(実施の形態1)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態における電子部品の実装装置の平面図、図2(a)は本発明の一実施の形態における電子部品の実装装置の移載ヘッドの正面図、図2(b)は本発明の一実施の形態における電子部品の実装装置の移載ヘッドの側面図、図3は本発明の一実施の形態における電子部品の実装装置の制御系の構成図、図4は本発明の一実施の形態における電子部品の認識方法の説明図、図5は本発明の一実施の形態における電子部品の実装装置の動作のフローチャートである。
まず、電子部品の実装装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1において、基台1上の略中央にはX方向に延伸する搬送路2が配設されている。搬送路2は、実装対象としての基板3を搬送して所定位置に位置決めする。なお、本発明においては基板の搬送方向をX方向とし、これに水平面内で直交する方向をY方向とする。搬送路2のY方向における両側方には電子部品供給部4が配設されている。電子部品供給部4には電子部品(以下、「部品」という)を実装装置に供給するパーツフィーダが備えられており、本実施の形態においては、複数個のテープフィーダ5が着脱自在に並設されている。テープフィーダ5には多数の部品が格納されている。
基台1のX方向における両端部には一対のYテーブル6が配設されている。これらのYテーブル6上にはXテーブル7が架設されており、Yテーブル6の駆動によりY方向に移動する。Xテーブル7の側部には移載ヘッド8が配設されており、Xテーブル7の駆動によりX方向に移動する。Yテーブル6及びXテーブル7は、移載ヘッド8を基台1上で水平移動させる水平移動手段になっている。
図2(a)、(b)において、移載ヘッド8は、プレート9を介してXテーブル7に装着されている。プレート9には、複数のノズルユニット20がフレーム10に保持されて装着されている。本実施の形態においては、4個のノズルユニット20を直列に配列したノズルユニット列をY方向に2列配列している。
図2(b)において、各ノズルユニット20の下端部にはノズル21が装着されている。各ノズルユニット20には、ノズル21の駆動手段として、昇降駆動部22と回転駆動部23(図3参照)が備えられている。昇降駆動部22は、図示しない鉛直方向に配設されたボールねじと、このボールねじに螺合するナットと、ボールねじを軸回転させるモータからなり、ノズル21はこのナットと連結されている。ボールねじの軸回転によりナットは上下動し、これによりノズル21は昇降動作を行う。このように、各ノズルユニット20の昇降駆動部22の駆動を制御することにより、各ノズル21の高さを独立して調節することができる。また、各ノズル21は、回転駆動部23の駆動により独立して回転し、各ノズル21に吸着された部品Pの水平方向における向きを変更することができる。
図2(a)、(b)において、移載ヘッド8には第1のラインセンサ13が設けられており、各ノズル21の下端の部品吸着面(以下、「吸着面」という)の側方になる高さ位置に保持されている。この第1のラインセンサ13は、一定の高さを保ったまま各ノズル21と対向する位置に移動し、各ノズル21の吸着面に吸着された部品Pを側方から連続して認識する。これにより、各ノズル21に吸着された各部品Pの高さ及び装着面の高さを検出する。なお、部品Pの装着面とは、基板に実装される際に基板の上面に当接する面のことであり、通常は電極の下面であるが、バンプ付き部品の場合はバンプの下端が装着面となる。第1のラインセンサ13は、多連ノズルに吸着された部品を側方から認識する第2の認識手段となっている。
図1において、搬送路2と電子部品供給部4の間には第2のラインセンサ14が配設されており、移載ヘッド8のノズル21に吸着されてピックアップされた部品を下方から認識する。第2のラインセンサ14は部品の装着面を撮像し、この撮像された画像は画像処理部39(図3参照)で画像処理されて部品の有無や吸着姿勢等が認識される。第2のラインセンサ14は、多連ノズルに吸着された部品を下方から認識する第1の認識手段となっている。
次に、電子部品の実装装置の制御系の構成について、図3を参照して説明する。制御部30は、搬走路2及びYテーブル6、Xテーブル7、第1のラインセンサ13、第2のラインセンサ14、ノズルユニット20の昇降駆動部22及び回転駆動部23の各駆動系とバス31により接続されており、各駆動系の駆動をNCプログラム37に基づいて制御する。NCプログラム37は、バス31と接続されたデータ部32に記憶されており、このデータ部32には、NCプログラム37の他に、部品ライブラリ33、ノズルデータ34、基板データ35、制御パラメータ36が記憶されている。このうち部品ライブラリ33には、部品の寸法データ33aが品種毎に記憶されている。またノズルデータ34には、部品の高さ測定の際の基準となる各ノズル21の基準高さデータ34aが記憶されている。この基準高さデータ34aとは、ノズル21で吸着した部品の厚みを測定する際のノズル21の先端の高さデータであり、ノズル21の上限からの下降ストロークを示すデータであり、各ノズル21の吸着面の高さデータが含まれている。さらに制御部30は、演算部38、画像処理部39、表示部40、操作・入力部41とバス31により接続されている。
次に、第1のラインセンサ13及び第2のラインセンサ14による部品の認識方法について、図4を参照して説明する。図4は、各ノズル21に吸着された部品Pと第1のラインセンサ13及び第2のラインセンサ14の位置関係を示している。各ノズル21にはそれぞれサイズの異なる部品Pが吸着されている。ここで、微小部品とは、0402、0603、1005チップ部品をいい、これらの微小部品は、縦、横、厚さ、斜め等の寸法差が極めて僅少である。その他にも、1608R、2625Rチップ部品のように寸法差は僅少ではないものの部品厚さが0.5mm以下のチップ部品も含まれる。
