JP4678107B2 - ボイラ設備 - Google Patents

ボイラ設備 Download PDF

Info

Publication number
JP4678107B2
JP4678107B2 JP2001263932A JP2001263932A JP4678107B2 JP 4678107 B2 JP4678107 B2 JP 4678107B2 JP 2001263932 A JP2001263932 A JP 2001263932A JP 2001263932 A JP2001263932 A JP 2001263932A JP 4678107 B2 JP4678107 B2 JP 4678107B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concentration
exhaust gas
temperature
air preheater
noise component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001263932A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003074831A (ja
Inventor
健 小林
武人 八木
孝男 倉田
滋 草間
孝平 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP2001263932A priority Critical patent/JP4678107B2/ja
Publication of JP2003074831A publication Critical patent/JP2003074831A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4678107B2 publication Critical patent/JP4678107B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E20/00Combustion technologies with mitigation potential
    • Y02E20/34Indirect CO2mitigation, i.e. by acting on non CO2directly related matters of the process, e.g. pre-heating or heat recovery

Landscapes

  • Air Supply (AREA)
  • Chimneys And Flues (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラ設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図21は従来のボイラ設備の一例を表わすものであって、1は石炭等の燃料を燃焼させ蒸気を発生させるボイラ本体、2はボイラ本体1から排出される燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するための脱硝装置、3は脱硝装置2で窒素酸化物が除去された燃焼排ガスとボイラ本体1へ供給される燃焼用空気等の空気とを熱交換させるための空気予熱器、4は燃焼用空気を空気予熱器3を介してボイラ本体1へ送風するための押込通風機、5は空気予熱器3を通過して温度降下した燃焼排ガス中に含まれる煤塵を捕集するための電気集塵機、6は電気集塵機5の下流側に設けられた誘引通風機、7は電気集塵機5で煤塵が捕集され誘引通風機6を経て送り込まれる燃焼排ガスから熱を回収するためのガスガスヒータの熱回収器、8はガスガスヒータの熱回収器7で熱が回収された燃焼排ガス中に含まれる硫黄酸化物を除去するための脱硫装置、9は脱硫装置8で硫黄酸化物が除去された燃焼排ガスを熱回収器7で回収した熱によって再加熱するためのガスガスヒータの再加熱器、10はガスガスヒータの再加熱器9の下流側に設けられた脱硫通風機、11はガスガスヒータの再加熱器9で再加熱され脱硫通風機10で昇圧された燃焼排ガスを大気中へ放出するための煙突である。
【0003】
図21に示される従来のボイラ設備においては、ボイラ本体1で石炭等の燃料の燃焼が行われて蒸気が発生され、その際にボイラ本体1から排出される燃焼排ガスは、脱硝装置2で窒素酸化物が除去され、空気予熱器3において、押込通風機4によりボイラ本体1へ供給される燃焼用空気等の空気と熱交換して温度降下した後、電気集塵機5で煤塵が捕集され、誘引通風機6を経てガスガスヒータの熱回収器7で熱が回収され、脱硫装置8で硫黄酸化物が除去され、ガスガスヒータの再加熱器9において前記熱回収器7で回収した熱によって再加熱され、脱硫通風機10で昇圧され煙突11から大気中へ放出されるようになっている。
【0004】
尚、前記脱硫装置8で硫黄酸化物が除去されて排出される燃焼排ガスは、通常、およそ50℃前後まで温度降下し飽和状態となっており、この脱硫後の燃焼排ガスをそのまま煙突11から大気中へ放出すると、白煙が発生するため、前記熱回収器7と再加熱器9とからなるガスガスヒータを用いて前記脱硫装置8から排出される燃焼排ガスを再加熱するようになっている。
【0005】
ところで、前述の如きボイラ設備の場合、前記脱硝装置2の入口側には、図22に示されるように、アンモニア(NH3)の注入ノズル12が設けられ、該注入ノズル12から脱硝装置2の入口側にNH3を注入し、ボイラ本体1から排出される排ガス中に含まれるNOxを脱硝装置2内の脱硝触媒によって
【化1】
NO+NH3→N2+H2
といった反応式で示される如く還元することにより、脱硝を行い、排ガス中のNOxを低減するようになっている。
【0006】
又、前記電気集塵機5の入口側にも、図22に示されるように、アンモニア(NH3)の注入ノズル13が設けられ、該注入ノズル13から電気集塵機5の入口側にNH3を注入し、ボイラ本体1から排出される排ガス中に含まれるSO3
【化2】
SO3+NH3+H2O→NH4HSO4
といった反応式で示される如く酸性硫安(NH4HSO4)とし、電気集塵機5で捕集するようになっている。
【0007】
更に又、空気予熱器3の空気入口側には蒸気式空気予熱器14が設けられ、該蒸気式空気予熱器14で空気予熱器3へ導かれる空気を予熱することにより、空気予熱器3の出口排ガス温度を酸露点温度より高く制御するようになっている。
【0008】
ここで、前記空気予熱器3の出口排ガス温度を酸露点温度より高く制御するための制御系は、
空気予熱器3の出口排ガス温度15を検出する排ガス温度計16と、
空気予熱器3の入口空気温度17を検出する空気温度計18と、
空気予熱器3の排ガス出口側における排ガス中のSO3濃度19を検出するSO3計20と、
空気予熱器3の排ガス出口側における排ガス中のH2O濃度21を検出する水分計22と、
前記排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記空気温度計18で検出された空気予熱器3の入口空気温度17との平均値を低温端メタル温度23として求める平均温度演算器24と、
該平均温度演算器24で求められた低温端メタル温度23と予め設定された設定値25との低温端メタル温度偏差26を求める減算器27と、
前記SO3計20で検出されたSO3濃度19と前記水分計22で検出されたH2O濃度21とに基づき酸露点温度28を算出する酸露点温度演算器29と、
前記排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記酸露点温度演算器29で算出された酸露点温度28との酸露点温度偏差30を求める減算器31と、
前記減算器27で求められた低温端メタル温度偏差26と前記減算器31で求められた酸露点温度偏差30とに基づき、低温端メタル温度偏差26をなくすための制御信号32或いは酸露点温度偏差30をプラスの値として空気予熱器3の出口排ガス温度15を酸露点温度28より高く保持するための制御信号32のいずれかを前記蒸気式空気予熱器14の蒸気流量調整弁33へ出力する制御信号発信器34と
を備えてなる構成を有している。
【0009】
又、前記電気集塵機5の入口側へのNH3の注入量の制御系は、前記SO3計20で検出されたSO3濃度19に基づき、必要量のNH3を注入するための制御信号35をNH3流量調整弁36へ出力する制御信号発信器37を備えてなる構成を有している。
【0010】
これにより、ボイラ設備の運転時には、排ガス温度計16で空気予熱器3の出口排ガス温度15が検出され、空気温度計18で空気予熱器3の入口空気温度17が検出され、SO3計20で空気予熱器3の排ガス出口側における排ガス中のSO3濃度19が検出され、水分計22で空気予熱器3の排ガス出口側における排ガス中のH2O濃度21が検出され、前記排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記空気温度計18で検出された空気予熱器3の入口空気温度17との平均値が低温端メタル温度23として平均温度演算器24で求められ、該平均温度演算器24で求められた低温端メタル温度23と予め設定された設定値25との低温端メタル温度偏差26が減算器27で求められ、前記SO3計20で検出されたSO3濃度19と前記水分計22で検出されたH2O濃度21とに基づき酸露点温度28が酸露点温度演算器29で算出され、前記排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記酸露点温度演算器29で算出された酸露点温度28との酸露点温度偏差30が減算器31で求められ、前記減算器27で求められた低温端メタル温度偏差26と前記減算器31で求められた酸露点温度偏差30とに基づき、低温端メタル温度偏差26をなくすための制御信号32或いは酸露点温度偏差30をプラスの値として空気予熱器3の出口排ガス温度15を酸露点温度28より高く保持するための制御信号32のいずれかが制御信号発信器34から蒸気式空気予熱器14の蒸気流量調整弁33へ出力される。
【0011】
