JP4679317B2 - トロコイド型のオイルポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、トロコイド型のオイルポンプに関し、該オイルポンプは、例えば潤滑部を潤滑した後のオイル(例えば内燃機関のクランク室内のオイル)を回収するためのスカベンジングポンプとして使用される。
オイルポンプとしてトロコイド型のオイルポンプはよく知られている。(例えば特許文献1参照)
実開平4−121485号公報
ところで、オイルポンプのうち、フィードポンプは非圧縮性流体であるオイルを吸入・吐出するのに対して、スカベンジングポンプは、オイルのほかに気体(空気など)が含まれる気液混合流体を吸入・吐出する。しかしながら、従来、スカベンジングポンプの吐出タイミングは、フィードポンプの吐出タイミングと同様に、ポンプ室の容積が次第に増加する吸入過程が終了して、ポンプ室の容積が最大になる位置からその容積が減少し始める直後に設定されていた。このため、クランク室内の潤滑油を回収するスカベンジングポンプでは、負圧状態にあるクランク室内の空気やブローバイガスが吸入されて、ポンプ室の容積が最大のときに、ポンプ室内に吸入時の空気圧以下の空気が存在することがある。このような状態で、ポンプ室と吐出ポートとが連通すると、吐出ポートの圧力がポンプ室内の圧力よりも高いときには、逆流が生じて、オイルの吐出が円滑に行われない。さらに、ポンプ室内の圧力に比べて吐出ポート内の圧力が著しく高いときには、逆流によりポンプ室内の圧力が急上昇して、ケーシングとロータとの間やインナロータとアウタロータとの間の僅かな間隙に起因して振動・騒音が発生することがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜3記載の発明は、ポンプ室と吐出ポートとが連通を開始するときの吐出ポートからポンプ室への流体の逆流の発生を防止または抑制することにより、トロコイド型のオイルポンプのポンプ効率を向上させると共に振動・騒音の低減を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、収納空間が設けられたハウジングと、前記収納空間に回転可能に収納されるアウタロータおよびインナロータとを備え、前記収納空間内で前記アウタロータの内歯と前記インナロータの外歯との間に複数のポンプ室が形成され、前記ハウジングには前記ポンプ室に吸入されるオイルおよび気体からなる気液混合流体を導く吸入ポートおよび前記ポンプ室から吐出される気液混合流体を導く吐出ポートとが設けられるトロコイド型のオイルポンプにおいて、前記ポンプ室内の気液混合流体の前記吐出ポートへの吐出タイミングは、密閉状態での前記ポンプ室の容積が最大になる回転位置から前記インナロータが所定角度だけ回転して、前記ポンプ室の容積減少により前記ポンプ室内の気液混合流体の圧力が上昇した後に設定され、前記トロコイド型のオイルポンプはスカベンジングポンプであり、前記インナロータの駆動軸には、トロコイド型のフィードポンプのインナロータが同軸に結合され、前記吐出タイミングは、前記フィードポンプの吐出タイミングよりも遅いトロコイド型のオイルポンプである。
これによれば、所定角度の回転期間に、ポンプ室内の気液混合流体の圧力(すなわち気体の圧力)が圧縮されて高められるので、ポンプ室から吐出ポートへの気液混合流体の吐出開始時に、吐出ポートからポンプ室への流体の逆流が防止または抑制され、しかも逆流に起因する振動の発生が抑制される。さらに、フィードポンプからオイルが吐出されているときに、スカベンジングポンプのポンプ室が吐出ポートと連通を開始するので、逆流によりインナロータに振動が生じたとしても、該振動は、駆動軸を介して伝達されてフィードポンプのポンプ室内のオイルにより緩和される。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のトロコイド型のオイルポンプにおいて、前記アウタロータおよび前記インナロータの両回転中心線を含む平面を基準平面としたとき、前記所定角度を規定する前記吐出ポートの連通開始端は、前記アウタロータの前記回転中心線を含んで前記基準平面に直交する第1平面と、前記インナロータの前記回転中心線を含んで前記基準平面に直交する第2平面との間に位置するものである。
