本発明は、スポーツ用衣類に関し、特に、装着者に与える圧迫感などを抑制しながら運動時の装着者の脂肪部分(乳房、臀部など)の揺れを制御することが可能なスポーツ用衣類に関する。
運動時に使用されるブラジャーなどのスポーツ用衣類が従来から知られている。
たとえば、特開平8−100308号公報(従来例1)においては、女性用衣類に用いられる乳房カップが開示されている。ここでは、乳房カップの膨らみの頂点を通る水平な仮想線(A)により乳房カップがカップ上部分とカップ下部分とに分けられ、カップ上部分を横切る方向に帯状の補強部分(a)と、該補強部分(a)に連結され上記仮想線(A)を越えてカップ下部分に至る帯状の補強部分(b)とが設けられている。
また、特許第2930932号公報(従来例2)においては、ストレッチ性のある素材からなる保護テープをスポーツブラジャーのフロント布部に縫着してバストの揺れを抑制する技術が開示されている。
特開平8−100308号公報
特許第2930932号公報
しかしながら、上記のようなスポーツ用衣類においては、以下のような問題があった。
運動時の脂肪部分(たとえば乳房)の揺れを抑制するためには、スポーツ用衣類における当該脂肪部分に位置する部分が、ある程度の緊締力を有することが必要である。一方で、当該部分の緊締力が強すぎると、装着者が圧迫感や息苦しさを感じることになる。従来のスポーツ用衣類においては、この問題が必ずしも十分に解決されない。
本願発明者らが検討した結果、脂肪部分の揺れの主方向と該主方向に直交する方向とで弾性係数が異なる部分を設けることで、運動時の脂肪部分の揺れを制御しながら該脂肪部分に作用する力を分散させることができることが分かった。なお、従来例1,2においては、このような思想は開示されていない。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、装着者に与える圧迫感などを抑制しながら運動時の装着者の脂肪部分の揺れを制御することが可能なスポーツ用衣類を提供することにある。
本発明に係るスポーツ用衣類は、1つの局面では、装着者の乳房を受け入れる2つのカップ部と、2つのカップ部の各々の周縁部に沿って設けられ、前記カップ部内に配置される第1部分と、2つのカップ部の各々の周縁部に沿って第1部分と隣接するように設けられた第2部分と、カップ部に対して第1と第2部分の少なくとも反対側にカップ部に沿って該カップ部の外側に設けられた第3部分とを備え、第2部分は、第1部分の長手方向である第1方向の緊締力が該第1方向と直交する第2方向の緊締力よりも弱い材質で構成され、第1部分の第1方向の緊締力が第2部分の第1方向の緊締力よりも強く、第3部分は、第2部分の第1方向の緊締力よりも強い緊締力を有する。
本構成によれば、装着者に与える圧迫感などを抑制しながら運動時の装着者の乳房の揺れを制御することができる。
本発明に係るスポーツ用衣類は、他の局面では、装着者の乳房を受け入れる2つのカップ部と、2つのカップ部の各々の周縁部に沿って設けられ、前記カップ部内に配置される第1部分と、2つのカップ部の各々の周縁部に沿って第1部分を挟むように設けられた第2部分と、カップ部に対して第1と第2部分の少なくとも反対側にカップ部に沿って該カップ部の外側に設けられた第3部分とを備え、第2部分は、第1と第2部分が並ぶ第1方向の緊締力が該第1方向と直交する第2方向の緊締力よりも弱い材質で構成され、第1部分の第1方向の緊締力が第2部分の第1方向の緊締力よりも強く、第3部分は、第2部分の第1方向の緊締力よりも強い緊締力を有する。
本構成によれば、第1部分の両側に第2部分が設けられることで、運動時の装着者の乳房の揺れを制御しやすくなる。
また、第3部分が設けられることにより、第1と第2部分の反対側からカップ部をしっかりと保持することができる。この結果、装着者の乳房の揺れをさらに制御しやすくなる。
カップ部は第1と第2部分と装着者の乳房との間に設けられ、該乳房に当接する内層部を有し、内層部は装着者の乳房を保持する凹凸部分を有することが好ましい。また、内層部は、第1編地部分と、該第1編地部分に対して相対的に緊締力が弱い第2編地部分とを含むようにしてもよい。
このような内層部が設けられることにより、乳房をしっかりと保持することができる。この結果、乳房とカップ部とのずれが抑制され、乳房の揺れの制御が行ないやすくなる。
第1および第2部分と内層部との間に衝撃吸収性を有する中間層部がさらに備えられることが好ましい。
衝撃吸収性を有する中間層部が設けられることで、乳房の揺れの位相をより効果的に遅らせることが可能になる。
第1と第2部分はカップ部の下部に設けられることが好ましい。
下方向については、着地時の衝撃と乳房部の慣性力のため、乳房の加速度が最も大きくなる傾向にある。第1と第2部分をカップ部の下部に設けることにより、この大きな揺れを制御することができるようになる。
第1と第2部分がカップ部の下部に設けられる場合において、第3部分の上側に装着者の肩に掛けられる肩紐部がさらに備えられ、該肩紐部は第3部分に隣接する位置から第3部分と離れる位置に向かって段階的に緊締力が弱くなるように形成されることが好ましい。
これにより、肩紐部分が過度に伸びて乳房の揺れ制御が阻害されることを抑制することができる。
本発明に係るスポーツ用衣類は、さらに他の局面では、装着者の臀部を受ける2つのサポート部と、2つのサポート部の各々の周縁部に沿って設けられ、サポート部内に配置される第1部分と、サポート部の周縁部に沿って第1部分と隣接するように設けられた第2部分と、サポート部に対して第1と第2部分の少なくとも反対側にサポート部に沿って該サポート部の外側に設けらた第3部分とを備え、第2部分は、第1部分の長手方向である第1方向の緊締力が該第1方向と直交する第2方向の緊締力よりも弱い材質で構成され、第1部分の第1方向の緊締力が第2部分の第1方向の緊締力よりも強く、第3部分は、第2部分の第1方向の緊締力よりも強い緊締力を有する。
上記構成によれば、装着者に与える圧迫感などを抑制しながら運動時の装着者の臀部の揺れを制御することができる。
