JP4725827B2 - 敷物と裏打加工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平織カーペット、タフテッドカーペット、ウイルトンカーペット、ニードルパンチングフェルトカーペット、および、それらのカーペットを小サイズに裁断した足拭きマット、バスマット、キッチンマット、トイレマット、ダストコントロールマット、炬燵敷きマット、電熱カーペット上敷きカバー等の敷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度のクッション性と保温断熱性が要求される敷物では、平織布帛やタフテッドパイル布帛、ウイルトンパイル布帛、ニードルパンチングフェルト等の平織カーペットやタフテッドカーペット、ウイルトンカーペット、ニードルパンチングフェルトカーペット等の敷物原反の裏面に発泡樹脂組成物を塗布積層して発泡裏打層を形成し、或いは、それらの敷物原反の裏面に発泡倍率が5倍以上のゴム発泡シート、ポリエチレン発泡シート、ポリプロピレン発泡シート、エチレン酢酸ビニル発泡シート、ポリ塩化ビニル発泡シート、ポリウレタン発泡シート等の発泡シートを貼り合わせる方法がとられる。特に、発泡倍率が10倍以上の連続気泡によって構成されたポリウレタン発泡シートは、クッション材や保温断熱材として広く使用されていて安価で容易に入手することが出来、完全弾性体で使用中に永久歪みが発生せず、軽くてすべり難く、種々の接着剤に対して良好な接着性を示す等の利点からして、敷物の裏材としての使用が期待され、曾て炬燵敷きマットの裏材に広く使用された時期もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、その後、ポリウレタン発泡シートは炬燵敷きマットの裏材にも殆ど使用されていない。それは、ポリウレタン発泡シートを構成する連続気泡に塵埃が入り込んで汚れ易く、又、それが高発泡倍率であるが故に連続気泡を囲むポリウレタン樹脂皮膜(気泡セル壁)も極薄で引き裂かれ易く、層内剥離が起き易く、欠損して剥離脱落する等の理由によるものと思われる。そこで、ポリウレタン発泡シートに裏布を貼り合わせて被覆することも考えられたが、そうすると敷物がポリウレタン発泡シートを間に挟んだ敷物原反(基布)と裏布が重なった多重積層構造になり、巻き上げたり折り畳むとき、その屈曲箇所において敷物原反と裏布との2枚の布帛の間に必然的に生じる外径と内径との寸法差に起因して2枚の布帛が反発し合うので、巻き上げや折り畳みを困難にし、それを強いて巻き上げたり折り畳むときは、その内径側の布帛に皺が発生して体裁が損なわれる。
【0004】
【発明の目的】
本発明の第1の目的は、敷物原反の裏面にポリウレタン発泡シートが貼り合わされた敷物の巻き上げ易さや折り畳み易さを損なうことなく、ポリウレタン発泡シートを保護材で被覆し、ポリウレタン発泡シートが塵埃を吸い込んで汚染したり、引き裂かれたり、剥離したりしないようにすることである。本発明の第2の目的は、敷物原反とポリウレタン発泡シートの貼り合わせに使用される接着剤によって、それらの可撓性や通気性が損なわれることなく、クッション性と保温断熱性と共に、嵩高で通気性と柔軟性に富み、電熱線や温水パイプの組み込まれた暖房床面に敷き込んだとき、内部に蓄積される暖気が発散し易い敷物を得ることである。本発明の第3の目的は、クッション性と共に、嵩高で通気性と柔軟性に富み、付与された消臭成分や抗菌成分に空気が触れ易く、それらの消臭機能や抗菌機能が営まれ易い機能性敷物を得ることである。本発明の他の目的は、柔軟・可撓性に富むと共に、形状安定性に優れ、巻き上げたり折り畳まれても、その後の使用時に折り皺が残ることなく綺麗に拡布して敷き込むことが出来る敷物を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る敷物は、(a) 敷物原反11の裏面に接着剤12によって裏材13が貼り合わされており、(b) 裏材13が、発泡倍率が10倍以上の連続気泡14によって構成されたポリウレタン発泡シート15に繊維ウェブ16を積層し、ニードルパンチングを施して繊維ウェブ16の繊維17の一部を繊維ウェブ16の積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18としたポリウレタン発泡シート15と繊維ウェブ16との積層構造を成し、(c)表面毛羽18が突き出たポリウレタン発泡シート15を敷物原反11の裏面に向かい合わせにして敷物原反11と裏材13が貼り合わされており、(d) 接着剤12の充填剤(水不溶固体粉末)の含有量が100P.H.R.以下であり、接着剤12の固形分塗布量が300gf/g/m2 以下であることを第1の特徴とする。