これによれば、ポンプ室の容積が減少する、インナロータ(またはアウタロータ)の回転位置範囲のほぼ中央位置で、ポンプ室と吐出ポートとが連通を開始するので、ポンプ室内の気液混合流体が過度に圧縮されて高圧となったポンプ室内の圧力により、アウタロータとインナロータとの接触部に隙間が生じることが防止される。
請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、ポンプ室内の気液混合流体の吐出時に、吐出ポートからポンプ室への逆流の発生が防止または抑制されるので、気液混合流体の吐出が円滑になってポンプ効率が向上し、しかもオイルポンプの振動・騒音が低減する。さらに、逆流により発生する振動がフィードポンプのポンプ室内のオイルにより緩和されるので、スカベンジングポンプの振動・騒音が低減する。
請求項2記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、ポンプ室内の気液混合流体の圧力によりアウタロータとインナロータとの接触部に隙間が生じることが防止されるので、気液混合流体がポンプ室から漏出することが防止され、ポンプ効率が向上する。
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用されたトロコイド型のオイルポンプとしてのスカベンジングポンプ40を備える内燃機関Eは、DOHC型で水冷式のV型5気筒4ストローク内燃機関であり、その動力を後輪に伝達する変速機Mを含む伝動装置と共に自動二輪車に搭載される。
内燃機関Eは、前後方向にV字形のバンクを形成する前バンク1aおよび後バンク1bを有するシリンダブロック1と、各バンク1a,1bにおいてシリンダブロック1の上端に締結される前シリンダヘッド2aおよび後シリンダヘッド2bと、両シリンダヘッド2a,2bにそれぞれ締結される前ヘッドカバー3aおよび後ヘッドカバー3bとを備える。
さらに、シリンダブロック1は、その下部が上クランクケース4を、その上部が両バンク1a,1bをそれぞれ構成する。上クランクケース4は、該上クランクケース4の下端に結合される下クランクケース5と共にクランク軸7を回転可能に支持するクランクケース6を構成する。
なお、この明細書において、上下および前後、それぞれ、車両に搭載されたときの上下、前後を意味するものとする。
併せて図2,図3を参照すると、上クランクケース4の部分である前部4aと下クランクケース5の部分である前部5aとにより、クランク軸7を収容するクランク室8が形成され、上クランクケース4の他の部分である後部4bと下クランクケース5の他の部分である後部5bとにより、常時噛合い式の歯車変速機からなる変速機Mを収容するミッション室9が形成される。下クランクケース5の下端には、ミッション室9に開放するオイルパン10が締結される。
前バンク1aは3つのシリンダCを有し、後バンク1bは2つのシリンダCを有する。各シリンダCに往復動可能に嵌合するピストン11は、燃焼室13の燃焼圧力により駆動されて、コンロッド12を介して、クランク軸7を回転駆動する。
各シリンダヘッド2a,2bには、シリンダC毎に、燃焼室13に開口する吸気ポートおよび排気ポートをそれぞれ開閉する吸気弁14および排気弁15と、燃焼室13に臨む点火栓16とが設けられる。吸気弁14および排気弁15は、歯車列を介してクランク軸7の動力により回転駆動される吸気カム軸17および排気カム軸18を備える動弁装置19により駆動されて、クランク軸7の回転に同期して所定のタイミングで開閉される。
クランク室8とミッション室9とは、シリンダブロック1に形成された上隔壁21aおよび下クランクケース5に形成された下隔壁21bとからなる隔壁21(この隔壁21は、クランク室8の室壁でもある。)により油密に分離されて、相互に独立した空間とされ、これによってクランク室8は密閉される。さらに、クランク室8は、クランク軸7を回転可能に支持する軸受壁により、クランク軸7のクランクピンの数に対応する数、この実施形態では、3つの互いに独立した独立クランク室8aから構成される。なお、3つの独立クランク室8aのうち、図2には、クランク軸7の回転中心線方向で一端に位置する独立クランク室8aが、また図3には、クランク軸7の回転中心線方向で中央に位置する独立クランク室8aが示されている。