ここで、前記排ガス温度計16で検出される空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸露点温度28よりも低い場合には、前記制御信号発信器34から出力される制御信号32により、蒸気流量調整弁33の開度が拡張される方向に制御されて蒸気式空気予熱器14への蒸気流量が増加され、空気予熱器3へ導入される空気温度が高められ、空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸露点温度28より高く保持され、空気予熱器3以降の下流側機器の腐食が防止される一方、前記排ガス温度計16で検出される空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸露点温度28よりも高い場合には、空気予熱器3の低温端メタル温度23が設定値25と等しくなって低温端メタル温度偏差26がなくなるよう、前記制御信号発信器34から出力される制御信号32により、蒸気流量調整弁33の開度が絞られる方向に制御され、ボイラ効率の低下が防止される。
【0012】
又、前記SO3計20で検出されたSO3濃度19は、制御信号発信器37にも入力されており、該制御信号発信器37において、前記SO3濃度19に基づき必要量のNH3を注入するための制御信号35がNH3流量調整弁36へ出力され、該NH3流量調整弁36の開度調節により電気集塵機5の入口側へのNH3の注入量が制御される。
【0013】
尚、上記したようなボイラ設備としては、従来、例えば、特開平11−2403号公報に記載されたようなものが存在する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空気予熱器3の目詰りを引き起こす原因として考えられている酸性硫安(NH4HSO4)の生成温度は酸露点温度28よりも高いため、前述の如く、空気予熱器3の出口排ガス温度15を単に酸露点温度28より高く制御するだけでは、空気予熱器3における酸性硫安の生成を防止することができず、空気予熱器3の目詰りを回避するような正確な制御を行うことは困難となっていた。
【0015】
又、前述の如き従来例の場合、検出されたSO3濃度19に基づいて電気集塵機5の入口側におけるNH3注入量を制御しているだけで、脱硝装置2から排出されるリークNH3については全く考慮されていないため、電気集塵機5の入口側にNH3が余分に注入される形となり、正確な制御ができず、無駄が多くコストアップにつながるという不具合を有していた。
【0016】
本発明は、斯かる実情に鑑み、空気予熱器における酸性硫安の生成を防止して該空気予熱器の目詰りを回避し得、空気予熱器の長寿命化並びにメンテナンスインターバルの延長を図ることができる一方、集塵機の入口側におけるNH3注入量の無駄をなくしコストダウンを図ることができ、更に、脱硝装置から排出されるリークNH3の量に基づく脱硝装置の触媒劣化診断をも行い得るボイラ設備を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、硫黄分を含む燃料を燃焼させ蒸気を発生させるボイラ本体と、該ボイラ本体からの排ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するための脱硝装置と、該脱硝装置で窒素酸化物が除去された燃焼排ガスとボイラ本体へ供給される空気とを熱交換させるための空気予熱器と、該空気予熱器を通過して温度降下した排ガス中に含まれる煤塵を捕集するための集塵機とを備えたボイラ設備において、
空気予熱器の排ガス入口側における排ガス中のSO3濃度とNH3濃度とH2O濃度とを検出すると共に、
該検出されたSO3濃度とNH3濃度とH2O濃度とに基づき酸性硫安析出温度を算出し、空気予熱器の出口排ガス温度を前記酸性硫安析出温度より高く保持するよう構成したことを特徴とするボイラ設備にかかるものである。
【0018】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0019】
検出されたSO3濃度とNH3濃度とH2O濃度とに基づき酸性硫安析出温度が算出され、空気予熱器の出口排ガス温度が前記酸性硫安析出温度より高く保持されるため、従来のように、空気予熱器の出口排ガス温度を単に酸露点温度より高く制御するのとは異なり、空気予熱器における酸性硫安の生成を防止することが可能となり、空気予熱器の目詰りが回避される。
【0020】
前記ボイラ設備においては、集塵機の入口側における排ガス中のSO3濃度とNH3濃度とを検出すると共に、
該検出されたSO3濃度とNH3濃度とに基づき集塵機入口側への必要NH3注入量を算出し、集塵機入口側へのNH3注入量を前記必要NH3注入量に等しくするよう構成することができ、このようにすると、脱硝装置から排出されるリークNH3についても考慮される形となるため、集塵機の入口側にNH3が余分に注入されなくなり、正確な制御が行われ、無駄が少なくコストダウンにつながり、更に、脱硝装置から排出されるリークNH3の量に基づく脱硝装置の触媒劣化診断を行うことも可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図1は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図22と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図22に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1に示す如く、空気予熱器3の排ガス入口側における排ガス中のSO3濃度38とNH3濃度39とH2O濃度40とを検出すると共に、
該検出されたSO3濃度38とNH3濃度39とH2O濃度40とに基づき酸性硫安析出温度41を算出し、空気予熱器3の出口排ガス温度15を前記酸性硫安析出温度41より高く保持するよう構成した点にある。
【0023】
本図示例の場合、空気予熱器3の排ガス入口側における排ガス中のSO3濃度38とNH3濃度39とを同時に検出可能な多成分濃度分析計42と、
空気予熱器3の排ガス入口側における排ガス中のH2O濃度40を検出する水分計43と、
前記多成分濃度分析計42で検出されたSO3濃度38とNH3濃度39と、前記水分計43で検出されたH2O濃度40とに基づき酸性硫安析出温度41を算出する酸性硫安析出温度演算器44と
を設け、該酸性硫安析出温度演算器44で算出された酸性硫安析出温度41を減算器31へ入力し、該減算器31において、排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記酸性硫安析出温度演算器44で算出された酸性硫安析出温度41との酸性硫安析出温度偏差45を求めて制御信号発信器34へ入力し、
前記排ガス温度計16で検出される空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸性硫安析出温度41よりも低い場合には、前記制御信号発信器34から出力される制御信号32により、蒸気流量調整弁33の開度を拡張する方向に制御して蒸気式空気予熱器14への蒸気流量を増加し、空気予熱器3へ導入される空気温度を高め、空気予熱器3の出口排ガス温度15を酸性硫安析出温度41より高く保持し、空気予熱器3の目詰りを防止する一方、前記排ガス温度計16で検出される空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸性硫安析出温度41よりも高い場合には、空気予熱器3の低温端メタル温度23が設定値25と等しくなって低温端メタル温度偏差26がなくなるよう、前記制御信号発信器34から出力される制御信号32により、蒸気流量調整弁33の開度を絞る方向に制御するようにしてある。
【0024】
前記酸性硫安析出温度演算器44における酸性硫安析出温度計算式について説明すると、NH4HSO4(酸性硫安)とNH3(アンモニア)とSO3(三酸化硫黄)とH2O(水)との平衡の式は、
【数1】
NH4HSO4=NH3+SO3+H2
となり、平衡定数Kは、ガスの分圧をPとすると、
【数2】
K=PNH 3・PSO 3・P 2
(NH4HSO4は液体なので[数2]式には現れない。)
となり、又、平衡温度T(ここではNH4HSO4が結露する温度と同じ)と平衡定数Kの関係は、
【数3】
logK=−ΔH/2.303RT+1.75ΣnlogT+ΣnI
但し、K:平衡定数
R:気体の状態定数(1.987[cal/deg・mol])
ΔH:定温におけるエンタルピー変化
T:平衡温度[K]
Σn:反応系内の気相分子数の差
I:化学定数
となり、ここで、NH4HSO4の場合、
−ΔH=−81530[cal/mol]
Σn=3
ΣnI=10.5
であるため、[数2]式と[数3]式をまとめると、
【数4】
log(PNH 3・PSO 3・P 2 )=−81530/4.574T+5.25logT+10.5
となり、NH3濃度、SO3濃度、H2O濃度を分圧に換算し、[数4]式に代入することで、Tの方程式となり、従って、[数4]式を解けば、Tが求まり、析出する酸性硫安の温度が算出できる。
【0025】
又、本図示例の場合、電気集塵機5の入口側における排ガス中のSO3濃度46とNH3濃度47とを多成分濃度分析計48で検出して制御信号発信器37へ入力すると共に、該制御信号発信器37において、前記多成分濃度分析計48で検出されたSO3濃度46とNH3濃度47とに基づき電気集塵機5入口側への必要NH3注入量を算出し、該制御信号発信器37から出力される制御信号35により、NH3流量調整弁36の開度を調節し、電気集塵機5入口側へのNH3注入量を前記必要NH3注入量に等しくするよう構成してある。
【0026】
一方、前記多成分濃度分析計42,48は、本発明者等が開発したものであり、図2〜図20を用いて、以下に詳述する。
【0027】
図2に示す如く、煙道49に排ガスを取り込むプローブ50を設置し、プローブ50には加熱配管51を介して排ガス中のダストを取り除くフィルター52を接続し、フィルター52には、開閉弁53を備えた導入加熱配管54を接続すると共に、不要な排ガスを煙道49へ戻すようブロア55を備えた戻し用配管56を接続し、開閉弁53を備えた導入加熱配管54の流路先には加熱可能なガスセル57を配置し、ガスセル57には開閉弁58及びポンプ59を備えた排出用配管60を接続している。
【0028】
導入加熱配管54における開閉弁53とガスセル57の間には、開閉弁61を備えた供給加熱配管62を接続し、供給加熱配管62の基端側には、開閉弁63を介するSO2の標準ガスボンベ64と、開閉弁65を介するN2ガスボンベ66と、V25触媒のガス転換炉67及び開閉弁68を介する検量線用ガスボンベ69とを夫々並列に配置している。ここで、検量線用ガスボンベ69はSO2とO2を送出し、SO2とO2は、略425[℃]に加熱したガス転換炉67のV25触媒に接触することによりSO3に転換している。又、加熱配管51、導入加熱配管54、供給加熱配管62、ガスセル57は、SO3とNH3等が化合しないよう略350〜450[℃]程度に温度設定されている。尚、図2中、70はトラップ、71は圧力モニター、72はフローメータ、73はレギュレータを示している。
