JP4673785B2 - 優れた母材および溶接熱影響部靭性を有する高生産性高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

優れた母材および溶接熱影響部靭性を有する高生産性高強度鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は生産性に優れ、かつ靭性の優れた海洋構造物などの高強度厚鋼板とその製造法に関するものである。また、本発明は建築、橋梁、造船、建機といった分野にも広く適用できる。
厚鋼板の高強度化を達成するための手法の一つとして合金元素の添加が挙げられ、例えば、Cをはじめ、Mn、Cu、Ni、Cr、Moなどの合金添加によって高強度厚鋼板が製造されてきた。強度確保に最も効果的かつ安価であるCは、多量添加により溶接性を損なうため0.1%以上の添加は望ましくなく、C以外の合金を添加することで強度を確保している。
Niの添加は、強度確保に有効であるもののコストが高く、所要の強度を得るために必要な量までNiを添加すると大きなコスト増となり、製造コストの観点から望ましくない。また、Cuの添加は凝固割れを回避するためNiの添加が必須となり、Ni添加によるコストアップを招く。CrやMo添加は、加工性を害することがあり、多量の添加は避ける必要がある。
一方、Mnは他の合金元素に比べて安価で焼入性を高めることができるため、強度確保に有効であり、さらに適量の添加で靭性を改善する効果もある。
しかしながら、高濃度のMnが添加された溶鋼は連続鋳造にて製造する際、凝固の際に中心偏析が生じ材質に影響を及ぼすため避けられてきた。近年の製鋼技術の進歩により、中心偏析は改善されているものの、中心偏析に対するMnの認識は変わっておらず、高Mn化は適用されていない。
一方、高強度高靭性鋼板は、焼入れ焼戻しプロセスにて製造されている(例えば、特許文献1参照)。これは、高強度鋼板にて溶接性が要求される場合、低合金化によって溶接性を損なわず強度を確保するためである。特に、溶接熱影響部の低温靭性が要求される海洋構造物用鋼などでは、これまで焼入れ焼戻しプロセスを用いることで合金元素の添加を抑えつつ、強度・靭性バランスを確保する必要があった。
しかしながら、焼入れ焼戻しを適用したプロセスで製造する場合、焼戻しのための製造工期増が必要となるため、最終的な製造工期が長くなるという問題がある。また、プロセス増による製造コストの増加も問題となる。
特公昭61−23715号公報
短工期でかつ低コスト製造できる、溶接性および靭性に優れた570N/mm級の高強度厚鋼板とその製造法を提供することである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 質量%で、
C:0.03〜0.12%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.60〜3.00%、
P:0.015%以下、
S:0.001〜0.010%、
Cu:0.05〜0.30%、
Ni:0.05〜0.60%、
Al:0.001〜0.050%、
Mo:0.05〜0.30%、
Ti:0.005〜0.030%、
Nb:0.005〜0.100%、
N:0.0025〜0.0060%、
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、Mn/Ni≧11.6およびMn/Mo≧8.7を満たすことを特徴とする570N/mm級の高強度高靭性鋼板。
(2) 上記(1)に記載の化学成分を含有し、質量%で、さらに、
V:0.10%以下、
Cr:0.50%以下、
Ca:0.0035%以下、
Mg:0.0050%以下、
B:0.0020%以下
の一種または二種以上を加えたことを特徴とする上記(1)に記載の570N/mm級の高強度高靭性鋼板。
(3) 上記(1)あるいは(2)に記載の化学成分の鋼片を1050℃以上1200℃以下の温度に加熱後、未再結晶温度域において累積圧下率で40%以上の熱間圧延をし、720℃以上776℃以下で熱間圧延を完了させた後、700℃以上734℃以下の温度から5℃/s以上の冷却速度で550℃以下まで冷却することを特徴とする570N/mm級の高強度高靭性鋼板の製造方法。
(4) 上記(3)で得られた鋼板を再加熱し、400〜650℃で焼戻し処理を施すことを特徴とする570N/mm級の高強度高靭性鋼板の製造方法。