なお、本実施形態では吸着する部品の事例として、上記微小部品をあげているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その他の部品であってもかまわない。
各ノズル21は、昇降駆動部22の駆動により、それぞれのノズル21の基準高さデータ34aに基づいて高さ調節されている。各ノズル21の基準高さは、各ノズル21に吸着された部品Pの側面が第1のラインセンサ13の測定精度のよい部分、すなわち、認識可能範囲内(上限L1〜下限L2)に位置するとともに、その装着面が第2のラインセンサ14の焦点範囲内(認識可能範囲内)に位置するように設定されている。このように、各ノズル21の基準高さは、吸着した部品Pが上記の認識可能範囲内に位置するのであればよく、吸着する部品Pのサイズに関わらず各ノズル21の測定高さをそれぞれの基準高さになるように昇降駆動部22を制御することで測定高さ精度の良さを利用して部品Pの高さを検出する。
基準高さに調節された各ノズル21に吸着された全ての部品Pは、その側面が第1のラインセンサ13の認識可能範囲内(上限L1〜下限L2)に位置するとともに、その装着面が第2のラインセンサ14の焦点範囲内(認識可能範囲内)に位置しているので、第1のラインセンサ13を一定の高さで各部品Pの側方に順次移動させて各部品Pの装着面の高さを連続して検出することができる。また、各ノズル21に吸着された部品Pを第2のラインセンサ14の上方に順次移動させて各部品Pの装着面を連続して撮像することができる。
部品Pの高さは、第1のラインセンサ13により検出された部品Pの装着面の高さと、基準高さデータ34aに含まれるノズル21の吸着面の高さの差を演算部38において算出することにより求められる。
以上により、部品Pの厚みを測定するための第1のラインセンサ13の精度の良い部分までノズル21に吸着される部品Pを降下させ、前記部品Pの厚みを第1のラインセンサ13で測定することが可能となる。
(実施の形態2)
次に、本発明に係る他の実施の形態について説明する。
本実施形態2の目的とするところは以下の通りである。
すなわち、既に開示されている特許文献(特開2002−9496号公報)に記載された方法は、各ノズル21に吸着される部品Pの高さに関わらず装着面を第2のラインセンサ14の焦点位置に揃えており、各ノズル21の高さは、この焦点位置の高さから部品Pの高さを減じた高さとなるように調節される。すなわち、各ノズル21の高さは絶対値で管理されている。各ノズル21の高さ調節は、ボールねじに螺合するナットにノズルを連結させてボールねじの軸回転を制御することにより行われている。このため、ノズル21の高さ調節の際のノズル21の上下移動量にはボールねじの加工精度に起因する誤差が直接に影響する。この誤差は、例えば300mmのストロークに対して±50μm程度であり、ノズル21の高さを絶対値で管理する場合、ノズルの高さには±50μm程度の誤差が含まれることになる。
近年、部品Pの小型軽量化に伴い、部品の縦、横、高さ、斜め等の寸法は極めて微小な差でしかなくなってきている。このため、部品Pの正常吸着時と異常吸着時における高さの差は極めて僅少なものとなり、例えば、0603チップの微小部品Pの場合、横寸法は0.3mm、斜め寸法は0.35mmであり、その差は0.05mm(50μm)である。
そのため、50μmの差を正確に検出して正常吸着か異常吸着かの判断しなければならない微小部品Pについて同程度の高さ誤差を含んだノズル21に吸着して高さを検出すると、微小部品Pの吸着姿勢を誤認識するおそれがある。
そこで本実施形態では、ノズル21に吸着された電子部品(特に微小部品)を正確かつ効率的に認識することができる厚み測定方法を例示する。なお、本実施形態における電子部品の実装装置の構成は、上記実施形態1と同様である。
実装動作が繰り返される度に各ノズル21に繰り返し吸着される部品Pの認識においても、各ノズル21の測定高さが、予めノズル21毎に定められた基準高さになるよう制御される。これにより、新たに吸着された部品Pの高さについても、第1のラインセンサ13により検出された部品Pの装着面の高さと、基準高さデータ34aに含まれるノズル21の吸着面の高さの差を算出することにより求められる。
つまり、測定対象が微小部品であれば、第1のラインセンサ13で厚みを測定する際のノズル21の測定高さを一定にすることができる。
ノズル21の測定高さを一定にすると、ノズル21の高さ制御手段である昇降駆動部22のナットがボールねじの同じ箇所で繰り返し螺合することになるので、これらの加工精度に由来する機構的な誤差の影響を抑えることができる。このため、基準高さデータ34aに基づいて測定高さの調節がなされるノズル21の吸着面の測定高さのばらつきを抑えることが可能となり、部品Pの高さを精度良く測定することができる。
なお、ノズル21の基準高さは、吸着された部品Pが第1のラインセンサ13及び第2のラインセンサ14の認識可能範囲に位置する限りにおいてノズル21毎に任意に設定することができる。各ノズル21は、それぞれの測定高さがそれぞれの基準高さになるように独立して高さ調節されることにより、各ノズル21に吸着された部品Pの高さを精度良く測定することができる。
