JP4683944B2 - 投写用レンズシステムおよびプロジェクタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ライトバルブに表示された像をスクリーンに拡大投影するプロジェクタ装置の投写用レンズシステムに関するものである。
従来、プロジェクタの光変調器(ライトバルブ)として液晶パネルが多く用いられてきた。近年、液晶パネルに代わり、マイクロマシン技術を用いて機械的に光の反射方向を変えて画像を形成する複数の素子を備えた装置が実用化されている。微小な鏡面素子(マイクロミラー)を画素に対応させてアレイ状に並べ、それぞれの鏡面の角度を制御することにより画像を表示するDMD(デジタルミラーデバイス、箔変形デバイスあるいはディスプレイ)はその1つである。このマイクロミラーで画素を構成する光変調器は、液晶パネルより応答速度が速く、明るい画像が得られるので、小型で高輝度、高画質のプロジェクタを実現するのに適している。
特開2000−338448号公報
ダイクロイックプリズムの高い色分離特性を得るため、液晶の表示特性から明るい画像を得るためなどの理由により、投写用レンズシステムの入射側は通常はテレセントリックになるように設計される。これに対し、ダイクロイック膜に起因するゴーストや色むらを抑制するために、非テレセントリックな投写系を採用することも提案されている。
DMDをライトバルブとして用いて時分割でカラー表示するようなプロジェクタにおいては、照明系と協調することにより、非テレセントリックな光学系を投写用レンズシステムに採用することができる。非テレセントリックな光学系を採用することにより、ライトバルブ側のレンズ群を小口径にできるので、レンズシステム全体をコンパクトにできる。スクリーン側から屈折力が負−正の2群構成の、いわゆるレトロフォーカスタイプのレンズシステムは入射側となる縮小側のバックフォーカスを長くしやすく、テレセントリックにし易いのでプロジェクタレンズとして多く採用されている。このタイプは、また、画角も大きくしやすいので、非テレセントリックな光学系にも適しているが、その場合、テレセントリックな光学系に比較すると像高の影響が大きくなるので収差の補正は難しくなる。
さらに、家庭用の電化製品としては、スクリーンとプロジェクタとの距離の小さなコンパクトなシステムで大画面を見たいという要望がある。特に、スクリーンが一体化したリアプロジェクタに採用されるレンズシステムは広角で、さらにコンパクトであることが要求される。入射側が非テレセントリックなプロジェクタレンズは、全体をコンパクトに纏めることができ、投写側のレンズ群をスクリーン側の瞳位置に近づけることにより画角が大きい広角なレンズシステムを得ることができる。しかしながら、入射側が非テレセントリックであることに加えて、スクリーン側が広角になればなるほど像高の変化に伴う像面湾曲を補正することが難しくなる。像面湾曲を補正するためには、ペッツバール和を小さく補正する必要があるが、そのためには、凸面に対して、十分な曲率の凹面を配置したり、凹凸レンズの間に距離を確保したりする必要があり、レンズ枚数が増え、レンズシステムが長くなる。
コンパクトで広角なレンズシステムとしては、スクリーン側から負−正の簡易な組み合わせを採用することが望ましい。また、スクリーン側の負レンズは、レンズシステムの中で最も口径が大きくなり、特に、画角を大きくしようとするとさらに口径が大きくなる。したがって、曲率の大きな面を採用すると、設計が困難となり、製造も難しくなる。また、口径が大きなレンズはコストおよび重量を考えると、プラスチックレンズを採用することが好まれるが、温度の影響が大きく表れることになる。したがって、スクリーン側の第1のレンズ群により収差補正に十分なパワーを確保することは難しい。一方、ライトバルブ側の第2のレンズ群に多くの凹凸レンズを採用し、それらの間に距離を確保するとなると、負−正−負−正などの多群構成になってしまい、コンパクトなレンズシステムを実現できない。
そこで、本発明においては、入射側が非テレセントリックなレンズシステムにおいて、2群構成のコンパクトで広角なレンズシステムを提供することを目的としている。そして、さらにコンパクトで、鮮明な画像を表示できるプロジェクタ装置を提供することを目的としている。
