JP4673494B2 - 中子支持金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳造の際に中子をキャビティ内に支える中子支持金具(ケレン,chaplet)に関する。以下、中子支持金具を「中子用ケレン」と記す。
【0002】
【従来の技術】
鋳造品がカムシャフトのような長尺物の中空製品の場合、鋳造品を鋳造する際に棒状中子を使用する。この棒状中子は比較的長尺物なので、鋳型のキャビティ内に棒状中子をセットするためには、棒状中子の先端を中子用ケレンで支える必要がある。
この中子用ケレンとして、例えば特開昭63−101043号公報の「中子用ケレン構造」が提案されている。同公報の第2図を以下に再掲して、この技術を説明する。なお、符号は新たに振り直した。
【0003】
図9は従来の中子用ケレンの斜視図であり、中子用ケレン100で棒状中子103を支えた状態を示す。
中子用ケレン100のキャップ部101を棒状中子103の先端103aに被せ、脚部102・・・(・・・は複数を示す)の先端(斜線///で示した部分)を鋳型105の下型106に載せ、鋳型105を型締めすることにより下型106及び上型(図示しない)で脚部102・・・の先端を挟み込んで中子用ケレン100を支持する。
このため、中子用ケレン100で棒状中子103の先端103aを支えることができる。
【0004】
一方、棒状中子103の基端には幅木を備え、この幅木を鋳型105で支持する。従って、棒状中子103の先端103a及び基端を支持することができるので、棒状中子103を鋳型105のキャビティ内に支えることができる。
次に、キャビティに溶湯を充填して溶湯が凝固した後、鋳型105を型開きして鋳造品を取り出す。次いで、鋳造品から棒状中子103を除去することにより中空状の製品を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図10は従来の中子用ケレンを用いて製造した鋳造品の斜視図である。
図9のキャビティに注湯するわけであるから、得られる鋳造品は図10の通りとなる。すなわち、鋳造品108に鋳ぐるまれた中子用ケレン100の一部(脚部102・・・の先端(斜線///で示した部分))が角(つの)の様に突出した状態となる。
そこで、突出した脚部102・・・を次工程で切除する。この様に、従来の中子用ケレン100では、鋳造工程の次に突起の切除工程が必要となり、鋳造品の製造コストが嵩むことになる。
【0006】
また、中子用ケレン100は、一対のケレン分割体100a,100bを一体に組み合わせたものである。従って、中子用ケレン100を製造するためには、ケレン分割体100a,10bを接合部107で溶接して一体物にする必要がある。この結果、中子用ケレン100の製造工程が複雑になり生産性を高め難い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、鋳造品から突起を切除する工程を省くことができ、かつ中子用ケレンの製造工程を簡単にすることができる技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、鋳型のキャビティ内に配置する棒状中子を支えるための中子支持金具において、プレス成形により得られた絞り成形部の周壁の一部を複数の切欠きとして除去し、残部を突出壁として残すことにより前記棒状中子の先端部に被せることを可能に形成したキャップ部を備え、前記突出壁から放射状に鋳型のキャビティ壁面まで延ばした脚部を備えたことを特徴とする。
【0009】
中子支持金具はキャップ部と脚部とを備え、脚部をキャビティ壁面までしか延ばさないようにしたので、キャップ部及び脚部の全体を鋳造品に鋳ぐるむことができる。このため、脚部が鋳造品から突出することを防ぐことができる。従って、鋳造工程後に突出部の切除工程を不要にすることができる。
【0010】
また、中子支持金具をキャップ部(突出壁)に脚部を備えた簡単な構成にした。このため、キャップ部及び脚部を一体にプレス成形することが可能である。すなわち、先ずキャップ部とキャップ部から外側に広がる鍔部とを一体にプレス成形し、次に鍔部の一部を切断して脚部を形成することができる。
このように、中子支持金具を一体成形することで、例えば溶接による接合工程を省くことができる。
【0011】
