<全体の構成>
図1は、本発明の実施例に係る遊技台としてのスロットマシン100の外観を示す正面図である。
図1に示すスロットマシン100は、キャビネットに前面扉102を開閉可能に蝶着して構成してある。キャビネットの中央内部には、外周面に複数種類の絵柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施例において、各絵柄は帯状部材に等間隔で適当数(例えば21絵柄)印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。
前面扉102には絵柄表示窓113が設けられており、リール110乃至112上の絵柄は、遊技者から見ると、絵柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの絵柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える絵柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施例では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
また、各々のリール110乃至112の背面には、絵柄表示窓113に表示される個々の絵柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の絵柄ごとに遮蔽されて個々の絵柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。
なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示せず)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間を、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の絵柄の回転方向の位置を判断し、目的とする絵柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入された遊技媒体(本実施例ではメダルを想定する。)の数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。
告知ランプ123は、後述する内部抽選において、特定の入賞役(具体的には、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。
本実施例においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。
払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数や所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。
スタートレバー135は、遊技の開始操作として、各リール110〜112の回転を開始させるレバー型のスイッチである。
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチである。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル払出口155は、メダルを排出するための開口であり、入賞時に払い出されるメダルはここから排出される。排出されたメダルは、後述するメダル受皿700に溜まるようになっている。なお、メダル受皿700は、本実施例では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプ170と呼ぶことがある。
貯留/精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿700に排出するための精算機能と、メダル投入口134に投入された4枚以降のメダルや入賞により獲得したメダルを最大50枚まで電子的に貯留する貯留機能と、を切換えるためのボタンである。なお、前記スタートレバー135、ストップボタン137乃至139、貯留/精算ボタン132は、遊技者の操作を受け付けるための手段を構成する。
ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
上部スピーカの音孔160Aと、中央スピーカの音孔160Bは、装飾が施されたスピーカーカバーが装着され、ここから遊技の効果音が出力される。上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ170は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプであり、遊技状態に応じて点灯/消灯/点滅する。また、メダル受皿700には、着脱可能に構成した灰皿180が設けられている。
