JP2017002093A - 形状記憶性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形後に形状記憶性を可逆的に付与することができ、かつ製造時における特定の高温かつ高圧操作を用いることない形状記憶性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】 形状記憶性樹脂組成物、その製造方法、および該組成物を用いた形状記憶性樹脂成形体を開示する。本発明の形状記憶性樹脂組成物は、以下の式(I):【化1】(ここで、R1はイオン結合性を有する基であり、mが1〜14000の整数であり、そしてmとlの合計が15〜140000の整数である)で表される繰り返し単位を有するトランス型ポリイソプレンを含有する。【選択図】 なし
Description
本発明は、形状記憶性樹脂組成物に関し、より詳細には、トランス型ポリイソプレン構造を主鎖に有するポリマーを含む、形状記憶性樹脂組成物に関する。
樹脂成形分野において、搬送や作業性が困難であるとの理由から、事前に変形を与え、装着または組立て後に行う加熱操作などを通じてその形状を元の状態に回復させることができる形状記憶樹脂材料の開発が行われている。
このような形状記憶性樹脂材料のうち、成形加工性および形状変形後の回復性に優れるという点で、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン系重合体が着目されており、特にトランス−1,4−ポリイソプレン(トランス型ポリイソプレン)を用いた樹脂組成物の研究開発が行われてきた(特許文献1)。トランス型ポリイソプレンは、近年、トチュウなどの植物の形質転換体から製造することができ、その工業的有用性がますます増加している(特許文献2)。
しかし、このようなトランス型ポリイソプレンを用いた樹脂組成物の形状記憶性の付与には、加硫による架橋形成が行われている(特許文献1および非特許文献1)ため、加硫時に不可逆的に形状が固定される点が懸念されていた。すなわち、一旦加硫した後は、別の形状を記憶させることが困難となる点で、得られる形状記憶性樹脂の汎用性が充分ではないことが指摘されている。
また、加硫には高温高圧下におけるプレス工程が必要であり、添加する際に発生する硫黄の臭気が製造作業者および製造周辺環境への問題となることも指摘されている。
「プラスチックス」1987年、第38巻、第9号、p.19
本発明は、上記課題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、成形後に可逆的に形状記憶性を付与することができ、かつ製造時における特定の高温かつ高圧操作を用いることない形状記憶性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の式(I):
(ここで、R1はイオン結合性を有する基であり、mが1〜14000の整数であり、そしてmとlの合計が15〜140000の整数である)で表される繰り返し単位を有するトランス型ポリイソプレンを含む、形状記憶性樹脂組成物である。
1つの実施形態では、上記トランス型ポリイソプレンは、以下の式(II):
(ここで、Aはアルカリ金属であり、mが1〜14000の整数であり、そしてmとlの合計が15〜140000の整数である)で表される繰り返し単位を有する。
さらなる実施形態では、上記式(II)におけるAは、ナトリウム、カリウムまたはリチウムである。
本発明はまた、形状記憶性樹脂組成物の製造方法であって、
トランス−1,4−ポリイソプレンを、無水マレイン酸と反応させて無水マレイン酸変性物を得る工程;および
該無水マレイン酸変性物をアルカリ水溶液で処理する工程;
を包含する、方法である。
トランス−1,4−ポリイソプレンを、無水マレイン酸と反応させて無水マレイン酸変性物を得る工程;および
該無水マレイン酸変性物をアルカリ水溶液で処理する工程;
を包含する、方法である。
1つの実施形態では、上記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、および水酸化リチウム水溶液からなる群から選択される少なくとも1種の水溶液である。
本発明はまた、上記形状記憶性樹脂組成物を成形してなる、形状記憶性樹脂成形体である。
本発明によれば、形状記憶性を可逆的に付与することができる形状記憶性樹脂組成物を得ることができる。本発明の形状記憶性樹脂組成物は、架橋構造を形成するために硫黄を使用しないため、組成物の製造時に懸念されていた臭気の発生も取り除くことができ、製造作業者および製造周辺環境への負担も回避することができる。さらに、本発明の形状記憶性樹脂組成物は、形状記憶性を付与するに際し、必ずしも高温および高圧条件を必要としないため、比較的小規模の製造設備で製造することもできる。
以下、本発明について詳述する。
(形状記憶性樹脂組成物)
本発明の形状記憶性樹脂組成物は、トランス型ポリイソプレンを含有する。
本発明の形状記憶性樹脂組成物は、トランス型ポリイソプレンを含有する。
トランス型ポリイソプレンは、トランス型−1,4−ポリイソプレン、すなわちイソプレンの1,4−結合により得られたポリマーを主骨格とするものであり、例えば、以下の式(I):
で表される繰り返し単位を有するポリマーであり、好ましくは、同式で表されるコポリマー(例えば、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー)を包含する。ここで、式(I)において、R1はイオン結合性を有する基であり、mが1〜14000、好ましくは15〜7500の整数であり、そしてmとlの合計が15〜140000、好ましくは1500〜75000の整数である。