【0006】
本発明に係る敷物の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、敷物原反11と発泡シート15と繊維ウェブ16と接着剤12の何れかが消臭成分か抗菌成分の何れかの成分を有する点にある。
【0007】
本発明に係る敷物の第3の特徴は、上記第1および第2の何れかの特徴に加えて、敷物原反11を、パイル21のバックステッチ22が裏面に露出したパイル布帛とした点にある。
【0008】
本発明に係る敷物の第4の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、敷物原反11を、発泡倍率が10倍以上の連続気泡14によって構成されたポリウレタン発泡シート15に繊維ウェブ19を積層し、ニードルパンチングを施して繊維ウェブ19の繊維20の一部を繊維ウェブ19の積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18を形成したポリウレタン発泡シート15と繊維ウェブ19との積層構造とした点にある。
【0009】
本発明に係る敷物裏打加工法は、発泡倍率が10倍以上の連続気泡14によって構成されたポリウレタン発泡シート15に繊維ウェブ16を積層し、ニードルパンチングを施して繊維ウェブ16の繊維17の一部を繊維ウェブ16の積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18を形成し、敷物原反11の裏面に泡状接着剤12を塗布し、その塗布面に表面毛羽18を向かい合わせにして、ポリウレタン発泡シート15と繊維ウェブ16との積層構造を成す裏材13を敷物原反11に貼り合わせることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において「敷物原反」とは、具体的に言えば太手の糸条によって織成された平織布帛、タフテッドパイル布帛、ウイルトンパイル布帛、ニードルパンチングフェルト等であり、表面上では平織カーペットやタフテッドカーペットやウイルトンカーペットやニードルパンチングフェルトカーペット等と同じであるが、裏面に裏打用接着剤が塗布されておらず、裏打用接着剤を塗布して仕上げる必要のある繊維構造物を意味する。本発明において、繊維ウェブ16(19)をポリウレタン発泡シート(以下、単に発泡シートとも言う。)15の上に積層してニードルパンチングを施し、その繊維ウェブ16の繊維17(20)の一部を、その積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18を形成した繊維ウェブ16(19)と発泡シート15の積層物は、図2に示すように敷物原反11にも、又、図1に示すように裏材13にも使用される。
【0011】
「繊維ウェブ」とは、短繊維または長繊維が堆積されて一定の厚みの積層を形成している繊維積層物を意味し、それにはニードルパンチングフェルトや不織布のようにシート状に形成されているものも使用される。裏材13に適用される繊維ウェブ16の目付けは100gf/m2 以下、好ましくは30〜60gf/m2 にし、ニードルパンチングによる針差し密度は1〜5回/cm2 にすればよい。図2に示すように、敷物原反11に適用される繊維ウェブ19は、在来のニードルパンチングフェルトカーペットと同様に、基布(芯地)が内部に積層されているものであってもよい。
【0012】
本発明において、敷物原反11への接着剤12の塗布量(固形分)を300gf/m2 以下とするのは、接着剤12が敷物原反11や裏材13の内部隙間を塞いで連続した非通気性の塗膜を形成することがないようにし、又、その塗布面で敷物原反11や裏材13が接着剤12に固められて硬い芯層を形成することがないようにするためである。接着剤12を泡状に調製して塗布するのは、それが少量でも気泡によって嵩を増し、均一に塗布され、瞬時に敷物原反11や裏材13に浸透せず、その気泡が徐々に崩壊し、内部に浸透することなく敷物原反11と裏材13との表面にだけ均一に分散して細かく固着し、敷物原反11と裏材13の間に硬い芯層ができないようにするためである。
【0013】
