JP2003120863A - 複合管 - Google Patents

複合管

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JP2003120863A
JP2003120863A JP2001320718A JP2001320718A JP2003120863A JP 2003120863 A JP2003120863 A JP 2003120863A JP 2001320718 A JP2001320718 A JP 2001320718A JP 2001320718 A JP2001320718 A JP 2001320718A JP 2003120863 A JP2003120863 A JP 2003120863A
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JP2001320718A
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Hirotsugu Yoshida
博次 吉田
Takehisa Sugaya
武久 菅谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造過程において内層を形成するポリオレフ
ィン系樹脂組成物を架橋させる架橋工程を必要とせず、
耐熱水性や耐久性に優れているとともに、内層部分のリ
サイクルも容易に行うことのできる複合管を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 金属製の外層と、ポリオレフィン系樹脂
組成物製の内層との間に、外層と内層とを接合する中間
層を備えた複合管において、内層が、温度上昇溶離分別
装置を用いた測定方法でポリエチレン系樹脂の結晶性分
布を測定したとき、ポリエチレン系樹脂が10重量%溶
出したときの温度から100重量%溶出したときの温度
までの温度差が20℃以下である非架橋のポリエチレン
系樹脂を基材とするポリエチレン系樹脂組成物であるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属管の内面がポ
リオレフィン系樹脂組成物によって被覆された、耐久性
に優れ、給水、給湯、温水暖房用、薬品輸送、排水など
の用途に適した複合管に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂は、安価であるに
もかかわらず、化学的に安定で耐食性に優れている。そ
こで、このような性質を有するポリオレフィン系樹脂
は、複合管の内層として、直接あるいは接着材層を介し
て外層となる鉄管などの金属管の内面に被覆して使用さ
れている。上記複合管は、熱水や薬液などを移送する配
管として広く使用されている。しかし、複合管は、給湯
管など高温条件下の配管として使用する場合、この複合
管の内層部分となるポリオレフィン系樹脂が、高温下に
おいて耐久性を有していなければならない。
【0003】そこで、従来は、複合管の内層部分となる
ポリオレフィン系樹脂として、耐熱性に優れた架橋ポリ
エチレン系樹脂が使用されてきた。架橋ポリエチレン系
樹脂は、従来、以下の方法でポリエチレン系樹脂を架橋
させることにより製造されていた。 (1)有機シランを熱架橋性のポリエチレン系樹脂へグ
ラフト反応させた後、熱水で架橋する。 (2)電離性放射線(電子線)を直接ポリエチレン系樹
脂へ照射し架橋する。 (3)過酸化物をポリエチレン系樹脂に混練した後、加
熱を行い架橋する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、架橋ポ
リエチレン系樹脂を内層とした複合管は、高温での耐久
性に優れてはいるが、上述したようなポリエチレン系樹
脂間を架橋させるための工程を必要とするため、非常に
製造するのに手間がかかるという問題があった。また、
架橋ポリエチレン系樹脂は、溶融流動しないためリサイ
クルが困難であるという問題もあった。
【0005】そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み
てなされ、製造過程において内層を形成するポリオレフ
ィン系樹脂組成物を架橋させる架橋工程を必要とせず、
耐熱水性や耐久性に優れているとともに、内層部分のリ
サイクルも容易に行うことのできる複合管を提供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に記載の発明にかかる複合
管(以下、「請求項1の複合管」と記す。)は、金属製
の外層と、ポリオレフィン系樹脂組成物製の内層との間
に、外層と内層とを接合する中間層を備えた複合管にお
いて、内層が、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法