本発明においては、光変調器からの投影光をスクリーンに投写する投写用レンズシステムであって、スクリーンの側から順に、負の屈折力の第1のレンズ群と、正の屈折力の第2のレンズ群とで構成され、入射側が非テレセントリックであり、第2のレンズ群は、接合面が逆方向を向いた屈折力が正の2枚貼合わせレンズのペアと、屈折力が正の3枚貼合わせレンズとを含んでいる投写用レンズシステムを提供する。ペッツバール和を小さくして像面湾曲を補正するためには、凹凸レンズを、距離を開けて配置することが望ましいが、レンズ枚数が多くなるし、全長も長くなる。このため、本発明においては、第2のレンズ群は、接合面が逆方向を向いた屈折力が正の2枚貼合わせレンズのペアと、屈折力が正の3枚貼合わせレンズとを含むようにしている。
接合面が逆方向を向いた屈折力が正の2枚貼合わせレンズのペアは、レンズのパワーとしては正なので、正の第2のレンズ群を構成するのに適当であり、貼合わせレンズの内部に備えた逆方向を向いた面の曲率をある程度大きくすることによりペッツバール和を効果的に小さくできる。さらに、2枚貼合わせレンズのペアは色収差の補正能力が高く、また、対称的なレンズ配置になるのでコマ収差などの他の諸収差の補正にも適している。屈折力が正の3枚貼合わせレンズは、トリプレットを構成するレンズを貼り合わせた構成となり、レンズのパワーとしては正なので、正の第2のレンズ群を構成するのに適当である。さらに、貼合わせレンズの内部に逆方向を向いた曲率の大きな面を形成できるので、コンパクトなレンズでペッツバール和を効果的に小さくできる。さらに、貼合わせレンズなので色収差の補正能力は高く、また、対称的なレンズ配置になるのでコマ収差などの他の諸収差の補正にも適している。
このように本発明のレンズシステムにおいては、第2のレンズ群に、正の2枚貼合わせレンズのペアと、正の3枚貼合わせレンズとを含めることにより、第2のレンズ群の全長を増加させないようにして、像面湾曲を含む収差補正能力を大幅に向上している。したがって、入射側が非テレセントリックであることを活かしたコンパクトで高画角のレンズシステムを提供できる。特に、2枚貼合わせレンズのペアはスクリーン側に配置されていることが望ましく、反対に、3枚貼合わせレンズはライトバルブ側に配置されていることが望ましい。第2のレンズ群のスクリーン側は、第1のレンズ群の入射側として、口径が若干大きくなり、また、軸外光線が光軸から離れる。したがって、ダブレットによる色収差の補正に適した条件になっており、また、3枚貼合わせレンズに比べて、2枚貼合わせレンズの口径を大きくした方が経済的である。
一方、第2のレンズ群のライトバルブ側は、入射側が非テレセントリックなのでレンズ口径を小さくすることができ、光軸の周辺に光線が集まる。したがって、曲率の大きな凹凸面を配置することにより、コンパクトなレンズによりペッツバール和を効果的に小さくできるので、3枚貼合わせレンズをこの位置に配置することが収差補正の点からも、経済的な点からも望ましい。さらに、3枚貼合わせレンズは、ゴーストの発生を防止でき、軸上および倍率色収差を効果的に補正できる。
3枚貼合わせレンズの入射側は、ライトバルブから入射した光線が光軸上に集まる途上なので、軸外光線が光軸から離れた状態にある。したがって、この位置に、屈折力が正の2枚貼合わせレンズを配置することにより、色収差をさらに良好に補正すると共に、凹凸面を増やしてペッツバール和を小さくする効果を得ることができる。
このように、第2のレンズ群に大きな収差補正能力を持たせることにより、第1のレンズ群、特に、第1のレンズ群の最もスクリーン側の第1のレンズのパワーを小さくすることができる。すなわち、最もスクリーン側の第1のレンズの焦点距離f11とし、当該投写用レンズシステムの合成焦点距離fwとしたときに、次の条件(A)を満たすことができる。
|f11/fw| <0.1 ・・・(A)
この第1のレンズのパワーをこの範囲に収めることにより、第1のレンズとして、低コストな負の非球面プラスチックレンズを使っても温度変動を抑制できる。したがって、より良好に収差が補正された広角レンズを提供できる。例えば、本発明により、半画角が47度以上の広角で結像性能の良いレンズシステムを提供できる。
この非テレセントリックなレンズシステムは、上述したようにDMDなどの、光の反射方向を変えて画像を生成する複数の素子を備えた光変調器からの投影光をスクリーンに投写する投写用レンズに適している。そして、非常に広角でコンパクトな本発明の投写用レンズシステムを、光変調器と、この光変調器に光を照射する光照射系と共に採用することにより、コンパクトで大きなスクリーンを備え、鮮明な大画像を映し出すことができるプロジェクタ装置を提供できる。
