JP4175816B2 - 4ストローク内燃機関のブリーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復動するピストンを備える4ストローク内燃機関において、クランク室内のブローバイガスを含むガスをクランク室外に導くためのブリーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のブリーザ装置として、特公平1−16323号公報に開示されたものがある。このブリーザ装置では、バランサ軸に軸方向に沿って形成された連通孔と、バランサ軸の一端が臨んでいるギヤ室およびクランク室を連通する小孔のブリーザ孔とが設けられる。連通孔は、その一端がギヤ室に開口し、その他端が、エアクリーナ室に連通するホースが接続された連通室に開口すると共に、バランサ軸にその径方向に延びて形成された油滴分離孔を介してクランク室に連通する。そして、クランク室の内圧が上昇すると、油滴が混在するブローバイガスのうち、小孔のブリーザ孔により油滴が分離されて、主としてブローバイガスがブリーザ孔を通ってギヤ室に流入する。ギヤ室から連通孔を通って連通室に流入したブローバイガスは、ホースを経てエアクリーナ室に流入し、吸入空気と共に燃焼室に流れ込む。このとき、ブローバイガスに混入している油成分が連通孔の内壁面に付着して形成された液滴は、遠心力により油滴分離孔からクランク室内に吐出される。このようにして、混入している油滴成分が少ないブローバイガスが吸気系に戻される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダ内を往復動するピストンを備える4ストローク内燃機関では、吸気行程および爆発行程にあるピストンがクランク室内のブローバイガスを含むガスを加圧し、また圧縮行程および排気行程にあるピストンが該ガスを減圧することにより、ピストンがクランク室内のガスに対して仕事をして、機関出力の損失、いわゆるポンピングロスが発生する。この観点から前記従来技術をみると、ピストンの往復動により、ピストンは、吸気行程および爆発行程では、クランク室内のブローバイガスを加圧してブリーザ孔を通じてギヤ室に流出させ、圧縮行程および排気行程では、クランク室内のブローバイガスを減圧して、ギヤ室内のガスをブリーザ孔を通じてクランク室に流入させる仕事をするため、ポンピングロスが大きい難点があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1ないし請求項3記載の発明は、ブリーザ装置に制御弁を設けることにより、クランク室とブリーザ通路との間でガスを移動させるためのピストンの仕事を減少させ、さらにクランク室内のガスの圧力を負圧状態に維持して、ポンピングロスを減少させること、および制御弁が設けられることによる部品点数の増加を抑制すると共に制御弁の開閉に起因する騒音の発生を防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、往復動するピストンに連結されて回転駆動されるクランク軸を収納するクランク室内のガスをクランク室外に導くブリーザ通路を備える4ストローク内燃機関のブリーザ装置において、前記ブリーザ通路を前記クランク軸の回転に連動して開閉する制御弁を備え、該制御弁は、前記クランク室を形成する室壁により形成される弁ボディと、前記クランク軸に同期して回転する回転軸からなる回転弁体とを備える回転弁から構成されて、前記ピストンの下降により前記クランク室内のガスが加圧される期間に開弁して前記クランク室と前記ブリーザ通路とを連通させ、前記弁ボディには、前記クランク室内に連通する第1通路が形成され、前記回転弁体には、前記ブリーザ通路に連通する第2通路が形成され、前記第1通路は、前記回転弁体の回転位置に応じて前記第2通路に対して連通および遮断され、第2通路は、前記回転軸にその軸方向に延びて形成されて端部が前記ブリーザ通路に開放する軸方向通路から構成されると共に、前記クランク室から前記第1通路を経て流入した前記ガスを前記ブリーザ通路に導き、前記クランク室を形成するクランクケースは、分割面において分割される第1ケース半体および第2ケース半体から構成され、前記弁ボディを形成する前記室壁は、前記第1ケース半体および前記第2ケース半体であり、前記第1通路は、前記分割面の一部を切り欠くことにより形成されると共に、前記回転軸の径方向で前記クランク軸のクランクスローと対向する位置において前記クランク室に開口する4ストローク内燃機関のブリーザ装置である。
【0006】