ここで、万が一棒状中子の先端から中子支持金具が脱落した場合、鋳造工程を中断して棒状中子の先端に中子支持金具を被せる必要があり、そのことが生産性を高める妨げになっていた。
そこで請求項1では、キャップ部の周壁に複数の切欠きを設けることで切欠きと切欠きとの間に突出壁を形成した。
【0012】
この突出壁は先端が自由端の状態なので、突出壁を半径方向の内側に折り曲げることができ、かつある程度の弾性変形が可能になる。よって、例えば突出壁を半径方向の内側に折り曲げることで、突出壁を弾性変形させながら棒状中子の先端に比較的きつく嵌め込ませることができる。従って、棒状中子の先端から中子支持金具が脱落することを防止できる。
【0013】
請求項2は、突出壁の内面に径方向内方に突出した凸部を設けたことを特徴とする。
周壁の内面に径方向内方に突出した凸部を設けることで、周壁を半径方向の内側に向けて折り曲げなくても、凸部を棒状中子の先端にある程度きつく嵌め込むことができる。このため、請求項1と比較してより簡単に棒状中子の先端から中子支持金具が脱落することをより確実に防ぐことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)で棒状中子を支えた状態を示す斜視図であり、鋳型10のキャビティ15(図3に示す)内に配置する棒状中子20を中子支持金具(中子用ケレン)30で支えた状態を示す。なお、中子用ケレン30は図2で詳しく説明する。
【0015】
鋳型10は、固定型11及び可動型13をけい砂で形成した砂型で、可動型13を移動することで型開きや型締めを実施し、矢印の如く型締めすることにより固定型11のキャビティ壁面11a及び可動型13のキャビティ壁面13aでキャビティ15を形成するものである。
棒状中子20は、鋳型10と同様にけい砂で形成した長尺な円柱体であって、先端部21(図2に示す)に中子用ケレン30を被せることが可能で、基端の近傍に幅木23を形成した中子である。
【0016】
このため、棒状中子20の先端部21を中子用ケレン30で支持するとともに幅木23を鋳型10で支持することにより、中子用ケレン30をキャビティ20内に支えることができる。
幅木23は、その上端に位置決め孔24を備えるとともに下端に位置決め孔26(図5(b)に示す)を備える。
【0017】
幅木23の位置決め孔26を固定型11の突起17(図5(b)に示す)に嵌め込むことにより、棒状中子20を所定位置に位置決めすることができる。加えて、幅木23の位置決め孔24に可動型13の突起14を挿入することにより、棒状中子20をより正確に所定位置に位置決めすることができる。
なお、棒状中子20の先端部21については図2でさらに詳しく説明する。
【0018】
図2は本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を棒状中子から外した状態を示す斜視図である。
棒状中子20は、先端部21に小径部21aを備え、この小径部21aに一定間隔をおいて3個の隆起部22・・・(2個のみを図示する)を形成したものである。小径部21aの外径D1を中子用ケレン30の内径D2(図3に示す)より僅かに小さく設定し、隆起部22の外径D3(すなわち、棒状中子20の大径部25の外径)を中子用ケレン30の外径D4(図3も参照)と同じ大きさ、若しくは外径D4より僅かに大きく設定した。
【0019】
中子用ケレン30は、棒状中子20の先端部21(すなわち、小径部21a)に被せるキャップ部31を備え、このキャップ部31から放射状に鋳型10のキャビティ壁面11a,13a(図1に示す)まで延ばした3個の脚部37・・・を備え、キャップ部31を構成する周壁32の開口端33に3個(複数)の切欠き34・・・を設けることにより、切欠き34と切欠き34との間に突出壁35を形成したもので、表面(キャップ部31の内面も含む)に錫(Sn)メッキを施した部材である。
【0020】
周壁32に3個の切欠き34・・・を設けることにより、突出壁35を3個備えることになる。各々の突出壁35・・・の先端(すなわち、開口端33)には、それぞれ脚部37・・・を備える。
各々の突出壁35・・・は、その基端部35aにおいて片持ち支持の状態で支えている。よって、各々の突出壁35・・・を基端部35a・・・で半径方向内方に僅かに折曲げることにより、棒状中子20の小径部21aに対する周壁32(すなわち、3個の突出壁35・・・)の嵌合状態を脱落しないように調整することができる。
