JP4691288B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パチンコ機等の遊技機においては、遊技機の機内部に、各種遊技状態に応じて様々な効果音(入賞音等)を発するための遊技機用スピーカ装置が装備されている。即ち、遊技機において機体の外郭をなす外枠内には、遊技盤の搭載枠とも称される中枠(内枠ともいう)が設置され、この中枠の前面側下部に前記スピーカ装置は配設されている。ところで、このスピーカ装置が配設される中枠の前面側下部には、機表側の上球皿及び下球皿へ機裏側の球払出装置から遊技球を夫々排出するための各球排出口が形成される他に、発射レール等も配設される。そのため、前記スピーカ装置の配設スペースは限られたものとされ、その結果、前記スピーカ装置には、従来から、小型のスピーカユニットが使用されていた。
【0003】
その一方、近時においては、遊技機における興趣を高める一環として、スピーカ装置から発せられる音の高音質化が希求されている。しかし、前述したような小型のスピーカユニットでは、いくらスピーカユニットの性能が年々向上しているとはいえ、その特性上、低音の迫力が十分ではなく、その音質は、決して遊技者を満足させるものではなかった。
【0004】
そこで、このような事情に鑑みて、例えば特開平8−19638号公報に示すようなスピーカシステムが提案されている。即ち、この公報に記載のスピーカシステムでは、遊技機の機内部にではなく、スペース的に比較的余裕がある遊技機の機外後方にスピーカユニットを収容したスピーカボックスを配設する構成としている。そして、遊技機における中枠を前後方向へ貫通するように形成されたダクトを介して前記スピーカユニットからの効果音等を機表側に形成された音放出口から放出するようにしている。従って、この公報に記載のスピーカシステムによれば、スピーカユニットを機内部に装備しないため、スピーカユニットの大型化を実現でき、再生帯域を広げることで高音質化を図ることも可能とされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載のスピーカシステムでは、スピーカユニットを収容するスピーカボックスが遊技機の機外後方に遊技機とは別体の構成で配設されているため、次のような問題があった。即ち、遊技機において機外後方に面する機裏側には、各種の制御基板及び球払出装置等の遊技機構成部材が配設されている。そして、これらの遊技機構成部材については、定期・不定期を問わず、頻繁に部材交換等のメンテナンス作業を行うことがある。そのため、前述したように、遊技機の機外後方に遊技機とは別体構成のスピーカボックスが配設されていると、遊技機における機裏側のメンテナンス作業がしづらいという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技機における機裏側のメンテナンス作業に支障を与えることなく、当該遊技機が備えるスピーカ装置の高音質化を図ることができる遊技機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、機体の外郭をなす外枠と、該外枠の前面側に対して開閉自在に組み付けられた中枠と、該中枠の前面側に対して開閉可能に組み付けられて機体の前面に配置される前枠と、を備えた遊技機において、該前枠の枠本体の前面側には、枠本体の上部及び左右両側に亘って、内部が中空状をなすように膨出して形成された第1膨出部が設けられ、前記第1膨出部の前面側上部には、前記第1膨出部の前面側上部を覆い、且つ、内部が中空状をなすように膨出して形成された第2膨出部が設けられ、前記第1膨出部内は、前記第1膨出部の内面と、枠本体の前面により、エンクロージャ構造が形成されており、前記第1膨出部の左右両側に、中高音用スピーカユニット及び中低音用スピーカユニットが、その前面部を機表側に向けると共に、当該前面部を第1膨出部の前面の内側に装着するようにしてそれぞれ取り付けられ、前記中高音用スピーカユニットは、前記第1膨出部において前記中低音用スピーカユニットよりも上方に配設され、前記第2膨出部内には、発光演出を行う発光ランプが取り付けられており、前記第1膨出部には、前記中高音用スピーカユニットの前面部と前記中低音用スピーカユニットの前面部に対応する位置にそれぞれ音放出口が形成されているとともに、前記第2膨出部には、バスレフポートが開口形成されており、前記バスレフポートには、第2膨出部の内部を通過して、第1膨出部内に連通する管状のバスレフダクトが設けられていることを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明をパチンコ遊技機(以下、「遊技機」という)における遊技機用スピーカシステムに具体化した第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0011】
