JP4688315B2 - 4−デメトキシダウノマイシノンの製造 - Google Patents

4−デメトキシダウノマイシノンの製造 Download PDF

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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法およびそのための重要な中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−デメトキシダウノマイシン(またはイダルビシン)は、その強力な抗腫瘍活性(例えば、Cancer Treatment Report 61(5):893−894、1977)から抗ガン剤として臨床使用されている。4−デメトキシダウノマイシンは、一般に、そのアグリコン部分に相当する4−デメトキシダウノマイシノンと、糖部分に相当する糖誘導体とのグリコシド化によって製造されている。4−デメトキシダウノマイシノン(2つのキラル中心をもつ)の製造についての有力なアプローチの一つは、工業的生産法の確立している発酵法によって得られるダウノマイシン(またはダウノルビシン)由来のダウノマイシノンのキラルティーをそのまま保存して4位メトキシ基を脱離することである。かような脱離の典型的な方法は特許第2784202号公報にみられる。該方法の反応スキームは、次のとおりである。
【0003】
【化9】
Figure 0004688315
【0004】
【化10】
Figure 0004688315
【0005】
この方法の各工程は、それぞれ高収率で進行するものの、あまりにも工程数が多く、全体としての収率は必ずしも満足できるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ダウノマイシノンのキラルティーを利用してより効率のよい4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
ダウノマイシノンまたは4−デメチルダウノマイシノンは、官能基として複数の水酸基とカルボニル基を有している。したがって、効率のよいあるいは工程数の少ない4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法を提供することができるか否かは、複数の水酸基に対する選択性のある保護法または保護基を如何に選ぶことができるかに左右される。
【0008】
本発明者らは、上記の反応スキームからも明らかなとおり、それ自体公知化合物である式(1)の4−デメチルダウノマイシノンの7位水酸基の選択的な保護が可能であるかについて検討した。
【0009】
なお、米国特許第4,564,674号明細書には、一般式
【0010】
【化11】
Figure 0004688315
【0011】
(式中、R3′、R4′およびR5′のそれぞれは、低級アルキル基であり、X1′およびX2′のそれぞれは、水素原子、水酸基またはメトキシ基であり、Y1′は水素原子または水酸基であり、そしてZは水素原子または保護された水酸基である)
で表されるアンスラサイクリノン誘導体が記載されている。この一般式で表されるアンスラサイクリノン誘導体の中には、上記定義から理解できるように、次式
【0012】
【化12】
Figure 0004688315
【0013】
で表される化合物が包含されている。しかし、米国特許第4,564,674号明細書には、4位に水酸基が存在し、7位水酸基のみをシリル基で保護した上記化合物を如何に製造するかについては、記載が存在しない。7位シリル化について具体的に記載があるのは、4位水酸基が存在しないか、あるいは4位メトキシ基(保護された水酸基に相当する)が存在する場合のみである。
【0014】
本発明者らは、上記検討の結果特定のトリアルキルシリルクロライド(トリメチル−またはトリエチルシリルクロライド)を使用した場合には、7位水酸基を選択的にシリル化できることを見出した(例えば、t−ブチルジメチルシリルクロライドを使用した場合には、4−シリル化物または4,7−ジシリル化物および4,7,11−トリシリル化物が得られる。)。
【0015】
上記7位水酸基が選択的にシリル化された、各種有機反応溶媒に対する溶解性を高め、次に選択すべき反応の対象を拡大することができる。本発明者らは、4位水酸基の脱酸素化を行う目的で、各種スルホニル化物を経由する方法について検討した。
【0016】
ところで、上記特許第2784202号公報に記載の方法によると、反応スキームにみられるとおり4位スルホニル化物(具体的には、p−トルエンスルホニル化物または4−フルオロフェニルスルホニル化物)をアミノ化合物に転換した後、最終的に脱酸素化を達成している。