リールパネル161は、絵柄表示窓113を有するパネルであり、タイトルパネル162は、そのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。演出装置600は、本実施例では液晶表示装置である。この演出装置600は、遊技に関する各種の情報(遊技を盛り上げる演出情報、スロットマシンの内部で異常が発生した場合にエラーの内容を表示するエラー情報など)を表示することができる。もちろん、液晶表示装置のかわりに、複数のLEDを2次元に配置したドットマトリックス式表示装置等、他の表示手段を用いてもよい。
<制御部>
次に、図2を参照してスロットマシンの制御部の構成について説明する。
本実施例における制御部は、全体を制御する主制御部300と、遊技を盛り上げるための演出に関する制御等を遂行する副制御部400と、演出装置600を制御する液晶制御部(図示省略)で構成されている。
<主制御部>
マイクロプロセッサ(以下、MainCPUと称す)310は、スロットマシン100における制御の中枢となるものであり、バス370を介して、周辺部との間で制御信号やデータの受渡が行われる。
乱数発生器311は、内部抽選等に用いられる乱数を発生するもので、複数のカウンタ、クロック発振器、分周器及びラッチ回路等で構成される。乱数発生器311が発生した乱数値は、バス370を介して、RAM313の乱数記憶領域に記憶され、必要に応じてMainCPU310へ送られる。
MainCPU310には、入力インターフェース360およびバス370を介して、メダル投入口134から投入されたメダルを検知するメダルセンサ320、スタートレバー135の操作を検知するスタートレバーセンサ321、ストップボタン137〜139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知するストップボタンセンサ322、及び、メダル投入ボタン130,131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知するメダル投入ボタンセンサ323、精算ボタン132の押下に伴って動作する精算ボタンスイッチ324が接続されている。
ROM(リード・オンリー・メモリ)312は、各種制御を行うためのプログラムや、後述する各種テーブルデータ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)313は、MainCPU310によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
また、各リール110〜112の回転と停止を行うモーター(図示省略)を制御するモーター制御部330、及び、メダル払出装置(いわゆる、ホッパー:図示省略)を制御するホッパー制御部331が、入出力インターフェース332及びバス370を介してMainCPU310に接続されている。
演出用ランプ・表示器類340とは、図1で示した入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122等のランプ類や、払出枚数表示器125、遊技回数表示器126等の各種表示器をまとめて表したもので、出力インターフェース342およびバス370を介してMainCPU310に接続されている。
出力インターフェース350は、MainCPU310の指示に基づき、各種のコマンドを副制御部400の入力インターフェース440へ送信する。コマンドには、例えば、メダルが投入されたことを示すコマンド、スタートレバー135が操作されたことを示すコマンド、押されたストップボタン137〜139を示すコマンド、演出の内容(バックライト、上部ランプ150、音声出力、演出装置600等による演出の内容)を規定したコマンド等がある。
<副制御部400>
マイクロプロセッサ(以下、SubCPUと称す)410は、主制御部300から送信された各種コマンドを入力インターフェース440およびバス430を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて副制御部400全体を制御する。
ROM411は、副制御部400全体を制御するためのプログラムやデータ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM412は、SubCPU410で処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