図1に略示するように、本実施形態に係る遊技機10は機体の外郭をなす正面視縦矩形枠状の外枠11を備えている。そして、この外枠11の開口前面側には複数種の遊技機構成部材を搭載セットした縦長方形状の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14が横開き状態で開閉可能に組付け整合されており、この前枠14の下側には、上球皿15が中枠12に対して横開き状態で開閉可能に組付け整合されている。また、中枠12の前面側において、前記上球皿15の組み付け整合領域よりも下方には、打球発射装置16と下球皿17が装着されている。
【0012】
前記前枠14は、中枠12の正面左側縁の上下部に配置された開閉連結支持具31にて支持されており、全体が合成樹脂にて形成されている。そして、その基本的な構成をなす枠本体32は方形箱蓋状に形成されており、枠本体32の中央部には窓口33が形成されている。前記窓口33は遊技盤13の遊技領域に適した広さのほぼ円形状とされており、ゲーム領域全体を好適に見通し得るようになっている。また、枠本体32の裏側には、板ガラスを備えたガラス枠(図示しない)が装着されている。
【0013】
図3に示すように、前記枠本体32の前面側には、当該枠本体32の上部及び左右両側部に亘って窓口33を囲むように膨出部34が設けられている。前記膨出部34は前面側に膨出するように形成されており、第1膨出部34aと第2膨出部34bとから構成されている。前記第1膨出部34aは、枠本体32の上部及び左右両側部に亘って、正面視逆U字状をなすように連続形成されている。第2膨出部34bは、第1膨出部34aの前面側に設けられており、当該第1膨出部34aの上部前面側を全体的に覆うように形成されている。また、この第2膨出部34bは、有色(例えば赤色)且つ透過性を有する合成樹脂にて形成されている。なお、本実施形態では、図5に示すように、枠本体32の裏面は平面状に形成され、前枠14は、枠本体32の前面側のみが膨出した形態とされている。
【0014】
図2,図4(a),図4(b)及び図5に示すように、第1及び第2膨出部34a,34bは、それぞれ、その内部が全体に亘って中空状をなすように形成されており、図2及び図5に略示すように、第1膨出部34a内は、正面視逆U字状をなす第1膨出部34aの内面と枠本体32の前面により、箱体形状のエンクロージャEが形成されている。本実施形態においては、エンクロージャE(第1膨出部34aの内部全体)がスピーカ収容部に相当する。
【0015】
また、図1及び図4(a)に示すように、前記第2膨出部34bの内部において、左右両側には、発光ランプ36が設けられている。この発光ランプ36は、図示しないランプ基板に実装された状態で第1膨出部34aの上部前面側に取着され、第2膨出部34bの内側に配置されている。従って、透過性を有する第2膨出部34bは、発光ランプの発光演出を遊技者に視認可能とさせるランプレンズの機能を果たしている。
【0016】
前記第1膨出部34aの前面側であって、窓口33を挟んだ左右両側部における下端部近傍には多数の小孔からなる第1音放出口19がそれぞれ形成されている。また、枠本体32の上部に位置する第2膨出部34bの前面側であって、その中央部には、多数の小孔からなる第2音放出口20がエンクロージャEのバスレフポートとして機能するように形成されている。なお、図4及び図5に示す前枠14の断面図において、前記第1及び第2音放出口19,20は図示略されている。
【0017】
