JP4686741B2 - 壁紙自動糊付機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として屋内の壁に壁紙を貼り付けるに際して壁紙に糊付けをするための壁紙自動糊付機に関し、特に、糊箱内の糊のあふれを防止する手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
壁紙自動糊付機として、図2に示すように、糊付機本体1に背面側からロール状原反の壁紙2を挿入して、検尺ローラー3と送り出しローラー4の2本のゴムローラで挟んで送り込み、壁紙2の裏面に糊付ローラー5によって糊を転写塗布し、ナラシローラー6によって糊面を均しながら糊付機本体1の正面側(図2において左側、すなわち機械手前側)の出口から排出するよう糊付経路が構成され、また、その糊付経路に、糊付ローラー5の糊膜の厚みを調整するためのドクターローラー7が配置され、また、壁紙2に適度なテンションを与えて糊付を均一で精度の良いものとするためのハイテンションローラー8および押さえローラー9が配置されたものが従来から知られている。
【0003】
上記壁紙自動糊付機において、検尺ローラー3は、送り込んだ壁紙2の長さを検出するためのもので、両端が回転自在に支持されて、図示しないバネにより送り出しローラー4に向けて付勢され、送り出しローラー4との間に挟み込んだ壁紙2に押し付けられることにより、壁紙2の送りに合わせて一方向に回転する。そして、その検尺ローラー3の軸端には、例えば円周を等分割した位置にスリットを設けたスリット板が軸端に取り付けられ、そのスリット板の回転がフォトマイクロセンサーで検出され、それによって検尺ローラー3の回転量が測定され、その測定された回転量と予めわかっている検尺ローラー3の外径寸法とから、ローラー周面の移動距離すなわち送り込まれた壁紙の長さが検出される。こうして検出される寸法情報は、常時操作パネル(図示せず)に表示される。作業者はこの表示された情報を見て状況を判断しつつ作業できる。また、検出値が予め設定した値に達すると機械が自動的に停止する。そして、機械停止後、作業者は糊付機本体1の正面下部に設けられているカッターガイド10に沿ってカッターナイフの刃を走らせて壁紙2を切断する。こうして予め設定した長さの糊付けされた壁紙が得られる。
【0004】
糊は、糊付機本体1の下部に設置された糊箱11に貯えられ、糊箱11の内側に設置された糊上ローラー12の回転により持ち上げられて、糊付ローラー5に転写される。糊箱11は機械手前側の底部に糊箱脚13を有し、その糊箱脚13と、糊付機本体1に設置される糊箱受け14とで略水平に支持される。
【0005】
糊上ローラー12は糊付ローラー5との間に一定の隙間をもって設置されるもので、糊付ローラー5とは逆向き回転する。そして、その回転により、周辺の糊が粘性によってローラー表面に引っ張られ糊付ローラー5へと誘導されていく。そして、誘導された糊が糊付ローラー5へ転写され、これが糊付ローラー5から壁紙2の裏面へ転写されるのである。その際、ドクターローラー7によって、糊付ローラー5の外周に付着する糊膜の厚みが調整され、それにより、壁紙2の糊厚が調整される。糊を補給するときは、糊箱11を機械手前側に引き出し、上方にできる開口部から柄杓等を用いて糊を投入する。
【0006】
図3は、機械作動時の糊箱11内の動作を説明する図である。糊上ローラー12と糊付ローラー5との隙間の寸法dは、通常1mm前後に設定される。これは、糊上ローラー12から糊付ローラー5への糊の転写が確実に行われるようにするためで、糊上ローラー12の表面に粘性によって付着する糊の層の厚みよりも小さい寸法に隙間を設定するのである。その場合、糊上ローラー12に誘導されてくる糊の一部が糊付ローラー5へ確実に転写される。そして、残りの一部は糊上ローラーの表面に付着したまま隙間を通過して糊上ローラー12の回転元側(図3において右側)へ戻るが、大部分は余分な糊として隙間の手前側(回転側、すなわち図3において左側)に取り残される。そのため、機械作動中、糊上ローラー12の回転によって回転元側から回転先側へと糊が移動し、回転元側へは、糊上ローラー12の表面に付着したまま糊付ローラー5との隙間を通過して戻る量だけ、つまり、回転先側へ移動した量の一部だけしか戻らない。その結果、当初は図3に一点鎖線で示すように糊上ローラー12を挟んで左右同じ高さであった糊の液面hが、糊上ローラー12の回転とともに、回転先側では上昇し、回転元側では下降する。そして、この傾向は、糊の粘性が高いほど顕著となる(糊上ローラー12によって誘導される糊層の厚みが増すため)。したがって、糊箱11の縁一杯まで糊を投入したのでは、糊上ローラー12の回転に伴って液面hが上昇することにより糊箱の縁を越えた分だけ糊があふれ出てしまう。そのため、糊は糊箱11の実容積に対してかなり少なめに入れておかなければならない。
