JP6748566B2 - 打設施工管理装置、打設施工管理方法、及び打設施工管理プログラム - Google Patents

打設施工管理装置、打設施工管理方法、及び打設施工管理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、打設施工管理装置、打設施工管理方法、及び打設施工管理プログラムに関する。
橋梁、建物等の構造物の基礎として、及び地滑り等の土塊の移動を抑制するために、鋼管杭が広く利用されている。この鋼管杭の施工では、鋼管杭の先端が、支持層となる強固な地盤まで到達していることが重要である。そのため、従来から、鋼管杭の先端が支持層まで到達していることを確認する様々な方法が開発されてきた。例えば、特許文献1及び2のような方法が知られている。
特許文献1により提案される方法では、予め行われるボーリング調査により、地質柱状図を作成し、この地質柱状図から、各地層に対応した地層深度を設定する。そして、オーガロットの先端位置の貫入深度を深度センサにより検出し、検出した深度の測定値により、オーガロットが所望の地層深度まで到達したか否かを判定する。
更に、振動センサによりオーガロットの振動を測定し、測定した振動データをフーリエ変換して、オーガロットの振動の周波数スペクトラムデータを得る。そして、設定した地層深度の間で、周波数帯域毎の最大値の平均値が大きく変化しているか否かによって、オーガロットの先端が支持層に到達したか否かを判定する。
一方、特許文献2では、ダウンザホールハンマを圧縮空気により作動させて削孔ビットに打撃を加えて地盤を削孔する施工において、削孔機構の先端が支持層に到達したか否かを判定する方法が提案されている。具体的には、コンプレッサから供給される圧縮空気の圧力及び圧縮空気量をそれぞれ測定し、測定された圧縮空気の圧力及び圧縮空気量に基づいて削孔機構の先端が支持層に到達したか否かを判定する。
特開2000−019261号公報 特開2011−122335号公報
特許文献1の方法では、オーガロットの振動の周波数スペクトラムデータにより地層変化を判定し、事前の地質調査結果の整合性を確認することができる。しかしながら、この方法では、オーガロットの到達した地層の硬さを特定することはできないため、オーガロットの到達した地層が支持層であるか否かを判定することはできない。
地質調査は比較的に広いピッチで行われるため、地質調査の行われた箇所と鋼管杭を打設する箇所とで、その地質が大きく異なる可能性がある。特許文献1の方法では、オーガロットの到達した地層が支持層であるか否かを判定することはできないため、このような地質の相違に対応することもできない。
一方、特許文献2の方法では、打撃用の圧縮空気の圧力及び圧縮空気量に基づいて、削孔機構の先端が到達した地層の硬さを特定することができる。したがって、鋼管杭を打設する箇所の地層が地質調査を行った箇所と大きく相違していても、鋼管杭の先端が支持層に到達しているか否かを判定することができる。
しかしながら、圧縮空気を送出するコンプレッサと削孔位置とが離れている等の原因により、圧縮空気の圧力及び圧縮空気量の計測データが丸められてしまう場合がある。計測データが丸められてしまうと、この計測データ上で、削孔先端が支持層に到達したことを示す根拠となる明確な変化点を見出すのが困難になってしまう。そのため、削孔先端が支持層に到達していることを適切に確認できない可能性があった。
本発明は、一側面では、このような点を考慮してなされたものであり、その目的は、削孔ビット等の削孔具に打撃を加えて地盤を掘削して、鋼管杭等の杭を挿入する削孔を形成する際に、削孔先端が支持層に到達したことを適切に確認可能な技術を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の一側面に係る打設施工管理装置は、削孔具に打撃を加えて地盤を掘削する掘削機について、前記削孔具の掘削深度を示す掘削深度情報と、前記掘削深度に対応した、前記削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報と、を取得する情報取得部と、前記打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、前記掘削深度情報の示す掘削深度にある前記削孔具が支持層に到達したか否かを判定する判定部と、を備える。
上記構成に係る打設施工管理装置は、削孔具に打撃を加えて地盤を掘削する掘削機について、削孔具の掘削深度を示す掘削深度情報と、掘削深度に対応した、削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報を取得する。そして、上記構成に係る打設施工管理装置は、取得した打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、掘削深度情報の示す掘削深度にある削孔具が支持層に到達したか否かを判定する。
削孔具に打撃を加えて地盤を掘削する際、当該削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数(換言すると、所定量だけ貫入させるために削孔具を打撃した回数)は、掘削する地盤の硬さに依存する。つまり、地盤が硬ければ硬いほど、削孔具を打撃する回数を増やさないと地盤を掘削することはできない。他方、地盤が柔らかければ柔らかいほど、削孔具を打撃する回数が少なくても地盤を掘削することができる。上記構成では、これを利用して、削孔先端が支持層となる硬い地盤まで到達したか否かを判定する。
ここで、打撃回数のデータは、例えば、打撃した回数をカウントすることにより得られる離散型データであるため、コンプレッサから送出される圧縮空気の圧力及び圧縮空気量の計測データとは異なり、丸められにくい。すなわち、打撃回数のデータは、掘削する地盤の硬さに応じて明確に変化する。よって、上記構成によれば、削孔ビット等の削孔具に打撃を加えて地盤を掘削して、鋼管杭等の杭を挿入する削孔を形成する際に、削孔先端が支持層に到達したことを適切に確認することができる。
また、上記一側面に係る打設施工管理装置の別の形態として、前記判定部は、前記掘削深度情報の示す掘削深度が、前記掘削機により掘削した削孔に杭を挿入する長さとして設定された設定杭長以上であるか否かを判定することによって、前記削孔具が当該設定杭長に到達したか否かを更に判定してもよい。当該構成によれば、掘削による削孔の深さが設定杭長に到達したことを検知した上で、当該削孔の先端が支持層まで到達したことを適切に確認することができる。したがって、削孔の深さが設定杭長に到達しない状態で、掘削機による掘削が終了することを防ぐことができ、確実な施工管理を行うことができる。