【0017】
本発明者らの上記検討によると、7位がトリメチルシリル化またはトリエチルシリル化されている場合に、4位にトリフルオロメチルスルホニル基を導入したトリフラートは、パラジウム触媒還元によって、4位の脱酸素化と7位の脱シリル化とを、一段で(または同時に)実施できることを見出した(例えば、7位がt−ブチルジメチルシリル化されている場合は、該一段での脱酸素化と脱シリル化を実施することは困難である。)。
【0018】
こうして、本発明者らが見出した各反応を段階を組み合わせれば、4−デメチル−ダウノマイシノンから出発してわずか3段階で目的の4−デメトキシ−ダウノマイシノンが得られる。これに対して上記特許第2784202号公報の方法では、6段階の反応を経て目的の4−デメトキシダウノマイシノンが得られている。したがって本発明によれば、下記の極めて効率のよい4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法が提供される。
【0019】

【0020】
【化13】
Figure 0004688315
【0021】
で表される4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法であって、
a) 式(A):
【0022】
【化14】
Figure 0004688315
【0023】
で表される4−デメチルダウノマイシノンを、式
(R)3SiCl
(Rは、メチルまたはエチルを表す)
と酸捕捉剤の存在下に不活性溶媒中で反応させ、
b) こうして得られる式(B):
【0024】
【化15】
Figure 0004688315
【0025】
で表される4−デメチル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンをトリフルオロメチルスルホン酸ハロゲン化物またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物と、必要により、酸捕捉剤の存在下に不活性溶媒中で反応させ、
c) こうして得られる式(C):
【0026】
【化16】
Figure 0004688315
【0027】
で表される4−トリフルオロメチルスルホニル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンを不活性溶媒中でパラジウム触媒還元することを特徴とする4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法。
【0028】
また、上記式(C)で表される化合物は、本発明者らが知る限りでは、文献未載の化合物であり、そして7位水酸基のトリアルキルシリル保護基のアルキル基として、トリメチル基またはトリエチル基を選び、そして4位水酸基を介してトリフラートとしたことにより、一段のパラジウム触媒還元により、4位の脱酸素化と7位の脱保護基反応を同時に達成でき、4−デメトキシダウノマイシノンを提供できるという、特有の性質を有する。加えて、式(C)で表される化合物は、例えば、米国特許第4,564,674号明細書に記載された方法に従い、7位のシリル化水酸基を介して直接グリコシル化でき、次いで4位の脱酸素化を行い4−デメトキシダウノマイシノンを提供できる。したがって、本発明によれば、有用な合成中間体として、式
【0029】
【化17】
Figure 0004688315
【0030】
(式中、Rはメチルまたはエチルを表す)
の4−トリフルオロメチルスルホニル−7−トリアルキルシリル−ダウノマイシノンが提供される。
【0031】
【発明の好ましい態様】
本発明で用いる式(A)で表される4−デメチルダウノマイシノンは、特許第2784202号明細書に記載されているようなダウノマイシノンからの無水塩化アルミニウム/塩化メチレンを用いる脱メチル化により得られるものを初め、如何なる方法によって得られたものであってもよい。しかし、4−デメチルダウノマイシノンを得るための従来の方法は、上記のドラスティックな条件を利用する必要があるか、あるいは収率の低いものであった。したがって、より簡易に工業的に実施できるダウノマイシノンから4位脱メチル化法が利用できることが望ましいであろう。
【0032】
