JP4691229B2 - 管の被覆方法及び延伸樹脂パイプの製造方法 - Google Patents

管の被覆方法及び延伸樹脂パイプの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管ライニング用被覆材とて少なくとも一層がアイオノマー樹脂から成る樹脂パイプを使用し、金属管の内面被覆或いは内面補修に適した管の被覆方法に関し、また前記樹脂パイプの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上下水道用、化学薬品輸送用などの鋼管としては、樹脂を密着内張りしたライニング鋼管が広く使用されている。このようなライニング樹脂としては、従来塩化ビニル樹脂パイプの外面に接着剤層を設けたものが広く使用されており、鋼管への施工に際しては、径方向への膨張などを利用して管内面に密着させる方法(例えば特公平4−69057号公報)が用いられている。
【0003】
塩化ビニル樹脂は耐久性にも機械的特性にも優れた樹脂であるが、廃棄処理に際して環境を汚染することが懸念されており、これに代わる樹脂やライニングの施工について多くの提案がなされている。
【0004】
例えば、特公昭60−21055号公報には、所定サイズ即ち内張りすべき対象物の内側周長と同一かわずかに長い外周長を有し、形状が相似形であるサイズに押出され、架橋処理された熱軟化性の高分子化合物をその溶融温度以上に加熱し変形ダイを通過させ直ちに冷却し、内張りすべき対象物の内側周面に接触させずに挿入可能になるよう縮小された非相似形であるサイズに変形を固定することを特徴とする熱復形性パイプの製造方法が記載されている。架橋処理高分子の例としては、電子線照射ポリエチレンが記載されている。
【0005】
特開昭59−71821号公報には、熱膨張性が付与された合成樹脂管を常温より高く、且つ軟化温度より低い所定温度に保持したままクロスヘッドダイ内に導き、該クロスヘッドダイからフィルム上の感熱接着剤を筒状に押し出し前記合成樹脂管の外周全面に密着コーテイングして被覆管となし、次いで、該被覆管を金属管内に挿入した後加熱膨張させて金属管内面に密着させたことを特徴とする合成樹脂ライニング管の製造方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知の金属管ライニング用被覆材は延伸により熱膨張性を付与するものであるが、パイプの延伸に必要な応力が大きく、延伸操作が必ずしも容易でなく、生産性が低いという問題を有している。勿論、延伸温度を高くすると、延伸に必要な応力を低減させることができるが、この場合には折角の延伸が熱膨張性に余り寄与しなくなるという傾向が認められる。
【0007】
更に、公知の金属管ライニング用被覆材に使用される合成樹脂は、金属管に対して接着性を有していなく、そのため格別の接着剤を樹脂パイプに塗布したり、或いは押出コートするという格別の操作が必要となり、工程数が多く、コスト及び生産性の点でも改善すべき点がある。
【0008】
また、前述したような金属管が利用された、給水管やガス管のような金属管は、一般に土中に埋設された状態で使用されている。土中埋設した金属管は、長期使用により腐食が進行し、一定期間毎に点検補修或いは管そのものの交換が必要になる。
【0009】
一方、金属管の内面腐食を防止するため、樹脂を密着内張りしたライニング金属管も広く使用されている。このようなライニング樹脂としては、従来各種パイプの外面に接着剤層を設けたものが広く使用されており、鋼管への施工に際しては、径方向への膨張などを利用して管内面に密着させる方法(例えば特公平4−69057号公報)が用いられている。
【0010】
しかしながら、土中埋設管の補修にしても交換にしても、地面を掘削して行う必要があるため、掘削の困難な場所への施工、掘削に要する手間と時間、更にそのための費用などを考慮すると、埋設状態のまま施工できる工法が望まれている。
【0011】
従って、本発明の目的は、比較的低い温度においても、延伸応力が小さく、延伸操作が容易であって、生産性に優れていると共に、各種管へのライニングに際しては満足すべき復元性が得られ、しかも金属管に対してそれ自体強固な接着力を示す樹脂パイプをライニング用被覆材として用いた被覆方法を提供するにある
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記(1)〜(4)の何れかに記載の、延伸温度50乃至100℃で延伸された、1軸方向の延伸倍率が1.02乃至3倍、延伸後径/延伸前径の比が0.50乃至0.98の範囲にある1軸延伸樹脂パイプからなる管ライニング用被覆材を、樹脂パイプの外径よりも大きい内径を有する金属管内部に挿入し、該被覆材を加熱下に膨張させて、接着剤を介在させることなく金属管内面に熱接着させることを特徴とする管の被覆方法が提供される。
(1)アイオノマー単層延伸樹脂パイプ。
(2)アイオノマーの外層と、架橋或いは非架橋のポリエチレンの内層からなる延伸樹脂パイプ。
(3)酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂の外層と、アイオノマーの内層からなる延伸樹脂パイプ。
(4)酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂の外層と、アイオノマーの中間層と、架橋或いは非架橋のポリエチレンの内層とからなる延伸樹脂パイプ。