【0007】
また、糊箱内に糊の片寄りが生じないようにしようとする試みもあり、例えば、実開平6−63397号公報に開示されているように、糊上ローラーと糊箱の底部との間に、糊の移動を移動を制限する障害物を設けることも提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の壁紙自動糊付機では、上記のように機械作動中に糊箱内の糊の液面に片寄りが生ずること見越して、糊箱の実容積に対してかなり少なめに糊を入れるようにしなければならず、実際に必要な糊量の割に大きな糊箱が必要ということになって、それが機械の小型・軽量化を図る上での障害となっている。
【0009】
また、糊箱内の糊の片寄りを無くするために、実開平6−63397号公報に示されているように糊上ローラーと糊箱の底部との間に糊の移動を制限する障害物を設けたのでは、その糊箱内部の障害物が洗浄の妨げとなる。
【0010】
そこで、機械作動中の糊箱内の液面の片寄りによる糊のあふれを防止して、実際に投入できる糊の量の割に糊箱の容積を小さくし、あるいは、糊箱の容積を大きくすることなく実際に投入可能な糊の量を増やせるようにすることが課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の壁紙自動糊付機は、壁紙に接しつつその接触位置において壁紙の送り方向に回転する糊付ローラーを有し、該糊付ローラーの下方に糊箱が設置され、該糊箱の内側に、上記糊付ローラーとの間に一定の隙間をもって対峙して該糊付ローラーと逆の向きに回転する糊上ローラーが設置されて、上記糊箱内に貯えた糊を上記糊上ローラーによって上記糊付ローラーへ導き、該糊付ローラーから壁紙に転写するよう構成された壁紙自動糊付機において、上記糊上ローラーと上記糊付ローラーの隙間を1.5mm程度とし、上記糊上ローラーと上記糊箱底面との隙間を5mm程度とし、かつ、上記糊上ローラーの周速度と上記糊付ローラーの周速度との周速比を0.83とすることにより、機械作動時の上記糊上ローラーと上記糊付ローラーの隙間を通過する糊の量と、上記糊上ローラーと上記糊箱底面との隙間を通過する糊の量を釣り合わせ、上記糊箱内の糊の液面を略均一な状態に保つように構成することにより上記課題を解決するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示している。図1において、1は壁紙自動糊付機の糊付機本体であって、ロール状原反の壁紙2(クロス)を背面側(図1において右側)から挿入して、検尺ローラー3(ゴムローラー)と送り出しローラー4(ゴムローラー)で挟んで送り込み、糊付ローラー5によって裏面に糊を転写して、ナラシローラー6によって糊面を均しながら糊付機本体1の正面側(図1において左側、すなわち機械手前側)の出口から排出するよう糊付経路が構成されている。また、その糊付経路には、糊付ローラー5の糊膜の厚みを調整するためのドクターローラー7が設けられ、また、壁紙2に適度なテンションを与えて糊付を均一で精度の良いものとするためのハイテンションローラー8および押さえローラー9が設けられている。
【0013】
検尺ローラー3は、両端が回転自在に支持されて、図示しないバネにより送り出しローラー4に向けて付勢され、送り出しローラー4との間に挟み込んだ壁紙2に押し付けられることにより、壁紙2の送りに合わせて一方向に回転する。検尺ローラー3は、送り込んだ壁紙2の長さを検出するためのもので、例えば円周を等分割した位置にスリットを設けたスリット板が軸端に取り付けられる。そして、そのスリット板の回転がフォトマイクロセンサーで検出される。フォトマイクロセンサーは、スリット板の回転すなわち検尺ローラー3の回転に応じたパルスを発生し、そのパルスをカウントすることによって検尺ローラー3の回転量が測定される。そして、その測定された回転量と予めわかっている検尺ローラー3の外径寸法とから、ローラー周面の移動距離すなわち送り込まれた壁紙2の長さが検出される。こうして検出される寸法情報は、常時コントローラの表示部に表示され、作業者はこの表示された情報を見て状況を判断しつつ作業する。また、検出値が予め設定した値に達すると機械が自動的に停止する。