なお、図4においては、部品Pを判別しやすいように大きく図示しているが、実際は極めて微小な部品であり、それぞれの高さにおいて顕著な差はない。従って、それぞれの部品Pの装着面を水平方向に揃えることなく、全ての部品Pの装着面を第2のラインセンサ14により連続して撮像することができる。
次に、電子部品の実装装置の動作について、図5を参照して説明する。実装開始後、多連ノズルを電子部品供給部4に備えられたテープフィーダ5上のピックアップ位置に移動させ、各ノズル21に部品Pを吸着させる(ST1)。部品吸着後、各ノズル21の高さをそれぞれの基準高さに調節する(ST2)。次に、第1のラインセンサ13を移動させて各ノズルに吸着された部品Pの側方からの認識を行い、各部品Pの装着面の高さを検出する(ST3)。また、部品Pを吸着した各ノズル21を順次第2のラインセンサ14上で移動させて部品Pの下方からの認識を行い、各部品Pの装着面を撮像する(ST4)。すなわち、ST3及びST4は高さ調節された多連ノズルの各ノズル21に吸着された部品Pを側方及び下方から認識する工程となっている。
次に、ST3において検出された部品Pの装着面の高さと、基準高さデータ34aに含まれるノズル21の吸着面の高さの差から部品Pの高さを算出し、部品ライブラリ33の寸法データ33aとの比較を行う。算出された部品Pの高さが寸法データ33aに含まれる部品Pの高さの許容値を超えている場合は、装着面を下に向けた正常姿勢ではなく、立ち姿勢や斜め姿勢の異常姿勢で吸着されていると判断され、異常吸着処理される(ST5)。また、ST4において撮像された部品Pの装着面の画像は、寸法データ33aを基に画像処理部39において処理される。部品のサイズ違いや位置ずれ等が認められ装着不能と判断されると異常吸着処理される(ST6)。ST5又はST6で異常吸着処理されると、部品Pを廃棄して新たな部品Pを吸着する(ST1)。この新たに吸着された部品Pについても上記ST2〜ST4の動作を繰り返し行い、所定回数を超えて異常吸着が認められた場合はエラー停止としてマシンを停止させる。
ST3及びST4において正常姿勢で吸着されていると認められると、ノズル21の水平移動及び上下移動、回転動作により部品Pの位置補正を行い(ST7)、基板3上の各実装点に実装される(ST8)。
以後、実装終了となるまで上記のST1〜ST8の実装動作を継続して繰り返し行う。この繰り返しの度に新たな部品Pを吸着する各ノズル21の測定高さはそれぞれの基準高さに調節される(ST2)。すなわち、実装動作の繰り返しの度に電子部品を繰り返し吸着する多連ノズルの各ノズルの高さを、それぞれのノズルについて予め設定されたノズル基準高さに調節する工程となっている。
第1のラインセンサ13による部品認識(ST3)と第2のラインセンサ14による部品認識(ST4)は何れの順番で行ってもよいし同時に行うことも可能である。本実施の形態においては、第1のラインセンサ13は移載ヘッド8に取り付けられているので、移載ヘッド8の移動中の検知作業が可能であり、部品Pを吸着したノズル21が第2のラインセンサ14や基板3の上方に移動する際に第1のラインセンサ13による部品認識を行うことにより、作業時間が短縮されて効率的な実装作業が実現できる。なお、第1のラインセンサ13を基台1上に配設し、その側方を移載ヘッド8が移動することによっても部品認識を行うことができる。
このように、本発明にかかる電子部品の実装装置および実装方法によれば、ノズルの測定高さ精度の良さを利用して多連ノズルの各ノズルに吸着した部品の高さを測定し、また、多連ノズルに吸着された複数の部品を連続して認識することができるので、効率的で精度の高い部品認識が可能となり、不良基板の発生を防止するとともに実装装置の稼動効率の向上を図ることができる。
(実施の形態3)
次に、第1のラインセンサ13、第2のラインセンサ14による部品の認識方法について、図6を参照して説明する。本実施形態においては、実装される対象部品を第1の部品と第2の部品に区分し、第1の部品と第2の部品をそれぞれ異なる認識方法により認識する。なお、本実施形態における電子部品の実装装置の構成は、上記実施形態1、2と同様である。
本実施形態において、第1の部品は、0402、0603、1005コンデンサチップのような微小部品であり、縦、横、厚さ、斜め等の寸法差が極めて僅少な部品である。その他にも、1608R、2625Rコンデンサチップのように寸法差は僅少ではないものの部品厚さが0.5mm以下のチップ部品も含まれる。一方、第2の部品は、第1の部品に区分されない部品であり、比較的大きな部品である。第1の部品は、高さ寸法において品種間に顕著な差はないが、第2の部品は、高さ寸法において品種間の寸法差が大きい。
先ず、第1の部品の認識方法について、図6(a)を参照して説明する。図6(a)は、各ノズル21aに吸着された第1の部品P1と第1のラインセンサ13及び第2のラインセンサ14の位置関係を示している。各ノズル21aにはそれぞれサイズの異なる第1の部品P1が吸着されている。
各ノズル21aは、昇降駆動部22の駆動により、それぞれのノズル21aの基準高さデータ34aに基づいて高さ調節されている。各ノズル21aの基準高さは、各ノズル21aに吸着された第1の部品P1の側面が第1のラインセンサ13の認識可能範囲内(上限L1〜下限L2:精度のよい範囲)に位置するとともに、その装着面が第2のラインセンサ14の焦点範囲内(認識可能範囲内)に位置するように設定されている。
基準高さに調節された各ノズル21aに吸着された全ての第1の部品P1は、その側面が第1のラインセンサ13の認識可能範囲内(上限L1〜下限L2)に位置するとともに、その装着面が第2のラインセンサ14の焦点範囲内(認識可能範囲内)に位置しているので、第1のラインセンサ13を一定の高さで各第1の部品P1の側方に順次移動させて各第1の部品P1の装着面の高さを連続して検出することができる。また、各ノズル21aに吸着された第1の部品P1を第2のラインセンサ14の上方に順次移動させて各第1の部品P1の装着面を連続して撮像することができる。
