JPH0248117Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は碍子用キヤツプ金具を係着する係合凹
部と碍子抱持用スカート部とを備えた碍子用キヤ
ツプ金具の成形型に関するものである。

（従来の技術） 一般に、碍子用キヤツプ金具は殆ど鋳造（マリ
アブル又はダクタイル）により製造されており、
ごく一部に鍛造製がある。この理由は鍛造製の碍
子キヤツプ金具が鋳造製に比べて基本的に品質の
信頼性に優れているが、キヤツプ金具の構造、特
にソケツト部が鍛造に適していないため、機械加
工のコストが高くなり、経済上の観点から鋳造性
のキヤツプ金具に対抗できないからである。

従来、ボールソケツト型懸垂碍子用キヤツプ金
具の製造方法として、特公昭35−984号公報に開
示された方法があり、この製造方法に使用される
成形型として、第１６図に示すような上型３１と
下型３２とにより構成したものがあつた。そし
て、この成形型により有底円筒状の係合壁部３３
ａ及びスカート部３３ｂを備えたキヤツプ金具原
形３３を上下方向から押圧して係合壁部３３ａの
先端部を内方へ湾曲させ、同係合壁部内部に第１
７図に示すように係合凹部３３ｃ（ソケツト部）
を形成するようにしていた。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上記従来のキヤツプ金具の成形型
は、前記円筒状の係合壁部３３ａを単に湾曲する
のみの構造であるため、後工程において、同係合
壁部３３ａの一側部をフライス加工により切り欠
いて、碍子用ピン金具を係合凹部３３ｃに側方か
ら導入するための開口部３３ｄを形成する工程が
必要となり、このため生産性を向上することがで
きないばかりでなく、係合壁部３３ａの鍛流線を
切断することになり、強度を低下させるという問
題があつた。特に、前記係合凹部３３ｃは鍛造の
場合その内頂面にアンダーカツト部を後工程で切
削加工する必要があるので、最も強度を要する前
記内頂面の鍛流線を切断してしまい、非常に問題
であつた。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） この考案は前記従来の問題点を解決するため、
キヤツプ金具のスカート部の内側面に嵌合する上
型と、キヤツプ金具の外側面に嵌合する下型と、
前記下型内に上下方向の移動可能に嵌合され、キ
ヤツプ金具の係合壁部の先端部を上下方向から押
圧して同係合壁部を内側へ湾曲して係合凹部を成
形する斜状成形面を備えた第１係合凹部成形型
と、前記第１係合凹部成形型の中央部から外側部
にかけて切欠形成した収容溝に収容され、前記係
合壁部に開口部を成形し、かつ前記係合凹部の内
壁を成形するよにした第２係合凹部成形型と により構成し、さらに前記第２係合凹部成形型
を、開口部成形型と、同開口部成形型の上面に対
し、離型可能に接合されたアンダーカツト成形型
と、同アンダーカツト成形型の上面に対し、側方
へ引き抜き可能に接合された分離引抜型との三つ
の部材に分割形成するという手段を採つている。

（作用） この考案は前記手段を採つたことにより、キヤ
ツプ金具の製造工程において、キヤツプ金具の係
合壁部を湾曲して同壁部内側に係合凹部を形成す
ると同時に開口部が形成され、生産性が向上する
とともに、開口部成形型により係合壁部の一側に
切断によらないで開口部が成形されるので、鍛流
線が切断されず、このためキヤツプ金具の係合凹
部の強度が高められる。

又、係合凹部の内頂部には成形時にアンダーカ
ツト成形型によつて、アンダーカツト部が成形さ
れ、このときの離型はまず分離引抜型を側方へ引
き抜いた後、アンダーカツト成形型を開口部成形
型から離間させて、同アンダーカツト成形型をア
ンダーカツト部から離間させ、次いで同アンダー
カツト成形型を側方へ引き抜くことにより、フラ
イス等によらず、係合凹部の内頂面にアンダーカ
ツト部が正確に形成され、開口部やアンダーカツ
ト部の切削加工が全く不要となり、鍛流線の切断
が皆無となつて強度が向上するとともに、生産性
が大幅にアツプする。

（実施例） 以下、本考案を具体化した一実施例を図面に基
づいて説明する。

第１図はキヤツプ金具の成形工程の一時期、つ
まり後述するキヤツプ金具原形１４の係合壁部１
４ｂを湾曲させて係合凹部１４ｇを形成し、かつ
開口部１４ａを成形する工程に使用される成形型
の全体を分解して示す。図中１はキヤツプ金具原
形１４のスカート部１４ｃの内頂面に嵌合する上
型、２はキヤツプ金具原形１４の外周面に嵌合す
る成形面２ａを備えた下型である。