図1に、DMDをライトバルブとして採用したプロジェクタの概略構成を示してある。このプロジェクタ1は、光変調器(ライトバルブ)であるDMD2と、このDMD2に変調用の照明光11を照射するシステム3と、DMD2により有効な方向に反射された投影光10をスクリーン9に投写する投写用レンズシステム5とを備えている。図1に示したプロジェクタ1は、単板式のビデオプロジェクタであり、光照射システム3は、ハロゲンランプなどの白色光源6と、円盤型の回転色分割フィルタ7とを備えている。このため、DMD2には、赤、緑、青の3原色が時分割で照射される。そして、それぞれの色の光が照射されるタイミングで個々の画素に対応する素子を制御することによりカラー画像が表示される。光照射システム3は、さらに、光源6からの光を集光して非テレセントリックな照明光11を、ミラー4などを介してDMD2に出力する照明レンズシステム8を備えている。
図2に、本発明に係る投写用レンズシステム5の一例を示してある。本例の投写用レンズシステム5は、スクリーン9の側から2つのレンズ群G1およびG2にグループ化された14枚のレンズL11〜L31により構成されている。それぞれのレンズの詳細なデータは以下に示した通りである。
スクリーン側の第1のレンズ群G1は全体が負の屈折力を備えたレンズ群であり、最もスクリーン側(前方)に位置し、スクリーン9の側に凸の負のメニスカスレンズL11およびL12と、両凹の負レンズL13とにより構成されている。最もスクリーン9の側のレンズL11はプラスチックレンズであり、その両面S1およびS2は非球面である。
DMD2の側に位置する第2のレンズ群G2は、全体が正の屈折力を備えたレンズ群であり、両凸の正レンズL21およびスクリーン9の側に凹の負のメニスカスレンズL22からなる2枚貼合わせレンズD1と、スクリーン9の側に凸の負のメニスカスレンズL23および両凸の正レンズL24からなる2枚貼合わせレンズD2と、スクリーン9の側に凹の負のメニスカスレンズL25と、両凸の正レンズL26、両凹の負レンズL27および両凸の正レンズL28からなる3枚貼合わせレンズTLと、スクリーン9の側に凸の負のメニスカスレンズL29および両凸の正レンズL30からなる2枚貼合わせレンズD3と、両凸の正レンズL31とにより構成されている。
したがって、本例のレンズシステム5の第2のレンズ群G2は、3つの2枚貼合わせレンズ(バルサムレンズあるいはダブレット)D1、D2およびD3と、1つの3枚貼合わせレンズTLとを備えている。そして、スクリーン側の2枚貼合わせレンズD1およびD2により、接合面S8およびS11が逆方向を向いた屈折力が正の2枚貼合わせレンズのペアPLが構成されている。
以下に示すレンズデータにおいて、riはスクリーン側から順番に並んだ各レンズの面S1〜S24の曲率半径(mm)、diはスクリーン側から順番に並んだ各レンズ面S1〜S24の間の距離(mm)、ndはスクリーン側から順番に並んだ各レンズの屈折率(d線)、νdはスクリーン側から順番に並んだ各レンズのアッベ数(d線)を示す。また、TypeのSPHは球面を示し、ASPは非球面を示す。
レンズデータ
No. ri Type di nd νd
1 281.95300 ASP 5.5000 1.52500 56.20 レンズL11
2 51.33900 ASP 9.3000
3 45.01100 SPH 2.6000 1.67000 47.20 レンズL12
4 16.60000 SPH 12.5000
5 -63.65800 SPH 2.1000 1.74300 49.40 レンズL13
6 22.83100 SPH 15.2000
7 41.78900 SPH 11.2000 1.67300 32.10 レンズL21(D1)
8 -22.79800 SPH 2.0000 1.84700 23.80 レンズL22
9 -41.29200 SPH 13.0000
10 64.54300 SPH 1.8000 1.77300 49.60 レンズL23(D2)
11 12.22400 SPH 7.5000 1.62000 36.30 レンズL24
12 -138.54600 SPH 3.0000
13 -24.63200 SPH 1.7000 1.84700 23.80 レンズL25
14 -72.50900 SPH 0.4000
15 20.67200 SPH 5.8000 1.62000 36.30 レンズL26(TL)
16 -20.67200 SPH 1.8000 1.83400 37.20 レンズL27
17 24.82500 SPH 4.9000 1.51600 64.10 レンズL28
18 -24.82500 SPH 0.3000
19 62.08500 SPH 1.7000 1.83400 37.20 レンズL29(D3)
20 15.18000 SPH 4.6000 1.48700 70.20 レンズL30
21 -57.34100 SPH 0.3000
