JP4678085B2 - 磁性体検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁性体検出器に関し、特に、たとえば半導体磁気抵抗素子を用いてパチンコ玉などの鋼球を検出するために使用される磁性体検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の磁性体検出器の一例を示す回路図である。磁性体検出器1は、直列に接続された抵抗2と半導体磁気抵抗素子3とを含む。さらに、磁性体検出器1は、NPN型の増幅用トランジスタ4を含む。増幅用トランジスタ4のコレクタは、抵抗2および電源電圧Vinに接続される。また、増幅用トランジスタ4のエミッタは、半導体磁気抵抗素子3に接続されるとともに、出力用の抵抗5を介して接地される。さらに、抵抗2と半導体磁気抵抗素子3との接続部は、増幅用トランジスタ4のベースに接続される。この磁性体検出器1においては、磁石などによって、半導体磁気抵抗素子3にバイアス磁界が印加される。
【0003】
この磁性体検出器1において、半導体磁気抵抗素子3に磁性体が近づくと、磁石と磁性体との間に配置された半導体磁気抵抗素子に磁界が集中し、半導体磁気抵抗素子3の抵抗値が変化する。半導体磁気抵抗素子3の抵抗値が大きくなると、増幅用トランジスタ4のベースに印加される電圧が上昇し、増幅用トランジスタ4に流れる電流が大きくなり、抵抗5からの出力電圧が高くなる。したがって、抵抗5の出力電圧を測定することにより、磁性体を検出することができる。
【0004】
ここで用いられる半導体磁気抵抗素子3としては、たとえば図11に示すように、基板6上に蛇行するように半導体磁気抵抗パターン7が形成されたものである。半導体磁気抵抗パターン7は、たとえばInSb,InAs,GaAsなどの化合物半導体を蒸着やスパッタリングなどによって薄膜状に形成したものであり、その表面にAlなどのショートバー電極8が所定の間隔で形成されている。このような半導体磁気抵抗パターン7では、印加される磁界が強くなるにしたがって抵抗値が大きくなる。
【0005】
ところが、図10に示すような磁性体検出器1では、電源電圧Vinが変動すると、増幅用トランジスタ4のベース・エミッタ間電圧が変化し、誤動作をおこしてしまうため、図12に示すように、FETと抵抗とで構成される定電流回路8を用いた磁性体検出器1が提案されている。この磁性体検出器1では、定電流回路9によって、電源電圧Vinの変動にかかわらず一定の電流を得ることができ、増幅用トランジスタ4のベース・エミッタ間電圧を安定化させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示すように、半導体磁気抵抗素子には大きい負の抵抗温度特性があり、温度が低くなるほど抵抗値が大きくなるという性質がある。なお、図13において、縦軸は、各温度における半導体磁気抵抗素子の抵抗値R(T)と25℃における抵抗値R(25)との比を示す。このような特性を有するため、電源電圧Vinが一定のとき、半導体磁気抵抗素子の両端の電圧VMRについて調べると、図14に示すように、磁性体検出時および非検出時におけるVMRは、負の温度特性を示している。ここで、増幅用トランジスタの動作電圧、すなわちベース・エミッタ間電圧VBEも負の温度特性を示しているが、その傾斜は半導体磁気抵抗素子の両端電圧VMRに比べて小さい。したがって、磁性体検出器としての動作範囲は、半導体磁気抵抗素子の検出時および非検出時のVMRおよび増幅用トランジスタの動作電圧VBEが交わった部分となり、狭い温度範囲でしか動作しないことがわかる。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、広い温度範囲で使用可能な磁性体検出器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、少なくとも1つの半導体磁気抵抗素子を含む第1の抵抗ブロック、第2の抵抗ブロック、FETと第1の抵抗ブロックまたは第2の抵抗ブロックの一方とで構成され、第1の抵抗ブロックまたは第2の抵抗ブロックの一方がFETのゲートとソースとの間に接続された定電流回路、および第1の抵抗ブロックまたは第2の抵抗ブロックの他方がベースとエミッタとの間に接続され、かつ定電流回路がベースとコレクタとの間に接続される増幅用トランジスタを含み、第1の抵抗ブロックおよび第2の抵抗ブロックは抵抗温度係数を有し、抵抗温度係数によって増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧の温度特性と増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性とが対応するようにした、磁性体検出器である。
このような磁性体検出器において、第1の抵抗ブロックおよび第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数により、磁性体の検出時における増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧の温度特性と増幅用トランジスタの温度特性とを対応させることが好ましい。
