以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。画像形成装置の最上段には原稿読取部10が設けられており、その下側に画像形成部20及び排紙部50が並設され、更にそれらの下側に給紙部50が配置されている。
原稿読取部10に搭載されているADF104は、読取用の原稿をフェイスダウンの状態で積層するための原稿トレイ11a、載置された原稿の幅方向の位置を規制する原稿規制板12a、原稿トレイ11a上の原稿の有無を検知する原稿検知センサ12b,12c、原稿トレイ11aに積層された原稿を最下層から1枚ずつ取り込むための呼込ローラ13a、呼込ローラ13aにより取り込んだ原稿を所定の読取り位置まで搬送する搬送ローラ13b,13c、画像を読取った後に原稿を排紙トレイ16へ排出する排紙ローラ13dにより構成されている。ADF104は、操作パネル110(図3参照)に入力された読取開始指示をトリガーにして原稿の取り込みを開始し、原稿の表面及び裏面に記録された画像を順次的に読み取るように構成されている。
原稿読取部10に搭載されている光学式読取ユニット105は、原稿の裏面に記録された画像を読み取るためのCIS14と、原稿の表面に記録された画像を読み取るために光源ユニット15、ミラーユニット17、結像レンズ18、及びCCDラインセンサ19等を備えている。
CIS14は、例えば、アレイ状に配列されたイメージセンサ及び導光手段(セルフォックスレンズ等のレンズアレイ)、並びに光源(LEDアレイ光源又は蛍光灯)等を備えており、適宜の読取位置に設置されている。
光源ユニット15は、露光ランプから照射される読取用の照明光を凹面のリフレクタにより原稿台11bの適宜の読取り位置に集光させ、原稿からの反射光の光路を、原稿台11bの面に対して反射面を45°に設置したミラーによって90°変更し、ミラーユニット17へと導くように構成されている。ミラーユニット17は、光源ユニット15によって光路を90°変更された光の光路を更に180°変更するために、反射面が相互に直交するように配置された一対のミラーを備えている。ADF104から供給される原稿を読取る場合には、光源ユニット15は所定の読取り位置(CIS14の対面位置)に保持された状態で画像を読み取り、原稿台11bにセットされた原稿を読取る場合には、光源ユニット15を原稿台11bの面に平行に走査させるように構成されている。
ミラーユニット17によって導かれた光は結像レンズ18の作用によりCCDラインセンサ19に結像する。CCDラインセンサ19は入力された光をその光量に応じたアナログ電気信号に変換して出力する。CCDラインセンサ19から出力されたアナログ電気信号は、図に示していないAD変換器によりデジタル信号に変換され、原稿読取時の光源の配光特性、CCDラインセンサ19の感度ムラ等の補正が施された後、画像データとして生成される。生成された画像データは出力用のデータとして画像形成部20に転送される。
画像形成部20は、感光体ドラム23、感光体ドラム23を帯電させる帯電器25、帯電した感光体ドラム23上に潜像を書き込むレーザ書込装置21、感光体ドラム23上の潜像を現像する現像器22、現像されたトナー像を用紙上に転写する転写器26、感光体ドラム23上に残留している現像剤を除去して感光体ドラム23を再生するクリーニングユニット24等からなる電子写真方式のプロセス部を備えており、このプロセス部に用紙を搬送することによって画像形成を行う。
また、画像形成部20は、プロセス部の下方(上流側)に用紙を収容するための給紙カセット30を備えており、用紙搬送路S1の近傍に設けられたピックアップローラ30aによって収容された用紙を1枚ずつ分離給送する。給紙カセット30から分離給送された用紙がプロセス部へ搬送された場合、その用紙はレジストローラ31によって一旦保持される。レジストローラ31は、図に示していないレジスト前検知スイッチの検知信号に基づいて、感光体ドラム23上のトナー像の先端を、用紙の画像形成領域の先端に合わせるタイミングに制御して、感光体ドラム23の回転に合わせてプロセス部へ搬送するようにしている。
更に、画像形成部20の下側には給紙部50が設置されており、複数種の用紙を収容するために給紙カセット51,52,53が設けられている。給紙部50では、前述と同様に、給紙カセット51,52,53が夫々備えるピックアップローラ51a,52a,53aにより収容された用紙を1枚ずつ分離給送し、用紙搬送路S1を通じて画像形成部20のプロセス部へ搬送する。
プロセス部にてトナー像が転写された用紙は、プロセス部の下流側に設置された定着ユニット27へと搬送される。定着ユニット27は、加熱ローラ280及び加圧ローラ290を備えており(図2参照)、これら2つのローラによりトナー像が転写された用紙を挟んで回転させ、加熱ローラ280の熱によりトナー像を用紙上に加熱定着させる。
定着ユニット27によりトナー像を加熱定着させた用紙は、本画像形成装置が備える幾つかの排紙トレイのうち何れか1つに排出される。デフォルトの設定では、排紙すべき用紙が排紙トレイ34に導かれるように搬送ローラ32及び切替ゲート33が制御され、排紙ローラ34aを通じてフェイスダウンの状態で排紙トレイ34上に排出される。一方、利用者が排紙部40に搭載されている排紙トレイ41,42,43に排出することを指定した場合、切替ゲート33を切替えて搬送ローラ35により排紙部40に用紙を導き、排紙トレイ41,42,43の何れかに用紙を排出する。更に、フェイスアップの状態で用紙を排出する場合には用紙の搬送経路を切り替え、排紙ローラ37aを通じて排紙トレイ37上に排出する。