本発明者らは、4−デメチルダウノマイシノンのより簡単かつ効率のよい取得方法を入手すべく検討してきた。その結果、本発明者らは、ダウノマイシノンを、ヨウ化アルカリ金属塩(例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウムなど)およびハロゲン化マグネシウム(例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、好ましくは塩化マグネシウム)を含む適当な不活性な溶媒(例えば、THF、ジオキサン、アセトニトリル、トルエンなど)中で、20〜100℃、好ましくは60〜80℃において反応させることにより、4位のメトキシ基からメチルの脱離が定量的に進行することを見出した。この方法において、ヨウ化アルカリ金属塩とハロゲン化マグネシウムはモル比で、約1:2〜2:1の範囲内で使用するのが好ましいが、これに限定されない。また、式(I−1)′の化合物に対するハロゲン化マグネシウムの使用割合は、モル当量で、0.1〜3倍であることができる。
【0033】
すなわち、本発明によれば、式
【0034】
【化18】
Figure 0004688315
【0035】
で表されるダウノマイシノンを、ヨウ化アルカリ金属およびハロゲン化マグネシウムの存在下に不活性溶媒中で脱メチル化することにより得られる4−デメチルダウノマイシノンを有利に出発原料として使用できる。
【0036】
こうして得られるか、あるいはそれ自体既知の式(A)の4−デメチルダウノマイシノンから式(B)の4−デメチル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンへの転化は、例えば、Protective Groups in Organic Chemistry,John Wiley and Sons,1991に記載されているような通常のシリル化反応(水酸基の保護)であるが、4−デメチルダウノマイシノンでは、アンスラサイクリノンの4−、6−、7−、9−および11位に水酸基が存在する。
【0037】
4−デメチルダウノマイシノンの上記シリル化は、本発明に従えば、シリル化剤として、式:(R)3SiCl(式中、Rはメチルまたはエチルである)で表されるトリメチルシリルクロライドまたはトリエチルシリルクロライドを用い、不活性溶媒として、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホン、等のアプロチィック極性溶媒、酢酸エチル等のエステル類を用い、そして反応温度として、使用溶媒の還流温度まで、好ましくは0〜50℃、より好ましくは25〜30℃で実施することができる。かようなシリル化条件によれば、7位水酸基を選択的に保護することができる(後述の例5(比較)参照)。この反応に際し生成するハロゲン化水素酸を捕捉するために、常用されている酸捕捉剤、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基を共存させることができる。
【0038】
式(B)の4−デメチル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンから式(C)の4−トリフルオロメチルスルホニル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンへの転化は、不活性溶媒として、前記溶媒に加えて、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩化炭化水素類から選ばれる溶媒を用い、酸捕捉剤として、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジエチルイソプロピルアミンを用い、使用溶媒の還流温度まで、好ましくは0〜50℃、より好ましくは25〜30℃でトリフルオロメチルスルホン酸無水物またはハロゲン化物を用いて実施することができる。なお、4位トリフルオロメチルスルホニル化反応は、予め7位水酸基のシリル化保護がされていない場合には、殆どまたは全く進行しないことに注意しなければならない(後述の例6(比較)参照)。
【0039】
式(C)の4−トリフルオロメチルスルホニル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンから4−デメトキシダウノマイシノンへの転化は、不活性溶媒中でのパラジウム触媒還元によって行うことができる。触媒としては、Pd(OAc)2、PdCl2またはPd(PPh3)4、あるいはPd(OAc)2もしくはPdCl2とPPh3、dppf(1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)もしくはdppp(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)とのいずれかの組み合わせが使用できる。なお、上記の略号Acはアセチル基であり、Phはフェニル基である。不活性溶媒としては、上記溶媒にアセトニトリルを加えた溶媒を挙げることができる。反応温度としては0〜100℃、好ましくは25〜60℃を選ぶことができる。なお、4位トリフラート基の脱離(もしくは4位酸素脱離)には、7位水酸基のシリル化保護が必要であることに注意されたい(上記例7(比較)参照)。
