JP4673785B2 - 優れた母材および溶接熱影響部靭性を有する高生産性高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
C:0.03〜0.12%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.60〜3.00%、
P:0.015%以下、
S:0.001〜0.010%、
Cu:0.05〜0.30%、
Ni:0.05〜0.60%、
Al:0.001〜0.050%、
Mo:0.05〜0.30%、
Ti:0.005〜0.030%、
Nb:0.005〜0.100%、
N:0.0025〜0.0060%、
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、Mn/Ni≧11.6およびMn/Mo≧8.7を満たすことを特徴とする570N/mm2級の高強度高靭性鋼板。
V:0.10%以下、
Cr:0.50%以下、
Ca:0.0035%以下、
Mg:0.0050%以下、
B:0.0020%以下
の一種または二種以上を加えたことを特徴とする上記(1)に記載の570N/mm2級の高強度高靭性鋼板。
Cは強度を確保するために必要な元素であり、0.03%以上の添加が必要であるが、多量の添加はHAZの靭性低下を招くおそれがあるために、その上限値を0.12%とする。
Siは脱酸剤として、また固溶強化により鋼の強度を増加させるのに有効な元素であるが、0.05%未満の含有量ではそれらの効果が少なく、0.50%を超えて含有すると、HAZ靭性を劣化させる。このため、Siは0.05〜0.50%に限定した。
Mnは、鋼の強度を増加するため高強度化には有効な元素である。またMnはSと結合してMnSを形成するが、これがIGFの生成核となり溶接熱影響部の有効結晶粒径微細化を促進することで、HAZ靭性の劣化を抑制する。そのため、高い強度を維持しながら溶接熱影響部の靭性を確保するためには1.60%以上の含有量が必要である。ただし、3.00%を超えるMnを添加すると靭性が劣化する。このため、Mnは1.60〜3.00%に限定した。
Pは、粒界に偏析して鋼の靭性を劣化させるので、できるだけ低減することが望ましいが、0.015%まで許容できるため、0.015%以下に限定した。
Sは、主にMnSを形成して鋼中に存在し、圧延冷却後の組織を微細にする作用を有するが、0.010%以上の含有は、粗大なMnSが生成し破壊の起点となるとともに、板厚方向の靭性・延性を低下させる。このため、Sは0.010%以下であることが必須である。また、MnSをIGFの生成核として用い細粒化効果を得るためには、Sは0.001%以上の添加が必要である。そのため、Sは0.001〜0.010%に限定した。
Cuは、固溶強化および析出強化にて鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、0.05%以上の含有量が必要であるが、0.30%以上の添加は熱間加工性を低下させるおそれがある。このため、Cuは0.05〜0.30%に限定した。
Niは、鋼板の強度確保に有効であり0.05%以上の含有量が必要であるが、非常にコストの高い元素であるため、0.06%以上の添加は大幅なコストアップを招くことになり、さらに表面疵の発生が顕著となる。このため、Niは0.05〜0.60%に限定した。
Alは、Siと同様に脱酸上必要な元素であるが、0.001%未満では脱酸が充分に行われず、0.050%を超える過度の添加はHAZ靭性を劣化させる。このため、Alは0.001〜0.050%に限定した。
Moは、析出強化や固溶強化で鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、0.05%以上の含有量が必要であるが、0.30%以上の添加は加工性を損ないかつ大幅なコストアップとなる。このためMoは0.05〜0.30%に限定した。
Tiは、Nと結合して鋼中にTiNを形成させるために、0.005%以上の添加が望まれる。ただし、0.030%を超えてTiを添加すると、脆化要因となるTiCの生成が促進され、靭性を低下させるおそれがある。このため、Tiは0.005〜0.030%に限定した。
Nbは、オーステナイトの未再結晶域を拡大して、フェライトの細粒化を促進する効果があるとともに、Nb炭化物を生成し強度の確保を図ることができる元素であるため、0.005%以上が必要である。しかしながら、0.100%を超えるNbを添加すると、Nb炭化物によるHAZ脆化が生じやすくなるため、Nbは0.005〜0.100%に限定した。
Nは、Tiと結合して鋼中にTiNを形成させるために、0.0025%以上の添加が必要である。ただし、Nは固溶強化元素としても非常に大きな効果があるため、多量に添加するとHAZ靭性を劣化するおそれが考えられる。そのため、HAZ靭性に大きな影響を与えずTiNの効果を最大限に得られるように、Nの上限を0.0060%とした。
V、Crは、いずれも焼入れ性向上に有効な元素であり、TiNによる組織細粒化効果を最適とするため、必要に応じ一種または二種以上を選択して含有できる。なかでもVは、TiNとともにVNでの組織微細化効果を最適化することができ、VNによる析出強化を促進させる効果を有する。また、V、Crの含有によりAr3点が低下することから、フェライト粒の微細化効果がさらに大きくなることが期待される。また、Caを添加により、MnSの形態を制御し、低温靭性がさらに向上させるため、厳しいHAZ特性を要求される場合は選択して添加できる。さらに、Mgは、HAZにおけるオーステナイトの粒成長を抑制し細粒化させる作用があり、その結果HAZ靭性が向上することから、特にHAZ靭性が厳しい場合には選択して添加できる。Bは、少量添加で焼入性を大きく向上させる元素であるため、極厚手鋼板のように冷却速度を確保するのが困難な場合には、選択して添加できる。
加熱温度については、1050℃以上1200℃以下の温度であることが必要である。この理由は、1050℃未満の加熱では、凝固中に生成した靭性に悪影響を及ぼす粗大な介在物が溶けずに残る可能性があるためである。また、高温加熱すると冷却速度を制御して造り込んだ析出物を再溶解させてしまう可能性があるからである。上述を踏まえると、相変態を完了させる意味での加熱温度としては1200℃以下で十分であり、そのときに生じると考えられる結晶粒の粗大化も、あらかじめ防ぐことができるからである。以上より、加熱温度を1050℃以上1200℃以下に限定した。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.03〜0.12%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.60〜3.00%、
P:0.015%以下、
S:0.001〜0.010%、
Cu:0.05〜0.30%、
Ni:0.05〜0.60%、
Al:0.001〜0.050%、
Mo:0.05〜0.30%、
Ti:0.005〜0.030%、
Nb:0.005〜0.100%、
N:0.0025〜0.0060%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、Mn/Ni≧11.6およびMn/Mo≧8.7を満たすことを特徴とする570N/mm2級の高強度高靭性鋼板。 - 質量%で、
V:0.10%以下、
Cr:0.50%以下、
Ca:0.0035%以下、
Mg:0.0050%以下、
B:0.0020%以下
の一種または二種以上を更に加えたことを特徴とする請求項1に記載の570N/mm2級の高強度高靭性鋼板。 - 請求項1あるいは請求項2に記載の化学成分の鋼片を1050℃以上1200℃以下の温度に加熱後、未再結晶温度域において累積圧下率で40%以上の熱間圧延をし、720℃以上776℃以下で熱間圧延を完了させた後、700℃以上734℃以下の温度から5℃/s以上の冷却速度で550℃以下まで冷却することを特徴とする570N/mm2級の高強度高靭性鋼板の製造方法。
- 請求項3で得られた鋼板を再加熱し、400〜650℃で焼戻し処理を施すことを特徴とする570N/mm2級の高強度高靭性鋼板の製造方法。
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