JP4692816B2 - フレキシブルプリント基板 - Google Patents

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Description

本発明は、一部が屈曲されて使用されるフレキシブルプリント基板に関するものである。
近年、フレキシブルプリント基板は薄くて軽いという特徴を生かして、高密度実装が必要な携帯電子機器への応用が盛んである。これらの携帯電子機器は、フレキシブルプリント基板上に各種の電子部品を配置し、利用できる空間に配線板を折り曲げ組み込むことで携帯に不可欠な小型化、高機能化を実現している。
しかし、フレキシブルプリント基板を折り曲げると、曲げ中心に対して導体パターンの最外郭にある部分に張力が加わる。その結果、導体パターンが断線することがある。このような折り曲げによる導体パターンの断線を防止する方法は、種々開示されている。
特開2001−339125号公報には、一部が折り曲げられて使用するフレキシブルプリント基板において、折り曲げ部の内側に前記折り曲げ部の曲率半径を規制するスペーサー、例えば板状体を設けたフレキシブルプリント基板が開示されている。このフレキシブルプリント基板によれば、折り曲げられて使用する部位の断線を防止して、信頼性を向上させる。また、特開2003−51648号公報には、面実装部品を実装する多層のフレキシブルプリント基板において、部品を実装するための導体ランドからの引き出し線がカバーレイフィルムで覆われていない場合に、前記引き出し線の裏面の導体と、前記引き出し線の裏面のカバーレイフィルムの両方、もしくは一方を除去したフレキシブルプリント基板が開示されている。このフレキシブルプリント基板によれば、部品ランドからの引き出し線に加わる張力を軽減し、引き出し線の断線を防止することができる。
特開2001−339125号公報(請求項1、6) 特開2003−51648号公報(請求項1)
しかしながら、特開2001−339125号公報記載のフレキシブルプリント基板においては、例えば、スペーサーが板状体のような場合、屈曲部のコーナー部において、逆に曲率半径が小さな部位が生じてしまう。また、特開2003−51648号公報記載のフレキシブルプリント基板においては、引き出し線に加わる張力が小さくなり、断線し難くなるものの、180度に折り曲げられた場合については、断線防止効果が未だ十分ではないという問題がある。また、基材と導体パターンの接着を接着剤を使用せずに行う積層板においては、厚さが薄いため、例えカバーレイで覆われていても、折り曲げによる屈曲部の曲率半径が小さくなり、断線が起こり易いという問題がある。
従って、本発明の目的は、屈曲部位の断線を防止して、信頼性を向上させたフレキシブルプリント基板を提供することにあり、また、被覆層で覆われる薄い積層板の屈曲部位の断線を防止するフレキシブルプリント基板を提供することにある。
かかる実情において、本発明者等は鋭意検討を行った結果、被覆層が外側となるように屈曲されて使用される片面フレキシブルプリント基板の場合、屈曲部の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部に、両面フレキシブルプリント基板の場合、屈曲部の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部で、且つ第2導体回路と第2被覆層が欠落した欠落部分に、短冊状の規制フィルムをそれぞれ付設すれば、屈曲部位の断線を防止して、信頼性を高めることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基材と、該基材上の導体回路と、該導体回路上の被覆層とを備え、該被覆層が外側となるように屈曲されて使用されるフレキシブルプリント基板であって、180度の折り曲げがされる屈曲部の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部のいずれか一方又は双方に、該屈曲部の曲率半径が小さくなることを規制する、短冊状の規制フィルム設けられており、該規制フィルムは、全体が該平面部にあり且つ対向する平面部又は規制フィルムに接着していないことを特徴とするフレキシブルプリント基板を提供するものである。また、本発明は、前記規制フィルムの折り曲げ側の端面と前記屈曲部の端部との距離が5mm以下であることを特徴とする前記フレキシブルプリント基板を提供するものである。
また、本発明は、該基材の他方の側に、更に第2導体回路と、該第2導体回路上の第2被覆層とを備え、該屈曲部及びその近傍は該第2導体回路と該第2被覆層が欠落しており、該欠落部分に該規制フィルムを配置した前記フレキシブルプリント基板を提供するものである。
また、本発明は、基材と導体パターンの接着は、接着剤を使用しない接着である前記フレキシブルプリント基板を提供し、また、本発明は、該被覆層はフィルムであって、該規制フィルムは、該被覆層と同じフィルムである前記フレキシブルプリント基板を提供するものである。
本発明のフレキシブルプリント基板によれば、屈曲部の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部に規制フィルムを付設するだけで、屈曲部が必要以上に押し潰されて、曲率半径が小さくなり過ぎることに起因する、屈曲部位の断線を防止して、信頼性を向上させることができる。
次に、本発明の第1の実施の形態におけるフレキシブルプリント基板を図1〜図4を参照して説明する。図1は本実施の形態例のフレキシブルプリント基板の屈曲前の屈曲部分の断面図、図2は図1の規制フィルム側から見た図、図3は本実施の形態例の屈曲状態のフレキシブルプリント基板の断面図、図4は屈曲部近傍の拡大図をそれぞれ示す。図1中、符号l-l線は屈曲する部分を示す。