また、第1の抵抗ブロックおよび第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数を増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性に対応させることにより、磁性体の非検出時においては増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧が増幅用トランジスタの動作電圧より低く、かつ磁性体の検出時においては増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧が増幅用トランジスタの動作電圧より高くなるようにすることが好ましい。
さらに、第1の抵抗ブロックおよび第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数のそれぞれを、増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性と、半導体磁気抵抗素子の抵抗および感度の温度係数とに対応させることが好ましい。
このような磁性体検出器では、半導体磁気抵抗素子にバイアス磁界を印加するための手段が含まれる。
また、第2の抵抗ブロックを構成する少なくとも1つの抵抗素子を半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成することができる。
さらに、第1の抵抗ブロックを構成する少なくとも1つの抵抗素子と半導体磁気抵抗素子とを単一基板上に形成してもよい。
【0009】
抵抗温度係数を有する第1および第2の抵抗ブロックを用い、これらの抵抗温度係数を増幅用トランジスタの動作電圧の温度係数に対応させることにより、広い温度範囲において、これらの抵抗ブロックの抵抗温度係数と増幅用トランジスタの動作電圧の温度係数とをほぼ一致させることができる。
このとき、磁性体の非検出時においては増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧が増幅用トランジスタの動作電圧より低く、かつ磁性体の検出時においては増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧が増幅用トランジスタの動作電圧より高くなるようにしておくことにより、磁性体の有無に応じて増幅用トランジスタを動作させることができる。
このように増幅用トランジスタを動作させるために、第1の抵抗ブロックおよび第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数のそれぞれを、増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性と、半導体磁気抵抗素子の抵抗および感度の温度係数とに対応させることができる。
また、磁性体が近づくことによって半導体磁気抵抗素子に印加される磁界の強さを変化させるため、予め半導体磁気抵抗素子にバイアス磁界が印加される。
第2の抵抗ブロックの少なくとも1つの抵抗素子を半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成することにより、第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数を調整することができる。
さらに、第1の抵抗ブロックにおいて、1つの抵抗素子と半導体磁気抵抗素子とを単一基板上に形成することにより、部品スペースの削減を図ることができる。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の磁性体検出器の一例を示す回路図である。磁性体検出器10は、たとえばNPN型の増幅用トランジスタ12を含む。増幅用トランジスタ12のベースとエミッタとの間には、第1の抵抗ブロック14が接続される。また、増幅用トランジスタ12のコレクタとベースとの間には、定電流回路16とチャタリング防止用の抵抗18との直列回路が接続される。定電流回路16は、たとえばNチャネルのFET20と第2の抵抗ブロック22とで構成される。第2の抵抗ブロック22の一端がFET20のソースに接続され、第2の抵抗ブロック22の他端がFET20のゲートに接続される。さらに、第2の抵抗ブロック22の他端が、チャタリング防止用の抵抗18に接続されている。また、増幅用トランジスタ12のコレクタおよびFET20のドレインは、電源電圧Vinに接続される。また、増幅用トランジスタ12のエミッタは、第1の抵抗ブロック14に接続されるとともに、出力用の抵抗24を介して接地される。
【0012】
この磁性体検出器10において、第1の抵抗ブロック14は、少なくとも1つの半導体磁気抵抗素子を含む。第1の抵抗ブロック14としては、半導体磁気抵抗素子のみであってもよいし、他の抵抗素子との組合せであってもよい。第1の抵抗ブロック14が半導体磁気抵抗素子と他の抵抗素子との組合せである場合、たとえば図2に示すように、1つの基板30上に、半導体磁気抵抗パターン32と抵抗パターン34とが形成される。半導体磁器抵抗パターン32は、たとえばInSb,InAs,GaAsなどの化合物半導体を蒸着やスパッタリングなどで蛇行するように膜状に形成したものであり、Alなどのショートバー電極36が所定の間隔で形成されている。このように、1つの基板30上に半導体磁気抵抗素子と他の抵抗素子とを形成することにより、部品数を少なくすることができ、磁性体検出器10を小型化することができる。
【0013】
