JP4679708B2 - コルゲーターベルトの継手 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボールシートを製造するコルゲーターマシンのダブルフェーサー部に使用するコルゲーターベルトの継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボールシートを製造するコルゲーターマシンは、図6に示すようにグルーマシンで接着剤が塗布された片面段ボール紙5とライナー紙6を加圧接着して段ボールシート9を製造する。このコルゲートマシンはヒーティングパート1とクーリングパート2から成るダブルフェーサー部3に、段ボールシート9の搬送手段として厚手の織物を無端状に接合した図6に示されるコルゲーターベルト4とクーリングパート2の部所に別の無端状のコルゲーターベルトを配置している。なお、前者コルゲーターベルト4は上ベルトと称され、後者のコルゲーターベルトは下ベルトと称されており、前者の上ベルトのコルゲーターベルト4を主体に説明を続けると、接着剤が塗布された片面段ボール5とライナー紙6は、コルゲーターベルト4によって圧接された状態でダブルフェーサー部3に供給され、熱板7による加熱及びコルゲーターベルト4とバラストロール8との加圧密着によって乾燥・接着されて、所定の厚さを有する段ボールシート9が製造される。
【0003】
通常、熱板7は130℃〜200℃に加熱され、この熱板7に接するコルゲーターベルト4の表面温度は120℃〜180℃に達する。また、バラストロール8は、直径φ60mm〜φ100mmの金属製のものが常用される。また、コルゲーターベルト4に要求される特性として、段ボールシート9に対する密着性を保つためと、バラストロール8から伝わる加圧力を段ボールシート9に均等に伝達するための適度の重量、剛性と厚さ、熱に対する耐久性等を必要とする。これらの要件を満たし得るコルゲーターベルト4として、例えば、図7(A)及び(B)に示すような多層織の綿ベルトが多用されている。このようなコルゲーターベルト4に使用する糸の素材としては、従来からの綿素材の他に、耐熱性、寸法安定性等を改善するの目的から、合成繊維を単独使用したり、或いは他の素材と併用したりすることが行われている。
【0004】
また、コルゲーターベルト4は、コルゲーターマシンに装着された後でエンドレス状に接合され、この接合に金属製フック同士を可動に連結した継手が使用されている。一般的にはコルゲーターベルト4の両端部に金属製フックを植設し、この両端の金属製フック同士を芯線等で連結することで継手を形成している。しかし、この継手では金属製フックがベルト表面から突出しているので、製造される段ボールシート9にマークを生じたり、また、コルゲーターベルト4と継手との間に僅かな段差ができ、この段差で段ボールシート9に高低差が生じて印刷時にむらが生じることになる。なお、コルゲーターベルト4の上ベルトと別の下ベルトのコルゲーターベルトにおいても継手の金属製フックがベルト面から突出して、段ボールシート9に不具合を発生させる場合がある。
【0005】
以上のような問題を解決するために、次の(1)乃至(5)の提案がなされている。
【0006】
(1)、実公昭45−11844号公報には、図8に示すようにコルゲーターベルト4の両端部の表面の緯糸を抜き取り、組織を解舒して薄層部60を形成し、この薄層部60を金属製フック61で連結接合し、解舒により残った房状経糸62で接合部を被覆接着してエンドレスベルトとしたものが開示されている。
【0007】
(2)、実公昭50−9744号公報には、図9に示すようにコルゲーターベルト4の両端の接紙面側表面の緯糸を金属製フック61が喰い込む長さだけ抜き取り、ベルトの表面組織を解舒し、その房状になった経糸を切除して薄層部60を形成し、この薄層部60を金属製フック61で連結接合し、薄層部60の接紙面側に織物、又は通気性のあるフェルト状の布体65を接着剤で部分接合する等して、通気性を損なわないように接着又は縫着して、金属製フック61を被覆隠蔽したエンドレスベルトが開示されている。
【0008】
以上の(1)、(2)のエンドレスベルトは、接合部を房状経糸62、或いは織物又は通気性のあるフェルト状の布体65で被覆するので接合部がコルゲーターベルトより厚くなることが無く、金属製フック61が内部に埋装されるから、使用中、接合部に凹凸が生じず、シートマークが付く可能性が少ない。
【0009】
(3)、実開昭60−154643号公報には、前述したような金属製フックを使用せず、図10(A)に示すようにコルゲーターベルト4の両端部をテーパー状に削り取り、その面を接着剤63により接着してエンドレスとしたものが開示されている。また、その公報には、従来の技術として図10(B)及び(C)に示すように金属製フック61による接合部をシリコンゴム64で被覆したものや、その接合部の接紙面側に当て布65をしたものが開示されている。
【0010】
(4)、特開平2−242990号公報には、図11に示すようにフラット織り多層構造の織成体からなるコルゲーターベルト4の両端部の双方を段状に形成することで織成体内に切り込まれた舌端66を形成し、この両舌端66間にクリッパー継ぎ目67を装着したものが記載されている。
【0011】
(5)、特開平4−236836号公報には、図12に示すようにコルゲーターベルト4の各端部にU字状のクランプ68を固定し、そのクランプ68をヒンジ状に噛み合わせてヒンジ連結部69を形成してから、クランプ68をフロック材70で被覆したものが開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