また、上記一側面に係る打設施工管理装置の別の形態として、上記打設施工管理装置は、前記掘削深度情報と前記打撃回数情報とを関連付けて施工履歴情報として記憶する記憶装置を更に備えてもよい。当該構成によれば、削孔先端が支持層まで到達したか否かを判定するのに利用する打撃回数情報を掘削深度情報と関連付けて記憶装置に記憶させることで、掘削機により支持層まで地盤を掘削したことを示す施工記録を残すことができる。
また、上記一側面に係る打設施工管理装置の別の形態として、前記情報取得部は、前記掘削機の打撃による振動を測定可能な位置に取り付けた加速度センサの測定結果に基づいて、前記掘削機の打撃回数を計測することで、前記打撃回数情報を取得してもよい。当該構成によれば、掘削機の打撃回数を示す打撃回数情報を安価かつ簡易な方法で取得することができる。すなわち、当該構成によれば、打設施工管理装置の製造コストを抑えることができる。
また、上記一側面に係る打設施工管理装置の別の形態として、前記削孔具は、削孔ビットであってよく、前記情報取得部は、前記削孔ビットを回転させながら、ダウンザホールハンマにより前記削孔ビットに打撃を加えることで地盤を掘削する掘削機について、前記掘削深度情報と前記打撃回数情報とを取得してもよい。当該構成によれば、ダウンザホールハンマを用いた掘削において、削孔先端が支持層まで到達したことを適切に確認することができる。
なお、上記各形態に係る打設施工管理装置の別の形態として、以上の各構成を実現する情報処理システムであってもよいし、情報処理方法であってもよいし、プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータその他装置、機械等が読み取り可能な記憶媒体であってもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は、化学的作用によって蓄積する媒体である。
例えば、本発明の一側面に係る打設施工管理方法は、コンピュータが、削孔具に打撃を加えて地盤を掘削する掘削機について、前記削孔具の掘削深度を示す掘削深度情報と、前記掘削深度に対応した、前記削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報と、を取得するステップと、前記打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、前記掘削深度情報の示す掘削深度にある前記削孔具が支持層に到達したか否かを判定するステップと、を実行する情報処理方法である。
また、例えば、本発明の一側面に係る打設施工管理プログラムは、コンピュータに、削孔具に打撃を加えて地盤を掘削する掘削機について、前記削孔具の掘削深度を示す掘削深度情報と、前記掘削深度に対応した、前記削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報と、を取得するステップと、前記打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、前記掘削深度情報の示す掘削深度にある前記削孔具が支持層に到達したか否かを判定するステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、削孔ビット等の削孔具に打撃を加えて地盤を掘削して、鋼管杭等の杭を挿入する削孔を形成する際に、削孔先端が支持層に到達したことを適切に確認することができる。
図1は、本発明が適用される場面の一例を模式的に示す。 図2は、実施の形態に係る掘削機の構成の一例を例示する。 図3は、実施の形態に係る打設施工管理装置のハードウェア構成の一例を例示する。 図4は、実施の形態に係る打設施工管理装置の機能構成の一例を例示する。 図5Aは、実施の形態に係る掘削機による鋼管杭の打設過程の一例を例示する。 図5Bは、実施の形態に係る掘削機による鋼管杭の打設過程の一例を例示する。 図5Cは、実施の形態に係る掘削機による鋼管杭の打設過程の一例を例示する。 図5Dは、実施の形態に係る掘削機による鋼管杭の打設過程の一例を例示する。 図5Eは、実施の形態に係る掘削機による鋼管杭の打設過程の一例を例示する。 図6Aは、実施の形態に係る掘削機において新たな鋼管をセットする過程を例示する。 図6Bは、実施の形態に係る掘削機において新たな鋼管をセットする過程を例示する。 図7は、実施の形態に係る打設施工管理装置による打設施工管理の処理手順の一例を例示する。 図8Aは、実施の形態に係る加速度センサの測定データの一例を模式的に例示する。 図8Bは、図8Aで示す測定データを平滑化した状態の一例を模式的に例示する。 図9は、実施の形態に係る施工履歴情報の一例を模式的に例示する。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、本実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメタ、マシン語等で指定される。
§1 適用場面
まず、図1を用いて、本発明が適用される場面について説明する。図1は、本実施形態に係る打設施工管理装置1の適用場面の一例を模式的に例示する。図1の例では、鋼管杭を打設する位置に掘削機2が配置されている。この掘削機2は、削孔具(後述する削孔ビット28)に打撃を加えて地盤を掘削するタイプの掘削機である。オペレータは、操作盤221を介して掘削機2の駆動装置22を操作することで、対象の位置を掘削し、鋼管5を打設する削孔を形成することができる。打設施工管理装置1は、このような掘削機2のガイドセル21に取り付けられた情報処理装置であり、削孔先端が支持層となる硬い地盤まで到達したか否かを監視する。
具体的には、打設施工管理装置1は、掘削機2について、削孔具の掘削深度を示す掘削深度情報と、掘削深度に対応した、削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報を取得する。本実施形態では、打設施工管理装置1は、エンコーダ15の測定データに基づいて掘削深度情報を取得し、加速度センサ16の測定データに基づいて打撃回数情報を取得する。そして、打設施工管理装置1は、打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、掘削深度情報の示す掘削深度にある削孔具が支持層に到達したか否かを判定する。
上記のとおり、削孔具に打撃を加えて地盤を掘削する際、当該削孔具の所定貫入量当たりの打撃回数は、掘削する地盤の硬さに依存する。すなわち、支持層となる硬い地盤では打撃回数が多くなり、支持層にならない柔らかい地盤では打撃回数は少なくなる。そのため、所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、削孔具が支持層に到達したか否かを判定することができる。本実施形態に係る打設施工管理装置1は、この判定結果により、掘削機2の形成する削孔の先端が支持層となる硬い地盤まで到達したか否かを監視する。