本発明によれば、さらに
(1)加熱が、樹脂パイプを挿入した金属管を加熱オーブンに入れ全体を加熱する、樹脂パイプを挿入した金属管を電磁誘導加熱、高周波誘導加熱、熱風吹き付け、ガスバーナー加熱により一端部から他端部に順次加熱する、温水またはホットエアーの加熱媒体を樹脂パイプ内に吹き込む管の被覆方法。
(2)酸変性エチレン系樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体である管の被覆方法。
(3)アイオノマーの70℃における延伸応力が1乃至4MPaである管の被覆方法。
(4)樹脂パイプが金属管の内径の1/3乃至2/3の外径を有するものである管の被覆方法。
である態様が好ましい。
本発明によれば、また押出機のリング状ダイオリフィスを通してアイオノマー単層或いはアイオノマーと他の樹脂との積層の筒状押出物を押出し、この筒状押出物を引き取り機Aにより引き取ることでサイジングダイを強制的に通過させ、所定の形状及び寸法に成形する工程、
サイジングダイと引き取り機Aとの間に設けられた水槽Aにおいて、サイジングダイにより成形された押出物を固化する工程、
引き取り機Aからのパイプを、引き取り機Aの前方に設けられた延伸温度に加熱された水が収容されている水槽Bにおいて、引き取り機Bの引き取り速度/引き取り機Aの引き取り速度の比に対応する倍率で一軸延伸し、次の通常の冷却のための水が収容されている水槽Cにおいて冷却し、安定化して延伸樹脂パイプとする工程、
とからなる、樹脂パイプの外径よりも大きい内径を有する金属管内部に挿入し、該被覆材を加熱下に膨張させて、接着剤を介在させることなく金属缶内面に熱接着させて金属管内面被覆するのに用いられる、延伸温度50乃至100℃で延伸された、1軸方向の延伸倍率が1.02乃至3倍、延伸後径/延伸前径の比が0.50乃至0.98の範囲にある1軸延伸樹脂パイプの製造方法が提供される。
前記延伸樹脂パイプの製造方法は、他の樹脂が、酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂、架橋或いは非架橋のポリエチレンから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0016】
【発明の実施形態】
[樹脂パイプ]
本発明において、アイオノマーとはイオン架橋エチレン系共重合体として定義される。一般に、アイオノマーは、エチレン及びエチレン系不飽和カルボン酸、或いは更にその他のエチレン系不飽和単量体から誘導された共重合体を、カチオン、特に金属カチオンで中和したものとして知られている。
【0017】
本発明は、アイオノマーから成る樹脂パイプは、管の内面ライニング用被覆材としての用途に特に適しているとの知見に基づくものであり、具体的には、アイオノマーの単層延伸パイプを用いる場合には、上記の接着性の利点に加えて、延伸応力が小さく、延伸操作が容易であって、延伸パイプの生産性に優れていること、及びこの延伸パイプでは管へのライニングに際して満足すべき復元性が得られるために熱膨張による残留ひずみの発生が抑えられるところから、長期使用に於ける寸法安定性と管への接着力の保持が得られることの知見に基づくものである。
【0018】
後述する実験例1の表1を参照されたい。この表1には、公知の塩化ビニル樹脂(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びアイオノマーA及びB(表3)について、延伸温度を変化させて、延伸応力を測定した結果が記載されている。この結果によると、いずれのアイオノマーも、PVC及びLDPEに比して、70℃以上の温度での延伸応力がかなり小さく、延伸作業性に際だって優れていることを示している。
このことは、単に作業性や生産性の点で有利であるばかりではなく、樹脂パイプの特性の点でも優れていることを意味している。即ち、比較的小さい応力で延伸が可能なため、延伸むらがなく、配向が一様であり、またこのパイプは過延伸によるミクロクラックやピンホールの発生がなく、耐腐食性に優れていることを物語っている。
【0019】
また、後述する実験例2の表2を参照されたい。この表2には、表1と同様のPVC、LDPEとアイオノマーB、アイオノマーC(表3)について70乃至90℃の温度での延伸物について、加熱後の復元率を測定した結果が示されている。この結果によると、延伸アイオノマーの加熱による復元率はほぼ100%であり、復元率においても優れていることが了解される。
【0020】
一般に、延伸ポリマーの復元性は、ポリマーの形状記憶性によるところが大きく、放射線架橋ポリエチレンにおける架橋構造の存在などはその典型的な例である。
延伸アイオノマーの優れた復元性も当然ポリマーの形状記憶性によるものと解されるが、アイオノマーでは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体鎖がカチオンでイオン架橋された特殊な分子構造を有しており、この特異な架橋構造が優れた延伸性と復元性に寄与していると思われる。
【0021】
加えて、アイオノマーは、種々の金属や他の樹脂に対する熱接着性に優れているという利点を有している。例えば、アイオノマー(100μm厚)とスチールとの接着強度は、90度剥離試験で65N/25mm幅のオーダーであり、汎用樹脂の中では抜群の接着力を有している。これは、前述した架橋構造が金属との親和性増大及び接着力増大にも役立っているためと思われる。