本発明に係るスポーツ用衣類は、さらに他の局面では、装着者の臀部を受ける2つのサポート部と、2つのサポート部の各々の周縁部に沿って設けられ、サポート部内に配置される第1部分と、サポート部の周縁部に沿って第1部分を挟むように設けられた第2部分と、サポート部に対して第1と第2部分の少なくとも反対側にサポート部に沿って該サポート部の外側に設けらた第3部分とを備え、第2部分は、第1と第2部分が並ぶ第1方向の緊締力が該第1方向と直交する第2方向の緊締力よりも弱い材質で構成され、第1部分の第1方向の緊締力が第2部分の第1方向の緊締力よりも強く、第3部分は、第2部分の第1方向の緊締力よりも強い緊締力を有する。
第1部分の両側に第2部分が設けられることで、運動時の装着者の臀部の揺れを制御しやすくなる。
本発明によれば、装着者に圧迫感などを与えることなく運動時の脂肪部分の揺れを制御することができる。
以下に、本発明に基づくスポーツ用衣類の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係るスポーツ用衣類は、典型的には、装着者の乳房(バスト)を受け入れるカップ部を備えたスポーツ用ブラジャーであるが、当該衣類は、たとえば水着、レオタード、ボディースーツなどのように、上半身から下半身までを覆う衣類であってもよい。また、本願発明の技術的思想は、装着者の臀部を受ける尻当て部(サポート部)を備えたスパッツやその他の脂肪部分に当接する衣類にも適用可能である。
以下では、スポーツ用衣類としてのスポーツ用ブラジャーについて説明する。
スポーツ用ブラジャーは、装着者のバストを受け入れるカップ部を備える。カップ部は、典型的には、外層部(表地)と、装着者のバストに接触する内層部と、外層部と内層部との間に設けられる中間層部とを有する。ただし、場合によっては、中間層部を省略することも可能である。
外層部は、丸編み機で編成されてもよいし、カットソーにより形成されてもよい。外層部においては、カップ部の周縁部に沿って、第1部分と第2部分とが設けられる。ここで、第1部分は、典型的には、カップ部内に配置されるが、カップ部の周縁に沿って配置される限り、カップ部の外側に配置されてもよい。また、第2部分は、カップ部内に配置されてもよいし、カップ部の外側に配置されてもよい。また、第2部分は、典型的には、第1部分の両側に該第1部分を挟むように設けられるが、第1部分の片側にのみ隣接して設けられていてもよい。
第1部分は、装着者のバストの揺れの主方向に直交する方向が長手方向となるように設けられる。ここで、第1部分の長手方向とは、第1部分が一定の幅をもってカップ部の周縁部に沿って伸びている方向を意味する。たとえば、ランニング時のバストの主な揺れ方向は上下方向(縦方向)であるため、ランニング時のバストの揺れを制御するためのブラジャーにおいては、第1部分は、その長手方向が横方向になるように設けられる。また、この場合、バストの加速度が特に大きくなるのは着地時であるため、第1部分は、その大きな加速度を吸収するため、カップ部の下部に設けられる。以上は、第1部分の長手方向および該第1部分が設けられる位置の一例であって、これらは、着目するバストの揺れの特性に応じて適宜変更することが可能である。
第2部分は、第1部分の長手方向である第1方向の緊締力が該第1方向と直交する第2方向の緊締力よりも弱い材質で構成されている。また、第1部分の第1方向の緊締力は、第2部分の第1方向の緊締力よりも強い。換言すると、第1部分は第1と第2方向の緊締力が強い材質で構成され、第2部分は第1方向の緊締力が弱く、第2方向の緊締力が強い材質で構成されている。すなわち、第2部分は第1と第2方向で緊締力が異なる異方性を有する。
たとえば、ランニング時のバストの揺れを制御するためのブラジャーにおいては、上述したように、第1部分の長手方向が横方向であるため、第1方向は横方向、第2方向は縦方向となる。したがって、この場合、第1部分は縦/横方向の緊締力が強い材質で構成され、第2部分は縦方向の緊締力が強く、横方向の緊締力が弱い材質で構成されることになる。
ここで、緊締力とは、伸長に対する素材の抵抗力を意味する。緊締力の強弱は、一定荷重時における生地の伸長率の大小で確認することができる。すなわち、緊締力の強い生地は伸長率が小さく、弱い生地は伸長率が大きい。
本願明細書において、「緊締力が強い」とは、たとえば、4.9N(500gf)荷重時の伸長率(=α)が10パーセント以上40パーセント未満程度であることを意味し、「緊締力が弱い」とは、たとえば、上記伸長率(α)が40パーセント以上程度であることを意味する。第1と第2部分の緊締力がこの程度であれば、締め付けが強過ぎて運動が阻害されることを抑制しながら、バストの揺れを軽減させる効果を得ることができる。
また、緊締力の強弱に関わらず、一定値以上のストレッチ性(本願明細書においては、17.6N(1800gf)荷重時の伸長率(=β)を意味する。)を実現することが可能である。たとえば、上述した「緊締力が強い/弱い」素材について上記伸長率(β)をともに40パーセント以上程度にすることが可能である。これにより、締め付けが強過ぎて運動が阻害されることを抑制することができる。
上記のような緊締力およびストレッチ特性を実現するために、たとえば、弾性糸を編物の構成糸に用いた場合には、以下のような手段を用いることが考えられる。
(I)強緊締素材において、弱緊締素材と比べて弾性糸の構成比率を高くする。
(II)強緊締素材において、弱緊締素材と比べて弾性糸の繊度を大きくする。
(III)強緊締素材において、弱緊締素材と比べて編み密度を高くする。
(IV)強緊締素材において、弱緊締素材と比べて弾性糸の張力を大きくして編物を製造する。
(V)強緊締素材において、弱緊締素材に比べて生地の厚みを大きくして編物を製造する。
また、高捲縮仮燃加工を施して伸縮性を持たせたポリエステル,ナイロンなどの高捲縮仮燃加工糸を生地の少なくとも一部または全部に使用することも可能である。また、伸縮性のあるニットを複数枚重ねて使用することも可能である。さらに、伸縮性を有するニット生地どうしをラミネート加工して二層構造にした二層ラミネート生地や、伸縮性を有するポリウレタンシートを伸縮性を有するニット生地で挟み込みラミネート加工して三層構造にした三層ラミネート生地が使用されてもよい。