ここで、削孔先端が支持層に到達したか否かを判定するのに利用する打撃回数のデータは、打撃した回数をカウントすることにより得られる離散型データであるため、丸められにくく、掘削する地盤の硬さに応じて明確に変化し得る。したがって、本実施形態によれば、掘削機2により削孔具に打撃を加えて地盤を掘削して、鋼管5を挿入する削孔を形成する際に、削孔先端が支持層に到達したことを適切に確認することができる。
§2 構成例
[掘削機]
次に、図2を用いて、掘削機2の構成の一例を説明する。図2は、本実施形態に係る掘削機2の削孔機構の一例を例示する。図2の例では、掘削機2は、ダウンザホールハンマ25によって、いわゆる回転打撃式で掘削する削孔機構を備えている。
具体的に、掘削機2は、地盤上に立設される柱状のガイドセル21と、当該ガイドセル21に対してチェーン駆動により上下方向に昇降自在に取り付けられた駆動装置22と、を備えている。駆動装置22の回転軸には、打設する鋼管5内に挿入可能な中空の削孔ロッド23が取り付けられており、削孔ロッド23の先端には、ガイドスリーブ24を介して、ダウンザホールハンマ25が取り付けられている。更に、ダウンザホールハンマ25には、ガイドデバイス26を介して、削孔ビット28が取り付けられている。削孔ビット28は、本発明の「削孔具」に相当する。一方、外管であり杭となる鋼管5の先端には、ケーシングシュー51が取り付けられている。ケーシングシュー51は、その先方に削孔ビット28を突出させた状態でガイドデバイス26と係合するように構成されている。
掘削の際には、駆動装置22に、コンプレッサ(不図示)から圧縮空気が供給される。駆動装置22は、削孔ロッド23を所定方向に回転させながら、当該削孔ロッド23内に圧縮空気を送り込む。削孔ロッド23内に送り込まれた圧縮空気は、ガイドスリーブ24を介してダウンザホールハンマ25内のシリンダに送入する。この圧縮空気により、ダウンザホールハンマ25は、ハンマピストンを往復させて、削孔ビット28を含むビット部分に打撃を加えるようになっている。加えて、削孔ロッド23の回転により削孔ビット28も回転している。この回転及び打撃により、掘削面が削られていく。すなわち、掘削機2は、削孔ビット28を回転させながら、ダウンザホールハンマ25により削孔ビット28に打撃を加えることで地盤を掘削する。
ここで、削孔ビット28は、偏心拡径構造を有している。すなわち、掘削の際に、削孔ビット28を所定方向(例えば、左ネジ方向)に回転させると、ガイドデバイス26がケーシングシュー51に係合し、削孔ビット28は、ケーシングシュー51の先から突出した後に、径方向外側に飛び出す、すなわち、拡径する(後述する図5B)。これにより、削孔ビット28は、鋼管5よりもやや大きい径の孔を掘削する。リーマ27は、削孔ビット28が地盤を掘削している際に、偏心拡径して削孔を横方向に拡げる。
なお、外管である鋼管5は、打撃力も回転力も受けないが、ケーシングシュー51がガイドデバイス26に係合していることによって、削孔ビット28の推進と共に牽引されて、地中に貫入打設されていく。また、削孔ビット28が地中に進むにつれて、駆動装置22も下方に移動していく。
一方、掘削を終了して、削孔ビット28を回収する際には、削孔ビット28を上記とは反対方向に回転させる。これにより、ガイドデバイス26とケーシングシュー51との係合は外れると共に、削孔ビット28の拡径は解除される。そのため、鋼管5内を挿通させて、削孔ビット28を回収することができる。以上のような構成により、本実施形態に係る掘削機2は、鋼管5を打設する孔を掘削することができる。
[打設施工管理装置]
(ハードウェア構成)
次に、図3を用いて、打設施工管理装置1のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、本実施形態に係る打設施工管理装置1のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。図3に例示されるように、本実施形態に係る打設施工管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む制御部11、制御部11で実行されるプログラム8等を記憶する記憶部12、及び外部装置と接続するための外部インタフェース13が電気的に接続されたコンピュータである。ただし、図3では、外部インタフェースを「外部I/F」と記載している。
本実施形態に係る打設施工管理装置1は、各外部インタフェース13を介して、エンコーダ15及び加速度センサ16に接続している。
エンコーダ15は、掘削深度情報を取得するために用いられる。このエンコーダ15には、掘削深度を測定可能な公知のエンコーダが適宜採用されてよい。例えば、エンコーダ15として、ムトーエンジニアリング社製のD1000Z等のワイヤ式リニアエンコーダを利用することができる。
ワイヤ式リニアエンコーダは、ワイヤの引出し量で装置の移動距離を計測するエンコーダである。このワイヤ式リニアエンコーダによれば、図1及び図2に例示されるように、ガイドセル21の上端付近に取り付けて、駆動装置22を昇降させるチェーンの移動量を計測することができる。
チェーンの移動量は、駆動装置22の降下量に対応し、駆動装置22の降下量は、掘削機2の削孔ビット28の貫入量に対応する。そのため、打設施工管理装置1は、ワイヤ式リニアエンコーダの測定データに基づいて、掘削機2の掘削深度を算出し、掘削深度情報を取得することができる。
一方、加速度センサ16は、掘削機2の打撃回数情報を取得するために用いられる。この加速度センサ16には、対象物の加速度を測定可能な公知の加速度センサが適宜採用されてよい。例えば、加速度センサ16として、テクノサイエンス社製のBL100を利用することができる。
本実施形態では、加速度センサ16は、ガイドセル21の上端側に取り付けられている。ガイドセル21には、駆動装置22及び削孔ロッド23を介して、ダウンザホールハンマ25による打撃の振動が伝達する。すなわち、ガイドセル21は、ダウンザホールハンマ25が削孔ビット28を打撃するのに応じて振動している。
したがって、ガイドセル21に取り付けた加速度センサ16によって、ダウンザホールハンマ25の打撃に応じた振動を測定することができる。そのため、打設施工管理装置1は、加速度センサ16の測定データに基づいて、削孔ビット28の打撃回数をカウントし、打撃回数情報を取得することができる。加速度センサは安価に入手可能であるため、本実施形態によれば、打設施工管理装置1の製造コストを抑えることができる。
なお、加速度センサ16の取り付ける位置は、このような例に限定されなくてもよく、削孔ビット28の打撃による振動を測定可能な位置であれば、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、加速度センサ16は、駆動装置22に取り付けられてもよい。