通常において上記コルゲーターベルト4のようなベルトの継手構造としては、以下の条件が必要である。継手部分の厚さが大きかったり局部的な突起が有ると段ボールシートに傷を付け易くなるので、継手部分は、本体部分よりも厚くしない。使用中の経時変化で、ベルト本体は比較的早い時期にある一定量だけ厚さが減少するため、この分を見込んだ継手部分の厚さ設定が必要である。段ボールシートに接しない裏面側は、バラストロールの振動を生じない平滑な仕上げが必要である。継手に緩みを生じない様に足元端のかえりが得られ、芯線を中心として屈曲するタイプの継手とする必要がある。
【0013】
ところで、前述したコルゲーターベルトの継手構造のうち、図8の実公昭45−11844号公報に開示されたものは、解舒により残った房状経糸で被覆接着するので接合部の厚さを均一にするために、房状経糸をきれいに接合部に揃える必要があり、この作業が面倒で熟練を要する問題があった。また、図10の実開昭60−154643号公報に従来の技術として開示されたものは、シリコンゴム64又は当て布65を配した部分はコルゲーターベルト4より厚くて突出したものとなっているため、段ボールシートに押し跡等が生じ易く、かつ、使用中の経時変化でシリコンゴム64又は当て布65が早期に摩損、欠落する問題があった。更に、図11の特開平2−242990号公報に開示されたものは、織成体に舌端を切込む作業が必要であり、正確な寸法で切込みを入れるのが難しい問題があった。また、図12の特開平4−236836号公報に開示されたものは、フロック材で被覆するのでフロック材を散布した後、加熱させる等の作業工程が余分に必要である上に、金属製フックの植設部しか被覆することが出来ない問題があった。
【0014】
更に、図9のコルゲーターベルトの継手構造は、コルゲーターベルト4の接紙面側において金属製フック61を被覆するものの、コルゲーターベルト4の反接紙面側では被覆が成されず、金属製フック61が図6のバラストロール8に直接に接触する。そのため、金属製フック61が早期に損耗すると共に、コルゲーターベルト4の走行に伴って金属製フック61がバラストロール8に周期的に接触してバラストロール8の振動を発生させ、ひいてはバラストロール8からの加圧力が一定にならず段ボールシート9に対する密着性を均一に保つことが困難となっていた。また、金属製フック61の被覆が片面だけであるため、金属製フック61を被覆する布体及び当て布65等の構造によってはクッション性が不足したり、金属製フック61が内在する継手部分とベルト本体部分との硬さの差が大きくなって、被覆物を介して金属製フック61が段ボールシート9に強く当接する不具合が発生している。また、この不具合を避けるために、金属製フック61をコルゲーターベルト4の接紙面側33表面よりも余分に低く植設する必要があった。更に、金属製フック61が内在する継手部分とベルト本体部分とでバラストロール8通過時の厚さが異なるために、段ボールシート9に高低差が生じる問題があり、そのため、主にコルゲーターベルト4の接合部において段ボールシート9にマークを生じたり、印刷時のむらが発生したりする状況が未だ完全に解決できていない。このような状況は、一般のA及びBフルート段ボール用中しんを用いる用途ではあまり問題視されないが、Eフルート及びEフルートよりも更に薄手で緻密、例えば段高1.8mm以下、段山数93/0.3mを超える段ボール用中しんを用いるような用途や、従来は主に白板紙を中心とする紙器用板紙の分野である、より高度の表面性と印刷品位が求められる紙器用途の段ボールシートにおいては顕著な問題となっている。
本発明の目的は、特に高度の表面性と印刷品位が求められる段ボールシートの製造に適合したコルゲーターベルトの継手を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、コルゲーターマシンのダブルフェーサー部に用いられるコルゲーターベルトの両端に植設した金属製フック同士を接合して無端状と成す継手であって、金属製フックを、前記コルゲーターベルトの両端の接紙面側及び反接紙面側から厚さを減じて形成した薄層部に、前記コルゲーターベルトの接紙面側及び反接紙面側のベルト表面より沈ませて植設し、前記金属製フックの外面を、前記コルゲーターベルトの接紙面側及び反接紙面側の両側から一枚若しくは二枚以上重畳した当て布で、前記コルゲーターベルト使用時の加圧荷重に相当する荷重条件での加圧圧縮時に前記当て布表面が前記当て布表面と隣接する前記コルゲーターベルトの表面と略同一の高さかこの高さよりも沈む状態にして被覆すると共に、前記接紙面側及び反接紙面側の当て布を、前記コルゲーターベルトの両端のうちの走行方向前側端の前記薄層部に縫着又は接着したことを特徴とする。
【0016】
ここで、コルゲーターマシンにおけるコルゲーターベルトは、上ベルトのコルゲーターベルトのみならず下ベルトのコルゲーターベルトも含む。特に、上ベルトであるコルゲーターベルトの継手のベルト金属製フックの外面を覆う当て布は、適度なクッション性と、耐熱性、耐磨耗性を有する一枚布、或いは、この一枚布を二枚以上重畳したもので、この当て布を金属製フックの接紙面側と反接紙面側の両方の外面に被覆させることで、金属製フックがバラストロール等に直接に接触せずに金属製フックの反接紙面側の物理的磨損が抑制されて、バラストロール等の振動の発生が抑制される。また、金属製フックの接紙面側と反接紙面側を当て布で被覆することで、接紙面側だけに当て布をするものに比べて、金属製フックをベルト表面から沈ませる量をより少なく設定できて、段ボールシートに高低差が生じる問題が回避される。