式(I)の繰り返し単位において、イオン結合性を有する基(R1)とは、その構造中、アニオン部分とカチオン部分で構成される一価の基であり、トランス型1,4−ポリイソプレンの主鎖と結合することにより、他のトランス型1,4−ポリイソプレンの主鎖の同部分との間でイオン結合による架橋構造を形成し得る基を包含して言う。イオン結合による架橋構造を形成することにより、ポリマー間に形状記憶性、特に硫黄による不可逆的な架橋(例えば、強固な架橋)と比較して、可逆性的な架橋(例えば、比較的緩やかな架橋)を提供することができる。
R1基を構成し得るイオン結合性を有する基としては、必ずしも限定されないが、例えば、モノカルボン酸類のアルカリ金属塩(例えば、これらのナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩)、ならびにジカルボン酸類のアルカリ金属塩(例えば、これらのナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩)が挙げられ、例えば、以下の式(III−1):
(式(III−1)中、Aはアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)を表す)で表される基、または以下の式(III−2):
(式(III−2)中、Aはアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)を表し、そしてXは、分岐および/または環を含んでいてもよいC1〜C100のアルキル基である)で表される基が挙げられる。
本発明の形状記憶性樹脂組成物において、トランス型ポリイソプレンは以下の式(II):
(ここで、Aはアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)であり、mが1〜14000、好ましくは15〜7500の整数であり、そしてmとlの合計が15〜140000、好ましくは1500〜75000の整数である)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることが好ましい。
本発明の形状記憶性樹脂組成物において、上記トランス型ポリイソプレンは、ポリマー中のイソプレン単位として、1,4−結合単位以外の結合異性単位(すなわち、1,2−結合単位および3,4−結合単位)の含有割合が低減されたものであることが好ましく、例えば、ポリイソプレン中、結合異性単位は好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下、さらにより好ましくは0.05%以下にまで抑えられている。あるいは、本発明の形状記憶性樹脂組成物において、上記トランス型ポリイソプレンは、ポリマー中のイソプレン単位として、1,4−結合単位を好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、さらにより好ましくは99.5%以上の割合で含有する。
上記トランス型ポリイソプレンの重量平均分子量は、必ずしも限定されないが、例えば、1000〜9000000、好ましくは10000〜6000000、より好ましくは100000〜5000000である。トランス型ポリイソプレンがこのような適度な範囲の重量平均分子量を有することにより、樹脂組成物に良好な形状記憶性を提供することができる。
さらに、上記トランス型ポリイソプレンにおける変性率(すなわち、上記式(I)においてイソプレン単位中、R1基で修飾されたイソプレン単位の割合(導入率ともいう))は、当該R1基によって適度なイオン結合性を有する架橋構造を構成するポリイソプレンに提供することができるという点から、好ましくは0.5%〜30%、より好ましくは0.8%〜20%、さらにより好ましくは1%〜10%である。変性率が高いほど、ポリイソプレン中に架橋構造が形成されやすくなり、樹脂組成物全体の強度や耐衝撃性を高めることができる。
本発明の形状記憶性樹脂組成物は、上記トランス型ポリイソプレン以外に、本発明の特徴を損なわない範囲において必要に応じて他の添加材を含有していてもよい。
このような他の添加剤としては、後述する樹脂組成物の成形性を向上させるための添加剤(例えば、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸塩);タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、焼成クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉などの無機充填材;リンター、リネン、サイザル、木粉、ヤシ粉、クルミ粉、でん粉、小麦粉、米粉などの有機充填材;木綿、麻、羊毛などの天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維などの有機合成繊維や、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー繊維などの繊維充填材;色素、顔料、カーボンブラックなどの着色剤;帯電防止剤;導電性付与剤;老化防止剤;難燃剤;防炎剤;撥水剤;撥油剤;防虫剤;防腐剤;ワックス類;界面活性剤;滑剤;紫外線吸収剤;熱安定剤;キレート剤;および分散剤;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
さらに、本発明の形状記憶性樹脂組成物は、上記トランス型ポリイソプレン以外に、本発明の特徴を損なわない範囲において必要に応じて他のポリマーがブレンドされていてもよい。