バックライト420は、リールの絵柄を照らすライトで、SubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。演出用ランプ421は、上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ170をまとめて表したもので、SubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。バックライト420および演出用ランプ421は、出力インターフェース422を介してバス430を経てSubCPU410と接続されている。
出力インターフェース450は、SubCPU410の指示に基づき、各種制御データを液晶制御部(図示省略)へ送信する。この制御データに基づいて、液晶制御部は、演出装置600を制御する。
楽音信号形成部460は、SubCPU410から受け渡された制御信号やデータに基づいて、楽音信号を形成して出力する。この楽音信号は、アンプ461で増幅された後、スピーカ(具体的には上部スピーカ及び中央スピーカ)462から音として出力される。
<遊技の基本的制御>
図3は、本実施例のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。
遊技の基本的制御は、MainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の処理を繰り返し実行する。
先ず、S101では、メダル投入処理として、メダルの投入数に応じた入賞ライン表示ランプ120の点灯等を行う。なお、メダル投入ボタン130,131によるクレジットによる投入も、メダル投入口134から、実際のメダルを投入する場合も同等に処理する。
S102では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。スタートレバー135が操作された場合、投入されたメダル枚数を確定する。次いで、S103では、確定されたメダル枚数に基づいて、有効な入賞ライン114を確定する。
S104では、乱数発生器311で発生させた乱数値を取得する。
S105では、ROM312に格納されている抽選データテーブルと、S104で取得した乱数値を用いて、入賞役の内部当選の当否を定める内部抽選を行う。なお、抽選データテーブルには、あらかじめ、BB、RB、小役等の抽選確率に応じたデータが格納されている。
S106では、例えば、演出装置600においてどのような演出を行うか決めたり、ゲームを盛り上げるためキャラクター等を登場させる、演出抽選処理を行う。
S107では、S104で取得した乱数値を用いて、リール停止制御テーブルを選択し、各リール110〜112の回転を開始させる。
S108では、ストップボタン137〜139の受付が可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリールを、S105で選択したリール停止制御テーブルに基づいて停止させる。
S109では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、例えば「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならば、ベル入賞と判定する。また、例えば「青7−青7−青7」が揃っていたならば、BB入賞と判定する。
S110では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
S111では、遊技状態を制御する。例えば、BB入賞時には、次の遊技からBBゲームが開始されるように準備をし、BB終了時には、次の遊技から通常の遊技が開始されるように準備させる。
本実施例におけるスロットマシン100は、排出されたメダルを受けるメダル受皿700を備えている。即ち、入賞役に入賞した結果、キャビネット内に配置されているメダル払出装置(図示せず)から遊技者に払い出されたメダル、及び外部機器として遊技台に隣接して配置されているメダル貸出機(図示せず)から払い出されたメダルを受け止めて貯留するメダル受皿700を前面扉102に備えている。
<メダル受皿>
メダル受皿700は、ほゞ矩形に形成された底部710と、この底部710の周囲から起立する壁部720とを有し、上方が開放した箱状である。具体的には、底部710の前縁から前壁部721が起立し、底部710の左右側縁から左側壁部722及び右側壁部723が起立し、底部710の後縁からは後壁部724が起立するものであるが、この後壁部724は実際には前面扉102を構成しているベース板103が兼ねている。従って、図示の実施例におけるメダル受皿700は、上方及び後方が開放している。また、図示の実施例おいては、メダル受皿700に隣接して灰皿180を設けている。そこで、メダル受皿700及び灰皿180を一括してメダル受皿ユニットということがある。
メダル受皿ユニットの後壁部724、実際には前面扉102のベース板103には、メダル払出口155が開口している。メダル払出口155は、メダル受皿ユニットの長手方向のほゞ中央に位置し、またメダル払出口155の下縁と底部710との間には適宜な間隔が開けてある。また、図示の実施例では、灰皿180が設けてあるので、向って左側の側壁部722は、灰皿180の枠板部181と共通になっている。