また、第2の抵抗ブロック22は、たとえば半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成された素子またはサーミスタなどの抵抗温度特性を有する素子で構成される。また、第2の抵抗ブロック22としては、半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成された素子と抵抗との組合せ、またはサーミスタと抵抗との組合せによって構成してもよい。
【0014】
この磁性体検出器10は、たとえば鋼球検出装置などとして用いられる。鋼球検出装置40は、図3に示すように、貫通孔42が形成された基板44を含み、貫通孔42に隣接してケース部46が形成される。このケース部46には、貫通孔42に対向する部分に第1の抵抗ブロック14が配置される。さらに、第1の抵抗ブロック14に接するように磁石48が配置され、第1の抵抗ブロック14内の半導体磁気抵抗素子に直流磁界が印加される。したがって、貫通孔42を鋼球50が通過するとき、第1の抵抗ブロック部分において磁界が集中し、半導体磁気抵抗素子の抵抗値が変わる。
【0015】
この磁性体検出器10では、定電流回路16によって、電源電圧Vinが変動しても、定電流を得ることができる。つまり、電源電圧Vinが上昇すると、第2の抵抗ブロック22に流れる電流が大きくなり、FET20のゲートに入力される電圧が高くなる。そのため、FET20のドレインとソース間の抵抗値が大きくなり、ここに流れる電流が抑えられる。逆に、電源電圧Vinが低くなると、FET20のドレインとソース間の抵抗値が小さくなり、ここに流れる電流が大きくなる。このようにして、定電流回路16からは、電源電圧Vinの変動にかかわらず、一定の電流が供給される。したがって、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間には、電源電圧の変動にかかわらず、一定の電圧が与えられる。
【0016】
この状態で、貫通孔42を鋼球50が通過するとき、鋼球50が第1の抵抗ブロック14の半導体磁気抵抗素子に接近し、バイアス磁界が半導体磁気抵抗素子に集中して抵抗値が大きくなる。そのため、第1の抵抗ブロック14の抵抗値が大きくなり、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に印加される電圧が高くなって、増幅用トランジスタ12から出力用の抵抗24に流れる電流が大きくなる。そのため、抵抗24から得られる出力電圧が高くなって、鋼球50の通過を検出することができる。なお、FET20のゲートと増幅用トランジスタ12のベースとが短絡していると、増幅用トランジスタ12のスイッチング動作が速くなりすぎ、第1の抵抗ブロック14の抵抗値のチャタリングに応じて出力電圧もチャタリングをおこしてしまう。そのため、チャタリング防止用の抵抗18を用いることにより、増幅用トランジスタ12のスイッチング動作を適切な速さにしている。
【0017】
この磁性体検出器10では、第1の抵抗ブロック14に半導体磁気抵抗素子が用いられ、第2の抵抗ブロック22にも半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成された素子やサーミスタなどが用いられる。そのため、第1の抵抗ブロック14および第2の抵抗ブロック22は、抵抗温度特性を有する。なお、サーミスタを用いる場合、半導体磁気抵抗素子や増幅用トランジスタ12の動作電圧の温度特性に合わせて、負の抵抗温度特性を有するサーミスタが用いられる。また、第2の抵抗ブロック22に半導体磁気抵抗素子と同じ材料の素子を用いる場合、磁気変化によって抵抗値が変わらないように、半導体磁気抵抗パターン上の複数のショートバー電極は形成されない。
【0018】
この磁性体検出器10では、増幅用トランジスタ12の動作電圧の温度特性に対応して、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に印加される電圧が変化するように、第1の抵抗ブロック14および第2の抵抗ブロック22の温度係数が調整される。
【0019】
つまり、増幅用トランジスタ12の特性は、図4に示すように、ベース・エミッタ間の電圧VBEが所定の値Vaより高いときにオンとなり、それより低いときにオフとなる。この動作電圧は温度によって変化し、負の温度特性を有している。したがって、増幅用トランジスタ12に与えられるベース・エミッタ間電圧VBEが、増幅用トランジスタ12の動作電圧の温度特性に対応して変化すれば、広い温度範囲で磁性体検出器10を使用することができる。
【0020】
このような特性を得るために、定電流回路16の電流調整用の第2の抵抗ブロック22に温度特性をもたせている。図5に示すように、定電流回路16に接続される電流調整用抵抗の抵抗値と電流値の間には、電流調整用抵抗の抵抗値が大きくなると、電流値が小さくなるという関係がある。この性質を利用して、第2の抵抗ブロック22部分の電圧と増幅用トランジスタ12の動作電圧の温度特性とを一致させることにより、磁性体検出器10の動作温度範囲を広げることができる。
【0021】