【0021】
キャップ部31は前述したように、その内径D2を小径部21aの外径D1より僅かに大きく設定し、その外径D4を隆起部22の外径D3と同じ大きさ、若しくは隆起部22の外径D3より僅かに小さく設定した。
よって、各々の突出壁35・・・を基端部35a・・・で半径方向内方に僅かに折曲げた状態で、キャップ部31を先端部21の小径部21aに嵌め込むとともに、切欠き34・・・を隆起部22・・・に差込むことにより、中子用ケレン30を棒状中子20の先端部21に被せることができる。
この際に、キャップ部31の底部に備えた底36が、先端部21の先縁21bに接触、若しくは近接した状態になる。
【0022】
各々の突出壁35・・・を基端部35a・・・で半径方向内方に僅かに折曲げることにより、各々の突出壁35・・・を弾性変形させながら、中子用ケレン30を棒状中子20の先端部21にきつく嵌め込むことができる。
よって、中子用ケレン30を棒状中子20の先端部21から落下することを防ぐことができる。
【0023】
ここで、周壁に突出壁35・・・を設けていない場合には、周壁を棒状中子20の小径部21aに嵌込み可能にするとともに脱落を防止するために、周壁は棒状中子20に対して微妙な嵌め合いが要求される。よって、周壁を精度よく形成する必要があり、そのことが中子用ケレンのコストを下げる妨げになる。
【0024】
これに対して、中子用ケレン30は突出壁35・・・を設けているので、周壁32の精度を比較的ラフにしても、突出壁35・・・を折曲げたり、突出壁35・・・を弾性変形させることで、周壁32を棒状中子20の小径部21aに脱落しないように嵌め込むことができる。よって、中子用ケレン30のコストを抑えることができる。
【0025】
さらに、切欠き34・・・を隆起部22・・・に差込むことにより、中子用ケレン30が棒状中子20に対して回転することを防いで、所定位置に位置決めすることができる。
例えば、切欠き34・・・を隆起部22・・・に差込むだけで、図1に示すように3本の脚部37・・・のうちの1本が上方を向いた状態で、幅木23の位置決め孔24,26がそれぞれ上下方向を向くように棒状中子20に対して中子用ケレン30を所定位置に位置決めすることができる。よって、中子用ケレン30を棒状中子20に簡単に嵌め込むことができる。
【0026】
これに対して、中子用ケレン30や棒状中子20に切欠き34・・・や隆起部22・・・がない場合には、幅木23の位置決め孔24,26に対して脚部37・・・を所定位置にセットすることは難しい。よって、中子用ケレン30を棒状中子20に嵌め込む作業に手間がかかる。
【0027】
加えて、キャップ部31の底36が、棒状中子20の先縁21bに接触、若しくは近接した状態になるので、キャップ部31に冷金としての役割を付加することができる。
【0028】
脚部37・・・は、前述したように各々の突出壁35・・・の先端(すなわち、開口端33)から放射状に鋳型10のキャビティ壁面11a,13a(図1に示す)まで延ばしたものである。
脚部37・・・を突出壁35・・・の先端(すなわち、開口端33)に形成したので、キャップ部31及び脚部37・・・を一体にプレス成形することが可能である。このプレス成形については図4で詳しく説明する。
【0029】
図3は図1の3−3線断面図であり、鋳型10のキャビティ15に棒状中子20を支えた状態を示す。
中子用ケレン30の脚部37・・・をキャップ部31から放射状にキャビティ壁面11a,13aまで延ばした。このため、脚部37・・・の先端38・・・をキャビティ壁面11a,13aに当てることにより、棒状中子20をキャビティ15内で支えることができる。脚部37・・・をキャビティ15の外側に突出させないので脚部37・・・が鋳造品から突出することはない。
【0030】
脚部37・・・は、基端39・・・から先端38・・・に向って小さくなる先細りテーパ形状とし且つ先端38・・・を球面にしたものであって、例えば基端39・・・の幅W1を1.5〜2.0mm、先端38・・・の幅W2を1.0mmに設定したものである。
脚部37・・・を先細りテーパ形状とすることで、脚部37・・・の強度を確保した状態で脚部37・・・を細くすることができる。従って、脚部37・・・でキャビティ15内の溶湯の流れを妨げることはない。この結果、鋳造欠陥(巣、空洞)の発生を抑えることができる。