３は前記下型２の成形面２ａの下部に連続して
形成した嵌入孔２ｂ内に対して、上下方向の移動
可能に嵌合された第１係合凹部成形型であつて、
その上面には第１１図に示すようにキヤツプ金具
原形１４の係合壁部１４ｂの先端部を上下方向か
ら押圧して同係合壁部１４ｂを内側へ湾曲して係
合凹部１４ｇを成形するためのほぼ円錘台形状の
斜状成形面３ａが形成され、その中心部から外側
面にかけて、次に述べる第２係合凹部成形型４を
嵌入するための収容溝３ｂが上下方向に切欠形成
されている。

４は前記第１係合凹部成形型３の収容溝３ｂに
対し、上下方向及び水平方向のスライド可能に収
容され、かつ前記係合壁部１４ｂの一側部に開口
部１４ａを成形するとともに、係合凹部１４ｆの
内頂面にアンダーカツト部１４ｇを成形するため
の第２係合凹部成形型であつて、前記下型２の下
部に設けた挿入孔２ｃから前記嵌入孔２ｂ内に嵌
入された前記第１係合凹部成形型３の収容溝３ｂ
に対し側方から嵌入されるようにしている。この
第２係合凹部成形型４は第２図に示すように三つ
の部材に分割形成されている。５は前記第２係合
凹部成形型４を構成する開口部成形型であつて、
その上面には係合溝５ａが凹説され、中子部５ｂ
の上縁には、係合壁部１４ｂの先端内周縁を円弧
状に成形するための曲面状の成形面５ｃが形成さ
れている。

６は前記開口部成形型５の上面に対し、上方へ
離間可能に接合されるアンダーカツト成形型であ
つて、その上下両面には係合突条６ａ，６ｂが一
体に形成され、下部の突条６ｂは前記係合溝５ａ
に対し離間可能に係合される。又、先端部には前
記成形面５ｃと対応する円板状の中子部６ｃが一
体に膨出形成され、同中子部６ｃの下面には前記
開口部成形型５の係合溝５ａの端面５ｄに当接し
て側方への抜けを防止する係止部６ｄが形成され
ている。

７は前記アンダーカツト成形型６の上面に対し
側方へ引き抜き可能に接合される分離引抜型であ
つて、その下面には前記係合突条６ａを摺動可能
に係合する係合溝７ａが形成され、先端部には前
記中子部６ｃと対応する中子部７ｂが設けられて
いる。

次に、前記のように構成した成形型１〜７、及
び別途用意した成形型により、キヤツプ金具２３
を鍛造成形する方法を第３図〜第１４図に従つて
説明する。

最初に、長尺丸棒を所定長さに切断して第３図
に示すように円柱状の素材８を形成する。

次に、同素材８を図示しない上下の鍛造金型に
より上下方向から押圧して第４図に示すように下
面中央に突部９ａを有する平板状の素材９を鍛造
形成する。

その後、第５図〜第７図に示すように上型１
０、下型１１、開口部成形型１２及び押し出し用
のノツクピン１３よりなる鍛造金型により、前記
素材９を同金型のキヤビテイ形状に鍛造して後述
するキヤツプ金具２３の原形１４を形成する。こ
のキヤツプ原形１４の成形時において、同原形１
４の下端には第６図に示すように一側に開口部１
４ａを有する馬啼形状の係合壁部１４ｂが形成さ
れ、上部には筒状のスカート部１４ｃが形成さ
れ、係合壁部１４ｂとスカート部１４ｃとの境界
部は仕切壁１４ｄが一体に形成される。

次に、第８図〜第１０図に示すように前記キヤ
ツプ金具原形１４を、上型１５、下型１６、開口
部成形型１７及びノツクピン１８よりなる鍛造金
型により、そのキヤビテイ形状に鍛造して前記係
合壁部１４ｂを高くするとともに、スカート部１
４ｃの裾部全周に外側方へ膨出する断面Ｌ字状の
環状段差部１４ｅを形成し、前記仕切壁１４ｄを
薄肉にする。

その後、第１１図〜第１３図に示すように取付
部材１９に固定した前記上型１、下型２、第１係
合凹部成形型３及び第２係合凹部成形型４等によ
り構成された本考案の鍛造成形型によつて、前記
キヤツプ金具原形１４の係合壁部１４ｂの下半部
を内方へ湾曲さて、同壁部１４ｂの内部に係合凹
部１４ｆを形成し、かつ同係合凹部１４ｆの内頂
面にアンダーカツト部１４ｇを形成する。この工
程の最後には、前記分離引抜型７を第１２図にお
いて側方（左方）へ引い抜いた後、アンダーカツ
ト成形型６を上方へ移動してその中子部６ｃをア
ンダーカツト部１４ｇから離間させ、この状態で
同成形型６を同じく側方へ引き抜き、キヤツプ金
具原形１４から成形型を離間する。