また、アイオノマーは、他の樹脂との接着力も大であり、特に他のエチレン系重合体とは相溶性もあり、これはアイオノマーを他の樹脂との積層体での使用を可能にしている。
更に、アイオノマーはゴルフボールの表皮材として広く使用されているように、耐裂断性及び耐衝撃性に優れており、管の内面保護性にも優れている。
【0022】
本発明のアイオノマー樹脂パイプの製造方法の一例を説明するための図1において、押出機1で混練されたアイオノマー樹脂は、押出機のリング状ダイオリフィスを通して筒状押出物2に押し出され、この筒状押出物2は、引き取り機Aにより引き取られることにより、サイジングダイ3を強制的に通過して、所定の形状及び寸法に成形される。サイジングダイ3と引き取り機Aとの間には、水槽A(バキューム水槽)が設けられており、サイジングダイ3により成形された押出物4は、水槽Aにおいてバキュームによる膨張張力が加えられている条件下に冷却され、固化される。
【0023】
引き取り機Aの前方には、水槽B及び水槽Cを介して、引き取り機Bが設けられている。引き取り機Bは引き取り機Aよりも高速で駆動されており、水槽Bには延伸温度に加熱された水(熱媒体)が収容されており、一方、水槽Cには通常の冷却のための水が収容されている。
かくして、引き取り機Aからのパイプ5は、水槽Bにおいて、
引き取り機Bの引き取り速度/引き取り機Aの引き取り速度
の比に対応する倍率で一軸延伸され(径方向への縮径も同時に起こる)、この延伸パイプ6は、次の水槽Cで冷却され、安定化される。安定化されたパイプ7はカッターで所定サイズに切断され、管ライニング用被覆材となる
【0024】
多層構造の樹脂パイプを製造するためには、樹脂の種類に対応する数の押出機を用い、各樹脂を押出機中で混練した後、多層多重ダイで合流させてオリフィスを通して層状に押し出し、上記と同様な成形操作を行えばよい。
【0025】
本発明の樹脂パイプの断面構造の数例を示す図2において、(A)はこの樹脂パイプ10が単層のアイオノマー11からなる例であり、(B)乃至(D)はこの樹脂パイプ10が多層構造をとる場合の例を示している。多層構造の場合、何れか少なくとも一層にアイオノマー層が含まれていればよい。
例えば好適な多層構造の樹脂パイプ10として、(B)アイオノマーの外層11と、架橋或いは非架橋のポリエチレンの内層12との共押出積層体から成るもの、(C)酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂の外層13と、アイオノマーの内層11との共押出積層体から成るもの、(D)酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂の外層13と、アイオノマーの中間層11と、架橋或いは非架橋のポリエチレンの内層12との共押出積層体からなるものが挙げられる。
【0026】
アイオノマーのベースポリマーとなるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン成分が88〜98モル%、特には90〜97モル%、不飽和カルボン酸成分が2〜12モル%、特には3〜10モル%、またエチレンと不飽和カルボン酸以外にその他の不飽和モノマー成分を0〜15モル%、特には0〜12モル%の割合で共重合させてもよい。
さらに、総和が上記条件を満たす限り、不飽和カルボン酸成分単位の異なるものを2種以上用いてもよい。
【0027】
不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸などが例示され、特にアクリル酸あるいはメタクリル酸が好ましい。
【0028】
他の不飽和モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、あるいは酢酸ビニルなどが例示できる。
【0029】
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーにおける金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属が例示される。
金属イオンによる中和度は、特に限定されないが、平均中和度が10%以上、好ましくは20〜80%からなるものが好適である。
【0030】
アイオノマーとしてはまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、特に0.2〜30g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
また、アイオノマーの70℃における延伸応力は1乃至4MPa、好ましくは1.5乃至3.5MPaであることが好ましい。延伸応力が4MPaを超える場合には、膨張操作が困難となるだけでなく、特に曲管部を有する管内への樹脂パイプの引き込み操作が困難となる。また、延伸応力が1MPa未満の場合には、樹脂パイプの引き込み操作時に伸びが生じて好ましくない。
【0031】
本発明においては、複数種のアイオノマーをブレンドの形で或いは積層の形で用いることができることも了解されるべきである。アイオノマーには、不飽和エステル単位を含有しない硬質アイオノマーと、不飽和エステル単位を含有する軟質アイオノマーとの2種類に大別されるが、これらの2種類のアイオノマーをブレンドの形で或いは積層の形で用いることができる。