【0040】
以上の各転化反応は、それぞれ高い収率で行うことができるので、本発明に従えば、ダウノマイシノン(または4−デメチルダウノマイシノン)から4−デメトキシダウノマイシノンの極めて有用な製造方法が提供できる。
【0041】
【実施例】
以下、具体例を挙げ本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって如何なる制限を受けるものではないことを理解する必要がある。
例1(本発明):4−デメチルダウノマイシノンの製造
【0042】
【化19】
Figure 0004688315
【0043】
ダウノマイシノン6.57gを130mLのTHFに溶解し、KI 10.96g、MgCl2 12.56gを加え75℃で3時間、reflux した。反応液に1mol/L HClを加え、ろ過、0.1mol/L HCl、MeOH で洗浄した後、減圧乾固し4−デメチルダウノマイシノン6.08gを得た。
【0044】
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=2.19(dd,J=12.6,3.2Hz,1H,8ax−H)、2.36(ddd,J=12.6,5.6,3.2Hz,1H,8eq−H)、2.43(s,3H,COCH 3)、2.98(d,J=15.2Hz,1H,10ax−H)、3.21(dd,J=15.2,3.6Hz,1H,10eq−H)、3.81(d,J=5.6Hz,1H,7−OH)、4.53(s,1H,9−OH)、5.32(t,J=5.6Hz,1H,7−H)、7.33(d,J=7.2Hz,1H,1−H)、7.73(t,J=7.2Hz,1H,2−H)、7.90(d,J=7.2Hz,1H,3−H)、12.19(s,1H,4−OH)、12.97(s,1H,11−OH)、13.48(s,1H,6−OH)
例2(本発明):4−デメチル−7−トリメチルシリルダウノマイシノンの製造
【0045】
【化20】
Figure 0004688315
【0046】
THF20ml中の4−デメチルダウノマイシノン500mgに、トリエチルアミン1.37mlを加え氷冷しているところへ、トリメチルシリルクロライド1.37mlを加えた後、室温で1時間撹拌した。この反応液にH2O、酢酸エチル、0.1mol/L HClを加え、分配した後、酢酸エチル層をH2O、ブラインで洗浄し、芒硝乾燥、ろ過、濃縮、減圧乾燥し、粗トリメチルシリル体536.9mgを得た。
【0047】
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=0.26(s,9H,CH 3Si)、 2.03(dd,J=11.6,3.6Hz,1H,8ax−H)、2.22(ddd,J=11.6,3.6,2.8Hz,1H,8eq−H)、2.43(s,3H,COCH 3)、2.99(d,J=15.2Hz,1H,10ax−H)、3.28(dd,J=15.2,2.0Hz,1H,10eq−H)、5.43(s,1H,9−OH)、5.45(t,J=2.8Hz,1H,7−H)、7.33(d,J=7.8Hz,1H,1−H)、7.71(t,J=7.8Hz,1H,2−H)、7.90(d,J=7.8Hz,1H,3−H)、12.22(s,1H,4−OH)、12.94(s,1H,11−OH)、13.49(s,1H,6−OH)
(FAB−MS)m/z=456(M+)
例3(本発明):4−デメチル−4−トリフルオロメタンスルホニル−7−トリメチルシリルダウノマイシノンの製造
【0048】
【化21】
Figure 0004688315
【0049】
7−トリメチルシリル体50mgを、CH2Cl2 2mLに溶解し、DMAP 70.5mgを加え、0℃で撹拌しているところへ、Tf2O 0.05mLを加え、0℃で2時間撹拌した。この反応液にH2O、酢酸エチルを加え、分配した後、酢酸エチル層を0.1mol/L HCl、H2O、ブラインで洗浄し、芒硝乾燥、ろ過、濃縮、減圧乾燥した。これに、酢酸エチル1ml、ヘキサン10mlを加え、結晶化し4−トリフラート体40mgを得た。
【0050】
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=0.26(s,9H,CH 3Si)、2.03(dd,J=11.2,3.6Hz,1H,8ax−H)、2.22(ddd,J=11.2,3.6,2.8Hz,1H,8eq−H)、2.43(s,3H,COCH 3)、3.02(d,J=15.2Hz,1H,10ax−H)、3.28(dd,J=15.2,2.0Hz,1H,10eq−H)、5.44(s,1H,9−OH)、5.47(t,J=2.8Hz,1H,7−H)、7.65(d,J=7.8Hz,1H,1−H)、7.91(t,J=7.8Hz,1H,2−H)、8.50(d,J=7.8Hz,1H,3−H)、13.27(s,1H,11−OH)、13.52(s,1H,6−OH)