メダル受皿700には、メダル払出口155から賞として払い出されるメダルの他に、メダル貸出機から排出されるメダルが落下して貯留される。このため、図示されていないメダル貸出機からメダル受皿700にメダルを導く排出ノズル731が臨むように、壁部720の一部を凹ませている。例えば、メダル貸出機を遊技台の右側に配置する場合は、右側の側壁部723の一部を凹ませて排出ノズル731が位置する凹部を形成している。なお、一般に、灰皿180をスロットマシン100の左側部分に設ける場合が多いので、メダル貸出機は自ずとスロットマシン100の右隣に配置される。
メダル受皿700或いはメダル受皿ユニットの底部710は、前記したようにほゞ矩形に形成され、灰皿180を含めて前面扉102の横幅にわたっている。そして、遊技台におけるメダル受皿700は、遊技台の本体から排出されるメダルが最初に到達する第1排出位置P1と、外部機器であるメダル貸出機から排出されたメダルが最初に到達する第2排出位置P2と、に傾斜面を形成し、排出されたメダルを特定の一箇所に案内するように構成してある。傾斜面は、第1排出位置P1に形成した第1の傾斜面S1と、第2排出位置P2に設けた第2の傾斜面S2とからなる。なお、第1の傾斜面S1と第2の傾斜面S2とは、例えば、図4(b)に示すように、連続する一つの傾斜面としてもよいし、図6に示すように、第1の傾斜面S1と第2の傾斜面S2との間に平坦面を形成するようにしてもよい。
具体的には、スロットマシン100のメダル受皿700は、スロットマシン100の本体内に内蔵したメダル払出装置から排出されるメダルが最初に到達する第1排出位置P1と、スロットマシン100に隣接して配置したメダル貸出機から排出されたメダルが最初に到達する第2排出位置P2と、に傾斜面を形成し、排出されたメダルを特定の一箇所に案内するように構成してある。傾斜面は、第1排出位置P1に形成した第1の傾斜面S1と、第2排出位置P2に設けた第2の傾斜面S2とからなっている。そして、図6に示す実施例では、第1の傾斜面S1の傾斜角度よりも、第2の傾斜面S2の傾斜角度の方が大きくなるように形成してある。
傾斜面により案内されたメダルが集まる特定の一箇所は、例えば、メダル貸出機を配置した側とは反対側の端部であり、例えば、図4〜図9等に示す実施例では、灰皿180側の端部である。そして、この灰皿180側の端部が、第2排出位置P2とは反対側に位置する端部であるところの特定端となる。
メダルを案内する傾斜面は、メダル受皿700(メダル受皿ユニット)の底部本体711に形成してもよいし(図4(a)及び(b)等参照)、メダル受皿700内に着脱自在に敷設する別部材である底部傾斜部材740に形成してもよい。そこで、例えば、図5(a)及び(b)に示す実施例においては、傾斜面を形成した底部傾斜部材740をメダル受皿700の底部本体711の上に敷設することにより、傾斜面を形成している。
底部傾斜部材740を用いて傾斜面を形成する場合には、この底部傾斜部材740がメダル受皿700内で不用意に移動しないようにすることが好ましい。即ち、図5(b)に示すように、ネジ751で止めるか、または両面テープで接着するか、或いは嵌合させるなどして、容易に移動しないように構成するとよい。このとき、第1の傾斜面S1及び第2の傾斜面S2が、それぞれ、メダル払出口155の下方、即ちメダル払出装置から排出されたメダルが最初に到達する第1排出位置、及びメダル貸出機の排出ノズル731の下方、即ちメダル貸出機から排出されたメダルが最初に到達する第2排出位置となるように、底部傾斜部材740を配置する。
メダル受皿700に傾斜面を形成する底部本体711の材質は、例えば、ステンレス等の金属製とすることがよい。このように金属製とすれば、合成樹脂製のものに比べて摩耗が少ない。また、底部傾斜部材740を金属製として、底部本体711の上に敷くことも可能である。或いは、底部本体711または底部傾斜部材740を合成樹脂で成形すると共に表面のみを金属製とすることも可能である。そして、金属製ならば、たばこの火を押し付けられても、焦げることがないし、コストの掛かる耐熱性の高い合成樹脂を使用する必要がない。一方、底部傾斜部材740を、合成樹脂、例えば発泡ウレタン等で成形するときは、既存のメダル受皿700に、手軽に傾斜面を付加することができる。
そして、メダル受皿700の底部本体711或いは底部傾斜部材740に形成した傾斜面により、排出されたメダルを特定端に案内する。この特定端は、メダル貸出機の排出ノズル731が臨む側とは反対側の端部、即ち灰皿180側の側壁部722であり、灰皿180側の端部にメダルが溜まるようにする。