また、記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部12に記憶されるプログラム8は、打設施工管理装置1の制御部11に各構成要素を制御させ、後述する鋼管5の打設の施工管理に関する各処理を実行させるためのプログラムである。このプログラム8は、本発明の「打設施工管理プログラム」に相当する。このプログラム8は、記憶媒体9に記憶されていてもよい。
記憶媒体9は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。本実施形態に係る打設施工管理装置1は、外部インタフェース13を介してドライブ18に接続可能であり、このドライブ18により記憶媒体9に記憶された情報を読み取ることで、プログラム8を取得してもよい。
なお、図3では、記憶媒体9の一例として、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスク型の記憶媒体が例示されている。しかしながら、記憶媒体9の種類は、ディスク型に限定される訳ではなく、ディスク型以外であってもよい。ディスク型以外の記憶媒体として、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを挙げることができる。
本実施形態に係る打設施工管理装置1は、以上のようなハードウェア構成を有する。ただし、打設施工管理装置1の具体的なハードウェア構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、打設施工管理装置1は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、デスクトップ型PC(Personal Computer)、タブレットPC等の汎用の情報処理装置であってもよい。更に、打設施工管理装置1は、1又は複数台の情報処理装置により構成されてよい。
(機能構成)
次に、図4を用いて、打設施工管理装置1の機能構成の一例を説明する。図4は、本実施形態に係る打設施工管理装置1の機能構成の一例を模式的に例示する。本実施形態では、打設施工管理装置1の制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラム8をRAMに展開する。そして、制御部11は、RAMに展開されたプログラム8をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これにより、打設施工管理装置1は、情報取得部111、判定部112、及び履歴作成部113を備えるコンピュータとして機能する。
情報取得部111は、削孔ビット28の掘削深度を示す掘削深度情報121と、掘削深度に対応した、削孔ビット28の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報122と、を取得する。判定部112は、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、掘削深度情報121の示す掘削深度にある削孔ビット28が支持層に到達したか否かを判定する。そして、履歴作成部113は、掘削深度情報121と打撃回数情報122とを関連付けて施工履歴情報123を作成し、作成した施工履歴情報123を記憶部12等の記憶装置に保存する。
なお、本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPUによって実現される例を説明している。しかしながら、これらの機能の一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。また、打設施工管理装置1の機能構成に関して、実施形態に応じて、適宜、機能の省略、置換、及び追加が行われてもよい。例えば、施工履歴情報123を作成しない場合には、履歴作成部113は省略されてもよい。各機能に関しては後述する動作例で詳細に説明する。
§3 動作例
[施工手順]
次に、図5A〜図5E、図6A及び図6Bを用いて、本実施形態に係る掘削機2による鋼管5の打設の施工手順について説明する。図5A〜図5Eは、掘削機2による鋼管5の打設過程の一例を例示する。本実施形態では、掘削機2は、ダウンザホールハンマ25を用いた二重管削孔方式により鋼管5の削孔を行い、複数本の鋼管5を継ぎ足して所定の杭長の鋼管杭を形成する、いわゆるST(Strong Tubfix)マイクロパイル工法を実施する。図6A及び図6Bは、掘削機2において新たな鋼管5を継ぎ足す過程を例示する。なお、以下で説明する施工手順は一例に過ぎず、各工程は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する施工手順について、実施の形態に応じて、適宜、工程の省略、置換、及び追加が可能である。
(第1工程)
まず、第1工程では、図5Aに例示されるように、削孔ビット28を先端に装着した削孔ロッド23を鋼管5内に挿入し、駆動装置22によって削孔ロッド23を駆動する。上記のとおり、駆動装置22を駆動すると、鋼管5の先端から突出し、かつ径方向外側に拡径した削孔ビット28にダウンザホールハンマ25を介して回転及び打撃が加えられる。この回転及び打撃を利用して、削孔ビット28は、鋼管5よりもやや大きい径の孔を掘削していく。
外管である鋼管5は、ケーシングシュー51がガイドデバイス26に係合していることによって、削孔ビット28の推進と共に牽引されて、地中に貫入打設されていく。また、削孔ビット28が地中に進むにつれて、駆動装置22も下方に移動していく。鋼管5がほぼ地中に埋まるまで、この第1工程による削孔を継続する。そして、鋼管5がほぼ地中に埋まり、地中に打設した鋼管5の長さが所定の杭長に到達していない等の理由により、更に鋼管5を追加する場合には、次の第2工程を実施する。
(第2工程)
次の第2工程では、図5B、図6A及び図6Bに例示されるように、新たな鋼管5及び削孔ロッド23を継ぎ足す。具体的には、図6Aに例示される状態にある駆動装置22から削孔ロッド23を取り外し、操作盤221を操作して、駆動装置22を上方へ移動させる。続いて、図6Bに例示されるように、削孔から露出した削孔ロッド23及び鋼管5の後端それぞれに、追加の削孔ロッド23及び鋼管5を継ぎ足す。
削孔ロッド23同士及び鋼管5同士それぞれを接続する方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、ネジ継手であるカプラ231により、削孔ロッド23同士を接続することができる。同様に、カプラ式のネジ継手により、鋼管5同士を接続することができる。