そして、前記エンクロージャE内には、各第1音放出口19に対応するように平板状をなす平面形スピーカユニット(以下、単に「スピーカユニット」という)23が配設されている。この結果、第1膨出部34a全体でスピーカ装置Sを構築している。ここで、前枠14に膨出形成された第1膨出部34aは、遊技機構成部材が多く配設された中枠12の前面側下部よりも、スペース的な制約をそれほど受けることがない。従って、前記したような平面形スピーカユニット23を用いた場合には低域再生帯域が広い比較的大型のスピーカを採用することができ、スピーカ装置Sからは高音質の音声を再生出力可能になる。なお、前枠14の左右両側に設けられる第1音放出口19、スピーカユニット23は共に同一構成とされている。また、以下の説明においては「スピーカユニット」のことを「スピーカ」ともいう。
【0018】
前記スピーカ23は中音及び高音を好適に再生可能な中高音用スピーカユニットであり、その前面部(振動板のある側)が前記第1音放出口19に位置合わせされた状態で第1膨出部34aの内面側に装着されている。そのため、前記スピーカ23の前面部は第1音放出口19を介して遊技機10外部の大気と直接接触していることになり、スピーカ23からの再生音を篭もらせることなく、高音質にして再生出力できる。
【0019】
また、図4(a)及び図5に示すように、エンクロージャE内の上部中央には筒状をなし、第2膨出部34b内を通過して前記第2音放出口20に連なるバスレフダクト(共鳴管ともいう)27が形成されている。そのため、前記スピーカ23の背面部からの音声が直接バスレフダクト27及び第2音放出口20を介して遊技機10外部の大気中に出力されることになり、バスレフダクト27を介して出力される音声を篭もらせることなく、高音質にして出力できる。
【0020】
従って、このスピーカ23が第1膨出部34aの内面側に装着された状態において、エンクロージャE(スピーカ収容部)は、バスレフポートたる第2音放出口20に連通するバスレフダクト27が内部に形成されたバスレフ型エンクロージャ構造をなしている。なお、このようなバスレフ型エンクロージャ構造のエンクロージャE(スピーカ収容部)にスピーカユニットを内包した形態のスピーカ装置のことを、一般に、バスレフ形スピーカ(位相反転形スピーカ)と呼んでいる。そして、本実施形態では、前記スピーカ装置Sをバスレフ形スピーカ(位相反転形スピーカ)として構成している。
【0021】
次に、上記のように構成した本実施形態に係る遊技機10の作用を説明する。
さて、この遊技機10を遊技場等に設置する際には、まず外枠11が設置枠台(図示略)上に立設された後、前枠14、上球皿15等の遊技機構成部材を搭載する中枠12が外枠11に対して組み付け整合される。このとき、スピーカ装置Sは前枠14に形成された第1膨出部34aの内部に構築されているため、遊技機10と共に持ち運びされる。従って、高品質の音声を提供するためにスピーカシステムが遊技機10と別体にされていた従来と比較して、設置作業が簡便に行われる。
【0022】
そして、この遊技機10の使用状態においては、当該遊技機10において入賞等の所定遊技状態が発生すると、図示しない音声制御基板から出力される音声制御信号に基づいて前記両スピーカ装置Sから様々な効果音が再生出力される。そして、その効果音等の再生出力に際して、バスレフ型スピーカとして構成されたスピーカ装置Sからは、音質の良い再生音の出力が可能とされる。
【0023】
また、遊技機10の裏面側のメンテナンス作業に際しては、高品質の音声出力のために、機外後方に別体構成のスピーカボックスが配設された従来と異なり、遊技機10の前面側に位置する前枠14に設けられたスピーカ装置Sが、メンテナンス作業に支障を与えることもない。
【0024】
ここで、スピーカの特性について説明すると、スピーカは、振動板が前に動くと正面(前面)の空気密度が高くなると同時に背面(後面)の空気密度が低くなり、反対に、振動板が後に動くと背面の空気密度が高くなると同時に正面の空気密度が低くなる。また、スピーカの正面(前面)から出る音と背面(後面)から出る音とは双方の音の位相において180度のずれがあり、正面からの音の位相を正相とした場合、背面からの音の位相は逆相になる。そのため、スピーカの前後の空気を隔離する構造体(バッフル板)がないと、特に高音に比して指向性の鈍い低音は、その音波がスピーカの周囲を往復するだけで前方へ進まない。その結果、そのようなスピーカでは、正面から出た正相の低音と背面から出た逆相の低音とが打ち消し合うことになり、高音ばかりが強調されて低音がはっきり聞こえないという状況を招いてしまう。
【0025】