(FAB−MS)m/z=588(M+
例4(本発明):4−デメトキシダウノマイシノンの製造
【0051】
【化22】
Figure 0004688315
【0052】
4−トリフラート体945mgにPd(Ph3P)4 184.9mgを加え、DMF20mLに溶解し系内をN2置換した後、トリエチルシラン0.38mLを加え室温で18時間撹拌した。この反応液にH2O、酢酸エチルを加え、分配した後、酢酸エチル層を、NaHCO3、0.1mol/L HCl、H2O、ブラインで洗浄し、芒硝乾燥、ろ過、濃縮、減圧乾燥し、4−デメトキシダウノマイシノン484.7mgを得た。
【0053】
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=2.19(dd,J=12.0,4.0Hz,1H,8ax−H)、2.36(ddd,J=12.0,4.0,2.0Hz,1H,8eq−H)、2.43(s,3H,COCH 3)、2.97(d,J=15.2Hz,1H,10ax−H)、3.21(dd,J=15.2,2.4Hz,1H,10eq−H)、3.79(d,J=4.8Hz,1H,7−OH)、4.54(s,1H,9−OH)、5.33(t,J=2.0Hz,1H,7−H)、7.85(m,2H,2−H,3−H)、8.36(m,2H,1−H,4−H)、13.33(s,1H,11−OH)、13.61(s,1H,6−OH)
(FAB−MS)m/z=368(M+
例5(比較)
この例では、4−デメチルダウノマイシノンのシリル化の選択性が、使用するシリル化剤やその他の反応条件により変動することを示す。
(1) THF0.4ml中の4−デメチルダウノマイシンノン10mgに、トリエチルアミン0.05mlを加え氷冷しているところへt−ブチルジメチルシリルクロライド(TBSCl)39.3mgを加えた後、室温で攪拌した。この反応液にH2O、酢酸エチルを加え、分配した後、酢酸エチル層を、H2O、ブラインで洗浄し、芒硝乾燥、ろ過、濃縮、減圧乾燥し、粗4−t−ブチルジメチルシリルダウノマイシノン(4−OTBS)11.6mgを得た。
【0054】
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=0.30(s,6H,(CH 3)2Si)、1.08(s,9H,t−Bu)、2.17(dd,J=12.0,4.0Hz,1H,8ax−H)、2.33(ddd,J=12.0,4.0,1.6Hz,1H,8eq−H)、2.43(s,3H,COCH 3)、2.92(d,J=15.2Hz,1H,10ax−H)、3.17(dd,J=15.2,2.8Hz,1H,10eq−H)、3.79(d,J=4.8Hz,1H,7−OH)、5.43(s,1H,9−OH)、5.31(t,J=2.8Hz,1H,7−H)、7.25(d,J=7.4Hz,1H,1−H)、7.66(t,J=7.4Hz,1H,2−H)、8.01(d,J=7.4Hz,1H,3−H)、13.24(s,1H,11−OH)、14.14(s,1H,6−OH)
(2) THF1ml中の4−デメチルダウノマイシンノン50mgに、イミダゾール66.3mgを加え氷冷しているところへTBSCl 98.5mgを加えた後、室温で攪拌した。この反応液にH2O、酢酸エチルを加え、分配した後、酢酸エチル層を0.1mol/L HCl、ブラインで洗浄し、芒硝乾燥、ろ過、濃縮、減圧乾燥し、得られた残渣をPTLCにて精製し、4,7−ジ−OTBS体41.4mg、4,7,11−トリ−OTBS体15.2mgを得た。
4,7−ジ−OTBS体
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=0.19,0.28,0.30,0.33(s,3H,(CH 3 )2Si)、0.89,1.08(s,9H,t−Bu)、2.00(dd,J=14.7,3.7Hz,1H,8ax−H)、2.25(ddd,J=14.7,3.7,1.8Hz,1H,8eq−H)、2.43(s,3H,COCH 3)、2.95(d,J=19.0Hz,1H,10ax−H)、3.24(dd,J=19.0,2.2Hz,1H,10eq−H),5.49(s,1H,9−OH)、5.44(t,J=2.4Hz,1H,7−H)、7.24(d,J=7.4Hz,1H,1−H)、7.65(t,J=7.4Hz,1H,2−H)、8.02(d,J=7.4Hz,1H,3−H)、13.30(s,1H,11−OH)、14.09(s,1H,6−OH)
