JP4682823B2 - 車両制御システム及び車両制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両制御システム及び車両制御装置に関し、特に、交差点に進入するべく交差点に接近する各車両が、通信により得られた各車両の走行状態に基づいて予め決定される各車両の交差点の通過に関する優先度、に従って交差点を通過するように制御される、車両制御システム、及び、車両制御システムを実現する各車両に搭載される車両制御装置に関する。
従来、この種のシステムとしては、車車間通信により得られた各車両の情報に基づいて優先度を設定し、これに基づいて各車両が交差点を通過するように、主に制動力制御を行なうことにより、交差点における円滑な交通を実現しようとするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、スムーズな制動力制御を行うための手法として、先行車などの環境から自車両に及ぼされる環境力という概念を導入し、環境力に応じた減速が実現されるように制動力制御を行なって先行車に衝突しないための制動をスムーズに行う手法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−110693号公報 特開平8−11579号公報
しかしながら、上記従来の特許文献1に記載のシステムにおいては、システムを実現するために必要な通信設備を備えない車両や、この通信設備又は自車両の情報を検出するセンサー等が故障したことにより自車両の情報を送信不能となった車両が交差点に接近した場合には、適切に優先度を決定することができず、交差点における円滑な交通を実現することができない。こうした車両の存在は、特にシステムが導入される直後の過渡期に予想されるところである。
そこで、上述の特許文献2に記載の従来技術を交差点通過に適用すると、他車両が優先的に交差点を通過する場合に、他車両の位置や速度等に基づいて適正な制動力制御を行なうことにより、過剰な制動動作を抑制して円滑な交通を実現することが可能となる。ところが、他車両の現在の位置や速度等が把握できない場合にはこうした制御も困難となる。
なお、上記の課題は、車車間通信により各車両を制御主体として実現されるものについて説明したものであるが、交差点等に設置されたインフラとの路車間通信によりインフラを制御主体として実現されるものについても同様である。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、自車両の走行状態を走行不能な車両が存在する場合でも、適切な制御を行なって交差点における円滑な交通を実現することが可能な車両制御システム又は車両制御装置を提供することを主たる目的とする。
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、交差点に進入するべく交差点に接近する各車両が、通信により得られた各車両の走行状態に基づいて予め設定される各車両の交差点の通過に関する優先度、に従って交差点を通過するように制御される、車両制御システムであって、走行状態を他車両に送信不能な特定車両を、少なくともこの特定車両の位置と共に検出する、特定車両検出手段を備え、特定車両検出手段により検出された特定車両に関する情報は通信により各車両に送信される、ことを特徴とするものである。
この本発明の第1の態様によれば、特定車両検出手段を備え、検出された特定車両の位置を含む情報は通信により各車両に送信されるから、各車両において、特定車両が存在する旨及びその位置に関する認識を共有することができる。
本発明の第1の態様において、特定車両検出手段は、例えば、各車両のいずれかに搭載された、車両周辺を撮像するカメラ及び/又は車両周辺の移動物体を検出可能なレーダー・センサーにより検出された車両であって、通信により走行状態を取得不能な車両を、特定車両として検出する手段である。
また、本発明の第1の態様において、好ましくは、各車両は、特定車両検出手段により検出された、特定車両の走行状態に基づいて設定される優先度に従って交差点を通過するように制御される、ことを特徴とするものである。こうすれば、特定車両が存在する場合でも、優先度に従った円滑な交通を実現することができる。
また、本発明の第1の態様において、特定車両の位置情報を受信した車両において、特定車両の存在が検出可能か否かを判定し、判定結果に応じて、優先度の設定手法を異ならせる、ことを特徴とするものとしてもよい。