これによれば、ピストンが下降行程にあって、クランク室内のガスが下降するピストンにより加圧される期間に、ピストンはクランク室内のガスを開弁状態にある制御弁を経てブリーザ通路に流出させる一方で、制御弁が閉弁状態にあるピストンの行程時には、クランク室とブリーザ通路との間でのガスの移動が遮断されるため、クランク室が密閉状態になって、ピストンの往復動により、クランク室とブリーザ通路との間でのガスの移動が行われない。それゆえ、ピストンがクランク室とブリーザ通路との間でガスを移動させるためになす仕事は、制御弁が開弁状態にあるときにクランク室内のガスをブリーザ通路に流出させるための仕事のみになる。しかも、ピストンの下降行程毎にクランク室からガスがブリーザ通路に排出されることから、クランク室内のガスの密度が低下して、クランク室内のガスの圧力が、下降行程と上昇行程とからなる1往復行程での平均で負圧の状態に維持されるので、ピストンの往復動に伴うクランク室内でのガスの流動量が減少するうえ、その流動抵抗も減少する。さらに、クランク室内が負圧状態に維持されるので、リング溝へのピストンリングの密着性が高まり、ピストンリングの捩れや浮き上がりなどの姿勢変化が抑制される。
【0007】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。ブリーザ通路をクランク軸の回転に連動して開閉する制御弁が、ピストンの下降によりクランク室内のガスが加圧される期間に開弁してクランク室とブリーザ通路とを連通させることにより、ピストンがクランク室とブリーザ通路との間でガスを移動させるためになす仕事は、制御弁が開弁状態にあるときにクランク室内のガスをブリーザ通路に流出させるための仕事のみになるので、ポンピングロスが減少する。しかも、ピストンの下降行程毎にクランク室からガスが排出されて、クランク室内のガスが低密度および負圧の状態に維持されるので、ピストンの往復動に伴うクランク室内でのガスの流動量が減少するうえ、その流動抵抗も減少するので、この点でも、ポンピングロスが減少し、特に、多気筒内燃機関の場合には、複数のクランクスロー間でのガスの流動に起因するポンピングロスも減少する。さらに、このクランク室の負圧化により、ピストンリングの密着性が高まるので、ブローバイガスを減少させることができる。
また、制御弁は、回転軸からなる回転弁体と弁ボディとから構成される回転弁からなり、弁ボディはクランク室を形成する室壁を利用して形成される。また、クランク室とブリーザ通路とを連通させる通路が、弁ボディおよび回転弁体に形成される。
この結果、制御弁は、クランク室を形成する室壁である第1,第2ケース半体により形成される弁ボディと、クランク軸に同期して回転する回転軸からなる回転弁体とを備える回転弁から構成され、弁ボディには、クランク室内に連通する第1通路が形成され、回転弁体には、ブリーザ通路に連通する第2通路が形成され、第1通路は、回転弁体の回転位置に応じて第2通路に対して連通および遮断されることにより、制御弁を構成するためにクランク室を形成する室壁である第1,第2ケース半体が利用されるので、制御弁を設けることによる部品点数の増加が抑制され、しかも回転弁であることにより、制御弁の開閉に起因する騒音の発生が防止される。また、クランク室とブリーザ通路とを連通させる通路が、弁ボディおよび回転弁体に形成されるので、回転弁からなる制御弁およびその通路の構造が簡単になる。
さらに、第1通路は、第1,第2ケース半体の分割面の一部を切り欠くことにより形成されるので、第1通路の形成は容易である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の4ストローク内燃機関のブリーザ装置において、前記クランク室は、変速機を収納するミッション室とは油密に分離された密閉式クランク室であるものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の4ストローク内燃機関のブリーザ装置において、前記弁ボディは、前記クランク室と、変速機を収納するミッション室とを仕切る隔壁であるものである。
【0013】
なお、この明細書において、ピストンの下降行程とは、ピストンが上死点から下死点に移動する行程を意味し、ピストンの上昇行程とは、ピストンが下死点から上死点に移動する行程を意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図3を参照して説明する。
図1,図2を参照すると、本発明に係るブリーザ装置が適用される内燃機関Eは、SOHC型で水冷式のV型2気筒4ストローク内燃機関であり、後述する動力伝達装置と共に自動二輪車に搭載される動力装置を構成する。クランク軸14の回転軸線が左右方向を指向するように、車体に対して横置き配置された内燃機関Eは、クランク軸14を回転自在に支持すると共に、分割面 2a , 3a において左右に分割される1対の第1,第2ケース半体2,3(図2参照)から構成されるクランクケース1と、前後方向にV字形に配置されてクランクケース1の上端部に結合された前後1対の第1,第2シリンダ4a,4bと、両シリンダ4a,4bの上端部にそれぞれ結合された第1,第2シリンダヘッド5a,5bと、各シリンダヘッド5a,5bに結合された第1,第2ヘッドカバー6a,6bとを備える。そして、前側の第1シリンダ4a、第1シリンダヘッド5aおよび第1ヘッドカバー6aにより前側の第1バンクBNaが構成され、後側の第2シリンダ4b、第2シリンダヘッド5bおよび第2ヘッドカバー6bにより後側の第2バンクBNbが構成される。なお、この実施例において、「前後左右」は、自動二輪車を基準としたときの「前後左右」を意味するものとする。