また、用紙の両面に画像形成を行う場合には、搬送ローラ32,35により用紙を一旦把持した後、搬送ローラ32,35を逆方向に回転駆動させて搬送ローラ36により両面原稿搬送路S2へ用紙を導く。そして、両面原稿搬送路S2を介して再び画像形成部20のレジストローラ31へと導き、画像形成部20のプロセス部において用紙の裏面側にトナー像の形成を行う。なお、両面原稿搬送路S2の下端側には手差トレイ38が設置されており、給紙カセット30,51,52,53に収容されていない種類の用紙をピックアップローラ38aにより取り込めるようにしている。
図2は定着ユニット27の構成を説明する断面図である。定着ユニット27は、用紙Pの搬送方向に対して右側に配置されるハウジング270Rと、左側に配置されるハウジング270Lとを備えており、それらの内側に加熱ローラ280、加圧ローラ290、クリーニングローラ291等を配置している。ハウジング270R,270Lは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱硬化樹脂により形成されており、両者を近接させて配置することにより定着ユニット27の外部へ熱が拡散することを防止している。
加熱ローラ280は、芯金280a及び離型層280bにより形成されており、芯金280aの内部に熱源となるヒータ281,281を備えている。芯金280aの素材としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属、又はこれらの合金を採用することができる。本実施の形態では、直径40mm、肉厚1mm程度の中空円筒形状の鉄(STKM)により芯金280aを形成している。ここで、芯金280aの肉厚を1mm程度に設定しているのは熱容量を低く抑えるためである。また、芯金280aの軸長方向の長さは、例えば、A4サイズの用紙の縦の長さと略同一の長さを有している。
離型層280bの素材としては、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオトアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられる。本実施の形態では、PFAとPTFEとの合成物を厚さ25μmとなるように芯金280a上に塗布することにより離型層280bを形成している。
ヒータ281,281はハロゲンヒータによって構成されており、後述するヒータ制御回路130(図3参照)からの制御によって通電されることにより発光し、赤外線を放射する。加熱ローラ280の内周面(すなわち、芯金280aの内周面)は、ヒータ281,281から放射される赤外線により加熱される。また、加熱ローラ280の表面の温度を検出するために、加熱ローラ280の外周面(すなわち、離型層280bの表面)に接触するように設けられたサーミスタ282を備えている。
加圧ローラ290は、用紙搬送路S1を挟んで加熱ローラ280の反対側に、加熱ローラ280に圧接するように配置される。この加圧ローラ290には、加圧用バネのような付勢部材(不図示)によって加熱ローラ280の方向に所定の大きさの付勢力が加えられている、その結果、加熱ローラ280及び加圧ローラ290の圧接部位に所定の定着ニップが形成されている。
加圧ローラ290は、芯金290a、耐熱弾性材層290b、離型層290cにより構成されている。表面の離型層290cは、加熱ローラ280の離型層280bよりも少しだけ離型性が悪い材料により形成されており、そのため、加熱ローラ280の表面に付着しているトナーは定着ニップにおいて加圧ローラ290側に移るように構成されている。また、芯金290aは、加熱ローラ280に用いられる芯金280aと同様の材料により形成されており、耐熱弾性材層290bの素材としてはシリコーンゴムが使用され、本実施の形態では、厚さ6mmのシリコーンゴム(ゴム硬度JIS−A50°)が使用されている。
クリーニングローラ291は、直径15mm程度の中空円筒形状のローラであり、加圧ローラ290の離型層290cよりも離型性が悪いステンレス、鉄等の材料により形成されている。そのため、加圧ローラ290の表面に付着しているトナーは、加圧ローラ290とクリーニングローラ291との当接部位においてクリーニングローラ291側へ移るように構成されている。したがって、各ローラ280,290,291が回転駆動している間は、残留トナーが加熱ローラ280から加圧ローラ290へ移り、加圧ローラ290からクリーニングローラ291へ移ることとなるため、加熱ローラ280及び加圧ローラ290の表面はクリーニングされた状態に保たれる。
このような構成の定着ユニット27に、トナーTが付着した用紙Pが搬送されてきた場合、その用紙Pは定着ユニット27の下面側に設けられた用紙搬送ガイド271L,271Rにより加熱ローラ280と加圧ローラ290との圧接部位(定着ニップ)に導かれる。加熱ローラ280及び加圧ローラ290は、用紙Pを挟持しながら用紙搬送路S1の上流側(すなわち、定着ユニット27の上側)へ搬送することにより熱と圧力とを加え、用紙P上に付着しているトナーTをその用紙P上に定着させる。トナーTが定着した用紙Pは、加熱ローラ280及び加圧ローラ290の表面の離型性により自然に剥がれるか、又は加熱ローラ280及び加圧ローラ290の周面に当接させた状態で配置した分離爪272L,272Rにより剥がされ、用紙搬送路S1の下流側へ搬送される。
