JP4683422B2 - 建具 - Google Patents

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Description

本発明は、枠体と、枠体に対して回動自在なドア本体とを備えた建具に関する。
従来から、枠体に対して回動自在なドア本体にて、枠体で囲まれた開口を閉止するために、ドア本体を枠体側に引き込むための引き込み装置が知られている(特許文献1参照)。この引き込み装置は、蝶番等で回動自在に支持されたドア本体の、蝶番と反対側の端(反蝶番側端)にロックピンが固定されており、枠体としての、家具の側壁に前記ロックピンと係合してドア本体を閉止状態に引き込むための引き込み機構とを有している。
そして、蝶番側を中心とするドア本体の回動動作に伴ってロックピンは、反蝶番側端の軌道に沿って円弧状に移動する。一方、引き込み機構は、ロックピンと係合する係合部と、係合部を家具の側壁に沿って、奥行方向に移動自在に保持する保持機構と、係合部を家具の奥側に向かって直線的に引き込むための付勢部材と、を有している。
そして、ドア本体が閉まる際には、円弧状に移動しているロックピンが係合部に係合され、付勢部材により直線移動される係合部にロックピンが引き込まれることにより、ドア本体が付勢されつつ回動して閉止される。
特開2001−245738号公報
しかしながら、上記の引き込み装置は、ドア本体の回動動作に伴って移動するロックピンは円弧状の軌道を移動するので、側壁に沿って直線的に移動する係合部の引き込み方向(移動方向)のみならず、引き込み方向と直交する方向に対しても変位する。このため、引き込み機構を設計する際、及び、組み付ける際には、引き込み方向と直交する方向に対するロックピンの変位も考慮しなければならず煩雑である。また、ロックピンは円弧状の軌道を描くため、直線的に移動する係合部と係合している状態を維持できる距離が短い。このため、ドア本体を引き込む距離が短く制限されてしまい、ドア本体の開閉動作をアシストする機能を発揮できない畏れがあるという課題があった。
本発明の目的とするところは、ドア本体の回動動作に伴う直線的な移動によってドア本体の開閉動作をアシストする機能を備えた建具を提供することにある。
枠体と、前記枠体に対して回動自在なドア本体と、前記ドア本体の回動と連動して、前記枠体及び前記ドア本体のうちの一方に対して直線状に移動する移動部材と、一端部が、前記移動部材に回動可能に連結され、他端部が、前記枠体及び前記ドア本体のうちの他方に回動可能に連結された連結部材と、前記枠体及び前記ドア本体のうちの前記一方に設けられ、前記移動部材が第1位置に達した際に前記移動部材と係合する係合部材を有し、前記移動部材が前記第1位置から第2位置へ移動する間、前記係合部材を介して前記移動部材に外力を作用させる外力作用装置と、を備えたことを特徴とする建具である。
このような建具によれば、ドア本体の回動と連動して直線状に移動する移動部材が、第1位置から第2位置へ移動する間、移動部材に外力を作用させるので、作用させた外力によりドア本体の回動動作をアシストすることが可能である。すなわち、ドア本体の回動動作に伴う直線的な移動によってドア本体の回動動作をアシストする機能を備えることが可能である。
かかる建具において、前記外力作用装置は、前記移動部材が前記第2位置に至ったときに前記係合部材を保持する保持機構を有することが望ましい。
このような建具によれば、外力作用装置は、移動部材が第2位置に至ったときに前記係合部材を保持する保持機構を有するので、係合部材が保持されることにより、係合部材に係合された移動部材も第2位置にて保持されることになる。このため、移動部材と連動して回動するドア本体の回動動作を、移動部材が第2位置に保持されたときの状態で停止させることが可能である。
かかる建具において、前記外力作用装置は、前記係合部材に対し前記第1位置から前記第2位置に向かう方向に外力を作用させる外力作用部材を有することが望ましい。
このような建具によれば、外力作用装置により、係合部材に対して第1位置から第2位置に向かう方向に外力が作用するので、第1位置にて係合部材と係合した移動部材に、第1位置から前記第2位置に向かう方向の外力を容易に作用させることが可能である。
かかる建具において、前記外力作用装置は、前記係合部材が前記第1位置から前記第2位置方向に移動する際に前記係合部材の移動速度を抑制するための速度抑制部材を有することが望ましい。