【0032】
アイオノマーとの組合せで多層パイプの形成に用いるポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LULDPE)などが使用される。
また、これらのポリエチレンはラジカル架橋性であり、ラジカル架橋剤と組合わせて溶融押し出しすると、架橋ポリエチレンを生成する。ラジカル架橋剤としては、有機過酸化物が適当であり、ポリエチレン100重量部当たり0.1乃至5重量部のラジカル架橋剤(開始剤)を用いるのが適当である。
【0033】
ラジカル架橋剤(開始剤)としては、この種の架橋処理に使用されているラジカル開始剤は全て使用でき、例えば有機ペルオキシド、有機ペルエステル、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフエニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec −オクトエート、tert−ブチルペルピパレート、クミルペルピパレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテート、その他アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートがある。ポリエチレンの溶融混練条件下で架橋を有効に行うためには、ラジカル開始剤の半減期温度が100乃至200℃の範囲にあることが望ましい。
【0034】
また、上記ポリエチレンはシラン架橋を行うこともできる。即ち、グラフト処理と架橋処理とが可能なシラン化合物をポリエチレンに配合し、上記ラジカル開始剤の存在下にグラフトさせ、次いで加水分解により架橋を行えばよい。
ラジカル重合性有機基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等のエチレン系不飽和炭化水素基や、アクリルオキシアルキル基、メタクリルオキシアルキル基等のエチレン系不飽和カルボン酸エステル単位を含有するアルキル基等を挙げることができるが、ビニル基が好適である。加水分解可能な有機基としては、アルコキシ基やアシルオキシ基等が挙げられる。
シラン化合物の適当な例は、これに限定されないが、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等である。
この後者の場合、前記ポリエチレン100重量部当りシラン化合物は0.1乃至10重量部、特に0.2乃至5.0重量部、ラジカル開始剤は触媒量存在させるのがよい。
【0035】
アイオノマーとの組合せで多層パイプの形成に用いる酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂は、本発明の樹脂パイプを管の内面被覆材や補修材として使用する際に、管と樹脂パイプとを接着する役割を果たし、管に接する外層に用いられるものである。
酸変性エチレン系樹脂としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト量が0.01乃至10重量%、好ましくは0.1乃至5重量%であるグラフト変性ポリエチレンであり、グラフト共重合体のベースポリマーとしては、前に例示したポリエチレン、及びエチレンとアクリル酸エステル,メタクリル酸エステルのようなα,β−不飽和カルボン酸エステルや酢酸ビニルのようなビニルエステルとの共重合体を挙げることができる。不飽和カルボン酸としては、前に例示したものが適当であるがマレイン酸、ナジック酸(登録商標)またはこれらの酸無水物が好適である。
酸変性エチレン系樹脂の他の例としては、前に例示したエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、即ち金属イオンで未中和のものを挙げることができる。
【0036】
更に、アイオノマーとの組合せで多層パイプの形成に用いるシラン変性オレフィン系樹脂は、不飽和シラン化合物のグラフト量が0.01乃至5重量%、好ましくは0.02乃至3重量%であるグラフト変性オレフィン系樹脂である。
このようなシラン変性オレフィン系樹脂のベースとなるオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜8のオレフィンの単独重合体、並びに、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルのようなα,β−不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、エポキシ化不飽和炭化水素、エポキシ化不飽和エーテル、エポキシ化不飽和エステルのようなエポキシ基含有オレフィン系共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の共重合モノマーと前記オレフィンとの共重合体を挙げることができる。
【0037】
不飽和シラン化合物のグラフト濃度が前記規定値を充たす限りにおいては、シラングラフト変性オレフィン系樹脂と他のシラングラフトされていない熱可塑性樹脂とを混合して使用することができる。