22 52.39300 SPH 3.0000 1.48700 70.20 レンズL31
23 -52.39300 SPH 35.6600
最もスクリーン側のレンズL11の両面S1およびS2の非球面係数は以下の通りである。
面S1
R= 281.953、 K=0.0000
A= 1.3644×10−5、 B=−1.0494×10−8
C= 7.2586×10−12、 D=−2.0652×10−15
ただし、非球面は、Xを光軸方向の座標、Yを光軸と垂直方向の座標、光の進行方向を正とし、Rを近軸曲率半径とし、上記の係数K、A、B、C、Dを用いて次式で表される。以下においても同様である。
X=(1/R)Y2/[1+{1−(1+K)(1/R)221/2
+AY4+BY6+CY8+DY10
面S2
R= 51.339、 K=0.0000
A= 1.0026×10−5、 B=−2.3509×10−9
C=−1.2569×10−11、 D= 6.7618×10−15
本例の投写レンズ5の諸数値は以下の通りである。
レンズL11の面S1からスクリーンまでの距離:1100mm
合成焦点距離: 10.1mm
半画角: 47.3度
バックフォーカス:35.66mm
レンズL11の焦点距離: 120.2mm
したがって、上述した条件(A)は以下のようになる。
|f11/fw|=0.084
図3に、この投写用レンズシステム5の球面収差、非点収差および歪曲収差を示してある。球面収差は、670.0nm(短破線)、650.0nm(一点鎖線)、550.0nm(実線)、450.0nm(長破線)、440.0nm(二点鎖線)の各波長における値を示している。また、非点収差においては、サジタル光線(X)およびタンジェンシャル光線(Y)の収差を示してある。これらの図に示してあるように、本例の投写用レンズシステム5の縦収差はほぼ±0.1mm程度の範囲に入り、収差が非常に良好に補正されていることが分かる。
図4に、本例の投写用レンズシステム5を通ってスクリーン9に投影される投影光10の一部を示してある。本例の投写用レンズ5は、負のパワーの第1のレンズ群G1と、正のパワーの第2のレンズ群G2が組み合わされたレトロフォーカス型のレンズであり、ライトバルブ2から投影光11が入射される側がライトバルブ2の側に主光線が広がる非テレセントリックになっている。さらに、第2のレンズ群G2のスクリーン9の側に、接合面S8およびS11が相互に逆方向を向いた、屈折力が正の2枚貼合わせレンズD1およびD2のペアPLが配置され、ライトバルブ2の側に、屈折力が正の3枚貼合わせレンズTLと、屈折力が正の2枚貼合わせレンズD3とが配置された構成になっている。これらの2枚貼合わせレンズD1、D2およびD3と、3枚貼合わせレンズTLとは、貼合わせレンズとしてのパワーは正なので、パワー配分としては、スクリーン9の側から、正−正−負−正−正−正の6枚のレンズ構成と同等である。したがって、これらの貼合わせレンズD1、D2、D3およびTLは、全体が正のパワーの第2のレンズ群G2に適合しており、第2のレンズ群G2の長さを延ばさずに、11枚と多数枚のレンズを配置することができる。
接合面S8およびS11が逆方向を向いた、2枚貼合わせレンズD1およびD2のペアPLは、色収差を補正するのに適していると共に、貼合わせレンズD1およびD2の内部に備えた逆方向を向いた面S8およびS11の曲率をある程度確保することによりペッツバール和を効果的に小さくしている。したがって、2枚貼合わせレンズD1およびD2のペアPLは像面湾曲の補正に適している。さらに、第1のレンズG1に対する入射光線が広がる第2のレンズ群G2のスクリーン9の側に配置することにより、これらのレンズD1およびD2の周辺部を用いて、軸外光線の色収差を効果的に補正できるようにしている。また、この貼合わせレンズD1およびD2のペアPLは、対称的なレンズ配置になるのでコマ収差などの他の諸収差の補正も良好に行うことができる。
3枚貼合わせレンズTLは、トリプレットを構成する正−負−正のレンズを貼り合わせた構成となっている。したがって、貼合わせレンズTLの内部には、逆方向を向いた曲率の大きな面S16およびS17を形成できるので、コンパクトなレンズでペッツバール和を効果的に小さくできる。さらに、入射側が非テレセントリックな投写レンズシステム5の入射側の光線が集中する箇所に3枚貼合わせレンズTLを配置することにより、3枚貼合わせレンズTLの径を小さくして、コストを下げることができる。光軸上に光線が集中する場所に配置することにより、内部の接合面S16およびS17の曲率を大きくすることがペッツバール和を小さくすることにいっそう効果的となり、像面湾曲をいっそう良好に補正できる。また、3枚貼合わせレンズTLは、対称的なレンズ配置になるのでコマ収差などの他の諸収差の補正も良好に行うことができる。さらに、3枚貼合わせレンズTLは、ゴーストの発生を防止でき、軸上および倍率色収差を効果的に補正できるという特性を備えている。