このように、メダル貸出機の排出ノズル731が臨む端部とは、反対側の端部を特定端としてメダルを案内するように構成すると、メダル貸出機から排出されたメダルが、排出ノズル731の直下に堆積し難い。言い換えると、排出されたメダルが大きな山を作らない。即ち、メダルが堆積し始めて山を作り始めると、底部710が傾斜しているために、均一な山が出来ずにある程度の高さになると、それ以上は崩れてしまう。そして、崩れ落ちたメダルが傾斜の下流側である特定端に案内される。また、メダル貸出機の排出ノズル731と特定端との間に、メダル払出口155が位置するので、メダル払出装置から排出されたメダルも、上記したメダル貸出機から排出されたメダルと同様にして特定端に案内され、メダル払出口155の直下に堆積し難い。
一方、メダル貸出機の排出ノズル731側を特定端に設定し、この特定端にメダルを案内するようにしてもよい。この場合には、メダル払出口155と特定端との距離を稼ぐことができるので、メダル払出口155と特定端と間に形成される空間の容積が大きくなって、効率よくメダルを収容可能である。但し、遊技者がメダルを取り出そうとした場合に、遊技者の手が排出ノズル731にぶつかってメダルの取り出しの妨げとなることがないように排出ノズル731と、第2払出位置P2との距離を十分に確保する。
なお、メダル受皿700の底部本体711に傾斜面を形成する場合も、底部傾斜部材740に傾斜面を形成する場合も、傾斜角度は大きい程メダルを案内し易くなるが、スロットマシン100の構造上限界があり、現行のデザインにおける傾斜角度は5〜6度程度が限界であるが、工夫次第では更に大きな傾斜角度を付けることができる。
図4或いは図5に示すメダル受皿700では、灰皿180と共にメダル受皿ユニットを構成しており、前面扉102のベース板103に、前面側から取り付けるようになっている。そこで、このメダル受皿ユニットは、前面扉102の横幅に対応する長さを有する横長な底部本体711と、この底部本体711の前縁から立ち上がる前壁部721と、底部本体711の左右の側縁からそれぞれ立ち上がる左側の側壁部722及び右側の側壁部723と、を備え、上方及び後方が開放している。なお、前壁部721と左右の側壁部722、723とは、適宜な曲面により連続しており、スロットマシン100のデザイン性を損なわないような意匠になっている。また、左右の側壁部722、723の後端部分には、前面扉102のベース板103に取り付けるための取付部725がそれぞれ設けてある。
メダル受皿700の左側に配置してある灰皿180は、灰を溜める凹陥部182と、この凹陥部182の縁に溝状に設けたたばこ載置部183とを備えている。なお、灰皿180は、耐熱性を有する合成樹脂で形成してもよいし、表面部分を金属製としてもよい。
ところで、図5に示す実施例においては、灰皿180の右側の枠板部181が、メダル受皿700の実質的な左側の側壁部722となっているが、この側壁部722は、灰皿180とは別個に底部本体711に設けてもよい。底部本体711には、灰皿180とメダル受皿700との区切りとなる位置に、若干隆起する畝部712が設けてあり、この畝部712に沿って灰皿180が位置している。また、この灰皿180は、不用意に移動しないように、ネジ751により底部本体711に取り付けられている。
底部本体711には、前記したように傾斜面を形成するための底部傾斜部材740を取り付ける。この底部傾斜部材740は、右側が高く、左側(灰皿180側)が低くなるように、右側の肉厚を厚く、左側の肉厚を薄く形成している。この底部傾斜部材740は、合成樹脂により成形してもよいが、表面は金属、例えばステンレス製とするのが好ましい。底部710を金属製とすることは、メダルによる摩耗を防止すると共に、遊技者が悪戯でたばこの火を押し付けても、焦げないようにする効果がある。
底部本体711或いは底部傾斜部材740に形成する傾斜面は、単一の傾斜面ではなく、複合した傾斜面とすることもできる。例えば図6に示すように、メダル払出装置から排出されたメダルが最初に到達する第1排出位置P1に形成された第1の傾斜面S1と、メダル貸出機が排出したメダルが最初に到達する第2排出位置P2に形成された第2の傾斜面S2とするのである。そして、第1の傾斜面S1と第2の傾斜面S2との間を、適宜な面で繋ぐのである。即ち、排出されたメダルが最初に到達する位置に、必要な傾斜角度の傾斜面を形成し、第1の傾斜面S1と第2の傾斜面S2との間を、例えば平坦面や緩やかな傾斜面、或いは複数の平坦部が連続する段々面等で繋げるのである。
このよう複合した傾斜面を形成すると、個々の傾斜面の傾斜角度を大きく確保することができるので、メダルを案内する際に、各傾斜面を有効に活用することができる。第1の傾斜面S1の傾斜角度と、第2の傾斜面S2の傾斜角度は、同じでもよいし、どちらか一方、例えば、第1の傾斜面S1の傾斜角度よりも第2の傾斜面S2の傾斜角度を大きく取るようにしてもよい。メダルが溜まる特定端から遠い第2の傾斜面の傾斜角度を大きく取ると、メダルを確実に特定端に案内することができる。
