JP4680396B2 - オーバーヘッドコンベアにおけるレール清掃装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、上方に臨んでレールに形成されるガイド面上を転動するローラが、前記レールに沿って走行するチェーンに連結されたトロリーの上部に軸支され、ワークを吊下げるハンガーが前記トロリーの下部に連結されるオーバーヘッドコンベアに関し、特にレールのガイド面上に堆積する鉄粉等の磁性粉を除去するようにしたレール清掃装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーバーヘッドコンベアが備えるレールのガイド面上には、レールおよびチェーンの接触摩耗等に起因して発生した鉄粉や、鉄粉にオイルが付着したオイルかす等が堆積しており、ガイド面上のローラの円滑な転動を保証するために、前記鉄粉およびオイルかす等を除去する必要がある。
【0003】
このような鉄粉およびオイルかす等の除去にあたり、従来では、ガイド面上にエアーを吹き付け得るエアーブロー装置をチェーンに連結し、チェーンの走行に応じてエアーブロー装置からのエアーブローでガイド面上の鉄粉およびオイルかす等を除去するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のようなエアーブローによる清掃では、チェーンの走行に応じて移動するエアーブロー装置にエアー源からエアーを供給するための構造が複雑であり、ガイド面をその全長にわたって清掃することが困難であり、しかも飛散した鉄粉やオイルかす等が、オーバーヘッドコンベアの周辺設備に付着したり、オーバーヘッドコンベアで搬送するワークに落下、付着して二次的不良を発生させる要因ともなる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、鉄粉やオイルかす等を飛散させない簡単な構造で、レールのガイド面を効率よく清掃し得るようにしたオーバーヘッドコンベアにおけるレール清掃装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、上方に臨んでレールに形成されるガイド面上を転動するローラが、前記レールに沿って走行するチェーンに連結されたトロリーの上部に軸支され、ワークを吊下げるハンガーが前記トロリーの下部に連結されるオーバーヘッドコンベアにおいて、前記ガイド面上を転動して該ガイド面上の磁性粉を吸着可能な一対の磁気ローラが、前記トロリーの移動方向に沿って相互に間隔をあけた位置で前記トロリーに支持され、各々の前記磁気ローラは、N極およびS極を両端に有する複数の円盤状の永久磁石が、それらの永久磁石相互間に非磁性材から成るスペーサを配置して同軸に連結されて成り、一方の前記磁気ローラのスペーサを他方の前記磁気ローラの永久磁石に対応させるように、その両磁気ローラが、それらローラの回転軸線に沿う方向で相互にオフセットして配置されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、トロリーの上部に軸支されたローラが、チェーンの走行に応じてレールのガイド面上を転動すると、そのガイド面上を磁気ローラが転動することになり、ガイド面上に堆積していた鉄粉やオイルかす等が磁気ローラに吸着、除去される。この結果、ガイド面上の鉄粉やオイルかす等が、ガイド面上から飛散することなく効率よく除去されることになり、鉄粉やオイルかす等がオーバーヘッドコンベアの周辺設備に付着したり、オーバーヘッドコンベアで搬送するワークに落下、付着して二次的不良を発生させたりすることがなく、しかも磁気ローラをトロリーに支持するだけの簡単な構造であり、ガイド面をその全長にわたって容易に清掃することができる。
【0008】
また特にトロリーの移動方向に沿って間隔をあけた位置に配置される一対の磁気ローラが、一方の磁気ローラのスペーサを他方の磁気ローラの永久磁石に対応させるように相互にオフセットして配置されるので、一方の磁気ローラで除去し得なかった鉄粉やオイルかす等を、他方の磁気ローラで吸着、除去するようにして、ガイド面上の鉄粉やオイルかす等を確実に除去することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した参考例及び本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図4は参考例を示すものであり、図1はオーバーヘッドコンベアの側面図、図2は図1の2矢視拡大図、図3は図2の3矢視拡大図、図4は磁気ローラの正面図である。
【0011】
先ず図1および図2において、このオーバーヘッドコンベアは、たとえば自動二輪車用の燃料タンクであるワークW,Wを、たとえば塗装ラインで搬送するためのものであり、床面の上方に固定配置された支持枠11の上部に設けられたレール12に沿って移動し得る複数のトロリー13…と、たとえば一対ずつのワークW,Wをそれぞれ吊下げ支持するようにして各トロリー13…の下部に連結されるハンガー14…と、前記レール12に沿って走行するようにして複数の前記トロリー13…に連結されるチェーン15とを備える。