上記緊締力およびストレッチ性の指標となる伸長率の測定は、たとえば、東洋ボールドウイン社製のTENSILON万能型引張試験機(UTM−III−200)を用いて行なわれる。本願明細書に示される伸長率は、引張強度を20cm/分とし、試料生地の大きさを5cm(巾)×20cm(長さ)とし、試料つかみ間隔を10cmとした場合の測定結果である。なお、緊締力およびストレッチ製を測定する際は、上述したように、それぞれ4.9N(500gf),17.6N(1800gf)の荷重を加える。また、実際に測定を行なう際は、測定対象となる部分(たとえば、第1と第2部分)のみの編地で試料生地を編成し測定する。
上記構成によれば、たとえば、ランニング時のバストの揺れを抑えるブラジャーにおいて、着地時のバストの上下方向の運動を抑えることができる一方で、バストの揺れの位相を遅らせ、衝撃を吸収することができる。このように、本実施の形態に係るスポーツ用ブラジャーによれば、装着者のバストを過度に締め付ける必要がなく、装着者に与える圧迫感(息苦しさ)などを抑制しながら運動時の装着者のバストの揺れを制御することができる。
上記衝撃吸収のメカニズムについて説明すると以下のようになる。
たとえば、ランニング時のバストの揺れを制御するブラジャーの場合、第1部分に隣接する第2部分は、横方向(第1方向)の緊締力が弱く、横方向のストレッチ性が相対的に高い。したがって、乳房が下方向に揺れる場合、強緊締素材からなる第1部分が乳房の下部をしかっりと保持するとともに、第1部分に隣接する第2部分においてはゆっくりと生地が伸長するので、下向きに動く乳房の揺れの位相を遅らせることができる。
ところで、カップ部に対して第1と第2部分の少なくとも反対側には、カップ部に沿って該カップ部の外側に第2部分の第1方向の緊締力よりも強い緊締力を有する第3部分が設けられることが好ましい。第1と第2部分がカップ部の下側に設けられる場合、第3部分は、たとえば、第1と第2部分の反対側であるカップ部の上側からカップ部の脇側にかけて該カップ部の外側に設けられる。このような第3部分が設けられることにより、第1と第2部分の反対側からカップ部をしっかりと保持することができる。この結果、装着者の乳房の揺れをさらに制御しやすくなる。また、第3部分がカップ部の外側に配置されることにより、装着者が圧迫感を感じることが抑制される。
第3部分は、典型的には第1部分と同じ素材で構成されるが、第1と第3部分に異なる素材が用いられてもよい。
ランニング時のバストの揺れを制御するブラジャーにおいては、上述したように、カップ部の下側に第1と第2部分が設けられ、その反対側であるカップ部の上側を含む領域に第3部分が設けられる。この場合、第3部分の上側には、装着者の肩に掛けられる肩紐部が設けられる。ここで、肩紐部は第3部分に隣接する位置から第3部分と離れる位置に向かって段階的に緊締力が弱くなるように形成されることが好ましい。これにより、肩紐部分が過度に伸びて乳房の揺れ制御が阻害されることを抑制することができる。
ところで、緊締力の「強/弱」を編み組織を異ならせることで形成する場合、緊締力(編み組織)が異なる部分の境界については、明確な境界線があってもよいし、連続的に徐々に緊締力(編み組織)を変化させることで明確な境界線をなくしてもよい。
装着者のバストに接触する内層部は、編地で構成されてもよいし、パッドで構成されてもよい。
内層部を編地で構成する場合、相対的に緊締力の強い編地と相対的に緊締力の弱い編地とを混在させることが好ましい。ここでいう緊締力の「強/弱」の具体的な範囲は、上述した外層部における第1と第2部分の緊締力の「強/弱」と同様である。強緊締部分と弱緊締部分とを混在させることにより、緊締力が強い編地部分がバストを押さえる一方で、緊締力が弱い編地部分にバストの膨らみが入り込む。したがって、装着者の肌と編地との接触面積が増加し、摩擦抵抗が大きくなるので、バスト接触部分がバストをしっかりと保持することができる。この結果、上記第1と第2部分を含む外層部の構造による揺れ軽減の効果が十分に発揮される。なお、強緊締部分と弱緊締部分との配置については、ドット柄、ライン柄、格子柄、千鳥柄、ストライプ柄、波形柄などが採用可能である。また、強緊締部分と弱緊締部分との面積比(強:弱)は、20:80〜60:40(より好ましくは30:70〜50:50、最も好ましくは40:60)であることが好ましい。面積比を上記範囲内とすることで、グリップ力を十分に発揮しながら装着者が締め付けによる違和感を感じることを抑制することができる。
内層部をパッドで構成する場合、該パッドは、装着者の乳房を保持する凹凸部分を有することが好ましい。このような凹凸部分が設けられることにより、凸部(突起部)がしっかりとバストを押さえる一方で、凹部(ベース部分)にバストの膨らみが入り込む。したがって、装着者の肌とパッドとの接触面積が増加し、摩擦抵抗が大きくなるので、バスト接触部分がバストをしっかりと保持することができる。この結果、上記第1と第2部分を含む外層部の構造による揺れ軽減の効果が十分に発揮される。なお、乳頭部分には凸部を設けないようにしてもよい。
中間層部は、典型的には、衝撃緩衝や装着者のバストが外側に透けて見えることを防止することを目的として設けられる。該中間層部に用いられる素材は、衝撃吸収性や通気性を有することが好ましい。衝撃吸収性を有する中間層部が設けられることで、バストの揺れの位相をより効果的に遅らせることが可能になる。
中間層部が編地で構成される場合、用いられる繊維素材は特に限定されず、天然繊維、合成繊維、またはそれらの組合わせが選択可能である。また、中間層部は、平織りなどの織物、トリコット,ダブルラッセル,シンカーパイルニット,丸編みなどの編物、ダブルラッセルなどの三次元構造布、多重織物のいずれにより構成されてもよい。
中間層部が発泡体で構成される場合、該中間層部は、たとえば、ポリウレタン,ポリスチレン,ポリプロピレン,ポリブタジエン,天然ゴム,合成ゴム,シリコンなどによる合成樹脂発泡体により構成することが可能である。
中間層部の形状は、上記目的を達成し得る限り、特に限定されない。たとえば、内層部を編地で構成する場合には、内層部と中間層部とを同形状とすることが考えられる。
中間層部は、典型的には、外層部と縫着または接着により一体化される。ただし、一般的に中間層部と外層部とでは生地の伸縮率が異なるため、全周固定は行なわず、たとえば下側と外側のみ縫製することが好ましい。