フレキシブルプリント基板10は、基材1と、基材1上の導体回路2と、導体回路2上の被覆層3とを備える片面フレキシブルプリント基板である。基材1は、フレキシブル銅張積層板の絶縁用基材であり、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムを使用することができる。このうち、ポリイミドフィルムが耐熱性があり、部品実装時の半田付け温度に十分耐えることができ、更に実際に機器に組み込んだ後の環境変化に対しても安定した性能が発揮できる点で好ましい。基材1の厚さは、通常12.5〜50μmのものが使用される。
導体回路2の導体は、電解銅箔、圧延銅箔のいずれであってもよい。導体の厚みは、特に制限されないが、10〜35μmの範囲で適宜決定される。フレキシブルプリント基板10において、基材1と導体回路2の接着は、特に制限されず、接着剤を使用した接着、あるいは接着剤を使用しない接着のいずれでもよい。基材1と導体回路2との接着が接着剤を使用しない接着の場合、接着剤層がないため積層板の厚みをより薄くできる一方で、折り曲げた場合の屈曲部の曲率半径が小さくなる。このため、本発明の規制フィルムを設置する効果が一層顕著に表れる。基材1と導体回路2の接着を接着剤を使用せずに接着する方法としては、公知の方法を適用することができる。
被覆層3としては、特に制限されず、フィルムと接着剤とで構成されるカバーレイフィルム、硬化性樹脂が挙げられる。このうち、カバーレイフィルムが積層板の特徴を最もよく引き出せる点で好ましい。カバーレイフィルムの材質としては、特に制限されないが、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムを使用することができる。このうち、基材と同じ材質を用いることが、製造時の加熱工程で異なった材質による熱膨張係数の違いによる製品のカールやそりを防止できる点で好ましい。接着剤は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。屈曲部に被覆層3があっても、屈曲部の厚みが薄いため、折り曲げによる屈曲部の曲率半径が小さくなり、規制フィルムが無いと断線が起こり得る。
フレキシブルプリント基板10は、被覆層3が外側となるように屈曲されて使用され、屈曲部5の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部6、6に、屈曲部5の曲率半径が小さくなることを規制する、短冊状の規制フィルム4を設ける。この平面部6、6とは、図4に示すように、180度折り曲げた場合、xからyに至る曲率に沿った半円形状を呈する曲率部5に連続する非屈曲部を言う。短冊状の規制フィルム4はその大部分が平面部6、6にあればよく、短冊状の折り曲げ側の端面41が屈曲部5に及ぶものであってもよい。しかし、屈曲部の中間位置に端面が存在すると、曲げ位置が不正確となるため、曲げ位置の精度を高めるには端面41が屈曲部5に架からないことが好ましい。また、規制フィルム4全体が平面部6にある場合、短冊状の折り曲げ側の端面41と屈曲部6の端部(x−y線で仕切られる部位)との距離mは5mm以下、特に2mm以下とすることが好ましい。この距離mが長過ぎると、規制フィルム4の効果が及ばず、屈曲部の曲率半径が小さくなることを規制できなくなる。規制フィルム4の短冊状物の具体的な幅寸法Wとしては、特に制限されないが、1mm以上、好ましくは2mm以上、10mm以下である。規制フィルム4の短冊状物の幅寸法がこの範囲にあれば、無駄に材料を使用することなく、180度より大きな角度を超えて屈曲することを有効に防止できる。
規制フィルム4の長さLは、図2に示すような、屈曲部の長さと同じ長さのものが製作がし易い点で好ましいが、これに限定されず、例えば2/3L以上、1.0L未満の長さであって、長さ方向の中心位置に貼付されるものも使用できる。規制フィルム4の長さLは屈曲部の長さと同じでなくとも、上記範囲にある長さがあれば、図2の場合と同様の断線防止効果が得られる。
規制フィルム4の材質としては、特に制限されないが、基材や被覆層がフィルムの場合、当該フィルムと同じ材質とすることが、製造時の加熱工程で異なった材質による熱膨張係数の違いによる製品のカールやそりを防止できる点で好ましい。規制フィルム4の厚みとしては、基材や被覆層がフィルムの場合、当該フィルムの厚さと同じでよく、通常12.5〜50μmである。また、規制フィルム4は必要に応じて、2枚以上の積層物としてもよい。
基材1に規制フィルム4を付設する方法としては、特に制限されず、表面と同じカバーレイフィルムを用いる場合、カバーレイフィルムを積層接着するときに同時に接着することが、工数を削除することができる点で好ましい。また、規制フィルム4は、熱硬化性接着剤を使用して基材1に接着してもよく、粘着剤を使用して基材1に接着してもよい。粘着剤は一般に市販されているものを使用することができる。粘着層の厚みとしては、通常25〜100μm、好ましくは50〜100μmである。また、規制フィルムを除いた、基材1、導体回路2及び被覆層3からなる3層積層板の厚みとしては、35〜100μm、好ましくは35〜80μm、更に好ましくは35〜60μmである。このような厚みの薄い積層板では折り曲げにより、曲率半径は小さくなるが、略180度屈曲した場合、規制フィルム4がストッパーとなり、屈曲による曲率半径が小さくなることを防止する。