また、本発明の第1の態様は、好ましくは、各車両のうち、特定車両の直前に位置する車両、及び特定車両を含めた車両群を擬似車両として、各車両の優先度を設定する、ことを特徴とするものである。こうすれば、特定車両の直前の車両が存在する場合には、直前の車両に対して制動制御を行なうことにより特定車両にブレーキ操作を行なわせるようにすることもできる。また、本発明の第1の態様は、好ましくは、各車両のうち、特定車両の直前及び直後に位置する車両、及び特定車両を含めた車両群を擬似車両として、各車両の優先度を設定する、ことを特徴とするものである。同様に、特定車両の直前の車両が存在する場合には、直前の車両に対して制動制御を行なうことにより特定車両にブレーキ操作を行なわせるようにすることもできる。これらの場合、更に好ましくは、各車両のうち、特定車両の直前に位置する車両が存在しない場合は、擬似車両の優先度が高くなるように、各車両の優先度を設定する、ことを特徴とするものである。こうすれば、擬似車両の優先度を高く設定するから、特定車両が速やかに交差点を通過するように制御することができる。
また、本発明の第1の態様において、特定車両が存在する場合には、特定車両を検出した車両が擬似信号情報を各車両に送信し、設定される優先度に換えて擬似信号情報に基づいて各車両が交差点を通過するように制御される、ことを特徴とするものとしてもよい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の車両制御システムを実現する各車両に搭載される車両制御装置であって、通信手段と、夫々優先度を設定する優先度設定手段と、設定される優先度に従って交差点を通過するように車両を制御する制御手段と、特定車両検出手段を構成するカメラ及び/又はレーダー・センサーと、を備えるものである。
本発明によれば、自車両の走行状態を走行不能な車両が存在する場合でも、適切な制御を行なって交差点における円滑な交通を実現することが可能な車両制御システム又は車両制御装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
本発明の一実施例に係る車両制御システム1は、車両制御装置10が複数の車両に搭載され、車両間で通信を行なって優先度を設定し合い、この優先度に従って交差点を通過するために各車両が制御されることにより実現される。
図1は、車両制御装置10の構成の一例を示す図である。車両制御装置10は、主要な構成として、通信装置20と、高精度位置特定装置30と、特定車両検出用装置40と、制駆動力発生装置50と、アクセルペダル反力発生装置60と、電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitと称する)70と、を備える。
通信装置20は、ECU70から入力される自車両の走行状態(位置、進行方向、速度、及び加速度、以下同じ)を、他車両に搭載された車両制御装置10に随時送信する。又、他車両から受信した他車両の走行状態をECU70に随時出力する。通信装置20のアンテナの性能や形状並びに通信に利用する方式や周波数帯域などについては特段の制限はなく任意でよい。車車間通信については様々な手法や装置構成が既に知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
高精度位置特定装置30は、例えば、RTK−GPS(リアルタイム・キネマチック全地球測位システム)や搬送波位相式測位法などによる高精度測位機能を備える。高精度位置特定装置30は、地図情報を有し、GPS測位による測位結果に基づいて、自車両の方位や現在位置を特定し、ECU70に随時出力する。
特定車両検出用装置40は、例えば、車両の前後端のバンパーやグリル等にそれぞれ配設され、車両周辺を撮像する複数のカメラ、及び車両周辺の移動物体における自車両との距離及び相対速度を検出可能な複数のミリ波レーダーからなる。このカメラやミリ波レーダーは、周知のLKA(レーンキーピングアシスト)やバックガイドモニターに使用されるカメラ、及びプリクラッシュセーフティシステムに用いられるミリ波レーダー等と共用されてよい。
特定車両検出用装置40は、自車両の走行状態を送信不能な特定車両の存在を検出するためのものであり、検出したデータを随時ECU70に出力する。ECU70では、通信装置20により走行状態が取得できかった車両、或いは走行状態は取得できたものの、その内容が更新されていない車両(高精度位置特定装置30やセンサー類等の故障によると考えられる)であって、特定車両検出用装置40により検出された車両を、特定車両として扱う。