そこで、そのような状況を招来しないために、通常、スピーカ装置が構築される場合には、スピーカの前後の空気を隔離する構造体(バッフル板)が当該スピーカのエンクロージャとして設けられる。ここに「エンクロージャ」とはスピーカユニットが装着される構造体のことをいうが、必ずしも完全な箱体形状の構造体のみを意味しない。即ち、スピーカの正面から出た正相の低音と背面から出た逆相の低音との打ち消し合いを防ぐことが可能な構造体であれば、平板状のバッフル板や、そのようなバッフル板の角を後へ曲げた形の背面開放型キャビネット形態のものも、本明細書中における「エンクロージャ」の技術的概念には含まれるものである。そして、かかるスピーカの特性を考慮して構成された前記スピーカ装置Sは、スピーカ収容部(エンクロージャE)が箱体形状のエンクロージャ構造をなしているため、次のような機能を発揮する。
【0026】
すなわち、まず、箱体形状のエンクロージャEを備えたスピーカ装置Sは、中高音用のスピーカ23しか設けられていないにも関わらず、中高音域のみならず第2音放出口20から低音域の再生をも確実に図ることができる。また、エンクロージャE内に配設されるスピーカ23を平面形スピーカユニットとしたため、例えば、コーン形スピーカと比較して、その設置スペースを必要としない。従って、エンクロージャE(スピーカ収容部)の容量を大きく確保でき、より迫力ある低音の出力に寄与する。
【0027】
また、スピーカ装置Sのようなバスレフ形スピーカは、音波が空洞(つまり、エンクロージャE(スピーカ収容部)の容積)と筒(即ち、バスレフダクト)で共鳴する現象を利用し、スピーカの背面からの音を空洞と筒で共鳴させることにより低音域の量感を補うようにしたスピーカである。そのため、エンクロージャEが密閉型エンクロージャ構造の密閉型スピーカよりも低音の量感が得やすく、低音増強用には好適なスピーカとされている。従って、迫力ある低音の再生でき、その一方で、低音用のスピーカを設けることなく低音増強ができるため、前枠14が大型化することはない。
【0028】
さらに、前枠14の上部及び左右両側部に亘って連続形成された中空状の第1膨出部34a内を全てエンクロージャEとしたため、例えば、前枠14の左又は右側部だけに、エンクロージャを形成する場合と比較して、適正容量に近づくように容量が大きなエンクロージャEとされる。このため、より迫力ある低音を出力することができる。
【0029】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スピーカ装置Sにおいてスピーカ収容部を構成するエンクロージャEを、前枠14に形成された第1膨出部34a内に形成し、このエンクロージャE内にスピーカユニット23を配設した。遊技機構成部材が多く配設された中枠12の前面側下部における設置部位よりも、前枠14に膨出形成された第1膨出部34aは、スペース的な制約をそれほど受けることがない。従って、スピーカ装置Sにおけるスピーカユニット23には低域再生帯域が広い比較的大型のスピーカを採用することができ、スピーカ装置Sからは高音質の効果音等を再生出力することができる。
【0030】
(2)しかも、スピーカ23を有するエンクロージャEは、上記したように、前枠14に設けられているため、低音部の増強を図りつつも、従来とは異なり、遊技機10の機裏側において頻繁に行われる基板交換等のメンテナンス作業に支障を与えることもない。
【0031】
(3)また、スピーカ装置Sでは、スピーカ23の正面から出る音と背面から出る音とが打ち消し合うことを防止する構造体(バッフル板)として、内部が中空状の第1膨出部34aにより形成され、箱体形状をなすエンクロージャEを採用しているため、スピーカ装置Sからは中高音域のみならず低音域の再生をも確実に図ることができる。
【0032】
(4)さらに、エンクロージャEは、前枠14の上部及び左右両側部に亘って連続形成された第1膨出部34a内全体を連通するように形成されているため、例えば前枠14の左右両側部にそれぞれ膨出部及びエンクロージャを形成し、スピーカ装置Sを構築する場合と比較して、エンクロージャE(スピーカ収容部)の容量を適正容量に近づくように大きくでき、より迫力のある低音を再生できる。
【0033】
(5)また、スピーカ装置Sはスピーカ23の前面部からの音声が第1音放出口19を介して、またスピーカ23の後面部からの音声がバスレフダクト27及び第2音放出口20を介して、それぞれ遊技機10外部の大気中に直接出力される構成とされている。従って、各スピーカ装置Sからは再生音を篭もらせることなく、更に高音質にして再生出力できる。