このような建具によれば、速度抑制部材により、第1位置から第2位置に向かう方向に移動する係合部材の移動速度を抑制することが可能である。このため、係合部材が第1位置から第2位置へ移動する際におけるドア本体の回動動作の動作速度を抑制することが可能である。
かかる建具において、前記外力作用装置は、前記枠体にて形成される開口を前記ドア本体にて閉止する際に前記外力を作用させ、前記第2位置は、前記ドア本体が閉止された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であることが望ましい。
このような建具によれば、ドア本体にて開口を閉止する際に外力を作用させてドア本体の回動動作をアシストするので、ドア本体を最後まで閉止しなくとも、移動部材が第1位置に移動するまでドア本体を閉じると開口を閉止することが可能である。また、ドア本体が開口を閉止した状態では、移動部材が外力作用装置により保持されているので、ドア本体にて開口が閉止された状態を維持させることが可能である。
かかる建具において、前記外力作用装置は、前記ドア本体を開放する際に前記外力を作用させ、前記第2位置は、前記ドア本体が開放された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であることとしてもよい。
このような建具によれば、開口を開放する際に外力を作用させてドア本体の回動動作をアシストするので、ドア本体を最後まで開放しなくとも、移動部材が第1位置に移動するまでドア本体を開くと、開口を開放することが可能である。また、ドア本体が開放された状態では、移動部材が外力作用装置により保持されているので、ドア本体が開放された状態を維持させることが可能である。
かかる建具において、前記外力作用装置として、前記枠体にて形成される開口を前記ドア本体にて閉止する際に前記外力を作用させる閉止用外力作用装置と、前記ドア本体を開放する際に前記外力を作用させる開放用外力作用装置とを有し、前記閉止用外力作用装置における前記第2位置は、前記ドア本体が閉止された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であり、前記開放用外力作用装置における前記第2位置は、前記ドア本体が開放された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であることとしてもよい。
このような建具によれば、ドア本体にて開口を閉止する際には、ドア本体を閉止する方向における第1位置に移動部材が移動するまでドア本体を閉じることにより開口を閉止することが可能であり、開口をする際には、ドア本体を開放する方向における第1位置に移動部材が移動するまでドア本体を開くことにより開口を開放することが可能である。また、移動部材が外力作用装置により第2位置に保持されることにより、ドア本体により開口が閉止された状態を維持させること、開口が開放された状態を維持させることが可能である。
本発明の建具によれば、ドア本体の回動動作に伴う直線的な移動によってドア本体の回動動作をアシストする機構を備えた建具を提供することができるという効果がある。
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。ここでは、本実施形態の建具が、浴室の出入口として浴室と脱衣室との間に設けられている例について説明する。
図1は、本実施形態に係る建具を示す正面図である。
図1に示すように、建具1は、浴室と脱衣室との間に取り付けられる枠体10と、当該枠体10に対して回動自在なドア本体としての浴室ドア20とを備えている。浴室ドア20は、図1において左側のE部にて軸支されている。
枠体10は、上枠11と、下枠12と、左右の縦枠13とを枠組みして形成されている。上枠11、下枠12、及び、左右の縦枠13は、アルミニウム製で押出加工により形成されており、それぞれ浴室の出入口の壁端部、防水パン、脱衣室の床などにねじ止めされている。
本実施形態の浴室ドア20は、透光性を有し板状をなす樹脂製又はガラス製の2枚の面材21が、中桟26を挟んで上下に配置されている。そして、2枚の面材21の左側に位置し、浴室ドア20が軸支されている側に配置された吊元框22と、面材21の右側に配置される戸先框23と、浴室ドア20の上端部に配置される上框24と、下端部に配置される下框25と、ユーザーが開閉操作するための開閉レバー15と、を有している。