第1の部品P1の高さは、第1のラインセンサ13により検出された第1の部品P1の装着面の高さと、基準高さデータ34aに含まれるノズル21の吸着面の高さの差を演算部38において算出することにより求められる。
実装動作が繰り返される度に各ノズル21aに繰り返し吸着される第1の部品P1の認識においても、各ノズル21aの測定高さがそれぞれの基準高さと一定になるよう制御される。これにより、新たに吸着された第1の部品P1の高さについても、第1のラインセンサ13により検出された第1の部品P1の装着面の高さと、基準高さデータ34aに含まれるノズル21aの吸着面の高さの差を算出することにより求められる。
つまり、測定対象が第1の部品P1のような微小部品であれば、第1のラインセンサ13で厚みを測定する際のノズル21の測定高さを一定にすることができる。
ノズル21aの測定高さを一定にすると、ノズル21aの高さ制御手段である昇降駆動部22のナットがボールねじの同じ箇所で繰り返し螺合することになるので、これらの加工精度に由来する機構的な誤差の影響を抑えることができる。このため、基準高さデータ34aに基づいて測定高さの調節がなされるノズル21aの吸着面の測定高さのばらつきを抑えることが可能となり、第1の部品P1の高さを精度良く測定することができる。
なお、ノズル21aの基準高さは、吸着された第1の部品P1が第1のラインセンサ13及び第2のラインセンサ14の認識可能範囲に位置する限りにおいてノズル21a毎に任意に設定することができる。各ノズル21aは、それぞれの測定高さがそれぞれの基準高さと一定になるように独立して高さ調節されることにより、各ノズル21aに吸着された第1の部品P1の高さを精度良く測定することができる。
なお、図6(a)においては、第1の部品P1を判別しやすいように大きく図示しているが、実際は極めて微小な部品であり、それぞれの高さにおいて顕著な差はない。従って、それぞれの第1の部品P1の装着面を水平方向に揃えることなく、全ての第1の部品P1の装着面を第2のラインセンサ14により連続して撮像することができる。
次に、第2の部品の認識方法について、図6(b)を参照して説明する。図6(b)は、各ノズル21bに吸着された第2の部品P2と第2のラインセンサ14の位置関係を示している。各ノズル21bにはそれぞれサイズの異なる第2の部品P2が吸着されている。
各ノズル21bは、昇降駆動部22の駆動により、各第2の部品P2の寸法データ33aに基づいて高さ調節されて、全ての第2の部品P2の装着面の高さがレベルL3で水平方向に揃えられている。レベルL3は第2のラインセンサ14の焦点範囲内(認識可能範囲内)となる高さに設定されており、各ノズル21bに吸着された第2の部品P2を第2のラインセンサ14の上方に順次移動させて各第2の部品P2の装着面を連続して撮像することができる。
このように、高さ寸法において品種間の寸法差の大きい第2の部品P2については、それぞれの装着面を水平方向に揃えることで第2のラインセンサ14による連続認識を可能にしている。なお、上記の説明において、ノズル21に21a、21bと付番しているが、これは説明の便宜上のものであり、ノズル21aとノズル21bは同じノズル21である。
次に、電子部品の実装装置の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、実装の対象となる部品が第1の部品であるか第2の部品であるかを判断する(ST21)。実装対象部品が第1の部品である場合、吸着後に各ノズル21の高さをそれぞれの基準高さに調節する(ST22)。その後、第1のラインセンサ13を移動させて各ノズル21に吸着された第1の部品の側方からの認識を行い、各第1の部品の装着面の高さを検出する(ST23)。また、第1の部品を吸着した各ノズル21を順次第2のラインセンサ14上で移動させて第1の部品の下方からの認識を行い、各第1の部品の装着面を撮像する(ST24)。すなわち、ST3及びST4は、高さ調節された多連ノズルの各ノズル21に吸着された第1の部品を側方及び下方から認識する第1の認識工程となっている。
次に、ST23において検出された第1の部品の装着面の高さと、基準高さデータ34aに含まれるノズル21の吸着面の高さの差から第1の部品の高さを算出し、部品ライブラリ33の寸法データ33aとの比較を行う。算出された第1の部品の高さが寸法データ33aに含まれる第1の部品の高さの許容値を超えている場合は、装着面を下に向けた正常姿勢ではなく、立ち姿勢や斜め姿勢の異常姿勢で吸着されていると判断され、異常吸着処理される(ST25)。また、ST24において撮像された第1の部品の装着面の画像は、寸法データ33aを基に画像処理部39において処理される。部品のサイズ違いや位置ずれ等が認められ装着不能と判断されると異常吸着処理される(ST26)。ST25又はST26で異常吸着処理されると、第1の部品を廃棄して新たな第1の部品を吸着する(ST21)。この新たに吸着された第1の部品についても上記ST22〜ST24の動作を繰り返し行い、所定回数を超えて異常吸着が認められた場合はエラー停止としてマシンを停止させる。
ST23及びST24において正常姿勢で吸着されていると認められると、ノズル21の水平移動及び上下移動、回転動作により部品Pの位置補正を行い(ST27)、基板3上の各実装点に実装される(ST28)。