上記の第1工程と第2工程を、地中に打設した鋼管5の合計の長さが所定の杭長になり、鋼管5の先端が支持層となる硬い地盤まで到達するまで繰り返す。所定の杭長(後述する設定杭長)は、実施の形態に応じて適宜設定可能である。1本の削孔ロッド23及び鋼管5の長さは、標準的には3m程度である。そのため、所定の杭長を9mに設定した場合には、少なくとも3本の鋼管5を打設するまで、第1工程と第2工程とを繰り返す。鋼管5の先端が支持層に到達したか否かは、後述する打設施工管理装置1の情報処理により判定する。なお、1本の鋼管5が所定の杭長よりも長い場合には、第2工程は省略可能である。
(第3工程)
次の第3工程では、図5Cに例示されるように、削孔に利用した削孔ビット28を含む削孔ロッド23を回収する。上記のとおり、削孔ロッド23を回収する際には、第1工程とは反対方向に駆動装置22を回転させる。これにより、ガイドデバイス26とケーシングシュー51との係合は外れると共に、削孔ビット28の拡径は解除されて、削孔ビット28が鋼管5内に挿入可能な状態になる。この状態で、駆動装置22を上方に移動させることで、削孔ロッド23及び削孔ビット28を回収することができる。
(第4工程)
次の第4工程では、図5Dに例示されるように、膨張収縮自在に構成されたパッカー30を先端に取り付けた注入管31を鋼管5内に挿入する。グラウト材を注入する位置まで、注入管31を挿入した後、パッカー30を適宜膨張させる。これにより、グラウト材を注入可能な状態になる。
(第5工程)
次の第5工程では、注入管31を介して、削孔内にグラウト材6を注入する。鋼管5には、節突起及び吐出孔が所定ピッチで設けられている。鋼管5内の注入管31から上方の部分はパッカー30によって閉塞しているため、注入管31により鋼管5内にグラウト材6を注入すると、吐出孔から削孔内にグラウト材6が吐出される。すなわち、鋼管5の先端側で、節突起がグラウト材6に埋もれながら、グラウト材6が充填されていく。
充分な量のグラウト材を注入した後には、図5Eに例示されるように、パッカー30を含む注入管31を回収する。以上により、本実施形態に係る打設工程は完了である。充填されたグラウト材6が硬化すると、鋼管5の先端部分がグラウト材6により地盤に固定される。これによって、鋼管5及びグラウト材6による鋼管杭が形成される。
(各工程の実施タイミングに関して)
なお、上記第1工程〜第3工程を実施してから次の第4工程及び第5工程によるグラウト材6の注入を実施するまでは、地中には、鋼管5のみが打設された状態になる。このため、第3工程の後に直ちに第4工程及び第5工程を実施するのではなく、他の鋼管杭の打設位置で上記第1工程〜第3工程を実施することで、グラウト材6の注入工程の前に、各打設位置における鋼管5の打設工程を完了させてもよい。
このようにすることで、本実施形態では、次のような効果を得ることができる。すなわち、グラウト材6を一度注入すると、鋼管5の継ぎ足しが難しくなる。そのため、グラウト材6を注入する前に、後述する打設施工管理装置1の情報処理により、鋼管5の先端が支持層に到達していることを確認する。これにより、いずれかの鋼管杭で、鋼管5の先端が支持層に到達していないことが判明した場合には、その鋼管杭において、鋼管5の継ぎ足しによる杭長の修正を行うことができる。したがって、本実施形態に係る工法では、各鋼管杭で第3工程までを実施し、第4工程に移行する前に、鋼管5の先端が支持層に到達していることの確認作業を行うことで、各鋼管杭が確実に支持層に到達するようにすることができる。
[打設施工管理]
次に、図7を用いて、打設施工管理装置1の動作例を説明する。図7は、本実施形態に係る打設施工管理装置1による打設施工管理の処理手順の一例を例示する。以下で説明する処理手順は、本発明の「打設施工管理方法」に相当する。ただし、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。
(ステップS101)
まず、ステップS101では、制御部11は、情報取得部111として機能し、掘削機2について、削孔ビット28の掘削深度を示す掘削深度情報121と、掘削深度に対応した、削孔ビット28の所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報122と、を取得する。掘削深度情報121及び打撃回数情報122を取得した後、制御部11は、次のステップS102に処理を進める。
本実施形態では、掘削深度情報121は、エンコーダ15の測定結果から取得される。エンコーダ15は、例えば、ワイヤ式リニアエンコーダであり、駆動装置22を昇降させるチェーンの移動量を測定することができる。チェーンの移動量は、駆動装置22の降下量に対応し、駆動装置22の降下量は、削孔ビット28の貫入量に対応する。そのため、制御部11は、エンコーダ15からチェーンの移動量の測定データを取得し、取得した測定データに基づいて削孔ビット28の貫入量を算出することで、削孔ビット28の掘削深度を特定し、掘削深度情報121を取得することができる。
また、本実施形態では、打撃回数情報122は、加速度センサ16の測定結果から取得される。加速度センサ16は、ガイドセル21の上端側に取り付けられており、このガイドセル21には、駆動装置22及び削孔ロッド23を介して、ダウンザホールハンマ25による打撃の振動が伝達する。制御部11は、加速度センサ16によってガイドセル21の振動を測定し、その測定結果に基づいて、掘削機2におけるダウンザホールハンマ25の打撃回数を計測することで、打撃回数情報122を取得する。
具体的には、制御部11は、加速度センサ16により得られたガイドセル21の振動の波形データ(測定データ)に平滑化処理を適用して、平滑化された振動の波形データを取得する。そして、制御部11は、所定貫入量毎に表れる極大値又は極小値をとる点の数をカウントすることで、所定貫入量当たりの打撃回数を計測し、打撃回数情報122を取得する。
打撃回数をカウントする基準となる所定貫入量は、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。本実施形態では、所定貫入量は、例えば、0.1mに設定される。すなわち、制御部11は、削孔ビット28を0.1m分貫入させる間にダウンザホールハンマ25により行った打撃回数を打撃回数情報122として取得する。
ここで、図8A及び図8Bを用いて、上記打撃回数情報122を取得する処理について詳細に説明する。図8Aは、加速度センサ16の測定データの一例を模式的に例示する。図8Bは、図8Aで示す測定データを平滑化した結果の一例を模式的に例示する。
ダウンザホールハンマ25の打撃による振動のエネルギは、ガイドセル21に取り付けた加速度センサ16に到達するまでに、減衰する。また、加速度センサ16は、ダウンザホールハンマ25の打撃による振動以外の余計な振動(例えば、エンジン振動を含む作業時の本体部の振動、周辺環境振動、自然環境振動等)も同時に測定してしまう可能性がある。そのため、加速度センサ16により得られる振動の測定データの波形は、図8Aに例示されるように、ダウンザホールハンマ25の打撃による大きな波形に小刻みで不規則な複数の波形が重畳した乱れた形状になる。