本発明によれば生産性を阻害せずに、母材靭性およびHAZ靭性が極めて安定な高水準の鋼材が得られるため、産業上極めて有用なものである。
本発明は、前記した課題を解決するために、比較的合金コストの低いMnを多量添加することによって、低コストでかつ強度靭性を確保しながら、熱処理を適用せずに570N/mm級の高強度高靭性鋼を製造しようとする技術である。
合金元素の一つであるNiは、偏析の影響が小さく高強度化を図ることが可能な元素である。ただし、Mnと同様の強度を得るためにはMn添加量の約2倍のNi添加が必要となる。Niはコストアップを招く元素の一つであり、コストの観点からできる限り添加を避けたい元素である。
一方、高強度材の母材靭性を向上させるため、従来焼入れ焼戻し処理による製造が適用されてきた。これは高強度を得るために焼入れ処理を施した場合、焼入れままでは転位密度の増加に起因した靭性劣化を引き起こすためである。焼戻し処理を行うことで、転位の回復が起こり、母材靭性が向上する。また、焼入れ焼戻し処理による製造は、低合金にて高い強度を得ることができる方法であり、溶接熱影響部の低温靭性を確保する手段として有効である。しかしながら、焼戻し処理は製造工期およびコスト増を引き起こしてしまう。
焼戻し処理をすることなく、高い靭性を確保するための方法として、圧延後の冷却において変態終了後の比較的高温で冷却を停止し、鋼板の顕熱によって焼戻しと同等の効果を得るといった方法が考えられる。そのため、高い焼入性を確保することが高温での冷却停止で強度を確保することがポイントであり、MnやMoといった鋼の焼入性を高める元素の添加が有効と考えられる。しかしながら、Moは非常にコストが高く、コストの観点からできる限り添加を避けたい元素である。本願発明者ら研究により、焼入性を向上させる元素であるMnとMoについて、Mn添加量を増加し適量のMoと複合的に添加することで、多量Moの単独添加と同等の焼入性を確保できることを見出した。このことにより、Mo添加量を最小限に抑えることができる。
さらに、本発明者らは1.6%以上のMn添加によって、溶接熱影響部における粒内フェライト(IGF)の生成が促進し、細粒化が達成できることを見出した。
以上のことから、Mn添加量を1.6%以上に高めることでNiおよびMoの添加を限りなく抑えながら570N/mm級の高強度高靭性厚鋼板を製造することができる。
Mn添加量の増加に伴いMnSの生成能は向上する。粗大なMnSができる場合、破壊の起点となりうるため、避けるべきである。ただし、MnSはIGFの核生成サイトとなることがわかっており、MnSを完全に生成させないようにする必要はない。本願者らの研究により、0.010%以下であれば粗大なMnSの生成が起こらないことを見出した。
また、高Mn化のさらなる効果として、スラブに発生する表面疵の抑制効果が上げられる。これまでは、多量のNi添加鋼で顕在していた問題であり、その観点からNiを低減する必要があった。今回Mn添加量の増加が可能となったため、Niの添加量を減らすことができ、表面疵の発生の抑制を達成することができる。
以下に本発明の限定理由について説明する。まず、本発明鋼材の組成限定理由について説明する。以下の組成についての%は、質量%を意味する。
C:0.03〜0.12%
Cは強度を確保するために必要な元素であり、0.03%以上の添加が必要であるが、多量の添加はHAZの靭性低下を招くおそれがあるために、その上限値を0.12%とする。
Si:0.05〜0.50%
Siは脱酸剤として、また固溶強化により鋼の強度を増加させるのに有効な元素であるが、0.05%未満の含有量ではそれらの効果が少なく、0.50%を超えて含有すると、HAZ靭性を劣化させる。このため、Siは0.05〜0.50%に限定した。
Mn:1.60〜3.00%
Mnは、鋼の強度を増加するため高強度化には有効な元素である。またMnはSと結合してMnSを形成するが、これがIGFの生成核となり溶接熱影響部の有効結晶粒径微細化を促進することで、HAZ靭性の劣化を抑制する。そのため、高い強度を維持しながら溶接熱影響部の靭性を確保するためには1.60%以上の含有量が必要である。ただし、3.00%を超えるMnを添加すると靭性が劣化する。このため、Mnは1.60〜3.00%に限定した。
P:0.015%以下
Pは、粒界に偏析して鋼の靭性を劣化させるので、できるだけ低減することが望ましいが、0.015%まで許容できるため、0.015%以下に限定した。