以下に、本発明に基づく実施例1〜14について、図1から図28を用いて説明する。
図1は、実施例1に係るスポーツ用ブラジャーを示した図であり、図2は、該ブラジャーにおける衝撃吸収構造を示した図である。
図1を参照して、本実施例に係るスポーツ用ブラジャー1は、装着者のバスト(乳房)を受け入れるカップ部2と、装着者の肩に掛けられる肩紐部分3と、首ぐり部分4および脇ぐり部分5と、アンダーバスト部6とを備える。
スポーツ用ブラジャー1の装着者が運動する際には、装着者のバストに様々な方向(たとえば図1中の矢印方向)の揺れが生じる。特にランニングなどを行なう際は、上下方向の揺れが顕著である。
これに対し、本実施例に係るスポーツ用ブラジャー1は、図2に示すように、カップ部2の下部に設けられた強緊締素材からなる第1部分2Aと、第1部分2Aを挟むように設けられた第2部分2Bとを備える。ここで、第1部分2Aは、カップ部2の周縁部に沿って該カップ部2の内側に設けられる。また、第2部分2Bは、体の中央側においてはカップ部2の周縁部に沿って該カップ部2の外側に設けられ、脇側においてはカップ部2の周縁部に沿って該カップ部2の内側に設けられる。カップ部2の上側および脇側には、強緊締素材からなる第3部分2Cが設けられている。肩紐部分3は、第3部分2Cから上方向に向かって段階的に縦方向の緊締力が弱くなるように形成されている。アンダーバスト部6は、リブ組織により構成される。
図2において、第1と第2部分2A,2Bは横方向(図2中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は横方向である。
第1と第3部分2A,2Cを構成する強緊締素材については、縦方向(図2中の上下方向)、横方向ともに緊締力を表す4.9N(500gf)荷重時の伸長率が18パーセントであり、ストレッチ性を表す17.6N(1800gf)荷重時の伸長率は45パーセントである。
第2部分2Bを構成する素材は、縦方向と横方向とで緊締力が異なり、縦方向においては第1と第3部分2A,2Cを構成する強緊締素材と同程度の緊締力を有し、横方向においては縦方向よりも弱い緊締力を有する。具体的には、横方向において、緊締力を表す4.9N(500gf)荷重時の伸長率が65パーセントであり、ストレッチ性を表す17.6N(1800gf)荷重時の伸長率は200パーセントである。
スポーツ用ブラジャー1における第1〜第3部分2A,2B,2C以外を構成する部分(身生地部分)は、縦横方向においてある程度の伸縮性を有する。当該部分については、緊締力を表す4.9N(500gf)荷重時の伸長率が50パーセントであり、ストレッチ性を表す17.6N(1800gf)荷重時の伸長率は150パーセントである。
図16は、スポーツ用ブラジャー1におけるカップ部2周辺の構造を示した断面図である。
図16を参照して、スポーツ用ブラジャー1のカップ部2は、外層部20A、中間層部20Bおよび内層部20Cの3層により構成される。
外層部20Aは、ナイロン繊維(90質量パーセント)およびポリウレタン繊維(10質量パーセント)から構成される。編み組織としては、プレーン編みとフロート編みとが組み合わされて適用される。
中間層部20Bは、ナイロン繊維(86質量パーセント)およびポリウレタン繊維(14質量パーセント)から構成される。編み組織としては、ダブルラッセル編みが適用される。中間層部20Bは、縫製部7により外層部20Aと一体化される。ただし、中間層部20Bの外側(脇側)と下側のみが縫製される。
内層部20Cは、弱緊締の編地と強緊締の編地とを混在させることにより構成される。なお、内層部20Cを構成する繊維の比率および編み組織については、中間層部20Bの場合と同様である。内層部20Cは縫製部7により外層部20Aと一体化される。ここでは、内層部20Cの周縁部が全周に亘って縫製される。
図17は、スポーツ用ブラジャー1の内側の構造を示した図である。
図17を参照して、カップ部の内層部を構成する編地8は、強緊締部分8Aと弱緊締部分8Bとを有する。ここでは、弱緊締部分8B上において強緊締部分8Aがドット状に形成されている。強緊締部分8Aと弱緊締部分8Bとの面積比は、40:60程度である。
図18,図19は、図17に示すスポーツ用ブラジャーの内側の構造の変形例を示した図である。
図18を参照して、カップ部の内層部を樹脂などからなるパッド9で構成することも可能である。パッド9は、縫製部7により外層部20Aと一体化される。ここでは、バッド9の外側(脇側)と下側のみが縫製される。これにより、サイズ適応性が向上する。また、図19に示すように、伸縮性のある生地10を介してパッド9を外層部20Aと縫製してもよい。
図20は、パッド9を拡大して示した図である。また、図21,図22は、それぞれ図20におけるXXI−XXI断面、XXII−XXII断面を示す。
図20〜図22を参照して、パッド9は、突起部9Aとベース部9Bとからなる凹凸部分を有する。なお、突起部9Aの厚み(t1)は4.5mm程度であり、ベース部9Bの厚み(t2)は2mm程度である。
スポーツ用ブラジャー1の作製に際しては、まず、カップ部の外層部を含むブラジャー全体を構成する丸編地が編成される。ここで、繊維の方向は、縦方向/横方向(たとえば図1における上下方向/左右方向)になる。次に、首ぐり部分と脇ぐり部分とが裁断により形成された後、肩紐部分が縫製により繋がれる。丸編地を編成する編機としては、たとえば、釜系が4インチ程度である丸編み機(より具体的には、イタリアLONATI社製のLシリーズなど)や釜系が13インチ程度である丸編み機(より具体的には、イタリアSANTONI社製のSMシリーズなど)が使用可能である。これらの丸編み機は、コンピュータ制御または機械的制御により編み針の動きを制御することが可能であり、任意の箇所を任意の編み組織で編成したり、任意の場所を任意の糸で編成したり、任意の場所の編み条件を変えながら立体的に膨らませた状態で編成することが可能である。
上記のように編成された丸編地は、プレセット工程において、型板に嵌めた状態で加熱されることが好ましい。ポリエステル,ナイロンなどの合成繊維は、加熱されることにより収縮する性質があるので、ループが引き締まり生地が安定するという効果がある。結果として、染色工程において生地に物理的な力が加えられた場合にも、ある程度の寸法安定性を確保することができる。なお、染色工程においては、丸編地はネットに入れられ、ドラム型の染色機に投入される。この際、吸汗性、抗菌防臭性などを有する薬剤を投入し、これらの機能を生地に付与することも可能である。