吊元框22、戸先框23、上框24、及び、下框25は、いずれもアルミニウム製で押出加工により形成された中空棒状の部材である。
本実施形態の建具1は、上部に浴室ドア20の開閉動作をアシストする開閉アシスト機構30が設けられている。
図2は、建具の上部に備えられた開閉アシスト機構を説明するための図である。図3は、上框に設けられた溝部を示す図である。図4は、浴室ドアの開閉動作を説明するための平面図であり、(a)は、浴室ドアにより開口が閉止されている状態を示す平面図、(b)は、浴室ドアの閉止状態と開放状態とのほぼ中間の状態を示す平面図、(c)は、浴室ドアが開放された状態を示す平面図である。図4(a)〜図4(c)にて浴室ドアの回動と連動して移動するスライダーの動作を示しているが、図を見やすくするために上框24の溝部24aは省略している。
開閉アシスト機構30は、上框24内を、その長手方向に沿って直線状に移動する移動部材としてのスライダー31と、当該スライダー31に外力を作用させるための外力作用装置50と、上枠11の下面11aに取り付けられた回動支持プレート33と、前記回動支持プレート33とスライダー31とに各々回動可能に連結された連結部材34とを有している。本実施形態においては、外力作用装置50として、枠体10にて形成される開口10aを浴室ドア20にて閉止する際に外力を作用させる閉止用外力作用装置50aと、浴室ドア20を開放する際に外力を作用させる開放用外力作用装置50bとを有している。閉止用外力作用装置50aの構造と開放用外力作用装置50bの構造とは同じであるが、各々の外力作用装置50を、スライダー31を挟んで相反する位置に配置するとともに、互いに反対方向に外力が作用するように取り付けることにより、一方が閉止用外力作用装置50aとして機能し、他方が開放用外力作用装置50bとして機能する。
図3に示すように上框24は、上方が開放されており、内部には上下に空間を仕切る中底24bを有しており、中底24bに、スライダー31が移動するための溝部24aが上框24の長手方向に沿って凹設されている。
スライダー31は、上框24に設けられた溝部24aの幅より僅かに狭い幅を有するほぼ直方体状の本体31aと、スライダー31の移動方向における相反する方向に本体31aからそれぞれ突出された2つのフック部31bを有し、本体31aの上部には、連結部材34に設けられた、後述する係合ピン34cが挿入される挿入穴31cが設けられている。
上枠11の下面11aに取り付けられた回動支持プレート33には連結部材34の他端部34bが回動自在に支持されており、連結部材34の一端部34aには、スライダー31の挿入穴31cに回動自在に挿入された係合ピン34cが設けられている。このとき、浴室ドア20が軸支されているA点と、回動支持プレート33に連結部材34が軸支されているB点とは相違している。すなわち、A点は、浴室ドア20の回動中心であり、B点は、連結部材34回動中心であり、これらA点及びB点はいずれも、浴室ドア20が回動しても移動しない。
そして、浴室ドア20にて開口10aを閉止した状態では、上枠11、上框24、及び連結部材34は、ほぼ同一の方向に沿って重なるように配置されている。すなわち、A点、B点、及び連結部材34の係合ピン34cがスライダー31に挿入されているC点とは、開口10aを形成する枠体10の上枠11にほぼ沿うような直線上に位置しているので、スライダー31の移動範囲における最も戸先框23側にスライダー31が位置している(図4(a)参照)。このときのスライダー31の位置が、外力作用装置50が閉止用外力作用装置50aとして用いられている場合における第2位置である。
そして、浴室ドア20を開いていくと、浴室ドア20の回動に伴って、上框24の溝部24aに沿って移動するスライダー31は、浴室ドア20と共に上枠11から離れていく。このときスライダー31は、係合ピン34cを介して連結部材34の一端部34aと連結されているので、B点を中心とする連結部材34の回動を伴って吊元框22側に移動される。また、浴室ドア20が開かれることにより、上枠11と上框24とがなす角度、及び、上枠11と連結部材34とがなす角度が大きくなっていく。