【0029】
ガスセル57の両端部近傍には、紫外線をブロードに発光するキセノンランプ、重水素ランプ、キセノンフラッシュランプ等の光源74と、該光源74から発せられる光がガスセル57を透過するよう光を反射させる複数のミラー75とを配設し、光の検出側には、光ファイバ76を介して分光器77を設置し、分光器77には、所定の処理手順によりSO3やNH3等の濃度を算出する機能を備えた波形処理装置78を接続しており、これにより、多成分濃度分析計42,48を構成している。
【0030】
前記多成分濃度分析計42,48によるSO3やNH3等の濃度測定は、図3〜図6のフローに示す如く、ノイズ成分量及び理想的な吸光係数を求めるノイズ成分量算出段階(図3参照)と、検量線を作成する検量線作成段階(図4参照)と、時間経過により変化するノイズ成分量を校正する校正段階(図5参照)と、混組成比が不明である混合物質より所定物質(SO3やNH3等)の濃度を算出する通常計測段階(図6参照)とに分かれている。尚、図3〜図6のフローはA,B,C,Dで示す結合子によって夫々接続されている。
【0031】
ノイズ成分量及び理想の吸光係数を求めるノイズ成分量算出段階を説明すると、初めに、濃度ゼロの場合として、N2ガスボンベ66からガスセル57にN2を導入することにより受光スペクトルPz(d)(受光強度、受光面積)を測定し、次に標準ガスボンベ64からガスセル57に標準単一物質(単一ガス)のSO2を様々な濃度(n1,n2,n3…(少なくとも3個以上))で導入することにより複数の受光スペクトルP(d)(受光強度、受光面積)を測定する。ここで、複数の受光スペクトルP(d)の測定後には、ガスセル57に導入したN2、SO2は、適宜、排出用配管60から排出している。
【0032】
複数の受光スペクトルP(d)を測定した後には、各受光スペクトルを処理する波長を選択するよう単一物質用波長処理段階として初期波長dを設定する。
【0033】
ここで、測定した各波長の受光スペクトルには、ノイズ成分の迷光ノイズが含まれており、
【数5】
P(d)=Ps(d)+Pm(d)
P(d):測定した受光スペクトル(計測スペクトル)
Ps(d):物質の受光スペクトル
Pm(d):迷光ノイズの受光スペクトル
となる。
【0034】
このため、一般に各波長における吸光度を求める式、
【数6】
A(d)=log(Pz(d)/P(d))
A(d):吸光度
Pz(d):ゼロスペクトル(物質の濃度ゼロの場合の受光スペクトル)
P(d):測定した受光スペクトル(計測スペクトル)
より、迷光ノイズの受光スペクトルを引き、
【数7】
As(d)=log((Pz(d)−nPm(d))/(P(d)−nPm(d)))
As(d):修正した吸光度
Pz(d):ゼロスペクトル(物質の濃度ゼロの場合の受光スペクトル)
P(d):測定した受光スペクトル(計測スペクトル)
nPm(d):仮の迷光ノイズの受光スペクトル(仮ノイズ成分量)
に変形し、迷光ノイズのノイズ成分を数量化するようノイズ成分量設定段階として迷光ノイズをゼロの仮ノイズ成分量(仮迷光)nPm(d)と仮設定する。
【0035】
続いて、仮ノイズ成分量nPm(d)が、濃度ゼロの受光スペクトルPz(d)又は所定濃度の受光スペクトルP(D)より小さい値であることを確認し、[数7]式に対して、仮ノイズ成分量nPm(d)のゼロの仮設定値、初期波長dにおける各所定濃度(n1,n2,n3…)の受光スペクトルP(d)の測定値、初期波長dにおける濃度ゼロでのゼロスペクトル(受光スペクトル)Pz(d)の測定値を夫々代入し、各所定濃度に対応する吸光度As(d)を算出する。
【0036】
一般に各吸光度と、各所定濃度との関係はランベルトベールの式
【数8】
A=αn
A:吸光度
α:吸光係数
n:濃度
に従い、直線の検量線となるので、
【数9】
Y=aX+b
a:傾き
b:切片
の式に、Xに各所定濃度(n1,n2,n3…)の値、Yに各吸光度As(d)の算出値を代入し、最小二乗法等の線形回帰法により処理して相関係数r(R2)、切片b、傾きaを求める。
【0037】
ここで、線形回帰法による処理は以下のように行われる。即ち、採取したスペクトル(濃度Xと吸光度Yの組)がk個で、[表1]のようであった場合を考える。このとき、kは少なくとも三個以上必要となる。
【0038】
【表1】
Figure 0004678107
【0039】
又、XとYの共分散Sxyは
【数10】
Sxy=(1/k)Σxy−avg_x×avg_y
であって、このとき、
【数11】
a=Sxy/Sxx
【数12】
b=avg_y−Sxy×avg_y/Sxx
となる。
【0040】
又、相関係数rの二乗R2
【数13】
2=Sxy2/(Sxx・Syy)
であり、この計算値によりr(R2)が最も大きくなった場合(1に近づいた場合)に濃度Xと吸光度Yの複数組が直線上に位置すると判断する。又、r(R2)が最も大きくなったときにはb=0になる(ゼロに最も近くなる)のでbを基準にしてもよい。尚、線形回帰法において誤差の二乗和が最小になるnPmを求める場合にはR2が最大になるとは限らず、b=0にもならないので適用できない。
【0041】
このような線形回帰法により仮ノイズ成分量nPmがゼロの場合の相関係数r、切片b、傾きaを求めた後には、傾きaと共に、相関係数r及び切片bの少なくとも一方を仮記憶する。
【0042】
次に、ゼロの仮ノイズ成分量nPm(d)に所定の増加量ΔnPmを加えて、図3に示す如く、処理手順をノイズ成分量設定段階に戻すことによりノイズ成分を他の仮ノイズ成分量nPm(d)と仮設定し、他の仮ノイズ成分量nPm(d)が、濃度ゼロの受光スペクトル(ゼロスペクトル)Pz(d)又は所定濃度の受光スペクトル(計測スペクトル)P(d)より小さい値であることを確認する。
【0043】
確認した後には、初めに吸光度As(d)を求めた処理と略同様に、[数7]式に対して、他の仮ノイズ成分量nPm(d)の仮設定値、初期波長dにおける各所定濃度(n1,n2,n3…)の受光スペクトルP(d)の測定値、初期波長dにおける濃度ゼロのゼロスペクトルPzの測定値を夫々代入することにより、初期波長dでの各所定濃度に対応する吸光度As(d)を算出し、且つ、先の線形回帰法により相関係数等を算出した処理と同様に、他の仮ノイズ成分量nPm(d)における他の相関係数r、他の切片b、他の傾きaを求め、同様に仮記憶する。
【0044】
続いて、他の仮ノイズ成分量nPm(d)に更に所定の増加量ΔnPmを加えて処理手順をノイズ成分量設定段階に戻すことにより別の仮ノイズ成分量nPm(d)と仮設定し、同じ処理を繰り返して、別の仮ノイズ成分量nPm(d)における別の相関係数r、別の切片b、別の傾きaを求め、同様に仮記憶する。
【0045】
このように仮ノイズ成分量nPm(d)に徐々に増加量ΔnPmを加える処理は、初期波長dにおける複数の傾きaと、初期波長dにおける複数の相関係数r及び切片bとを求めて蓄積するものである。
【0046】
更に、増加する仮ノイズ成分量nPm(d)が、濃度ゼロの受光スペクトル(ゼロスペクトル)Pz(d)又は所定濃度の受光スペクトル(計測スペクトル)P(d)を超えた時点で処理を停止する。ここで、処理を停止する場合は、相関係数rの蓄積数もしくは切片bの蓄積数が所定以上になった場合でもよい。
【0047】
処理を停止した後、各仮ノイズ成分量nPm(d)における複数の相関係数rの中より相関係数rが最も大きいもの(最も1に近づいたもの)を選択すると共に、各仮ノイズ成分量nPm(d)における複数の切片bの中から切片bが最もゼロに近いものを選択する。ここで、相関係数r及び切片bを選択する場合は相関係数rもしくは切片bのどちらか一方の処理でもよい。又、相関係数rが最も大きいものを選択する場合は、R2の極大値を求めるものであり、微分法や山登り法でも求めることができる。更に、極大になるポイント部分を詳細に探索するよう極大値近傍の区間のみΔnPmを小さくしてもよい。更に又、相関係数r及び切片bを選択する場合は、多くの相関係数r及び切片bを蓄積せずに、所定の仮ノイズ成分量nPm(d)における相関係数r及び切片bを求めた時点で、前に仮記憶した相関係数r及び切片bと比較し、常に相関係数rが最も大きいもの、及び切片bが最もゼロに近いものを残すようにしてもよい。
【0048】
次いで、選択した相関係数r及び切片bの少なくとも一方の情報から実際のノイズ成分量Pm(d)を決定すると共に、線形回帰法により算出された対応の傾きaを決定し、決定された傾きaを初期波長dでの理想的な吸光係数αとする。
【0049】
初期波長dでの実際のノイズ成分量Pm(d)を求めた後には、初期波長dに所定の波長幅Δdを加えて他の所定波長dと設定し、且つ他の所定波長dが所定の範囲内であることを確認し、図3に示す如く、処理手順を単一物質用波長設定段階に戻すことにより、以下、迷光ノイズを仮ノイズ成分量(仮迷光)nPm(d)に仮設定する等の同様な処理を行い、相関係数r及び切片bを選択し、他の所定波長dにおける実際のノイズ成分量Pm(d)を決定すると共に、線形回帰法により算出された対応の傾きaを決定し、決定された傾きaを他の所定波長dでの理想的な吸光係数αとする。
【0050】
このように、所定波長dに徐々に所定の波長幅Δdを加えて同様な処理を行うことにより各波長における実際のノイズ成分量Pm(d)と理想的な吸光係数αを集積し、増加する所定波長dが所定の範囲を超えた時点で処理を停止し、各波長における理想的な吸収係数スペクトルを求める。
【0051】
各波長における実際のノイズ成分量Pm(d)を決定した後には、図4に示す如く、検量線を作成する検量線作成段階に移行し、検量線作成段階を説明すると、初めに、混合物質(混合ガス)の濃度ゼロの場合として、N2ガスボンベ66からガスセル57にN2を導入することにより受光スペクトルPz(d)(受光強度、受光面積)を測定し、次に、検量線用ガスボンベ69からガスセル57に混合物質(混合ガス)のSO3、SO2を様々な組成比(濃度比)で導入することにより複数の受光スペクトルP(d)(受光強度、受光面積)を測定する。ここで、複数の受光スペクトルP(d)の測定後には、ガスセル57に導入したN2、SO3を含む混合物質は、適宜、排出用配管60から排出している。
【0052】