図3は画像形成装置の制御系の構成を説明するブロック図である。本実施の形態に係る画像形成装置は、ハードウェア全体を制御するCPU101を備えており、このCPU101にはバス102を介してROM103及びRAM104が接続されている。ROM103は、書き換え可能な半導体メモリにより構成されており、各種ハードウェアを制御するための制御プログラム、制御する際に必要なデータ、テーブル等が予め記憶されている。RAM104は、揮発性の半導体メモリにより構成されており、CPU101が前記制御プログラムを実行して各種ハードウェアの制御を行う際に生成する各種データ、又は外部から入力される各種データが一時的に記憶される。
CPU101が制御すべき各種ハードウェアは入出力インタフェース105を介してバス102に接続されている。入出力インタフェース105に接続されているハードウェアとしては、操作パネル110、通信IF111、ファクシミリモデム112、用紙センサ30c、モータ駆動回路120、ヒータ制御回路130、サーミスタ282等が挙げられる。
操作パネル110は、利用者による操作指示を受付ける操作部110aと、利用者に対して報知すべき情報を表示する表示部110bとにより構成される。操作部110aは各種のハードウェアキーを備えており、機能の切替え操作、プリント枚数、画像形成時の濃度の設定等を受付ける。表示部110bは、液晶ディスプレイ又はLEDディスプレイ等を備えており、画像形成装置の動作状況、操作部110aを通じて入力された設定値等を表示する。また、表示部110bの一部にタッチパネル方式のソフトウェアキーを配置し、利用者による選択操作等を受付けるようにしてもよい。
通信IF111は、所定の通信規格に準拠した通信インタフェースを備えており、外部にパーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Parsonal Digital Assistant)、サーバ装置等の情報処理装置、デジタルスチルカメラのような画像記録装置等を有線又は無線により接続できるようにしている。通信IF111は、接続された情報処理装置又は画像記録装置からのプリントデータ又は画像データを受信すると共に、これらの情報処理装置、画像記録装置へ通知すべき情報を送信する。なお、プリントデータを受信した場合には、そのプリントデータは出力用の画像データに展開された後に画像形成部20のレーザ書込装置21へ転送され、出力用の画像データを受信した場合にはそのまま画像形成部20のレーザ書込装置21へ転送される。
ファクシミリモデム112は、外部のファクシミリ装置を接続するための回線終端回路を備えており、公衆電話回線網を介してファクシミリデータを送受信できるようにしている。そのため、ファクシミリモデム112は、受信したファクシミリデータを復号するための復号回路、送信すべきファクシミリデータを符号化するための符号化回路を備えている。ファクシミリモデム112は、このようなファクシミリデータの送受信、並びに符号化処理及び復号処理を実行する。なお、受信したファクシミリデータを復号して得られる出力用の画像データは画像形成部20のレーザ書込装置21へ転送される。
用紙センサ30cは、給紙カセット30に収容されるべき用紙(すなわち、A4サイズの用紙)の有無を検出するセンサである。用紙センサ30cとしては、機械式センサ、又は光学式センサを利用することができる。機械式センサを用いる場合には、給紙カセット30の下面にセンサを配置し、収容した用紙による荷重が加わる場合にオフ、荷重が加わらない場合にはオンとなるように構成し、オン/オフの状態に基づいて用紙の有無を検出する。また、光学式センサを用いる場合には、光を発光する発光部と収容した用紙による反射光を受光する受光部とからなるセンサを給紙カセット30の下面に設け、反射光の受光の有無に基づいて用紙の有無を検出する。本実施の形態では、この給紙カセット30に収容されている用紙を用いて定着ユニット28のクリーニングを行う。なお、図3には給紙カセット30に設置される用紙センサ30cについてのみ記載したが、他の給紙カセット51,52,53についても同様の用紙センサを設置してもよいことは勿論のことである。
モータ駆動回路120には、ピックアップローラ駆動モータ30b、レジストローラ駆動モータ31a、感光体ドラム駆動モータ23a、定着ローラ駆動モータ285等が接続されている。ピックアップローラ駆動モータ30bは、給紙カセット30に収容されたA4サイズの用紙を1枚ずつ分離給送するためにピックアップローラ30aを回転駆動させる駆動源として機能する。レジストローラ駆動モータ31aは、トナー像による画像を用紙上の適宜位置に転写するためにレジストローラ31を適宜のタイミングで回転駆動させる駆動源として機能する。感光体ドラム駆動モータ23aは、感光体ドラム23を回転駆動させるための駆動源として機能する。定着ローラ駆動モータ285は、加熱ローラ280及び加圧ローラ290を回転駆動させるための駆動源として機能する。本実施の形態では、1つの駆動源により加熱ローラ280及び加圧ローラ290を回転駆動させる構成としたが、各ローラを個別に回転駆動させるために2つの駆動源を設ける構成としてもよい。モータ駆動回路120は、CPU101からの指示に従ってこれらのモータ30b,31a,23a,285を適宜のタイミングで駆動すべく制御するように構成されている。