このとき、上框24(浴室ドア20)の回転中心A点と、連結部材34の回転中心B点は、上枠20に沿う方向に僅かに間隔を隔てて固定されているので、上枠11と上框24とがなす角度と、上枠11と連結部材34とがなす角度とは相違している。そして、上框24と連結部材34とは、回転中心A点、B点側では上枠20に沿う方向に離れており、上框24上において係合ピン34c及びスライダー31を介して係合されるため、係合ピン34c側に向かうに連れて重なるように配置される。
また、A点とC点とを結ぶ線上から、B点が次第に離れていくことにより、連結部材34と浴室ドア20とのなす角度が大きくなり、連結部材34の一端部34aと係合ピン34cを介して連結されているスライダー31は吊元框22側に引き寄せられ、スライダー31は閉止用外力作用装置50aから外れてフリーな状態となる(図4(b)参照)。このとき、浴室ドア20の回動に連動してスライダー31が直線状に移動する。スライダー31の移動に伴う外力作用装置50の動作については後述する。
さらに浴室ドア20を開いていくと、スライダー31は浴室ドア20と共に上枠11から更に離れていく。このとき、浴室ドア20の回動に伴って連結部材34も回動し、浴室ドア20及び連結部材34と上枠11とのなす角度が更に大きくなり、スライダー31は吊元框22側に更に引き寄せられる。そして、B点が、A点とC点とを結ぶ線上から更に離れて、スライダー31が吊元框22側に移動されて開放用外力作用装置50bと係合する。その後、連結部材34と浴室ドア20とのなす角度がほぼ直角となり、連結部材34の一端部34aと連結されているスライダー31が、スライダー31の移動範囲における最も吊元框22側に引き寄せられ、浴室ドア20は開放状態となる(図4(c)参照)。すなわち、浴室ドア20を開いていくと、上框24(浴室ドア20)及び連結部材34と上枠11とがなす角度がほぼ直角となる位置で浴室ドア20が開放状態となる。このとき、係合ピン34cは、上框24(浴室ドア20)の回転中心A点と、連結部材34の回転中心B点とからほぼ等距離に位置し、上框24は連結部材34側に、連結部材34は上框24側に僅かに傾斜した状態となり、上框24と連結部材34とのなす角度が最大となる。このときのスライダー31の位置が、外力作用装置50が開放用外力作用装置50bとして用いられている場合における第2位置である。
前述したように閉止用外力作用装置50aと開放用外力作用装置50bとの構造は、同様であるため、ここでは外力作用装置50として、その動作について説明する。
図5は、浴室ドア開閉動作時におけるスライダーと外力作用装置との様子を説明するための図であり、(a)は、スライダーが離れた状態の外力作用装置の様子を示す図、(b)は、スライダーのフック部が係合部材と係合した際の様子を示す図、(c)は、スライダーが第2位置に至った際の様子を示す図である。図6は、図5(c)の平面図である。
外力作用装置50は、上框24に設けられた溝部24aの脇、すなわち中底24bにおいて溝部24aより一段高い部位24cに固定される本体プレート部51と、前記スライダー31の移動方向に沿って本体プレート部51の壁面51aを移動可能に設けられた移動ガイド部材52と、移動ガイド部材52の一端に回動自在に設けられた係合部材53と、係合部材53と本体プレート部51のフックピン56との間に架け渡され、移動方向において係合部材53を浴室ドア20の中央から縦框(吊元框22、戸先框23)方向に外力を作用させるための外力作用部材としての引張バネ54と、移動ガイド部材52と共に移動する係合部材53の移動速度を抑制するための速度抑制部材としての流体ダンパー55とを有している。
本体プレート部51は、溝部24aの底面と垂直な壁面51aを有し、当該壁面51aが溝部24aと同じ方向に沿うように固定されている。本体プレート部51の壁面51aには、移動ガイド部材52が移動する際の軌道を規制するガイド部材用規制穴51bと、係合部材53が移動する際の軌道を規制する係合部材用規制穴51cとが設けられている。ガイド部材用規制穴51bは、溝部24aと平行に形成されており、係合部材用規制穴51cは、溝部24aと平行に形成された平行ガイド部位51dと、平行ガイド部位51dのスライダー31側の端部にて僅かに弧を描ように上方に延長された回動ガイド部位51eとを有している。また、本体プレート部51には、スライダー31と反対側に位置させて引張バネ54が掛けられるフックピン56が設けられている。