内燃機関Eは、潤滑部にオイルを供給して潤滑を行うための潤滑系統を構成するオイルパン10、オイルストレーナ22、オイルポンプP、オイルフィルタ24、オイルクーラ25および多数の油路を備える。
クランク軸7の動力により駆動されるオイルポンプPは、オイルパン10からオイルストレーナ22およびオイル吸入管23を経て汲み上げたオイルを内燃機関Eの各潤滑部に油路を通じて圧送するフィードポンプ30と、潤滑部を潤滑した後のオイルが集まるオイル回収空間としてのクランク室8からオイルを回収して、オイル貯留部としてのオイルパン10に戻すスカベンジングポンプ40とから構成される。
オイルの流れの概略が太い矢印で示されている図2を参照すると、フィードポンプ30から吐出されたオイルは、吐出油路61、オイルフィルタ24およびオイルクーラ25を順次通って下クランクケース5に設けられたメインギャラリ62に導かれる。メインギャラリ62のオイルの一部は、下クランクケース5に設けられた油路63を経てクランク軸7の主軸受の周囲の油路64に供給され、さらに上クランクケース4に設けられた油路65を経て両バンク1a,1bの谷部に設けられたオイルギャラリ66に導かれ、その後、ピストン11の冷却を兼ねてオイルを噴射するオイルジェット67やシリンダCおよびシリンダヘッド2a,2bに設けられた油路を経て動弁装置19(図1参照)に供給される。また、メインギャラリ62のオイルの一部は、隔壁21に設けられた油路68を経て変速機Mに供給される。
また、オイルの流れの概略が太い矢印で示されている図3を参照すると、クランク軸7、ピストン11および動弁装置19(図1参照)などにおける潤滑部を潤滑した後のオイルは、クランク室8に流下または落下して、各独立クランク室8aの底部に集合する。そして、各独立クランク室8aに集合したオイルは、各独立クランク室8aの底部を形成するクランク室8の底壁21c(隔壁21bの一部である。)に各独立クランク室8aに開口して設けられたオイル流出口70、および底壁21cに接続されて各オイル流出口70からのオイルを集合させるオイル収集パン71の排出口71aを通って、スカベンジングポンプ40の吸入ポート41に、クランク室8内の空気およびブローバイガスなどの気体(以下、単に「気体」という。)と共に吸入される。そして、スカベンジングポンプ40から吐出されたオイルは、吐出油路69から気体と共にミッション室9に放出され、変速機Mを潤滑した後、落下してオイルパン10に貯留する。したがって、ミッション室9は、スカベンジングポンプ40から吐出されたオイルおよび気体からなる気液混合流体が放出されるオイル放出空間であり、平均的に、クランク室8に比べて高い圧力状態にある空間である。
図4〜図6を参照して、オイルポンプPを中心に説明する。
フィードポンプ30およびスカベンジングポンプ40はいずれもトロコイド型のポンプにより構成される。そして、オイルポンプPは、フィードポンプ30およびスカベンジングポンプ40に共通のポンプボディ51と、オイルポンプPの駆動軸54の回転中心線方向(以下、単に「軸方向」という。)の両端面でポンプボディ51にボルト57により結合される第1,第2ポンプカバー52,53と、ポンプボディ51および両ポンプカバー52,53に回転可能に支持される1つの共通の駆動軸54と、駆動軸54により回転駆動されるフィード用ポンプロータおよびスカベンジング用ポンプロータとを備える。ここで、ポンプボディ51および両ポンプカバー52,53は、オイルポンプPのハウジングを構成する。また、クランク軸7の回転中心線に平行な回転中心線L2を有する駆動軸54は、変速機Mのメイン軸M1(図1参照)からチェーンを有する伝動機構を介して伝達される動力により回転駆動される。