トリ−OTBS体
1H−NMR 400 MHz(CDCl3):δ=0.14,0.17,0.19,0.29,0.30,0.33(s,3H,(CH 3 )2Si)、0.89,1.05,1.09(s,9H,t−Bu)、1.94(dd,J=14.6,6.3Hz,1H,8ax−H)、2.23(ddd,J=14.6,6.3,1.8Hz,1H,8eq−H)、2.41(s,3H,COCH 3)、2.95(d,J=18.4Hz,1H,10ax−H)、3.22(dd,J=18.4,1.6Hz,1H,10eq−H)、5.47(s,1H,9−OH)、5.47(t,J=2.4Hz,1H,7−H)、7.17(d,J=8.0Hz,1H,1−H)、7.60(t,J=8.0Hz,1H,2−H)、7.84(d,J=8.0Hz,1H,3−H)、14.07(s,1H,6−OH)
例6(比較)
この例は、4−デメチルダウノマイシノンの4位水酸基のトリフルオロメチルスルホニル化を直接的に行うことは困難であり、例3に示すように予め7位トリアルキルシリル化を行っておくことが必要なことを説明する目的で記載する。
【0055】
4−デメチルシダウノマイシノン10mgを、CH2Cl2 0.2mLに溶解し、ピリジン0.04mLを加え、0℃で撹拌しているところへ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)0.08mLを加え、0℃で撹拌したが、TLC上で複数のスポットを与えてしまい、この中に4−トリフルオロメチルスルホニルダウノマイシノンを確認することは出来なかった。また塩基にトリエチルアミンを用いて同様に反応を行ったが同じく4−トリフルオロメチルスルホニルダウノマイシノンを確認することは出来なかった。
例7(比較)
この例は、4−トリフルオロメチルスルホニルダウノマイシノンの4位の基の脱離には、7位水酸基がシリル保護されていることが必要であることを示す目的で記載する。
【0056】
4−デメチル−4-トリフルオロメタンスルホニル−ダウノマイシノン10mgにPd(AcO)2 0.09mg、dppf 0.21mgを加え、系内をN2置換した後、DMF0.5mLに溶解しEt3SiH 0.008mLを加え室温で18時間撹拌したが、反応の進行は認められなかった。

Claims (4)


  1. Figure 0004688315
    で表される4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法であって、
    a) 式
    Figure 0004688315
    で表される4−デメチルダウノマイシノンを、式
    (R)3SiCl
    (Rは、メチルまたはエチルを表す)
    と酸捕捉剤の存在下に不活性溶媒中で反応させ、
    b) こうして得られる式
    Figure 0004688315
    で表される4−デメチル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンをトリフルオロメチルスルホン酸ハロゲン化物またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物と、必要により、酸捕捉剤の存在下に不活性溶媒中で反応させ、
    c) こうして得られる式
    Figure 0004688315
    で表される4−トリフルオロメチルスルホニル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノンを不活性溶媒中でパラジウム触媒還元することを特徴とする4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法。
  2. 4−デメチルダウノマイシノンが、式
    Figure 0004688315
    で表されるダウノマイシノンを、ヨウ化カリウムおよび塩化マグネシウムの存在下に不活性溶媒中で脱メチル化することによって得られる請求項1記載の4−デメトキシダウノマイシノンの製造方法。

  3. Figure 0004688315
    で表されるダウノマイシノンを、ヨウ化アルカリ金属およびハロゲン化マグネシウムの存在下に不活性溶媒中で脱メチル化することを特徴とする、式
    Figure 0004688315
    で表される4−デメチルダウノマイシノンの製造方法。

  4. Figure 0004688315
    (式中、Rはメチルまたはエチルを表す)
    の4−トリフルオロメチルスルホニル−7−トリアルキルシリルダウノマイシノン。
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