メダル受皿700の底部710に形成する傾斜面は、直線的に傾斜するものばかりではなく、曲面的に傾斜するものでもよい。即ち、図7に示すように、底部傾斜部材740の上面を曲面状に形成するのである。このような曲面状の傾斜面によれば、傾斜面上にあるメダルと傾斜面と間に適度な空間が生じるので、遊技者がメダル受皿700内にあるメダルを容易に掴み出すことができる。
メダル受皿700の底部710に形成する傾斜面は、左右方向に傾斜するばかりではなく、前後方向の傾斜を付加することもできる。即ち、図8に示すように、灰皿180方向への下り傾斜に加えて、前方へ向けた傾斜を加えることが可能である。メダル受皿700の底部710の位置を手前側が低くなるように、言い換えると、メダル受皿700の深さを手前側が深くなるように、傾斜面S3を形成するのである。このような傾斜面S3を形成すると、メダルが手前側に案内されるので、メダル受皿700の手前側に溜まりやすくなり、メダルを奥から掻き集める必要がなくなり、取り出し易い位置にメダルを溜めておくことができる。
メダル受皿700の一方の端部、即ち傾斜面がメダルを案内する側の端部には、起立状態にあるメダルが寄り掛かるように側壁部722を設ける。具体的には、傾斜している底部710に対して左側の側壁部722を90度前後の角度で起立させ、好ましくは90度で起立させるのである。また、底部710と左側の側壁部722とが交わる角部には、面取部を設けないようにする。更に、底部710と左側の側壁部722とが交わる角部付近の底部710に、凸部713または凹部を設けてメダルが係止可能なようにする(図9参照)。
このような構造を採用するときは、メダルを左側の側壁部722に寄り掛かけて起立状態を保たせ、次々にメダルを起立させた状態で並べておくことができる。また、凸部713または凹部にメダルが係止することにより、メダルの倒壊を防ぐことができる。なお、凸部713または凹部は適宜の数を設ければよい。
メダルを起立させた状態で並べると、限られた容量のメダル受皿700内に、より多くのメダルを蓄積可能なことから、従来から遊技者はメダル受皿700内でメダルを好んで起立させようとしていたが、底部710が平坦面であったことから、メダル受皿700内に少ない枚数のメダルが排出された場合には、平坦面にメダルが均一に散らばろうとするため、メダルを起立させることが困難であり、メダル受皿700内に大量のメダルを収容した場合には、メダルの重量により既にメダル受皿700内でのメダルの移動が困難となっており、同様に起立させることが困難であった。しかしながら、メダル受皿700内に少ない枚数のメダルが排出された場合であっても、メダルを起立させることが可能であれば、その後にメダル受皿700内にメダルが大量に排出された場合であっても、遊技者はメダルの起立状態を維持させることが容易となる。また、メダルをメダル受皿700から取り出し、このメダルをメダル投入口134に投入する際に、メダルが起立していると、メダルを掴み易く、効率よく取り出せて、迅速な投入が可能になる。
メダルが寄り掛かれる左側の側壁部722は、底部710と一体に設けることもできるし、灰皿180の枠板部181と兼用とすることも可能である。なお、壁部720を底部710と一体に設ける場合には、灰皿180の枠板部181の形状に対応させるとよい(図9(d)参照)。
図10は、他の実施例における底部傾斜部材740の説明図である。この実施例における底部傾斜部材740は、ほゞ矩形に形成した第1底板部741の一端に、ヒンジ部743を設けて第2底板部742を回動自在の軸着したものである。また、第1底板部741と第2底板部742との間に、弾性部材744を介在させて、第2底板部742を上方を向けて付勢するものである。この第2底板部742は、金属製の板、合成樹脂製の板、或いは合成樹脂製の板の表面に金属系のシートを貼設したものなど、適宜に選択できる。そして、右側の側壁部723の内面には、第2底板部742が回動する際に、ヒンジ部743を形成した端部とは反対側の端部が干渉しないように、逃げ部726が開設してある。
そこで、蓄積されたメダルがなくて第2底板部742に負荷が掛かっていないか、或いは蓄積されたメダルが少なくて負荷が軽い場合には、弾性部材744により第2底板部742が押し上げられている(図10(b)の状態)。このため、第2底板部742の傾斜が比較的急になっている。この状態では、メダル払出口155から払い出されたメダルが、特定端に案内され易い。一方、メダルが蓄積されて来ると、メダルの重量が増加するので、この重量が弾性部材744に打ち勝って、弾性部材744が圧縮され、第2底板部742が下降する(図10(c)の状態)。従って、蓄積されたメダルが増えると、メダル受皿700の容量が拡大されることになる。また、蓄積されたメダルが少なくても、底上げされた状態にあるので、メダルを掴み易く、効率よく取り出すことができる。