【0014】
糊は、糊付機本体1の下部に設置された糊箱11に貯えられ、糊箱11の内側に設置された糊上ローラー12の回転により持ち上げられて、糊付ローラー5に転写される。そして、その糊箱11は、機械手前側の底部に糊箱脚13を有し、糊付機本体1に糊箱受け14が設定されて、それら糊箱脚13と糊箱受け14とにより支持されている。糊を補給するときは、糊箱11を機械手前側に引き出し、上方にできる開口部から柄杓等を用いて糊を投入する。
【0015】
糊上ローラー12は、糊付ローラー5との間に一定の隙間をもって設置され、糊付ローラー5とは逆向き回転する。そして、その回転により、糊箱11の糊が粘性によって糊上ローラー12の表面に引っ張られ糊付ローラー5へと誘導されていく。そして、誘導された糊が糊付ローラー5へ転写され、これが糊付ローラー5から壁紙2の裏面へ転写されるのである。その際、ドクターローラー7によって、糊付ローラー5の外周に付着する糊膜の厚みが調整され、それにより、壁紙2の糊厚が調整される。
【0016】
糊上ローラー12と糊付ローラー5との隙間の寸法dを例えば1.5mmとし、糊上ローラー12と糊箱11の底面との隙間の寸法を例えば5.0mm程度とし、かつ、例えば糊付ローラー5の外径を86mm、糊上ローラー12の外径を50mmとし、両者を40Tと28Tの歯車で連結して駆動することにより、糊上ローラー12の周速度と糊付ローラー5の周速度を例えば周速比で0.83とすることによって、機械作動時に糊上ローラー12と糊付ローラー5の隙間を通過して回転元側へ(図1の矢印aの向きに)移動する糊の量と、糊上ローラー12と糊箱11の底面との隙間を通過して回転先側へ(図1の矢印bの向きに)流れる糊を量を釣り合わせ、糊箱11内の糊の液面を略均一な状態に保つように構成したものである。
【0017】
この場合、機械作動時にも糊の液面が略均一な状態に保たれるため、糊あふれ防止のために糊箱11を大きくする必要がなくなり、小型・軽量化できる。また、糊上ローラー12が糊箱11の底面すれすれに位置するため、ほぼ最後まで糊を使い切ることができる。
【0018】
設定された長さだけ糊付けして機械が停止すると、作業者は糊付機本体1の正面下部に設けられているカッターガイド10に沿ってカッターナイフの刃を走らせて壁紙2を切断する。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、機械作動中の糊箱内の液面の片寄りによる糊のあふれを防止して、小さい糊箱でより多くの有効糊付量を得るようにでき、機械の小型・軽量化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の壁紙自動糊付機の実施の形態の一例を示す要部断面図、
【図2】 従来の壁紙自動糊付機の一例を示す要部断面図、
【図3】 従来の壁紙自動糊付機の機械作動時の糊箱内の動作を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 糊付機本体
2 壁紙
5 糊付ローラー
10 カッターガイド
11 糊箱
12 糊上ローラー
Claims (1)
- 壁紙に接しつつその接触位置において壁紙の送り方向に回転する糊付ローラーを有し、該糊付ローラーの下方に糊箱が設置され、該糊箱の内側に、上記糊付ローラーとの間に一定の隙間をもって対峙して該糊付ローラーと逆の向きに回転する糊上ローラーが設置されて、上記糊箱内に貯えた糊を上記糊上ローラーによって上記糊付ローラーへ導き、該糊付ローラーから壁紙に転写するよう構成された壁紙自動糊付機において、
上記糊上ローラーと上記糊付ローラーの隙間を1.5mm程度とし、上記糊上ローラーと上記糊箱底面との隙間を5mm程度とし、かつ、上記糊上ローラーの周速度と上記糊付ローラーの周速度との周速比を0.83とすることにより、機械作動時の上記糊上ローラーと上記糊付ローラーの隙間を通過する糊の量と、上記糊上ローラーと上記糊箱底面との隙間を通過する糊の量を釣り合わせ、上記糊箱内の糊の液面を略均一な状態に保つことを特徴とする壁紙自動糊付機。
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JP36615299A Expired - Lifetime JP4686741B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 壁紙自動糊付機 |
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