【0015】
クランクケース1は、クランク軸14を収納するクランク室7と、常時噛み合い式の歯車変速機からなる変速機Mを収納するミッション室8とを形成する。クランク室7とミッション室8とは、第1,第2ケース半体2,3と一体に形成される第1,第2隔壁部分2w,3wからなる隔壁Wにより仕切られる。その結果、クランク室7は、ミッション室8とは油密に分離されて、ミッション室8から独立した、いわゆる密閉式クランク室となっている。ここで、クランク室7を形成する第1,第2ケース半体2,3の一部は、隔壁Wを含めて、クランク室7を形成する室壁である。また、ミッション室8を形成する第1,第2ケース半体2,3の下部は、潤滑油が貯留されるオイルパン9を構成する。
【0016】
各シリンダ4a,4b内には、ピストン10a,10bが摺動自在に嵌合される。各ピストン10a,10bは、該ピストン10a,10bと対向する位置のシリンダヘッド5a,5bに形成された燃焼室11に生じる燃焼圧力により往復動駆動され、コンロッド12を介してクランク軸14を回転駆動する。また、各ピストン10a,10bの外周に形成された3つのリング溝には、2つの圧力リング13aおよび1つのオイルリング13bから構成されるピストンリング13(図面には、図2にピストン10bのピストンリング13のみが示されている。)がそれぞれ装着される。
【0017】
クランク軸14は、第1,第2ケース半体2,3にそれぞれ固定された1対のメタル軸受からなる主軸受15により、クランクケース1に対して回転自在に支持される。そして、クランク軸14の回転軸線方向で、両主軸受15の間に位置するクランク軸14の部分には、各主軸受15寄りに位置する第1,第2ウェブ14a,14bと、両ウェブ14a,14bの間に位置する中間ウェブ14cとが前記回転軸線方向での間隔をおいて、クランク軸14に一体成形されている。第1ウェブ14aと中間ウェブ14cとの間には、第2シリンダ4bのピストン10bに連結されたコンロッド12が連結されるクランクピン14dが設けられ、第2ウェブ14bと中間ウェブ14cとの間には、第1シリンダ4aのピストン10aに連結されたコンロッド12が連結されるクランクピン14eが設けられる。両クランクピン14d,14eは所定の位相角度を持つように配置されており、このようなピストン10a,10bとクランク軸14との連結構造により、いわゆる位相クランクが構成されて、ピストン10a,10bの往復動により発生する1次慣性力および2次慣性力に起因する内燃機関Eの1次振動および2次振動が低減される。
【0018】
クランク室7から左方に突出するクランク軸14の一端部には、第1バンクBNaのカム軸16aを回転駆動する駆動スプロケット17aと交流発電機18とが設けられ、それらは、第1ケース半体2と該第1ケース半体2に結合された第1ケースカバー20とで形成されてクランク室7に隣接する第1側室22内に収納される。また、クランク室7から右方に突出するクランク軸14の他端部には、第2バンクBNbのカム軸16bを回転駆動する駆動スプロケット17bと出力ギヤ40とクランク軸14の捩り振動防止用ダンパ19とが設けられ、それらは、第2ケース半体3と該第2ケース半体3に結合された第2ケースカバー21とで形成されてクランク室7に隣接する第2側室23内に収納される。
【0019】
各シリンダヘッド5a,5bには、一端が1対の吸気弁口にて燃焼室11に開口する吸気ポート24と、一端が1つの排気弁口にて燃焼室11に開口する排気ポート25とが形成され、また燃料噴射弁(図示されず)が吸気ポート24に臨んで装着され、燃焼室11内で空気と該燃料噴射弁からの燃料との混合気に点火するための2つの点火栓26が燃焼室11に臨んで装着される。そして、吸気ポート24の他端には、両バンクBNa,BNb間に形成されるバンク空間に配置されて、各シリンダ4a,4bに対応する1対のスロットル弁を有するスロットルボディ27を備える吸気装置が接続され、排気ポート25の他端には排気装置が接続される。
【0020】
さらに、各シリンダヘッド5a,5bには、1対の前記吸気弁口を開閉する1対の吸気弁28(図2参照)および排気弁口を開閉する1つの排気弁29が設けられる。各バンクBNa,BNbにおいて、吸気弁28および排気弁29は、シリンダヘッド5a,5bとヘッドカバー6a,6bとで形成される動弁室30a,30b内に配置された動弁装置により開閉作動される。該動弁装置は、シリンダヘッド5a,5bと該シリンダヘッド5a,5bに固定されるカムホルダとに挟まれて回転自在に支持されるカム軸16a,16bと、カム軸16a,16bに設けられた吸気カム31および排気カム32と、前記カムホルダに固定されたロッカ軸33に揺動自在に支持される吸気ロッカアーム34および排気ロッカアーム35とを備える。
