸支されている。
なお、図1(F),図1(G)において、3組で構成されたラックギヤ31〜33、回動軸81〜83、ピニオンギヤ61〜63、及び拡径ビット64〜66の組数について、図2、図3では2組に限定して簡略に図示した。このことは、煩雑さを避けて機能を明確に図解説明する便宜上のことである。したがって、組数は2組や3組に限定するものでなく、拡径ユニット80の直径や地層の性質その他の条件によって、より多くの組数にしても構わない。
注水口11は、拡径ユニット80の後方、すなわち、孔口102側に穿設され循環水1を注入可能である。シリンダ20は、注水口11に連通する内部に形成されている。拡径ユニット80の内部には、使用時に中心軸Zに沿って中軸管10が配設されている。この中軸管10は、ピストン25を形成する円形の受圧面33の中心に植設され表裏面を貫通して前方に延在し、注水口11からシリンダ20内へ注入される循環水1を、拡径ユニット80の前方に位置する噴射ノズル18へ送水可能な送水経路を構成する。噴射ノズル18は、循環水1を孔奥へと送水することにより、掘削屑を排出することが可能である。
図2、図3において、中軸管10の長さ方向の中間位置14に、長さ方向に揃えた2条のラックギヤ31,32が、歯面を背反させるように固定されている。これら2条のラックギヤ31,32それぞれに各1枚ずつ合計2枚のピニオンギヤ61,62が歯合する。これらのピニオンギヤ61,62それぞれに拡径ビット64,65が延設されている。
説明の都合により簡略化した図2、図3に限り、拡径ビット64,65は、中心軸Zと直角な拡径ユニット80の断面円において、中心角θを180°として対称に展開する1対構成を描写している。これらの拡径ビット64,65を、拡径掘削する状態(拡径時)で最大幅に展開した形状は、飛行機か鳥の両翼に似ている。したがって、1枚の拡径ビットを回動軸81,82の方向から見た輪郭を片翼形状と称して説明する。
ただし、拡径ビット64,65は、必ずしも2枚1対である必要はない。例えば、図1(F)及び図1(G)に示すように、3枚の拡径ビット64〜66は、中心軸Zと直角な拡径ユニット80の断面円において、中心角θ=360°/3枚=120°で均等に振り分け設定され、拡径時にはロケットの尾翼か矢羽根のように展開する形状が好ましい。
3枚の拡径ビット64〜66を有する拡径ユニット80は、背反する3条のラックギヤ31〜33それぞれに、各1枚ずつ合計3枚のピニオンギヤ61〜63が歯合し、これらピニオンギヤ61〜63それぞれに拡径ビット64〜66が延設された構成である。同様に、拡径ビットがより多くの枚(組)数である場合も、中心角θが枚(組)数で均等に分割される方向に展開する構成であれば良い。
なお、背反する3条のラックギヤ31〜33については、必ずしも3条に分割されていなくても、例えば、筒状体の全外周にラックギヤの機能が具備されたものでも構わない。あるいは、中軸管10の全外周のうち、ピニオンギヤ61〜63が歯合する箇所を含む広範囲な外周面に、ラックギヤ同等の歯切りを施したものでも良い。
中軸管10は、基端部15がピストン25に植設され、先端部16がバイパスバルブ2の可動弁孔17を構成している。この先端部16はバイパスバルブ2の弁ホルダに摺動自在に密嵌されている。先端部16がピストン25とともに前進すると、弁ホルダに設けられたバイパス40に可動弁孔17が一致して開弁状態となる。開弁により、送水経路が折り返し水路13へも開通し循環水1の一部をピニオンギヤ61〜63の近傍に噴出させる構成である。この構成により、ピニオンギヤ61〜63の半径方向Mに延在する拡径ビット64〜66のビット刃先を冷却することが可能である。
以下、拡径ビット64〜66の枚(組)数は3枚(組)とし、拡径時には3枚組の矢羽根の形状に展開し、非拡径時には拡径ユニット80の外径の範囲内に収納されるものとして、詳細な動作について説明する。ピストン25は、シリンダ20内に密嵌されて進退可能である。コイルバネ4(付勢手段)は、ピストン25に後(図2、図3の右)方向の弾性力Kを付与する。なお、コイルバネ4は、それに限定されず他の構造の付勢手段でも構わない。
