JP4676088B2 - 曲手摺の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、方向の異なる手摺杆をブラケットに連結して設置壁面に固定する、曲手摺の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、曲手摺の取付構造では、二本の手摺杆を連結固定するブラケットを木ねじ等の取付部材により直接設置壁面に固定する構造が用いられてきた。
【0003】
上記の構造では、設置壁面より手摺を一度撤去すると、取付部材が締結していた設置壁面の締結箇所が破損してしまい、同じ位置に再度手摺を設置することができない。 このため、一度手摺を撤去した場合は、別の位置で新たに手摺の設置を行う必要があった。
【0004】
上記の技術に対して本件出願人は、特願2000−375688の建物用手摺の取付構造において、直線状の手摺の端部をブラケットにより直接設置壁面に取付けられるとともに、施工後に手摺の着脱が可能である取付構造を提案した。
【0005】
前記特願2000−375688では、両端の端部ブラケットについて、着脱可能な固定座を収納しておくことにより、上記の特徴を得られるが、中間ブラケットを用いる曲手摺については、予め固定座を設置壁面に固定しておいてから、中間ブラケットのブラケット本体を固定座に固定ねじで取付ける必要があるため、直線状の手摺に比べて施工性が低下する問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記特願2000−375688の問題点を解消することを目的とするもので、施工が容易であり、設置壁面の所定位置に対する着脱が自在である曲手摺の取付構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明による曲手摺の取付構造は、 異なる方向に延在する二本の手摺杆の交差位置で、二本の手摺杆のそれぞれ一端を中間ブラケットにより連続状に設置壁面に固定する曲手摺の取付構造において、取付部材により設置壁面に取付座を取付け、ブラケット本体の固定基部に取付部材を通過する操作窓を設けるとともに、固定基部に取付座を収納し、固定基部の上面から固定ねじにより分離可能に固定される取付座を介してブラケット本体を設置壁面に取付けることにより、取付部材で曲手摺全体を設置壁面に直接固定することが可能であると共に、取付座と螺合している固定ねじの締結を解除することで、曲手摺全体の着脱を同じ取付け位置で行うことが可能である。
【0008】
また、ブラケット本体とカバー部材は、固定基部の底面に形成された係合部と、カバー部材の裏面に形成された係止部によって弾発的に係合されるとともに、固定基部の底面には、係合部より周縁に至る操作溝が設けられ、カバー部材には操作溝より連続してカバー部材の外周に開口する操作孔が設けられ、ブラケット本体の底面には係合部より周縁部に至る操作溝と、カバー部材に操作溝より連続して外周に開口する操作孔を設けることにより、操作孔を挿通して操作溝を通過した操作手段が、係合部と係止部を弾発的に変形させて係止解除されることで、曲手摺全体を設置壁面より取外す際に、カバー部材をブラケット本体から容易に取外すことが可能であると共に、手摺が設置されている状態では、カバー部材がブラケット本体より脱落することが防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。 図1は曲手摺を示す分解斜視図であり、符号Wは設置壁面、1は手摺杆、2は中間ブラケット、3は端部ブラケット、4は取付部材、5は固定ねじを示す。 図1の示すとおり曲り手摺は、向きの異なる手摺杆1、1の一端1aの交差位置で中間ブラケット2により設置壁面Wに固定され、手摺杆1、1の他端1bで端部ブラケット3により設置壁面Wに固定されている。
【0010】