各受光スペクトルPz(d)、P(d)を測定した後には、各受光スペクトルPz(d)、P(d)を処理する波長を選択するよう混合物質用波長処理段階として初期波長dを設定し、初期波長dが所定範囲内であることを確認する。続いて、先の段階で求めた各波長における実際のノイズ成分量Pm(d)より初期波長dの場合のノイズ成分量Pm(d)を選択して準備し、下記の[数14]式に対して、初期波長dにおけるノイズ成分量Pm(d)の値、初期波長dにおける各組成比の受光スペクトルP(d)の測定値、初期波長dにおける濃度ゼロでのゼロスペクトル(受光スペクトル)Pz(d)の測定値を夫々代入し、各組成比(濃度)での混合物質の吸光度As(d)を算出する。
【0053】
【数14】
As(d)=log((Pz(d)−Pm(d))/(P(d)−Pm(d)))
As(d):混合物質の修正した吸光度
Pz(d):混合物質のゼロスペクトル(物質の濃度ゼロの場合の受光スペクトル)
P(d):測定した混合物質の受光スペクトル(計測スペクトル)
Pm(d):標準単一物質より算出した実際の迷光ノイズの受光スペクトル(実際のノイズ成分量)
【0054】
ここで、混合物質の測定は、ノイズ成分量算出段階で用いたガスセル57及び分光器77を用いるので、標準単一物質に含まれる各波長のノイズ成分量と、混合物質に含まれる各波長のノイズ成分量とが略同じである。又、ノイズ成分量算出段階における吸収スペクトルの測定と検量線作成段階における混合物質の吸収スペクトルの測定との測定間隔はノイズ成分量が変化しない時間である。
【0055】
初期波長dでの吸光度As(d)を算出した後には、初期波長dに所定の波長幅Δdを加えて他の所定波長dと設定し、図4に示す如く、処理手順を混合物質用波長設定段階に戻し、以下、同様な処理を行ない、各組成比での他の所定波長dでの吸光度As(d)を求める。
【0056】
このように、所定波長dに徐々に所定の波長幅Δdを加えて同様な処理を行うことにより各波長における各組成比の吸光度As(d)を集積し、増加する所定波長dが所定の範囲を超えた時点で処理を停止し、吸光度As(d)及び各組成比等のデータを用いて多変量解析を行う。
【0057】
ここで、多変量解析について説明すると、多変量解析は、重回帰分析、主成分回帰分析、PLS、CLS、ニューラルネット等があり、下記にはPLS(Partial Least Squares )モデルの計算理論を用いた場合の例を説明する。
【0058】
(PLSモデルの計算理論)
Xを説明変数、yを目的変数とする。
【0059】
【数15】
Figure 0004678107
【0060】
吸光度スペクトル波形解析による濃度推定モデルの場合、[数15]式におけるx(n,d)は、波長d、計測番号nのときの吸光度であり、y(n)は、計測番号nのときの濃度である。Nは計測数(サンプル数)、Dは波長の分割数(説明変数の数)である。
【0061】
PLS法では、説明変数Xと目的変数yを[数16]式、[数17]式の二つの基本式で求める。
【0062】
【数16】
X=TPT+E
T:潜在変数、
P:ローディング、
E:説明変数Xの残差、
上添え字のT:転置行列
【0063】
【数17】
y=Tq+f
q:係数
f:目的変数yの残差
【0064】
又、潜在変数T、ローディングP及び係数qは[数18]式、[数19]式、[数20]式のように示される。
【0065】
【数18】
Figure 0004678107
t(n,a):a成分目の計測番号nの潜在変数
A:成分数(1〜Nの範囲内を選択可能)
a :潜在変数Tのa成分目の潜在変数ベクトル
【0066】
【数19】
Figure 0004678107
p(a,d):a成分目の波長dのローディング
A:成分数(1〜Nの範囲内を選択可能)
a :ローディングPのa成分目のローディングベクトル
【0067】
【数20】
q=(q(1),q(2),q(3),…,q(a),…q(A))
a=q(a)
q(a):a成分目の係数である。
【0068】
ここで、モデルの特徴を表すのは、上位6番目くらいまでの成分であり、それ以上は、予測誤差を低下させる。最適な成分数Aの決定は、クロスバリエーションを行うことで決定する。
【0069】
次に、PLS法では、説明変数Xの情報を目的変数yのモデリングに直接用いるのではなく、説明変数Xの情報の一部を潜在定数tに変換して潜在定数tを用いて目的変数yをモデリングする。
【0070】
(潜在定数t)
a は、説明変数Xの線形結合であるとすれば、
【数21】
a=Xwa
で表され、ここで、wa は重みベクトルであり、[数22]式のように表される。
【0071】
【数22】
Figure 0004678107
w(d,a):a成分目の波長dの重み係数
【0072】
(第1成分の計算)
続いて、成分が一つの場合(a=1)を計算して説明すると、成分aが一つの場合、[数16]式、[数17]式は[数23]式、[数24]式で表される。
【0073】
【数23】
X=t11 T+E
【0074】
【数24】
y=t11+f
【0075】
[数21]式より潜在定数tを[数25]式に変形する。
【0076】
【数25】
Figure 0004678107
wのノルムを1になるように設定すると[数26]式になる。
【0077】
【数26】
Figure 0004678107
【0078】
更に、PLSのモデルは、目的変数yと潜在定数tとの相関を大きくすると同時にtの分散を大きくすることであり、これを満たす条件は、[数27]式の目的変数yと潜在定数tの共分散Sが最大になるポイントである。
【0079】
【数27】
S=yT
【0080】
ここで、wのノルムを1とする制約条件でSが最大になる条件をLagrangeの未定乗数法を用いて[数28]式のように求める。
【0081】
【数28】
Figure 0004678107
【0082】
関数Gは、変数wの関数なので、Gをw(d,1)について偏微分して、[数29]式、[数30]式の関係を得る。
【0083】
【数29】
Figure 0004678107
【0084】
【数30】
Figure 0004678107
この[数30]式の両辺にw(d,1)を掛けると[数31]式になる。
【0085】
【数31】
Figure 0004678107
更にdについての総和を取ると[数32]式となる。
【0086】
【数32】
Figure 0004678107
ここで、‖w1 ‖=0の制約条件より[数33]式となる。
【0087】
【数33】
Figure 0004678107
【0088】
[数29]式の左辺は、[数27]式のS=yT tの定義であるので、2μはyT tの値となる。従って、S=yT tが最大になる最大のwの値は[数34]式で与えられる。
【0089】
【数34】
Figure 0004678107
1 のノルムは1なので、wは[数35]式となる。
【0090】
【数35】
1=XTy/‖XTy‖
ここで潜在変数tは[数36]式によって求まる。
【0091】
【数36】
1=Xw1
【0092】
[数23]式のローディングベクトルp1 は、説明変数Xの残差Eの要素の二乗和が最小になるように[数37]式で求める。
【0093】
【数37】
1=XT1/t1 T1
【0094】
[数24]式の係数qa は、目的変数yの残差ベクトルfの要素の二乗和が最小になるように条件から[数38]式で求める。
【0095】
【数38】
1=yT1/t1 T1
【0096】
(第2成分以降の計算)
第2成分のモデル式は[数39]式、[数40]式で表される。
【0097】
【数39】
X=t11 T+t22 T+E
【0098】
【数40】
y=t11+t22+f
【0099】
ここで、成分数1のモデリングで、Xのうち[数39]式のt1 1 T が使われ、yのうちt1 1 が説明に使われたので、残っている情報を[数41]式、[数42]式と置き換えることができる。
【0100】
【数41】
new=X−t11 T
【0101】
【数42】
new=y−t11
【0102】
new とynew を用いると、[数39]式、[数40]式は、[数43]式、[数44]式となる。
【0103】
【数43】
new=t22 T+E
【0104】
【数44】
new=t22+f
【0105】
これは、成分番号が一つ増えた以外は、[数23]式、[数24]式と同じ式である。
【0106】
従って、第1成分と同様にt2 、p2 、q2 を求めることができる。
【0107】
このループを繰り返すことで、第3成分以降の算出ができる。
【0108】
(回帰ベクトルの算出)
必要な成分数A回繰り返し計算をしたモデル式は[数45]式、[数46]式のように書ける。
【0109】
【数45】
X=TPT=t11 T+…+taa T+…+tAA T
【0110】
【数46】
y=Tq=t11+…+taa+…+taa
【0111】
[数46]式の潜在変数tに[数21]式のt1 =Xw1 を代入すると、推定するモデル式は、[数47]式となり、
【数47】
y=Xw11+(X−t11 T)w22+…
これを変形すると、
【数48】
y=Xw11+Xw22−t11 T22+…
となる。
【0112】
この[数48]式に[数21]式のt1 =Xw1 を代入してXでまとめると、[数49]式となる。
【0113】
【数49】
y=X(w11+w22−w11 T22
【0114】
ここで、[数50]式のように、ある説明ベクトル
【外1】
Figure 0004678107
に対して、目的変数
【外2】
Figure 0004678107
を推定するモデル式に変換する。
【0115】
【数50】
Figure 0004678107
【0116】
[数50]式で、bは回帰ベクトル呼ばれるもので、[数51]式で示される。
【0117】
【数51】
Figure 0004678107
【0118】
回帰ベクトルbは、[数49]式から[数52]式のように求められる。
【0119】
【数52】
b=W(PTW)-1
【0120】
以上のPLS法のアルゴリズムをまとめて、図7に示す。
【0121】
初めにPLS法による計算の開始から、成分をa=1に設定して第1成分を求め、次に[数35]式で説明した第1成分の重みベクトルwa を演算し、wa をもとに[数35]式の潜在変数tを演算し、[数37]式のローディングベクトルPa を演算し、[数38]式の係数qa を演算し、求めたローディングベクトルPa と係数qa から[数41]式、[数42]式で説明した第2成分のモデルを設定し、成分aをa=a+1とインクリメントし、step1で、次の成分の演算が必要かどうかを判断し、必要であれば(Yes)、即ち第2成分の重みベクトルwa の演算に戻して、同様な演算を繰り返した後、次の成分の設定を行うと共にインクリメントし、step1で、成分の演算を必要数行い、必要でないとき(No)、[数52]式で説明した回帰ベクトルbを演算して終了する。