なお、図3にはピックアップローラ30aを駆動するピックアップローラ駆動モータ30bについてのみ記載したが、他の給紙カセット51,52,53に設けられているピックアップローラ51a,52a,53aについても、これらを駆動する駆動モータが設けられていることは勿論である。
サーミスタ282は前述したように加熱ローラ280の表面に接触するように配置されているため、サーミスタ282の抵抗値を検出することによって加熱ローラ280の表面温度を検出することができる。CPU101は、サーミスタ282の抵抗値を所定のサンプリング周期にて取得した後、ROM103に予め記憶されている変換テーブルに従って温度のデータに変換し、加熱ローラ280の表面温度の情報を取得する。
ヒータ制御回路130は、ヒータ281,281への通電を行うことにより加熱ローラ280を加熱する制御、ヒータ281,281への通電を停止することにより加熱ローラ280を冷却(除熱)する制御を行う。これらの制御は、入出力インタフェース105を通じて入力されるCPU101からの指示に従って行う。
本実施の形態に係る画像形成装置は、加熱ローラ280の温度制御に関して3つのモードを有している。図4は各種モードの状態を管理する管理テーブルの一例を示す概念図であり、図4(a)は加熱ローラ280の温度制御を行う際に用いる温調管理テーブルを示している。温調管理テーブルはROM103の内部に記憶されており、CPU101は必要に応じて温調管理テーブルの読出処理を行い、読出した設定値に従って加熱ローラ280の温度制御(温調)を行う。
本実施の形態では、出力モード、予熱モード、及び夜間ファクシミリモードの3つのモードに応じて加熱ローラ280の温度制御を行う。出力モードは、実際に出力処理を行うときのモードであり、用紙上のトナー像を定着させるために加熱ローラ280を所定温度まで昇温させる。図4に示した例ではトナー像を定着させる際の温度を180℃に設定している。
予熱モードは、出力処理を所定時間行わない場合に省エネルギー化の目的で前記所定温度よりも低い温度に加熱ローラ280を保持させるモードであり、出力処理を行うことなく所定時間が経過した場合には、ヒータ281,281への通電を一時的に停止した後、目的の温度に加熱ローラ280を保持させる。このように、定着処理を行う際の設定温度よりも低い温度に加熱ローラ280を保持させておくことによって、待機時の省エネルギー化を図ることができると共に、出力処理を受付けた場合には短時間で所定温度まで復帰させることが可能となる。本実施の形態では、予熱モードでの設定温度を140℃に設定しており、予熱モードに移行させる時間間隔を5分に設定している。
夜間ファクシミリモードでは、ファクシミリデータ以外の出力が予定されていない夜間でのモードであり、省エネルギー化の目的でヒータ281,281への通電を停止させ、加熱ローラ280の表面温度を室温まで低下させる。本実施の形態では、夜間ファクシミリモードの開始時刻を20時に設定しており、終了時刻を翌朝の8時30分に設定している。なお、完全に通電を停止させることなく、室温よりも少しだけ高い温度に保つように制御する構成であってもよい。
CPU101は、出力処理後の待機時間、又は現在時刻に基づいて何れのモードに属しているかの判定を行い、その判定結果に従って温調管理テーブルのフラグの切替えを行うとともに、判定したモードに応じた温度制御を行う。
なお、図4(a)の温調管理テーブルに記載した設定温度の値は日本国内において一般的に用いられている値であるが、これらの値と異なる設定温度を用いる構成であってもよい。例えば、外国等においては定格電力が異なるため、前述した値と異なる設定温度を用いてもよい。外国等での設定温度の一例は、出力モードが205℃であり、予熱モードが170℃である。また、温調管理テーブルにて管理されている設定温度、スケジュールの変更を受付けるようにしてもよい。例えば、操作パネル110を通じて変更要求を受付け、新たな設定温度、スケジュールが入力された場合、CPU101は、温調管理テーブルの設定内容を変更するためにROM103に対する書込処理を行う。
また、本実施の形態では、前述したような温調管理テーブルに従って加熱ローラ280の温度制御を行うと共に、図4(b)に示したような通紙モード管理テーブルに従って電源投入時の定着ユニット27のクリーニング要否を定めている。そのため、通紙モード管理テーブルでは、クリーニングの実施の要否に関するフラグを管理しており、フラグがオンである場合にはクリーニングを実施し、フラグがオフである場合にはクリーニングを禁止するようにしている。このフラグのオン/オフの切替えは操作パネル110を通じて受付けるようにしており、切替要求を受付けた場合にはCPU101はフラグの切替処理を行う。本実施の形態では、通紙モードがオンの状態がデフォルトとなっており、以下においても通紙モードがオンとなっているものとして説明を行う。
以下、電源オフの状態、予熱モードの状態、夜間ファクシミリモードの各状態から出力モードへ移行させる場合にCPU101が行う制御について説明する。
図5は電源投入後に出力モードへ移行させる場合のCPU101の制御について説明する説明図である。図5(a)は加熱ローラ280の表面温度の時間変化を示しており、図5(b)はヒータ制御回路130に入力される制御信号のタイムチャートを示している。画像形成装置の電源投入後、CPU101はヒータ制御回路130にオン信号を出力し、オン信号が入力されたヒータ制御回路130はヒータ281,281への通電を行う。このとき加熱ローラ280の表面温度は、電源オフの状態での温度T0(室温)から単調増加してゆき、時刻t2で温調管理テーブルで設定されている所定温度T1(本実施の形態の場合、180℃)に達する。加熱ローラ280の表面温度が所定温度T1に達した場合、CPU101は制御を切替えてオン信号の出力を断続的に行い、加熱ローラ280の表面温度を所定温度T1に保持つような制御を行う。