そこで、制御部11は、平滑化処理として、加速度センサ16により得られた測定データに移動平均処理を適用する。例えば、制御部11は、次の数1の計算処理を実行することで、加速度センサ16の測定データに移動平均処理を適用する。これにより、制御部11は、図8Bで例示されるような平滑化された振動の波形データを得ることができる。
なお、x(j)は測定値を示し、Nはサンプル数を示す。例えば、10回の測定について移動平均処理を行う場合には、Nは10に設定される。
更に、ダウンザホールハンマ25は、シリンダの中でピストンが、圧縮空気圧力と地盤との反発力とで往復運動することで、削孔ビット28により地盤を破砕させて掘削する。そのため、1回の打撃の間に、ピストンは、シリンダ内部での圧縮空気圧力が最大になる瞬間(上死点)と地盤に当たる瞬間(下死点)との合計2度停止する。
このシリンダ内部で圧縮空気圧力が最大となることによりピストンが停止する瞬間の上死点が、振動の波形データの中では極大値をとる点に対応し得る。一方、地盤に当たることによりピストンが停止する瞬間の下死点が、振動の波形データの中では極小値をとる点に対応し得る。
よって、制御部11は、図8Bで例示される平滑化された振動の波形データにおいて、極大値又は極小値をとる点の数をカウントすることで、ダウンザホールハンマ25による打撃回数を計測することができる。そして、上記のとおり、制御部11は、打撃回数を計測すると共に、削孔ビット28の掘削深度を測定している。そのため、制御部11は、打撃回数を計測した時の掘削深度情報121を参照することで、所定貫入量当たりの打撃回数を算出し、打撃回数情報122を取得することができる。
なお、本実施形態に係る掘削機2は、上記のとおり、掘削を行う第1工程と鋼管5の継ぎ足しを行う第2工程とを繰り返して、鋼管杭の削孔を形成していく。これに対して、制御部11は、掘削機2により第1工程が実施されている間に、エンコーダ15及び加速度センサ16による測定を実施して、上記掘削深度情報121及び打撃回数情報122を取得する。一方、掘削機2において第2工程が実施されている間には、制御部11は、エンコーダ15及び加速度センサ16による測定を停止して、次の第1工程が実施されるまで待機する。
(ステップS102)
図7に戻り、次のステップS102では、制御部11は、判定部112として機能し、掘削深度情報121の示す掘削深度が設定杭長以上であるか否かを判定することによって、削孔ビット28が設定杭長に到達したか否かを判定する。掘削深度が設定杭長以上ではない、すなわち、削孔ビット28が設定杭長に到達していないと判定した場合には、制御部11は、上記ステップS101に処理を戻す。一方、掘削深度が設定杭長である、すなわち、削孔ビット28が設定杭長に到達したと判定した場合には、制御部11は、次のステップS102に処理を進める。
設定杭長は、掘削機2により掘削した削孔に杭を挿入する長さとして設定される設計上の値である。この設定杭長の値は、適宜決定されてよい。例えば、事前のボーリング調査により得られた支持層の深度を設定杭長の値に設定してもよい。また、設定杭長の値の設定方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、制御部11は、上記ステップS101の処理を実行する前に、予め与えられた設定値を設定杭長の値として設定してもよい。また、例えば、制御部11は、オペレータ等の利用者から受け付けた入力値を設定杭長の値として設定してもよい。
(ステップS103)
次のステップS103では、制御部11は、判定部112として機能し、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、掘削深度情報121の示す掘削深度にある削孔ビット28が支持層に到達したか否かを判定する。
上記掘削機2の第1工程において、削孔ビット28に打撃を加えて地盤を掘削する際、削孔ビット28の所定貫入量当たりの打撃回数は、掘削する地盤の硬さに依存する。すなわち、支持層となるような硬い地盤では、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数は多くなり、支持層にならないような柔らかい地盤では、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数は少なくなる。
そこで、本実施形態に係る制御部11は、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数が設定回数以上であるか否かを判定することによって、削孔ビット28が支持層に到達したか否かを判定する。打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数が設定回数以上ではない、すなわち、削孔ビット28が支持層に到達していないと判定した場合には、制御部11は、上記ステップS101に処理を戻す。一方、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数が設定回数以上である、すなわち、削孔ビット28が支持層に到達したと判定した場合には、制御部11は、次のステップS104に処理を進める。
削孔ビット28が支持層に到達したか否かを判定する指標となる設定回数の値は、適宜決定されてよい。例えば、近辺で鋼管杭を打設した際の打撃回数の知見に基づいて、設定回数の値が決定されてもよい。また、設定回数の値の設定方法は、上記設定杭長の値の設定方法と同様に、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、設定回数の値には、予め与えられた設定値が用いられてもよいし、利用者から受け付けた入力値が用いられてもよい。また、打設施工管理装置1を利用する際に、設定回数の値は、利用者によって適宜修正されてよい。なお、ステップS101から処理を繰り返す際、制御部11は、ステップS102の処理を省略してもよい。
(ステップS104)
次のステップS104では、制御部11は、履歴作成部113として機能し、ステップS101で取得した掘削深度情報121と打撃回数情報122とを関連付けて施工履歴情報123を作成し、作成した施工履歴情報123を記憶部12等の記憶装置に保存する。ただし、施工履歴情報123を保存する記憶装置は、記憶部12に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、打設施工管理装置1がネットワーク等を介してNAS(Network Attached Storage)等の外部の記憶装置に接続している場合、制御部11は、作成した施工履歴情報123を外部の記憶装置に保存してもよい。本ステップS104の処理が完了すると、制御部11は、本動作例に係る処理を終了する。