【0122】
多変量解析を終了すると、混合物質中に含まれる所定物質の吸光度、組成比(濃度)等のデータを算出し、所定物質における各波長での複数の検量線を作成することができる。
【0123】
続いて、検量線を作成した後には、図5に示す如く、連続計測を開始するとしてノイズ成分量を校正する校正段階に移行する。校正段階を説明すると、初めに、混合物質(混合ガス)の濃度ゼロの場合として、N2ガスボンベ66からガスセル57にN2を導入することによりゼロスペクトルPz(d)(受光強度、受光面積)を測定し、次に、標準ガスボンベ64からガスセル57に標準単一物質のSO2を所定濃度nrで導入することにより標準スペクトルPr(d)(受光強度、受光面積)を測定する。ここで、標準スペクトルPr(d)の測定後には、ガスセル57に導入したN2、標準単一物質のSO2は、適宜、排出用配管60から排出している。又、SO2を用いた標準単一物質は、吸収スペクトルが一定範囲において、濃度を求める所定物質(ここではSO3)と吸収スペクトルが重ならないこと、及び安定な物質であることの最低条件を満たせば他のものでもよい。
【0124】
ゼロスペクトルPz(d)と標準スペクトルPr(d)を測定した後には、各受光スペクトルPz(d)、Pr(d)を処理する波長を選択するよう校正用波長処理段階として初期波長dを設定し、先の段階で求めたノイズ成分のない初期波長dにおける理想の吸光係数α(d)及び標準スペクトルPr(d)の所定濃度nrを
【数53】
Trs(d)=10−α(d)・nr
Trs(d):透過率
に代入し、迷光のノイズ成分量を含まない透過率Trs(d)を算出する。
【0125】
ここで、透過率Trs(d)は、濃度ゼロのゼロスペクトルPz(d)及び標準スペクトルPr(d)から不明のノイズ成分量Pm(d)を夫々引くことにより
【数54】
Trs(d)=(Pr(d)−Pm(d))/(Pz(d)−Pm(d))
の関係式が成り立つので、この式を変形して
【数55】
Trs(d)(Pz(d)−Pm(d))=Pr(d)−Pm(d)
【数56】
Pm(d)=(Pr(d)−Trs(d)・Pz(d))/(1−Trs(d))
とし、[数56]式に対して、迷光のノイズ成分量を含まない透過率Trs(d)の算出値、及び濃度ゼロのゼロスペクトルPz(d)の測定値及び標準スペクトルPr(d)の測定値を夫々代入することにより、所定の時間経過等により変化したノイズ成分量Pm(d)を求め、校正する。
【0126】
初期波長dでのノイズ成分量Pm(d)を校正した後には、初期波長dに所定の波長幅Δdを加えて他の所定波長dと設定し、図5に示す如く、処理手順を校正用波長設定段階に戻し、以下、同様な処理を行ない、他の所定波長dでのノイズ成分量Pm(d)を校正する。
【0127】
このように、所定波長dに徐々に所定の波長幅Δdを加えて同様な処理を行うことにより各波長における校正したノイズ成分量Pm(d)を集積し、増加する所定波長dが所定の範囲を超えた時点で処理を停止し、図6に示す如く、通常計測段階に移行する。
【0128】
通常計測段階を説明すると、組成比が不明である混合物質として、煙道49中から排ガスを採取してガスセル57に導入することにより排ガスの計測スペクトルP(d)を測定する。ここで、混合物質の排ガスを構成する組成物(SO2、SO3、NH3等)は、検量線の作成したときの混合物質と組成比が異なってもよいが、検量線の混合物質と組成物が略同じものである必要がある。又、排ガスの計測スペクトルP(d)測定後には、ガスセル57に導入した混合物質は、適宜、排出用配管60から排出している。
【0129】
計測スペクトルP(d)を測定した後には、各受光スペクトルP(d)、Pz(d)を処理する波長を選択するよう計測用波長処理段階として初期波長dを設定し、組成比が不明である混合物質の計測スペクトルP(d)、及び校正段階で求めたゼロスペクトルPz(d)から、校正したノイズ成分量Pm(d)を夫々引くことにより
【数57】
As(d)=log((Pz(d)−Pm(d))/(P−Pm(d)))
As(d):校正した吸光度
の式を作成し、[数57]式に対して、校正したノイズ成分量Pm(d)の算出値、ゼロスペクトルPz(d)の測定値及び計測スペクトルPの測定値を夫々代入することにより、初期波長dでの校正した吸光度As(d)を算出する。
【0130】
初期波長dでの校正した吸光度As(d)を算出した後には、初期波長dに所定の波長幅Δdを加えて他の所定波長dと設定し、図6に示す如く、処理手順を計測用波長設定段階に戻し、以下、同様な処理を行ない、他の所定波長dでの校正した吸光度As(d)を算出する。
【0131】
このように、所定波長dに徐々に所定の波長幅Δdを加えて同様な処理を行うことにより各波長における校正した吸光度As(d)を集積し、増加する所定波長dが所定の範囲を超えた時点で処理を停止し、先に求めた検量線を用いることによって、組成比が不明である混合物質の排ガスよりSO3やNH3等(所定物質)の濃度nを算出する。
【0132】
ここで、検量線により混合物質中の所定物質の濃度nを算出する過程を説明すると、所定物質の濃度nは、検量線として[数52]式で示す回帰ベクトルbにより、各波長における校正した吸光度As(d)から[数50]式と同様に下記の[数58]式で求められる。
【0133】
【数58】
Figure 0004678107
【0134】
即ち、下記の[数59]式の如く、波長の分割数Dとそれに対応した波長dの吸光度を回帰ベクトルbから求めて演算することにより、組成比が不明である混合物質より所定物質の濃度nを算出することができる。
【0135】
【数59】
Figure 0004678107
【0136】
混合物質の計測スペクトルP(d)より所定物質の濃度nを求めた後には、連続分析として、新たに排ガスを採取して所定物質の濃度を算出する段階に移行し、前の所定物質の濃度を算出した時点から次の所定物質の濃度を算出した時点までの経過時間を常に監視することよって、図5、図6に示す如く、経過時間が、ノイズ成分量Pm(d)に変化を起す所定時間の経過後ならば処理手順を校正段階へ戻し、ノイズ成分量Pm(d)に変化を起す所定時間の経過前ならば処理手順を通常計測段階へ戻す。更に、同様な処理手順を繰り返して次の計測サンプルの濃度を算出し、以後、排ガスを測定する必要がなくなるまで同様の処理を続ける。ここで、ノイズ成分量Pm(d)が変化する所定時間は物質の種類等によって異なるため、予めSO3やNH3等に対応した所定時間に設定しておく。
【0137】
以下、組成比が不明である混合物質より所定物質の濃度を算出する過程における種々の処理を実際に示し、仮ノイズ成分量nPm(d)、相関係数R2、切片b等を求めた例では、所定波長dを210nmとすることにより、仮ノイズ成分量nPm(d)をnPmと、ノイズ成分量Pm(d)をPmと、ゼロスペクトルPz(d)をPzと、受光スペクトル(計測スペクトル)P(d)をPとして夫々示す。
【0138】
(実施例1)
SO2において迷光の仮ノイズ成分量nPmを変えた場合を検量線により説明すると、図8に示す如く、仮ノイズ成分量nPmを変化させた場合には、検量線の傾きが立ち上がり、ある値の仮ノイズ成分量nPmで検量線が略直線になることが明らかである。又、この時の仮ノイズ成分量nPmを変化させた時の仮ノイズ成分量nPmと相関係数の二乗のR2との関係を示すと、図9、図10に示す如く、仮ノイズ成分量nPmは所定位置(1560付近)に極大がある。ここで、図10は図9の極大値近傍の拡大図である。更に、この時の仮ノイズ成分量nPmを変化させた時の切片bの関係を示すと、図11に示す如く、bは所定位置でb=0となる。従って、相関係数R2が極大値、bがゼロの位置の場合に、仮ノイズ成分量nPmは実際のノイズ成分量Pm(実際の迷光)になり、実際のノイズ成分量Pmを1560〜1570と推測し、且つ吸光係数αに相当する傾きaを210nmで0.0149とする。更に又、測定した受光スペクトルPにどの程度ノイズ成分量Pmが含まれているかを示すと、図12に示す如く、各波長においてゼロスペクトルPz及び受光スペクトルPの下に所定量のノイズ成分量Pmが存在することが明らかである。
【0139】
(実施例2)
同一の装置において意図的に光学系の調整を行なって実際の迷光のノイズ成分量Pmを変えた例を用いて説明すると、図13に示す如く、ノイズ成分量Pmを含む検量線は、迷光のノイズ成分量Pmの大きさに伴って湾曲が大きくなり、且つ傾きが変化している。又、図13の検量線より各ノイズ成分量Pmを取り除くと、図14の迷光大(ノイズ成分大)、図15の迷光中(ノイズ成分中)、図16の迷光小(ノイズ成分小)に示す如く、検量線は、迷光の大きさ(ノイズ成分量の大きさ)にかかわらず、略直線になり、傾きも略一定になることが明らかである。
【0140】
(実施例3)
SO2を含んだ混合物質(混合ガス)において所定波長dに所定の波長幅Δdを加えることにより実際に200nmから350nmまで処理し、SO2について多変量解析し、混合物質中のSO2の吸光度等のデータを算出し得る。ここで[表2]は、複数ある各組成比のうち3つ(濃度20ppm、60ppm、100ppm)を示し、夫々の組成比には各波長のうち3つ(200.52nm、200.77nm、201.02nm)を示す。
【0141】
【表2】
Figure 0004678107
【0142】
この結果として、図17には、各波長におけるゼロスペクトルPz、ノイズ成分量Pm、受光スペクトル(計測スペクトル)Pを示し、図18には、各波長における理想的な吸光係数スペクトルを示す。又、多変量解析により作成される検量線は各波長ごとに存在し、適宜校正段階及び測定段階を介して図19に示す補正前の吸光度スペクトルを、図20に示す補正後の吸光度スペクトルに修正する。
【0143】
このように、SO2の標準単一物質、SO3、SO2の組成比が異なる混合物質の受光スペクトルからノイズ成分量Pm(d)、理想的な吸光係数α(d)及び検量線を求めることにより、排ガス中(SO3、SO2を含む)に含まれるSO3(所定物質)の濃度を算出し且つ時間経過に対応して処理手順を校正段階へ戻してノイズ成分量Pm(d)を校正するので、酸凝縮法、イソプロピルアルコール吸収法等と異なり、排ガス中に含まれるSO3(所定物質)の濃度を連続計測することができ、しかも、再現性を向上させると共に計測コストを低減させることができる。