移動ガイド部材52は、ほぼ角柱状の部材であり、本体プレート部51と対向する側の面に2本のピン52aが突出され、下面にラック52bが設けられている。2本のピン52aは、移動ガイド部材52の移動方向に間隔を隔てて設けられており、本体プレート部51に設けられたガイド部材用規制穴51bに挿通されている。下面に設けられたラック52bは、後述する速度抑制部材としての流体ダンパー55に設けられたピニオン55aと噛み合うように構成されている。また、移動ガイド部材52のスライダー31側には、係合部材53が回動自在にピン結合されている。
係合部材53は、U字状に形成された係合本体部53aと、U字の開放された側が下方に向けられた係合本体部53aから上方に延出されて、移動ガイド部材52とピン結合される結合部53eとを有している。係合本体部53aは、外力作用装置50として組み付けられた状態にて、ほぼ上下方向に向けられるとともに、スライダー31の移動方向に互いに間隔を隔てて配置される2本の腕部53b、53cと、2本の腕部53b、53cの上端を連結する連結部53dとを有している。スライダー31側に位置する腕部53bはスライダー31の反対側に位置する腕部53cより細く形成されている。連結部53dには、本体プレート部51側に1本の回動ピン53fが突出されており、本体プレート部51に設けられた係合部材用規制穴51cに挿通されている。また、係合本体部53aより上方に延出された結合部53eの下端側には移動ガイド部材52がピン結合されており、上端部側には引張バネ54が掛けられている。
すなわち、係合部材53と移動ガイド部材52とはピン結合されており、各々互いに移動方向と平行に設けられた係合部材用規制穴51cとガイド部材用規制穴51bとに挿通されているため、スライダー31の移動方向に沿って一体となって移動する。また、係合部材53には、結合部53eの上端側に掛けられている引張バネ54により、スライダーとは反対方向に引っ張り力が作用している。そして、係合部材53は、移動ガイド部材52とピン結合されているため、ピン結合部57を中心として回転する方向に引っ張り力が作用する。ところが、係合部材53は、係合部材用規制穴51cに挿通された回動ピン53fにより軌道が規制されているため、回動ピン53fが平行ガイド部位51dを移動している際には係合部材53は回動することなく、U字状の開放部がほぼ真下を向いた状態で移動し、回動ピン53fが回動ガイド部位51eに到達した際に、係合部材53が回動し、U字状の開放部がスライダー31側に向いて傾くように構成されている。このとき、引張バネ54の引っ張り力にて回動された係合部材53の回動ピン53fが回動ガイド部位51eの上端部に当接されて、U字状の開放部がスライダー31側に向いて傾いた状態が維持される。
そして、スライダー31が外力作用装置50に近づく際には(図5(a)参照)、フック部31bの先端が2本の腕部53b、53cのうちスライダー31と反対の側に位置する腕部53cに当接し、スライダー31がさらに移動することにより、フック部31bに押されて係合部材53が回動し、U字状の開放部がほぼ真下を向いてフック部31bの爪31dにスライダー31側の腕部53bが係合される(図5(b)参照)。フック部31bの爪31dと係合部材53の腕部53bとが係合された位置が第1位置である。このとき、フック部31bに押された係合部材53の回動ピン53fは、回動ガイド部位51eから平行ガイド部位51dに至り、フック部31bが連結部材34によりスライドされる力と引張バネ54の引っ張り力とにより、スライダー31、係合部材53及び移動ガイド部材52が一体となって、スライダー31の移動範囲の端(第2位置)まで移動される(図5(c)参照)。この移動範囲の端(第2位置)まで移動された状態においても引張バネ54による引っ張り力が作用するように構成している。すなわち、外力作用装置50は、引張バネ54の引っ張り力により係合部材53を縦框側に保持する保持機構を有しており、閉止用外力作用装置50aとして用いられる際には係合部材53を戸先框23側に保持し、開放用外力作用装置50bとして用いられる際には吊元框22側に保持する。尚、係合部材53とフック部31bとが係合した後には、スライダー31に連結部材34によるスライド方向の力が作用しなくとも、引張バネ54の引っ張り力により浴室ドア20は動作し続けるように構成されている。