【0017】
また、本発明においては、前記当て布と前記金属製フックとの間で、金属製フックの植設部を耐熱性樹脂で被覆することが、より安定したクッション性、耐磨損性等を与える上で望ましい。
【0018】
更に、本発明においては、前記当て布が、織成布から成る基層及びこの基層に結合する少なくとも1つの不織布層から成る布帛で構成されて、この布帛の不織布層が金属製フックに当接する方向に向けて配設されることが、当て布の性能を上げる上で望ましい。
【0019】
また、本発明は、前記金属製フックを、前記当て布の非加圧圧縮時の厚さに相応する寸法だけベルト表面より沈ませて植設したことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、当て布がバラストロール等で加圧されない平常時の厚さを基準に金属製フックをベルト表面から所定の段差で沈ませて植設することで、コルゲーターベルト使用時の継手厚さを適正なものにすることができる。このようなコルゲーターベルトの継手は、特に、コルゲーターマシンが例えば段高が1.8mm以下、かつ、段山数が93/0.3mを超える段ボール用中しんを用いる段ボールシートや、紙器用板紙が用いられている紙器用途に使用する段ボールシートを加工するコルゲーターマシンにも好適に適用可能なコルゲーターベルトの継手となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて、以下に詳述する。なお、この実施の形態は図6に示すコルゲーターベルト(上ベルト)4に適用したものであり、図1は第1の実施の形態であるコルゲーターベルト4の継手30の経糸方向断面図、図2は図1継手30の部分平面図であり、図3は参考例のコルゲーターベルト4の継手50の経糸方向断面図である。
【0022】
図1及び図2の継手30は、コルゲーターベルト4の両端に植設した金属製フック31同士を回転可能に接合芯線42で接合して、コルゲーターベルト4を無端状にする。この継手30は、コルゲーターベルト4の両端に金属製フック31をコルゲーターベルト4の接紙面側33及び反接紙面側34のベルト表面より沈ませて植設して、金属製フック31の接紙面側33と反接紙面側34の両外面を一枚若しくは二枚以上重畳した当て布35,35で被覆したことを特徴とする。また、図3の参考例の継手50は、金属性フック31の少なくとも接紙面側33を上記同様な当て布35で被覆し、反接紙面側34を耐熱性樹脂36で金属製フック31の植設部からフック先端部近傍まで平坦又はテーパー状に被覆したことを特徴とする。
【0023】
即ち、金属製フック31がバラストロール等のコルゲーターマシン各構成要素や段ボールシートから受ける使用中の物理的磨損に継手30を対応させるため、及び、金属製フック31が段ボールシートに直接に当接することが無いように、コルゲーターベルト4の接紙面側33において、金属製フック31をベルト表面より沈ませて植設すると共に、金属製フック31の上面を、一枚若しくは二枚以上重畳した当て布35で被覆する。更に、コルゲーターベルト4の反接紙面側34においても、金属製フック31をベルト表面より沈ませて植設すると共に、金属製フック31の上面を、一枚若しくは二枚以上重畳した当て布35で被覆して、金属製フック31が図6に示すようなバラストロール8等のコルゲーターマシン各構成要素に直接に接触出来ないようにして、金属製フック31の反接紙面側34での物理的磨損を防ぐと共に、コルゲーターベルト4の走行に伴って金属製フック31がバラストロール8に周期的に接触するために生じるバラストロール8の振動の発生を防止する。
【0024】
上記構成の継手30の場合、当て布35のクッション性と相俟って、コルゲーターベルト4の接紙面側33だけに当て布を配する場合に比べて、金属製フック37をベルト表面から沈ませる量をより少なく設定出来るようになるため、金属製フック31が内在するベルトの継手部分39と本体部分40とでバラストロール8による加圧圧縮時の厚さが異なるために段ボールシート9に高低差が生じる問題が回避できて、より厳しい品質要求にも対応可能となる。
【0025】
金属製フック31をベルト表面より沈ませて植設するには、例えば図9の場合と同様にコルゲーターベルト4の両端の表面の緯糸を金属製フック31が喰い込む長さl(図2参照)だけ抜き取り、ベルト表面組織を解舒し、解舒して房状になった経糸を切除して薄層部32を形成し、この薄層部32に金属製フック31を植設する。金属製フック31は、その植設状態が使用中にも緩むことなく継続して強固に維持されるために必要な金属製フック植設部37の厚さtを確保した上で、ベルト表面より沈ませて植設する、かつ、金属製フック植設部37に植設した金属製フック31の高さが均一となるように植設する。薄層部32の厚さは、全体に略同一とする他、金属製フック植設部37からフック先端部38に向かってやや薄くなるテーパー状とすることが望ましい。
【0026】
当て布35は、図1及び図2に示す様に互いに接合した左右の金属製フック31の全体の外面、即ち、コルゲーターベルト4の両端の金属製フック植設部37及びフック先端部38を含む外面全体を、コルゲーターベルト4の接紙面側33と反接紙面側34の両面から被覆する(図1の場合)。このような当て布35は、コルゲーターベルト4の両端の一方側に縫着若しくは接着若しくは接着した後に縫着して、必要な接合の強度が得られるように取り付ける。ここで、当て布35を取り付ける側は、コルゲーターベルト4の両端のうちの走行方向前側(図2に図示した矢印の始端側)として、走行方向後側には固定せず、コルゲーターベルト4の走行に伴うフック先端部38の屈曲運動を妨げないようにする。当て布35は、接紙面側33及び反接紙面側34の各々の面において、一枚布に限らず、同じ構成の布帛若しくは異なった構成のものを2枚以上重畳して使用してもよい。