このような熱可塑性樹脂の代表例としては、高密度、中密度、或いは低密度ポリエチレン、エチレンと酢酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステル、ブテン、ヘキセン等のα−オレフィンとの共重合体、ホモ、ランダム、或いはブロックポリプロピレンが好適なものとして挙げられる。
【0038】
シラン変性オレフィン系樹脂の合成に用いられる不飽和シラン化合物は、不飽和基と加水分解可能な基を有するシラン化合物であり、具体的な例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン類、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シラン類等を挙げることができる。
【0039】
本発明の方法に使用される延伸樹脂パイプには、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、耐塩素水用の硫黄等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0040】
本発明の方法に用いる延樹脂パイプにおいて、アイオノマー層の厚みは施すべき管の内径や要求される被覆の厚みによっても相違するが、一般に0.1乃至5.0mmの厚みを有するのがよい。また、パイプの全厚みに対するアイオノマー層の厚みは50%以上、特に60%以上であることが好ましい。
【0041】
また、延伸パイプを製造する場合、押出物の延伸温度は、アイオノマーの種類によっても相違するが、一般に50乃至100℃、特に55乃至95℃の範囲にあるのがよく、1軸方向の延伸倍率は1.02乃至3倍、特に1.04乃至2.5倍の範囲にあるのがよい。
また、延伸に伴う縮径の程度、即ち、延伸後径/延伸前径の比は、0.50乃至0.98、特に0.6乃至0.96の範囲にあるのが望ましい。
【0042】
[管ライニング用被覆材及びその方法]
本発明の樹脂パイプを、管ライニング用被覆材として管の被覆に用いるには、樹脂パイプを管の内部に挿入し、該被覆材を加熱下に膨張させて管内面に熱接着させる。
【0043】
樹脂パイプの加熱は直接行うこともできるし、間接的に行うこともできる。例えば、前者の場合、樹脂パイプを挿入した管を加熱オーブンに入れ、全体を加熱すればよく、また後者の場合、管を電磁誘導加熱、高周波誘導加熱、熱風吹き付け、ガスバーナー加熱等により、一端部から他端部に順次加熱して、熱接着を行えばよい。
【0044】
樹脂パイプが延伸パイプであるため、その膨張は、延伸パイプが本来有している熱膨張性を利用して行うが、この膨張性を補う目的で、パイプ内に熱風を吹き込むこともできる
【0045】
[管補修工法]
本発明では、上述した管ライニング用被覆材及び被覆方法を応用し、土中に埋設された管をそのままの状態で内面被覆による補修を行うことが可能である。
本発明の補修工法の原理を説明するための図3において、工程(A)において、土中21に埋設され、補修を必要とする管22にアイオノマー樹脂パイプを引き込むための牽引索23を通す。
工程(B)において、管22の内径よりも小さい外径のアイオノマー樹脂パイプ24を用意し、牽引索23を樹脂パイプ24の一端部に固定し、牽引索23を引っ張ることにより、樹脂パイプ24の一端部が管22の端部外に出るまで、樹脂パイプ24を引き込む。
工程(C)において、樹脂パイプ24の他端部から湿式または乾式の加熱媒体25を樹脂パイプ24内に吹き込み、樹脂パイプ24を樹脂パイプのガラス転移点(Tg)以上及び融点(Tm)+50℃以下の温度に加熱すると共に膨張させる。
これにより、工程(D)に示すとおり、管22の内面にこれと強固に密着したアイオノマー樹脂の保護被膜26が形成され、管22の補修が土中埋設状態のまま有効に行われることになる。
【0046】
本発明の補修工法に用いる樹脂パイプにおいては、樹脂パイプが管の内径の1/3乃至2/3の外径を有するものが、管への引き込みの作業性の点で好都合である。
また、用いる樹脂パイプは、管の内径rと樹脂パイプの外径rの比をr=r/rとするとき、0.1r乃至5r(mm)の、特に0.2r乃至4.5r(mm)の厚みを有することが、管の内面保護と、管への引き込み性の点で好都合である。
この厚みが上記範囲を上回ると、補修すべき管の一部に曲管部、例えば角度90゜のエルボー部が存在する場合、樹脂パイプの引き込みが円滑に行われない傾向があり、一方、この厚みが上記範囲を下回ると管の内面保護が不十分となる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0047】
また本発明の補修工法では、樹脂パイプとして、周方向或いはスパイラル方向に延びる蛇腹を備えた屈曲性のチューブを用いることもでき、この場合には、曲管部を通しての引き込みも円滑に行われるようになる。
【0048】
更に、樹脂パイプを加熱膨張させる際、管内の空気が外部に円滑に排出され、樹脂パイプが残留空気の気泡による隙間なしに密着させることが重要であり、このため、樹脂パイプは軸方向或いはスパイラル方向に延びる空気抜きのための凹部を外壁に有していることが好ましい。
【0049】
本発明方法において延伸樹脂パイプを用いて管の被覆補修をするには、既に述べたとおり、樹脂パイプを管の内部に挿入し、該樹脂パイプを加熱下に膨張させて管内面に熱接着させる