このように、電源投入後、加熱ローラ280の表面温度を室温(T0)から所定温度(T1)まで昇温させる場合には、昇温途中にトナー軟化温度Ts(例えば、50〜70℃)に達することになるため、加熱ローラ280、加圧ローラ290、分離爪272R,サーミスタ282等に付着しているトナーが剥がれやすい状態となる。そこで、本実施の形態では加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達した時点でCPU101がピックアップローラ駆動モータ30bを駆動するための制御信号(オン信号)をモータ駆動回路120へ出力する(図5(c)参照)。CPU101からのオン信号が入力されたモータ駆動回路120はピックアップ駆動モータ31aを駆動させることによってA4サイズの用紙の供給を開始し、供給した用紙によって加熱ローラ280及び加圧ローラ290の表面をクリーニングするようにしている。
また、このときCPU101は加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達する時刻t2よりも前の時刻t1(例えば、加熱ローラ280の表面温度が170℃となる時点)に定着ローラ駆動モータ285を駆動させる制御信号(オン信号)を出力し、時刻t2の時点で供給された用紙が定着ユニット27を通過するまで加熱ローラ280及び加圧ローラ290を回転駆動させる(図5(d)参照)。ここで、加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達する前に回転駆動させるのは、加熱ローラ280及び加圧ローラ290の表面温度を一様にするためである。
なお、本実施の形態では、加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達した時点でクリーニング用の用紙の供給を開始する構成としたが、用紙の供給を開始してから実際にその用紙が定着ユニット27に達するまでにタイムラグがあるため、t2よりも前の時点で用紙の供給を開始する構成であってもよい。
一方、電源投入後に昇温させる場合であっても、用紙詰まり等により一時的に電源をオフにした場合、又は装置のリセット操作を行った場合にはトナーの軟化温度Tsよりも高い温度から昇温させることがある。このときには、トナーが剥がれる現象があまり起こらないため、クリーニング用の用紙の供給を行わないようにしている。
図6は予熱モードから出力モードへ移行させる場合のCPU101の制御について説明する説明図である。図6(a)は加熱ローラ280の表面温度の時間変化を示しており、図6(b)はヒータ制御回路130に入力される制御信号のタイムチャートを示している。外部からのジョブを所定時間受付けていない場合、画像形成装置は予熱モードとなっており、定着ユニット27の加熱ローラ280の表面温度は温調管理テーブルで設定されている温度(T2=180℃)に保持されている。この予熱モードの状態において、原稿の複写を行うために読取開始指示が操作パネル110を通じて入力された場合、通信IF111を通じてプリントデータを受信した場合、又はファクシミリモデム112を通じてファクシミリデータを受信した場合、CPU101は所定温度まで昇温させるためにヒータ制御回路130にオン信号を出力する。オン信号が入力されたヒータ制御回路130はヒータ281,281への通電を行う。例えば、時刻t1から昇温を開始し、時刻t3に所定温度T1に達した場合、CPU101は時刻t3以降において加熱ローラ280の表面温度を所定温度T1に保持するような制御を行う。
このように、予熱モードから出力モードに復帰させる場合には、トナーの軟化温度Tsよりも高い温度T2から昇温を開始させるため、定着ユニット27のクリーニングを行うための給紙は行わず、従って、CPU101はピックアップローラ駆動モータ30bの制御を行わないようにしている(図6(c)参照)。
また、前述と同様に、加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達した時刻t3よりも前の時刻t2にCPU101はモータ駆動回路120へ制御信号を出力し、定着ローラ駆動モータ285を駆動することによって加熱ローラ280及び加圧ローラ290の表面温度を一様に保つようにしているが、加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達した時点での給紙は行わないようにしているため、その時点で定着ローラ駆動モータ285の駆動を停止するように制御を行う(図6(d)参照)。
図7は夜間ファクシミリモードから出力モードへ移行させる場合のCPU101の制御について説明する説明図である。図7(a)は加熱ローラ280の表面温度の時間変化を示しており、図7(b)はヒータ制御回路130に入力される制御信号のタイムチャートを示している。夜間ファクシミリモードではヒータ281,281への通電を停止しているため、加熱ローラ280の表面温度は室温(T0)となっている。時刻t1に外部からのファクシミリデータを受信した場合、CPU101はヒータ制御回路130にオン信号を出力し、オン信号が入力されたヒータ制御回路130はヒータ281,281への通電を行う。このとき加熱ローラ280の表面温度は温度T0から単調増加してゆき、時刻t3で所定温度T1に達する。加熱ローラ280の表面温度が所定温度T1に達した場合、CPU101は制御を切替えてオン信号の出力を断続的に行い、加熱ローラ280の表面温度を所定温度T1に保持するような制御を行う。