以後、実装終了となるまで上記のST21〜ST28の実装動作を継続して繰り返し行う。この繰り返しの度に新たな第1の部品を吸着する各ノズル21の測定高さはそれぞれの基準高さに調節される(ST22)。すなわち、実装動作の繰り返しの度に第1の部品を繰り返し吸着する多連ノズルの各ノズルの高さを、それぞれのノズルについて予め設定されたノズル基準高さに調節する第1の調節工程となっている。
一方、実装対象部品が第2の部品である場合、各ノズル21は寸法データ33aに基づいて高さ調節され、全ての第2の部品の装着面の高さを水平方向に揃える(ST29)。このST29は、多連ノズルの各ノズルの高さをそれぞれ調整して各ノズルに吸着された第2の部品の装着面の高さを水平方向に揃える第2の調節工程となっている。
次に、第2の部品を吸着した各ノズル21を順次第2のラインセンサ14上で移動させて第2の部品の下方からの認識を行い、各第2の部品の装着面を撮像する(ST30)。このST30は、装着面の高さが揃えられた第2の部品を下方から認識する第2の認識工程となっている。
ST30において撮像された第2の部品の装着面の画像は、寸法データ33aを基に画像処理部39において処理され、位置ずれ等の異常吸着が認められると、ノズル21の回転駆動や水平移動により第2の部品の位置が補正される(ST31)。正常姿勢で吸着されていると認められるか、ST30において位置補正された第2の部品は、基板3上の各実装点に実装される(ST32)。以後、実装終了となるまで上記のST29〜ST32の実装動作を継続して繰り返し行う。
第1のラインセンサ13による部品認識(ST23)と第2のラインセンサ14による部品認識(ST24)は何れの順番で行ってもよいし同時に行うことも可能である。本実施の形態においては、第1のラインセンサ13は移載ヘッド8に取り付けられているので、移載ヘッド8の移動中の検知作業が可能であり、第1の部品を吸着したノズル21が第2のラインセンサ14や基板3の上方に移動する際に第1のラインセンサ13による部品認識を行うことにより、作業時間が短縮されて効率的な実装作業が実現できる。なお、第1のラインセンサ13を基台1上に配設し、その側方を移載ヘッド8が移動することによっても部品認識を行うことができる。
このように、本発明にかかる電子部品の実装装置および実装方法によれば、実装対象部品が第1の部品の場合と第2の部品である場合とで異なった部品認識方法を行うので、実装対象部品の品種に適した認識方法により部品を認識することができる。また、微小部品である第1の部品については、ノズルの測定高さ精度の良さを利用して多連ノズルの各ノズルに吸着した部品の高さを測定し、また、多連ノズルに吸着された複数の部品を連続して認識することができるので、効率的で精度の高い部品認識が可能となり、不良基板の発生を防止するとともに実装装置の稼動効率の向上を図ることができる。
(実施の形態4)
次に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、上記実施形態3で説明した測定方法、つまり、微小部品以外の一般部品の詳細な測定方法を説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係る部品実装機100を一部切り欠いてその内部をも示す外観斜視図である。
同図に示す部品実装機100は、実装ラインに組み込むことができ、上流から受け取った基板に電子部品を装着し、下流に電子部品を装着済みの基板である回路基板を送り出す装置であり、電子部品を真空吸着により保持する保持手段であるノズルを備え、吸着保持した電子部品を搬送し基板に装着することができるノズルユニット112を複数備えた移載ヘッド110と、その移載ヘッド110を水平面方向に移動させるXYロボット113と、ノズルユニット112に部品を供給する部品供給部115とを備えている。
この部品実装機100は、具体的には、微小部品からコネクタ等の大型の部品まで多様な電子部品を基板に装着することができる部品実装機であり、抵抗やコンデンサなど微小な部品から、QFP(Quad Flat Package)・BGA(Ball Grid Array)等の大型のIC部品を装着することができる高速多機能部品実装機である。
図9は、部品実装機100の主要な内部構成を示す平面図である。
部品実装機100はさらに、各種形状の部品種に対応するためにノズルユニット112に交換自在に取り付けられる交換用のノズルが置かれるノズルステーション119と、基板120を搬送するための軌道を構成するレール121と、搬送された基板120が載置され電子部品が装着される装着テーブル122と、吸着保持した電子部品が不良の場合などに、当該部品を回収する部品回収装置123とを備えている。
また、部品供給部115は、部品実装機100の前後に設けられており、テープ状に収納された電子部品を供給する供給カセットからなる部品供給部115aと、部品の大きさに合わせて間仕切りをつけたプレートに収納される電子部品を供給する部品供給部115bとを有している。
図10は、移載ヘッド110を示す斜視図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
同図に示すように、移載ヘッド110は、複数個の電子部品を部品供給部115から取得し、これらの電子部品を基板上方まで搬送し、基板の所定の位置に前記電子部品を装着するユニットであり、複数個のノズルユニット112と、ノズルユニット112に交換自在に取り付けられる保持手段としてのノズル111と、ノズルユニット112が並べられている方向に移動可能なスキャン測定部130とを備えている。
ノズルユニット112は、電子部品を実装するための単位ユニットであり、ノズル111を上下方向に駆動させる駆動機構や、ノズル111で電子部品を真空吸着するための機構を備えている。