次に、ランニング時にバストに加わる衝撃の測定方法について説明する。図23は、衝撃測定時の加速度計の貼付け位置を示す図である。
図23を参照して、加速度計(図23中の「×」)は、裸体立位で体幹から乳房の高さの1/3程度(図23(a)参照)の乳頭直下(図23(b)参照)に貼付けられる。加速度計としては、PCB Piezotronics社製の352A24(重量0.8g程度)が使用可能である。
図24〜図27は、ランニング時にバストに加わる衝撃加速度を測定した実験結果を示す図である。図24〜図27において、「右」「左」とは、それぞれ右胸,左胸の測定結果を意味する。また、図24〜図27において、ケース1は、衣類を装着しないヌードの状態で計測した結果を示し、ケース2は、スポーツ用ではない一般のブラジャーを装着した状態で計測した結果を示し、ケース3は、従来のスポーツ用ブラジャーを装着した状態で計測した結果を示し、ケース4は、本実施例に係るスポーツ用ブラジャー1を装着した状態で計測した結果を示す。なお、図24,図25は、166m/minの速度で走行する際にそれぞれ右足,左足が接地したときの衝撃加速度を示したものであり、図26,図27は、200m/minの速度で走行する際にそれぞれ右足,左足が接地したときの衝撃加速度を示したものである。
図24〜図27を参照して、全ての実験条件において、ケース4の衝撃加速度が他のケースの衝撃加速度と比較して小さいことが分かる。すなわち、本実施例に係るスポーツ用ブラジャーによれば、従来のブラジャーに比べて、ランニング時に乳房の下部に作用する衝撃加速度をより効果的に抑制できるということが分かる。なお、図24〜図27に示す殆どのケースにおいて、右胸の衝撃加速度が左胸の衝撃加速度よりも大きくなっているのは、当該被験者の特性によるものと考えられる。
図28は、ランニング時にバストに加わる加速度と時間の経過との関係(166m/min,左足接地,左胸)を示す図である。なお、図28におけるケース1〜4の加速度の最大値が、図25におけるケース1〜4の「左」の衝撃加速度の値に相当する。
図28を参照して、ケース4の加速度のピークは、ケース1〜3の加速度のピークよりも遅れて現れている。すなわち、本実施例に係るスポーツ用ブラジャーによれば、足の接地時に下向きに動くバストの揺れの位相を遅らせ、加速度の最大値(ピーク値)を低く抑えることができる。
以上に述べたように、本実施例に係るスポーツ用ブラジャー1によれば、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
図3は、実施例2に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1部分2Aを挟み込む第2部分2Bが、脇側,体の中央側ともにカップ部2の外側に配置される点で実施例1と異なる。
このような構成によっても、実施例1に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図4は、実施例3に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1,2に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1,2に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1部分2Aを挟み込む第2部分2Bが、体の中央側においてはカップ部2の内側に配置され、脇側においてはカップ部2の外側に配置される点で実施例1と異なる。
このような構成によっても、実施例1,2に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1,2と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図5は、実施例4に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜3に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜3に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1部分2Aを挟み込む第2部分2Bが、脇側,体の中央側ともにカップ部2の内側に配置される点で実施例1〜3と異なる。
このような構成によっても、実施例1〜3に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜3と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図6は、実施例5に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜4に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜4に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の上部に配置され、第3部分2Cがカップ部2の脇側から下側にかけて配置される点で実施例1〜4と異なる。なお、図6に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは横方向(図6中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は横方向である。ここでは、第2部分2Bは、縦方向(図6中の上下方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、横方向において縦方向よりも弱い緊締力を有する。
ここで、乳房の内側(体の中央側)方向への揺れの制御を考慮する場合は、左右のカップ部に挟まれた中央部分2D(身生地部分)にも第3部分2Cと同様の強緊締素材を配置することが好ましい。また、締め付けによる圧迫感の軽減を考慮する場合は、中央部分2Dには強緊締素材は配置しないことが好ましい。本実施例では、中央部分2Dに強緊締素材を配置していない例を示している。