制駆動力発生装置50は、アクセル操作やブレーキ操作に基づく通常の車両制御によって、走行のための制動力や駆動力を出力する装置が共用される。例えば、車輪毎に配される機械ブレーキや、エンジン、電動モータである。機械ブレーキは、車輪毎に対して設けられるアクチュエータにより電気的に制御される。本実施例では、アクセル操作やブレーキ操作に基づく制動力や駆動力の出力に加えて、ECU70からの制御信号に応じて、交差点を円滑に通過するための制動力を発生させる。但し、係る制御に基づく制動力(以下、介入制動力Iという)を、運転者による自主的なブレーキ操作に基づく制動力が上回る場合は、ブレーキ操作による制動力が優先的に出力される。これは、特に安全面を重視して、運転者による制動意思を最も優先させるべきであることに基づく。
アクセルペダル反力発生装置60は、アクセルペダルに設定されたアクチュエータによりアクセルペダルの反力を制御して、介入制動力Iに応じた大きさのアクセルペダル反力を発生させる。アクセルペダル反力の制御については様々な手法や装置構成が既に知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
ECU70のハードウエア構成は、例えば、CPUを中心とするコンピュータであり、ROMやRAM等の記憶手段を備える。ECU70には、CAN(controller area network)などの適切な通信ネットワークを介して、車両内の各種の電子部品(各種センサーや他のECU)が接続されている。ECU70の主要な機能ブロックは、優先度設定部71と、介入制動力決定部72と、から構成される。
優先度設定部71は、優先度設定アルゴリズムに従って、自車両及び交錯可能性のある他の車両に対して交差点への進入に関する優先度を設定する。本実施例では、この優先度設定アルゴリズムは、(1)交差点までの距離、(2)速度、の夫々に関して順序付け、専用のマップを用いて総合的に判断して設定するものとした。優先度は、例えば3段階で設定され、最も優先度の高い車両から順に交差点に進入するように各車両において制御される。なお、交差点に進入しようとしている複数の車両は、通信により互いの走行状態を相互に把握していると共に、すべての車両が同じ優先度設定アルゴリズムに基づいて優先度を設定するため、いずれの車両においても同じ結論が得られ、矛盾は生じない。
ところが、自車両の走行状態を送信不能な特定車両からは、上記(1)、(2)の交差点までの距離や車両の速度を受信することができない。そこで、優先度設定部71では、特定車両検出用装置40からのデータによりこれを補完している。具体的には、特定車両検出用装置40が備えるミリ波レーダーにより検出された移動物体のうち、カメラが撮像した画像データにより車両であることが確認された物体の、自車両との距離及び相対速度と、自車両から交差点までの距離及び自車両の速度と、を勘案して、当該特定車両における上記(1)交差点までの距離、及び(2)速度を計算する。この特定車両の交差点までの距離及び速度は、通信装置20により交差点に接近する他車両に随時送信される。これにより、特定車両が存在する場合でも、優先度に従った円滑な交通を実現することができる。
また、後述するように、この特定車両は、優先度を設定する際には、前後の車両と一体となった擬似車両として扱われる。
介入制動力決定部72は、最優先車両に付与された座標及び速度ベクトルを自車両の走行道路上に回転写像し、これを先行車両に見立てて、自車両に対して制動力となる追従環境力(介入制動力I)を算出する。なお、追従環境力とは、特開平8−115779号公報(特許文献2)に記載されるように、車両が先行車両に衝突しないように場から受ける力である。本処理の詳細については、後述する。
図2は、ECU70により、自車両が交差点から所定範囲内となってから交差点を通過するまでの間、繰り返し実行される、交差点通過アルゴリズムの一例を示す図である。ここで、所定範囲は、例えば数十[m]から数百[m]等の値に任意に定めるものとしてよい。好ましくは、後述する環境力の影響範囲を計算して、これを用いることもできる。この交差点通過アルゴリズムは、車両毎に実行され、基本的には、交差点に接近する複数の車両を時間的にずらして交差点に進入させるべく、介入制動力Iを決定するためのものである。また、通信装置20や、高精度位置特定装置30、又はセンサー類の故障、或いは本発明の車両制御装置10を搭載していないことにより走行状態を送信不能な特定車両が存在する場合でも、円滑な交差点の通過を実現すべく構築されている。