【0027】
また、当て布25の接着に使用する接着剤はシリコン系及びポリウレタン系等、耐熱性及び耐摩耗性が良好で弾力性のある接着剤を用いる。接着剤の塗布は、フック先端部38の近傍までとし、屈曲可動が必要なフック先端部38には塗布しない。また、縫着箇所41付近の外面には、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等の耐熱性及び弾力性良好な合成樹脂を塗布・含浸して、縫糸の摩損や劣化、解れを防ぐと共に、縫糸の段ボールシート9への当接の度合いを緩和することが望ましい。これらの縫糸及び合成樹脂は、コルゲーターベルト4の使用時の温度条件や耐摩耗性能を考慮して、適宜、好適なものを選択する。縫糸としては、一般の合成繊維糸条からなる縫糸を用いてもよいが、耐熱性、耐湿熱性、耐摩耗性や高強度の観点から、その少なくとも一部がメタ系及びパラ系アラミド繊維糸条やポリアリレート繊維糸条から成る縫糸が好適である。
【0028】
さらに当て布35は、織成布、又は、織成布から成る基層及びこの基層に結合する少なくとも1つの不織布層から成る布帛(以下、不織布製当て布と称する)、又は、合成樹脂シートや合成ゴムシートの内から適するものを選択して用い、使用中の物理的磨損に対応すると同時に、当該コルゲーターベルト4の使用時の温度条件に対応できる当て布35とする。また、コルゲーターベルト4よりもクッション性大なるものを好適とする。クッション性は、バラストロール8による加圧荷重に相当する荷重条件下での加圧圧縮前後の推定厚さの差で表現することができる。即ち、当て布35における荷重条件下での加圧圧縮前後の推定厚さの差が、コルゲーターベルト4における前記荷重条件下での加圧圧縮前後の推定厚さの差の1/2と略等しい、若しくは1/2より大きいものを好適とする。コルゲーターベルト4の通気度は通常、10〜300cm3/cm2・minの範囲を好適とするが、当て布35の通気度は、コルゲーターベルト4の通気性を損なわないように少なくともコルゲーターベルト4と同等以上が好ましい。
【0029】
また、当て布35は、接紙面側33と反接紙面側34とで各々別のものを用いても良く、例えば、接紙面側33には不織布製当て布を、反接紙側34には織成布を用いても良い。更に、当て布35として用いる織成布は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維など一般の合成繊維糸条を用いて織成されたものでも良いが、本発明の目的に沿えば耐熱性や耐摩耗性の良好な繊維糸条から成る織成布、例えばテクノーラ(帝人株式会社の商標)等のメタ系又はパラ系アラミド繊維糸条やポリアリレート繊維糸条、PPS繊維糸条、PEEK繊維糸条をその少なくとも一部に用いた繊維糸条から成る織成布が望ましく、例えば、経糸及び緯糸がテクノーラのマルチフィラメント糸で構成される織成布が好適である。耐熱性については、少なくともコルゲーターベルト4の接紙面側と同じ側の表面において120℃〜180℃の使用温度条件を前提とする。また、耐摩耗性は、少なくともコルゲーターベルト4の表面と同等以上のものが必要である。織組織は、厚さ及び剛性の観点から、一重織の平織、2/2及び2/1綾織が好適である。また、織成布の厚さは、織物の剛性、強力および摩耗損傷の影響等を考慮して、0.5mm〜1.5mmの範囲を好適とする。さらに、織成布表面の耐摩耗性を損なわない範囲で、可能な限りクッション性を付与すること、例えば、経糸をテクノーラのマルチフィラメント糸、緯糸を前記耐熱性や耐摩耗性の良好な繊維から成る紡績糸を主体とする糸条で構成することも好ましい。また、織成布を樹脂加工して更に磨損に強いものとすることも好ましい。
【0030】
当て布35としては、織成布に代えて耐熱性、耐摩耗性及びクッション性が良好な合成樹脂シートや合成ゴムシート、例えばシリコンゴムシート、フッ素ゴムシートや内部に気泡を含むポリウレタン樹脂シートを用いることも可能である。また、当て布35として不織布製当て布を用いる場合には、この不織布製当て布を構成する不織布層が基層の一方の面に結合された不織布製当て布とし、不織布層を金属製フック31に当接する方向、すなわちコルゲーターベルト4の内部側に向けると同時に、基層をコルゲーターベルト4の外部側に向けて、基布の耐摩耗性及び不織布層のクッション性がより有効に機能するように配設するのが好適である。これらの不織布製当て布においては、耐熱性及び耐摩耗性を上記した織成布より成る当て布35の場合と同じく、使用条件を考慮して設計する。
【0031】
さらに、上記不織布製当て布における織成布から成る基層は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維など一般の合成繊維糸条を用いて織成されたものでも良いが、本発明の目的に沿えば、耐熱性や耐摩耗性の良好な繊維糸条、すなわちメタ系又はパラ系アラミド繊維やポリアリレート繊維、PPS繊維、PEEK繊維を少なくとも一部に用いた繊維糸条から成る織成布が望ましく、例えば、経糸及び緯糸がテクノーラのマルチフィラメント糸で構成される織成布、及び経糸及び緯糸がポリエステル繊維及びコーネックス(帝人株式会社の商標)から成る紡績糸を撚り合わせた糸を主体とする糸条で構成される織成布が好適である。織組織は公知のものを用いることが出来るが、厚さ及び剛性の観点から、一重織の平織、2/2及び2/1綾織が好適である。