図9は、施工履歴情報123の一例を模式的に例示する。具体的に、図9は、掘削深度情報121の示す掘削深度を縦軸にし、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数を横軸にしたグラフを例示している。制御部11は、施工履歴情報123として、このようなグラフを作成してもよい。
例えば、ステップS103において削孔ビット28が支持層に到達したことを判定する指標となる設定回数の値が400回〜600回の間の値に設定されており、図9で例示される施工履歴情報123が得られたとする。この場合、利用者は、得られた施工履歴情報123から、掘削深度が4mから5mの間である際に、削孔ビット28が支持層となるような硬い地盤に到達したことを確認することができる。
<その他>
なお、上記処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。例えば、掘削深度が設定杭長に到達したか否かの評価を行わない場合には、上記ステップS102の処理は省略されてもよい。
また、上記ステップS101〜S104の処理を実行するタイミングは、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、制御部11は、掘削機2により第1工程及び第2工程を繰り返している間に、上記ステップS101〜S104の処理をリアルタイムで実行してもよい。また、例えば、制御部11は、掘削機2により第1工程を実施している間に、上記ステップS101の処理を継続的に実行し、第1工程を実施してから第4工程を実施するまでの間に、上記ステップS102以降の処理を実行してもよい。第4工程以降の工程を実施する、すなわち、グラウト材6を注入する工程を実施するまでに、上記各ステップの処理を実行するのが好ましい。
また、本実施形態に係る打設施工管理装置1には、スピーカ、ディスプレイ等の出力装置が無線或いは有線で接続していてもよい。この場合、制御部11は、出力装置を介して、掘削深度情報121、打撃回数情報122、並びにステップS102及びS103の判定結果を出力してもよい。これにより、オペレータは、出力される情報に基づいて、鋼管5の長さが設定杭長に到達したか否か、及び鋼管5の先端が支持層に到達したか否かを確認しながら、操作盤221を操作して、掘削機2による鋼管5の打設を行うことができる。
[作用・効果]
以上のように、本実施形態に係る打設施工管理装置1は、図9に例示されるように、丸められにくく、かつ地盤の硬さに応じて明確に変化する打撃回数情報122に基づいて、削孔先端が支持層に到達したか否かを判定する。そのため、本実施形態によれば、掘削機2を利用して鋼管5を打設する削孔を形成する際に、削孔先端が支持層に到達したことを適切に確認することができる。
また、本実施形態に係る打設施工管理装置1は、上記ステップS102により、削孔ビット28が設定杭長に到達したか否かを判定している。これにより、掘削による削孔の深さが設定杭長に到達したことを検知した上で、当該削孔の先端が支持層まで到達したことを適切に確認することができる。したがって、本実施形態によれば、削孔の深さが設定杭長に到達しない状態で、掘削機2による掘削が終了することを確実に防ぐことができる。
また、本実施形態に係る打設施工管理装置1は、上記ステップS104により、掘削深度情報121と打撃回数情報122とを関連付けることで、図9に例示される施工履歴情報123を作成し、作成した施工履歴情報123を記憶装置に保存する。したがって、本実施形態によれば、図9に例示されるような、削孔先端が支持層まで到達したか否かを判定するのに利用したデータを記憶装置に記憶させることで、掘削機2により支持層まで地盤を掘削したことを示す証拠を残すことができる。
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
<4.1>
例えば、上記実施形態では、打設施工管理装置1は、ガイドセル21に取り付けられている。しかしながら、打設施工管理装置1の配置は、このような例に限定されなくてもよく、ガイドセル21以外の場所に配置されてもよい。
また、例えば、エンコーダ15及び加速度センサ16が無線通信可能であれば、打設施工管理装置1は、エンコーダ15及び加速度センサ16と無線通信可能な範囲に適宜配置してもよい。この場合、打設施工管理装置1は、エンコーダ15及び加速度センサ16から定期的に測定データを受信し、受信した測定データを適宜処理することで、掘削深度情報121及び打撃回数情報122を取得することができる。
また、例えば、上記実施形態では、打設施工管理装置1は、エンコーダ15及び加速度センサ16に直接接続されている。しかしながら、打設施工管理装置1とエンコーダ15及び加速度センサ16との間に無線通信可能なコンピュータ(以下、「通信装置」と記載する)を配置してもよい。すなわち、エンコーダ15及び加速度センサ16を通信装置に接続し、打設施工管理装置1は、通信装置を介して、エンコーダ15及び加速度センサ16の測定データを取得してもよい。
なお、鋼管杭の打設は、電源の存在しない場所で行われる場合がある。このような場合には、可能な限り、電気の消費の少ない方法で、上記打設施工管理の処理が実行されるのが好ましい。そのため、このような場合には、各装置間で無線通信を行うのではなく、上記実施形態のように、通信の少ない方法を採用するのが好ましい。なお、打設施工管理装置1には、適宜、バッテリを内蔵させてよい。
また、上記実施形態に係る打設施工管理装置1は、ステップS101において、エンコーダ15及び加速度センサ16の測定データから、掘削深度情報121及び打撃回数情報122を作成している。しかしながら、掘削深度情報121及び打撃回数情報122の作成は、打設施工管理装置1で行われなくてもよく、打設施工管理装置1以外の他の情報処理装置により行われてもよい。この場合、他の情報処理装置は、エンコーダ15及び加速度センサ16から測定データを取得し、取得した測定データを利用して、掘削深度情報121及び打撃回数情報122を作成してもよい。そして、打設施工管理装置1は、当該他の情報処理装置と定期的に通信を行うことで、掘削深度情報121及び打撃回数情報122を取得してもよい。例えば、エンコーダ15及び加速度センサ16が測定データを無線通信で打設施工管理装置1に送信する場合、エンコーダ15及び加速度センサ16と打設施工管理装置1との間の通信回数が多くなってしまう可能性がある。これに対して、当該変形例によれば、他の情報処理装置が、掘削深度情報121及び打撃回数情報122を作成した後に、作成した掘削深度情報121及び打撃回数情報122を無線通信で打設施工管理装置1に送信するように構成可能である。そのため、掘削深度情報121及び打撃回数情報122に変換してから送信する分だけ、無線通信の通信回数を減らすことができ、他の情報処理装置及び打設施工管理装置1の消費電力を節約することができる。
<4.2>