規制フィルム4の設置位置としては、上記対向する平面部6、6の双方に設置する形態以外に、平面部6、6のいずれか一方に設置する形態であってもよい。この場合、規制フィルム4の厚みは、2枚の積層とするか、あるいは厚みのあるフィルムを使用するなど適宜調整して使用すればよい。また、規制フィルム4を対向する平面部6、6の双方に設置する場合、折り曲げ位置がそれぞれの規制フィルムの端面41から等距離にあることが、折り曲げ位置をより正確に決めることができる点で好ましい。
第1の実施の形態におけるフレキシブルプリント基板10によれば、屈曲部の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部に、所定幅の寸法を有する規制フィルムを付設するだけで、屈曲部が必要以上に押し潰されて、曲率半径が小さくなり過ぎることに起因する、屈曲部位の断線を防止して、信頼性を向上させることができる。フレキシブルプリント基板10は、特に基材1と導体回路2との接着が接着剤を使用しない接着の場合、積層板の厚みをより薄くでき、一方積層板の厚みが小さいことで、折り曲げた場合の屈曲部の曲率半径が小さくなるものの、これは規制フィルム4で抑制できるため、本発明の効果が一層顕著に表れる。
次に、本発明の第2の実施の形態におけるフレキシブルプリント基板を図5及び図6を参照して説明する。図5は本実施の形態例のフレキシブルプリント基板の屈曲前の屈曲部分の断面図、図6は本例のフレキシブルプリント基板の屈曲後の屈曲部及びその近傍の断面図を示す。図5及び図6において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し異なる点について主に説明する。すなわち、図5及び図6において、図1と異なる点は、積層板が両面フレキシブルプリント基板であって、屈曲部及びその近傍を第2導体回路と第2被覆層が欠落したものとした点にある。
すなわち、フレキシブルプリント基板10aは、フレキシブルプリント基板10に対して、更に基材1の他方の側(図5中、下側)に、更に第2導体回路2aと、第2導体回路2a上の第2被覆層3aとを備え、屈曲部は第2導体回路2aと第2被覆層3aが欠落しており、欠落部分に規制フィルム4を配置している。欠落部分における規制フィルム4の屈曲部5と逆側の端部42と隣接する第2被覆層3aの端との隙間Zとしては、特に制限されず、3mm以上、特に5mm以上である。上記隙間がこの範囲にあれば、両面フレキシブルプリント基板の特徴を維持しつつ、製作上の問題も生じることはない。
なお、図6に示すように、両面フレキシブルプリント基板10aにおいて、規制フィルム4の厚みは、裏面の第2被覆層3aの厚みに影響されない。すなわち、両面フレキシブルプリント基板10aの屈曲部周りには第2被覆層3aが形成されていないか、あるいは屈曲部周りに第2被覆層3aが形成されていたとしても、第2被覆層3aが屈曲部5の曲率半径を小さくできるほど、屈曲部近傍には配置されないからである。なお、図6中、基板1上の導体回路2及び導体回路上の被覆層3の記載は簡略化のため省略してある。
第2の実施の形態における両面フレキシブルプリント基板10aによれば、第1の実施の形態における片面フレキシブルプリント基板10と同様の効果を奏する。
第1の実施の形態例のフレキシブルプリント基板の屈曲前の屈曲部分の断面図である。 図1の規制フィルム側から見た図である。 本実施の形態例の屈曲状態のフレキシブルプリント基板の断面図である。 図3の屈曲部の拡大図である。 第2の実施の形態例のフレキシブルプリント基板の屈曲前の屈曲部分の断面図である。 第2の実施の形態例のフレキシブルプリント基板の屈曲後の屈曲部及びその近傍の断面図である。
符号の説明
1 基材
2 導体回路
3 被覆層
4 規制フィルム
5 屈曲部
6 平面部
10、10a フレキシブルプリント基板
W 規制フィルムの幅寸法

Claims (5)

  1. 基材と、該基材上の導体回路と、該導体回路上の被覆層とを備え、該被覆層が外側となるように屈曲されて使用されるフレキシブルプリント基板であって、180度の折り曲げがされる屈曲部の内側近傍で且つ180度の屈曲により形成される互いに対向する平面部のいずれか一方又は双方に、該屈曲部の曲率半径が小さくなることを規制する、短冊状の規制フィルム設けられており、該規制フィルムは、全体が該平面部にあり且つ対向する平面部又は規制フィルムに接着していないことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
  2. 前記規制フィルムの折り曲げ側の端面と前記屈曲部の端部との距離が5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント基板。
  3. 前記基材の他方の側に、更に第2導体回路と、該第2導体回路上の第2被覆層とを備え、前記屈曲部及びその近傍は該第2導体回路と該第2被覆層が欠落しており、該欠落部分に前記規制フィルムを配置したことを特徴とする請求項1又は2いずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
  4. 基材と導体パターンの接着は、接着剤を使用しない接着であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
  5. 前記被覆層はフィルムであって、前記規制フィルムは、該被覆層フィルムと同じフィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
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