【0144】
又、SO3とSO2の如く吸収スペクトルが重なる場合であっても、SO3、SO2の組成比が異なる混合物質から多変量解析により検量線を作成して処理するので、SO3(所定物質)の濃度を算出することができる。更に、ランベルトベールの法則に従わない濃度範囲であっても、ノイズ成分量算出段階によりノイズ成分量Pm(d)を求めて修正するので、確実にSO3(所定物質)の濃度を求めることができ、且つ測定の条件によって変化するノイズ成分量Pm(d)を時間経過によって適宜校正するので、測定の度に何度も検量線を作成することを不要にして検量線を作成する手間とSO3の使用を最少限にすることができる。更に又、所定物質が不安的なSO3であっても、ノイズ成分量Pm(d)を他の安定的な標準単一物質のSO2で算出及び校正し得るので、検量線の作成及び濃度の測定を確実に行うことができる。
【0145】
ノイズ成分量算出段階によれば、仮ノイズ成分量nPm(d)を介して線形回帰法から算出された複数の相関係数r,R2もしくは複数の切片bにより最適な理想的な吸光係数α(d)及びノイズ成分量Pm(d)を選択するので、標準単一物質のSO2における各波長の理想的な吸光係数α(d)及びノイズ成分量Pm(d)を適確に求めることができる。
【0146】
検量線作成段階によれば、ノイズ成分量Pm(d)を除いた各組成比での吸光度As(d)、組成比等の各データを用いて多変量解析することにより混合物質中の所定物質の吸光度As(d)等のデータを算出するので、所定物質における各波長での検量線を正確に作成することができる。又、受光スペクトルPz(d),P(d)からノイズ成分量Pm(d)を取り除くので、高濃度で飽和した検量線を修正し、高精度な直線で且つ再現性の高い検量線を作成することができる。
【0147】
校正段階及び通常計測段階によれば、経過時間により変化するノイズ成分量Pm(d)を校正し、且つ校正したノイズ成分量Pm(d)及び予め準備した検量線を用いることによって、排ガス中からSO3(所定物質)の濃度を算出するので、容易に排ガス中のSO3(所定物質)の濃度を算出することができる。又、連続的に排ガス中のSO3(所定物質)の濃度を算出する際に、前のSO3(所定物質)の濃度を算出した時から次のSO3(所定物質)の濃度を算出する時までの時間経過に対応して処理手順を変更するので、物質の濃度を連続的に測定する連続分析を確実且つ精密に行うことができる。
【0148】
又、前記多成分濃度分析計42,48を用いれば、排ガス中に含まれるSO3やSO2だけではなく、NH3、NO、NO2も同時計測可能である。
【0149】
次に、図1に示すボイラ設備の一例の作動を説明する。
【0150】
ボイラ設備の運転時には、排ガス温度計16で空気予熱器3の出口排ガス温度15が検出され、空気温度計18で空気予熱器3の入口空気温度17が検出され、多成分濃度分析計42で空気予熱器3の排ガス入口側における排ガス中のSO3濃度38とNH3濃度39とが同時に検出され、水分計43で空気予熱器3の排ガス入口側における排ガス中のH2O濃度40が検出され、前記排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記空気温度計18で検出された空気予熱器3の入口空気温度17との平均値が低温端メタル温度23として平均温度演算器24で求められ、該平均温度演算器24で求められた低温端メタル温度23と予め設定された設定値25との低温端メタル温度偏差26が減算器27で求められ、前記多成分濃度分析計42で検出されたSO3濃度38とNH3濃度39と前記水分計43で検出されたH2O濃度40とに基づき酸性硫安析出温度41が酸性硫安析出温度演算器44で算出され、前記排ガス温度計16で検出された空気予熱器3の出口排ガス温度15と前記酸性硫安析出温度演算器44で算出された酸性硫安析出温度41との酸性硫安析出温度偏差45が減算器31で求められ、前記減算器27で求められた低温端メタル温度偏差26と前記減算器31で求められた酸性硫安析出温度偏差45とに基づき、低温端メタル温度偏差26をなくすための制御信号32或いは酸性硫安析出温度偏差45をプラスの値として空気予熱器3の出口排ガス温度15を酸性硫安析出温度41より高く保持するための制御信号32のいずれかが制御信号発信器34から蒸気式空気予熱器14の蒸気流量調整弁33へ出力される。
【0151】
ここで、前記排ガス温度計16で検出される空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸性硫安析出温度41よりも低い場合には、前記制御信号発信器34から出力される制御信号32により、蒸気流量調整弁33の開度が拡張される方向に制御されて蒸気式空気予熱器14への蒸気流量が増加され、空気予熱器3へ導入される空気温度が高められ、空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸性硫安析出温度41より高く保持されるため、従来のように、空気予熱器の出口排ガス温度を単に酸露点温度より高く制御するのとは異なり、空気予熱器における酸性硫安の生成を防止することが可能となり、空気予熱器の目詰りが回避される。一方、前記排ガス温度計16で検出される空気予熱器3の出口排ガス温度15が酸性硫安析出温度41よりも高い場合には、空気予熱器3の低温端メタル温度23が設定値25と等しくなって低温端メタル温度偏差26がなくなるよう、前記制御信号発信器34から出力される制御信号32により、蒸気流量調整弁33の開度が絞られる方向に制御され、ボイラ効率の低下が防止される。
【0152】
又、本図示例の場合、電気集塵機5の入口側における排ガス中のSO3濃度46とNH3濃度47とが多成分濃度分析計48で検出されて制御信号発信器37へ入力されると共に、該制御信号発信器37において、前記多成分濃度分析計48で検出されたSO3濃度46とNH3濃度47とに基づき電気集塵機5入口側への必要NH3注入量が算出され、該制御信号発信器37から出力される制御信号35により、NH3流量調整弁36の開度が調節され、電気集塵機5入口側へのNH3注入量が前記必要NH3注入量に等しくなるよう制御が行われ、これにより、脱硝装置2から排出されるリークNH3についても考慮される形となるため、電気集塵機5の入口側にNH3が余分に注入されなくなり、正確な制御が行われ、無駄が少なくコストダウンにつながり、更に、脱硝装置2から排出されるリークNH3の量に基づく脱硝装置2の触媒劣化診断を行うことも可能となる。
【0153】
こうして、空気予熱器3における酸性硫安の生成を防止して該空気予熱器3の目詰りを回避し得、空気予熱器3の長寿命化並びにメンテナンスインターバルの延長を図ることができる一方、電気集塵機5の入口側におけるNH3注入量の無駄をなくしコストダウンを図ることができ、更に、脱硝装置2から排出されるリークNH3の量に基づく脱硝装置2の触媒劣化診断をも行い得る。
【0154】
尚、本発明のボイラ設備は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0155】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1記載のボイラ設備によれば、空気予熱器における酸性硫安の生成を防止して該空気予熱器の目詰りを回避し得、空気予熱器の長寿命化並びにメンテナンスインターバルの延長を図ることができるという優れた効果を奏し得、又、本発明の請求項2記載のボイラ設備によれば、上記効果に加え更に、集塵機の入口側におけるNH3注入量の無駄をなくしコストダウンを図ることができ、更に、脱硝装置から排出されるリークNH3の量に基づく脱硝装置の触媒劣化診断をも行い得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例の概要構成図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例における多成分濃度分析計を示す概略図である。
【図3】本発明を実施する形態の一例における多成分濃度分析計で行われるノイズ成分量及び吸光係数を求める段階を示すフローである。
【図4】図3より連続して検量線を作成する段階を示すフローである。
【図5】図4より連続して校正段階を示すフローである。
【図6】図5より連続して通常計測段階を示すフローである。
【図7】多変量解析(PLS法)によるアルゴリズムを示す図である。
【図8】SO2において迷光の仮ノイズ成分量を変えた場合の検量線を示す図である。
【図9】図8において仮ノイズ成分量を変化させた時の仮ノイズ成分量と相関係数の二乗値との関係を示す図である。
【図10】図9の極大値近傍を示す拡大図である。
【図11】図8において仮ノイズ成分量を変化させた場合の切片の関係を示す図である。
【図12】測定した受光スペクトルにどの程度ノイズ成分量が含まれているかを示す図である。
【図13】同一の装置において意図的に光学系の調整を行なって実際の迷光のノイズ成分量を変えた場合の検量線の例を示す図である。
【図14】図13の迷光大(ノイズ成分大)の検量線において各ノイズ成分量を取り除いた時の検量線を示す図である。
【図15】図13の迷光中(ノイズ成分中)の検量線において各ノイズ成分量を取り除いた時の検量線を示す図である。
【図16】図13の迷光小(ノイズ成分小)の検量線において各ノイズ成分量を取り除いた時の検量線を示す図である。
【図17】各波長におけるゼロスペクトル、ノイズ成分量、受光スペクトル(計測スペクトル)を示す図である。
【図18】各波長における理想的な吸光係数スペクトルを示す図である。
【図19】各波長における補正前の吸光度スペクトルを示す図である。
【図20】各波長における補正後の吸光度スペクトルを示す図である。
【図21】ボイラ設備の一例を表わす全体概要構成図である。
【図22】従来例の概要構成図である。
【符号の説明】
1 ボイラ本体
2 脱硝装置
3 空気予熱器
5 電気集塵機(集塵機)
12 注入ノズル
13 注入ノズル
14 蒸気式空気予熱器
15 出口排ガス温度
16 排ガス温度計
32 制御信号
33 蒸気流量調整弁
34 制御信号発信器
35 制御信号
36 流量調整弁
37 制御信号発信器
38 SO3濃度
39 NH3濃度
40 H2O濃度
41 酸性硫安析出温度
42 多成分濃度分析計
43 水分計
44 酸性硫安析出温度演算器
45 酸性硫安析出温度偏差
46 SO3濃度
47 NH3濃度
48 多成分濃度分析計