【0034】
(6)加えて、バスレフ型スピーカとして構成されたスピーカ装置Sでは、エンクロージャEに第2音放出口20に連なるバスレフダクト27が形成されている。そのため、当該バスレフダクト27内及びエンクロージャE内でスピーカ23の背面から出た音を共鳴させて低音域の量感を補うことができ、迫力ある低音の再生ができる。
【0035】
(7)また、エンクロージャE内に配設されるスピーカ23を平面形スピーカユニットにて構成した。例えばコーン型スピーカと比較して平面形スピーカは、設置スペースを必要としないため、その分だけエンクロージャE(スピーカ収容部)の容量を大きく確保することができる。このため、より迫力ある低音を響かせることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図6に従って説明する。なお、この第2実施形態はスピーカ装置SにおけるエンクロージャEの具体的構成においてのみ第1実施形態と相違するものであり、その他の構成は第1実施形態の場合と同じである。従って、以下の説明においては、第1実施形態との相違部分を中心に説明することとし、その他の部分については第1実施形態と同一の符号を付すことにより重複した説明は省略する。
【0037】
さて、本実施形態に係る遊技機10(図1参照)は、前枠14の第1膨出部34a内にバスレフ型スピーカとして構成されたスピーカ装置Sをそれぞれ備えている。スピーカ装置Sは、図6に示すように、第1膨出部34aの内面及び枠本体32の前面により形成されたエンクロージャEをスピーカ収容部とし、エンクロージャE内における窓口33を挟んだ左右両側部に中高音用スピーカユニットである平面形スピーカ23を配設している。なお、図6には図示されていないが、第1膨出部34aにおけるスピーカ23の前面部と対応する位置には第1音放出口19が形成されている。また、エンクロージャEの上部中央位置には、筒状をなすバスレフダクト27が設けられている。そして、図示はしないが、前記第2膨出部34bにおけるバスレフダクト27と対応する位置には、前記バスレフダクト27に連なり、バスレフポートとして機能する第2音放出口20が形成されている。
【0038】
さらに、スピーカ装置SのエンクロージャE内の左右両側部において、各スピーカ23の上方近傍には、区画壁22により延長屈折した迷路状のダクト構造をなすバスレフダクト37が形成されている。前記第1音放出口19の上方位置であって第1膨出部34aの前面側には、バスレフポートとして機能する第3音放出口(図示しない)が形成されており、前記バスレフダクト37は、前記スピーカ23の背面近傍位置から、当該第3音放出口まで連なっている。
【0039】
一般に、バスレフダクトの全長が長い方が、低域再生帯域(低音の再生限界周波数)が低く設定できることが知られている。従って、延長屈折した迷路状のダクト構造をなすバスレフダクト37により、当該バスレフダクト27の全長Lが長くされ、低音増強を好適に図ることができる。
【0040】
従って、本実施形態においては前記第1実施形態における(1)〜(7)の各効果と同様の効果を奏する他、バスレフダクト37は延長屈折した迷路状のダクト構造をなしているため、バスレフダクト37の全長を長く確保できる。従って、バスレフ型スピーカにあって低音増強の図れる低域再生帯域(低音の再生限界周波数)をさらに低域までのばすことができ、より迫力のある所謂重低音を響かせることができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図7に従って説明する。なお、この第3実施形態についても前述した第1実施形態と相違する部分を中心に説明することとし、その他の部分については第1実施形態と同一の符号を付すことにより重複した説明は省略する。
【0042】
さて、本実施形態に係る遊技機10(図1参照)は、前枠14の第1膨出部34a内にバスレフ型スピーカとして構成されたスピーカ装置Sをそれぞれ備えている。スピーカ装置Sは、図7に示すように、第1膨出部34aの内面及び枠本体32の前面により形成されたエンクロージャEをスピーカ収容部とし、エンクロージャE内における窓口33を挟んだ左右両側部には、第1スピーカユニット23と第2スピーカユニット25とが一対となってそれぞれ配設されている。第1スピーカユニット23は、前記第1,第2実施形態における「平面形スピーカユニット23」と同じ中高音用の平面形スピーカユニットである。