このような他の成分および/または他のポリマーの含有量もまた特に限定されず、本発明の特徴を損なわない範囲において、当業者が任意の含有量を設定することができる。
(形状記憶性樹脂組成物の製造方法)
以下、本発明の形状記憶性樹脂組成物の製造方法の一例として、上記式(II)で表されるトランス型ポリイソプレンを含有する当該組成物の製造方法について説明する。
以下、本発明の形状記憶性樹脂組成物の製造方法の一例として、上記式(II)で表されるトランス型ポリイソプレンを含有する当該組成物の製造方法について説明する。
本発明においては、まずトランス−1,4−ポリイソプレン(TPI)を、無水マレイン酸と反応させることにより、無水マレイン酸変性物(MTPI)が生成される。
本発明に用いられるトランス−1,4−ポリイソプレンは、好ましくは上記1,4−結合単位の範囲を満たすものであり、例えば植物由来成分のトランス型ポリイソプレンを使用することができる。トランス型ポリイソプレンを含有する植物の例としては、トチュウ(Eucommia ulmoides Oliver)、グッタペルカノキ(Palaquim gutta)、およびバラタゴムノキ(Mimusops balata)が挙げられる。これらの植物は、1,2−結合単位および3,4−結合単位(結合異性単位)の含有量が極めて低く、シス1,4−結合単位の含有量も低いという点で有用である。特に、トランス1,4−結合単位の含有率が高い点で、トチュウ由来のトランス型ポリイソプレンが、特に好ましい
トランス−1,4−ポリイソプレンに対する無水マレイン酸の使用量は、上記トランス型ポリイソプレンにおける変性率に応じて当業者が任意の量を設定することができる。1つの実施形態においては、無水マレイン酸の使用量は、トランス−1,4−ポリイソプレン100重量部に対して、例えば、10重量部〜200重量部であり、好ましくは14重量部〜140重量部である。無水マレイン酸の量が10重量部を下回ると、得られる樹脂組成物に対し、適切な形状記憶性を付与することができない場合がある。無水マレイン酸の量が200重量部を超えると、樹脂組成物に形状記憶性が付与されなくなる場合がある。
トランス−1,4−ポリイソプレンと無水マレイン酸との反応は、例えば、極性溶媒中で、好ましくは160℃〜230℃の温度で加熱した状態で行われる。この反応に使用可能な極性溶媒の例としては、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゼン、メシチレン、エチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼンなどのベンゼン系溶媒;および酢酸エチルなどのエステル系溶媒;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
このようにして、以下の式(IV):
(式(IV)中、mが1〜14000、好ましくは15〜7500の整数であり、そしてmとlの合計が15〜140000、好ましくは1500〜75000の整数である)で表されるトランス型ポリイソプレンの無水マレイン酸変性物(MTR)を得ることができる。
次いで、本発明の方法においては、当該無水マレイン酸変性物がアルカリ水溶液で処理される。
上記で得られた無水マレイン酸変性物は、例えば、水との混和性を示す溶媒(水混和性溶媒)に溶解され、その中にアルカリ水溶液が添加される。
水混和性溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン、およびピリジン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
アルカリ水溶液の例としては、強塩基を含有する水溶液が挙げられ、強塩基の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明においては、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度および無水マレイン酸変性物への添加量は、上記トランス型ポリイソプレンに対する無水マレイン酸の使用量、上記水混和性溶媒の使用量などによって、当業者が任意の濃度および添加量を設定することができる。
このようにして無水マレイン酸変性物がアルカリ水溶液で処理される。
上記処理の後、反応系には過剰量の水が添加され、反応物の析出を経て、以下の式(II):
(ここで、A、m、およびlは上記に定義した通りである)で表される繰り返し単位を有するコポリマーを含む樹脂組成物を得ることができる。
その後、必要に応じて、上記他の添加材および/他のポリマーが添加される。
このようにして、本発明の形状記憶性樹脂組成物の一種である、上記式(II)で表されるトランス型ポリイソプレンを含有する形状記憶性樹脂組成物を製造することができる。
(形状記憶性樹脂成形体)
本発明の形状記憶性樹脂組成物を加熱成形して成形体を得るには、ブロー成形、射出成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、真空圧空成形、あるいは異形押出成形または紡糸押出成形などの押出成形のような当業者に周知の成形方法を採用することができる。
本発明の形状記憶性樹脂組成物を加熱成形して成形体を得るには、ブロー成形、射出成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、真空圧空成形、あるいは異形押出成形または紡糸押出成形などの押出成形のような当業者に周知の成形方法を採用することができる。