図4,図5を参照すると、スカベンジングポンプ40は、吸入ポート41および吐出ポート42が設けられたポンプボディ51と、収納空間43が設けられたポンプカバー53と、収納空間43に回転可能に収納される前記スカベンジング用ポンプロータを構成するアウタロータ44およびインナロータ45と、インナロータ45がピン56により一体回転可能に結合される駆動軸54とを備える。
収納空間43内において、アウタロータ44の内側には、該アウタロータ44の回転中心線L1に対して偏心した回転中心線L2を有するインナロータ45が配置される。アウタロータ44は、インナロータ45が有する複数である所定数のトロコイド形状の外歯45a、ここでは4つの外歯45aよりも1つ多いトロコイド形状の内歯44a、ここでは5つの内歯44aを有する。そして、内歯44aと該内歯44aと噛合する外歯45aとの間に複数のポンプ室46が形成され、駆動軸54により回転駆動されるインナロータ45の回転につれてアウタロータ44が回転し、両ロータ44,45の回転に伴ってポンプ室46の容積が増減する。
スカベンジング側の吸入ポート41は、オイル収集パン71を介してクランク室8内の気液混合流体(すなわち、オイルおよび気体)をポンプ室46に導き、スカベンジング側の吐出ポート42は、ポンプ室46内の気液混合流体を吐出油路69、さらにはミッション室9(図3参照)に導く。そのため、ポンプボディ51には、吸入ポート41に気液混合流体を導くオイル収集パン71(図3参照)が接続される接続部51aが設けられる。
両ロータ44,45が回転すると、容積が徐々に増加するポンプ室46には、吸入ポート41を通じて気液混合流体が吸入され、インナロータ45の所定回転位置S1でポンプ室46の容積が最大となった後に、容積が徐々に減少するポンプ室46からは、吐出ポート42を通じて気液混合流体がミッション室9に向けて吐出される。
吐出ポート42がポンプ室46に連通を開始する時期である吐出タイミングは、この実施形態では、所定回転位置S1からインナロータ45が所定角度αだけ回転した回転位置である吐出開始位置S3であり、所定回転位置S1で吸入ポート41と連通状態にあるポンプ室46が、吸入ポート41および吐出ポート42との連通が遮断されて密閉状態での最大容積となる回転位置である密閉位置S2は、所定回転位置S1から僅かに両ロータ44,45が回転した位置で、両位置S1,S3の間に設定される。
そして、両ロータ44,45が回転してインナロータ45が密閉位置S2から吐出開始位置S3まで所定角度αだけ回転する過程で、ポンプ室46の容積減少によりポンプ室46内の気液混合流体の圧力(すなわち気体の圧力)は上昇する。
図5(B)を参照すると、アウタロータ44およびインナロータ45の両回転中心線L1,L2を含む平面を基準平面H0としたとき、所定角度αを規定する吐出ポート42の連通開始端42aは、アウタロータ44の回転中心線L1を含んで基準平面H0に直交する第1平面H1と、インナロータ35,45の回転中心線L2を含んで基準平面H0に直交する第2平面H2との間に位置する。この第1,第2平面H1,H2の間の部分は、スカベンジングポンプ40において、両ロータ44,45が回転してポンプ室46の容積が減少する回転位置範囲K、すなわちインナロータ45またはアウタロータ44の回転位置範囲Kのほぼ中央位置である。
図4,図6を参照すると、フィードポンプ30は、ポンプボディ51と、吸入ポート31、吐出ポート32および収納空間33が設けられたポンプカバー52と、収納空間33に回転可能に収納される前記フィード用ポンプロータを構成するアウタロータ34およびインナロータ35と、インナロータ35が結合手段としてのピン55により一体回転可能に結合される駆動軸54とを備える。したがって、駆動軸54には、両インナロータ35,45が同軸に結合される。