【0032】
また、不織布製当て布における基層に結合する不織布層は、合成繊維ウェブをニードルパンチ、スパンレース及びスパンボンド等公知の方法を用いて直接積層、又は、前もって形成した不織布層を基布に付加して結合して、クッション性良好な不織布層とする。合成繊維ウェブには、ポリエステル繊維、ポアミド繊維及びアクリル繊維など一般の合成繊維ウェブの他に、メタ系又はパラ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維、PPS繊維、PEEK繊維などの耐熱性の良好な繊維ウェブを、単独又は少なくとも2種以上混合して用い、不織布層の熱劣化を防ぐようにする。合成繊維ウェブの繊度及び積層量を適宜選択することで、不織布層の良好なクッション性を得ることができる。
【0033】
一方、コルゲーターベルト4の反接紙面側34において、金属製フック31の外面を耐熱性樹脂36で被覆する場合には、図3に示すように耐熱性樹脂36の塗布は金属製フック植設部37からフック先端部38の近傍までとし、屈曲可動が必要なフック先端部38には塗布しない。耐熱性樹脂36がコルゲーターベルト4の表面から盛り上がらない塗布厚さとし、コルゲーターベルト4の厚さ方向から見て平坦に、又は、金属製フック植設部37からフック先端部38の近傍に向けて厚さが減少するテーパー状に塗布する。使用する耐熱性樹脂は、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等の耐熱性および耐摩耗性が良好、かつ適度な硬度と弾力性を有するものを選択して用い、コルゲーターベルト4の走行方向の可撓性に悪影響を与えないように、またベルトの継手部分39のクッション性を損なわないようにする。
【0034】
以上の本発明に係るコルゲーターベルトの継手30は、当て布35と金属製フック31との間で、金属製フック植設部37からフック先端部38の近傍までを、更に、耐熱性樹脂で被覆することを特徴とする。これにより、金属製フック31の外面をクッション性良好な当て布35で被覆した効果をより一層有効高めることができる。屈曲可動が必要なフック先端部38には塗布しないのは勿論である。また、バラストロール8による加圧圧縮時の継手部分39の厚さが本体部分40よりも厚くならない程度の塗布厚さとする。耐熱性樹脂は、前述の反接紙面側34への塗布と同じく、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等の耐熱性が良好、かつ適度な硬度と弾力性を有するものを使用する。
【0035】
また、本発明に係るコルゲーターベルトの継手30における金属製フック植設部37の厚さtは、コルゲーターベルト4の使用時に受ける負荷応力及び外力に対応できる金属製フック31の植設状態を長期に維持するのに必要な厚さを確保する必要があり、例えば、本体部分40の厚さが8mm〜11mmの綿繊維及び又は合成繊維から成るコルゲーターベルト4に対して、金属製フック植設部37のベルト厚さt=7mm〜9mmを確保する。この場合、当て布35を取り付けるための厚さ寸法aは、例えば、接紙面側33及び反接紙面側34に均等には0〜2mmが確保できることになる。接紙面側33と反接紙面側34とで異なる寸法とすることも可能である。
【0036】
また、本発明に係るコルゲーターベルトの継手30は、金属製フック31を当て布35の非加圧圧縮時の厚さに相応する寸法bだけベルト表面より沈ませて植設する。ここで、当て布35の非加圧圧縮時の厚さに相応する寸法bとは、当て布35の非加圧圧縮時の厚さs1以上、且つ、ベルトの本体部分40の非加圧圧縮時の厚さu1及び金属製フック植設部37の必要厚さtから求めた前記厚さ寸法aの最大値以下の寸法のことである。また、本体部分40及び当て布35の初期摩耗や使用中の経時変化による厚さの減少量の推定値を、s1及びu1から前もって差し引いておくのが望ましい。
【0037】
金属製フック31を当て布35の非加圧圧縮時の厚さに相応する寸法bだけベルト表面より沈ませて植設し、金属製フック植設部37の上面に、少なくとも本体部分40より良好かつ適度なクッション性を有する当て布35を配設することにより、ベルトの継手部分39におけるバラストロール8による加圧荷重に相当する荷重条件下での加圧圧縮時の推定厚さv2を、同加圧圧縮時の本体部分40の推定厚さu2と略等しく、又は、ある一定量小さくすることが可能となる。従って、本体部分40が使用中の経時変化で摩耗して厚さがある一定量減少するようなことがあっても、当て布35がその良好なクッション性を伴って作用して、金属製フック31の反接紙面側34での物理的磨損とバラストロール8との直接の接触を防止し、ベルトの継手部分39が当接する部分でのシートマークや印刷時のむら発生を無くすことができるようになる。
【0038】