また、例えば、上記実施形態では、加速度センサ16の測定データに基づいて、所定貫入量当たりの打撃回数を計測している。しかしながら、打撃回数を計測する方法は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
<4.3>
また、例えば、上記実施形態では、ワイヤ式リニアエンコーダにより掘削深度情報121を取得している。しかしながら、掘削深度を測定する方法は、このような例に限定されなくてもよく、ワイヤ式リニアエンコーダ以外のエンコーダが用いられてもよいし、エンコーダ以外のセンサが用いられてもよい。例えば、掘削深度の測定には、ロータリエンコーダを用いることができる。
<4.4>
また、例えば、上記実施形態では、制御部11は、ステップS103において、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数と設定回数とを比較することにより、削孔ビット28が支持層に到達したか否かを判定している。しかしながら、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、削孔ビット28が支持層に到達したか否かを判定する方法は、このような例に限定されなくてもよい。
図9に例示されるように、削孔ビット28が支持層に到達した際には、所定貫入量当たりの打撃回数が急激に上昇し得る。そのため、制御部11は、打撃回数情報122の示す所定貫入量当たりの打撃回数の微分値を算出し、算出した微分値に基づいて、所定貫入量当たりの打撃回数の急激な上昇を監視してもよい。そして、制御部11は、算出した微分値が所定値を超えるような打撃回数の急激な上昇が生じた場合に、削孔ビット28が支持層に到達したと判定してもよい。
<4.5>
また、例えば、上記実施形態では、掘削機2は、ダウンザホールハンマ25により、回転打撃式で掘削を行う削孔機構を備えている。しかしながら、掘削機2の構成は、削孔具に打撃を加えるタイプであれば、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、掘削機2は、トップハンマを用いた削孔機構を備えてもよい。また、例えば、上記鋼管5は、ケーシング管として、引抜抜去されて使い回されてもよい。
1…打設施工管理装置、8…プログラム、9…記憶媒体、
11…制御部、12…記憶部、13…外部インタフェース、
15…エンコーダ、16…加速度センサ、18…ドライブ、
111…情報取得部、112…判定部、113…履歴作成部、
121…掘削深度情報、122…打撃回数情報、123…施工履歴情報、
2…掘削機、
21…ガイドセル、22…駆動装置、221…操作盤、
23…削孔ロッド、231…カプラ、
24…ガイドスリーブ、25…ダウンザホールハンマ、26…ガイドデバイス、
27…リーマ、28…削孔ビット、
30…パッカー、31…注入管、
5…鋼管、51…ケーシングシュー、
6…グラウト材

Claims (5)

  1. 削孔ビットを回転させながら、ダウンザホールハンマにより当該削孔ビットに打撃を加えることで地盤を掘削する掘削機について、前記削孔ビットの掘削深度を示す掘削深度情報と、前記掘削深度に対応した、前記削孔ビットの所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報と、を取得する情報取得部と、
    前記打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、前記掘削深度情報の示す掘削深度にある前記削孔ビットが支持層に到達したか否かを判定する判定部と、
    を備え、
    前記情報取得部は、
    前記掘削機の打撃による振動を測定可能な位置に取り付けた加速度センサにより得られた測定データを移動平均処理により平滑化することで、平滑化された振動の波形データを取得し、
    得られた前記波形データにおいて極大値又は極小値をとる点の数をカウントすることにより、前記打撃回数情報を取得する、
    打設施工管理装置。
  2. 前記判定部は、前記掘削深度情報の示す掘削深度が、前記掘削機により掘削した削孔に杭を挿入する長さとして設定された設定杭長以上であるか否かを判定することによって、前記削孔ビットが当該設定杭長に到達したか否かを更に判定する、
    請求項1に記載の打設施工管理装置。
  3. 前記掘削深度情報と前記打撃回数情報とを関連付けて施工履歴情報として記憶する記憶装置を更に備える、
    請求項1又は2に記載の打設施工管理装置。
  4. コンピュータが、
    削孔ビットを回転させながら、ダウンザホールハンマにより当該削孔ビットに打撃を加えることで地盤を掘削する掘削機について、前記削孔ビットの掘削深度を示す掘削深度情報と、前記掘削深度に対応した、前記削孔ビットの所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報と、を取得するステップと、
    前記打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、前記掘削深度情報の示す掘削深度にある前記削孔ビットが支持層に到達したか否かを判定するステップと、
    を実行する打設施工管理方法であって、
    前記取得するステップでは、前記コンピュータが、
    前記掘削機の打撃による振動を測定可能な位置に取り付けた加速度センサにより得られた測定データを移動平均処理により平滑化することで、平滑化された振動の波形データを取得し、
    得られた前記波形データにおいて極大値又は極小値をとる点の数をカウントすることにより、前記打撃回数情報を取得する、
    打設施工管理方法。
  5. コンピュータに、
    削孔ビットを回転させながら、ダウンザホールハンマにより当該削孔ビットに打撃を加えることで地盤を掘削する掘削機について、前記削孔ビットの掘削深度を示す掘削深度情報と、前記掘削深度に対応した、前記削孔ビットの所定貫入量当たりの打撃回数を示す打撃回数情報と、を取得するステップと、
    前記打撃回数情報の示す所定貫入量当たりの打撃回数に基づいて、前記掘削深度情報の示す掘削深度にある前記削孔ビットが支持層に到達したか否かを判定するステップと、
    を実行させるための打設施工管理プログラムであって、
    前記取得するステップでは、前記コンピュータに、
    前記掘削機の打撃による振動を測定可能な位置に取り付けた加速度センサにより得られた測定データを移動平均処理により平滑化させることで、平滑化された振動の波形データを取得させ、
    得られた前記波形データにおいて極大値又は極小値をとる点の数をカウントさせることにより、前記打撃回数情報を取得させる、
    打設施工管理プログラム。




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