まず、ECU70は、自車両が進入しようとしている交差点から上記の所定範囲内にあって、交錯の可能性のある、他の車両を検出したか否かを判定する(S100)。この検出は、他車両からの通信により得られた走行状態に関する情報の中から、交差点から上記の所定範囲内にあって交差点に接近している車両を検索すると共に、上記の如く特定車両検出用装置40からのデータを勘案して行なう。ここで、特定車両には、車両制御装置10の非搭載や通信装置20の故障により走行状態を全く送信していない車両と、高精度位置特定装置30やセンサー類等の故障により走行状態を送信してはいるものの内容が更新されていない車両とが考えられるが、後者の場合、送信された走行状態をECU70において一時的に記憶し、その更新状況を参照して特定車両と認識する。また、「交錯の可能性のある」とは、交差点に対してそれぞれ異なる方向から接近して進入しようとしている車両をいう。他の車両が検出されない場合は(S100のNO)、本アルゴリズムを終了する。
S100における他の車両を検出する処理の中で特定車両が検出された場合は、その旨に加えて、上述の如く計算された特定車両の(1)交差点までの距離、及び(2)速度を、他の車両に送信する(S110)。これにより、これを受信した他の車両では、自車両からは検出できない(障害物の存在により検知できない場合など、種々の状況が考えられる)特定車両についても情報を得ることができる。
続いて、優先度設定部71により、自車両及び他の車両に対して優先度を設定する(S120)。この際に、特定車両が存在する場合には、特定車両の直前及び直後の車両を含めた擬似車両を想定し、この擬似車両に対して優先度を設定する。なお、この優先度を設定する際には、例えば擬似車両を構成する車両のうち先頭の車両の位置が判断基準とされる。こうすることにより、例えば、特定車両の直前の車両に介入制動力Iを付与した場合、後続の特定車両もこれに応じてブレーキ操作を行なうことが予想されるため、特定車両に介入制動力Iを付与したのと同様の効果が生じる。また、直後の車両を含めるのは、直前の車両が交差点を通過してから特定車両が交差点を通過するまでの間、特定車両を検出する車両が存在しなくなるような場合を回避する必要性等に基づく。
但し、特定車両の直前の車両が存在しない場合は、擬似車両の優先度が最優先となるように優先度を設定する。この場合、特定車両と交差点の間に車両が存在しないことを意味するため、特定車両にブレーキ操作をさせる手段がないから、特定車両を含む擬似車両に対して優先的に交差点を通過させることが望ましいからである。
こうして優先度が設定されると、自車両が最優先であるか否かを判定する(S130)。自車両が最優先である場合は(S130のYES)、本アルゴリズムを終了する。すなわち、本アルゴリズムによる介入制動力Iが何ら出力されず、運転者のアクセル操作やブレーキ操作に基づく制御が行なわれる。なお、この場合の「自車両」とは、自車両が上述した擬似車両に含まれる場合は、当該擬似車両を指す。
自車両が最優先でない場合は(S130のNO)、最優先車両に座標と速度ベクトルを付与し、この座標と速度ベクトルの回転写像に基づいて、追従環境力の概念を利用した介入制動力Iを決定し(S140)、本アルゴリズムを終了する。擬似車両が最優先車両である場合の座標の付与については、後述する。
座標と速度ベクトルの付与は、当該車両から送信される走行状態に含まれる、車両の位置及び速度と、高精度位置特定装置30が有する地図情報とを参照して行なう。図3に、最優先車両に座標と速度ベクトルを付与する様子を示す。図中、S1は最優先車両を、S2は自車両である非優先車両を、太線矢印は、速度ベクトルを、それぞれ表す。また、v1は、最優先車両S1の速度ベクトルの大きさであり、v2は、非優先車両S2の速度ベクトルの大きさである。
座標と速度ベクトルが付与されると、これらが自車両の進行方向に合致するように、回転写像する。図4にこの回転写像を行なう様子を示す。回転前後において、交差点からの距離に変化は生じない。速度ベクトルの大きさについても同様である。この回転写像には、周知の回転行列を用いる。
こうして回転写像された座標と速度ベクトルを得ると、これを仮想先行車両とみなして、追従環境力(介入制動力I)を算出する。まずは、回転写像された最優先車両の座標が自車両よりも交差点に近い(すなわち先行している)場合を考える。上記特許文献2によれば、追従環境力Cは、
Figure 0004682823
と表される。式中、aは運転者固有の最大加速度であり、x及びx’は非優先車両の位置及び速度であり、x−1及びx’−1は先行車両の位置及び速度であり、Tは運転者固有の車間時間であり、Lは運転者固有の停止時車間距離であり、Pは環境条件の有効な範囲の大きさを決めるパラメータである。これを、本実施例に適用すると、
Figure 0004682823