そして、受信したファクシミリデータに基づいて出力処理を行うために、CPU101は、所定の給紙カセット(例えば、給紙カセット30)に収容されている用紙を供給するためにモータ駆動回路120へオン信号を出力し、ピックアップローラ駆動モータ(30b)を駆動する(図7(c)参照)。ピックアップローラ駆動モータ(30b)を駆動することによって供給される用紙は画像形成部20に搬送される。画像形成部20は搬送されてきた用紙上にトナーによる画像を転写し、定着ユニット27によってその画像を用紙上に定着する。トナーによる画像を定着させた用紙は所定の排紙トレイ(例えば、排紙トレイ34)に排出される。
また、このときCPU101は加熱ローラ280の表面温度が所定温度(T1)に達する前の時刻t2に定着ローラ駆動モータ285を駆動させるための制御信号を出力(オン信号)し、時刻t3の時点で供給された用紙が定着ユニット27を通過するまで加熱ローラ280及び加圧ローラ290を回転駆動させる(図7(d)参照)。これは、前述と同様に加熱ローラ280及び加圧ローラ290の表面温度を一様にするためである。
このように、夜間ファクシミリモードにおいて外部からファクシミリデータを受信した場合には結果的に電源投入後の制御と同様になるが、定着ユニット27のクリーニングのために用紙を供給しないことが電源投入時の制御と異なる。
以下、画像形成装置による処理について説明する。図8及び図9は電源投入時に画像形成装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。なお、本フローチャートにおいては、通紙モードのフラグがオンに設定されている場合についての説明を行う。画像形成装置の電源が投入された場合(ステップS11)、画像形成装置のCPU101は、まず、ハードウェア各部と通信を行うことによりハードウェア各部の状態に関する情報を取得し、正常に機能しているか否かのシステムチェックを行う(ステップS12)。システムチェックの結果、CPU101は、エラーが発生した箇所があるか否かを判断する(ステップS13)。エラーが発生した箇所があると判断した場合(S13:YES)、CPU101はエラー処理を実行する(ステップS14)。このエラー処理は、操作パネル110の表示部110bにエラーメッセージを表示することによって行う。また、ブザー又は警告灯を設けてエラーが生じている旨を報知する構成であってもよい。
ステップS13において、エラーが発生した箇所がないと判断した場合(S13:NO)、すなわち、全てのハードウェアが正常に機能していると判断した場合、CPU101は、ハードウェア各部のウォームアップを開始する(ステップS15)。このとき、CPU101は、入出力インタフェース105を介してヒータ制御回路130を制御することにより定着ユニット27内の加熱ローラ280を昇温させ、サーミスタ282の出力を所定のサンプリング周期にて取得することにより加熱ローラ280の温度の検出を開始する。そして、CPU101は、ウォームアップ開始時点の加熱ローラ280の温度をRAM104に記憶させる(ステップS16)。
次いで、CPU101は、RAM104に記憶させた温度はトナーの軟化点(軟化温度Ts)以下であるか否かを判断する(ステップS17)。トナーの軟化点についてはROM103に記憶されている制御プログラム内の1つのパラメータとして予め定義しておくものとし、前記制御プログラムを実行することによりステップS16で記憶させた温度との比較を行い、加熱ローラ280の昇温開始時点での温度がトナーの軟化点以下であるか否かを判断する。すなわち、本実施の形態では、CPU101、ROM103、及びサーミスタ282により第1検出手段を構成する。
RAM104に記憶させた温度がトナーの軟化点以下であると判断した場合(S17:YES)、すなわち、加熱ローラ280の昇温開始時点での温度がトナーの軟化点以下であると判断した場合、CPU101は、用紙センサ30cの出力を調べることによりA4サイズの用紙があるか否かを判断する(ステップS18)。A4サイズの用紙がないと判断した場合(S18:NO)、A4サイズの用紙の補充要求を行う(ステップS19)。この補充要求は、操作パネル110の表示部110bにA4サイズの用紙を補充すべき旨のメッセージを表示することによって行う。
ステップS18でA4サイズの用紙があると判断した場合(S18:YES)、又はステップS19でA4サイズの用紙の補充要求を行った後、CPU101は、サーミスタ282の出力値および前述した温調管理テーブルの設定温度を参照することにより、加熱ローラ280の表面温度が所定温度(本実施の形態では180℃)に達したか否かを判断する(ステップS20)。すなわち、本実施の形態では、CPU101、ROM103、及びサーミスタ282により第2検出手段を構成する。所定温度に達していないと判断した場合(S20:NO)、CPU101は、ヒータ281,281への通電を継続させ、所定温度に達するまで待機する。