でポリエチレン系樹脂の結晶性分布を測定したとき、ポ
リエチレン系樹脂が10重量%溶出したときの温度から
100重量%溶出したときの温度までの温度差が20℃
以下である非架橋のポリエチレン系樹脂を基材とするポ
リエチレン系樹脂組成物であることを特徴とする構成と
した。
【0007】上記構成において、金属製の外層として
は、特に限定されないが、たとえば、鋼管、メッキ鋼
管、ステンレス鋼管、アルミニウム管、銅管などの金属
管が挙げられる。上記金属管は、その内面を、アルカリ
などにより脱脂処理、塩酸・硫酸・硝酸などにより錆な
どの酸化膜除去処理などを施し、その後、リン酸亜鉛・
リン酸鉄・シュウ酸などにより防錆処理、更に接着性を
良好にするためのカップリング処理、プライマー処理、
クロメート処理などを施すことが好ましい。
【0008】また、本発明にかかる複合管の内層部分を
形成するポリエチレン系樹脂組成物は、温度上昇溶離分
別装置を用いた測定方法で測定したとき、10重量%溶
出したときの温度から100重量%溶出したときの温度
までの温度差が20℃以下であるポリエチレン系樹脂か
らなることが必要であり、特に、温度差が18℃以下で
あるポリエチレン系樹脂を基材とすることが好ましい。
【0009】すなわち、上記温度差が20℃よりも大き
いと、ポリエチレン系樹脂を複合管の内層として使用し
たとき、このポリエチレン系樹脂の中に結晶性の高い成
分と低い成分とが同時に存在することとなり、長期耐熱
水性に劣る複合管となってしまうおそれがある。
【0010】ここで、ポリエチレン系樹脂組成物は、ポ
リエチレン系樹脂を基材とするのであれば、ポリエチレ
ン系樹脂のみで構成されていても、ポリエチレン系樹脂
に適宜添加剤が添加されたものであっても構わない。上
記添加剤としては、特に限定されないが、たとえば、酸
化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電
防止剤などが、ポリエチレン系樹脂に所望の物性を与え
るための添加剤として挙げられる。また、添加剤とし
て、結晶核剤となり得るものを少量添加して、結晶を微
細化して、ポリエチレン系樹脂の物性を均一化する補助
とするようにしても構わない。
【0011】また、本発明における温度上昇溶離分別装
置を用いたポリエチレン系樹脂の結晶性分布の測定方法
は、市販の温度上昇溶離分別装置を用いて以下のように
して行われる。 対象とするポリエチレン系樹脂を、140℃あるいは
ポリエチレン系樹脂が完全に溶解する温度のo−ジクロ
ロベンゼンに完全に溶解し、140℃から0℃まで1分
あたり1℃づつ冷却していき、予め用意しておいた不活
性担体の表面に、薄いポリマー層を結晶性の高い順及び
分子量の大きい順に生成させ、0℃で30分間保持した
後、ポリエチレン系樹脂の結晶性分布測定を行う。
【0012】上記測定は、工程で生成させたポリマ
ー層を連続的または段階的に昇温して、順次溶出した成
分の濃度を検出して、組成分布(結晶性分布)を測定す
ることで行う。これを温度上昇溶離分別という。なお、
上記測定方法は、J.Appl.Polym.Sci.,26,4217(1981)に
記載されている原理に基づいて行う。
【0013】なお、本発明で使用されるポリエチレン系
樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、エチレ
ン単独重合体、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィ
ン(ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペン
テン、オクテン−1等)とのポリエチレン共重合体など
が挙げられる。
【0014】また、本発明で使用するポリエチレン系樹
脂は、本発明の請求項2にかかる複合管のように、ポリ
エチレン系樹脂が、重合触媒としてシングルサイト触媒
を用いて重合されたものであることが好ましい。上記構
成において、シングルサイト触媒とは、重合活性点が均
一な触媒のことをいい、たとえばメタロセン触媒などが
挙げられる。メタロセン触媒は、遷移元素をπ電子系の
不飽和化合物で挟んだ構造の化合物であり、チタン、ジ
ルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金
などの四価の遷移元素に、1つまたは2つ以上のシクロ
ペンタジエニル環またはその類縁体が配位子として存在
する化合物のことをいう。
【0015】このようなメタロセン化合物としては、特
に限定されないが、たとえば、シクロペンタジエニルチ
タニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペン
タジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)などが
挙げられる。これらのメタロセン化合物は、金属の種類
や配位子の構造を変え、特定の助触媒と組み合わせるこ
とにより、エチレンなどのオレフィンを重合する際に触
媒として働く。
【0016】具体的には、ポリエチレン系樹脂の重合
は、メタロセン化合物に助触媒としてメチルアルミノキ
サン、ホウ素化合物を添加した系で行われる。メタロセ
ン化合物に対する助触媒の使用割合は、メタロセン触媒
1モルに対して、10モル以上100万モル以下の助触
媒を用いることが好ましく、特に、メタロセン触媒1モ
ルに対して、50モル以上500モル以下の助触媒を用
いることがより好ましい。
【0017】また、本発明に使用するポリエチレン系樹
脂は、本発明の請求項3にかかる複合管のように、ポリ
エチレン系樹脂の平均密度が、0.910g/cm3
上0.945g/cm3未満であることが好ましく、特
に、0.913g/cm3以上0.943g/cm3未満
であることがより好ましい。
【0018】すなわち、ポリエチレン系樹脂の平均密度
が、0.910g/cm3未満であると、透湿性が高く
なりブリスターが発生しやすくなってしまうおそれが生
じ、ポリエチレン系樹脂の平均密度が、0.945g/
cm3以上であると、ポリエチレン系樹脂内の結晶と結
晶とを結ぶタイ分子が少なくなるため亀裂が発生しやす
くなってしまうおそれが生じる。なお、本発明における
ポリエチレン系樹脂の平均密度は、JIS K7112
(プラスチックの密度と比重の測定方法)に準拠して測
定した試験温度23℃での値をいう。
【0019】また、本発明における中間層は、内層と外
層とを接合する接着剤層としての働きを有していれば、
どのような材質により形成されていてもよく特に限定さ
れないが、金属管の内周面に接着層を形成させる作業性
に優れている観点から接着性ポリオレフィン系樹脂を使
用することが好ましい。
【0020】上記接着性ポリオレフィン系樹脂として
は、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系
樹脂を加水分解性のビニルアルコキシランで変性させた
シラン変性ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂を不飽和カルボン酸またはその無水物で変性させたカ
ルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0021】上述した接着性ポリオレフィン系樹脂は、
本発明の性能を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化
防止剤、難燃剤、顔料、充填材、帯電防止剤、潤滑材、
粘着付与剤などの添加剤、および他の樹脂を混合するこ
とができる。樹脂を混合する場合は、上述した接着性ポ
リオレフィン系樹脂と相性のよいポリオレフィン系樹脂
を使用することが好ましい。
【0022】また、上述した変性に用いるポリオレフィ
ン系樹脂の主成分としては、低密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンとプ
ロピレン,1−ブテン,1−ヘキセン,4−メチル−1
−ペンテン,1−オクテンなどのα−オレフィンとの共
重合体などが用いられる。この中でも、特に、線状低密
度ポリエチレンは、変性(グラフト)効率が良く好適で
ある。
【0023】また、上述した加水分解性のビニルアルコ
キシランとしては、特に限定されないが、たとえば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシ
シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキ
シシランなどが好適に用いられる。また、不飽和カルボ
ン酸またはその無水物としては、マレイン酸、アクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、無水物イタコン酸などが用いられる。
【0024】中間層として、シラン変性ポリオレフィン
系樹脂を使用する場合、このシラン変性ポリオレフィン
系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に加水分解性のビニル
アルコキシランを加え、これをジ−t−ブチルパーオキ
サイドなどのラジカル発生剤の存在下で押出機内やロー
ルにより溶融混練し、ラジカル発生剤の作用によりポリ
オレフィン系樹脂にビニルアルコキシランをグラフトさ
せることにより得ることができる。
【0025】また、中間層として、カルボン酸変性ポリ
オレフィン系樹脂を使用する場合も上述した方法と同じ