ラックギヤ31〜33は、ピストン25に連動して進退動作する。ピニオンギヤ61〜63は、ラックギヤ31〜33に歯合して回転する。拡径ビット64〜66は、ピニオンギヤ61〜63それぞれの半径方向Mに片翼形状をなして延在するので、複数のピニオンギヤ61〜63の正逆回転に伴って開閉可能である。複数のピニオンギヤ61〜63は1/4回転する。このように、1/4回転するピニオンギヤ61〜63の半径方向Mに片翼形状をなして延在する拡径ビット64〜66は、直角に回動するので展開状態と収納状態とを正確に設定することが可能である。
注水圧制御手段50は、不図示の給水ポンプを制御して水圧を所定値以上に高めることにより拡径ビット64〜66を展開させる。まず、注水圧制御手段50により制御された水圧は、孔口102からドリルパイプ90の管内を漏洩なく先端部91まで伝達され、拡径ユニット80の注水口11からピストン25の後面26へ到達する。
ピストン25の後面26から前(図2、図3の左)方向に、所定値以上の水圧が加えられ、コイルバネ4に常時付勢された後(図2、図3の右)方向の弾性力Kに打ち勝つことにより、ピストン25は、シリンダ20内を前進動作する。ピストン25が(図2、図3の左へ)前進動作すると、上述の歯車機構により、拡径ビット64〜66が3枚組の矢羽根の形状に展開し拡径掘削を可能にする。
逆に、水圧が所定値よりも低下することにより、コイルバネ4に付勢された弾性力Kの方が水圧に勝ってピストン25が(図2、図3の右へ)後退動作すると、上述の歯車機構により、拡径ユニット80の外径の範囲内に収納されて非拡径掘削を可能になる。拡径ビット64〜66を収納すると、拡径ユニット80がその円筒形状の外径以内に畳み込まれることにより、円筒外周に突起がなくなるので、ドリルパイプ90の管内を支障なく出し入れ動作できる。これにより、WL工法と相まって、拡径ユニット80は、ドリルパイプ90を地中に残したまま、ドリルパイプ90の管内を適宜に往復通行させることができる(図4、図5の非拡径挿通工程(S300)参照)。
循環水1の水圧を所定値よりも低下させるため、注水圧制御手段50により制御することを例示したが、これに限定するものではない。上述のように、ドリルパイプ90の先端部91に拡径ユニット80が装着されていれば、装着箇所のシール部を境にし、ドリルパイプ90の基端部92から圧入された基準水量の循環水1は、行き場を失って高水圧HPとなる。
逆に、先端部91に拡径ユニット80が装着されていなければ、ドリルパイプ90内でシールされない循環水1は、前方へ逃げて低水圧LPとなる。その結果、注水圧制御手段50が余程の高圧で大量に送水しない限り、ドリルパイプ90の先端部91に拡径ユニット80が装着されていれば低水圧LPとなる。つまり、注水圧制御手段50は、基準水量の循環水1を区別なく圧入し続けても、高水圧HPと低水圧LPの状態を適宜に得ることが可能である。
図4は、本発明の一実施形態に係る試錐方法(以下、「本方法」ともいう)を非拡径挿通工程から先に説明するフローチャートである。本システム100を用いて実行され本方法は、ドリルパイプ90の先端部91に収納管5を固定し、固定された収納管5に地層サンプルを収納し、その収納管5を試錐孔入口102まで回収することにより地層サンプルを得る試錐方法である。
収納管5は、ドリルパイプ90の先端部91に装着可能である一方、ドリルパイプ90の内部を挿通可能であり、ドリルパイプ90内を通過させて地上に回収することにより、地層サンプルを採取する。また、ドリルパイプ90の先端部91に固定された収納管5は、適宜拡径ユニット80に換装することが可能である。
図4に示すように、本方法には、拡径ユニット挿入工程(S5)と、注水準備工程(S20)と、非拡径挿通工程(S300)と、拡径掘削工程(S400)と、拡径ユニット80から収納管5への換装工程(S70)と、地層サンプル採取工程(S80)と、を有する。なお、図4に記載のドリルパイプ引出工程(S60)を本方法の効果として省略できるので、その点については後述する。