さらに、3枚貼合わせレンズTLのライトバルブ2の側に、2枚貼合わせレンズD3を配置している。3枚貼合わせレンズTLのライトバルブ2の側は、ライトバルブ2からの入射光、特に軸外光が光軸からまだ離れた状態にあり、2枚貼合わせレンズD3を配置することにより、入射側において色収差を含めて、他の収差を効果的に補正することができる。
このように、本例の投写用レンズシステム5では、入射側を非テレセントリックにすることにより第2のレンズ群G2の径を小さくすると共に、レンズシステム5の全長を短くし、さらに、第2のレンズ群G2に上記のように2枚貼合わせレンズおよび3枚貼合わせレンズを配置することによりその収差補正能力、特に像面湾曲の補正能力を大きくしている。したがって、コンパクトで、大きな画像を鮮明に投影できる、広角な投写用レンズシステムを提供することが可能となっており、本例では半画角が47度を超える性能が得られている。
さらに、第2のレンズ群G2の像面湾曲などの収差の補正を高くすることにより、第1のレンズ群G1の収差補正の負荷を低減でき、第1のレンズ群G1のパワー、特に、大口径となる、最もスクリーン9の側のレンズL11のパワー配分を小さくできる。したがって、最もスクリーン側の第1のレンズL11を、プラスチックレンズを用いて低コストで製造でき、レンズシステム5の結像性能に対するレンズL11の温度変化による影響も低く抑えることができる。したがって、温度変化に対して安定した性能を備えた広角で、コンパクトなレンズシステムを提供できる。
この投写レンズシステム5を用いたプロジェクタ1においては、スクリーン9の近くから大画像を投影することが可能であり、大画面を備えたコンパクトなプロジェクタを提供できる。特に、リア型のプロジェクタ1においては、ハウジング内に、照明系3、ライトバルブ2、投写レンズシステム5、スクリーン9が収納されるので、投写レンズシステム5からスクリーン9までの距離を小さくすることはプロジェクタ1を全体的にコンパクトにするのに効果的である。さらに、ハウジング内の温度が高くなっても、本例の投写レンズシステム5においては結像性能の低下はほとんどなく、スクリーンに高画質の大画像を安定して出力することができる。
本発明に係るプロジェクタ装置の概略構成を示す図である。 本発明の投写用レンズシステムの構成を示す図である。 図2に示す投写用レンズシステムの縦収差図を示す図である。 図2に示す投写用レンズシステムを通過する光線の一部を示す図である。
符号の説明
1 プロジェクタ
2 DMD(ライトバルブ、光変調装置)
3 光照射システム(照明系)
5 投写用レンズシステム
9 スクリーン

Claims (6)

  1. 光変調器からの投影光をスクリーンに投写する投写用レンズシステムであって、
    前記スクリーンの側から順に、負の屈折力の第1のレンズ群と、正の屈折力の第2のレンズ群とで構成され、入射側が非テレセントリックであり、
    前記第2のレンズ群は、接合面が逆方向を向いた屈折力が正の2枚貼合わせレンズのペアと、屈折力が正の3枚貼合わせレンズとを含んでおり
    前記第1のレンズ群の最も前記スクリーン側の第1のレンズは、負の非球面プラスチックレンズであり、その焦点距離f11と、当該投写用レンズシステムの合成焦点距離fwとが次の式を満たす投写用レンズシステム。
    |f11/fw| <0.1
  2. 請求項1において、前記3枚貼合わせレンズは、逆方向を向いた2つの接合面を含む、投写用レンズシステム。
  3. 請求項1または2において、前記2枚貼合わせレンズのペアは前記スクリーン側に配置されている、投写用レンズシステム。
  4. 請求項3において、前記3枚貼合わせレンズの入射側に、屈折力が正の2枚貼合わせレンズが配置されている、投写用レンズシステム。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、光の反射方向を変えて画像を生成する複数の素子を備えた前記光変調器からの前記投影光を前記スクリーンに投写する、投写用レンズシステム。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の投写用レンズシステムと、前記光変調器と、この光変調器に光を照射する光照射系とを有するプロジェクタ装置。
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