Claims (2)

  1. 硫黄分を含む燃料を燃焼させ蒸気を発生させるボイラ本体と、該ボイラ本体からの排ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するための脱硝装置と、該脱硝装置で窒素酸化物が除去された燃焼排ガスとボイラ本体へ供給される空気とを熱交換させるための空気予熱器と、該空気予熱器を通過して温度降下した排ガス中に含まれる煤塵を捕集するための集塵機とを備えたボイラ設備において、
    空気予熱器の排ガス入口側における排ガス中のSO3濃度とNH3濃度とH2O濃度とを検出すると共に、
    該検出されたSO3濃度とNH3濃度とH2O濃度とに基づき酸性硫安析出温度を算出し、空気予熱器の出口排ガス温度を前記酸性硫安析出温度より高く保持するよう構成したことを特徴とするボイラ設備。
  2. 集塵機の入口側における排ガス中のSO3濃度とNH3濃度とを検出すると共に、
    該検出されたSO3濃度とNH3濃度とに基づき集塵機入口側への必要NH3注入量を算出し、集塵機入口側へのNH3注入量を前記必要NH3注入量に等しくするよう構成した請求項1記載のボイラ設備。
JP2001263932A 2001-08-31 2001-08-31 ボイラ設備 Expired - Fee Related JP4678107B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001263932A JP4678107B2 (ja) 2001-08-31 2001-08-31 ボイラ設備