【0021】
第2バンクBNbにおいて、駆動スプロケット17bと、カム軸16bに設けられたカムスプロケット36bと、駆動スプロケット17bおよびカムスプロケット36bに掛け渡されたタイミングチェーン37bとからなる伝動機構を介して、また同様に、第1バンクBNaにおいて、駆動スプロケット17aと、カム軸16aに設けられたカムスプロケット(図示されず)と、駆動スプロケット17aおよび該カムスプロケットに掛け渡されたタイミングチェーン37aとからなる伝動機構を介して、各カム軸16a,16bが、クランク軸14の動力により、該クランク軸14の1/2の回転数で回転駆動される。ここで、第2バンクBNbのカム軸16bを駆動するタイミングチェーン37bは、第2側室23の一部と、第1ケース部3の右側部分および第2シリンダ4bの右側部分に形成された空洞38b,39bと、動弁室30bの一部から構成される第2伝動室に収納され、同様に、第1バンクBNaのカム軸16aを駆動するタイミングチェーン37aは、第1側室22の一部と、第2ケースの左側部分および第1シリンダ4aの左側部分の左側部分に形成された空洞(図示されず)と、動弁室30aの一部から構成される第1伝動室に収納される。
【0022】
そして、吸気ロッカアーム34の一端部は吸気カム31に当接し、その他端部は、二股に形成されて、1対の吸気弁28にそれぞれ当接する。排気ロッカアーム35の一端部は排気カム32に当接し、その他端部は排気弁29に当接する。それゆえ、カム軸16a,16bと一体に回転する吸気カム31および排気カム32により、それぞれ吸気ロッカアーム34および排気ロッカアーム35が揺動され、各シリンダ4a,4bの1対の吸気弁28および排気弁29が所定の開閉時期に開閉される。
【0023】
次に、内燃機関Eの動力を自動二輪車の駆動輪である後輪へ伝達する動力伝達装置について説明する。該動力伝達装置は、1次減速機構R、変速クラッチC、変速機Mおよび2次減速機構(図示されず)を備える。1次減速機構Rは、出力ギヤ40と第1,第2ケース半体2,3にそれぞれ固定された1対の軸受41を介してクランクケース1に回転自在に支持される中間回転軸42と、中間回転軸42に設けられたアイドルギヤ43および1次駆動ギヤ44と、変速クラッチCのクラッチアウタ47を兼ねる1次被動ギヤ45とを備える。
【0024】
クランク軸14の回転軸線と平行な回転軸線を有する中間回転軸42は、出力ギヤ40と噛合するアイドルギヤ43により、クランク軸14と等しい回転数で該クランク軸14に同期して、クランク軸14の回転方向A1とは逆の回転方向A2に回転駆動される。そして、1次駆動ギヤ44と1次被動ギヤ45との噛み合いにより、クランク軸14の回転が減速されて変速クラッチCに伝達される。また、第1側室22内で延びる中間回転軸42の一端部には、両ピストン10a,10bの往復動に基づいて発生する慣性力が偶力となって発生するクランク軸14のカップリング振動を低減するためのバランスウエイト46が設けられる。
【0025】
変速クラッチCは、変速機Mのメイン軸49に回転自在に支持されたクラッチアウタ47と、メイン軸49に一体回転するように結合されたクラッチインナ48とを備える多板摩擦クラッチから構成される。そして、クラッチ操作機構の接続操作により、クランク軸14の動力がクラッチアウタ47からクラッチインナ48を介してメイン軸49に伝達される。なお、変速クラッチCは、第2側室23の一部を構成するクラッチ室23aに収納される。
【0026】
変速機Mは、一群のメインギヤ50が設けられたメイン軸49と、対応するメインギヤ50と常時噛合する一群のカウンタギヤが設けられたカウンタ軸(図示されず)とを備える。そして、変速操作機構による変速操作により選択されたメインギヤ50および前記カウンタギヤを通じて変速が行われて、クランク軸14の動力がメイン軸49から前記カウンタ軸に伝達される。前記カウンタ軸の動力は、該カウンタ軸に駆動連結されたドライブ軸を備える前記2次減速機構を介して前記後輪に伝達され、該後輪が駆動される。
【0027】
また、メイン軸49には、クラッチアウタ47と一体に回転する駆動スプロケット51が同軸に設けられ、該駆動スプロケット51とオイルポンプユニット54のポンプ駆動軸55に設けられた被動スプロケット52との間に掛け渡されたチェーン53を介して、クランク軸14の動力がポンプ駆動軸55に伝達されて、オイルポンプユニット54が駆動される。このオイルポンプユニット54は、ポンプ駆動軸55に対して同軸に配置されて、いずれもトロコイドポンプから構成されるフィードポンプとスカベンジポンプとから構成される。
【0028】