また、本発明に係るコルゲーターベルトの継手30は、コルゲーターベルト4の使用時のバラストロール8による加圧荷重に相当する荷重条件での加圧圧縮時において、当て布35を、その表面がベルトの接紙面側33及び又は反接紙面側34のベルト表面と略同一の高さ、又は、より沈むように配設する。金属製フック31をベルト表面より沈ませて植設し、金属製フック植設部37の外面に、少なくとも本体部分40より良好かつ適度なクッション性を有する当て布35を選択して配設することにより、ベルトの継手部分39におけるバラストロール8による加圧荷重に相当する荷重条件下での加圧圧縮時の推定厚さv2を、同加圧圧縮時の本体部分40の推定厚さu2と略等しく、又は、より小さくすることができて、当て布35の表面がベルトの接紙面側33及び/又は反接紙面側34のベルト表面と略同一の高さ又はより沈むようにすることが可能となる。従って、コルゲーターベルト4の使用時のバラストロール8による加圧圧縮時において、ベルトの本体部分40と継手部分39との厚み差が更に小さくなることが期待でき、より高い品質要求への対応が可能となる。これは、ベルトの本体部分40及び継手部分39の摩耗による厚さの減少がほぼ同等と見込める場合はより有効となる。
【0039】
なお、以上の各実施の形態はコルゲーターマシンの上ベルトであるコルゲーターベルトについてであるが、同コルゲーターマシンの下ベルトであるコルゲーターベルトにおいても上記継手構造の適用が有効である。
【0040】
【実施例】
以下、図1〜図4及び図7(A)に基づいて、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0041】
(実施例1)
先ず、図7(A)に示す織組織及び表1に示す仕様に基づいてコルゲーターベルト4を織成した。また、当て布35は、図4に示す織組織及び表1に示す仕様に基づいて織成した基層の一方の面に、表1に示す仕様の不織布層をニードルパンチにて積層後、ヒートセット加工を施して不織布製当て布35を製作した。
【0042】
尚、表1において、Cは木綿紡績糸、Nはナイロンマルチフィラメント糸、Tはポリエステルマルチフィラメント糸又は紡績糸、COXはコーネックス紡績糸、NOXはノーメックス繊維ステープルを表す。また、糸条構成を示す/は撚糸を、//は引揃え糸を表す。
【0043】
【表1】
Figure 0004679708
次に、コルゲーターベルト4及び不織布製当て布35の加圧圧縮時の厚さ変化量を調べるために、コルゲーターベルト4及び不織布製当て布35の厚さを、荷重条件を変えて測定した。測定方法は、加圧式厚み計(CR−30型、大栄科学精器製作所製)を用い、コルゲーターベルト4及び不織布製当て布35の表面に、直径φ9.4mm、長さ20.1mmの鉄製丸棒の曲面状側面を介して測定装
置の検出ヘッドを各荷重条件のもとに押し付けて、厚さを測定し、無荷重状態から各荷重での加圧圧縮時までの厚さ変化量を求めた。荷重条件としては、前記丸棒の単位長さ当たりの荷重として、無荷重相当(略0.0kg/cm)及び0.25kg/cm、0.5kg/cmを用いた。求めた結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004679708
表2に示す結果より、ベルトの本体部分40の非加圧圧縮時の厚さu1=10.9mm、及び不織布製当て布35の非加圧圧縮時の厚さs1=1.6mmを得ると共に、不織布製当て布35のクッション性がベルトの本体部分40よりも良好である事が確認できた。試料の厚さは、各荷重条件での厚さ測定の後には、ほぼ元の値に戻っていた。実施例1のコルゲーターベルトの継手の経糸方向断面は、図1に示す本発明の第1の実施形態のコルゲーターベルトの継手の経糸方向断面と同一である。
【0045】
次に、コルゲーターベルト4の両端にベルトの継手30を形成した。この継手30は、コルゲーターベルト4の両端の表面の緯糸を金属製フック31が喰い込む長さl=25mmだけ抜き取り、ベルト表面組織を解舒し、その房状になった経糸を切除して薄層部32を形成し、この薄層部32に金属製フック31を植設して形成した。コルゲーターベルト4の使用時の負荷張力3kg/cmを満たす金属製フック31の規格値より、薄層部32の厚さt=7.7mmとし、薄層部32の表面をコルゲーターベルト4の接紙面側33及び反接紙面側34の両表面から、共に1.6mmずつ沈ませて形成した。植設した金属製フック31の上面全体、すなわちコルゲーターベルト4における金属製フック植設部37及びフック先端部38を含む上面全体を被覆するように、不織布製当て布35を、接紙面側33及び反接紙面側34の両側から、その不織布層をコルゲーターベルト4の内側に向けて、縫着箇所41にテクノーラのマルチフィラメント糸条より成るミシン糸を用いて、縫い目をコルゲーターベルト4の幅方向に平行に接紙面側33と反接紙面側34とで互いに位置をずらしてミシン縫着した。
【0046】
参考例
参考例のコルゲーターベルトの継手の経糸方向断面は、図3に示すコルゲーターベルトの継手の経糸方向断面と同一である。参考例が実施例1と異なるのは、実施例1では、コルゲーターベルト4の接紙面側33及び反接紙面側34に不織布製当て布35を縫着したのに対して、参考例では、コルゲーターベルト4の接紙面側33だけに不織布製当て布35を縫着し、反接紙面側34は、耐熱性樹脂36を、コルゲーターベルト4の両端部それぞれに、金属製フック植設部37からフック先端部38の近傍まで、屈曲可動が必要なフック先端部38を除いて、ベルトの本体部分40の表面と同じ高さになるように平坦に塗布した。耐熱性樹脂36は、シリコン樹脂として、シリコーン接着剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を使用した。
【0047】
(比較例)
比較例のコルゲーターベルトの継手の経糸方向断面は、先行技術の説明に用いた図9とほぼ同一のものである。この比較例では、実施例1,2と同じ仕様のコルゲーターベルト4を用い、当て布65は、経糸及び緯糸にテクノーラマルチフィラメント糸を用いた平織組織の織成布(テクノーラ当て布 MO5810P 帝建株式会社製、厚さ0.83mm)を用いた。また、薄層部60の厚さtを8.3mmとし、薄層部60の表面をコルゲーターベルト4の接紙面側表面から2.6mm沈ませて形成した。この薄層部60に金属製フック61を植設した後、接紙面側から、当て布35をテクノーラマルチフィラメント糸条より成るミシン糸を用いて縫着して、植設した金属製フック61全体の上面を被覆した。また、コルゲーターベルト4の反接紙面側34はそのままとした。
【0048】
(加圧圧縮時の厚さ変化量の測定)
次に、本発明及び従来のコルゲーターベルトの継手における、バラストロール8による加圧圧縮時の本体部分と継手部分との厚さ変化量の差を推定するために、上記実施例1、実施例2、比較例の各コルゲーターベルトの本体部分40及び継手部分39の厚さを、先の方法と同じ測定方法を用いて、各荷重条件のもとに測定し、無荷重状態から各荷重での加圧圧縮時までの厚さ変化量を求めた。継手部分39については、金属製フック植設部37付近の厚さを測定した。測定した結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
Figure 0004679708
表3に示す測定結果から、バラストロール8による加圧荷重条件に相当する範囲に含まれる荷重条件0.25kg/cm及び0.5kg/cmにおける、本体部分と継手部分との加圧圧縮時の厚さ変化量の差が、比較例に比べて実施例1及び実施例2は非常に小さいことが解った。従って、本体部分40よりも良好なクッション性を有する不織布製当て布35を用いた実施例1及び実施例2の継手部分39は、ベルト使用時においても良好なクッション性を発揮するのに対して、比較例の継手部分39は、本体部分40よりも硬いために、段ボールシートへの当接が強くなることが予想される。
【0050】
(継手部分の段ボールシートへの当接状況の推定)
次に、本発明及び従来のコルゲーターベルトの継手部分39の、バラストロール8による加圧圧縮時の段ボールシートへの当接状況を推定するために,上記実施例1、実施例2、比較例の各コルゲーターベルトの継手部分の表面の状態を、インストロン5568型万能試験装置を用いて、圧力測定フィルム(プレスケール)に加圧転写して採取した。採取方法は、上記試験装置の試料テーブル(鉄製)上に実施例1、実施例2及び比較例の各ベルトの継手部分39をセットし、その接紙面側表面に圧力測定フィルム(富士プレスケール LLW(超低圧用)、富士写真フィルム株式会社製)を載せ、その上から検出ヘッドの円柱状端面(鉄製、表面積0.002m2)を押し付けて、各ベルトの継手部分39の接紙面側表面の状態を転写した。加圧条件は、加圧力9.8×104Pa又は19.6×104Paをそれぞれ加圧時間1sec、与える条件とした。採取した結果を図5に示す。
【0051】
図5(A),(B),(C)は加圧力9.8×104Paの場合、図5(D),(E),(F)は加圧力19.6×104Paの場合の結果である。また、図5(A),(D)は実施例1、図5(B),(E)は実施例2、図5(C),(F)は比較例の継手部分についての結果である。これら図5(A)〜(F)において、X−Xは当て布35の縫着箇所41、Y−Yは金属製フック37の脚先端部付近、Z−Zはフック先端部35をそれぞれ示す。
【0052】
図5(C),(F)の比較例では、加圧力9.8×104Pa及び19.6×104Paの場合共に、Y−Y付近から図上の左方向に向かって筋状に強く転写されている箇所が有り、金属製フック37の脚部付近が他の部分より強く当接している状況が見られる。一方、図5(A),(D)及び(B),(E)の実施例1及び実施例2では、加圧力9.8×104Pa及び19.6×104Paという強い加圧力にも係わらず、そのような箇所は見当たらない。従って、実施例1及び実施例2の継手では、バラストロール8による加圧圧縮時においても不織布製当て布35及び耐熱性樹脂36の良好なクッション性が発揮されて継手部分全体に一様な当接状況となることが推定される。これに対して比較例の継手では、織成布より成る当て布のクッション性が足りず、金属製フックの脚部付近が他の部分より強く当接する不均一な当接状況となることが推定される。
【0053】
(段ボールシート貼合状況の確認)
上記により形成した実施例1、実施例2及び比較例の継手を有するコルゲーターベルト4をコルゲーターマシンのダブルフェーサー部3に掛け入れ、その両端部の金属製フック同士を噛み合わせて、その共通孔に接合芯線42を挿通して無端状とし、段高0.5mm、段山数175/0.3mの段ボール用中しん及び坪量170g/m2の外装用ライナーより成る両面段ボールシートを、貼合速度150m/min、ベルトテンション3kg/cm、熱板温度140℃の条件で製造した。製作した段ボールシートを検査した結果、実施例1及び実施例2の継手を有するコルゲーターベルトを用いたものには、段ボールシートの表面(熱板7と接する面)及び裏面(コルゲーターベルト4と接する面)のどちらにも、シートマークや印刷むらの要因となるような厚さの差は見当たらなかった。一方、比較例の継手を有するコルゲーターベルトを用いたものは、段ボールシートの表面において継手部分が当接した付近の段ボールシート表面に波うち状の貼合不良が周期的に発生し、段ボールシートの裏面において継手部分が当接した付近にシートマークが発生しているのが確認された。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、コルゲーターベルトの両端部に金属製フックをベルト表面より沈ませて植設して、金属製フックを接紙面側と非接紙面側の両面側から一枚若しくは二枚以上重畳した当て布で被覆したので、当て布にコルゲーターベルトの使用条件を考慮した耐熱性、耐摩耗性及び良好なクッション性を有する布帛等を用いることで金属製フックの物理的磨損を長期にわたって防ぐことができると共に、コルゲーターベルトの走行に伴う金属製フックとの周期的な接触によって生じるバラストロールの振動の発生を抑制することができ、ひいてはバラストロールからの加圧力を一定に保ち、段ボールシートに対する密着性を均一に維持することが可能となる。