中間ブラケット2は、向きの異なる手摺杆1、1をそれぞれ延在するブラケット本体2aと、ブラケット本体2aに収納固定されるとともに取付部材4により設置壁面Wに取付けられる取付座2bと、ブラケット本体2aに対して着脱可能に係合されるカバー部材2cから構成されており、取付座2bは、ブラケット本体2aの固定基部2dに設けられた操作窓2eを通過した取付部材4により設置壁面Wに取付けられ、ブラケット本体2aは、固定基部2dと固定ねじ5により分離可能に固定された取付座2bを介し設置壁面Wに取付けられる。
【0011】
端部ブラケット3は、手摺杆1を延在するブラケット本体3aと、ブラケット本体3aに収納固定されるとともに取付部材4により設置壁面Wに取付けられる取付材3bと、ブラケット本体3aに対して着脱可能に係合されるカバー部材3cからなり、中間ブラケット2aと同様に、ブラケット本体3aの固定基部3dに設けられた操作窓3eを通過した取付部材4により取付座3bが設置壁面Wに取付けられ、ブラケット本体3aが、固定ねじ5により分離可能に固定された取付座3bを介し設置壁面Wに取付けられる。
【0012】
図2は曲手摺のコーナー部分の底面側を示す分解斜視図であり、図2の示すとおり、手摺杆1、1は、鋼管等による芯材1cと、合成樹脂等により軟質で芯材を被覆している被覆層1dから構成されており、被覆層1dには凹凸部1eが連続して形成されていて、ブラケット本体2aに取付ねじ6で固定される。
【0013】
中間ブラケット2の取付座2bは、固定ねじ5と螺合する雌ねじ部2fが形成された取付金具2gと、取付部材4への浸水を防ぐ防水パッキン2hと、防水パッキン2hを収納する収納具2iから構成されており、取付金具2g及び収納具2iには取付部材4のねじ部4aを挿通する取付部材挿通孔2jが形成されている。
【0014】
本件実施例において、取付座2bは3つの部品より構成されているが、曲手摺の使用環境により防水パッキン2hを省略することが可能である。 また、取付金具2gと収納具2iを一体的に形成することも可能である。
【0015】
中間ブラケット2のブラケット本体2aは、固定基部2dと、固定基部2dの側面に手摺杆1、1をそれぞれ延在する支持片2kが形成されており、固定基部2dには取付部材4全体を通過可能とする操作窓2eと、取付座2bを収納する収納部2lと、固定ねじ5のねじ部5aを挿通する固定ねじ挿通孔2mと、弾性変形可能な係合部である爪部2nと、爪部2nの先端より外周に向う操作溝2oと、操作溝2oと収納部2lを仕切る遮蔽壁部2pが設けられている。
【0016】
本件実施例において、ブラケット本体2aの固定ねじ挿通孔2mと取付金具2gの雌ねじ部2fは、固定基部2dの上面から下面にかけて設けられているが、側面に設けて締結することで、取付け座2bに対するブラケット本体2aの引抜き強度を向上させることも可能である。
【0017】
中間ブラケット2のカバー部材2cは、ブラケット本体2aの支持片2k、2kの間を覆う本体部2qと、本体部2qの内面2rよりブラケット本体2aの爪部2nに向けて立設された係止部である係止孔部2sと、固定基部2dの操作溝2oの外周端から連続するように開口された操作孔2tが形成されている。
【0018】
図3は曲手摺の端部部分の底面側を示す分解斜視図であり、図3の示すとおり、端部ブラケット3は、ブラケット本体3aと、取付座3bと、カバー部材3cから構成されており、端部ブラケット3の取付座3bは、雌ねじ部3fが形成された取付金具3gと、防水パッキン3hと、収納具3iから構成されており、取付金具3g及び収納具3iには取付部材4のねじ部4aを挿通する取付部材挿通孔3jが形成されている。
【0019】
端部ブラケット3のブラケット本体3aは、固定基部3dと、固定基部3dの側面に手摺杆1の他端1bを延在する支持片3kが形成されており、固定基部3dには操作窓3eと、収納部3lと、固定ねじ挿通孔3mと、係止孔部3nと、係止孔部3nの先端より外周に向う操作溝3oと、操作溝3oと収納部3lを仕切る遮蔽壁部3pが設けられている。
【0020】