ノズル111は、吸着する電子部品の形状に合致する先端部を備え、当該先端部に真空吸着のための開口部を備えたノズルである。また、前述したようにノズル111は、保持する電子部品に対応して交換可能となされている。
スキャン測定部130は、ノズル111が電子部品を保持した状態で、電子部品の下方及び側方を図10中のX方向に移動することのできるU字状の部材である。
図11は、スキャン測定部130に備えられる投光器131と第1のラインセンサ132を概念的に示す側面図である。
図11に示すようにスキャン測定部130は、当該スキャン測定部130の一方の側壁にスキャン測定部130の内方に向かって発光する投光器131が備えられており、他方の側壁には、前記投光器131からの光を受光する上下方向に延びた第1のラインセンサ132が備えられている。
なお、図11は、図10中に示すX方向から見たスキャン測定部130を模式的に示している。図11中に示される111はノズルであり、Pはノズル111に吸着される電子部品である。
また、スキャン測定部130の下部にはノズル111に保持された電子部品を下方から臨み、当該電子部品を撮像することができる第2のラインセンサ133が備えられている。
第1のラインセンサ132は、上下方向に受光素子が並べられた1次元センサであり、投光器131からの光(平行光線)が遮られた上下方向の位置を高い分解能(例えば10μmの分解能)で特定できる能力を備えている。ただし、第1のラインセンサ132の特性上、上下方向の中央部分の分解能は高く、繰り返し再現性などの信頼性も高いが、第1のラインセンサ132の両端部方向に向かうに従い、分解能及び信頼性は減少する傾向にある。また、本実施形態における第1のラインセンサ132の測定可能範囲は大型の電子部品Pの厚みが測定しきれない程度の範囲である(例えば3mm)。
図12は、部品実装機100の機能構成を示す機能ブロック図である。
同図に示すように、部品実装機100は、電子部品Pの厚みを測定するために電子部品Pを降下させたりスキャン測定部130をスキャンしたりする機構部101と、この機構部101を制御し、電子部品Pの厚みを測定する厚み測定部140とを備えている。
機構部101は、前述の通り、ノズル111を上下させ、当該ノズル111の降下量をデジタル信号として出力するエンコーダ114を備えたノズルユニット112と、第1のラインセンサ132を備えノズルユニット112が配置される方向にスライド移動可能なスキャン測定部130とを備えている。
なお、部品実装機100の機構部101は他の装置等を備えているが、これらの記載は省略している。また、この機構部101は、部品実装機100において基板120に電子部品Pを実装する機能も兼ね備えている。
厚み測定部140は、前記機構部101を制御して、電子部品Pの厚み測定に必要な動作を機構部101に行わせ、機構部101から取得したデータを解析して電子部品Pの厚みを算出し記憶するコンピュータ及びその周辺機器であって、ノズルユニット112に備えられるエンコーダ114からの信号と、スキャン測定部130に備えられる第1のラインセンサ132からの信号とを取得する測定部141と、測定部141で得られた信号などを解析し、電子部品Pの厚みを算出する厚み算出部142と、ノズルユニット112の動きを制御するヘッド制御部143と、スキャン測定部130の動きを制御するスキャン制御部144と、前記二つの制御部143、144を統括する制御統括部145と、記憶部146とを備えている。
ヘッド制御部143は、ノズルユニット112に備えられるノズル111の上下移動を制御する処理部である。具体的には、ヘッド制御部143は、ノズルユニット112に備えられるエンコーダ114からの信号を測定部141を介して取得し、当該信号に基づきフィードバック制御を行い、ヘッド制御部143が取得した設定値、すなわち、ノズル111の降下量の設定値であって、予め入力されており、記憶部146に記憶されている値でノズル111が降下するようにノズル111の上下方向の位置を高精度(例えば1μm)で制御する。
スキャン制御部144は、ノズルユニット112が並べられている方向のスキャン測定部130の移動を制御する処理部であり、スキャン測定部130の静止や移動方向を制御すると共に、第1のラインセンサ132がどのノズルユニット112に保持された電子部品Pを測定しているかを特定する機能を備えている。
当該特定方法としては、例えば、スキャン測定部130の移動量と、スキャン方向における各ノズル111の位置とを関連づけて現在どの部品Pを測定しているかを特定する方法や、もしくは、スキャン測定部130の移動方向で移動すると、どのような順番でどの部品を測定するかで特定する方法などを挙示することができる。
統括制御部145は、記憶部146に記憶されているプログラムに基づき、仮測定時においては、ヘッド制御部143やスキャン制御部144を仮測定可能に制御し、本測定時においては、ヘッド制御部143やスキャン制御部144を本測定可能に制御する処理部である。また、仮測定時の電子部品Pの厚みを判断し、当該判断結果に従い本測定時のヘッド制御部143を制御する。
ここで、仮測定とは、第1のラインセンサ132の測定範囲に部品下面が入るように、ノズル111を降下させて第1のラインセンサ132により部品Pの厚みを仮に測定する工程である。
また、本測定とは、前記仮測定で得られた部品Pの厚みに基づき、部品Pの下面が第1のラインセンサ132の精度の良い部分に位置するように、ノズル111を降下させて第1のラインセンサ132により部品Pの厚みを測定する工程である。