拡径ユニット挿入工程(S5)では、地上作業として孔口102において、ドリルパイプ90の基端部92から管内に拡径ユニット80を挿入する。なお、先端部91に装着された拡径ユニット80は、ドリルパイプ90を試錐孔101から抜き出すまでもなく、ドリルパイプ90の管内をワイヤライン工法(以下、「WL工法」ともいう)により、孔口102まで引き出して、拡径ユニット80を収納管5と換装することも可能である。
このように、地中にドリルパイプ90を残したままの先端部91に対し、拡径ユニット80と収納管5とを換装することができる。さらに、水圧が所定値以上の高水圧HPに保持されている間は、拡径ビット64〜66の展開された状態が維持される。したがって、掘削方向が掘進方向であるか逆進方向であるか関わらず、拡径の掘削を可能とする。
その結果、掘進において軟弱地層に遭遇し、ドリルパイプ90の外周と孔壁の間にケーシングパイプなどの補強材を孔口102から軟弱地層まで嵌入して孔壁103を補強することが必要となったような場合にも、ドリルパイプ90を孔口102の方向へ逆進させながらであっても拡径することが可能である。また、湧水層を拡径した直後に孔壁103が崩壊しても、後進させながら拡径の掘削をすることが可能である。
このような場合も含めて、ドリルパイプ90全体を試錐孔から地表に引き出すことなく、ドリルパイプ90から拡径ユニット80を適宜に着脱することができる。なお、本方法においては、試錐孔101を鉛直方向に掘進するとは限らず、水平方向に掘進する場合もある。特に鉛直方向でない場合、孔口102から試錐孔101内に適切な水圧の循環水1を注水することがワイヤライン工法を用いるために不可欠である。
注水準備工程(S20)では、本システム100の拡径ユニット80の後方に形成されたシリンダ20に連通する注水口11から循環水1を注水できるように準備する。また、収納管5と拡径ユニット80とは、ワイヤライン工法を用いて、ドリルパイプ90の内部を何れか1つずつならば通過させることができる。つまり、ワイヤ3の先端に設けた把持具であるオーバーショット6は、収納管5又は拡径ユニット80を把持してドリルパイプ90の内部を移動し、ドリルパイプ90の先端部91で解放することにより、そこに固定する。
そのため、オーバーショット6は、試錐孔入口102から注入される循環水1の水圧により試錐孔101の奥まで随時挿入される。それから、ドリルパイプ90の先端部91には、そこに到達した拡径ユニット80を所定の装着機構により一体的に装着して軸回転を可能にする。逆に、このオーバーショット6により、収納管5又は拡径ユニット80の何れか回収したいものを適宜につかんで回収することも可能である。このように、ドリルパイプ90の先端部91には、収納管5と拡径ユニット80を換装自在に固定することが可能である。
非拡径挿通工程(S300)では、拡径ユニット80の外径の範囲内に収納された拡径ユニット80をコンパクトな円筒形状に縮めることにより、ドリルパイプ90の管内を支障なく出し入れ動作し易い状態なので、拡径ユニット80を収納管5に適宜換装自在である。
非拡径挿通工程(S300)では、低水圧状態(S30)と、ピストン/ラックギヤ後退動作(S31)と、拡径ビット収納動作(S32)と、バイパスバルブ遮蔽動作(S33)と、を有する。低水圧状態(S30)では、注水圧制御手段50が、循環水1の水圧が所定値を超えないように低水圧LPに制限して孔口102に注入する。ピストン/ラックギヤ後退動作(S31)では、低水圧状態(S30)の実行により、ピストン25がコイルバネ4の弾性力により後退し、ピストン25と一体のラックギヤ31〜33も逆進する。
上述のように、循環水1の水圧を低水圧LPに制限する方法は、必ずしも注水圧制御手段50で水圧を制御すること以外の方法であっても構わない。また、低水圧LPとは、水圧をゼロにした状態も含む。したがって、上述した低水圧状態(S30)を実行するという場合、循環水1の注入を停止した状態も含まれる。つまり、注水圧制御手段50が、基準水量の循環水1の圧入を継続すれば高水圧HPの状態となり、圧入を停止すれば低水圧LPの状態となる。このように、2つの状態を適宜に区別して得ることが可能である。