端部ブラケット3のカバー部材3cは、本体部3qと、本体部3qの内面3rよりブラケット本体3aの係止孔部3nに向けて立設されて弾性変形可能な爪部3sと、固定基部3dの操作溝3oの外周端から連続するように開口された操作孔3tが形成されている。
【0021】
本件実施例において、端部ブラケット3の支持片3kから固定基部3dにかけて連続する凹凸部3uが形成されており、曲手摺の端部も手摺杆1と同様に把持可能としているが、中間ブラケット2のブラケット本体2aに形成することも可能であり、手摺杆1に設けた凹凸部1eから連続するように、手摺杆1以外の場所を把持しても良好な滑止め効果が得られる。
【0022】
中間ブラケット2及び端部ブラケット3の収納部2l、3lは遮蔽壁部2o、3oにより仕切られているため、使用時にカバー部材2c、3cの挿作孔2t、3tから水が侵入することがなく、ブラケット外に排出されるため、浸水による取付部材4や固定ねじ5の腐食が防止され安全性に優れており、とくに曲手摺の上下端に配置される端部ブラケット3では、後述する図6の示すように係止孔部3nから側面に向う誘導溝3vが設けられているので、侵入した水はブラケットの側方から速やかに排出される。
【0023】
以上の様に構成される曲手摺の施工手順について説明する。 まず、取付座2bは予めブラケット本体2aの収納部2lに嵌合され、固定ねじ5により締結固定された状態で施工現場に供給される。 端部ブラケット3の取付座3bも同様である。
【0024】
次に、手摺杆1の一端1aを中間ブラケット2の支持片2kに嵌合させるとともに、手摺杆1の他端1bを端部ブラケット3の支持片3kと嵌合させ取付けねじ6により締結固定して、曲手摺全体を組立てる。
【0025】
次に、図4において、手摺杆1の軸芯での断面図に示すように、組上がった曲手摺を設置壁面Wの所定位置に仮設置した状態で、ブラケット本体2aの操作窓2eを通過した取付部材4を設置壁面Wに締結することにより、曲手摺を設置壁面Wに固定する。
【0026】
設置された曲手摺のブラケット本体2aに、カバー部材2cを係止固定することで施工作業が完了する。 尚、端部ブラケット3も同様の手順で固定する。
【0027】
次に、一度設置された曲手摺を一時的に取外す手順について説明する。 図5及び図6は中間ブラケット2及び端部ブラケット3の底面図で、図5及び6の示すように、中間ブラケット2及び端部ブラケット3の操作孔2t、3tより、操作手段7である細い棒形状の操作棒7aをブラケット本体2a、3aとカバー部材2c、3cの係合部8まで差込む。
【0028】
図7は図5のA−A’線断面図、図8は図6のB−B’線断面図であり、両図とも操作棒7aが差込まれた状態を示している。 図7及び8の示すように、差込まれた操作棒7aが係合部8に到達すると、爪部2n、3sが操作棒7aにより押しのけられて弾発的に変形するため、係止状態が解除される。 この後、係止が解除されたカバー部材2c、3cをブラケット本体2a、3aより取外す。
【0029】
図9はコーナー部における手摺杆1の軸芯での断面図であり、中間ブラケット2を設置壁面Wから取外す状態を示している。 図9の示すように、中間ブラケット2の固定ねじ5と雌ねじ部2fの締結を解除し、端部ブラケット3の固定ねじ5と雌ねじ部3fの締結を解除する(図示せず。)ことで、設置基面Wに固定されている取付座2b、3bからブラケット本体2a、3aを取外せるようになり、曲手摺全体を設置壁面Wより一時的な取外しが完了する。
【0030】
さらに、一時的に設置壁面Wから取外した曲手摺を、再度設置壁面に固定する場合は、設置壁面Wに固定されたまま残っている取付座2b、3bにブラケット本体2a、3aを嵌合し、固定ねじ5によって固定し、カバー部材2c、3cを係止固定することで取付けることができる。
【0031】