【0031】
さらに、脚部37・・・の先端38・・・を球面にすることで、脚部37・・・の先端38・・・をキャビティ壁面11a,13aに点接触させることができる。従って、脚部37・・・の先端38・・・をキャビティ壁面11a,13aに安定的に接触させて棒状中子20を所望位置に確実に支えることができる。
加えて、先端38・・・の球面に沿って湯が流れ込むので、脚部37・・・を良好に鋳ぐるむことができる。
【0032】
また、中子用ケレン30の切欠き34・・・を、棒状中子20の隆起部22・・・に差込むことにより、中子用ケレン30を棒状中子20に対して所定位置に位置決めすることができる。よって、鋳造品の中空部を精度よく鋳造することができる。
【0033】
次に、中子用ケレン30の製造方法を説明する。
図4(a)〜(d)は本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)の製造方法の説明図である。
(a)において、円板状のブランク材30を準備する。
(b)において、ブランク材30をプレス成形して、中子用ケレン30のキャップ部31(図2に示す)に相当する絞り成形部41及びこの絞り成形部41に一体成形した鍔部42を得る。
【0034】
(c)において、鍔部42の一部(斜線///で示すエリア)42a・・・を切断して3本の脚部37・・・を形成する。
(d)において、絞り成形部41の一部(斜線///で示すエリア)41a・・・を切断して、この切断した部分を切欠き34・・・(図2に示す)を形成するとともに突出壁35・・・を形成する。
【0035】
この後、表面(キャップ部31の内面も含む)に錫メッキを施して中子用ケレン30(図2に示す)を得る。このように、中子用ケレン30を一体成形することで、例えば溶接による接合工程を省くことができるので、中子用ケレン30を用いる鋳造工程を簡単にすることができる。
【0036】
なお、図4の製造方法では(c)の工程と(d)の工程とを別々に分けた例について説明したが、(c)の工程と(d)の工程とを同時に行うことも可能である。(c)の工程と(d)の工程とを同時に行うことで、製造工程を減らすことができる。
【0037】
次いで、中子用ケレン30を用いる鋳造方法を図5〜図7に基づいて説明する。なお、図5〜図7においては理解を容易にするために、棒状中子20及び中子用ケレン30を簡略した状態で図示した。
【0038】
図5(a)〜(c)は本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を用いた鋳造方法の第1説明図であり、(c)は(b)のc−c線断面を示す。
(a)において、突出壁35・・・の先端(すなわち、開口端33)を矢印の如く半径方向内方に僅かに折曲げ、この状態でキャップ部31を棒状中子20の小径部21aに矢印▲1▼の如く嵌め込むとともに、切欠き34・・・を隆起部22・・・に差込むことにより、中子用ケレン30を棒状中子20の先端部21に被せる。
【0039】
突出壁35・・・の先端(すなわち、開口端33)を矢印の如く僅かに折曲げることにより、突出壁35・・・をある程度弾性変形させながら、棒状中子20の小径部21aに比較的きつく嵌め込むことができる。よって、中子用ケレン30が棒状中子20の先端部21から抜け出すことを防ぐことができる。
また、中子用ケレン30の切欠き34・・・を棒状中子20の隆起部22・・・に差込むことにより、中子用ケレン30の脚部37・・・を幅木23の位置決め孔24,26に対して所望位置に位置決めすることができる。
【0040】
(b)において、2本の下側脚部37,37(紙面奥側の脚部は図示しない)を固定型11のキャビティ壁面11aに当てるとともに、幅木23の位置決め孔26を固定型11の突起17に嵌め込むことにより、棒状中子20を固定型11にセットする。
幅木23の位置決め孔26を固定型11の突起17に嵌め込むことにより、棒状中子20を所定位置に位置決めすることができ、かつ中子用ケレン30の脚部37・・・のうちの下向きの2個を固定型11のキャビティ面11aに載せ、残りの1個を上向きに位置決めすることができる。
【0041】
(c)において、下向きの2本の脚部37,37を固定型11のキャビティ壁面11aに当てることにより、中子用ケレン30を安定させた状態でセットすることができる。