となる。なお、これらの式において、車長は考慮されていない。従って、最優先車両と非優先車両のいずれか一方が擬似車両である場合は、当該擬似車両の仮想車長が無視できないため、適切に補正を行なう必要がある。本実施例では、擬似車両が最優先車両S1である場合は、当該最優先車両の位置として、擬似車両を構成する車両のうち最後方の車両の位置を採用する。これとは逆に、擬似車両が非優先車両S2である場合には、当該非優先車両の位置として、擬似車両を構成する車両のうち先頭の車両の位置を採用する。
次に、回転写像された最優先車両の座標が自車両よりも交差点から遠い場合を考える。この場合、交差点までの距離が自車両よりも遠い車両を先に交差点通過させるのであるから、車両が車速に応じて出力可能な範囲において、大きい制動力を出力すべきである。本実施例では、予め車速に応じて出力可能な制動力をマップとして定めこれに基づいて介入制動力を決定する。
これらにより、介入制動力Iは、
Figure 0004682823
と表される。
このように介入制動力Iが算出されると、この算出された介入制動力Iに応じた制動力を、制駆動力発生装置50から出力する。この際に、アクセルペダル反力発生装置60は、車両側において速度制御中である旨を車両乗員(特に運転者)に伝達すべく、制駆動力発生装置50が発生する制動力に応じて、アクセルペダル反力を制御する。これにより、運転者は、自動的にブレーキが掛かったことについて触覚的に伝達を受けるため、事態を把握できる。
このように、本実施例の車両制御装置10により実現される車両制御システム1によれば、交錯可能性を有する2台以上の車両制御装置10を搭載する車両が、制動力が過剰とならないよう制御しながら、交差点を時間差をもって接触・衝突することなく通行することができるため、信号機のない交差点において同一の2次元平面上に存在しながらあたかも交差する道路が立体交差しているかのような円滑な交通が実現される。
しかも、自車両の走行状態を送信できない特定車両が存在する場合には、これを特定車両検出用装置40により検出した車両から他の車両に対して、特定車両の存在と位置等を送信するから、交差点に接近する各車両において、特定車両が存在する認識を共有することができる。また、上述の如く、特定車両を含めた擬似車両を想定して優先度を設定するから、特定車両の直前の車両が存在する場合には、直前の車両に介入制動力Iを付与することにより特定車両にブレーキ操作を行なわせるようにすることもできる。さらに、特定車両の直前の車両が存在しない場合には、擬似車両の優先度を最優先に設定するから、特定車両が速やかに交差点を通過するように制御することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、車両制御システム1は、車両制御装置10が交差点を通過する各車両に搭載され、夫々優先度設定アルゴリズムを有し、介入制動力Iを決定する態様のものとして例示したが、路車間通信を行なうインフラを、例えば交差点毎に備え、インフラ側で介入制動力Iの決定を行なって各車両に指示する態様のものとしても、同様の効果を奏する。
また、特定車両検出用装置40は、カメラとミリ波レーダーからなるものとして例示したが、これらのいずれか一方であってもよく、また、レーザー・レーダーや超音波レーダー等であってもよい。さらにカメラやミリ波レーダー、レーザー・レーダー、超音波レーダー等のうち複数を組み合わせて用いてもよい。
また、車両制御システム1では、特定車両が存在する場合には擬似車両を想定して優先度の設定等を行なうものとしたが、擬似車両を想定せず、単に特定車両の優先度を最優先に設定するものとしてもよい。
また、優先度を設定する際に、複数の車両において同一の特定車両が検出されたか、或いは単一の車両において特定車両が検出されたか、に基づいて優先度の設定手法を異ならせてもよい。例えば、ある車両において検出された特定車両が他の車両においては通信により走行状態を取得可能な車両と認識したような場合、特定車両とは認識せず優先度を設定するような制御が考えられる。
また、特定車両の存在を認識した場合には、優先度を設定せず、各車両に擬似信号情報を送信するものとしてもよい。この場合、例えば、特定車両と交錯する方向で交差点に接近する車両には一様に擬似赤信号を送信して一時停止させる等の制御を行なうことが考えられる。
また、車両制御装置10では、介入制動力Iを決定し、優先度の低い車両に対して制動力を出力するよう制御するものとしたが、優先度の高い車両に対しては駆動力を出力するよう制御するものとしてもよい。
また、優先度の設定を3段階で行なうものとしたが、2段階で行なうものとしても、4段階以上で行なうものとしてもよい。
