JP4675459B2 - ハロゲン含有ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸無水物および必要に応じて下記の一般式(1)で示される構造を有する化合物からなる加硫促進剤に関する。また、本発明は、酸無水物および必要に応じて一般式(1)で示される芳香族アミン化合物を含有したハロゲン含有ゴム組成物に関するものであり、更に詳しくは加硫することによって、引張強度や伸び、圧縮永久ひずみなどの物性に優れることを特徴とするハロゲン含有ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン含有ゴムの加硫促進剤としては、クロロプレンゴムやクロロスルフォン化ポリエチレンやエピクロルリドヒドリンゴムの場合にはエチレンチオウレアやトリエチルチオウレアなどが、塩素化ポリエチレンの場合には有機過酸化物が使用されている。
しかしながら、本願の酸無水物を単独で、または一般式(1)で規定されるようなアミン化合物と酸無水物を組み合わせて加硫促進剤として用いた例はこれまではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ハロゲン含有ゴムに従来使用されてきたエチレンチオウレアなどの汎用の加硫促進剤に代わる新規な加硫促進剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、従来ハロゲン含有ゴムの加硫促進剤として使用されていなかった酸無水物を単独で、または下記の一般式(1)で規定されるアミン化合物と酸無水物を組み合わせて使用してハロゲン含有ゴムを架橋し得ることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は、酸無水物および必要に応じて下記の一般式(1)で表される構造を有する化合物からなるハロゲン含有ゴム用加硫促進剤である。
【0005】
【化2】
【0006】
(但し、一般式(1)において、R1およびR2は2〜6位のいずれかの位置につく置換基を表し、R1およびR2の内の1つがアルキル基、アミノ基、アルコキシル基またはアルキルアミノ基であり、他の1つが水素またはアルキル基であり、更にそれ以外の2〜6位の置換基が水素、メチル基またはエチル基である。)
【0007】
また、本発明は上記の加硫促進剤を配合してなる加硫可能なハロゲン含有ゴム組成物である。
また、本発明のハロゲン含有ゴムは、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、含塩素アクリルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、ポリクロロプレン、ポリエピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−アリルグリシジル−エーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体からなる群から選ばれた1種または2種以上であることが好ましく、ポリクロロプレンであることが更に好ましい。
また、本発明のハロゲン含有ゴム組成物は、金属酸化物を少なくとも1種添加されていることが好ましい。
更に、本発明は上記のハロゲン含有ゴム組成物を加硫することによって得られる加硫物である。
【0008】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で用いる一般式(1)の構造を有する化合物としては、2〜6位の置換基の1つがアルキル基、アミノ基、アルコキシル基、アルキルアミノ基で他の1つが水素またはアルキル基その他が水素またはアルキル基である化合物である。
【0009】
一般式(1)の構造を有する化合物としては、好ましくは2〜6位の置換基の1つが炭素数1〜10のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基で、他の1つが水素または炭素数1〜10のアルキル基、その他が水素またはメチル基またはエチル基である化合物である。
【0010】
本発明で用いる一般式(1)の構造を有する化合物としては、2−アミノトルエン、3−アミノトルエン、4−アミノトルエン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,4,5−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,3,4,5,6−テトラメチルアニリン、2−エチル−3−ヘキシルアニリン、2−エチル−4−ヘキシルアニリン、2−エチル−5−ヘキシルアニリン、2−エチル−6−ヘキシルアニリン、3−エチル−4−ヘキシルアニリン、3−エチル−5−ヘキシルアニリン、3−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−2−ヘキシルアニリン、5−エチル−2−ヘキシルアニリン、6−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−3−ヘキシルアニリン、5−エチル−3−ヘキシルアニリン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2−(4−アミノフェノール)エチルアミン、2−(3−アミノフェノール)エチルアミン、2−(2−アミノフェノール)エチルアミン、2,3−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、2,3−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−m−フェニレンジアミン、3,4−ジメチル−o−フェニレンジアミン、3,5−ジメチル−o−フェニレンジアミン、3,6−ジメチル−o−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノ−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テトラメチル−1,3−フェニレンジアミン、3,4,5,6−テトラメチル−1,2−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,5−ジエチルトルエン、2,4−ジアミノ−4,6−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−5,6−ジエチルトルエン、2,4−ジアミノ−3,6−ジエチルトルエン、2,5−ジアミノ−3,4−ジエチルトルエン、2,5−ジアミノ−3,6−ジエチルトルエン、2,5−ジアミノ−4,6−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,5−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,6−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,5,6−トリエチルトルエン、2,4−ジアミノ−3,5,6−トリエチルトルエン、2,5−ジアミノ−3,4,6−トリエチルトルエン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、2−メトキシ−3−メチルアニリン、2−メトキシ−4−メチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2−メトキシ−6−メチルアニリン、3−メトキシ−2−メチルアニリン、3−メトキシ−4−メチルアニリン、3−メトキシ−5−メチルアニリン、3−メトキシ−6−メチルアニリン、4−メトキシ−2−メチルアニリン、4−メトキシ−3−メチルアニリン、2−エトキシアニリン、3−エトキシアニリン、4−エトキシアニリン、4−メトキシ−5−メチルアニリン、4−メトキシ−6−メチルアニリン、2−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−4−エチルアニリン、2−メトキシ−5−エチルアニリン、2−メトキシ−6−エチルアニリン、3−メトキシ−2−エチルアニリン、3−メトキシ−4−エチルアニリン、3−メトキシ−5−エチルアニリン、3−メトキシ−6−エチルアニリン、4−メトキシ−2−エチルアニリン、4−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−2,3,4−トリメチルアニリン、3−メトキシ−2,4,5−トリメチルアニリン、4−メトキシ−2,3,5−トリメチルアニリンなどが挙げられる。
【0011】
添加される一般式(1)で表される化合物の量は、0.1〜10質量部、好ましくは0.5質量部〜3質量部の範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書において他に注記したものを除き、全ての部はゴム100質量部あたりの部数(質量部)であり、そして百分率は全組成物の質量による。
【0012】
本発明で用いる酸無水物としては、無水酢酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ニコチン酸、無水プロピオン酸、無水−n−カプロン酸、無水グルタル酸、無水ギ酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリフルオロ酢酸、エンデック酸無水物、n−カプロン酸無水物、無水フェニルセレニン酸、クロレンド酸無水、無水亜セレン酸、無水クロム酸、無水けい皮酸、モノクロロ酢酸無水物、無水タングステン酸、無水チオりん酸、無水−1,8−ナフタル酸、無水バナジン酸、無水プロパン酸、無水ホウ酸、無水モリブデン酸、無水よう素酸、無水イタコン酸、無水りん酸などが挙げられる。
【0013】
上記酸無水物が、無水酢酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸であることが好ましく、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸であることが更に好ましい。
【0014】
添加される酸無水物の化合物の量は、好ましくは0.1〜20質量部、更に1質量部〜10質量部の範囲内であることが好ましく、特に1質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0015】
本発明で用いるハロゲン含有ゴムは、どのような飽和または不飽和の加硫可能なハロゲン含有ポリマーも使用できる、すなわち1〜60質量%のハロゲンを含むものも、本発明の加硫可能な組成物中に採用できる。好ましいものは塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、含塩素アクリルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、ポリクロロプレン、ポリエピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−アリルグリシジル−エーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体からなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物であり、ポリクロロプレンであることが更に好ましい。
【0016】
本発明のハロゲン含有ゴム組成物におけるゴム成分は、ハロゲン含有ゴムを主成分とするものであるが、ハロゲン含有ゴムの他に、必要に応じて天然ゴム、ブチルゴム、BR、NBR、EPDM等を含有することができる。
【0017】
本発明で用いられる金属化合物としてはベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、バリウム、ゲルマニウム、チタニウム、錫、ジルコニウム、鉛、アンチモン、バナジウム、砒素、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、テルル、セレン、鉄、ニッケル、コバルト、オスミウムなどの元素単体および、上記の元素の酸化物および水酸化物が用いられる。