前記フィードポンプは、オイルパン9に貯留した潤滑油をオイルストレーナ56および吸入パイプ57を通じて吸引して、クランク軸14やカム軸16a,16bを始め内燃機関Eの各油路および前記動力伝達装置の各油路を経て、軸受部や摺動部やギヤの噛み合い部等の各潤滑個所に潤滑油を供給する。また、前記スカベンジポンプは、クランク室7の最下部に位置するオイル集合部58に集合した潤滑油を吸入パイプ59を通じて汲み出して、吐出パイプ60から変速機Mのメインギヤ50および前記カウンタギヤの噛合部に向けて潤滑油を放出する。なお、ポンプ駆動軸55の左端部には、図示されない冷却水ポンプのインペラを回転駆動するための駆動軸が結合される。
【0029】
さらに、内燃機関Eには、ピストンリング13が装着されたピストン10a,10bとシリンダ4a,4bとの間から僅かに漏れて、クランク室7内に流入するブローバイガスをクランク室7の外部、この実施例では前記吸気装置に導くブリーザ通路P(図2参照)と、該ブリーザ通路Pをクランク軸14の回転に連動して開閉する制御弁Vとを備えるブリーザ装置が設けられる。
【0030】
ブリーザ通路Pは、第2側室23と前記第2伝動室および動弁室30bとから構成される機関本体側通路と、該機関本体側通路に連通すると共に第2ヘッドカバー6a,6bに設けられた気液分離室(図示されず)と、気液分離室と前記吸気装置の吸気通路とを連通させるホース(図示されず)からなる接続通路とを有する。
【0031】
クランク室7とブリーザ通路Pとの連通および遮断を行うために、クランク室7と第2側室23との間に配置される制御弁Vは、中間回転軸42からなる回転弁体と、隔壁Wの一部分により形成されて中間回転軸42の一部を摺動自在に収納する円筒状の弁ボディ71とを備える回転弁から構成される。
【0032】
弁ボディ71は、隔壁Wにおいて、比較的スペースに余裕のあるミッション室8側に突出して形成される。そして、弁ボディ71には、そのクランク室7側の部分でクランク室7に連通する第1通路72が、第1,第2ケース半体2,3の分割面2a,3aの一部を中間回転軸42に沿って切り欠くことにより形成される。そして、図2に示されるように、中間回転軸 42 の径方向でクランク軸 14 のクランクスローと対向する位置においてクランク室7に開口する。ここで、該クランクスローは、クランクピン 14d ; 14e と、その両端のクランクウェブ 14a , 14c ; 14b , 14c とから構成される。
【0033】
中間回転軸42には、その軸方向(以下、単に「軸方向」という。)に延びて形成されて、一端部が閉塞端とされ、他端部が中間回転軸42の端面の開口部74aにて第2側室22,23に開放する開放端とされた軸方向通路74と、中間回転軸42の径方向に延びて形成されて、外端部が中間回転軸42の外周面に開口し、内端部が軸方向通路74に開放する径方向通路75とから構成される第2通路73が設けられる。なお、76は、第2ケースカバー21に形成されて、ガスの流通を妨げない程度の径方向の隙間を形成して開口部74aから第2通路73内に挿入される柱状部からなる邪魔部材であり、第2側室23内に存する潤滑油の油滴が第2通路73に侵入するのを妨げるためのものである。
【0034】
ここで、第1通路72の軸方向での幅および位置は、第1通路72が径方向通路75に連通するときに、第1通路72と径方向通路75とが軸方向で少なくとも部分的に重なるように、この実施例では両通路72,74が全体で重なるように設定され、その周方向での幅および位置は、各ピストン10a,10bの下降行程時のみに、すなわち各ピストン10a,10bが上死点から下死点に移動する行程である吸気行程および爆発行程にあるときのみに、したがってクランク室7内のガスが下降するピストン10a,10bにより加圧されて、その圧力が上昇する期間に、下降行程に含まれる中間回転軸42の回転位置(これは、クランク軸14の回転位置でもある。)の所定範囲S(図3(A)参照)内で、第1通路72が径方向通路75に連通し、所定範囲S外で第1通路72が径方向通路75から遮断されるように設定される。
【0035】
それゆえ、第1通路72は、制御弁Vにより、中間回転軸42の回転位置に応じて第2通路73に対して連通または遮断される。すなわち、所定範囲S内では、制御弁Vが開弁状態になって、第1通路72が径方向通路75と連通して、クランク室7はブリーザ通路Pに連通される。また、所定範囲S外では、制御弁Vが閉弁状態になって、第1通路72が径方向通路75から遮断されて、クランク室7はブリーザ通路Pから遮断され、クランク室7は、ピストン10a,10bとシリンダ4a,4bとの間の隙間を除き、密閉状態になる。
【0036】