収納空間33内において、スカベンジングポンプ40と同様に、アウタロータ44と回転中心線L1を共有するアウタロータ34の内側には、インナロータ45と回転中心線L2を共有するインナロータ35が配置される。アウタロータ34およびインナロータ35の形状は、軸方向での対応するロータ34,44;35,45同士の厚みが異なる点を除いて、それぞれアウタロータ44およびインナロータ45の形状と同じである。そして、アウタロータ34の内歯34aと該内歯34aに噛合するインナロータ35の外歯35aとの間に複数のポンプ室36が形成され、駆動軸54により回転駆動されるインナロータ35の回転につれてアウタロータ34が回転する。なお、インナロータ45およびアウタロータ44の厚みは、インナロータ35およびアウタロータ34の厚みのほぼ2倍であり、スカベンジングポンプ40のポンプ室46の最大容積は、フィードポンプ30のポンプ室36の最大容積のほぼ2倍である。
フィード側の吸入ポート31は、オイルパン10のオイルをポンプ室36に導き、フィード側の吐出ポート32は、ポンプ室36内のオイルを吐出油路61に導く。さらに、ポンプカバー52には、吐出油路61に連通するリリーフ弁が収納される収納部52aが設けられる。
両ロータ34,35が回転すると、容積が徐々に増加するポンプ室36には、吸入ポート31を通じてオイルが吸入され、インナロータ35の所定回転位置F1でポンプ室36の容積が最大となった後に、容積が徐々に減少するポンプ室36からは、吐出ポート32を通じてオイルが吐出される。
吐出ポート32がポンプ室36に連通を開始する時期である吐出タイミングは、この実施形態では、所定回転位置F1をよりも両ロータ34,35が回転した回転位置である吐出開始位置F3であり、所定回転位置F1で吸入ポート31と連通状態にあるポンプ室36が、吸入ポート31および吐出ポート32との連通が遮断された密閉状態での最大容積となる回転位置である密閉位置F2は、所定回転位置F1から両ロータ34,35が僅かに回転した位置で、両位置F1,F3の間に設定される。
そして、図5(B),図6を参照すると吐出開始位置S3は、吐出開始位置F3よりも両ロータ44,45が回転した位置にあり、したがって、スカベンジングポンプ40の吐出タイミングは、所定角度αよりも小さい角度だけ、フィードポンプ30の吐出タイミングよりも遅く設定されている。また、両ポンプ30,40において、所定回転位置S1,F1はほぼ一致している。
なお、密閉状態にあるポンプ室36,46は、各ポンプ30,40が作動するために不可避な僅かな間隙を除いて、各ポンプ30,40の外部との連通も遮断されている。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
スカベンジングポンプ40のポンプ室46内の気液混合流体の吐出ポート32,42への吐出タイミングは、密閉状態でのポンプ室46の容積が最大になる密閉位置S2からインナロータ45が所定角度αだけ回転して、ポンプ室46の容積減少によりポンプ室46内の気液混合流体の圧力が上昇した後の吐出開始位置S3に設定されていることにより、所定角度αの回転期間に、ポンプ室46内の気液混合流体の圧力が圧縮されて高められるので、ポンプ室46から吐出ポート42への気液混合流体の吐出開始時に、吐出ポート42からポンプ室46へのミッション室9内の空気等の気体である流体の逆流の発生が防止または抑制され、しかも逆流に起因する振動の発生が抑制されるので、気液混合流体の吐出が円滑になってポンプ効率が向上し、しかもスカベンジングポンプ40の振動・騒音が低減する。
所定角度αを規定する吐出ポート42の連通開始端42aは、第1平面H1と第2平面H2との間に位置することにより、ポンプ室46の容積が減少する回転位置範囲Kのほぼ中央位置で、ポンプ室46と吐出ポート42とが連通を開始するので、ポンプ室46内の気液混合流体が過度に圧縮されて高圧となったポンプ室46内の圧力により、アウタロータ44とインナロータ45との接触部に隙間が生じることが防止される。この結果、気液混合流体がポンプ室46から漏出することが防止され、ポンプ効率が向上する。