接着剤の固形分塗布量は、接着剤の素材樹脂の接着性によっても異なるが、少なくとも50gf/m2 、好ましくは150gf/m2 前後(100〜200gf/m2 )にするとよい。接着剤12は、オークスミキサー等によって攪拌して泡状に調製される。接着剤12には、天然樹脂(ゴム)エマルジョン、スチレン・ブタジエン樹脂(ゴム)エマルジョン、アクリロニトリル・ブタジエン樹脂(ゴム)エマルジョン、メチルメタクリレート・ブタジエン樹脂(ゴム)エマルジョン、クロロプレン樹脂(ゴム)エマルジョン、イソプレン樹脂(ゴム)エマルジョン、ブタジエン樹脂(ゴム)エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル樹脂(ゴム)エマルジョン、ウレタン樹脂(ゴム)エマルジョン等が使用される。接着剤12には、加硫・架橋剤、加硫・架橋促進剤(メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、ジエチル・ジ・チオカルバミン酸亜鉛塩等)、安定剤、起泡剤(オレイン酸カリウム等)、泡安定剤(トリメンベース等)、老化防止剤(スチレン化フェノール等)、分散剤(テトラピロリン酸カリウム等)等が適宜配合される。
【0014】
接着剤12への充填剤の配合量を100P.H.R.(接着剤の樹脂固形分100重量部に対する充填剤の配合部数が100重量部の意味、以下、同様)以下とするのは、泡状に調製された接着剤の中の気泡の安定性が充填剤に損なわれることなく、泡状接着剤12を敷物原反11に塗布してから裏材13を重ね合わせるまでに接着剤12が泡状に維持されるようにするため、又、充填剤によって接着剤12の塗膜の強度や接着剤12の接着力が損なわれないようにするため、そして又、敷物原反11と裏材13が接着剤12と一体になった硬い芯層が形成されないようにするためである。従って、接着剤には充填剤を配合しないほうがよいが、防炎性や消臭性、抗菌性、遠赤外線放射性等の機能性の要求される敷物では、防炎機能を有する水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、消臭・抗菌機能を有する活性炭やシリカゲル、ゼオライト、セピオライト、或いは、遠赤外線放射機能を有する酸化アルミ・珪酸系、酸化ジルコニア・珪酸系、酸化チタン・酸化クロム系等の遠赤外線放射性セラミック等の接着剤への配合が望まれる。しかし、これらの機能性物質は、一般に敷物裏打加工に使用される接着剤に配合されるタルクや炭酸カルシウムと同様に水不溶固体粉末であり、見方によっては充填剤と見ることも出来る。そこで、それらの機能性物質を充填剤の一種と見るとしても、その接着剤12への配合量を100P.H.R.以下、好ましくは50P.H.R.以下とする。
【0015】
このようにして貼り合わされた敷物原反11と発泡シート15は、元々通気性と可撓性に富み、それらが300gf/m2 以下の僅かな接着剤12によって貼り合わされ、その接着剤12が敷物原反11と裏材13の内部に浸透することなく表面に均一に分散して細かく固着し、敷物原反11と裏材13の間に硬い芯層が出来ず、それらが単に重ね合わせただけと同様な状態に置かれる。その発泡シート15が発泡倍率10倍以上の連続気泡14によって形成された完全弾性体であるため、本案敷物の上を踏み歩くときは、その度に発泡シート15の空気が敷物原反11の表面で出入りすることになる。尚、図1と図2では、接着剤12が多量塗着されているかの如く図示されているが、それは接着剤12の介在を示すために誇張して図示されているだけであり、実際の接着剤17の塗膜は殆ど目視し得ない程度の極薄皮膜になる。
【0016】
このように使用中に発泡シート15が敷物内部の空気を出入りさせるポンプ作用をなすので、敷物原反11と発泡シート15と繊維ウェブ16と接着剤12の何れかに消臭成分や抗菌成分を介在させるときは、その出入りする空気が消臭成分や抗菌成分に触れ易く、その消臭機能や抗菌機能が遺憾なく発揮される。又、本案敷物を電熱カーペットや暖房床面に敷き込んで使用するときは、内部に蓄積されている暖気が、発泡シート15のポンプ作用によって発散されるので、それらの床面暖房装置による暖房効果が高まることにもなる。消臭成分や抗菌成分としては、前記の活性炭やシリカゲル、ゼオライト、セピオライト等の水不溶固体粉末の他に、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン等の消臭・抗菌性金属イオン含有化合物や金属・フタロシアニン系消臭剤、アスコロビンサン系消臭剤、植物エキス系消臭・抗菌剤等、公知の消臭剤や抗菌剤を使用することが出来る。
【0017】
発泡シート15のポンプ作用が、敷物の有する消臭成分や抗菌成分の機能や、敷物の敷き込まれる電熱カーペットや暖房床面の暖房機能を効果的に促進するようにするには、発泡倍率が20倍以上、好ましくは30〜50倍で、気泡14が細かく、概して気泡14の内径が1mm以下で、厚みが4〜30mm、好ましくは7〜15mm、概して10mm前後の高発泡シート15を使用するとよい。そして、そのように気泡14が細かい高発泡シート15では接着剤12が内部に浸透せず均一に細かく分散して固着し、敷物原反11と裏材13が細かく緻密に点接着するので、接着剤を用いずに敷物原反と発泡シートを重ね合わせただけのものと略同等の通気性と可撓性を有する敷物が得易くなる。