そして、所定範囲Sは、この実施例では、図3(A)に示されるように、第1シリンダ4aのピストン10aと第2シリンダ4bのピストン10bとが共に下降行程にあるときの中間回転軸42の回転位置の範囲となるように設定される。それゆえ、図1に示される第2シリンダ4bのピストン10bの上死点Tbに対応する回転位置にある中間回転軸42(図3(B)参照)が、両シリンダ4a,4bの軸線La,Lbの挟み角、すなわちバンク角θだけ回転したときの回転位置である、第1シリンダ4aのピストン10aの上死点Ta近傍に対応する回転位置が、制御弁Vの開弁開始位置となり(図3(C)参照)、第2シリンダ4bのピストン10bの下死点Bb近傍に対応する中間回転軸42の回転位置が閉弁開始位置となる(図3(E)参照)ように設定される。これにより、各ピストン10a,10bの移動速度が最大になる回転位置を含む範囲で、図3(D)に示されるように制御弁Vが全開状態になる。
【0037】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
内燃機関Eが運転されると、クランク室7内には、ピストンリング13が装着されたピストン10a,10bとシリンダ4a,4bとの間から漏れたブローバイガスが流入する。また、前記フィードポンプから吐出された潤滑油は、内燃機関Eおよび前記動力伝達装置の前記各潤滑個所の潤滑をした後、クランク室7内では、オイル集合部58に落下または流下して集合し、ミッション室8では、オイルパン9に落下または流下する。そのため、クランク室7内には、潤滑油のミストが存する一方で、オイル集合部58に集合した潤滑油は前記スカベンジポンプにより汲み出されて、貯留する潤滑油は極めて少量となる。
【0038】
このとき、往復動するピストン10a,10bにより、クランク室7内のブローバイガスを含むガスは、少なくとも、両ピストン10a,10bが共に下降行程にある所定範囲S内では、両ピストン10a,10bにより加圧される。そして、クランク軸14の回転と連動して開閉作動する制御弁Vが開弁されて、その開弁状態が維持される。制御弁Vが開弁状態にあるとき、クランク室7内のガスの圧力がブリーザ通路Pを構成する第2側室23内のガスの圧力よりも高いときには、ピストン10a,10bがクランク室7内のガスを第1通路72および第2通路73を通じてブリーザ通路Pに流出させる。そのため、クランク室7内のブローバイガスが、開弁状態にある制御弁Vを通って、クランク室7から第1,第2通路72,73を経て第2側室23に排出され、前記機関本体側通路を流れる。それゆえ、第2通路 73 は、クランク室7から第1通路 72 を経て流入したガスをブリーザ通路Pに導く。
そして、前記気液分離室においてブローバイガス中に混入しているミスト状の潤滑油が油滴となって分離されたブローバイガスは、前記接続通路を通って前記吸気装置の吸気通路に流入し、さらに燃焼室11に流入して燃焼される。しかも、各ピストン10a,10bの移動速度が最大になるときには、制御弁Vが全開状態にされることにより、クランク室7内のガスの流出速度を大きくすることができるので、クランク室7内のガスをブリーザ通路Pに効率よく排出できる。
【0039】
中間回転軸42、すなわちクランク軸14がさらに回転して、所定範囲S外の回転位置を占めると、制御弁Vは閉弁状態に維持されて、クランク室7とブリーザ通路Pとの間でのガスの移動が遮断されるため、クランク室7は密閉状態になって、ピストン10a,10bの往復動により、クランク室7とブリーザ通路Pとの間でのガスの移動が行われない。
【0040】
制御弁Vの開閉の繰り返しにより、制御弁Vが開弁状態にある下降行程毎にクランク室7からガスがブリーザ通路Pに排出されるため、クランク室7内のガスの密度が低下して、クランク室7内のガスの圧力は、下降行程と上昇行程とからなる1往復行程での平均で負圧に維持される。
【0041】
ところで、制御弁Vが開弁状態にあるとき、ピストン10a,10bは、クランク室7内のガスをブリーザ通路Pに流出させる仕事をするため、ポンピングロスが発生する。また、クランク室7内のガスの圧力は、前述のように、中間回転軸42の1回転毎にクランク室7内のガスがブリーザ通路Pに排出されることから、前記1往復行程での平均で負圧となるため、制御弁Vが開弁状態にあるとき、クランク室7内のガスの圧力がブリーザ通路P内のガスの圧力よりも低いときは、第2側室23内のガスがクランク室7に流入するが、このときのポンピングロスは、クランク室7内のガスの圧力が第2側室23内のガスの圧力よりも低いことから、前記従来技術に比べると小さいものとなる。
【0042】
このように、各ピストン10a,10bが前記1往復行程をするとき、クランク室7は制御弁Vにより密閉状態となって、クランク室7とブリーザ通路Pとの間でガスの流入および流出がない期間があるため、前記1往復行程において、ほぼ常時、クランク室7とブリーザ通路Pとの間でガスが流入または流出する前記従来技術に比べて、前記1往復行程におけるポンピングロスが減少する。
【0043】