また、介入制動力Iは、上述の算出方法の他、自車両の1つ上の優先度を持つ車両を仮想先行車両として算出されてもよいし、自車両よりも上位優先度の全ての車両をそれぞれ仮想先行車両として算出した各介入制動力Iを、積算することで算出されてもよい。また、追従環境力の概念とは別の計算式により算出するものとしてもよい。但し、この場合でも、優先度の高い車両の車速等の情報は、適正な制動力等を算出するのに必要である。
また、車両制御システム1を構成する各車両は、走行状態として位置、進行方向、速度、及び加速度を送受信するものとしたが、これらの一部を省略してもよく、また、更に別の情報を付加してもよい。
本発明は、少なくとも通信装置を備える自動車や自動二輪車等に適用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
本発明の一実施例に係る車両制御システム1を実現するための車両制御装置10の構成の一例を示す図である。 本発明の一実施例に係る車両制御装置10が備えるECU70が実行する交差点通過判断アルゴリズムの一例を示す図である。 交差点通過判断アルゴリズムにおいて座標を付与する様子を示す図である。 交差点通過判断アルゴリズムにおいて回転写像を行なう様子を示す図である。
符号の説明
1 車両制御システム
10 車両制御装置
20 高精度位置特定装置
30 通信装置
40 特定車両検出用装置
50 制駆動力発生装置
60 アクセルペダル反力発生装置
70 電子制御ユニット
71 優先度設定部
72 介入制動力決定部

Claims (8)

  1. 交差点に進入するべく交差点に接近する各車両が、通信により得られた各車両の走行状態に関する情報に基づいて予め設定される各車両の交差点の通過に関する優先度、に従って交差点を通過するように制御される、車両制御システムであって、
    走行状態を他車両に送信不能な特定車両を、少なくとも該特定車両の位置と共に検出する、特定車両検出手段を備え、
    該特定車両検出手段により検出された特定車両に関する情報は、通信により各車両に送信され、
    前記特定車両の位置情報を受信した車両において、該特定車両の存在が検出可能か否かを判定し、該判定結果に応じて、前記優先度の設定手法を異ならせる、
    ことを特徴とする、車両制御システム。
  2. 請求項1に記載の車両制御システムであって、
    前記特定車両検出手段は、前記各車両のいずれかに搭載された、車両周辺を撮像するカメラ及び/又は車両周辺の移動物体を検出可能なレーダー・センサーにより検出された車両であって、通信により走行状態を取得不能な車両を、特定車両として検出する手段である、
    車両制御システム。
  3. 請求項1又は2に記載の車両制御システムであって、
    前記各車両は、特定車両検出手段により検出された、特定車両の走行状態に基づいて設定される優先度に従って交差点を通過するように制御される、
    ことを特徴とする、車両制御システム。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の車両制御システムであって、
    前記各車両のうち、前記特定車両の直前に位置する車両、及び前記特定車両を含めた車両群を擬似車両として、各車両の優先度を設定する、
    ことを特徴とする、車両制御システム。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の車両制御システムであって、
    前記各車両のうち、前記特定車両の直前及び直後に位置する車両、及び前記特定車両を含めた車両群を擬似車両として、各車両の優先度を設定する、
    ことを特徴とする、車両制御システム。
  6. 請求項4又は5に記載の車両制御システムであって、
    前記各車両のうち、前記特定車両の直前に位置する車両が存在しない場合は、前記擬似車両の優先度が高くなるように、各車両の優先度を設定する、
    ことを特徴とする、車両制御システム。
  7. 請求項1又は2に記載の車両制御システムであって、
    前記特定車両が存在する場合には、該特定車両を検出した車両が擬似信号情報を各車両に送信し、前記設定される優先度に換えて該擬似信号情報に基づいて各車両が交差点を通過するように制御される、
    ことを特徴とする、車両制御システム。
  8. 請求項1ないし7に記載の車両制御システムを実現する各車両に搭載される車両制御装置であって、
    通信手段と、夫々優先度を設定する優先度設定手段と、該設定される優先度に従って交差点を通過するように車両を制御する制御手段と、前記特定車両検出手段を構成するカメラ及び/又はレーダー・センサーと、を備える車両制御装置。
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