すなわち、低温で第1の抵抗ブロック14の抵抗値が増加したとき、第2の抵抗ブロック22の抵抗値を増加させることにより電流値を下げ、高温で第1の抵抗ブロック14の抵抗値が減少したとき、第2の抵抗ブロック22の抵抗値を減少させることにより電流値が増加するように第1の抵抗ブロック14および第2の抵抗ブロック22の抵抗温度係数を調整すればよい。このように、第1の抵抗ブロック14および第2の抵抗ブロック22の抵抗温度係数を調整することにより、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に印加される電圧を増幅用トランジスタ12の動作電圧に対応させることができる。したがって、図6に示すように、広い温度範囲において、磁性体検出時における第1の抵抗ブロック14の電圧VMRを増幅用トランジスタ12の動作電圧より高くし、磁性体の非検出時における第1の抵抗ブロック14の電圧VMRを増幅用トランジスタ12の動作電圧より低くすることができる。
【0022】
実際に、従来の磁性体検出器とこの発明の磁性体検出器10とを用いて特性を調べた。従来の磁性体検出器においては、第1の抵抗ブロックとして半導体磁気抵抗素子を用い、FETに接続される第2の抵抗ブロックとして固定抵抗を用いた。また、この発明の磁性体検出器10の1つとして、第2の抵抗ブロック22に半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成された抵抗素子を用いた。なお、この抵抗素子は、磁界の変化によって抵抗値が変化しないものである。さらに、この発明の磁性体検出器10の別のものとして、第2の抵抗ブロック22を半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成された抵抗素子と別の抵抗素子とで複合抵抗を形成して用いた。
【0023】
これらの磁性体検出器について、各特性を調べ、それぞれ表1、表2および表3に示した。これらの表において、MRは第1の抵抗ブロックを示し、MR待機時は磁性体がないときの抵抗値、MR K=1.1およびK=1.3は、磁性体検出器が動作するMRの感度を示す。また、電流値は、第2の抵抗ブロックの値で定まる定電流回路の電流値を示す。さらに、MR電圧は、第1の抵抗ブロックの抵抗値と電流値との積を示す。また、増幅用トランジスタ動作電圧VBEは、増幅用トランジスタがオンとなる電圧を示す。さらに、VBE/VMRは、(増幅用トランジスタの動作電圧/待機時のMR電圧)を示し、この値が動作温度範囲において1.1であることが望ましい。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
さらに、表1、表2および表3のそれぞれの特性を、図7、図8および図9に示した。これらの結果から、従来の磁性体検出器では、25℃付近においては正常に動作するが、その他の温度範囲では動作が不安定となる。それに対して、第2の抵抗ブロック22に半導体磁気抵抗素子と同じ材料で形成された抵抗素子を用いた磁性体検出器10では、第1の抵抗ブロック14の電圧(MR電圧)と増幅用トランジスタ12の動作電圧(VBE)とがほぼ平行な温度特性を示しており、測定を行った全温度範囲において正常に動作することがわかる。さらに、第2の抵抗ブロック22を複合抵抗で調整することにより、ほぼ理想的な特性を得ることができることがわかる。
【0028】
このように、定電流回路16に用いられる第2の抵抗ブロック22に抵抗温度特性をもたせることにより、第1の抵抗ブロック14から得られる電圧と増幅用トランジスタ12の動作電圧の温度特性を一致させることができ、磁性体検出器10の動作温度範囲を広げることができる。つまり、低温で第1の抵抗ブロック14の抵抗値が増加した場合、定電流回路16に用いられる第2の抵抗ブロック22の抵抗値を増加させ、電流値を下げることにより、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に与えられる電圧と増幅用トランジスタ12の動作電圧とを一致させることができる。また、高温で第1の抵抗ブロック14の抵抗値が減少した場合、定電流回路16に用いられる第2の抵抗ブロック22の抵抗値を減少させ、電流値を上げることにより、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に与えられる電圧と増幅用トランジスタ12の動作電圧とを一致させることができる。したがって、この磁性体検出器10は、広い温度範囲で使用することができる。
【0029】
なお、図1に示す磁性体検出器10では、NPN型の増幅用トランジスタ12とNチャネルのFET20を用いた例について説明したが、PNP型の増幅用トランジスタとPチャネルのFETを用いても同様の効果を得ることができる。また、半導体磁気抵抗素子を含む第1の抵抗ブロック14を定電流回路16に用い、第2の抵抗ブロック22を増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に接続してもよい。この場合、磁性体が接近して半導体磁気抵抗素子の抵抗値が大きくなり、それに伴って第1の抵抗ブロック14の抵抗値が大きくなると、第2の抵抗ブロック22に流れる電流が小さくなる。そのため、増幅用トランジスタ12のベース・エミッタ間に印加される電圧が低くなり、増幅用トランジスタ12から出力用の抵抗24に流れる電流が小さくなる。したがって、このような磁性体検出器10では、磁性体を検出したときに出力電圧が低くなり、上述の磁性体検出器とは出力波形が反転する。このような磁性体検出器10においても、第1の抵抗ブロック14および第2の抵抗ブロック22に抵抗温度係数をもたせることにより、広い温度範囲で使用可能な磁性体検出器とすることができる。
【0030】
【発明の効果】