拡径ビット収納動作(S32)では、ラックギヤ31〜33に歯合する複数のピニオンギヤ61〜63が戻り方向に回転し、ピニオンギヤ61〜63と一体の拡径ビット64〜66が翼を畳むように拡径ユニット80の外径以内に収納される。バイパスバルブ遮蔽動作(S33)では、低水圧状態(S30)であり、バイパスバルブ2の遮蔽状態が保持される。その結果、注水口11から掘削屑排出のため前方の噴射ノズル18のみへ送水される送水経路が構成される。
拡径掘削工程(S400)では、保孔作業のため、試錐孔101を拡径する必要がある場合に、ドリルパイプ90の先端部91に固定された拡径ユニット80の拡径ビット64〜66を展開して拡径掘削する。すなわち、ドリルパイプ90の回転に伴って、3枚組の矢羽根のような形状に展開(図1(G))された拡径ビット64〜66が一体的に回転動作する。その結果、孔壁103が拡径ビット64〜66により拡径掘削される(図1(F)、図3)。
拡径掘削工程(S400)は、高圧注水工程(S40)と、ピストン/ラックギヤ前進動作(S50)と、拡径ビット展開動作(S51)と、バイパスバルブ開通動作(S52)と、ビット刃先冷却工程(S53)と、を有する。高圧注水工程(S40)は、注水圧制御手段50が循環水1を所定値以上の高水圧HPにしてドリルパイプ90に注入する。ピストン/ラックギヤ前進動作(S50)では、高水圧HPによりシリンダ20内のピストン25がコイルバネ4の弾性力Kに抗して孔奥方向へ前進するとともに、ピストン25と一体のラックギヤ31〜33も前進する。
拡径ビット展開動作(S51)では、ラックギヤ31〜33の前進によりラックギヤ31〜33に歯合する複数のピニオンギヤ61〜63が進み方向に回転するとともに、ピニオンギヤ61〜63と一体の拡径ビット64〜66が翼を広げるように展開する。バイパスバルブ開通動作(S52)では、ピストン/ラックギヤ前進動作(S50)に連動してバイパスバルブ2が開くことにより、バイパスバルブ遮蔽動作(S33)で構成された送水経路を分岐し、折り返し水路13へも送水する。その結果、ビット刃先冷却工程(S53)により、複数のピニオンギヤ61〜63の近傍に循環水1の一部を噴出させてビット刃先冷却する。この状態で保孔作業を実行する。
拡径掘削工程(S400)により、保孔作業が完了したならば、拡径ユニット80から収納管5への換装工程(S70)により、地中に残されたドリルパイプ90の先端部91に装着されている拡径ユニット80を地中で収納管5に換装する。上述したように、本方法によれば、ドリルパイプ引出工程(S60)を省略できる。その結果、ドリルパイプ90を地上の孔口102まで一旦引出す作業が不要となり、作業効率が高められる。
ここで掘進を一旦止め、地層サンプル採取工程(S80)により地層サンプルを採取する。すなわち、ドリルパイプ90で掘進め、ドリルパイプ90に内装された収納管5内に、円柱状に切り取られた地層の一部を地層サンプルとして収納し、それを地上に回収して地層サンプルを採取する。地層サンプルを採取されて空になった収納管5は、再びドリルパイプ90の先端部91近傍の内部に固定され、より深い位置の地層サンプルを採取するため適宜に反復利用される。
図5は、本発明の一実施形態に係る試錐方法を拡径掘削工程から先に説明するフローチャートである。図4と図5の相違点は、以下のとおりである。図4は拡径ユニット挿入工程(S5)から開始し、非拡径挿通工程(S300)を先に、拡径掘削工程(S400)を後に実行する。これに対し、図5は拡径ユニット装着工程(S10)から開始し、拡径掘削工程(S400)を先に、非拡径挿通工程(S300)を後に実行する。
図4、図5に示すように、非拡径挿通工程(S300)と、拡径掘削工程(S400)とは、それぞれを随時、間欠的あるいは両者を交互に適宜回数だけ実行することが可能である。これにより、拡径ビットの展開は、試錐孔101中の任意の位置から開始して完了すれば中止できる。これらの切り替えは、注水圧制御手段50により循環水1の圧力を低水圧LPと高水圧HPに地上で切り替えることにより遠隔操作できる。すなわち、低水圧LPで非拡径挿通工程(S300)、高水圧HPで拡径掘削工程(S400)を実行できる状態となる。
