JP4690547B2 - 電動モータ式の駆動装置 - Google Patents

Description

【０００１】
技術分野：
本発明は、請求項１に発明の上位概念として規定した形式の、スライディング・ルーフ、ウィンド・リフター、ウィンド・ワイパなどのような自動車補助装置用の電動モータ式の駆動装置に関する。
【０００２】
背景技術：
ドイツ連邦共和国実用新案第９２０６２６９号明細書に基づいて公知になっている前記形式の駆動装置では、ポット状又はカップ状のモータケーシングは、ギヤボックスの円筒形接続管に被せ嵌められており、しかも該モータケーシングのカップ縁部は、前記接続管に形成されたリングフランジによって被覆される。カップ縁部とリングフランジとの間にはシールリングが介在している。
【０００３】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第２５５６２４０号明細書に基づいてやはり公知になっている駆動装置では、ギヤボックスとモータケーシングとは夫々半径方向肩を有し、該半径方向肩は、両ケーシング（つまりギヤボックスとモータケーシング）を組み合わせた後に他方のケーシングの半径方向肩の前に間隔をおいて位置し、かつ、該半径方向肩と楔状に協働する締付け面を有する固定エレメントが両ケーシングを互いに緊締するようにして、ギヤケーシングとモータケーシングは互いに接し合って固定される。
【０００４】
発明の開示：
請求項１に記載した構成手段を有する本発明の駆動装置は、前記の従来技術に対比して、ケーシングに特別に形成される肩及びルーズな固定エレメントを省くことによって製作が簡単になり、ひいては製作費がより低廉になるという利点を有している。更にまた、ケーシングの外径を超えて張出すエレメントが無くなるので、駆動装置に要する組込みスペースが削減される。本発明によるローリング加工は、モータケーシングからギヤボックスへの力の導入の改善並びにモータケーシングとギヤボックス間の剛性結合を保証し、しかもこの剛性結合は駆動装置の騒音挙動に有利な影響を及ぼす。同時にまた、モータケーシングとギヤボックスとを大きな面積で密接に接合することが達成されることによって、モータケーシングからギヤボックスへの熱伝達が改善され、ひいてはモータからの熱導出も改善される。その上に又、ローリング接合によって、モータケーシングとギヤボックスとの移行部の封隙が一層改善される。
【０００５】
また請求項１に記載した駆動装置の有利な実施形態及び改良が、その他の請求項に記載した構成手段によって可能になる。
【０００６】
本発明の有利な実施形態によれば、モータケーシングの被せ嵌め領域内において縦方向相互間隔をおいて位置する２つの部位でギヤボックスに対してローリング加工が施されている。これによって、極端な運転条件下においても長期間にわたってモータケーシングとギヤボックスとの間に遊びを発生させることのない極めて確実な結合が得られる。
【０００７】
本発明の有利な実施形態では、ギヤボックスはモータケーシングの被せ嵌め領域内に１つのリング溝を有しており、ローリング加工によってモータケーシングから圧刻成形された円環状のリング突起が、前記リング溝内に形状嵌合式に突入している。前記リング溝を設けたことによって、ギヤボックス内へのモータケーシング材料の圧入が容易になり、かつこの圧入に要するローリング力（ローラ掛け力）も著しく僅かになる。その場合リング溝とリング突起との間には、優れた形状嵌合式の継手が生じる。
【０００８】
この継手の一層高い強度を得るために本発明の有利な実施形態では、モータケーシングの被せ嵌め領域内でギヤボックスに、モータケーシングとは反対の側の円環状の半径方向肩が付加的に形成されており、かつ該半径方向肩の背面には、ローリング加工によってモータケーシングから内向きに屈曲されたリング鍔が係合するようにする。その場合モータケーシングは、ギヤボックスの、相互に隔てられた２つの部位で固定されている。
【０００９】
発明を実施するための最良の形態：
次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説する。
【００１０】
図１及び図２に夫々部分的に図示した、例えば自動車のスライド・ルーフ、ウィンド・リフター、自動車座席等を調整するための電動モータ式駆動装置は、電動モータ１１及びモータ回転数を減速するための伝動装置１２、殊にウォーム歯車伝動装置を有している。但し、図１及び図２では、伝動モータ１の内、モータケーシング１３及び該モータケーシング１３によって包囲されたステータ１４だけが図示されているにすぎない。前記ステータ１４は公知のように磁束帰路形成リング１５と、該磁束帰路形成リングに固定された永久磁石セグメント１６とから成っている。また図面では伝動装置１２の内、ギヤボックス１７が部分的に図示されているにすぎない。カップ状又はポット状に形成されたモータケーシング１３（磁極ポットとも呼ばれる）は、その開口縁部１３１でもってギヤボックス１７の上に被せ嵌められており、かつ該被せ嵌め領域では、縦方向で相互間隔をおいて位置する２つの部位でギヤボックス１７内にローリング加工を施されている。この場合モータケーシング１３寄りのギヤボックス１７の端部１７１には、円環状の山形面１８が旋削成形されており、該山形面１８上に磁束帰路形成リング１５は、該磁束帰路形成リングの端面が前記の山形面１８の半径方向辺面１８１に当接するまで、形状嵌合式に被せ嵌められている。ポット状のモータケーシング１３のボトム１３２には、キャップ状凹設部１９が共軸に成形されており、該キャップ状凹設部は、電動モータ１１のロータ軸用の軸受を収容するために使用される。
【００１１】
図１の実施例ではモータケーシング１３の被せ嵌め領域内においてギヤボックス１７には、１つのリング溝２０が形成されている一方、該リング溝の、モータケーシング１３とは反対の側には、円環状の半径方向肩２１が形成されている。リング溝２０の領域内においてモータケーシング１３にローリング加工工具を接圧することによって、モータケーシング１３から円環状のリング突起２２が圧刻成形され、該リング突起はリング溝２０内へ形状嵌合式に突入する。半径方向肩２１の後方で、モータケーシング１３の開口縁部１３１の終端区分にローリング加工工具を接圧することによって、内向きに屈曲されたリング鍔２３が生じ、該リング鍔は半径方向肩２１の背面に係合する。これらの両ローリング加工操作によってモータケーシング１３は固定的かつ永久的にギヤボックス１７に結合される。
【００１２】
図２の実施例では、リング突起のローリング圧入加工のためのリング溝が省かれ、その代わりにギヤボックス１７におけるモータケーシング１３の被せ嵌め領域内に、ギヤボックスの外周から半径方向外向きに突出するリングウェブ２４が形成されており、該リングウェブの一方のリング状ウェブ面は、半径方向肩２１を形成し、また該リングウェブの他方のリング状ウェブ面は、山形面１８の半径方向辺面１８１の延長部を形成している。モータケーシング１３は、ギヤボックス１７寄りの開口縁部１３１で半径方向に拡径されており、かつ、半径方向肩２１の背面に係合するリング鍔２３を製作した後にリングウェブ２４の両リング状ウェブ面に支持される。
【００１３】
図１及び図２ではそれぞれ図下半部にはローリング加工前の状態が、また図上半部にはローリング加工後の状態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】 自動車の補助装置用の電動モータ式駆動装置の第１実施例の部分的断面図である。
【図２】 自動車の補助装置用の電動モータ式駆動装置の第２実施例の部分的断面図である。
【符号の説明】
１１ 電動モータ、 １２ 伝動装置、 １３ モータケーシング、 １３１ 開口縁部、 １３２ ボトム、 １４ ステータ、 １５ 磁束帰路形成リング、 １６ 永久磁石セグメント、 １７ ギヤボックス、 １７１ 端部、 １８ 円環状の山形面、 １８１ 半径方向辺面、 １９ キャップ状凹設部、 ２０ リング溝、 ２１ 半径方向肩、 ２２ リング突起、 ２３ リング鍔、 ２４ リングウェブ