S:0.001〜0.010%
Sは、主にMnSを形成して鋼中に存在し、圧延冷却後の組織を微細にする作用を有するが、0.010%以上の含有は、粗大なMnSが生成し破壊の起点となるとともに、板厚方向の靭性・延性を低下させる。このため、Sは0.010%以下であることが必須である。また、MnSをIGFの生成核として用い細粒化効果を得るためには、Sは0.001%以上の添加が必要である。そのため、Sは0.001〜0.010%に限定した。
Cu:0.05〜0.30%
Cuは、固溶強化および析出強化にて鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、0.05%以上の含有量が必要であるが、0.30%以上の添加は熱間加工性を低下させるおそれがある。このため、Cuは0.05〜0.30%に限定した。
Ni:0.05〜0.60%
Niは、鋼板の強度確保に有効であり0.05%以上の含有量が必要であるが、非常にコストの高い元素であるため、0.06%以上の添加は大幅なコストアップを招くことになり、さらに表面疵の発生が顕著となる。このため、Niは0.05〜0.60%に限定した。
Al:0.001〜0.050%
Alは、Siと同様に脱酸上必要な元素であるが、0.001%未満では脱酸が充分に行われず、0.050%を超える過度の添加はHAZ靭性を劣化させる。このため、Alは0.001〜0.050%に限定した。
Mo:0.05〜0.30%
Moは、析出強化や固溶強化で鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、0.05%以上の含有量が必要であるが、0.30%以上の添加は加工性を損ないかつ大幅なコストアップとなる。このためMoは0.05〜0.30%に限定した。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、Nと結合して鋼中にTiNを形成させるために、0.005%以上の添加が望まれる。ただし、0.030%を超えてTiを添加すると、脆化要因となるTiCの生成が促進され、靭性を低下させるおそれがある。このため、Tiは0.005〜0.030%に限定した。
Nb:0.005〜0.100%
Nbは、オーステナイトの未再結晶域を拡大して、フェライトの細粒化を促進する効果があるとともに、Nb炭化物を生成し強度の確保を図ることができる元素であるため、0.005%以上が必要である。しかしながら、0.100%を超えるNbを添加すると、Nb炭化物によるHAZ脆化が生じやすくなるため、Nbは0.005〜0.100%に限定した。
N:0.0025〜0.0060%
Nは、Tiと結合して鋼中にTiNを形成させるために、0.0025%以上の添加が必要である。ただし、Nは固溶強化元素としても非常に大きな効果があるため、多量に添加するとHAZ靭性を劣化するおそれが考えられる。そのため、HAZ靭性に大きな影響を与えずTiNの効果を最大限に得られるように、Nの上限を0.0060%とした。
以上が本願発明における必須の元素であり、これらの効果を損なわない範囲で以下の元素を添加することも有効である。
V:0.10%以下、Cr:0.50%以下、Ca:0.0035%以下、Mg:0.0050%以下、B:0.0020%以下の一種または二種以上を添加
V、Crは、いずれも焼入れ性向上に有効な元素であり、TiNによる組織細粒化効果を最適とするため、必要に応じ一種または二種以上を選択して含有できる。なかでもVは、TiNとともにVNでの組織微細化効果を最適化することができ、VNによる析出強化を促進させる効果を有する。また、V、Crの含有によりAr3点が低下することから、フェライト粒の微細化効果がさらに大きくなることが期待される。また、Caを添加により、MnSの形態を制御し、低温靭性がさらに向上させるため、厳しいHAZ特性を要求される場合は選択して添加できる。さらに、Mgは、HAZにおけるオーステナイトの粒成長を抑制し細粒化させる作用があり、その結果HAZ靭性が向上することから、特にHAZ靭性が厳しい場合には選択して添加できる。Bは、少量添加で焼入性を大きく向上させる元素であるため、極厚手鋼板のように冷却速度を確保するのが困難な場合には、選択して添加できる。