また、制御弁Vが閉弁状態にあり、密閉状態となったクランク室7内の全体の圧力は、各ピストン10a,10bの往復動により加圧または減圧されると共に、局部的には、下降行程にあるピストン10a,10bの近傍の加圧されたガスと、または上昇行程、すなわち下死点から上死点に移動する行程である圧縮行程および排気行程にあるピストン10a,10bの近傍の減圧されたガスと、その周囲のガスとの間で圧力差が生じて、ガスが流動する。しかしながら、クランク室7内のガスの圧力は低い状態、すなわちガスの密度が低い状態にあるため、クランク室7内でのガスの流動量が少ないうえ、その流動抵抗も小さいので、この点でもポンピングロスが減少する。
【0044】
以上のように、制御弁Vが、中間回転軸42(またはクランク軸14)の所定範囲Sで、ピストン10a,10bの下降によりクランク室7内のガスが加圧される期間に開弁してクランク室7とブリーザ通路Pとを連通させ、所定範囲S外でクランク室7からブリーザ通路Pを遮断することにより、ピストン10a,10bがクランク室7とブリーザ通路Pとの間でガスを移動させるためになす仕事は、制御弁Vが開弁状態にあるときにクランク室7内のガスをブリーザ通路Pに流出させるための仕事のみになるので、ポンピングロスが減少する。しかも、ピストン10a,10bの下降行程毎にクランク室7からガスがブリーザ通路Pに排出されることにより、クランク室7内のガスの密度が低下し、クランク室7内のガスの圧力が前記1往復行程での平均で負圧に維持されるので、ピストン10a,10bの往復動に伴うクランク室7内でのガスの流動量が減少するうえ、その流動抵抗も減少するので、この点でも、ポンピングロスが減少する。そのため、クランクピン14d;14eと、その両端のクランクウェブ14a,14c;14b,14cとから構成されるクランクスローが複数個設、この実施例では2個設けられている内燃機関Eにおいて、それらクランクスロー間でのガスの流動に起因するポンピングロスも減少する。さらに、クランク室7内が負圧状態に維持されるので、前記リング溝へのピストンリング13の密着性が高まり、ピストンリング13の捩れや浮き上がりなどの姿勢変化が抑制されて、ブローバイガスを減少させることができる。
【0045】
制御弁Vは、クランク室7を形成する隔壁Wにより形成される弁ボディ71と、クランク室7を形成する第1,第2ケース半体2,3に支持されてクランク軸14に同期して回転する中間回転軸42からなる回転弁体とを備える回転弁から構成されることにより、制御弁Vを構成するためにクランク室7を形成する隔壁Wを含む第1,第2ケース半体2,3が利用されるので、制御弁Vを設けることによる部品点数の増加が抑制され、しかも回転弁であることにより、制御弁Vの開閉に起因する騒音の発生が防止される。また、制御弁Vの回転弁体は、1次減速機構Rを構成する回転軸である中間回転軸42により構成されるので、この点でも、制御弁Vを設けたことによる部品点数の増加を抑制することができる。
【0046】
さらに、弁ボディ71には、クランク室7内に連通する第1通路72が形成され、回転弁体には、ブリーザ通路Pに連通する第2通路73が形成され、第1通路72は、回転弁体の回転位置に応じて第2通路73に対して連通および遮断されるので、回転弁からなる制御弁Vおよびその通路の構造が簡単になる。
【0047】
制御弁Vの弁ボディ71が、クランク室7とミッション室8とを仕切る隔壁Wにおいて、クランク室7側に突出することなく、比較的スペースに余裕のあるミッション室8側に突出して形成されるので、密閉式のクランク室7をコンパクトにすることができて、内燃機関Eがコンパクトになる。また、第1通路72は、第1,第2ケース半体2,3の分割面の一部を切り欠くことにより形成されるので、第1通路72の形成は容易である。
【0048】
回転弁体を構成する中間回転軸42には、クランク軸14に発生するカップリング振動を低減するためのバランスウエイト46が設けられることにより、クランク軸14と同期して回転する回転弁体を利用して、クランク軸14のカップリング振動の発生を抑制するバランサ装置が構成されるので、部品点数の増加が抑制されたうえで、内燃機関Eの振動が低減される。
【0049】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した例について、変更した構成に関して説明する。
前記実施例では、制御弁Vは、1次減速機構Rを構成する中間回転軸42を利用して構成されたが、クランク軸14と同期して、クランク軸14と等速で回転駆動される回転軸、例えばピストンの1次慣性力による1次振動を低減するためのバランサ軸であってもよく、単なる回転軸であってもよく、さらには、クランク軸の1/2の回転数で回転駆動される回転軸であってもよい。また、回転弁体は、回転軸ではなく、ディスク状の回転部材であってもよい。
【0050】
前記実施例では、制御弁Vが開弁状態にある所定範囲Sは、両ピストン10a,10bが下降行程にあるときの中間回転軸42(またはクランク軸14)の回転位置に設定されたが、所定範囲Sよりも狭い範囲に設定することもできる。例えば、制御弁Vの開弁位置を、第1シリンダ4aのピストン10aの上死点Taに対応する位置よりも、回転方向A2に所定角度進んだ回転位置に設定することもでき、このようにすることで、ブリーザ通路Pから負圧状態のクランク室7にガスが流入する回転位置の範囲を少なくすることができるので、ブリーザ通路Pからのガスの流入によるポンピングロスを減少させることができる。