このような構成によっても、実施例1〜4に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、上側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜4と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図7は、実施例6に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜5に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜5に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2における脇側の側部に配置され、第3部分2Cがカップ部2に対して体の中央側からカップ部2の上側、下側にかけて配置される点で実施例1〜5と異なる。なお、図7に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは縦方向(図7中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は縦方向である。ここでは、第2部分2Bは、横方向(図7中の左右方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、縦方向において横方向よりも弱い緊締力を有する。
このような構成によっても、実施例1〜5に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、脇側(外側)に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜5と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図8は、実施例7に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜6に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜6に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2における体の中央側の側部に配置され、第3部分2Cがカップ部2の脇側から上側、下側にかけて配置される点で実施例1〜6と異なる。なお、図8に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは縦方向(図8中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は縦方向である。ここでは、第2部分2Bは、横方向(図8中の左右方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、縦方向において横方向よりも弱い緊締力を有する。
このような構成によっても、実施例1〜6に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、体の中央側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜6と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図9は、実施例8に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜7に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜7に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の外下側に配置され、第3部分2Cがカップ部2の内上側から外上側、内下側にかけて配置される点で実施例1〜7と異なる。なお、図9に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは外上側から内下側に向かう斜め方向(図9中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は図9中の矢印方向である。ここでは、第2部分2Bは、矢印方向に直交する斜め方向(内上側から外下側に向かう方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、矢印方向において矢印方向に直交する斜め方向よりも弱い緊締力を有する。ここで、第1と第2部分の繊維の方向は斜め方向である。このような第1と第2部分2A,2Bは、カットソーにより形成可能である。
このような構成によっても、実施例1〜7に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、体の外下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜7と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図10は、実施例9に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜8に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜8に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の外上側に配置され、第3部分2Cがカップ部2の内下側から内上側、外下側にかけて配置される点で実施例1〜8と異なる。なお、図10に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは内上側から外下側に向かう斜め方向(図10中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は図10中の矢印方向である。ここでは、第2部分2Bは、矢印方向に直交する斜め方向(外上側から内下側に向かう方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、矢印方向において矢印方向に直交する斜め方向よりも弱い緊締力を有する。ここで、第1と第2部分の繊維の方向は斜め方向である。このような第1と第2部分2A,2Bは、カットソーにより形成可能である。