脂パイプの加熱は熱媒体を用いて乾式或いは湿式で行うことができる。ガスバーナー等により加熱等された熱風や温水乃至熱水を樹脂パイプの一端部から吹き込み、一端部から他端部に順次加熱して膨張させつつ、熱接着を行えばよい。
【0050】
樹脂パイプの膨張は、前述した被覆方法と同様、延伸パイプが本来有している熱膨張性を利用して行うが、この膨張性を補う目的で、樹脂パイプ内に熱風を吹き込むこともできる
【0051】
本発明が対象とする管としては、下水道管、土木・農業管などの埋設管や、上水道管、ガス管、給湯管、油圧空圧配管、空送管などの内圧管などが挙げられる。管の材質は、スチールや鋳鉄であるのが一般的であるが、亜鉛メッキ管や銅管、更にはアルミニウムやその合金類等の軽金属製管等の金属管に適用可能である。
【0052】
【実験例】
本発明を更に次の例で説明する。
[実験例1]
1.延伸応力(100%モジュラス)
測定方法:
恒温槽付き引張試験器にて試料(10×100×1mm)の標線間を50から100mm(100%)へ引き伸ばした時の応力を測定した。
また、確認のために測定直後のサンプルの標線間伸び(チャック間伸び)も測定した。
【0053】
【表1】
延伸応力(表中のカッコ内の数字は標線間の伸び)
Figure 0004691229
【0054】
[実験例2]
2.復元性
測定方法:
延伸応力を測定したのと同様のサンプルにて140%延伸、冷水冷却後にオーブン加熱1時間でどの程度復元するか評価した。標線間70mm。
【0055】
【表2】
標線間距離の復元率%(カッコ内の数字は延伸時の標線間の延伸率%)
Figure 0004691229
【0056】
評価結果:
全てのサンプルにおいてほぼ100%復元した。(70〜90℃)
標線間以外に試験片幅、厚みについても復元性を測定したが、ほぼ100%復元した。
【0057】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例、比較例に用いた原料樹脂の組成と物性、並びに、得られた樹脂ライニング鋼管の評価方法は下記の通りである。
【0058】
1.被覆材用樹脂原料
1.1.エチレン・メタクリル酸共重合体アイオノマー
表3記載のアイオノマー
1.2.エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)
メタクリル酸含量 12重量%
メルトインデックス 7g/10min
1.3.低密度ポリエチレン(LDPE)
三井化学(株)製低密度ポリエチレン ミラソン401
メルトインデックス 1.6g/10min
密度 918kg/m
1.4.シラン変性エチレン共重合体組成物
各種配管との接着剤として外層に用いられるシラン変性ポリエチレン共重合体組成物は、エチレン/アクリル酸エチル(共重合重量比 81/19、メルトインデックス25g/10min)100重量部にγ−メタクリロキシプロピル・トリメトキシシラン0.4重量部、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.1重量部添加し、この配合物を30mm単軸押出機を用い樹脂温度220℃で混練することにより合成した。
【0059】
【表3】
Figure 0004691229
【0060】
2.樹脂ライニング鋼管の評価方法
2.1.せん断接着応力
樹脂ライニング鋼管より幅20mmの試験片を切り出し、日本水道協会規格JWWA−K116に準拠して、樹脂ライニング部を当て金にて押し抜くのに要する力を測定し、樹脂ライニング部の接触面積で割った値をせん断接着応力として求めた(測定温度23℃)。
2.2.耐久性試験
樹脂ライニング鋼管を任意の場所から長さ1mを切り出し、80℃温水中2時間浸漬と20℃温水中2時間浸漬を1サイクルとするサイクル試験を60回繰り返した後に、2.1.に記載の方法に従い、せん断接着応力を測定した。
【0061】
[実施例1]
図1に示す押出機1を用い、アイオノマーBを樹脂温度170℃で押し出し、サイジングダイ3を備えたバキューム水槽Aで冷却して、一次外径22mm、厚み1mmのアイオノマー管4を製造した。このアイオノマー管4を、引取機Aを通過後、水槽Bにより温度80℃まで加熱し、引取機Bと引取機Aの速度比を1.18とすることにより延伸を行い、水槽Cにより室温まで冷却固化した後、カッターで所定の長さに切断した。得られたアイオノマー管7の二次外径は20mmであった。これらの操作は連続的に行われた。得られたアイオノマー管7を90℃熱水中に2分間浸漬したところ、外径膨張率10%、長さ方向収縮率17%であり、良好な形状復元性を示した。
更に、アイオノマー管7を配管用炭素鋼管(内径21.6mm)に挿入し、鋼管表面温度が平均150℃となるようにバーナーにより一端から他端にかけて逐次加熱したところ、熱膨張により鋼管内面に密着した。得られたアイオノマーライニング鋼管の性能評価結果を表4に示す。なお、アイオノマー管7は良好な透明性を持つために、被覆材と鋼管の間の接着界面が目視で観察でき、万一界面に空気溜りが発生しても肉眼で検出できるという興味ある利点が見出された。
【0062】
[実施例2]
ライニング用被覆材の断面構造として図2(C)に示す多層構造において、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)を外層13、アイオノマーBを内層11とする共押出積層管を多層多重ダイを用い、外層13と内層11の厚み比を10/90として製造した以外は全て実施例1と同様にして、一次外径22mm、厚み1mm、二次外径20mmの延伸管を作成し、実施例1と同様にして樹脂ライニング鋼管を作成した。得られた樹脂ライニング鋼管の性能評価結果を表4に示す。