また、上向きの1本の脚部37と同様に、位置決め孔24を上向きに配置することができる。
【0042】
図6(a),(b)は本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を用いた鋳造方法の第2説明図である。
(a)において、可動型13を矢印の▲2▼の如く移動して、鋳型10を型締めする。ここで、鋳型10を型締めする際に、可動型13のキャビティ壁面13aに1本の上側脚部37を当てることによりキャビティ15内で棒状状中子16を安定的に支える(図3も参照)。
加えて型締めの際に、幅木23の位置決め孔24に可動型13の突起14に挿入する。
【0043】
この状態で、溶湯を矢印▲3▼の如くキャビティ15に充填する。このとき、棒状中子20の先端部21を中子用ケレン30で安定的に支え、かつ幅木23の位置決め孔24,26に突起14,17に嵌め込むことにより、棒状中子20を所定位置に確実に静止させることができる。従って、棒状中子20が湯圧で正規の位置からずれることを防止できる。
【0044】
なお、キャップ部31は、棒状中子20の小径部21aが焼きついて鋳造品に砂が付着すること、また差し込み(鋳型の砂粒子の間隙に溶湯が入り込むために生ずる鋳物表面の欠陥)が発生することを防ぐことができる。
さらに、キャップ部31は、冷金の役割も果すので鋳造品に鋳巣(孔状欠陥)が発生することも防ぐことができる。
【0045】
(b)において、キャビティ15の溶湯16が凝固した後、可動型13を矢印の▲4▼の如く移動して、鋳型10を型開きする。
ここで、中子用ケレン30の表面(キャップ部31の内面も含む)に錫(Sn)メッキを施したので、溶湯16を中子用ケレン30に確実に密着させることができる。従って、鋳造品の品質を高めることができる。
【0046】
図7(a),(b)は本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を用いた鋳造方法の第3説明図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。
(a)において、鋳型から長尺物の鋳造品を取り出し、この鋳造品から棒状中子を除去する。これで中空状の製品45を得る。この製品45には中空部46が備えられ、かつ中子用ケレン30が一体に鋳ぐまれている。中空部46棒状中子20で形成した空間である。
【0047】
(b)において、製品45に中子用ケレン30を鋳ぐるんでも脚部37・・・は製品45の外周45aから外側に突出しない。このため、従来技術で説明したように製品45から突出した脚部37・・・を切除する作業は不要となる。
【0048】
また、図3で説明したように、脚部37・・・の先端38・・・を球面にすることで、脚部37・・・の先端38・・・をキャビティ壁面11a,14a(図3示す)に安定的に接触させることができる。
加えて、幅木23の位置決め孔24,26に突起14,17に挿入することにより、棒状中子20を所定位置に確実に静止させることができる。このため、製品45の肉厚tの精度を高めて製品45の品質を高めることができる。
【0049】
次に、第2実施形態について図8に基づいて説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同一部材については同じ符号を付して説明を省略する。
図8は本発明に係る中子用ケレン(第2実施形態)を棒状中子から外した状態を示す斜視図である。
棒状中子50は、先端部51に小径部51aを備え、この小径部51aに一定間隔をおいて3個の隆起部22・・・(2個のみを図示する)を形成し、さらに隆起部22と隆起部22との間の小径部51aに凹み52を形成したものである。
この棒状中子50は、小径部51aに凹み52を設けた点で第1実施形態の棒状中子20と異なるが、その他の構成は棒状中子20と同じである。
【0050】
この棒状中子50の小径部51aには中子用ケレン60を嵌め込むことができる。この中子用ケレン60は、棒状中子50の先端部51(すなわち、小径部51a)に被せるキャップ部61を備え、このキャップ部61から放射状に鋳型10のキャビティ壁面11a,13a(図1に示す)まで延ばした3個の脚部37・・・を備える。
【0051】