上記図4ないし図9において、設置壁面Wは壁躯体表面に二重に設けられるボード壁であり、取付け部材4は、ボード壁内部で倒するアンカー片を有する、ボードアンカーを示している。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、中間ブラケットは、固定基部の操作窓を通り、ブラケット本体に収納された取付座を挿通する取付部材により設置壁面へ固定されるため、曲手摺全体を組立てた状態で直接設置壁面に固定することが可能で施工性が良い。
【0033】
また、手摺杆が取付けられている中間ブラケットのブラケット本体は、ブラケット取付座と固定ねじにより締結しているため、固定ねじの締結を解除することで手摺を取外すことが可能であるとともに、取付座は設置壁面に固定されたまま残るため、再度同じ取付け位置に曲手摺全体を取付けることが可能であり、曲手摺全体の着脱が容易である。
【0034】
さらに、ブラケット本体の底面の操作溝とカバー部材の操作孔より操作手段を挿通させて、係合部と係止部を弾発的に変形させて係止状態を解除するため、曲手摺全体を設置壁面より取外す際に、カバー部材をブラケット本体から容易に取外すことが可能であり作業性がよい。
【0035】
また、ブラケット本体とカバー部材は、係合部及び係止部により係止固定されているため、曲手摺の設置状態では操作手段を使用しない限りカバー部材がブラケット本体から脱落することが防止され、安全性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曲手摺を示す分解斜視図
【図2】本発明のコーナー部分を示す分解斜視図
【図3】端部ブラケットを示す分解斜視図
【図4】本発明の取付け状態を示す手摺杆の軸芯での断面図
【図5】本発明のコーナー部分を示す底面図
【図6】端部ブラケット部分を示す底面図
【図7】図5A−A’線の断面図
【図8】図6B−B’線の断面図
【図9】本発明の取外し状態を示す手摺杆の軸芯での断面図
【符号の説明】
W 設置壁面
1 手摺杆
1a 一端
1b 他端
1c 芯材
1d 被覆層
1e 凹凸部
2 中間ブラケット
2a ブラケット本体
2d 固定基部
2e 操作窓
2l 収納部
2m 固定ねじ挿通孔
2n 爪部(係合部)
2o 操作溝
2p 遮蔽壁部
2k 支持片
2b 取付座
2g 取付金具
2f 雌ねじ部
2h 防水パッキン
2i 収納具
2j 取付部材挿通孔
2c カバー部材
2q 本体部
2r 内面
2s 係止孔部(係止部)
2t 操作孔
3 端部ブラケット
3a ブラケット本体
3b 取付座
3c カバー部材
4 取付部材
5 固定ねじ
6 取付ねじ
7 操作手段
8 係合部

Claims (1)

  1. 異なる方向に延在する二本の手摺杆の交差位置で、前記二本の手摺杆のそれぞれ一端を中間ブラケットにより連続状に設置壁面に固定する曲手摺の取付構造において、
    前記中間ブラケットは、前記二本の手摺杆をそれぞれ連結する支持片を固定基部の側面に立設してなるブラケット本体と、該ブラケット本体の固定基部に収納固定されるとともに取付部材により前記設置壁面に取付られる取付座と、前記ブラケット本体の前記支持片間を連続状に覆って着脱可能に係合されるカバー部材からなり、
    前記ブラケット本体の前記固定基部に前記取付部材が通過可能な操作窓を設けるとともに、前記固定基部の上面から固定ねじにより分離可能に固定される前記取付座を介して前記ブラケット本体を設置壁面に取付けてなるとともに、
    前記ブラケット本体と前記カバー部材は、前記固定基部の底面に形成された係合部と、前記カバー部材の裏面に形成された係止部によって弾発的に係合されるとともに、
    前記固定基部の底面には、前記係合部より周縁に至る操作溝が設けられ、前記カバー部材には該操作溝より連続してカバー部材の外周に開口する操作孔が設けられ、
    前記操作溝を通過する操作手段により、前記係合部と前記係止部が弾発的に変形されて係合が解除されることを特徴とする、曲手摺の取付構造。
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