また、加熱ローラ280の表面温度が所定温度に達したと判断した場合(S20:YES)、CPU101は、用紙センサ30cの出力を調べることによりA4サイズの用紙があるか否かを判断する(ステップS21)。A4サイズの用紙があると判断した場合(S21:YES)、CPU101は、モータ駆動回路120に命令を与えることによりピックアップローラ駆動モータ30bを駆動して、給紙を開始する(ステップS22)。すなわち、ピックアップローラ30aの回転駆動により給紙カセット30から用紙を1枚だけ取出し、取出した用紙を用紙搬送路S1の下流側へ搬送して定着ユニット27内の加熱ローラ280及び加圧ローラ290が形成する定着ニップへと導く。加熱ローラ280の表面層である離型層280b、及び加圧ローラ290の表面層である離型層290cの素材は、一般に使用する用紙よりも離型性が良いものが採用されるため、両ローラ280,290に付着しているトナーは、加熱ローラ280及び加圧ローラ290の定着ニップにて用紙側へ移ることとなる。このように本実施の形態では、電源投入後に加熱ローラ280の表面をトナーの軟化点以下から定着温度まで昇温させる場合、すなわち、加熱ローラ280の表面に残留しているトナーが剥がれやすい状況下にある場合に所定サイズの用紙を通紙させることで加熱ローラ280及び加圧ローラ290のクリーニングを行う。
なお、加熱ローラ280及び加圧ローラ290のクリーニングを効果的に行うために、両ローラ280,290の軸長方向の長さと略同一の幅を持つ用紙を通紙させることが望ましい。そのため、本実施の形態では、A4サイズの用紙を横向きに通紙させるようにしており(図10参照)、幅297mmの範囲を一度にクリーニングできるようにしている。また、通紙させる用紙のサイズはA4サイズに限定されず、A3サイズ、レターサイズ等の用紙を通紙させるようにしてもよい。
次いで、CPU101は通紙モードにより供給した用紙の排紙が完了したか否かを判断する(ステップS23)。排紙が完了したか否かの判断は排紙ローラ34aの近傍に設けた排紙センサ(不図示)の出力に基づいて行う。排紙が完了していないと判断した場合(S23:NO)、CPU101は排紙が完了するまで待機し、排紙が完了したと判断した場合(S23:YES)、後述するステップS25以降の処理を実行する。
また、ステップS21においてA4サイズの用紙が無いと判断した場合(S21:NO)、すなわち、加熱ローラ280及び加圧ローラ290のクリーニングに適した用紙が無いと判断した場合、通紙モードによるクリーニングをキャンセルして処理をステップS25へ移行させる。
一方、ステップS17においてRAM104に記憶させた温度がトナーの軟化点より大きな温度であると判断した場合(S17:NO)、CPU101は、サーミスタ282の出力値および前述した温調管理テーブルの設定温度を参照することにより、加熱ローラ280の表面温度が所定温度に達したか否かを判断する(ステップS24)。所定温度に達していないと判断した場合(S24:NO)、所定温度に達するまで待機し、所定温度に達したと判断した場合(S24:YES)、CPU101は、図に示していないタイマをセットし(ステップS25)、外部からジョブを受付けたか否かを判断する(ステップS26)。通信IF111を通じてプリントデータを受信した場合、又はファクシミリモデム112を通じてファクシミリデータを受信した場合、外部からのジョブを受付けたと判断し(S26:YES)、プリントデータを展開して得られる画像データ、又はファクシミリデータを復号して得られる画像データを画像形成部20のレーザ書込装置21へ転送することにより出力処理を実行する(ステップS27)。出力処理を実行した後、CPU101は処理をステップS25へ戻す。
外部からのジョブを受付けていないと判断した場合(S26:NO)、CPU101は、ステップS25でタイマをセットしてから所定時間(本実施の形態では、5分)が経過したか否かを判断する(ステップS28)。所定時間が経過していないと判断した場合(S28:NO)、CPU101は処理をステップS26へ戻す。また、外部からのジョブを受付けることなく、所定時間が経過したと判断した場合(S28:YES)、CPU101は、画像形成装置のモードを予熱モードへ移行させる(ステップS29)。このとき、CPU101は、入出力インタフェース105を介してヒータ制御回路130を制御することにより、加熱ローラ280の表面温度が予熱モードにおける設定温度(本実施の形態の場合、140℃)となるように調整を行う。すなわち、加熱ローラ280の表面温度がトナーの軟化点よりも大きい温度から昇温させ、所定温度に達した場合には通紙モードによる給紙を行わないようにしている。
なお、前述したフローチャートでは、電源投入後にトナーの軟化点以下の温度から昇温させた後、所定温度に達した場合には、ピックアップローラ駆動モータ30bを駆動して給紙を開始させるようにしたが、予め用意したジョブ(以下、定型ジョブとする)を所定温度に達した時点で実行することによって所定サイズの用紙を供給する構成としてもよい。この場合、通紙モードにより排出する用紙が、クリーニングを行った後の用紙である旨を明示するために、定型ジョブによってその旨の記録を指示するようにしてもよい。図10は定型ジョブの実行により定着ユニット27のクリーニングを行っている様子を示す模式図である。図10に示した例では、クリーニングを行った後の用紙である旨を明示するために、「クリーニングシート!」の文字列を画像形成部20にて記録した後、加熱ローラ280及び加圧ローラ290のクリーニングを行っている。なお、「クリーニングシート」の幅Lは加熱ローラ280及び加圧ローラ290の軸長方向の長さと略同一であり、例えば、A4サイズの縦の長さ(297mm)を有している。