【0051】
内燃機関は、前記実施例では、V型2気筒内燃機関であったが、単気筒内燃機関であってもよく、さらに直列多気筒内燃機関または3気筒以上のV型内燃機関であってもよい。その場合にも、制御弁Vは、ピストンの下降によりクランク室内のガスの圧力が加圧される期間に開弁するように設定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、本発明に係るブリーザ装置が適用される内燃機関を備える動力装置の輪郭を中心とした概略の右側面図であり、一部、図2のI−I線での断面図である。
【図2】図1のII−II線での断面図であり、クランク軸については、部分的に図1のii−ii矢視図である。
【図3】制御弁Vの開閉状態を説明するための図であり、(A)は、ピストンの位置を示す図、(B)閉弁状態にある図1の回転位置での図、(C)は開弁開始位置の回転位置での図、(D)は全開状態にある回転位置での図、(E)は閉弁開始位置の回転位置での図である。
【符号の説明】
1…クランクケース、2,3…ケース半体、4a,4b…シリンダ、5a,5b…シリンダヘッド、6a,6b…ヘッドカバー、7…クランク室、8…ミッション室、9…オイルパン、10a,10b…ピストン、11…燃焼室、12…コンロッド、13…ピストンリング、14…クランク軸、15…主軸受、16a,16b…カム軸、17a,17b…スプロケット、18…交流発電機、19…ダンパ、20,21…ケースカバー、22,23…側室、24…吸気ポート、25…排気ポート、26…点火栓、27…スロットルボディ、28…吸気弁、29…排気弁、30a,30b…動弁室、31…吸気カム、32…排気カム、33…ロッカ軸、34,35…ロッカアーム、36b…スプロケット、37a,37b…タイミングチェーン、
40…出力ギヤ、41…軸受、42…中間回転軸、43…アイドルギヤ、44…1次駆動ギヤ、45…1次被動ギヤ、46…バランスウエイト、47…クラッチアウタ、48…クラッチインナ、49…メイン軸、50…メインギヤ、51,52…スプロケット、53…チェーン、54…オイルポンプユニット、55…ポンプ駆動軸、56…オイルストレーナ57…吸入パイプ、58…オイル集合部、59…吸入パイプ、60…吐出パイプ、
71…弁ボディ、72…第1通路、73…第2通路、74…軸方向通路、75…径方向通路、
E…内燃機関、BNa,BNb…バンク、W…隔壁、R…1次減速機構、C…変速クラッチ、M…変速機、A1,A2…回転方向、P…ブリーザ通路、V…制御弁、S…所定範囲、La,Lb…軸線、θ…バンク角、Ta,Tb…上死点、Ba,Bb…下死点。
Claims (3)
- 往復動するピストンに連結されて回転駆動されるクランク軸を収納するクランク室内のガスをクランク室外に導くブリーザ通路を備える4ストローク内燃機関のブリーザ装置において、
前記ブリーザ通路を前記クランク軸の回転に連動して開閉する制御弁を備え、
該制御弁は、前記クランク室を形成する室壁により形成される弁ボディと、前記クランク軸に同期して回転する回転軸からなる回転弁体とを備える回転弁から構成されて、前記ピストンの下降により前記クランク室内のガスが加圧される期間に開弁して前記クランク室と前記ブリーザ通路とを連通させ、
前記弁ボディには、前記クランク室内に連通する第1通路が形成され、
前記回転弁体には、前記ブリーザ通路に連通する第2通路が形成され、
前記第1通路は、前記回転弁体の回転位置に応じて前記第2通路に対して連通および遮断され、
前記第2通路は、前記回転軸にその軸方向に延びて形成されて端部が前記ブリーザ通路に開放する軸方向通路から構成されると共に、前記クランク室から前記第1通路を経て流入した前記ガスを前記ブリーザ通路に導き、
前記クランク室を形成するクランクケースは、分割面において分割される第1ケース半体および第2ケース半体から構成され、
前記弁ボディを形成する前記室壁は、前記第1ケース半体および前記第2ケース半体であり、
前記第1通路は、前記分割面の一部を切り欠くことにより形成されると共に、前記回転軸の径方向で前記クランク軸のクランクスローと対向する位置において前記クランク室に開口することを特徴とする4ストローク内燃機関のブリーザ装置。 - 前記クランク室は、変速機を収納するミッション室とは油密に分離された密閉式クランク室であることを特徴とする請求項1記載の4ストローク内燃機関のブリーザ装置。
- 前記弁ボディは、前記クランク室と、変速機を収納するミッション室とを仕切る隔壁であることを特徴とする請求項1記載の4ストローク内燃機関のブリーザ装置。
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