【0043】
第2スピーカユニット25も、平面形スピーカユニットであり、第1スピーカユニット23よりも再生帯域が低い中低音用のスピーカユニットが使用されている。そして、この第2スピーカユニット25は、中低音を好適に出力するために第1スピーカユニット23よりも長尺状に形成されている。このような第2スピーカユニット25が配設可能とされるのも、中枠12の前面側下部と比較して、スペース的に規制を受けづらい前枠14の第1膨出部34a内にスピーカ収容部を設けたことによる。また、エンクロージャE内においては、第1スピーカユニット23の上方に第2スピーカユニット25が配置されている。そして、図示はしないが、第1膨出部34aにおける第1スピーカユニット23の前面部と対応する位置には第1音放出口19が形成される。また、第2スピーカユニット25の前面部と対応する位置には多数の小孔からなる第4音放出口(図示しない)が形成されている。なお、第1スピーカユニット23は第2スピーカユニット25の下方に配置してもよい。
【0044】
また、エンクロージャEの上部中央位置には、筒状をなすバスレフダクト27が設けられている。そして、図示はしないが、前記第2膨出部34bにおけるバスレフダクト27と対応する位置には、前記バスレフダクト27に連なり、バスレフポートとして機能する第2音放出口20が形成されている。
【0045】
従って、本実施形態においては前記第1実施形態における(1)〜(7)の各効果と同様の効果を奏する他、第2スピーカユニット25として中低音用のスピーカユニットを設けたことにより、スピーカ装置Sを低音から中高音まで全音域に亘って高音質な再生出力ができるマルチウェイタイプのスピーカシステムとして構築できる。
【0046】
なお、上記各実施形態は以下のような別例に変更して具体化してもよい。
・ 前記各実施形態では、第1音放出口19を多数の小孔にて構成したが、スピーカユニット23の前面部を直接大気に接触できるならば、第1音放出口19の形成態様は小孔に限らない。また、バスレフポートとして機能する第2音放出口20の形成態様についても同様である。
【0047】
・ 前記第2実施形態では、第2エンクロージャE2内に形成されるバスレフダクト27を延長屈折した迷路状のダクト構造をなすように形成したが、バスレフダクトの幅員がバスレフポート音放出口に近づくほど増加してホーン状のダクト構造をなす所謂バックロードホーン型のバスレフダクトに変更してもよい。
【0048】
・ 前記第1及び第2実施形態において、中高音用スピーカユニット23の代わりに、高音用スピーカユニットと中音用スピーカユニットを別々に設けてもよい。このようにすれば、高品質な低音の再生音を出力できるのは勿論、高音及び中音のそれぞれの再生音を高品質に保つことができる。この場合、高音用スピーカユニットと中音用スピーカユニットとで中高音用スピーカユニットが構成される。
【0049】
・ 前記各実施形態では、前枠14の左右両側部に設けられるスピーカ23を同一構成としたが、例えば、音域の異なる別々のスピーカを配設する等、異なる構成にしてもよい。
【0050】
・ 前記各実施形態では、エンクロージャEを備える第1膨出部34aを前枠14の上部及び左右両側部に亘って形成したが、図8に示すように、さらに前枠14の下部にも、第1膨出部34aを連続して形成し、エンクロージャEを窓口33を囲むように形成してもよい。この場合、例えば図7に示すようなエンクロージャEの上部中央に設けたバスレフダクト27と同様のバスレフダクト及び同ダクトに連なる第5音放出口21をエンクロージャEの下部中央に設けてもよい。
【0051】
・ また、正面視逆U字状に形成された第1膨出部34aにおいて、エンクロージャEを前枠14の上部及び左右何れかの側部に亘ってのみ形成するようにしてもよい。さらに、少なくともエンクロージャEに対応した第1膨出部34aを前枠14の上部及び左右何れかの側部に亘ってのみ形成してもよい。
【0052】
・ 前記第1,第2実施形態において、中高音用のスピーカユニット23,25に加えて低音用のスピーカユニットをエンクロージャEに配設するようにしてもよい。
【0053】
・ 前記第3実施形態では、中高音用の第1スピーカ23と中低音用の第2スピーカ25との組み合わせでマルチウェイタイプのスピーカシステムを構成したが、低音用のスピーカと中音用のスピーカ及び高音用のスピーカをエンクロージャE内に配設することでマルチウェイタイプのスピーカシステムを構成してもよい。この場合、中音用のスピーカと高音用のスピーカとで中高音用スピーカユニットが構成される。