このような構成によっても、実施例1〜8に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、体の外上側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜8と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図11は、実施例10に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜9に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜9に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の内上側に配置され、第3部分2Cがカップ部2の外下側から外上側、内下側にかけて配置される点で実施例1〜9と異なる。なお、図11に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは外上側から内下側に向かう斜め方向(図11中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は図11中の矢印方向である。ここでは、第2部分2Bは、矢印方向に直交する斜め方向(内上側から外下側に向かう方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、矢印方向において矢印方向に直交する斜め方向よりも弱い緊締力を有する。ここで、第1と第2部分の繊維の方向は斜め方向である。このような第1と第2部分2A,2Bは、カットソーにより形成可能である。
このような構成によっても、実施例1〜9に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、体の内上側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜9と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図12は、実施例11に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜10に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜10に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の内下側に配置され、第3部分2Cがカップ部2の外上側から内上側、外下側にかけて配置される点で実施例1〜10と異なる。なお、図12に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは内上側から外下側に向かう斜め方向(図12中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は図12中の矢印方向である。ここでは、第2部分2Bは、矢印方向に直交する斜め方向(外上側から内下側に向かう方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、矢印方向において矢印方向に直交する斜め方向よりも弱い緊締力を有する。ここで、第1と第2部分の繊維の方向は斜め方向である。このような第1と第2部分2A,2Bは、カットソーにより形成可能である。
このような構成によっても、実施例1〜10に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、体の内下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜10と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図13は、実施例12に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜11に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜11に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の上部と下部の双方に配置され、第3部分2Cがカップ部2の脇側に配置される点で実施例1〜11と異なる。なお、図13に示す例では、第1と第2部分2A,2Bは、上部,下部ともに横方向(図13中の矢印方向)に並んで形成されている。また、第1部分2Aの長手方向は、上部,下部ともに図13中の矢印方向である。ここでは、第2部分2Bは、上部,下部ともに縦方向(図13中の上下方向)において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、横方向において縦方向よりも弱い緊締力を有する。
このような構成によっても、実施例1〜11に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、体の上側および下側に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜11と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図14は、実施例13に係るスポーツ用ブラジャーにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