加えて、中子用ケレン60は、キャップ部61を構成する周壁32の開口端33に3個(複数)の切欠き34・・・を設けることにより、切欠き34と切欠き34との間に突出壁65を形成し、突出壁65の内面65aに径方向内方に突出した凸部65b(1個のみを図示する)を設けたものである。
凸部65bは、突出壁65の外面に凹み65cをプレス成形することにより、突出壁65の内面65aに突出させた部位である。
なお、中子用ケレン60の表面(キャップ部61の内面も含む)には、中子用ケレン30と同様に錫(Sn)メッキが施されている。
【0052】
すなわち、この中子用ケレン60は、突出壁65の内面65aに凸部65bを設けた点で第1実施形態の中子用ケレン30と異なるが、その他の構成は中子用ケレン30と同じである。
この凸部65bは、中子用ケレン60を棒状中子50の小径部51aに被せる際に、小径部51aの凹み52に嵌め込むことができる。
よって、中子用ケレン60が棒状中子50の小径部51aから脱落することをより確実に防ぐことができる。
【0053】
第2実施形態の中子用ケレン60によれば、第1実施形態の中子用ケレン30と同様の効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態の中子用ケレン60によれば、中子用ケレン60を棒状中子50の小径部51aに被せる際に、中子用ケレン60の凸部65bを小径部51aの凹み52に嵌め込むことができる。従って、中子用ケレン60が棒状中子50の小径部51aから脱落することをより確実に防ぐことができる。
【0054】
加えて、第1実施形態のように各々の突出壁35・・・を基端部35a・・・で半径方向内方に僅かに折曲げなくても、中子用ケレン60が棒状中子50の小径部51aから外れることをより確実に防ぐことができるので、各々の突出壁35・・・を基端部35a・・・で半径方向内方に僅かに折曲げる手間を省くことができる。このため、中子用ケレン60を棒状中子50の小径部51aにより簡単に被せることができる。
【0055】
なお、前記実施形態では、中子用ケレン30、60の突出壁35・・・の先端に脚部37・・・を設けた例について説明したが、脚部37・・・を設ける位置はこれに限らないで、キャップ部31,61の任意の位置に設けることができる。
また、前記第1実施形態では、3個の突出壁35・・・を全て内側に折曲げてた後、中子用ケレン60を棒状中子50の小径部51aに被せる例について説明したが、これに限らないで、3個の突出壁35・・・のうちの少なくとも1つの突出壁35を折り曲げるだけでも同様の効果を得ることができる。
さらに、前記実施形態では周壁32に3個の切欠き34・・・を設けた例について説明したが、突出壁35の個数は適宜決めることができる。
【0056】
さらに、前記第2実施形態では、棒状中子50の小径部51aに凹み52を形成して、この凹み52に中子用ケレン60の凸部65bを嵌め込む例について説明したが、棒状中子50の小径部51aに凹み52を形成しないで凸部65bで小径部51aの表面を押圧させても同様の効果を得ることができる。
また、前記第2実施形態では、中子用ケレン60の突出壁65・・・の全てに凸部65bを形成して例について説明したが、突出壁65・・・の少なくとも1つに凸部65bを形成しても同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、前記実施形態では、固定型11に中子用ケレン30をセットした後、可動型13を移動して型締めする例を説明したが、可動型13に中子用ケレン30をセットした後、可動型13を移動して型締めしても同様の効果を得ることができる。
さらに、鋳型10の可動型13を鉛直方向に移動する立て形を例を説明したが、可動型を水平方向に移動する横形に適用することも可能である。
【0058】
また、前記実施形態では、鋳型10を砂型で形成した例を説明したが、これに限らないで、例えば金型に適用しても同様の効果を得ることができる。