この発明によれば、定電流回路に用いられる第2の抵抗ブロックに抵抗温度係数をもたせることにより、第1の抵抗ブロックに含まれる半導体磁気抵抗素子の抵抗温度係数および増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性に合わせることができ、広い温度範囲において、正確に磁性体の検出を行うことができる、磁性体検出器を得ることができる。
また、半導体磁気抵抗素子にバイアス磁界を印加する手段を設けることにより、磁性体が近づいてきたときに、半導体磁気抵抗素子に磁界を集中させることができ、磁性体の検出感度を上げることができる。
さらに、第1の抵抗ブロックを構成する抵抗素子と半導体磁気抵抗素子とを同一基板上に形成することにより、素子の小型化を図ることができ、それによって磁性体検出器の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の磁性体検出器の一例を示す回路図である。
【図2】図1に示す磁性体検出器に用いられる第1の抵抗ブロックの一例を示す平面図解図である。
【図3】この発明の磁性体検出器を鋼球検出装置に応用した例を示す図解図である。
【図4】増幅用トランジスタ動作特性を示すグラフである。
【図5】定電流回路に接続される抵抗と電流との関係を示すグラフである。
【図6】この発明の磁性体検出器における増幅用トランジスタの動作電圧と第1の抵抗ブロックから得られる電圧の温度特性を示す特性図である。
【図7】表1に示す特性を示すグラフである。
【図8】表2に示す特性を示すグラフである。
【図9】表3に示す特性を示すグラフである。
【図10】従来の磁性体検出器の一例を示す回路図である。
【図11】図10に示す磁性体検出器に用いられる半導体磁気抵抗素子の一例を示す平面図解図である。
【図12】図10に示す磁性体検出器の問題点を解決するために提案された磁性体検出器の回路図である。
【図13】半導体磁気抵抗素子の抵抗温度特性を示すグラフである。
【図14】図12に示す磁性体検出器の動作温度範囲を示すグラフである。
【符号の説明】
10 磁性体検出器
12 増幅用トランジスタ
14 第1の抵抗ブロック
16 定電流回路
18 チャタリング防止用抵抗
20 FET
22 第2の抵抗ブロック
24 出力用抵抗
48 磁石
Claims (7)
- 少なくとも1つの半導体磁気抵抗素子を含む第1の抵抗ブロック、
第2の抵抗ブロック、
FETと前記第1の抵抗ブロックまたは前記第2の抵抗ブロックの一方とで構成され、前記第1の抵抗ブロックまたは前記第2の抵抗ブロックの一方が前記FETのゲートとソースとの間に接続された定電流回路、および
前記第1の抵抗ブロックまたは前記第2の抵抗ブロックの他方がベースとエミッタとの間に接続され、かつ前記定電流回路がベースとコレクタとの間に接続される増幅用トランジスタを含み、
前記第1の抵抗ブロックおよび前記第2の抵抗ブロックは抵抗温度係数を有し、前記抵抗温度係数によって前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧の温度特性と前記増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性とが対応するようにした、磁性体検出器。 - 前記第1の抵抗ブロックおよび前記第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数により、磁性体の検出時における前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧の温度特性と前記増幅用トランジスタの温度特性とが対応するようにした、請求項1に記載の磁性体検出器。
- 前記第1の抵抗ブロックおよび前記第2の抵抗ブロックの抵抗温度係数を前記増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性に対応させることにより、磁性体の非検出時においては前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧が前記増幅用トランジスタの動作電圧より低く、かつ磁性体の検出時においては前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間電圧が前記増幅用トランジスタの動作電圧より高くなるようにした、請求項1または請求項2に記載の磁性体検出器。
- さらに、前記第1の抵抗ブロックおよび前記第2の抵抗ブロックのそれぞれの抵抗温度係数を、前記増幅用トランジスタの動作電圧の温度特性と、前記半導体磁気抵抗素子の抵抗および感度の温度係数とに対応させた、請求項3に記載の磁性体検出器。
- 前記半導体磁気抵抗素子にバイアス磁界を印加するための手段を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁性体検出器。
- 前記第2の抵抗ブロックを構成する少なくとも1つの抵抗素子が前記半導体磁気抵抗素子と同じ材料からなる、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の磁性体検出器。
- 前記第1の抵抗ブロックを構成する少なくとも1つの抵抗素子と前記半導体磁気抵抗素子とを単一基板上に形成した、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の磁性体検出器。
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