上述のとおり、循環水1の圧力を低水圧LPと高水圧HPに切り替える手段の一例として、注水圧制御手段50により給水ポンプを制御して水圧を制御することを示したが、これに限定するものではない。例えば、WL工法により、ドリルパイプ90の先端部91に拡径ユニット80を換装する途中経過において、注水圧制御手段50は、基準送水量で継続するような不変設定にしたままの状態で、低水圧LPと高水圧HPに切り替えることも可能である。
上述のように、ドリルパイプ90の内部を拡径ユニット80が通過中であれば、循環水1は、まず基端部92から先端部91の方へ、そこで折り返してドリルパイプ90の外周に沿って試錐孔101の孔口102に戻る。このような循環水1の往復経路において、隘路の抵抗も少なく容易に戻れるという通水状態であれば、水圧を高水圧HPに到達させることはできず、低水圧LPの状態が得られる。これに対し、ドリルパイプ90の先端部91に拡径ユニット80が装着されていれば、装着箇所のシール部を境にして、ドリルパイプ90の基端部92から圧入された基準水量の循環水1は、行き場を失って高水圧HPの状態となる。このことも、注水圧制御手段50による圧力制御と同等の作用効果とする。
以下、本システム100及び試錐方法により地層サンプルを取得中、湧水層に遭遇したとき、孔壁103をセメントで補強する保孔方法の手順について、詳細な図示は省略して簡単に説明する。まず、試錐孔掘進時に、回収した地層サンプル(コア)に湧水層104を推定させる固有の成分が含まれていることから、試錐孔101が湧水層104に遭遇したことを地上で検知できる。ここで、WL工法により、ドリルパイプ90を地中に残したまま、先端部91に内装していた収納管5をワイヤ3で曳行して孔口102まで引き抜く。
続けてWL工法により、ドリルパイプ90の先端部91に拡径ユニット80を換装する。注水圧制御手段50により、孔口102から注入する循環水1の水圧を所定値以上の高水圧HPにする。これにより、ドリルパイプ90の先端部91に装着された拡径ユニット80から拡径ビット64〜66が展開される。なお、拡径ビット64〜66を展開する位置は、試錐孔101中の任意の位置から開始することが可能である。
地層サンプルにより推定された湧水層104の位置に基づいて、先端部91に拡径ユニット80が装着されたドリルパイプ90全体を、孔口102の方へ少し逆戻りさせる。湧水層104の少し手前から拡径を開始して、湧水層104の少し先まで拡径を実行するようにドリルパイプ90を操作する。抜き取るとき、つまり逆進方向であっても拡径掘削が可能である。必要な拡径を終了させた後、ドリルパイプ90の先端部91に装着された拡径ユニット80を孔口102からワイヤ3で引き抜いて、セメント充填ユニット(不図示)に換装する。
拡径した上端(孔口102側)までセメントを充填して固化させる。つぎに、湧水層104の前後を含む軟弱地盤の補強箇所に対し、ドリルパイプ90を挿入可能な直径の孔を再掘削する。補強後は、先端部91に収納管5が再度装着されているドリルパイプ90で掘進を再開し、地層サンプルの取得を継続する。この再掘削が完了すると、ドリルパイプ90の外径以上の試錐孔101が残り、湧水層の孔壁103はセメントで補強されている。
ケーシングによる保孔方法を、本装置100及び本方法によって行うことも好結果を奏する。なお、具体的には、上述の本システム100及び本方法により孔壁103をセメントで補強する保孔方法の手順と大差なく、拡径区間を補強するために、セメントに変えて鋼管によるケーシング挿入に対応した点が異なる。
以上、説明したように、本発明によれば、逆進中も拡径掘削が可能であり、拡径ユニットと収納管とを地中でもドリルパイプに換装できる試錐システム及び試錐方法を提供できる。
<変形実施例>
本システム100において、1/4回転するピニオンギヤ61〜63の半径方向Mに片翼形状をなして延在する拡径ビット64〜66は、直角に回動することにより、展開状態と収納状態とを正確に区別するように設定されている。しかし、拡径ビット64〜66は、必ずしも直角に回動させず、任意の拡径のサイズに調整することも可能である。詳細な図解説明は省略するが、拡径ユニット80を地上に回収した状態で、適宜設定変更することも可能である。例えば、各ギヤのかみ合わせ、バイパスバルブ2の開口位置の調整、又は、拡径ビット64〜66の交換によるビットサイズの変更等の設定変更により、拡径時の外径を規定する拡径ビット64〜66の展開程度を制御することも可能である。
本発明に係る試錐システム及び試錐方法は、地下資源開発用の地層サンプルを取得するための試錐システム及び試錐方法に採用される可能性がある。
1 循環水、2 バイパスバルブ、3 ワイヤ、4 スプリング(付勢手段)、5 収納管、6 オーバーショット、7,9 連結凸部、8 連結凹部、10 中軸管、11 注水口、13 折り返し水路、14 (中軸管10の長さ方向の)中間位置、15 (中軸管10の)基端部、16 (中軸管10の)先端部、17 可動弁孔、18 、19 、18 噴射ノズル、20 シリンダ、25 ピストン、26 (ピストン25の)後面、27 (ピストン25の)前面、31,32,33 ラックギヤ、40 バイパス、50 注水圧制御手段、61〜63, ピニオンギヤ、64〜66 拡径ビット、67〜69 、70、80 拡径ユニット、81〜83 回動軸、84 、85 、86 、87 、88 、89 周面、90 (掘削用の)ドリルパイプ、91 (ドリルパイプ90の)先端部、92 (ドリルパイプ90の)基端部、100 試錐システム、101 試錐孔、102 試錐孔入口(孔口)、103 孔壁、104 湧水層、HP 高水圧、LP 低水圧、M (ピニオンギヤ61,62の)半径方向、S5 拡径ユニット挿入工程、S10 拡径ユニット装着工程、S20 注水準備工程、S30 低水圧状態、S31 ピストン/ラックギヤ後退動作、S32 拡径ビット収納動作、S33 バイパスバルブ遮蔽動作、S40 加圧注水工程、S50 ピストン/ラックギヤ前進工程、S51 拡径ビット展開工程、S52 バイパスバルブ開通工程、S53 ビット刃先冷却工程、拡径掘削工程(S400)、非拡径挿通工程(S300)、T (周面89の)接線方向、X (拡径ユニット80の)直径方向、Z (拡径ユニット80の)中心軸

Claims (7)

  1. 試錐孔を掘削するドリルパイプと、
    該ドリルパイプの先端部に中心軸を一致させて、地層サンプル採取用の収納管と換装可能に装着され拡径掘削する拡径ユニットと、
    前記試錐孔に注入される循環水の水圧を制御する注水圧制御手段と、
    を備えた試錐システムであって、
    前記拡径ユニットと前記収納管とは何れか1つずつを前記ドリルパイプの内部に挿通され、前記循環水により前記先端部まで押しやられた際に前記拡径ユニット又は前記収納管の一部と前記先端部とが嵌合されることで前記ドリルパイプに仮固定される一方で、試錐孔入口からワイヤで引き戻すことにより回収可能であり、
    前記拡径ユニットは、
    後方に穿設され前記循環水を注入可能な注水口と、
    該注水口に連通する内部に形成されたシリンダと、
    該シリンダ内に密嵌されて進退可能なピストンと、
    該ピストンに後方向の弾性力を付与する付勢手段と、
    前記ピストンに連動して進退動作するラックギヤと、
    該ラックギヤに歯合して回転する複数のピニオンギヤと、
    該ピニオンギヤそれぞれの半径方向に片翼形状をなして延在し、前記複数のピニオンギヤの正逆回転に伴って開閉可能な拡径ビットと、を備え、
    前記注水圧制御手段により前記水圧を所定値以上の高水圧に高めたときだけ、該高水圧により前記注水口から前記シリンダ内の前記ピストンを前記付勢手段の弾性力に抗して押し出し、前記ピストンに連動して前記ラックギヤ及び前記ピニオンギヤが動作することにより、前記拡径ビットが前記拡径ユニットの直径方向に展開する試錐システム。
  2. 前記拡径ユニットは、前記中心軸に一致する中軸管を備え、
    該中軸管は、基端部が前記ピストンを貫通して植設されるとともに受圧面側から前方に延在し、