【0054】
・ 前記各実施形態では、スピーカユニットとして、平面形スピーカユニットを用いたが、例えばコーン形スピーカユニット等、他の形態をなすスピーカユニットを用いてもよい。
【0055】
・ 前記各実施形態ではエンクロージャE内にスピーカユニット23を、窓口33を挟んだ左右両側部に1つずつ設けたが、何れか1つのみを設ける態様にしてもよい。
【0056】
・ 前記各実施形態では膨出部34を第1及び第2膨出部34a,34bから構成し、第2膨出部34bには、発光ランプ36を設けたが、第2膨出部34bを設けなくてもよい。
【0057】
・ 前記各実施形態では、膨出部34を枠本体32の前面側へ膨出形成したが、枠本体32の前面側は平面状に形成し、膨出部34を枠本体32の裏面側へ膨出形成してもよい。また、前面側及び裏面側の双方へ膨出形成してもよい。
【0058】
次に、上記実施形態及び各別例から把握できる技術的思想について、それらの効果と共に以下に追記する。
(1)請求項1に記載の遊技機用スピーカシステムにおいて、前記バスレフダクトは、前記スピーカ収容部内において延長屈折した迷路状のダクト構造をなしている遊技機用スピーカシステム。
【0059】
(2)請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の遊技機用スピーカシステムにおいて、前記スピーカ収容部は、前枠の上部及び左右両側部に亘って連続形成された膨出部内全体を連通するように形成されている遊技機用スピーカシステム。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、遊技機における機裏側のメンテナンス作業に支障を与えることなく、当該遊技機が備えるスピーカ装置の高音質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピーカシステムが搭載されるパチンコ遊技機の正面図。
【図2】前枠を示す正断面図であり、且つ図4(a)におけるC−C線断面図。
【図3】前枠を示す斜視図。
【図4】(a)は図1におけるA−A線断面図、(b)は図1におけるB−B線断面図。
【図5】第1実施形態のスピーカシステムの概略側断面図。
【図6】第2実施形態のスピーカシステムの概略側断面図。
【図7】第3実施形態のスピーカシステムの概略側断面図。
【図8】別例の前枠を示す正断面図。
【符号の説明】
E…エンクロージャ(スピーカ収容部)、10…遊技機、14…前枠、20…第2音放出口(バスレフポート)、23…平面形スピーカユニット(中高音用スピーカユニット)、27…バスレフダクト、34…膨出部。
Claims (1)
- 機体の外郭をなす外枠と、該外枠の前面側に対して開閉自在に組み付けられた中枠と、該中枠の前面側に対して開閉可能に組み付けられて機体の前面に配置される前枠と、を備えた遊技機において、
該前枠の枠本体の前面側には、枠本体の上部及び左右両側に亘って、内部が中空状をなすように膨出して形成された第1膨出部が設けられ、
前記第1膨出部の前面側上部には、前記第1膨出部の前面側上部を覆い、且つ、内部が中空状をなすように膨出して形成された第2膨出部が設けられ、
前記第1膨出部内は、前記第1膨出部の内面と、枠本体の前面により、エンクロージャ構造が形成されており、
前記第1膨出部の左右両側に、中高音用スピーカユニット及び中低音用スピーカユニットが、その前面部を機表側に向けると共に、当該前面部を第1膨出部の前面の内側に装着するようにしてそれぞれ取り付けられ、
前記中高音用スピーカユニットは、前記第1膨出部において前記中低音用スピーカユニットよりも上方に配設され、
前記第2膨出部内には、発光演出を行う発光ランプが取り付けられており、
前記第1膨出部には、前記中高音用スピーカユニットの前面部と前記中低音用スピーカユニットの前面部に対応する位置にそれぞれ音放出口が形成されているとともに、前記第2膨出部には、バスレフポートが開口形成されており、
前記バスレフポートには、第2膨出部の内部を通過して、第1膨出部内に連通する管状のバスレフダクトが設けられている遊技機。
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