本実施例に係るスポーツ用ブラジャーは、実施例1〜12に係るスポーツ用ブラジャーの変形例であって、基本的には実施例1〜12に係るブラジャーと同様の構成を有するが、第1と第2部分2A,2Bがカップ部2の下部と脇側の側部の双方に配置され、第3部分2Cがカップ部2の上側からカップ部2に対して体の中央側にかけて配置される点で実施例1〜12と異なる。なお、図14に示す例では、下部の第1と第2部分2A,2Bは、横方向(図14中の矢印方向)に並んで形成され、側部の第1と第2部分2A,2Bは、縦方向(図14中の破線矢印方向)に並んで形成されている。また、下部,脇部の第1部分2Aの長手方向は、それぞれ図14中の矢印方向,破線矢印方向である。ここでは、下部の第2部分2Bは、縦方向において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、横方向において縦方向よりも弱い緊締力を有する一方で、側部の第2部分2Bは、横方向において第1部分2Aと同程度の緊締力を有し、縦方向において縦方向よりも弱い緊締力を有する。
このような構成によっても、実施例1〜12に係るスポーツ用ブラジャーと同様に、装着者のバストに作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、下側および脇側(外側)に動いたバストが跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜12と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
図15は、実施例14に係るスパッツ(タイツ)1Aにおける第1〜第3部分の配置を示した図である。
図15を参照して、スパッツ1Aは、装着者の臀部を受ける尻当て部200(サポート部)を有する。尻当て部200の下部には、実施例1〜13に係るスポーツ用ブラジャー1における第1と第2部分と同様の構成を有する第1〜第3部分2A,2B,2Cが設けられている。
上記構成によれば、装着者の臀部に作用する衝撃を和らげる効果が得られる。ここでは、特に、下側に動いた臀部が跳ね返る際の衝撃が緩和される。
本実施例において、実施例1〜13と同様の事項については、詳細な説明は繰り返されない。
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、上述した実施の形態および各実施例の特徴部分を適宜組合わせることは、当初から予定されている。また、今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施例1〜13に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)を示した図である。
本発明の実施例1に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例2に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例3に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例4に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例5に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例6に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例7に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例8に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例9に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例10に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例11に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例12に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例13に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例14に係るスパッツ(スポーツ用衣類)における第1〜第3部分の配置を示した図である。
本発明の実施例1〜13に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)におけるカップ部周辺の構造を示した断面図である。
本発明の実施例1〜13に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)の内側の構造を示した図である。
本発明の実施例1〜13に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)の内側の構造の変形例を示した図である。
本発明の実施例1〜13に係るスポーツ用ブラジャー(スポーツ用衣類)の内側の構造の他の変形例を示した図である。
スポーツ用ブラジャーの内層部として用いられるパッドを拡大して示した図である。
図20におけるXXI−XXI断面を示す図である。
図20におけるXXII−XXII断面を示す図である。
衝撃測定時の加速度計の貼付け位置を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
ランニング(166m/min)時にバストに加わる衝撃(右足接地時)を測定した実験結果を示す図である。
ランニング(166m/min)時にバストに加わる衝撃(左足接地時)を測定した実験結果を示す図である。
ランニング(200m/min)時にバストに加わる衝撃(右足接地時)を測定した実験結果を示す図である。
ランニング(200m/min)時にバストに加わる衝撃(左足接地時)を測定した実験結果を示す図である。
ランニング時にバストに加わる加速度と時間の経過との関係を示す図である。
符号の説明
1 スポーツ用ブラジャー、1A スパッツ、2 カップ部、2A 第1部分、2B 第2部分、2C 第3部分、2D 中央部分、3 肩紐部分、4 首ぐり部分、5 脇ぐり部分、6 アンダーバスト部、7 縫製部、8 編地、8A 強緊締部分、8B 弱緊締部分、9 パッド、9A 突起部、9B ベース部、10 生地、20A 外層部、20B 中間層部、20C 内層部、200 尻当て部。