    前記注水口から前記シリンダ内へ注入される循環水を、前記拡径ユニットの前方に位置する噴射ノズルへ送水可能な送水経路を構成し、
    前記中軸管の長さ方向の中間位置に前記ラックギヤが付設された請求項1に記載の試錐システム。
  3. 前記中軸管の先端部は、バイパスバルブの可動弁孔を備えるとともに該バイパスバルブの本体に摺動自在に密嵌され、
    前記ピストンが前進すると、前記バイパスバルブに設けられたバイパスに前記可動弁孔が連通して開弁状態となり、
    前記循環水の一部を前記ピニオンギヤの近傍に噴出させる折り返し水路をさらに備えた請求項2に記載の試錐システム。
  4. 前記ピニオンギヤは1/4回転する請求項1〜3の何れか1項に記載の試錐システム。
  5. 前記拡径ビットは、3枚であり、前記中心軸と直角な前記拡径ユニットの断面円において、中心角θが120°で3等分される展開方向に配設されている請求項1〜4の何れか1項に記載の試錐システム。
  6. ドリルパイプの先端部に固定されて地層サンプルを収納した収納管を試錐孔入口まで回収することにより地層サンプルを得る試錐方法であって、
    前記ドリルパイプの先端部に前記収納管及び拡径ユニットのうち何れか一方を着脱可能な状態で固定し、
    ワイヤライン工法により前記収納管及び前記拡径ユニットのうち何れか1つずつが前記ドリルパイプの内部を往復通行し、
    該往復通行は、前記試錐孔入口から注入される循環水の水圧により試錐孔の奥まで随時挿入される一方、ワイヤで前記試錐孔入口まで適宜に引き戻され、
    前記ドリルパイプに前記拡径ユニットを装着する拡径ユニット装着工程と、
    前記拡径ユニットの後方に形成されたシリンダに連通する注水口から循環水を注水できるように準備する注水準備工程と、
    前記ドリルパイプの先端部に装着された前記拡径ユニットにより前記試錐孔を拡径掘削する拡径掘削工程と、
    前記ドリルパイプの先端部に固定された前記拡径ユニットを前記収納管に換装して地層サンプルを採取する地層サンプル採取工程と、
    を有し、
    前記拡径掘削工程では、
    注水圧制御手段が前記循環水を所定値以上の高水圧にして注入する高圧注水工程と、
    前記高水圧により前記シリンダ内のピストンが付勢手段の弾性力に抗して孔奥の方向に前進するとともに、該ピストンと一体のラックギヤも前進するピストン/ラックギヤ前進動作と、
    前記ラックギヤの前進により該ラックギヤに歯合する複数のピニオンギヤが回転するとともに、該ピニオンギヤと一体の拡径ビットが前記拡径ユニットの直径方向に展開する拡径ビット展開動作と、
    を有する試錐方法。
  7. 前記拡径掘削工程には、バイパスバルブ開通動作と、ビット刃先冷却工程と、をさらに有し、
    前記バイパスバルブ開通動作では、前記ピストン/ラックギヤ前進動作に連動してバイパスバルブが開くことにより、前記循環水の送水経路が折り返し水路へも分岐して開通し、
    前記ビット刃先冷却工程では、前記折り返し水路に分岐された前記循環水の一部を前記複数のピニオンギヤの近傍に噴射させて前記拡径ビットの刃先を冷却し、
    前記拡径掘削工程の前後には、前記拡径ビットを収納した状態の前記拡径ユニットが前記ドリルパイプの内部を通行する非拡径挿通工程を有し、
    該非拡径挿通工程は、低水圧状態と、ピストン/ラックギヤ後退動作と、拡径ビット収納動作と、バイパスバルブ遮蔽動作と、を有し、
    前記低水圧状態では、前記注水圧制御手段が前記循環水を前記所定値より低い低水圧にし、
    前記ピストン/ラックギヤ後退動作では、前記ピストンが前記付勢手段の前記弾性力によって試錐孔入口の方向へ後退することにより前記拡径ビット収納動作し、
    該拡径ビット収納動作では、前記拡径ビットが収納されるとともにバイパスバルブ遮蔽動作し、
    該バイパスバルブ遮蔽動作では、前記バイパスバルブが閉じるようにした請求項6に記載の試錐方法。
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