【0012】
図3を併せて参照して、ハンガー14は、トロリー13の下部に水平軸線まわりの回動を可能として連結される上部ハンガー16と、上部ハンガー16の下部に鉛直軸線まわりの回動を可能として上部が連結される中間ハンガー17と、中間ハンガー17の下部に前記上部ハンガー16の回動軸線と平行な水平軸線まわりの回動を可能として上部が連結される下部ハンガー18とから成る。
【0013】
下部ハンガー18の下端にはフック19が固着されており、一対のワークW,Wを上下に間隔をあけた位置で着脱可能に保持するワーク保持具20の上端が、前記フック19に係脱可能に係合される。
【0014】
中間ハンガー17の上部にはギヤ21が固定されており、トロリー13の移動時に所定位置に配置されたギヤ(図示せず)が前記ギヤ21に噛合することで、中間ハンガー17および下部ハンガー18が鉛直軸線まわりに回動し、それによりワークW,Wの軸線まわりの姿勢が変化することになる。また中間ハンガー17の中間部には、中間ハンガー17および下部ハンガー18の鉛直軸線まわりの位置を所定位置で一定に定めるためのガイドローラ22,22が軸支され、さらに中間ハンガー17の下部には、中間ハンガー17および下部ハンガー18の鉛直軸線まわりの位置を定めるための規制板23が前記両ガイドローラ22,22の配列方向と平行な方向に長く延びるようにして固着される。さらに下部ハンガー18の上部にはワークW,Wの上方を覆う傘状のカバー24が固着される。
【0015】
チェーン15の上方に配置されるレール12は、上方に臨むガイド面26,26を該レール12の両側に有するようにして、たとえばI形鋼により形成されるものであり、両ガイド面26,26は相互に近接するにつれて上方位置となるように傾斜して形成される。
【0016】
トロリー13の上部は、前記レール12の下部を両側から抱くように彎曲したアーム状に形成されており、前記両ガイド面26,26上をそれぞれ転動するローラ27,27がトロリー13の上部に軸支される。
【0017】
オーバーヘッドコンベアを構成する複数のトロリー13…のうち少なくとも1つのトロリー13には、該トロリー13の移動方向28に沿ってローラ27,27の前、後少なくとも一方、この参考例ではローラ27,27の後方側でガイド面26,26上を転動する左右一対の磁気ローラ29,29が、着脱を可能として支持される。
【0018】
図4において、磁気ローラ29は、N極およびS極を両端に有する複数たとえば4個の円盤状の永久磁石32,32…が、それらの永久磁石32,32…相互間に非磁性材から成るスペーサ33,33…を配置して同軸に連結されて成るものであり、ガイド面26,26上を転動することで、該ガイド面26,26上の磁性粉を吸着、除去することが可能である。
【0019】
トロリー13の上部にローラ27を軸支する軸31には支持アーム30の基端部が揺動可能にかつ着脱可能に連結されており、この支持アーム30の先端部に、前記軸31と平行な軸34を介して前記磁気ローラ29が軸支される。このように磁気ローラ29が揺動可能な支持アーム30の先端部に軸支されることで、磁気ローラ29は、ガイド面26の多少の凹凸を吸収して該ガイド面26に転り接触することができる。
【0020】
次にこの参考例の作用について説明すると、チェーン15の走行によりレール12のガイド面26,26上を転動するローラ27,27が軸支されたトロリー13には、該トロリー13の移動方向28に沿って前記ローラ27,27の前、後少なくとも一方、この参考例ではローラ27,27の後方側でガイド面26,26上を転動する左右一対の磁気ローラ29,29が、着脱可能に支持される。
【0021】
したがってレール12およびチェーン15の接触摩耗等に起因して発生した鉄粉や、鉄粉にオイルが付着したオイルかす等の磁性粉がガイド面26,26上に堆積するのに応じてガイド面26,26の清掃を実行するにあたっては、少なくとも1つのトロリー13に左右一対の磁気ローラ29,29を装着し、そのトロリー13を移動方向28に移動させればよい。
【0022】
そうすれば、トロリー13の上部に軸支されてレール12のガイド面26,26上を転動するローラ27,27の後方側で、ガイド面26,26上を磁気ローラ29,29が転動することになり、ガイド面26,26上に堆積した鉄粉やオイルかす等の磁性粉が磁気ローラ29,29に吸着、除去される。
【0023】