また、図10(d)は、弾性部材744を用いた他の実施例を示す概略説明図である。この実施例では、可動側の第2底板部742を、ヒンジ部743により底部本体711に、直接回動自在に軸着している。この実施例によれば、蓄積されているメダルの量に応じて容量が変化すると共に、第1底板部を省略することができる。なお、前記実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付して説明を省略する。
図11は、メダル受皿700(メダル受皿ユニット)の外観の一例を示す正面図及び右側面図である。この実施例では、前壁部721の上辺を、底部710の傾斜に対応して上昇させたものである。即ち、メダル受皿ユニットの水平な底辺を基準にして、前壁部721の向って左側の高さが低く、右側の高さが高くなるように形成している。なお、この実施例は、灰皿180を省略しているが、灰皿180を設けるようにしてもよい。
図12は、メダル受皿700(メダル受皿ユニット)の他の実施例を示す正面図及び右側面図である。この実施例では、メダルが傾斜面により案内されて溜まる左側の側壁部722及び前壁部721の左側部分の高さを、右側の側壁部723及び前壁部721に比べて高くなるように形成している。また、前壁部721の左側部分、即ち、メダルを溜める特定端側の前壁部721を、手前側に、言い換えると後壁部724を形成するベース板103と反対側に、膨出させている。そこで、この実施例によれば、より多くのメダルを貯留することが可能であり、しかも、メダルが案内される側の端部の容量がより大きくなっているので使い勝手がよく、メダルが溢れることもない。
図13は、メダル受皿700(メダル受皿ユニット)の他の実施例を示す正面図及び右側面図である。この実施例においては、底部710の傾斜面に対応させて、前壁部721の上辺及び下辺を上昇させたものである。言い換えると、前壁部721の高さは、左右の端部においてほゞ同じ高さである。そして、下辺が上昇した部分に空間が形成されている。従って、この実施例によれば、メダル受皿700の外観を一瞥するだけで、メダル受皿700の底部710に傾斜面が形成されていることが理解できる。なお、この実施例は、底部710と各壁部720、即ち前壁部721、側壁部722、723とが一体に形成されている。また、灰皿180を設けていないが、設けることもできる。
図14は、メダル受皿700(メダル受皿ユニット)の他の実施例を示す正面図及び右側面図である。この実施例では、底部710の傾斜面の下端が、メダル払出口155の直下ではなく、メダル貸出機のノズル(図示せず)が臨む位置でもない位置、例えば、左側の側壁部722である灰皿180の枠板部181と右側の側壁部723とのほゞ中間に位置している。即ち、メダル払出口155の若干右側に、左右の傾斜面の下端が位置して、底部710が浅いV字状に形成されている。従って、メダル受皿700の横幅及び傾斜面の始端の位置を変えなくても、傾斜面の傾斜を大きく取ることが可能である。
このような実施例によれば、メダル受皿ユニットの底部710の両端部分が中央部分に比べて上昇しているので、この上昇した部分に、遊技者の脚が位置するようになるため、遊技者の脚が自由になる。
また、この実施例では、灰皿180を左側の端部付近に内蔵させているが、灰皿180は外付とすることもできる。灰皿180を外付とする場合には、灰皿180がメダル受皿ユニットの底部710から突出することがないので、更に、遊技者の脚の自由度が高くなり、快適な遊技が可能になる。
メダル受皿700の底部710には、装飾を設けることができる。この装飾は、メダル受皿700を構成している底部本体711に設けてもよいし、図15に示すように、メダル受皿700に着脱自在に敷設する底部傾斜部材740に設けてもよい。メダル受皿700の底部710に設ける装飾は、模様や色彩ばかりではなく、例えば、遊技台の製造メーカー名や機種名を表示させてもよいし、遊技店の店名、或いはスポンサーの広告、など適宜なものを表示できる。
そして、底部710に装飾を設けることにより、多種多様なメダル受皿700を提供することができる。また、底部710を着脱自在に敷設する底部傾斜部材740により形成するときは、多様なスロットマシン100に適用することができ、既存のスロットマシン100に対しても適用することが可能である。従って、底部傾斜部材740によれば、スロットマシン100のメダル受皿700に傾斜面を付加することができ、排出されたメダルが排出口の直下に堆積し難く、所定の箇所に案内されて溜まるメダル受皿とすることができる。
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。