方法で、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸また
はその無水物をグラフトさせることにより得ることがで
きる。なお、これらのシラン変性ポリオレフィン系樹脂
およびカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂は、市販さ
れている。
【0026】また、外層としての金属管の内周面に沿っ
て中間層としての接着層を形成させる方法としては、特
に限定されないが、たとえば、接着層が接着性ポリオレ
フィン系樹脂により構成されている場合、以下のような
方法が挙げられる。 (1)接着性ポリオレフィン系樹脂を押出成形した樹脂
管を金属管の内側に挿入した後、加熱することにより前
記樹脂管を膨らませて、金属管内周面に接着層を形成さ
せる方法。 (2)接着性ポリオレフィン系樹脂を押出成形した樹脂
管を金属管の内側に挿入した後、金属管をロールなどに
より縮径させて、金属管内周面に接着層を形成させる方
法。 (3)金属管の内周面に接着性ポリオレフィン系樹脂粉
末を吹き付けた後、これを加熱溶融して接着層を形成さ
せる方法。 (4)金属の帯状体を用い、これを管状に成形し接合端
縁を溶接した直後に、その内周面に接着性ポリオレフィ
ン系樹脂を押出し被覆する方法
【0027】このようにして形成させた接着層を介し
て、金属管の内周面にポリエチレン系樹脂組成物を被覆
する方法としては、上述した(1)〜(4)の方法と同
様な方法に加えて、 (5)ポリエチレン系樹脂組成物および接着性ポリオレ
フィン系樹脂を金属管内周面に共押出成形する方法が挙
げられる。
【0028】以上のような方法により形成される複合管
における内層および中間層の厚みおよび両者の比率など
は、樹脂の種類や性状、成形性、コストなどを勘案して
適宜設定されるが、一般的な設定値として、内層および
中間層は、それぞれ0.2〜3mmの範囲で設定され
る。
【0029】また、中間層としてポリオレフィン系樹脂
が使用される場合、内層としてのポリエチレン系樹脂組
成物からなる層と、前記ポリオレフィン系樹脂からなる
層とは、明確に区分されていても良く、また、明確に区
分されずに、金属管に接する外層側から内層側へと徐々
に変化するようになされていても構わない。さらに、ポ
リエチレン系樹脂層と接着性ポリオレフィン系樹脂層と
が、それぞれ複数層形成されるような構成をしていても
良い。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明にかかる複合管は、アルミニウム
管からなる外層と、温度上昇溶離分別装置を用いた測定
方法でポリエチレン系樹脂の結晶性分布を測定したと
き、ポリエチレン系樹脂が10重量%溶出したときの温
度から100重量%溶出したときの温度までの温度差が
20℃以下である非架橋のポリエチレン系樹脂を含有す
るポリエチレン系樹脂組成物からなる内層とが、無水マ
レイン酸変性ポリエチレン樹脂(接着性ポリオレフィン
系樹脂)からなる中間層を介して接合された構成をして
いる。上記内層を構成するポリエチレン系樹脂は、メタ
ロセン触媒を用いて重合されているとともに、その平均
密度が、0.910g/cm3以上0.945g/cm3
未満のものが使用されている。
【0031】上述したような構成をしている複合管は、
内層となるポリエチレン系樹脂が、架橋されていないに
もかかわらず、優れた熱水に対する耐性を有している。
すなわち、本発明にかかる複合管は、熱水を長期間通水
しても、亀裂、割れ、ブリスターの発生が起こらず、耐
久性にも優れている。このようなことから、上述した複
合管は、手間をかけずに製造することができるととも
に、たとえば給湯用、温水暖房用、排水用などの高温条
件下の配管材料として好適に使用され得る。
【0032】次に、本発明にかかる複合管の製造方法を
説明する。 (1)水酸化ナトリウム溶液で片面を処理した約0.3
5mm程度の厚みをしたアルミニウム長尺帯状板を、処
理面を内側にして内径約15mm程度の円筒状に曲げ加
工し、接合部を溶接することによりアルミニウム管を製
管する。 (2)上述したアルミニウム管の内周面に中間層として
被覆されるように無水マレイン酸変性ポリエチレンを、
さらに中間層の内周面に内層として被覆されるように,
メタロセン触媒を用いて重合され、その平均密度が、
0.910g/cm3以上0.945g/cm3未満であ
るポリエチレン系樹脂(温度上昇溶離分別装置を用いた
測定方法で測定したとき、10重量%溶出したときの温
度から100重量%溶出したときの温度までの温度差が
20℃以下であるもの)を、押出機で溶融混練しながら
二層同時に管状に押出しして、アルミニウム管の内周面
に被覆させ3層構造をした複合管を製造する。 (3)なお、(2)の操作において、中間層の厚みは、
約0.2mm程度となるようにするとともに、内層の厚