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001263932A JP4678107B2 (ja) 2001-08-31 2001-08-31 ボイラ設備

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003074831A JP2003074831A (ja) 2003-03-12
JP4678107B2 true JP4678107B2 (ja) 2011-04-27

Family

ID=19090611

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001263932A Expired - Fee Related JP4678107B2 (ja) 2001-08-31 2001-08-31 ボイラ設備

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4678107B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006258603A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Ebara Corp 露点腐食モニタリング用プローブおよびそれを用いた燃焼設備
JP5501665B2 (ja) * 2009-06-12 2014-05-28 三菱重工業株式会社 排ガス処理システム及びボイラ燃焼制御方法
US20110303135A1 (en) * 2010-06-14 2011-12-15 Alstom Technology Ltd Regenerative air preheater design to reduce cold end fouling
JP2013246526A (ja) * 2012-05-23 2013-12-09 Chugoku Electric Power Co Inc:The 流量制御系の異常検出システム
CN103982906B (zh) * 2014-01-07 2016-04-06 霍特安热能技术(江苏)有限公司 适用于scr脱硝后的组合式空气预热器及防腐防堵方法
JP5960376B1 (ja) * 2014-12-15 2016-08-02 中国電力株式会社 空気予熱器洗浄時期予測方法、及び空気予熱器洗浄時期予測装置
CN114397069B (zh) * 2022-01-05 2024-02-02 华北电力科学研究院有限责任公司 一种两分仓的空气预热器漏风率的确定方法及装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61195210A (ja) * 1985-02-22 1986-08-29 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 脱硝装置を有するボイラ用空気予熱装置
JPH10109017A (ja) * 1996-10-03 1998-04-28 Babcock Hitachi Kk 脱硝装置の運転方法と排ガス浄化装置
JPH112403A (ja) * 1997-06-11 1999-01-06 Babcock Hitachi Kk ボイラ装置
JP3702094B2 (ja) * 1998-05-21 2005-10-05 三菱重工業株式会社 アンモニア注入装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003074831A (ja) 2003-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105983302B (zh) Scr脱硝工艺的成分检测与喷氨控制系统
US4188190A (en) Input control method and means for nitrogen oxide removal means
US20100189618A1 (en) Dynamic control of selective non-catalytic reduction system for semi-batch-fed stoker-based municipal solid waste combustion
JP3319327B2 (ja) ごみ焼却炉の燃焼制御方法およびその装置
US8021617B2 (en) Flue gas monitoring and dynamic spiking for sulfur trioxide/sulfuric acid
CN109425583B (zh) 光谱分析装置、光谱分析方法和存储介质
CN107407636B (zh) 测量燃气发电厂废气中的三氧化硫的基于激光的红外光谱
JP4678107B2 (ja) ボイラ設備
JP2006317207A (ja) 三酸化硫黄濃度連続測定方法および装置
CN106076115A (zh) Scr脱硝工艺的流场检测系统
CN108919845B (zh) 一种脱硝系统的氮氧化物浓度自动控制方法
Li et al. Simultaneous measurements of SO2 and SO3 in the heterogeneous conversions of SO2 using QCL absorption spectroscopy
JP2003042949A (ja) 多成分濃度分析装置
JP4211172B2 (ja) 煙道中のso3ガスの濃度算出方法
JP2710985B2 (ja) 空気予熱器性能診断方法
JP2003014627A (ja) 多成分分析計の検量線作成方法
JP2003014625A (ja) So3,nh3同時連続濃度計
JP4899259B2 (ja) So3,nh3同時連続濃度計
JP2003014626A (ja) So3分析計におけるベース補正方法
JP2001188039A (ja) 煙道中のso3ガスの濃度算出方法
Fleckl et al. Combustion diagnostics at a biomass-fired grate furnace using FT-IR absorption spectroscopy for hot gas measurements
JP2003014635A (ja) So3,nh3同時連続濃度計
JP4206592B2 (ja) So3濃度計
JP2003126648A (ja) 燃焼排ガス中へのアンモニア注入方法及びその装置
JP4674417B2 (ja) So3濃度計

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100422

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110118

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees