JP3911758B2 - 電気採暖具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気カーペットなどの電気採暖具の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気カーペットなどの電気採暖具は、一般的には図6に示す様にフェルト等の繊維質の断熱材1にコード状のチュービングヒータ等の発熱体2を均一に配設し、その上に熱融着シート3、不織布等の表布4を配置して熱プレスにより熱融着シート3を溶かしつつ断熱材1と表布4を圧着して発熱体2を固定する構成となっている。また、熱融着シート3の代わりに接着剤を使用して断熱材1と表布4を単に圧着して発熱体2を固定する構成のものもある。
【0003】
しかしながら、このような従来の電気採暖具では、熱プレスによる圧着だけでは発熱体を断熱材に沈み込ますことができないため、表布の表面に発熱体の形が浮き出てしまう、発熱体の浮きの問題があった。
【0004】
そこで、実開昭63−55008号公報に示されているような採暖具が考えられる。この考案は、図7に示すように、架橋ポリエチレン発泡体よりなる発泡シート5に配管溝6を設け、この配管溝6に温水等の加熱流体を流通させる導管7を敷設した後、表面に被覆材8を被着した構成となっていて、導管7の代わりに発熱体2を使用すれば電気採暖具にも採用できるものである。すなわち、この実開昭63−55008号公報の中で明示されている発泡シート5が、上記に述べた従来例の断熱材1に当たり、被覆材8が表布4に対応することになる。
【0005】
したがって、この構成であれば、発熱体の浮きの問題は改善される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図7の従来の構成では、発泡シート5は発泡体であるために上から人が踏み込んだりすると、裏面は発泡シート5がむき出しで有るために破れが容易に発生していた。その為に図8に示すように裏面にも不織布等の繊維質の裏布10を取り付ける構成のものがある。
【0007】
しかしながら通常の不織布では、繊維に方向性が有るため、引き裂き強度が弱く、敷居等の段差がある場合上面から踏みつけられた場合通常の不織布では亀裂が発生していた。また軟質発泡体9の発泡の途中段階では、金型内の発泡圧により不織布(ニードルパンチ)などの繊維で出来ている浸透性のある基材で構成される表布4、裏布10では表面外側に軟質発泡体9が滲み出し非常に見栄えの悪い物となっていた。また滲み出しによる凹凸が有るために、凹凸にごみがたまり掃除がしにくい物であった。さらに滲み出した凹凸が摩擦によりはがれごみとなると言う様な問題も有していた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、発熱体と、この発熱体を覆う平板状の軟質発泡体と、この軟質発泡体の表面を覆う表面材とを具備し、前記表面材は、熱延伸処理された糸条を経糸と緯糸として織編組された基材と、この基材の両面に設けられ、発泡時の軟質発泡体の浸透を阻止する樹脂層とで構成し、一方の樹脂層を介して前記軟質発泡体に基材を接合させるとともに、前記一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側を粗面状としたものである。
【0009】
上記発明によれば、一般に樹脂は、熱延伸処理を施されると、機械的強度が格段に増す事が確認されている。敷居等の段差上で設置され上面から踏みつけられた場合でも、表面材に亀裂が発生せず、軟質発泡体が外側に滲み出してこず、見栄えの良い掃除の行い易い電気採暖具を提供できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、発熱体と、この発熱体を覆う平板状の軟質発泡体と、この軟質発泡体の表面を覆う表面材とを具備し、前記表面材は、熱延伸処理された糸条を経糸と緯糸として織編組された基材と、この基材の両面に設けられ、発泡時の軟質発泡体の浸透を阻止する樹脂層とで構成し、一方の樹脂層を介して前記軟質発泡体に基材を接合させるとともに、前記一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側を粗面状とした。
【0011】
したがって、敷居等の段差上に設置されて上面から踏みつけられた場合でも、表面材に
亀裂が発生せず、しかも、樹脂層により軟質発泡体が表面外側に滲み出さず、見栄えの良い掃除の行い易い電気採暖具となる。しかも、一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側が粗面状に構成してあるため、軟質発泡体からの表面材の剥離が確実に防止できる。
【0012】
粗面状とする具体的例としては、コロナ放電処理によるもの、穴シートを接着固定するもの、一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側に直接微細な孔を形成するものなどが考えられる。
【0013】
以下、本発明の実施例を説明する前にその参考実施例を図面を用いて説明する。
【0014】
(参考実施例1)
図1において、熱源である発熱体2が軟質発泡体9に埋設固定されている。上面には、デザイン性の良いカバー11がかぶせてある。
【0015】
図2は、経糸と緯糸を明確に表示するため、経糸と緯糸の隙間を開けて記載してあるが、本実施例では、経糸と緯糸の隙間がなく、目が詰まった状態で実施している。
【0016】
図3において、表布4は発熱体2が接着部を介して固定されており裏布10との間に軟質発泡体9が挟まれている。表布4には、軟質発泡体9の発泡の途中段階で、金型内の発泡圧により軟質発泡体9が滲み出さない様に非浸透性の樹脂が塗布されている。
【0017】
裏布10は、熱延伸処理を施され、機械的強度が十分にあるフラットヤーン(糸条)を経糸と緯糸として織編組された基材13に非浸透性をもたせるためにピンホールなどの無い外樹脂12Aが層状に塗布された構成となっている。
【0018】
そして、基材13の経糸と緯糸の隙間に軟質発泡体が入り込んで絡んでいる。また、外樹脂12Aは、滑り止め効果のあるぬめり性のある樹脂を使用している。
【0019】
基材13と外樹脂12Aの材質としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等がある。表布4の上に設けて使用するカバー11は、図示していない。
【0020】
次に作用を説明する。織編組された基材13の経糸と緯糸の隙間をなくした構成(目が詰まった状態)としたために、全面が熱延伸処理の施されたフラットヤーン(糸条)で覆われる事となり、薄い非浸透性を有する樹脂層に孔が開き、軟質発泡体が滲み出す事がない。
【0021】
また、裏布10の基材13に熱延伸処理を施し、機械的強度が十分にあるフラットヤーン(糸条)を経糸と緯糸として織編組された物を使用した為敷居等の段差上で上面から踏みつけられた場合でも、裏布に亀裂が発生しない。
【0022】
また非浸透性をもたせるためにピンホール等の無い外樹脂12Aを層状に塗布した為軟質発泡体9の発泡の途中段階で、金型内の発泡圧により軟質発泡体が滲み出さない。従って外観の見栄えの良い掃除の行い易い電気採暖具が得られる。
【0023】
また外側からもお茶など液体をこぼしても、内部に浸透しない為、拭き取り易い防水防汚の電気採暖具が提供出来る。
【0024】
また、滲み出しによる凹凸が無いために、凹凸にごみがたまり掃除がしにくいと言う事がない。さらに、滲み出した凹凸が摩擦によりはがれごみとなると言う事も無い。
【0025】
また、基材13に軟質発泡体が接着されているために、基材13の経糸と緯糸の隙間に軟質発泡体が入り込んで絡んでいるので、裏布10と軟質発泡体9の接着強度が得られ、使用途中での剥離の発生がない。
【0026】
また、外樹脂層12Aは、滑り止め効果のあるぬめり性の有る樹脂を使用しているので、フローリング等で使用した場合でも、人が踏み込んだ時に移動しない使い勝手の良い電気採暖具が得られる。
【0027】
以上の参考実施例1をふまえ次に本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0028】
(実施例1)
図4は本発明の実施例1の電気採暖具を示し、参考実施例1と同一符号のものは、同一作用をする構成を示し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。なお、カバーは図示していない。
【0029】
図4において、裏布10は、熱延伸処理を施され、機械的強度が十分にあるフラットヤーン(糸条)を経糸と緯糸として織編組された基材13に非浸透性をもたせるためにピンホールなどの無い外樹脂12Aと内樹脂12Bが層状に塗布された構成となっている。外樹脂12Aの本体外側の面と内樹脂12Bの軟質発泡体9との接着面には、微細な凹凸加工(マット処理)が施されている。また内樹脂層12Bの軟質発泡体9との接着面には、コロナ放電処理が施されている。コロナ放電処理は、処理面を物理的に凹凸に粗らすと共に、化学的に結合しやすくする効果が認められている。
【0030】
次に作用を説明する。基材13の両面に外樹脂12Aと内樹脂12Bを設けた為に、万一外樹脂12Aの層にピンホールなどが有っても対面の内樹脂層12Bの同じ場所にピンホールがある可能性は、ほとんどない為、軟質発泡体9が裏布10の外側へ滲み出す事がない。
【0031】
また、外樹脂層12Aの本体外側の面に微細な凹凸加工(マット処理)が施されている為に、テカテカしないデザイン性の良い、汚れが付きにくい電気採暖具を提供できる。また、層状の内樹脂12Bの軟質発泡体9との接着面に、微細な凹凸加工(マット処理)が施した為に、内樹脂12Bと軟質発泡体9との接着面の接着面積を多く出来、裏布10と軟質発泡体9の接着強度を大きく出来る。また層状の内樹脂12Bの軟質発泡体9との接着面には、コロナ放電処理が施されている為に、裏布10と軟質発泡体9の接着が強固になり、軟質発泡体9と裏布10の接着性が良いため折り曲げ等により軟質発泡体9と裏布10が外れて表面が凸凹にならず、裏布10に皺の発生の無い電気採暖具が提供できる。
【0032】
(実施例2)
図5は本発明の実施例2の電気採暖具を示し、参考実施例1と同一符号のものは、同一作用をする構成を示し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。なお、カバーは図示していない。
【0033】
図5において、裏布10の基材13に穴シート14が層状の内樹脂12Bにより接着固定され、穴シート14の微細な穴に軟質発泡体9が入り込んでいる。なお穴シート14の代わりに内樹脂層12 Bに、微細な孔を設けても良い。また、穴シート14の代わりに、毛羽立ちのある不織布等を設けても良い。
【0034】
次に作用を説明する。穴シート14の微細な穴に軟質発泡体9が入り込んでいる(アンカー効果)為に裏布10と軟質発泡体9の接着が強固になり、軟質発泡体9と裏布10の接着性が良いため折り曲げ等により軟質発泡体9と裏布10が外れて表面が凸凹になったり裏布10に皺の発生が無い電気採暖具が提供できる。
【0035】
なお穴シート14の代わりに層状の内樹脂12Bに、微細な孔を設けても、同様の効果を期待出来る。また、穴シート14の代わりに、毛羽立ちのある不織布等を設けても、不織布の毛羽立ちが軟質発泡体9と絡み合う(アンカー効果)為に裏布10と軟質発泡体9の接着がさらに強固になり、同様の効果を期待出来る。
【0036】
以上説明した参考実施例、及び各実施例の技術的意義を総括すれば、以下次の通りとなる。
【0037】
(1)発熱体と、前記発熱体を覆う軟質発泡体からなる本体とを備え、前記本体の両外側の面叉は片側の面に、熱延伸処理されたフラットヤーン(糸条)を経糸と緯糸として織編組された基材に層状に樹脂を塗布する構成により非浸透性を有する表面材とした為に、敷居等の段差上で設置され上面から踏みつけられた場合でも、熱延伸処理を施している為に裏布に亀裂が発生せず、さらに樹脂の塗布により非浸透性とした為に軟質発泡体が表面外側に滲み出してこず、見栄えの良い掃除の行い易い電気採暖具を提供できる。
【0038】
(2)織編組された基材の経糸と緯糸の隙間をなくした構成としたために、全面が熱延伸処理の施されたフラットヤーン(糸条)で覆われる事となる為、薄い非浸透性を有する層状の樹脂層に孔が開き、軟質発泡体が滲み出す事がない。
【0039】
(3)織編組された基材の片側の面にのみ樹脂を塗布する構成とし、樹脂を塗布しない面を軟質発泡体との接着面としたため、軟質発泡体が、織編組された経糸と緯糸の隙間へ入り込みアンカー効果によって、軟質発泡体と表面材との接着強度が得られる。
【0040】
(4)織編組された基材の両側面に層状に樹脂を塗布した為片面の樹脂層にピンホールなどが有っても対面の樹脂層の同じ場所にピンホールがある可能性は、ほとんどない為軟質発泡体が、表面材の外側へ滲み出す事がない。
【0041】
(5)織編組された基材に塗布された樹脂の軟質発泡体との接着面にコロナ放電処理を施した構成としたため、軟質発泡体と表面材との接着強度が得られる。
【0042】
(6)織編組された基材に層状に塗布された両樹脂の外側の面に微細な凹凸処理(マット処理)を施した為に、軟質発泡体との接着面では、軟質発泡体との接着面積を多く出来、軟質発泡体と表面材との接着強度を大きく出来る。また軟質発泡体との接着面と反対側の樹脂の外側の面に微細な凹凸処理を施した為、テカテカしないデザイン性の良い、埃の付着しにくい電気採暖具を提供できる。
【0043】
(7)織編組された基材に層状に塗布された樹脂の軟質発泡体との接着面を穴のある構成としたため、軟質発泡体が穴の中へ入り込むアンカー効果によって、軟質発泡体と表面材との接着強度を増す事が出来る。
【0044】
(8)織編組された基材に層状に塗布された樹脂には摩擦力の大きい滑り止め効果を有する樹脂を使用した為に、フローリング等で使用した場合でも、人が踏み込んだ時に移動しない使い勝手の良い電気採暖具が得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電気採暖具としての耐久性が著しく高まり、しかも外観性も大いに向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考実施例1の電気採暖具の外観斜視図
【図2】 本発明の参考実施例1の電気採暖具の基材の表面の模式図
【図3】 本発明の参考実施例1の電気採暖具の要部断面構成図
【図4】 本発明の実施例1の電気採暖具の要部断面構成図
【図5】 本発明の実施例2の電気採暖具の要部断面構成図
【図6】 従来の電気採暖具の要部断面構成図
【図7】 他の従来の採暖具の部分断面図
【図8】 従来の電気採暖具の要部断面構成図
【符号の説明】
2 発熱体
4 表布
9 軟質発泡体
10 裏布
12 樹脂層
12A 外樹脂層
12B 内樹脂層
13 基材
14 穴シート
Claims (4)
- 発熱体と、この発熱体を覆う平板状の軟質発泡体と、この軟質発泡体の表面を覆う表面材とを具備し、前記表面材は、熱延伸処理された糸条を経糸と緯糸として織編組された基材と、この基材の両面に設けられ、発泡時の軟質発泡体の浸透を阻止する樹脂層とで構成し、一方の樹脂層を介して前記軟質発泡体に基材を接合させるとともに、前記一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側を粗面状とした電気採暖具。
- コロナ放電処理により一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側を粗面状とした請求項1記載の電気採暖具。
- 一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側に穴シートを接着固定して粗面状とした請求項1記載の電気採暖具。
- 一方の樹脂層の軟質発泡体への接合側に直接微細な孔を形成して粗面状とした請求項1記載の電気採暖具。
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JP (1) | JP3911758B2 (ja) |
-
1997
- 1997-04-01 JP JP08258297A patent/JP3911758B2/ja not_active Expired - Fee Related
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