一方、0.50%を超えるCrを添加した場合、溶接性や靭性を損ないかつコストも上昇することが考えられ、0.03%を超えるVを添加した場合、溶接性や靭性を損なうため、これらを上限とした。また、0.0035%を超えるCaの添加では、鋼の清浄度を損ない、靭性の劣化や水素誘起割れ感受性を高めてしまうので、0.0035%を上限とした。Mgは0.005%を超える添加では、オーステナイト細粒化効果代が小さくコスト上得策ではないため、0.005%を上限とした。Bは、0.0020%を超える添加では靭性を損なうことから、0.0020%を上限とした。
Mn/Ni≧11.6とする理由については、Mn/Ni<11.6の場合では、今回指定したMn添加量の範囲でNi添加量が過剰となり、逆に靭性劣化を引き起こすからである。本願発明者らの研究により、Mn/Ni=11.6が本願のMn添加量範囲に対して靭性を確保できる最大のNi添加量であることを見出した。上記理由のため、Mn/Ni≧11.6とした。
Mn/Mo≧8.7とする理由については、Mn/Mo<8.7の場合では、今回指定したMn添加量の範囲でMo添加量が過剰となり、焼入性過剰による大量の島状マルテンサイト(MA)の生成が靭性劣化を引き起こすからである。本願発明者らの研究により、Mn/Mo=8.7が本願のMn添加量範囲に対してMAの生成を抑えることができる最大のMo添加量であることを見出した。上記理由のため、Mn/Mo≧8.7とした。
次に、本発明鋼材の製造条件限定の理由について説明する。
加熱温度については、1050℃以上1200℃以下の温度であることが必要である。この理由は、1050℃未満の加熱では、凝固中に生成した靭性に悪影響を及ぼす粗大な介在物が溶けずに残る可能性があるためである。また、高温加熱すると冷却速度を制御して造り込んだ析出物を再溶解させてしまう可能性があるからである。上述を踏まえると、相変態を完了させる意味での加熱温度としては1200℃以下で十分であり、そのときに生じると考えられる結晶粒の粗大化も、あらかじめ防ぐことができるからである。以上より、加熱温度を1050℃以上1200℃以下に限定した。
未再結晶温度域において累積圧下率で40%以上の熱間圧延を行う必要がある。その理由として、未再結晶温度域における圧下量の増加は、圧延中のオーステナイト粒の微細化に寄与し、結果としてフェライト粒を微細化し機械的性質を向上させる効果があるからである。このような効果は、未再結晶域での累積圧下率が40%以上で顕著になる。このため、未再結晶域での累積圧下量を40%以上に限定した。
また、鋼片は800℃以上で熱間圧延を完了させた後、720℃以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で400℃以下まで冷却する必要がある。700℃以上から冷却する理由として、700℃未満より冷却を開始すると焼入れ性の観点から不利となり、所要の強度が得られない可能性があるからである。また、冷却速度が5℃/s未満では、均一なミクロ組織を有した鋼を得ることが期待できないため、結果的に加速冷却の効果が小さい。また、一般に400℃以下まで冷却すれば、変態は充分に完了している。さらに、本発明鋼においては、5℃/s以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却を続けた場合でも、得られた鋼板には十分な靭性を確保できるため、特に焼戻し処理を施さずに鋼材として使用できる。上記の理由により、鋼片は720℃以上で熱間圧延を完了させた後、700℃以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で400℃以下まで冷却することに限定した。また、夫々の上限温度は、実施例では熱間圧延完了(終了)温度の上限が776℃、冷却開始温度の上限が734℃である。
以上は焼戻しを必要としない前提で述べてきたが、特に、高靭性が要求される場合は、更に焼戻し処理を行っても良い。焼戻し処理を施す場合は、焼戻し処理温度は400〜650℃であることが必要である。焼戻し処理を行う場合、焼戻し処理温度が高温になるほど結晶粒成長の駆動力が大きくなるが、650℃を超えるとそれが顕著になる。また、400℃未満の焼戻し処理では、靭性改善効果が十分に得られないことが考えられる。これらの理由により、熱間圧延後に焼戻し処理をする場合は、400〜650℃の焼戻し処理条件にて行うことに限定した。
次に、本発明の実施例について述べる。