みは、約1mm程度となるようにする。
【0033】以上の複合管の製造方法からも明らかなよ
うに、本発明にかかる複合管は、内層を形成するポリエ
チレン系樹脂の架橋工程を必要としないため、複合管の
製造における作業効率が格段に向上する。また、非架橋
ポリエチレン系樹脂を用いているため、内層部分のリサ
イクルも容易に行うことができる。
【0034】
【実施例】以下に、本発明の実施例をより詳しく説明す
る。 (実施例1)水酸化ナトリウム溶液で脱脂処理した厚み
0.35mmのアルミニウム長尺帯状板を、処理面を内
側にして円筒状に曲げ加工し、接合部を溶接して内径約
15mmのアルミニウム管を製管した。同時に、上記ア
ルミニウム管の内周面に、無水マレイン酸変性ポリエチ
レン(三井化学製アドマー)が中間層を形成するととも
に、この中間層の内周面にポリエチレン系樹脂(温度上
昇溶離分別装置を用いた測定方法で測定したとき、10
重量%溶出したときの温度から100重量%溶出したと
きの温度までの温度差15℃、シングルサイト触媒(メ
タロセン触媒)を重合触媒として使用、平均密度0.9
15g/cm3)が内層を形成するように、原料樹脂を
押出機に供給し溶融混練しながら2層同時に押出しし
た。
【0035】以上の操作を行うことにより、アルミニウ
ム管の内周面に、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂
からなる厚さ0.2mmの中間層を介して、上記性質を
有したポリエチレン系樹脂からなる厚さ1.0mmの内
層が被覆された3層構造の複合管を得た。
【0036】なお、温度上昇溶離分別装置としては、温
度上昇溶離分別部と高温型ゲルパーミエーションクロマ
トグラフ部との両者をシステムとして備えているクロス
分別クロマトグラフ装置(三菱油化社製CFC−T15
0A型)を使用した。
【0037】(実施例2)内層となるポリエチレン系樹
脂が、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法で測定し
たとき、10重量%溶出したときの温度から100重量
%溶出したときの温度までの温度差が12℃であるとと
もに、平均密度が0.940g/cm3をしていること
を除いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0038】(実施例3)内層となるポリエチレン系樹
脂が、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法で測定し
たとき、10重量%溶出したときの温度から100重量
%溶出したときの温度までの温度差が19℃であるとと
もに、平均密度が0.902g/cm3をしていること
を除いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0039】(実施例4)内層となるポリエチレン系樹
脂が、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法で測定し
たとき、10重量%溶出したときの温度から100重量
%溶出したときの温度までの温度差が17℃であり、マ
ルチサイト触媒(三塩化チタン系触媒)を重合触媒とし
て使用したとともに、平均密度が0.935g/cm3
をしていることを除いて、実施例1と同様の操作を行っ
た。
【0040】(比較例1)内層となるポリエチレン系樹
脂が、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法で測定し
たとき、10重量%溶出したときの温度から100重量
%溶出したときの温度までの温度差が23℃であるとと
もに、平均密度が0.885g/cm3をしていること
を除いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0041】(比較例2)内層となるポリエチレン系樹
脂が、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法で測定し
たとき、10重量%溶出したときの温度から100重量
%溶出したときの温度までの温度差が24℃であり、マ
ルチサイト触媒(三塩化チタン系触媒)を重合触媒とし
て使用し、平均密度が0.931g/cm3をしている
ことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0042】(比較例3)比較例2の操作で得た複合管
に電子線を照射して内層を形成するポリエチレン系樹脂
を架橋させて架橋ポリエチレン系樹脂複合管を得た。実
施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3の条件をまとめ
て表1に記す。
【0043】
【表1】