【0055】
また、当て布の良好なクッション性と相俟って、コルゲーターベルトの接紙面側だけに当て布を配する場合に比べて、金属製フックをベルト表面より沈ませる量をより少なく設定できるようになって、金属製フックが内在する継手部分とベルト本体部分とでバラストロール通過時の厚さが異なるために段ボールシートに高低差が生じる問題が回避できる。そのため、段ボールシート表面のシートマークや印刷時のむら発生を回避することができて、従来の継手では困難であった高度な品質要求への対応が可能となる。
【0056】
更に、金属製フックを当て布の非加圧圧縮時の厚さに相応する寸法だけベルト表面より沈ませて植設し、また、バラストロールによる加圧荷重に相当する荷重条件下での加圧圧縮時において当て布の表面がコルゲーターベルトの接紙面側と反接紙面側のベルト表面と略同一の高さ又はより沈むようにすることで、バラストロールによる加圧圧縮時におけるコルゲーターベルトの本体部分と継手部分との厚み差が更に小さくなることが期待でき、より一層高度な品質要求への対応が可能となる。このような本発明の継手は、特に、コルゲーターマシンが段高1.8mm以下、段山数が93/0.3mを超える段ボール用中しんを用いる段ボールシートや、紙器用板紙が用いられている紙器用途に使用する段ボールシートを加工するコルゲーターマシンにも好適に適用可能なコルゲーターベルトの継手となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】 図1の継手部分の一部省略部分を含む平面図である。
【図3】 本発明の参考例を示す断面図である。
【図4】 不織布とニードルパンチの積層時の断面図である。
【図5】 (A)〜(F)は本発明継手部分の実験データを説明するためのコルゲーターベルトの継手部分の加圧実験転写図である。
【図6】 コルゲーターマシンの概要を示す側面図である。
【図7】 (A)、(B)は多層織りコルゲーターベルトの断面図である。
【図8】 従来のコルゲーターベルトの継手部分の断面図である。
【図9】 他の従来のコルゲーターベルトの継手部分の断面図である。
【図10】 (A)は他の従来のコルゲーターベルトの継手部分の断面図である。
(B)は(A)における従来継手の断面図である。
(C)は(A)における他の従来継手の断面図である。
【図11】 他の従来のコルゲーターベルトの継手部分の断面図である。
【図12】 他の従来のコルゲーターベルトの継手部分の断面図である。
【符号の説明】
1 ヒーティングパート
2 クーリングパート
3 ダブルフェーサー部
4 コルゲーターベルト
5 片面段ボール
6 ライナー紙
9 段ボールシート
30 継手
31 金属製フック
33 接紙面側
34 反接紙面側
35 当て布
36 耐熱性樹脂
50 継手

Claims (5)

  1. コルゲーターマシンのダブルフェーサー部に用いられるコルゲーターベルトの両端に植設した金属製フック同士を接合して無端状と成す継手であって、前記金属製フックを、前記コルゲーターベルトの両端の接紙面側及び反接紙面側から厚さを減じて形成した薄層部に、前記コルゲーターベルトの接紙面側及び反接紙面側のベルト表面より沈ませて植設し、前記金属製フックの外面を、前記コルゲーターベルトの接紙面側及び反接紙面側の両側から一枚若しくは二枚以上重畳した当て布で、前記コルゲーターベルト使用時の加圧荷重に相当する荷重条件での加圧圧縮時に前記当て布表面が前記当て布表面と隣接する前記コルゲーターベルトの表面と略同一の高さかこの高さよりも沈む状態にして被覆すると共に、前記接紙面側及び反接紙面側の当て布の一端を、前記コルゲーターベルトの両端のうちの走行方向前側端の前記薄層部に縫着又は接着し、他端を走行方向後側端の前記薄層部まで延在させたことを特徴とするコルゲーターベルトの継手。
  2. 前記当て布と前記金属製フックとの間で、金属製フックの植設部を耐熱性樹脂で被覆したことを特徴とする請求項1記載のコルゲーターベルトの継手。
  3. 前記当て布が、織成布から成る基層及びこの基層に結合する少なくとも1つの不織布層から成る布帛で構成されて、この布帛の不織布層が金属製フックに当接する方向に向けて配設されることを特徴とする請求項1または2記載のコルゲーターベルトの継手。
  4. 前記金属製フックを、前記当て布の非加圧圧縮時の厚さに相応する寸法だけベルト表面より沈ませて植設したことを特徴とする請求項1乃至いずれか1記載のコルゲーターベルトの継手。
  5. 前記コルゲーターベルトが、Eフルートまたは段高1.8mm以下で段山数93/0.3mを超える段ボール中しんを用いる段ボールシートの製造に適用されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記載のコルゲーターベルトの継手。
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