流体ダンパー55は、回動する軸部55bを有し、この軸部55bには、前述した移動ガイド部材52に設けられたラック52bと噛み合うピニオン55aが設けられている。このため、ラック52bを有する移動ガイド部材52を緩やかに移動させるような力が作用した場合には、そのままピニオン55aが回動され、移動ガイド部材52を急激に移動させるような力が作用した場合には、流体ダンパー55の粘性により外力を作用させて移動ガイド部材52を緩やかに移動させる。このため、浴室ドア20が、急激に開閉されるように操作された場合であっても、浴室ドア20が急激に回動しないように構成されている。
図7は、浴室ドア開閉動作時における開閉アシスト機構の状態を説明するための図であり、(a)は、浴室ドアを閉止したときの開閉アシスト機構の状態を示す図、(b)は、浴室ドアが閉止状態と開放状態とのほぼ中間に位置するときの開閉アシスト機構の状態を示す図、(c)は、浴室ドアを開放したときの開閉アシスト機構の状態を示す図である。図7(a)〜図7(c)においては、回動支持プレート33と連結部材34とを省略しているが、図7(a)は図4(a)と、図7(b)は図4(b)と、図7(c)は図4(c)とそれぞれ対応しおり、連結部材34の動作は、図4(a)〜図4(c)に示されている。
本実施形態における建具1の動作を説明する。
浴室ドア20が閉止された状態では、図4(a)に示すように、連結部材34と浴室ドア20とがほぼ平行に位置しており、図7(a)に示すように、スライダー31のフック部31bが閉止用外力作用装置50aの係合部材53と係合してスライダー31は、最も戸先框23側(第2位置)にて保持されている。このとき、図5(c)のように、スライダー31には係合部材53を介して引張バネ54による外力が作用しているので、浴室ドア20が閉止された状態にて保持される。
ユーザー等が浴室ドア20を開き始めると、スライダー31は浴室ドア20の回動と連動して、連結部材34により吊元框22側に引っ張られて移動する。このとき、スライダー31は、引張バネ54を伸ばしつつ、係合部材53と移動ガイド部材52とともに移動する。また、係合部材53には、スライダー31を介して連結部材34に引っ張られる力と、引張バネ54の引っ張り力とにより、ピン結合部57を中心とする回転モーメントが作用するが、係合部材53に設けられた回動ピン53fが平行ガイド部位51dにより規制されているため係合部材53は回動することなく移動する。このため、回動ピン53fが平行ガイド部位51d内を移動しているときには、スライダー31と係合部材53との係合状態が維持されて、スライダー31、係合部材53、移動ガイド部材52は一体となって移動する。
そして、浴室ドア20を開き続けると、回動ピン53fが回動ガイド部位51eに至ったときに、すなわち第1位置に至ったときに、係合部材53に作用している回転モーメントにより係合部材53がスライダー31側に回動する。係合部材53の回動によりスライダー31と係合部材53との係合が外れ、図5(a)及び図7(b)に示すようにスライダー31はフリーな状態となる。
ユーザーがさらに浴室ドア20を開き続けると、閉止用外力作用装置50aと反対の側に設けられた開放用外力作用装置50bに、スライダー31が近づく。このとき、開放用外力作用装置50bの係合部材53は、図5(a)に示すように回動ピン53fが回動ガイド部位51eの上端に位置し、係合部材53のU字状の開放部が戸先框23側に向けられて傾いている。この状態にてスライダー31が係合部材53に接触すると、フック部31bの先端が2本の腕部53b、53cのうちスライダー31と反対の側に位置する腕部53cに当接し、スライダー31がさらに移動することにより、フック部31bに押されて係合部材53が回動し、U字状の開放部がほぼ真下を向いてフック部31bの爪31dにスライダー31側の腕部53bが係合される(図5(b)参照)。その後、係合部材53には引張バネ54の引っ張り力が作用しているので、スライダー31、係合部材53及び移動ガイド部材52が一体となって、スライダー31の移動範囲における吊元框22側の端まで移動される(図5(c)参照)。このとき、係合部材53の回動ピン53fが平行ガイド部位51dに規制されて回動しないため、スライダー31、係合部材53との係合状態が維持されている。また、図5(c)のようにスライダー31が、移動範囲における吊元框22側の端に達した後にも、スライダー31には係合部材53を介して引張バネ54による外力が作用しているので、浴室ドア20が開放された状態にて保持される。