磁気ローラ29,29が、レール12の全長にわたるガイド面26,26上を転動した後には、磁気ローラ29,29をトロリー13から取り外し、磁気ローラ29,29に吸着された磁性粉を、所定位置でのエアーブローや、磁力の解除により磁気ローラ29,29から除去すればよい。このようにしてガイド面26,26上の鉄粉やオイルかす等を、ガイド面26,26上から飛散させることなく効率よく除去することができ、鉄粉やオイルかす等がオーバーヘッドコンベアの周辺設備に付着したり、オーバーヘッドコンベアで搬送するワークWに落下、付着して二次的不良を発生させたりすることがない。しかも磁気ローラ29,29をトロリー13に着脱可能に支持するだけの簡単な構造であり、ガイド面26,26をその全長にわたって容易に清掃することができる。
【0024】
図5および図6は本発明の実施例を示すものであり、上記参考例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0025】
オーバーヘッドコンベアを構成する複数のトロリー13…のうち少なくとも1つのトロリー13には、該トロリー13の移動方向28に沿って間隔をあけた位置でレール12のガイド面26…にそれぞれ転り接触する左、右一対ずつ2組の磁気ローラ29F…,29R…が着脱可能に支持されるものであり、この実施例では磁気ローラ29F…がローラ27よりも前方でガイド面26上を転動し、磁気ローラ29R…がローラ27よりも後方でガイド面26上を転動する。
【0026】
しかも磁気ローラ29F,29Rは、上述の参考例の磁気ローラ29と同様に、N極およびS極を両端に有する複数たとえば4個の円盤状の永久磁石32,32…が、それらの永久磁石32,32…相互間に非磁性材から成るスペーサ33,33…を配置して同軸に連結されて成るものであり、図6で示すように、一方の磁気ローラ29Fのスペーサ33…を他方の磁気ローラ29Rの永久磁石32…に対応させるように相互に軸方向にオフセット量δだけオフセットして、トロリー13にそれぞれ支持される。
【0027】
この実施例によれば、一方の磁気ローラ29Fで除去し得なかった鉄粉やオイルかす等を、他方の磁気ローラ29Rで吸着、除去するようにして、ガイド面26上の鉄粉やオイルかす等を確実に除去することができる。
【0028】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ガイド面上の鉄粉やオイルかす等をガイド面上から飛散させることなく効率よく除去することができ、鉄粉やオイルかす等がオーバーヘッドコンベアの周辺設備に付着したり、オーバーヘッドコンベアで搬送するワークに落下、付着して二次的不良を発生させたりすることを防止することができ、しかも磁気ローラをトロリーに支持するだけの簡単な構造であり、ガイド面をその全長にわたって容易に清掃することができる。
【0030】
また特にトロリーの移動方向に沿って間隔をあけた位置に配置される一対の磁気ローラが、一方の磁気ローラのスペーサを他方の磁気ローラの永久磁石に対応させるように相互にオフセットして配置されるので、一方の磁気ローラで除去し得なかった鉄粉やオイルかす等を、他方の磁気ローラで吸着、除去するようにして、ガイド面上の鉄粉やオイルかす等を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例のオーバーヘッドコンベアの側面図である。
【図2】 図1の2矢視拡大図である。
【図3】 図2の3矢視拡大図である。
【図4】 磁気ローラの正面図である。
【図5】 本発明の実施例の図3に対応した側面図である。
【図6】 一対の磁気ローラの相互オフセットを説明するための図である。
【符号の説明】
12・・・レール
13・・・トロリー
14・・・ハンガー
15・・・チェーン
26・・・ガイド面
27・・・ローラ
28・・・移動方向
29F,29R・・・磁気ローラ
32・・・永久磁石
33・・・スペーサ
W・・・・ワーク
Claims (1)
- 上方に臨んでレール(12)に形成されるガイド面(26)上を転動するローラ(27)が、前記レール(12)に沿って走行するチェーン(15)に連結されたトロリー(13)の上部に軸支され、ワーク(W)を吊下げるハンガー(14)が前記トロリー(13)の下部に連結されるオーバーヘッドコンベアにおいて、
前記ガイド面(26)上を転動して該ガイド面(26)上の磁性粉を吸着可能な一対の磁気ローラ(29F,29R)が、前記トロリー(13)の移動方向(28)に沿って相互に間隔をあけた位置で前記トロリー(13)に支持され、
各々の前記磁気ローラ(29F,29R)は、N極およびS極を両端に有する複数の円盤状の永久磁石(32)が、それらの永久磁石(32)相互間に非磁性材から成るスペーサ(33)を配置して同軸に連結されて成り、
一方の前記磁気ローラ(29F)のスペーサ(33)を他方の前記磁気ローラ(29R)の永久磁石(32)に対応させるように、その両磁気ローラ(29F,29R)が、それらローラ(29F,29R)の回転軸線に沿う方向で相互にオフセットして配置されることを特徴とする、オーバーヘッドコンベアにおけるレール清掃装置。
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