【0018】
好ましくは、上記の金属化合物のうち酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、二酸化アンチモンまたは三酸化アンチモンが用いられ、特に好ましくは酸化マグネシウムまたは酸化亜鉛が用いられる。これらは2種以上を併用して用いることもできる。これらの金属酸化物の添加量は、2〜20質量部が好ましい。
【0019】
本発明のハロゲン含有ゴム組成物は、従来よりゴム、プラスチックに使用されている各種の添加剤を用途に応じて目標物性に到達するように配合することができる。これらの添加剤としては、補強剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤等が挙げられる。
【0020】
補強剤としてはカーボンブラック、シリカ等が挙げられ、ゴムの機械強度を増大させるために用いられる。補強剤の添加量は、一般的には、ゴム100質量部に対して20〜80質量部程度である。また、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の充填剤も必要に応じて添加することができる。
【0021】
軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、石油アスファルト等の石油系軟化剤、ナタネ油、アマニ油、ヒマシ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤が挙げられ、ゴム100質量部に対して40質量部程度まで添加できる。
【0022】
加工助剤としては、ステアリン酸等の脂肪酸が挙げられ、ゴム100質量部に対して0.5〜5質量部程度まで添加できる。
【0023】
老化防止剤としては、アミン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、フェノール系、ワックス等が挙げられ、ゴム100質量部に対して0.5〜10質量部程度添加することができる。
【0024】
本発明のハロゲン含有ゴム組成物は、良好な加工性を有するため、通常のゴムと同様の方法で、ニーダー、バンバリーまたはロール等の混練り機によって混合し、目的に応じた形状に成形加工し成形加硫物を得ることが出来る。具体的には各成分を加硫温度以下の温度で混練し、次いでその混合物を各種形状に成形して加硫して加硫物を得る。加硫時の温度や加硫時間は適宜設定することができる。加硫温度は130〜200℃が好ましく、140〜190℃が更に好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
実施例、比較例及び参考例
表1に示す配合処方により、8インチロールを用いて配合して得たクロロプレン系ゴム組成物の加硫物について物性試験を行ない、結果を表1に示した。
油圧プレスにて160℃×30分加硫した試験片の引張強度、伸び等の力学的特性は、JIS K6251に準拠して行った。硬度は、JIS K6253に準拠してデュロメータ硬さで測定を行つた。また160℃×35分加硫したサンプルの圧縮永久ひずみ試験は、JIS K6262に準拠して行った。(試験条件は100℃×70時間)
更に、加硫促進剤として従来使用されているエチレンチオウレアを使用して同様に試験し、結果を表1に併せて示した。
【0026】
ムーニースコーチ試験は、JIS K6300に準拠して、L形ローターを使用して、試験温度125℃におけるスコーチタイム(t5)と最低ムーニー粘度(Vm)を測定し、表1にそれぞれMLt5、Vmとして示した。
【0027】
貯蔵安定性の評価は、40℃のギヤーオーブン中に7日間放置したサンプルについてムーニースコーチ試験を測定し、貯蔵後のサンプルのムーニー試験で得た値Vm(40℃×7日)として表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
表1で用いたクロロプレンゴム(M−40)は、電気化学工業株式会社製メルカプタン変性タイプである。
【0030】
【発明の効果】
実施例に示した通り、本発明の酸無水物を単独で使用した、または一般式(1)で表される芳香族アミン化合物と酸無水物を組み合わせてなる新規な加硫促進剤を用いて、参考例に示したような従来の加硫促進剤と同等の加硫促進効果が得られ、特に一般式(1)で表される芳香族アミン化合物と酸無水物を組み合わせてなる新規な加硫促進剤を用いた場合には、引張強度、伸び、圧縮永久ひずみ等の力学的特性、貯蔵安定性の特に優れた加硫物が得られる。
Claims (7)
- 酸無水物および4−メトキシアニリンからなることを特徴とするクロロプレンゴム用加硫促進剤。
- クロロプレンゴムに請求項1記載の加硫促進剤を配合してなることを特徴とする加硫可能なクロロプレンゴム組成物。
- クロロプレンゴム100質量部と、酸無水物0.1〜20質量部と、4−メトキシアニリン0.1〜10質量部を配合してなることを特徴とする加硫可能なクロロプレンゴム組成物。
- 酸無水物が、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸からなる群から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項2または3記載のクロロプレンゴム組成物。
- 金属化合物を少なくとも1種添加することを特徴とする請求項2〜4いずれか1項記載のクロロプレンゴム組成物。
- 金属化合物が酸化マグネシウムまたは酸化亜鉛であることを特徴とする請求項5記載のクロロプレンゴム組成物。
- 請求項2〜6のいずれか1項記載のクロロプレンゴム組成物を加硫してなることを特徴とする加硫物。
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