また、浴室ドア20が開放された状態から、ユーザー等が浴室ドア20を閉じ始めると、浴室ドア20を開く際と逆の動作が実行される。すなわち、スライダー31は浴室ドア20の回動と連動して、開放用外力作用装置50bの連結部材34により戸先框23側に引っ張られて係合部材53、移動ガイド部材52は一体となって移動する。
そして、回動ピン53fが回動ガイド部位51eに至ったときに係合部材53がスライダー31側に回動して、スライダー31と係合部材53との係合が外れ、図5(a)及び図7(b)に示すようにスライダー31はフリーな状態となる。
さらに浴室ドア20を開き続けると、開放用外力作用装置50bと反対の側に設けられた閉止用外力作用装置50aの係合部材53にスライダー31が係合される(図5(b)参照)。その後、閉止用外力作用装置50aの引張バネ54の引っ張り力により、スライダー31、係合部材53及び移動ガイド部材52が一体となって、スライダー31の移動範囲における戸先框23側の端まで移動される。図5(c)のようにスライダー31が、スライド範囲における戸先框23側の端に達した後にも、スライダー31には係合部材53を介して引張バネ54による外力が作用しているので、浴室ドア20が閉止された状態にて保持される。
そして、このような一連の開閉動作の間には、閉止用外力作用装置50a及び開放用外力作用装置50bの移動ガイド部材52にラック52bとピニオン55aとを介して流体ダンパー55が作用しているので、ユーザーが浴室ドア20を急激に開閉したとしても、浴室ドア20に衝撃を与えたり、浴室ドア20を誤って壁等にぶつけること防止することが可能である。
本実施形態の建具1によれば、浴室ドア20を閉止する際、及び、開放する際において、スライダー31が閉止用外力作用装置50a及び開放用外力作用装置50bの係合部材53と係合されるまで操作するだけで、浴室ドア20を閉止状態及び開放状態にすることが可能である。特に、閉止用外力作用装置50a及び開放用外力作用装置50bを、浴室ドア20の回動と連動して直線状に移動するスライダー31が、係合部材53と係合される位置(第1位置)から、スライダー31の移動範囲の端へ移動する間、スライダー31に引張バネ54の引っ張り力が作用する構成としたので、スライダー31に外力を確実に且つ安定的に付勢させることが可能である。よって、浴室ドア20の回動動作に伴う直線的な移動によって、浴室ドア20の回動動作をアシストする機構30を備えることが可能である。
また、閉止用外力作用装置50a及び開放用外力作用装置50bは、スライダー31の移動範囲の両端部にて、スライダー31を保持することが可能なので、浴室ドア20を閉止させた状態及び開放した状態にて維持させることが可能である。
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、建具の一例として浴室ドアについて記載しているが、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記実施形態においては、枠体に対して回動自在なドア本体を浴室ドアとしたが、浴室ドアに限らず、玄関ドアや室内ドアなど回動自在な障子であれば構わない。
上記実施形態においては、枠体10側に回動支持プレート33を備え、浴室ドア20の上框24内にスライダー31及び外力作用装置50を備え、回動支持プレート33とスライダー31とを連結部材34にて連結した例について説明したが、枠体10側にスライダー31及び外力作用装置50を備え、浴室ドア20の上框24に回動支持プレート33を備え、回動支持プレート33とスライダー31とを連結部材34にて連結してもよい。
また、上記実施形態においては、外力作用装置50として、浴室ドア20を閉止する際に作用する閉止用外力作用装置50aと浴室ドア20を開放する際に作用する開放用外力作用装置50bとをいずれも備えた例について説明したが、閉止用外力作用装置50aと開放用外力作用装置50bとのいずれか一方を備えた構成であってもよい。
上記実施形態においては、速度抑制部材を流体ダンパーとしたが、これに限らず、摩擦ダンパー等であっても構わない。
本実施形態に係る建具を示す正面図である。 建具の上部に備えられた開閉アシスト機構を説明するための図である。 上框に設けられた溝部を示す図である。 浴室ドアの開閉動作を説明するための平面図である。 浴室ドア開閉動作時におけるスライダーと外力作用装置との様子を説明するための図である。 図5(c)の平面図である。 浴室ドア開閉動作時における開閉アシスト機構の状態を説明するための図である。