このような成形方法を経て、本発明の形状記憶性樹脂組成物から、フィルム、シート、ボトルなどの任意の形態を有する形状記憶性を有する樹脂成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
500mgのトランス型ポリイソプレン(TPI(1))(日立造船株式会社製;重量平均分子量100万〜500万、ユニット数n=15000〜75000)を、15mLのジクロロベンゼンに溶解し、72mgの無水マレイン酸を添加した後、アルゴンガス雰囲気下で190℃にて1時間、加熱撹拌した。次いで、反応液を150mLのアセトンに滴下し、反応物を析出させた。当該析出物をろ過により回収した後、減圧下で乾燥することにより、420mgの無水マレイン酸変性トランス型ポリイソプレン(MTPI(2);導入率1%〜10%;m=15〜750、m+l=15000〜75000)を得た。
さらに、得られた無水マレイン酸変性トランス型ポリイソプレン(2)100mgを、
5mLのテトラヒドロフランに溶解し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(200μL)を加え、30分間撹拌した後、これに多量の水を添加して反応物を析出させた。析出物を、ろ過により回収した後、減圧下で乾燥することにより、樹脂組成物90mgを得た。
5mLのテトラヒドロフランに溶解し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(200μL)を加え、30分間撹拌した後、これに多量の水を添加して反応物を析出させた。析出物を、ろ過により回収した後、減圧下で乾燥することにより、樹脂組成物90mgを得た。
得られた樹脂組成物を、赤外分光分析装置(Thermo Fisher Scientific製Nicolet is5)により測定したIRスペクトルを図1に示す。
図1に示すように、本実施例で得られた樹脂組成物は(B)で示されるスペクトルを表示し、無水マレイン酸変性トランス型ポリイソプレン(酸無水物のピークは1788cm−1および1864cm−1である)のスペクトル(A)でもなく、以下の式(V):
(ここで、mおよびlは上記で定義した通りである)で表されるマレイン酸変性トランス型ポリイソプレン(カルボン酸のピークは1712cm−1である)のスペクトル(C)でもなく、マレイン酸ナトリウム変性トランス型ポリイソプレン(MTPI−COONa(3)(カルボン酸イオンのピークは1590cm−1であり、mが15〜750であり、かつm+lが15000〜75000である)のスペクトルに対応するものであった。
これにより、実施例1で得られた樹脂組成物が、マレイン酸ナトリウム変性トランス型ポリイソプレン(MTPI−COONa(3))を含むものであることを同定した。
上記樹脂組成物を150℃に設定したホットプレス(株式会社井元製作所製IMC−180C型内で10MPaにて30分間挟持することにより、直径5cmおよび厚み100μmのフィルムに成形し、形状記憶した仮想成形体を得た。当該成形体から9mm×6mmの試験片(図2の(a))を切り出し、約70℃まで加温した後、引き伸ばしながら
螺旋状に変形させ、その状態を保持したまま室温まで冷却させた(図2の(b))。その後、この成形体を再度、70℃まで加熱したところ、成形体が自ら元の形状の試験片まで変形したことを確認した(図2の(c))。このように、本実施例で得られた樹脂組成物を用いた成形体は、ある一定の形状を有する状態で所定の温度で加熱すると、その形状を記憶することができ、仮にこの形状を変形させたとしても、再び所定温度で加熱することにより、形状が元に戻るという形状記憶性を提供し、かつこの形状記憶性を可逆的に付与することができることが明らかとなった。
螺旋状に変形させ、その状態を保持したまま室温まで冷却させた(図2の(b))。その後、この成形体を再度、70℃まで加熱したところ、成形体が自ら元の形状の試験片まで変形したことを確認した(図2の(c))。このように、本実施例で得られた樹脂組成物を用いた成形体は、ある一定の形状を有する状態で所定の温度で加熱すると、その形状を記憶することができ、仮にこの形状を変形させたとしても、再び所定温度で加熱することにより、形状が元に戻るという形状記憶性を提供し、かつこの形状記憶性を可逆的に付与することができることが明らかとなった。
本発明によれば、形状記憶性を可逆的に付与することができる形状記憶性樹脂組成物を得ることができる。本発明は、このような形状記憶性を活かして、フィルム、シート、ボトルなどの種々の樹脂成形体に成形することができ、様々な工業製品に有用である。
Claims (6)
- 前記式(II)におけるAが、ナトリウム、カリウムまたはリチウムである、請求項2に記載の形状記憶性樹脂組成物。
- 形状記憶性樹脂組成物の製造方法であって、
トランス−1,4−ポリイソプレンを、無水マレイン酸と反応させて無水マレイン酸変性物を得る工程;および
該無水マレイン酸変性物をアルカリ水溶液で処理する工程;
を包含する、方法。 - 前記アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、および水酸化リチウム水溶液からなる群から選択される少なくとも1種の水溶液である、請求項4に記載の方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の形状記憶性樹脂組成物を成形してなる、形状記憶性樹脂成形体。
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