測定部141は、エンコーダ114や第1のラインセンサ132からの信号を受信するインターフェースであり、前記信号を厚み測定部140で扱いやすい信号(実際の厚みを示す信号)に変換する処理部である。
厚み算出部142は、測定部141からの信号などに基づき、電子部品Pの厚みを算出する処理部である。
記憶部146は、厚み測定部140の各処理動作を実行させるためのプログラムを保持している。また、個々の電子部品Pを識別する識別子を備え、厚み算出部142で算出された値を対応する電子部品Pの識別子とひも付けて記憶する。
次に、上記構成の部品実装機100を用いて電子部品Pの厚み(高さ)を測定する測定方法を説明する。
図13は部品実装機100の処理動作の流れを示す図である。
まず、ノズル111は、部品供給部115から電子部品Pを吸着する(S501)。本実施形態に係る移載ヘッド110は最大8個の電子部品Pを吸着保持可能であり、以下は複数個の電子部品Pが吸着されている場合を想定して説明している。
次に、スキャン制御部144は、スキャン測定部130をノズルユニット112が並んでいる方向に移動させ、移載ヘッド110が保持している電子部品Pをスキャンさせる(S502)。
次に、図14に示すように、当該スキャン(S502)によって、第1のラインセンサ132に反応があった場合(S503:Y)、すなわち、投光器131からの光が遮られている部分が存在すると第1のラインセンサ132が反応した場合(S503:Y)、当該第1のラインセンサ132からの信号とノズルユニット112のエンコーダからの信号とに基づき厚み算出部142により電子部品Pの厚みが仮算出され(S506)、記憶部146により仮保持される。
具体的には、投光器131からの光が遮られた場合の第1のラインセンサ132からの信号を測定部141が受信し、測定部141は、図14に示すL2に関連する信号を厚み算出部142に発信する。また、この状態でのエンコーダからの信号も測定部141が受信し、図14に示すL1に関連する信号を厚み算出部142に発信する。なお、L1は、ノズル111の降下量算出の基準となる原点位置(図14中O)から、第1のラインセンサ132が反応したときのノズル111の降下量である。また、L2は、第1のラインセンサ132の上下方向の基準位置(図14中C)から、光が遮られた部分までの距離である。
なお、前記上下方向の基準位置の上下所定範囲が第1のラインセンサ132の感度のいい部分である。
厚み算出部142は、測定部141からのL1及びL2に関連する信号を取得し、あらかじめ設定されている、原点位置Oから第1のラインセンサ132の基準位置Cまでの距離L0(本実施形態の場合6mm)に基づき、電子部品Pの厚みPT=L0−L1−L2の式により電子部品Pの厚みを仮算出する。ここで、L2は、第1のラインセンサ132の両端部近傍で測定された値であり、精度が悪く大きな誤差を含んでいる。
以上の処理動作は、移載ヘッド110が備える全てのノズル111に対して行われる。
一方、ヘッド制御部143は、前記スキャンを行っても第1のラインセンサ132に反応が見られない場合(S503:N)、反応が見られない位置にあるノズル111のみをさらに降下させる(例えばさらに1mm降下)(S504)。
上記処理(S502〜S505)を、ノズル111が保持した全ての電子部品Pの厚みが仮算出されるまで繰り返えす(S507)。
以上により、記憶部146には全電子部品Pの仮算出された厚みが保持される(S506)。
なお、図14は、初期状態ではなく、ある程度ノズル111が降下した後の状態を示している。また、ノズル111を段階的に降下させるのは、全てのノズル111をある位置で静止させた後、側方からスキャン測定部130をスキャンさせて全電子部品Pの厚みを順次測定させるためである。
全部品の厚みが仮算出されると次に、図15に示すように、前記仮算出された値に基づき、それぞれのノズル111が保持している電子部品Pの下端面が第1のラインセンサ132の基準位置(本実施形態の場合、原点位置Oから−6mmの位置)となるようにエンコーダ114からの信号に基づきヘッド制御部143は、ノズルユニット112を制御してノズル111を降下させる(S508)。
次に、スキャン制御部144は、スキャン測定部130を制御して移動させつつ、測定部141は、各電子部品Pの下端面の位置を第1のラインセンサ132で測定する(S509)。
最後に第1のラインセンサ132からの測定値、及び、ノズル111の降下量(エンコーダからの信号)に基づき厚み算出部142は、電子部品Pの厚みを本測定する(S510)。
電子部品Pの厚みの測定方法は、前記と同じであり、PT=L0−L1−L2の式により電子部品Pの厚みが本算出される。ここで、本測定では電子部品Pの下端面が最も精度の良い第1のラインセンサ132の基準位置C近傍に位置する(L2≒0)こととなるため、L2は、より正確であり、小さな誤差しか含まない。なお、図15では、電子部品Pの下端面が基準位置Cに完全に一致しているが、仮算出で発生した誤差分だけ電子部品Pの下端面が基準位置Cから離れる場合がある。
以上のような構成、及び、処理を行えば、比較的小型の第1のラインセンサ132を用いても、ノズル111の降下量に基づき大型から小型まで電子部品Pの厚みを測定することができる。しかも、第1のラインセンサ132の最も感度の良い部分で厚みを本測定するため精度の高い値を得ることができる。
また、この厚み測定は、部品実装機100が行い、その値を部品実装機100が利用することができる。従って、人手が介在することが無いため、省力化が可能でしかもヒューマンエラーを回避することが可能となる。