なお、離型後前記係合壁部１４ｂの一部には第
１２図に示すようにピン貫通用の孔１４ｈがドリ
ルにより穿設される。

最後に、第１４図に示すように取付部材２０に
固定した下型２１を使用し、少なくともスカート
部１４ｃの裾部外側に当接する内腔を備えた上型
２２により前記環状段差部１４ｅの上面Ｓを押圧
して、同環状段差部１４ｅをその基部Ｅを中心に
内方へ湾曲する。こうして、スカート部１４ｃの
裾部内周面に上下二段の抜け止め防止突条１４ｉ
を形成する。

以上述べた工程によりキヤツプ金具２３の製造
を完了する。こうして得られたキヤツプ金具２３
は、第１５図に示すように例えば懸垂碍子２４の
頭部２４ａにセメント２５により嵌合固定され
る。そして、キヤツプ金具２３の上部の係合凹部
１４ｆには別の懸垂碍子２４の下部に固着したピ
ン金具２６が係合される。

なお、本考案は次のような実施例で具体化する
こともできる。

前記実施例では係合壁部１４ｂの成形時に開口
部１４ａを形成したが、前記第１係合凹部成形型
３及び第２係合凹部成形型４による鍛造成形工程
において、開口部１４ａを始めて形成するように
すること。この場合には開口部１４ａが形成され
る部分の係合壁部１４ｂの肉厚を予め薄くしてお
くのが望ましい。

考案の効果 以上詳述したように、この考案はキヤツプ金具
の製造工程において、キヤツプ金具の係合壁部を
湾曲して同壁部内側に係合凹部を形成すると同時
に開口部を形成でき、又、第２係合凹部成形型に
より係合壁部に対し、切断あるいは表面仕上げ加
工を全く行うことなく開口部及びアンダーカツト
部を高い精度に鍛造成形でき、従つて係合壁部の
鍛流線を全くが切断しないで、係合凹部の強度を
向上することができ、生産性を高めることができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のキヤツプ金具の成形型の一
実施例を示す分解斜視図、第２図は第２係合凹部
成形型のみの拡大分解斜視図、第３図及び第４図
は素材の正面図、第５図はキヤツプ金具原形の鍛
造工程を示す断面図、第６図は同原形のみの底面
図、第７図は同原形の部分断面図、第８図はキヤ
ツプ金具原形の鍛造工程を示す断面図、第９図は
同原形のみの底面図、第１０図は同原形の部分断
面図、第１１図はキヤツプ金具原形の鍛造工程を
示す断面図、第１２図は第１１図の中央部縦断面
図、第１３図は同原形のみの底面図、第１４図は
抜け止め防止突条の鍛造工程を示す断面図、第１
５図はキヤツプ金具の使用状態を示す断面図、第
１６図は従来のキヤツプ金具の成形型を示す断面
図、第１７図は同じく従来の成形型によつて成形
されたキヤツプ金具を示す断面図である。 １……上型、２……下型、３……第１係合凹部
成形型、３ａ……斜状成形面、３ｂ……収容溝、
４……第２係合凹部成形型、４ｂ……成形面、５
……開口部成形型、５ｂ……成形面、６……アン
ダーカツト成形型、６ｃ……中子部、７……分離
引抜型、７ｂ……中子部、１４……キヤツプ金具
原形、１４ａ……開口部、１４ｂ……係合壁部、
１４ｃ……スカート部、１４ｆ……係合凹部、１
４ｇ……アンダーカツト部、２３……キヤツプ金
具。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ キヤツプ金具のスカート部の内側面に嵌合す
   る上型と、 キヤツプ金具の外側面に嵌合する下型と、 前記下型内に上下方向の移動可能に嵌合さ
   れ、キヤツプ金具の係合壁部の先端部を上下方
   向から押圧して同係合壁部を内側へ湾曲して係
   合凹部を成形する斜状成形面を備えた第１係合
   凹部成形型と、 前記第１係合凹部成形型の中央部から外側部
   にかけて切欠形成した収容溝に収容され、前記
   係合壁部に開口部を成形し、かつ前記係合凹部
   の内壁を成形するようにした第２係合凹部成形
   型とにより構成し、 前記第２係合凹部成形型を、開口部成形型
   と、同開口部成形型の上面に対し、離型可能に
   接合されたアンダーカツト成形型と、同アンダ
   ーカツト成形型の上面に対し、側方へ引い抜き
   可能に接合された分離引抜型との三つの部材に
   分割形成したことを特徴とする碍子用キヤツプ
   金具の成形型。 ２ 前記第１係合凹部成形型の斜状成形面は、曲
   面状に形成されている実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の碍子用キヤツプ金具の成形型。 ３ 前記第２係合凹部成形型を構成する開口部成
   形型は、係合壁部の先端内周縁を円弧状に成形
   するための成形面を備えている実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載の碍子用キヤツプ金具の
   成形型。