【0063】
[実施例3]
ライニング用被覆材の断面構造として図2(D)に示す多層構造において、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)を外層13、アイオノマーBを中間層11、低密度ポリエチレン(LDPE)を内層12とする共押出積層管を多層多重ダイを用い、外層13、中間層11、内層12の厚み比を10/80/10として製造した以外は全て実施例1と同様にして、一次外径22mm、厚み1mm、二次外径20mmの延伸管を作成し、実施例1と同様にして樹脂ライニング鋼管を作成した。得られた樹脂ライニング鋼管の性能評価結果を表4に示す。
【0064】
[比較例1]
アイオノマーBの代わりにジクミルパーオキサイド0.5重量部を含む低密度ポリエチレン(LDPE)を用い、樹脂温度220℃で押し出した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン延伸管の製造を試みた。しかしながら、架橋ポリエチレンの延伸応力が大きすぎて、水槽Bの温度を100℃まで上げても殆ど延伸をかけることができなかった。
【0065】
[実施例4]
ライニング用被覆材の断面構造として、図2(C)に示す多層構造において、シラン変性ポリエチレン共重合体組成物を外層13、アイオノマーAを内層とする以外は全て実施例2と同様にして、一次外径22mm、厚み1mm、二次外径20mmの延伸管を作成し、実施例1と同様にして樹脂ライニング鋼管を作成した。得られた樹脂ライニング鋼管の性能評価を表4に示す。
【0066】
[実施例5]
実施例4と同様にして作成した一次外径22mm、厚み1mm、二次外径20mmの延伸管(アイオノマー管7)を、内径21.5mmのアルミニウム管に挿入し、実施例1と同様にしてアイオノマーライニングアルミニウム管を作成した。得られたアイオノマーライニング管の性能評価を表4に示す。
【0067】
【表4】
Figure 0004691229
【0068】
[実施例6](参考例)
アイオノマーとして表3及び表5記載のアイオノマーBを用い、図1に示す押出機1により樹脂温度170℃で押し出し、サイジングダイ3を備えたバキューム水槽Aで冷却して、外径22mm、厚み1mmのアイオノマー管4を製造した。
このアイオノマー管4を60℃に加熱した状態で、角度90°エルボー部を有する配管用炭素鋼管(内径35.7mm、全長1m)に牽引索を用いて挿入した。続いて、一端をクランプで密封したのち、100℃オーブン中で加熱した状態で、アイオノマー管4の他端より工業用エアー(圧力0.3MPa)を吹き込み加圧してアイオノマー管4を膨張させることにより、アイオノマー内面被覆層を有する炭素鋼管を製造した。
このアイオノマー被覆鋼管の被覆層の厚みを、エルボー部を含む任意の10個所から切り出した試験片について測定したところ、0.65±0.05mm厚の範囲にあり、均一に膨張していることが確認された。
さらに、ガスバリア性の指標として、50μm厚みインフレーションフィルムについて窒素ガスと酸素ガスのガス透過度を測定したところ、それぞれ、870、3550cc/m・d.atmであった。
【0069】
[実施例7,8](参考例)
アイオノマーとしてアイオノマーBの代わりに表3及び表5記載のアイオノマーC、もしくは、アイオノマーDを用いた以外は実施例6と同様にして、アイオノマー被覆炭素鋼管を製造した。
得られたアイオノマー被覆鋼管の被覆層の厚みを、実施例6と同様に評価したところ、何れも良好な膜厚均一性が認められた。さらに、実施例6と同様に窒素ガスと酸素ガスのガス透過度を測定したところ、アイオノマーCではそれぞれ、780、2680cc/m・d.atm、また、アイオノマーDではそれぞれ1250、4430cc/m・d.atmであった。
【0070】
[比較例2]
アイオノマーの代わりに表5記載の14%EVAを用いた以外は実施例6と同様にして、樹脂被覆炭素鋼管を製造した。
得られた樹脂被覆鋼管の被覆層の厚みを、実施例6と同様に評価したところ、エルボー部や先端のクランプ密封部で局部的に薄い部分の発生が認められた(平均厚み=0.65mm、最薄厚み=0.41mm)。さらに、実施例6と同様に窒素ガスと酸素ガスのガス透過度を測定したところ、それぞれ、2260、7400cc/m・d.atmであり、ガスバリア性が不十分であった。
【0071】
[比較例3]
アイオノマーの代わりに表5記載のLDPEを用いた以外は実施例6と同様にして、樹脂管4を製造した。この樹脂管4は60℃に加熱した状態では、炭素鋼管に挿入する際、角度90゜のエルボー部でつかえて先へ送ることが出来なかったために、90℃に加熱した状態で炭素鋼管に牽引索を用いて挿入した。
一端をクランプで密封したのち、熱膨張を行う操作でも、100℃オーブン中で加熱した状態では工業用エアー(圧力0.3MPa)では膨張しなかったために、130℃オーブン中で樹脂管4を加熱し加熱膨張させることによりLDPE内面被覆層を有する炭素鋼管を製造した。