【0018】
そのように発泡シート15が高発泡の連続気泡14によって構成されていても、その表面が繊維ウェブ16に被覆されているので気泡14に塵埃が入り込んで汚れるようなことはなく、又、ニードルパンチングによって差し込まれた繊維17で表裏が連結されているので発泡シート15の層内剥離は回避される。そして、ニードルパンチングによって突き出された毛羽18が接着剤12によって敷物原反11に接合され、差し込まれた繊維17と毛羽18が発泡シート15を敷物原反11に釘打ちした恰好になるので、貼り合わせ面で気泡14のポリウレタン樹脂皮膜10(気泡セル)が破断し、敷物原反11と発泡シート15が層間剥離するようなことも回避される。そのように繊維17と毛羽18によって発泡シート15が敷物原反11に釘打ちされた恰好にするには、繊維ウェブ16を構成する繊維の長さを、発泡シート15の厚みの4倍以上にし、ニードルパンチングによって突き出されて隣合う毛羽18と毛羽18の間で、U字釘(二股釘)のように繊維がU字状に折れ曲がって連続した恰好になるようにするとよい。
【0019】
一方、繊維ウェブ16の繊維の一部(毛羽18)が敷物原反11に接合されており、又、発泡シート15に差し込まれた繊維17が完全弾性体であり摩擦係数の高いポリウレタン樹脂皮膜10(気泡セル)に密着して発泡シート内15で確り把持されるので、繊維ウェブ16の解れ出しも回避される。そのように差し込まれた繊維17が確り把持されるようにする上でも、発泡シート15には、発泡倍率が20倍以上と高発泡しており、気泡14の内径が1mm以下で細かい高発泡シートを使用することが望ましい。又、そのような高発泡シート15では、接着剤12が内部に浸透せず均一に細かく分散して固着し、敷物原反11と裏材13が細かく緻密に点接着することになるので、接着剤を用いずに敷物原反と発泡シートを重ね合わせただけのものと略同等の通気性と可撓性を有する敷物が得易くなる。
【0020】
差し込まれた繊維17と発泡シート15の密着性を高める上では、熱融着性繊維を繊維ウェブ16に混用するとよい。又、繊維ウェブ16の解れ出し防止のためには、樹脂組成物24を繊維ウェブ16に塗着するとよい。樹脂組成物24には、天然樹脂(ゴム)エマルジョンやブタジエン樹脂(ゴム)エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル樹脂(ゴム)エマルジョン、ウレタン樹脂(ゴム)エマルジョン等の摩擦係数の高い樹脂(ゴム)を使用するとよく、それによって防滑性を敷物に付与することが出来る。樹脂組成物24は、それによって繊維ウェブ16の伸縮性が抑えらることがないようにする上、点状、破線状、格子状等、連続した塗膜を形成しないように塗着する。
【0021】
敷物原反11に、パイル21のバックステッチ22が基布23の裏面に露出したタフテッドパイル布帛、ダブルラッシェル経編パイル布帛、ウイルトンやモケット等のパイル織物、タオル地等を用いると、敷物の表面を構成するパイル21が接着剤12を介して裏材13に接合され、表面の耐摩耗性に富む敷物が得られる。敷物原反11に、裏剤12と同様に、発泡シート15と繊維ウェブ19をニードルパンチングによって一体化した積層構造物を使用すると、敷物全体が使用中にポンプ作用をなし、消臭装置や抗菌装置、或いは、電熱カーペットや暖房床面の暖房促進装置としても使用し得、又、ベットや椅子の上敷にも使用し得る高クッション性の敷物が得られる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によると、通気性と可撓性に富む敷物原反11と、発泡シート15が塗布量300gf/m2 以下の僅かな接着剤12によって貼り合わされており、その接着剤12が充填剤を含まず、その塗布量も僅かなので敷物原反11と発泡シート15の間に硬い芯層を形成せず、接着剤を用いずに敷物原反と発泡シートを重ね合わせただけのものと略同等の通気性と可撓性を有し、消臭成分や抗菌成分の介在するものでは発泡シート15のポンプ作用によってその機能が遺憾なく発揮され、又、電熱カーペットや暖房床面に敷き込んで使用するときはそれらの暖房効果が促進される等、機能性に富む敷物が得られる。
【0023】