本実施の形態では、電源投入後にトナーの軟化点以下の温度から昇温させた場合、定着ユニット27のクリーニングを行う構成としたが、トナーの軟化点以下から昇温させる場合であっても夜間ファクシミリモードに入っている場合にはクリーニングを行わないようにしている。図11は待機状態において画像形成装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。電源投入後に予熱モードとなり、外部からのジョブを待ち受ける待機状態において、CPU101は、原稿読取部10、通信IF111、ファクシミリモデム112を監視することにより外部からのジョブを受付けたか否かを判断する(ステップS31)。すなわち、原稿読取部10においてコピー元の原稿を読取る場合、通信IF111にて外部からのプリントデータを受信した場合、又はファクシミリモデム112にて外部からのファクシミリデータを受信した場合、外部からのジョブを受付けたと判断して(S31:YES)、出力処理を準備するためにハードウェア各部のウォームアップを開始する(ステップS32)。このとき、CPU101は、ヒータ制御回路130を制御することによりヒータ281,281への通電を行い、加熱ローラ280の表面温度を所定温度(本実施の形態の場合、180℃)まで昇温させるとともに、サーミスタ282の出力を所定のサンプリング周期にて取得することにより加熱ローラ280の温度の検出を開始する。
次いで、CPU101は、サーミスタ282の出力値および温調管理テーブルの設定温度を参照することにより、加熱ローラ280の表面温度が所定温度に達したか否かを判断する(ステップS33)。所定の温度に達していないと判断した場合(S33:NO)、所定の温度に達するまで待機し、所定の温度に達したと判断した場合(S33:YES)、受付けたジョブに基づく出力用の画像データを画像形成部20のレーザ書込装置21へ転送することにより出力処理を実行する(ステップS34)。出力処理を実行した後、CPU101は、電源の遮断、又は装置のリセット操作等に伴う割り込み処理の有無を判断する(ステップS35)。割り込み処理があると判断した場合(S35:YES)、CPU101による温度制御(温調)を停止し(ステップS36)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、割り込み処理がないと判断した場合(S35:NO)、図9のフローチャートにおけるステップS25へ処理を戻し、新たなジョブの受付け、又は予熱モードへの移行を行う。
また、ステップS31において、外部からのジョブを受付けていないと判断した場合(S31:NO)、図に示していないクロックおよび温調管理テーブルを参照することにより、現在時刻が夜間ファクシミリモードの開始時刻であるか否かを判断する(ステップS37)。夜間ファクシミリモードの開始時刻でないと判断した場合(S37:NO)、処理をステップS31へ戻し、夜間ファクシミリモードの開始時刻であると判断した場合(S37:YES)、CPU101は画像形成装置の状態を夜間ファクシミリモードへ移行させる(ステップS38)。夜間ファクシミリモードへ移行させる場合、CPU101は、ヒータ制御回路130を制御してヒータ281,281への通電を停止し、加熱ローラ280の表面温度を室温まで低下させる。
次いで、CPU101は、ファクシミリモデム112を通じてファクシミリデータを受信したか否かを判断する(ステップS39)。ファクシミリデータを受信したと判断した場合(S39:YES)、出力処理を準備するためにハードウェア各部のウォームアップを開始する(ステップS40)。このとき、CPU101は、ヒータ制御回路130を制御することにより加熱ローラ280を昇温させるとともに、サーミスタ282の出力を所定のサンプリング周期にて取得することにより加熱ローラ280の温度の検出を開始する。
次いで、CPU101は、サーミスタ282の出力値および温調管理テーブルの設定温度を参照することにより、加熱ローラ280の表面温度が所定温度に達したか否かを判断する(ステップS41)。所定の温度に達していないと判断した場合(S41:NO)、所定の温度に達するまで待機し、所定の温度に達したと判断した場合(S41:YES)、受信したファクシミリデータを複号して得られる画像データを画像形成部20のレーザ書込装置21へ転送することにより出力処理を実行する(ステップS42)。
出力処理を実行した後、又はステップS39でファクシミリデータを受信していないと判断した場合(S39:NO)、CPU101は、図に示していないクロックおよび温調管理テーブルを参照することにより、現在時刻が夜間ファクシミリモードの終了時刻であるか否かを判断する(ステップS43)。夜間ファクシミリモードの終了時刻でないと判断した場合(S43:NO)、CPU101は処理をステップS39へ戻し、夜間ファクシミリモードの終了時刻であると判断した場合(S43:YES)、CPU101は、ヒータ制御回路130を制御することによりヒータ281,281への通電を行い、加熱ローラ280の表面温度を予熱モードでの設定温度まで昇温させることにより画像形成装置の状態を予熱モードへ移行させる(ステップS44)。予熱モードへ移行させた後、CPU101は、処理をステップS31へ戻す。