得られた樹脂被覆鋼管の被覆層の厚みを、実施例6と同様に評価したところ、比較例2と同じように、エルボー部や先端のクランプ密封部で局部的に薄い部分の発生が認められた(平均厚み=0.64mm、最薄厚み=0.39mm)。さらに、実施例6と同様に窒素ガスと酸素ガスのガス透過度を測定したところ、それぞれ、1330、4620cc/m・d.atmであった。
【0072】
【表5】
Figure 0004691229
【0073】
【発明の効果】
本発明方法によれば、アイオノマー単層延伸樹脂パイプまたは少なくとも1層がアイオノマーである延伸樹脂パイプを、管ライニング用被覆材または管内面補修材として供することにより、比較的低い温度においても、膨張のための応力や延伸応力が小さく、膨張操作や延伸操作が容易であって、作業性や生産性に優れているという利点が得られると共に、あらかじめ延伸されたパイプを用いるので、パイプの延伸配向が一様で、ミクロクラックやピンホール等の欠陥がなく、管へのライニングに際しては満足すべき復元性が得られ、残留ひずみの発生が抑えられるために金属管に対し長期に安定した接着力を示すという利点が達成される。
【0074】
また本発明によれば、管の内径よりも小さい外径を有する上記樹脂パイプを、土中埋設された補修すべき管内に引き込み、その後樹脂パイプ内に加熱媒体を導入して、樹脂パイプを樹脂パイプのガラス転移点(Tg)以上及び融点(Tm)+50℃以下の温度で膨張させ、前記樹脂パイプを管内面に密着させることにより、土中に埋設された管をそのままの状態で内面被覆による補修を行うことが可能であり、地面も掘削が不要となり、施工の手間、期間及び費用の点で大きな利点が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】アイオノマー樹脂パイプの製造工程を示す説明図である。
【図2】樹脂パイプの断面構造を示す断面図である。
【図3】本発明の補修工法の工程図である。

Claims (7)

  1. 下記(1)〜(4)の何れかに記載の、延伸温度50乃至100℃で延伸された、1軸方向の延伸倍率が1.02乃至3倍、延伸後径/延伸前径の比が0.50乃至0.98の範囲にある1軸延伸樹脂パイプからなる管ライニング用被覆材を、樹脂パイプの外径よりも大きい内径を有する金属管内部に挿入し、該被覆材を加熱下に膨張させて、接着剤を介在させることなく金属管内面に熱接着させることを特徴とする管の被覆方法。
    (1)アイオノマー単層延伸樹脂パイプ。
    (2)アイオノマーの外層と、架橋或いは非架橋のポリエチレンの内層からなる延伸樹脂パイプ。
    (3)酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂の外層と、アイオノマーの内層からなる延伸樹脂パイプ。
    (4)酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂の外層と、アイオノマーの中間層と、架橋或いは非架橋のポリエチレンの内層とからなる延伸樹脂パイプ。
  2. 加熱が、樹脂パイプを挿入した金属管を加熱オーブンに入れ全体を加熱する、樹脂パイプを挿入した金属管を電磁誘導加熱、高周波誘導加熱、熱風吹き付け、ガスバーナー加熱により一端部から他端部に順次加熱する、温水またはホットエアーの加熱媒体を樹脂パイプ内に吹き込む、の何れかにより行われる請求項1に記載の管の被覆方法。
  3. 酸変性エチレン系樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体である請求項1または2に記載の管の被覆方法。
  4. アイオノマーの70℃における延伸応力が1乃至4MPaである請求項1乃至3の何れか1項に記載の管の被覆方法。
  5. 樹脂パイプが金属管の内径の1/3乃至2/3の外径を有するものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の管の被覆方法。
  6. 押出機のリング状ダイオリフィスを通してアイオノマー単層或いはアイオノマーと他の樹脂との積層の筒状押出物を押出し、この筒状押出物を引き取り機Aにより引き取ることでサイジングダイを強制的に通過させ、所定の形状及び寸法に成形する工程、
    サイジングダイと引き取り機Aとの間に設けられた水槽Aにおいて、サイジングダイにより成形された押出物を固化する工程、
    引き取り機Aからのパイプを、引き取り機Aの前方に設けられた延伸温度に加熱された水が収容されている水槽Bにおいて、引き取り機Bの引き取り速度/引き取り機Aの引き取り速度の比に対応する倍率で一軸延伸し、次の通常の冷却のための水が収容されている水槽Cにおいて冷却し、安定化して延伸樹脂パイプとする工程、
    とからなる、樹脂パイプの外径よりも大きい内径を有する金属管内部に挿入し、該被覆材を加熱下に膨張させて、接着剤を介在させることなく金属缶内面に熱接着させて金属管内面被覆するのに用いられる、延伸温度50乃至100℃で延伸された、1軸方向の延伸倍率が1.02乃至3倍、延伸後径/延伸前径の比が0.50乃至0.98の範囲にある1軸延伸樹脂パイプの製造方法。
  7. 他の樹脂が、酸変性エチレン系樹脂又はシラン変性オレフィン系樹脂、架橋或いは非架橋のポリエチレンから選ばれる少なくとも一つである請求項6に記載の1軸延伸樹脂パイプの製造方法。
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