Claims (4)

1. ギヤボックス（１７）とポット状のモータケーシング（１３）とを備え、該モータケーシングの開口縁部（１３１）を前記ギヤボックス（１７）の上に被せ嵌めて該ギヤボックスに固定した形式の、スライド・ルーフ、ウインド・リフター、ウインド・ワイパ等のような自動車の補助装置のための電動モータ式の駆動装置において、モータケーシング（１３）がギヤボックス（１７）に係合する被せ嵌め領域内で、ギヤボックス（１７）には、モータケーシング（１３）とは反対の側の円環状の半径方向肩（２１）が形成されており、前記半径方向肩（２１）の後方で、モータケーシング（１３）の開口縁部（１３１）の終端区分にローリング圧入加工具を接圧することによって、モータケーシング（１３）から内向きに屈曲され、前記半径方向肩（２１）の背面に係合しているリング鍔（２３）が生じ、前記モータケーシング（１３）とギヤボックス（１７）との移行部においてローリング接合が行われ、ギヤボックス（１７）がモータケーシング（１３）の被せ嵌め領域内に１つのリング溝（２０）を有しており、ローリング加工によってモータケーシング（１３）から圧刻成形された円環状のリング突起（２２）が、前記リング溝（２０）内に形状嵌合式に突入していることを特徴とする、電動モータ式の駆動装置。
2. モータケーシング（１３）が、磁束帰路形成リング（１５）と該磁束帰路形成リングに固定された永久磁石セグメント（１６）とから成るステータ（１４）を包囲しており、かつ、モータケーシング（１３）寄りのギヤボックス（１７）の端部（１７１）に、１つの円環状の山形面（１８）が旋削成形されており、前記磁束帰路形成リング（１５）が、該磁束帰路形成リング（１５）のリング状端面を前記山形面（１８）の半径方向辺面（１８１）に当接させるまで、前記山形面（１８）上に形状嵌合式に被せ嵌められている、請求項１記載の駆動装置。
3. ギヤボックス（１７）がモータケーシングの被せ嵌め範囲内に、該ギヤボックスの外周から半径方向外向きに突出するリングウェブ（２４）を有しており、該リングウェブの一方のリング状ウェブ面が、半径方向肩（２１）を形成し、また該リングウェブの他方のリング状ウェブ面が、山形面（１８）の半径方向辺面（１８１）の延長部を形成している、請求項２記載の駆動装置。
4. モータケーシング（１３）が、ギヤボックス（１７）寄りの開口縁部（１３１）で半径方向に拡径されており、かつリングウェブ（２４）の両リング状ウェブ面に支持されている、請求項３記載の駆動装置。

Images