インナロータ45の駆動軸54にはフィードポンプ30のインナロータ35が同軸に結合され、スカベンジングポンプ40の吐出タイミングはフィードポンプ30の吐出タイミングよりも遅いことにより、フィードポンプ30からオイルが吐出されているときに、スカベンジングポンプ40のポンプ室46が吐出ポート42と連通を開始するので、ミッション室9内の気体の逆流によりインナロータ45に振動が生じたとしても、該振動は、駆動軸54を介して伝達されてフィードポンプ30のポンプ室36内のオイルにより緩和される。この結果、スカベンジングポンプ40の振動・騒音が低減する。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
所定回転位置S1,F1と密閉位置S2,F2とはほぼ一致していてもよい。
本発明に係るトロコイド型のオイルポンプは、スカベンジングポンプ以外のポンプとして使用されてもよい。また、スカベンジングポンプは、前記実施形態では内燃機関用のものであったが、内燃機関以外の機械に使用されるものであってもよい。さらに、スカベンジングポンプは、フィードポンプと一体型ではなく、フィードポンプとは別個の単体のポンプであってもよい。
内燃機関は、5気筒以外の多気筒内燃機関、または単気筒内燃機関であってもよい。
本発明が適用されたスカベンジングポンプを備える内燃機関の概略の側面図である。 図1の内燃機関において、フィードポンプの作動によるオイルの流れを示す要部の概略断面図である。 図1の内燃機関において、スカベンジングポンプの作動によるオイルの流れを示す要部の概略断面図である。 図5(A)のIV−IV線でのオイルポンプの要部断面図である。 図4のV−V線での要部断面図であり、(A)は、スカベンジングポンプのポンプロータが密閉位置にある状態を示し、(B)は、ポンプロータが吐出開始位置にある状態を示す。 図4のVI−VI線での要部断面図であり、フィードポンプのポンプロータが吐出開始位置にある状態を示す。
符号の説明
8…クランク室、9…ミッション室、30…フィードポンプ、40…スカベンジングポンプ、31,41…吸入ポート、32,42…吐出ポート、34,44…アウタロータ、35,45…インナロータ、36,46…ポンプ室、P…オイルポンプ、L1,L2…回転中心線、F1,S1…回転位置、S3,F3…吐出開始位置、α…角度、H0,H1,H2…平面。

Claims (2)

  1. 収納空間(43)が設けられたハウジング(51、52、53)と、前記収納空間(43)に回転可能に収納されるアウタロータ(44)およびインナロータ(45)とを備え、前記収納空間(43)内で前記アウタロータ(44)の内歯(44a)と前記インナロータ(45)の外歯(45a)との間に複数のポンプ室(46)が形成され、前記ハウジング(51、52、53)には前記ポンプ室(46)に吸入されるオイルおよび気体からなる気液混合流体を導く吸入ポート(41)および前記ポンプ室(46)から吐出される気液混合流体を導く吐出ポート(42)とが設けられるトロコイド型のオイルポンプ(P)において、
    前記ポンプ室(46)内の気液混合流体の前記吐出ポート(42)への吐出タイミングは、密閉状態での前記ポンプ室(46)の容積が最大になる回転位置から前記インナロータ(45)が所定角度だけ回転して、前記ポンプ室(46)の容積減少により前記ポンプ室(46)内の気液混合流体の圧力が上昇した後に設定され
    前記トロコイド型のオイルポンプ(P)はスカベンジングポンプ(40)であり、前記インナロータ(45)の駆動軸には、トロコイド型のフィードポンプ(30)のインナロータ(35)が同軸に結合され、前記吐出タイミングは、前記フィードポンプ(30)の吐出タイミングよりも遅いことを特徴とするトロコイド型のオイルポンプ。
  2. 前記アウタロータ(44)および前記インナロータ(45)の両回転中心線(L1、L2)を含む平面を基準平面(H0)としたとき、前記所定角度を規定する前記吐出ポート(42)の連通開始端(42a)は、前記アウタロータ(44)の前記回転中心線(L1)を含んで前記基準平面(H0)に直交する第1平面(H1)と、前記インナロータ(45)の前記回転中心線(L2)を含んで前記基準平面(H0)に直交する第2平面(H2)との間に位置することを特徴とする請求項1記載のトロコイド型のオイルポンプ。
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