さらに、前記実施形態では、中子用ケレン30に3本の脚部37を備えた例を説明したが、脚部37の本数は3本に限定するものではなく、例えば4本の脚部を備えてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、幅木23の上下端にそれぞれ位置決め孔24,26を備え、下端側の位置決め孔26を固定型11の突起17に嵌め込み、上端側の位置決め孔24に可動型13の突起14を挿入する例について説明したが、これに限らないで、上端側の位置決め孔24や可動型13の突起14を省いて、下端側の位置決め孔26を固定型11の突起17に嵌め込むだけの構成にしても同様の効果を得ることができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、中子支持金具はキャップ部と脚部とのみからなり、脚部はキャビティ壁面までしか延びていない。このため、キャップ部と脚部との全部が鋳造品に鋳ぐるまれることになり、鋳造品から突出するものはない。
この結果、鋳造後に、鋳造品から突起を切除する工程を省くことができるので生産性を高めることができる。
【0061】
また、中子支持金具をキャップ部に脚部を備えた簡単な構成にしたので、キャップ部及び脚部を一体にプレス成形することが可能である。すなわち、先ずキャップ部及びキャップ部から外側に広がる鍔部を一体にプレス成形し、次に鍔部の一部を切断することにより脚部を形成することができる。
このように、中子支持金具を一体成形することで、例えば溶接による接合工程を省くことができるので中子用ケレンを用いる鋳造工程を簡単にして生産性を高めることができる。
【0062】
また、キャップ部の周壁に複数の切欠きを設けることで切欠きと切欠きとの間に突出壁を形成した。この突出壁は先端が自由端の状態なので、突出壁を半径方向の内側に折り曲げることができ、かつある程度の弾性変形が可能になる。よって、例えば突出壁を半径方向の内側に折り曲げることで、突出壁を弾性変形させながら棒状中子の先端に比較的きつく嵌め込ませることができる。従って、棒状中子の先端から中子支持金具が脱落することを防止できる。
このため、鋳造工程の途中で工程を中断することを避けることができるので、生産性を高めることができる。
【0063】
請求項2は、周壁の内面に径方向内方に突出した凸部を設けることで、周壁を半径方向の内側に向けて折り曲げなくても、凸部を棒状中子の先端に比較的きつく嵌め込むことができる。このため、棒状中子の先端から中子支持金具が脱落することをより確実に防ぐことができる。
従って、鋳造工程の途中で工程を中断することをより確実に避けることができるので、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)で棒状中子を支えた状態を示す斜視図
【図2】本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を棒状中子から外した状態を示す斜視図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)の製造方法の説明図
【図5】本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を用いた鋳造方法の第1説明図
【図6】本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を用いた鋳造方法の第2説明図
【図7】本発明に係る中子用ケレン(第1実施形態)を用いた鋳造方法の第3説明図
【図8】本発明に係る中子用ケレン(第2実施形態)を棒状中子から外した状態を示す斜視図
【図9】従来の中子用ケレンの斜視図
【図10】従来の中子用ケレンを用いて製造した鋳造品の斜視図
【符号の説明】
10…鋳型、11a,13a…キャビティ壁面、15…キャビティ、20,50…棒状中子、21,51…棒状中子の先端部、30,60…中子支持金具(中子用ケレン)、31,61…キャップ部、32…周壁、33…開口端、34…切欠き、35,65…突出壁、37…脚部、65a…突出壁の内面、65b…凸部。
Claims (2)
- 鋳型のキャビティ内に配置する棒状中子を支えるための中子支持金具において、
プレス成形により得られた絞り成形部の周壁の一部を複数の切欠きとして除去し、残部を突出壁として残すことにより前記棒状中子の先端部に被せることを可能に形成したキャップ部を備え、
前記突出壁から放射状に鋳型のキャビティ壁面まで延ばした脚部を備えたことを特徴とする中子支持金具。 - 前記突出壁の内面に径方向内方に突出した凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の中子支持金具。
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