表1の化学成分を有する鋳片を表2に示す条件にて熱間圧延を行い鋼板とした後、機械的性質を評価するために試験を行った。引張試験片は各鋼板の板厚の1/4部位からJIS4号試験片を採取し、YS(0.2%耐力)、TS、Elを評価した。母材靭性は各鋼板の板厚1/4部位よりJIS2mmVノッチ試験片を採取し、−40℃でシャルピー衝撃試験を行い得られる衝撃吸収エネルギー値にて評価した。HAZ靭性は、溶接入熱5kJ/mm相当の再現熱サイクル試験を実施した鋼材を、−40℃でのシャルピー衝撃試験により得られる衝撃吸収エネルギー値によって評価した。
Figure 0004673785
Figure 0004673785
表3は、各鋼における機械的性質をまとめたものを示す。鋼1〜20−aは本発明の例である鋼板について示したものである。表1および表2から明らかなようにこれらの鋼板は化学成分と製造条件の各要件を満足しており、表3に示すように、母材特性は優れ、5kJ/mmの大入熱溶接においても−40℃でのHAZのシャルピー衝撃エネルギー値は150J以上と高靭性を有していることがわかる。また、規定範囲内であれば、V、Cr、Ca、Mg、Bを添加しても、焼戻し処理を施しても良好な靭性が得られることがわかる。
Figure 0004673785
一方、鋼1〜20−bは表1および表2から明らかなように化学成分は満足しているものの、製造条件にて本発明から逸脱したものである。これらの鋼は、それぞれ再加熱温度(鋼6−b、鋼10−b、鋼12−b、鋼14−b、鋼17−b)、累積圧下率(鋼5−b、鋼9−b)、圧延終了温度(鋼3−b、鋼18−b)、冷却開始温度(鋼1−b、鋼8−b、鋼11−b、鋼13−b、鋼16−b、鋼19−b)、冷却速度(鋼4−b、鋼15−b)、焼戻し温度(鋼2−b、鋼7−b、鋼20−b)の条件が発明のものと異なっているため、母材強度あるいは母材靭性が劣っている。
さらに、鋼21〜40は表1から明らかなように、化学成分について本発明から逸脱した比較例を示したものである。これらの鋼は、それぞれC量(鋼21)、Si量(鋼22)、Mn量(鋼23、38)、P量(鋼24)、S量(鋼25)、Cu(鋼26)、Ni(鋼27)、Mo量(鋼29)、Al量(鋼28)、Ti量(鋼30)、Nb量(鋼31)、V量(鋼33)、Cr量(鋼34)、Ca量(鋼35)、Mg量(鋼36)、B量(鋼37)、N量(鋼32)、Mn/Ni(鋼27、鋼39)、Mn/Mo(鋼40)の条件が発明のものと異なっているため、母材靭性およびHAZ靭性が劣っているといえる。また、鋼27は多量のNiを含んでいるため、スラブでの表面疵が発生した。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.12%、
    Si:0.05〜0.50%、
    Mn:1.60〜3.00%、
    P:0.015%以下、
    S:0.001〜0.010%、
    Cu:0.05〜0.30%、
    Ni:0.05〜0.60%、
    Al:0.001〜0.050%、
    Mo:0.05〜0.30%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Nb:0.005〜0.100%、
    N:0.0025〜0.0060%
    を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、Mn/Ni≧11.6およびMn/Mo≧8.7を満たすことを特徴とする570N/mm級の高強度高靭性鋼板。
  2. 質量%で、
    V:0.10%以下、
    Cr:0.50%以下、
    Ca:0.0035%以下、
    Mg:0.0050%以下、
    B:0.0020%以下
    の一種または二種以上を更に加えたことを特徴とする請求項1に記載の570N/mm級の高強度高靭性鋼板。
  3. 請求項1あるいは請求項2に記載の化学成分の鋼片を1050℃以上1200℃以下の温度に加熱後、未再結晶温度域において累積圧下率で40%以上の熱間圧延をし、720℃以上776℃以下で熱間圧延を完了させた後、700℃以上734℃以下の温度から5℃/s以上の冷却速度で550℃以下まで冷却することを特徴とする570N/mm級の高強度高靭性鋼板の製造方法。
  4. 請求項3で得られた鋼板を再加熱し、400〜650℃で焼戻し処理を施すことを特徴とする570N/mm級の高強度高靭性鋼板の製造方法。
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