符号の説明
1 建具、10 枠体、10a 開口、11 上枠、11a 下面、
12 下枠、13 縦枠、15 開閉レバー、20 浴室ドア、
21 面材、22 吊元框、23 戸先框、24 上框、
24a 溝部、24b 中底、24c 一段高い部位、
25 下框、26 中桟、30 開閉アシスト機構、31 スライダー、
31a 本体、31b フック部、31c 挿入穴、31d 爪、
33 回動支持プレート、34 連結部材、
34a 一端部、34b 他端部、34c 係合ピン、
50 外力作用装置、50a 閉止用外力作用装置、50b 開放用外力作用装置、
51 本体プレート部、51a 壁面、51b ガイド部材用規制穴、
51c 係合部材用規制穴、51d 平行ガイド部位、51e 回動ガイド部位、
52 移動ガイド部材、52a ピン、52b ラック、
53 係合部材、53a 係合本体部、53b 腕部(スライダー側)、
53c 腕部(スライダーと反対側)、53d 連結部、53e 結合部、
53f 回動ピン、54 引張バネ、55 流体ダンパー、
55a ピニオン、55b 軸部、56 フックピン、57 結合部、

Claims (7)

  1. 枠体と、
    前記枠体に対して回動自在なドア本体と、
    前記ドア本体の回動と連動して、前記枠体及び前記ドア本体のうちの一方に対して直線状に移動する移動部材と、
    一端部が、前記移動部材に回動可能に連結され、他端部が、前記枠体及び前記ドア本体のうちの他方に回動可能に連結された連結部材と、
    前記枠体及び前記ドア本体のうちの前記一方に設けられ、
    前記移動部材が第1位置に達した際に前記移動部材と係合する係合部材を有し、前記移動部材が前記第1位置から第2位置へ移動する間、前記係合部材を介して前記移動部材に外力を作用させる外力作用装置と、
    を備えたことを特徴とする建具。
  2. 請求項1に記載の建具において、
    前記外力作用装置は、前記移動部材が前記第2位置に至ったときに前記係合部材を保持する保持機構を有することを特徴とする建具。
  3. 請求項1または請求項2に記載の建具において、
    前記外力作用装置は、前記係合部材に対し前記第1位置から前記第2位置に向かう方向に外力を作用させる外力作用部材を有することを特徴とする建具。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具において、
    前記外力作用装置は、前記係合部材が前記第1位置から前記第2位置方向に移動する際に前記係合部材の移動速度を抑制するための速度抑制部材を有することを特徴とする建具。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具において、
    前記外力作用装置は、前記枠体にて形成される開口を前記ドア本体にて閉止する際に前記外力を作用させ、前記第2位置は、前記ドア本体が閉止された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であることを特徴とする建具。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具において、
    前記外力作用装置は、前記ドア本体を開放する際に前記外力を作用させ、前記第2位置は、前記ドア本体が開放された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であることを特徴とする建具。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具において、
    前記外力作用装置として、前記枠体にて形成される開口を前記ドア本体にて閉止する際に前記外力を作用させる閉止用外力作用装置と、前記ドア本体を開放する際に前記外力を作用させる開放用外力作用装置とを有し、
    前記閉止用外力作用装置における前記第2位置は、前記ドア本体が閉止された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であり、
    前記開放用外力作用装置における前記第2位置は、前記ドア本体が開放された状態にて前記移動部材が前記外力作用装置によって保持される位置であることを特徴とする建具。
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