さらに、当該厚み測定は、部品実装を行う移載ヘッド110で行われるため、厚み測定済みの部品を基板120に実装することも可能となる。従って、厚み測定にのみ供されるような無駄な電子部品Pを発生させることもない。
また、移載ヘッド110にスキャン測定部130を設けたので、移載ヘッド110の移動中に部品Pの厚みを測定できるので、タクトロスにならない。また、小型のスキャン測定部130を備えたことにより、その重量のために移載ヘッド110の位置決め精度が悪化することを避けられるし、かつ、小型のスキャン測定部130でも高精度な部品厚みの測定が可能になる。
加えて、部品供給部115において供給すべき電子部品Pを追加した場合、当該厚み測定を実施すれば、ロット間や電子部品Pメーカー間における厚みのばらつきもがあってもそれを吸収することができるため、より実装精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では厚み測定部140は部品実装機100と一体であるとして説明したが、厚み測定部140は必ずしも部品実装機100と一体である必要はなく、部品実装機100の制御装置として別体であってもかまわない。
また、本測定時に部品Pの下面を基準位置Cにあわせるようにしたが、この限りではない。部品Pの下面が、第1のラインセンサ132の感度の良い部分(範囲内)に位置しているのであれば構わない。
また、部品ライブラリに存在する電子部品Pの厚みデータを仮測定で得られる値に変えて用い、この厚みデータに基づき本測定を行う、すなわち、部品Pの下面を第1のラインセンサ132の感度の良い部分に位置させて厚みを測定しても良い。
また、仮測定においても、段階的にノズル111を降下させるのではなく、部品ライブラリに存在する電子部品Pの厚みデータに基づいて一気にノズル111を降下させるものでもよい。
(実施形態5)
次に、本発明に係る他の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、微小部品についての詳細な測定動作を説明する。
ここで、微小部品とは、0402、0603、1005チップ部品をいい、これらの微小部品は、縦、横、厚さ、斜め等の寸法差が極めて僅少である。その他にも、1608R、2625Rチップ部品のように寸法差は僅少ではないものの部品厚さが0.5mm以下のチップ部品も含まれる。
本実施形態の構成は、前記実施形態と同様であり、また、本実施形態の厚みの測定方法は、前記ステップS507まで同じであるためその説明を省略する。
図16は、ノズル111を降下させるための設定値と実際の降下量との関係を測定するための処理動作を示すフローチャートである。
図17は、ノズル111の降下量を測定している状態を示す側面図である。
同図に示すように、ヘッド制御部143は、ノズル111に電子部品Pが保持されない状態でノズル111を降下させる(S801)。具体的には、第1のラインセンサ132の基準位置Cから所定の距離(例えば0.5mm)上方にノズル111の下端面が位置するように予め設定値をヘッド制御部143に与え(例えば設定値5.5mm)、エンコーダ114からの信号に基づきヘッド制御部143がノズルユニット112を制御してノズル111を降下させる。
次に、スキャン制御部144は、スキャン測定部130を制御して移動させつつスキャンし(S802)、測定部141は、基準位置Cからノズル111の下端面までの距離L2を取得する。
次に、原点位置Oから基準位置Cまでの距離L0(例えば6mm)から、厚み算出部142は、前記取得した距離L2を減算し、実際の降下量L1を算出する(S803)。
以上により与えられた前記設定値と実際の降下量L1との関係が得られる。本実施形態の場合、設定値を5.5mmとすれば、得られるL1はほとんどばらつかないため、繰り返し誤差は降下誤差に比べ遙かに小さくなる。
図18は、本実施形態に係る電子部品Pの厚み測定動作を示すフローチャートである。
電子部品Pの厚みの仮算出が終了(前記実施形態のS507:Y)した後、仮算出された電子部品Pの厚みが所定値以上か否かが判断される(S901)。この所定値は、例えば、ノズル111の実際の降下量と設定値との誤差の5倍〜10倍に設定すればよい。例えば前記誤差が50μmの場合、前記所定値を0.5mmとする。
本実施形態では、微小部品を対象にしているので、S901ではNとなる。一方、微小部品ではない一般部品を対象とした場合は、S901ではYとなる。
なお、S901では、仮測定における測定値を所定値と比較した結果で、判断しているが、部品種によって判断しても良い。例えば、微小部品はS901でNとするが、それ以外はS901でYとする等である。
次に、前記仮算出された厚みが所定値以上の場合(S901:Y)、図19に示すように、前記実施の形態と同様の本測定時の電子部品Pの測定位置となるようにノズル111を降下させる(S902)。
一方、前記仮算出された厚みが所定値未満の場合(S902:N)、図20に示すように、前記ノズル111の降下量を事前に測定した際の設定値(5.5mm)と同じ設定値で電子部品Pを測定位置に降下させる(S903)。
次に、スキャン測定部130をスキャンさせて(S904)、第1のラインセンサ132からの信号を取得する。
最後に電子部品Pの厚みPTを算出する(S905)。算出方法は前記実施形態と同様であり、PT=L0−L1−L2の式により電子部品Pの厚みが算出されるが、仮算出された電子部品Pの厚みが所定値以下の場合、前記式のL1は設定値ではなく、前記電子部品Pを保持せずに測定して得られた値を用いる。
以上の方法を採用すれば、比較的薄い電子部品Pの厚みを測定する場合、L2ばかりでなくL1に含まれる誤差も小さくなる。従って、厚みの測定値であるPTに含まれる誤差を少なくすることができる。