本案敷物では、発泡シート15が完全弾性体であるから、巻き上げ、或いは、折り畳んで保管しておいても、それを敷き込むときは瞬時に平板な状態に拡布される。その発泡シート15は、それが10倍以上の高発泡連続気泡14によって構成されていても、敷物の裏面においては繊維ウェブ16に被覆されているので、気泡14に塵埃が入り込んで汚損するようなこともなく、差し込まれた繊維17によって表裏が連結されていて層内剥離を起こさず、ニードルパンチングによって突き出された毛羽18が接着剤12によって敷物原反11に接合され、差し込まれた繊維17と毛羽18によって敷物原反11に釘打ちされた恰好になるので、貼り合わせ面で気泡セル樹脂皮膜10が破断して敷物原反11から剥離することもない。他方、繊維ウェブ16は、その繊維の一部18が敷物原反11に接合され、その発泡シート15に差し込まれた繊維17が、完全弾性体であり摩擦係数の高いポリウレタン樹脂皮膜10(気泡セル)に密着して発泡シート内15で確り把持されているので、使用中に敷物裏面に解れ出すことはない。繊維ウェブ16では、それを構成する繊維間が強固に接合されず略フリーで伸縮自在の状態にあるので、敷物を巻き上げたり折り畳むときに生じる外径と内径との寸法差に起因する敷物原反11と繊維ウェブ16の伸縮差が繊維ウェブ16に吸収され、従って、敷物が巻き上げ・折り畳み易く、それを拡布して繊維ウェブ16に折り皺を見ることはない。
【0024】
このように本発明によると、嵩高でクッション性、保温断熱性、通気性、柔軟性に富み、電熱線や温水パイプの組み込まれた暖房床面に敷き込んで暖房効果を高め、消臭成分や抗菌成分の機能を促し、嵩高であっても形状安定性に優れ、巻き上げたり折り畳まれても、その後の使用時に折り皺が残ることなく綺麗に拡布して敷き込むことが出来、裏面が汚損し難い等、比類ない新規で実用性に優れた敷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る敷物の拡大断面図である。
【図2】本発明に係る敷物の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 樹脂皮膜
11 敷物原反
12 接着剤
13 裏材
14 気泡
15 発泡シート
16・19 繊維ウェブ
17・20 繊維
18 毛羽
21 パイル
22 バックステッチ
23 基布
24 樹脂組成物

Claims (5)

  1. (a) 敷物原反11の裏面に接着剤12によって裏材13が貼り合わされており、(b) 裏材13が、発泡倍率が10倍以上の連続気泡14によって構成されたポリウレタン発泡シート15に繊維ウェブ16を積層し、ニードルパンチングを施して繊維ウェブ16の繊維17の一部を繊維ウェブ16の積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18としたポリウレタン発泡シート15と繊維ウェブ16との積層構造を成し、(c) 表面毛羽18が突き出たポリウレタン発泡シート15を敷物原反11の裏面に向かい合わせにして敷物原反11と裏材13が貼り合わされており、(d) 接着剤12の充填剤(水不溶固体粉末)の含有量が100P.H.R.以下であり、接着剤12の固形分塗布量が300gf/g/m2 以下である敷物。
  2. 前掲請求項1に記載の敷物原反11と発泡シート15と繊維ウェブ16と接着剤12の何れかが消臭成分か抗菌成分の何れかの成分を有する前掲請求項1に記載の敷物。
  3. 前掲請求項1に記載の敷物原反11が、パイル21のバックステッチ22が裏面に露出したパイル布帛である前掲請求項1に記載の敷物。
  4. 前掲請求項1に記載の敷物原反11が、発泡倍率が10倍以上の連続気泡14によって構成されたポリウレタン発泡シート15に繊維ウェブ19を積層し、ニードルパンチングを施して繊維ウェブ19の繊維20の一部を繊維ウェブ19の積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18を形成したポリウレタン発泡シート15と繊維ウェブ19との積層構造を成す前掲請求項1に記載の敷物。
  5. 発泡倍率が10倍以上の連続気泡14によって構成されたポリウレタン発泡シート15に繊維ウェブ16を積層し、ニードルパンチングを施して繊維ウェブ16の繊維17の一部を繊維ウェブ16の積層面の裏側となる発泡シート15の表面に突き出して表面毛羽18を形成し、敷物原反11の裏面に泡状接着剤12を塗布し、その塗布面に表面毛羽18を向かい合わせにして、ポリウレタン発泡シート15と繊維ウェブ16との積層構造を成す裏材13を敷物原反11に貼り合わせる敷物裏打加工法。
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