【0044】以上のようにして得た複合管の性質評価を
行うため、以下の試験を行った。 評価試験(熱水通湯試験) 複合管に曲率半径が50mmとなるように曲げ加工し、
得られた複合管に95℃の熱水を通湯し1及び2万時間
後に取り出して、樹脂層(内層)の割れ・亀裂、ブリス
ターの発生などを観察し以下のように評価した。
【0045】・樹脂層の割れ・亀裂 ○:割れ・亀裂の発生がなかった。 ×:割れ・亀裂の
発生があった。 ・ブリスター ○:ブリスターの発生がなかった。 ×:ブリスターの
発生があった。 これらの結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2に示した結果より、実施例1および実
施例2の条件で製造した複合管は、2万時間の熱水通湯
試験を行ったときでも、樹脂層の割れ・亀裂やブリスタ
ーの発生が起こらなかった。また、実施例3の条件で製
造した複合管は、1万時間の熱水通湯試験を行ったとき
は、樹脂層の割れ・亀裂やブリスターの発生が起こらな
かったが、2万時間の熱水通湯試験を行ったとき、ブリ
スターの発生が起こらなかった。また、実施例4の条件
で製造した複合管は、1万時間の熱水通湯試験を行った
ときは、樹脂層の割れ・亀裂やブリスターの発生が起こ
らなかったが、2万時間の熱水通湯試験を行ったとき、
樹脂層の割れ・亀裂の発生が起こった。
【0048】これに対して、比較例1の条件で製造した
複合管は、1万時間の熱水通湯試験を行ったとき、すで
にブリスターの発生が起こった。また、比較例2の条件
で製造した複合管は、1万時間の熱水通湯試験を行った
とき、すでに樹脂層の割れ・亀裂の発生が起こった。一
方、比較例3の条件で製造した複合管は、2万時間の熱
水通湯試験を行ったときでも、樹脂層の割れ・亀裂やブ
リスターの発生が起こらなかったが、複合管を製造する
過程において、架橋工程を必要とした。
【0049】以上のことより、実施例1〜実施例4の条
件、すなわち、温度上昇溶離分別装置を用いた測定方法
で測定したとき、10重量%溶出したときの温度から1
00重量%溶出したときの温度までの温度差が20℃で
あるポリエチレン系樹脂を内層とした複合管は、比較例
3の条件のように架橋工程を行わなくても、1万時間の
熱水通湯試験を行ったとき、樹脂層の割れ・亀裂やブリ
スターの発生が起こらないことが分かる。
【0050】特に、実施例1及び実施例2の条件のよう
に、メタロセン触媒を使用し、かつ、平均密度が0.9
10〜0.945g/cm3のポリエチレン系樹脂であ
ると、2万時間の熱水通湯試験を行っても、樹脂層の割
れ・亀裂やブリスターの発生が起こらない複合管を得る
ことができることが分かる。
【0051】
【発明の効果】以上のことより、本発明の請求項1にか
かる複合管は、架橋工程を行わずに効率良く製造するこ
とができるにもかかわらず、熱水を長期間通水しても、
内層となる樹脂層の亀裂・割れやブリスターの発生が起
こらず、耐久性に優れているため、給湯用、温水暖房
用、排水用などの配管材料として好適に使用され得る。
また、内層を構成するポリエチレン系樹脂が、非架橋で
あるため、容易にリサイクルすることができる。
【0052】また、本発明の請求項2または請求項3に
かかる複合管は、請求項1にかかる複合管の効果に加え
て、熱水に対する耐久性がより優れており、給湯用、温
水暖房用、排水用などの配管材料としてより好適に使用
され得る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製の外層と、ポリオレフィン系樹脂組
    成物製の内層との間に、外層と内層とを接合する中間層
    を備えた複合管において、内層が、温度上昇溶離分別装
    置を用いた測定方法でポリエチレン系樹脂の結晶性分布
    を測定したとき、ポリエチレン系樹脂が10重量%溶出
    したときの温度から100重量%溶出したときの温度ま
    での温度差が20℃以下である非架橋のポリエチレン系
    樹脂を基材とするポリエチレン系樹脂組成物であること
    を特徴とする複合管。
  2. 【請求項2】ポリエチレン系樹脂が、シングルサイト触
    媒を用いた重合により得られる請求項1に記載の複合
    管。
  3. 【請求項3】ポリエチレン系樹脂の平均密度が、0.9
    10g/cm3以上0.945g/cm3未満である請求
    項1または請求項2に記載の複合管。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014234913A (ja) * 2013-06-05 2014-12-15 積水化学工業株式会社 金属樹脂複合管及び金属樹脂複合管の製造方法

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