JP4671441B2 - 血漿または血清の採取方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微量な血液からでも血漿や血清を効率よく分離、採取可能とする方法に関するものである。
人の健康状態を調べる手段として、血液中に含まれる代謝産物、タンパク質、脂質、電解質、酵素、抗原、抗体等の検出あるいは測定は広く行われている。しかし、これらの検出あるいは測定は、通常、全血では困難であり血漿または血清を検体としている。
全血から血漿または血清を得る方法としては、
1.遠心分離機を用いる遠心分離法、
2.ガラス繊維濾紙などの血球濾過材料を用いる方法などが知られている。
さらに、この際、特許文献1には無機塩若しくはアミノ酸の水溶液の、特許文献2には無機塩、アミノ酸若しくは糖類の使用が報告されている。
特許文献1に記載の方法は、全血に一定濃度の無機塩若しくはアミノ酸の水溶液を添加した後に血球成分を濾別する方法で、水溶液としてのみ有効であり、使用する剤形に制約がある。ガラス繊維濾紙に含浸させて使用した場合は溶血をおこすことが記載されている。
特許文献2に記載の方法は、予め無機塩、アミノ酸若しくは糖類を多孔性材料に担持させておき、全血と接触させ血球成分を分離する方法で、乾燥状態のみの剤形制約があり、その効果は水溶液の場合に比べ弱い。
特開平09−196908号公報 国際公開01/092886号パンフレット
本発明の目的は、より少ない血液から、より多くの血漿や血清を分離することであり、使用する剤形や形態に制約がなく、様々な条件の血液調整方法や血液成分分析方法などへ応用可能な血球分離の方法を提供することである。
本発明者等は鋭意研究の結果、全血をカルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有する有機化合物と接触させると血球の分離が促進され、効率よく血漿や血清が採取できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は
(1)採取した全血と、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩とを接触させて血球を分離することを特徴とする血漿または血清の採取方法;
(2)採取した全血と、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩あるいはその溶液とを混合して血球を分離することを特徴とする上記(1)記載の血漿または血清の採取方法;
(3)血球の分離に血球分離膜を使用する上記(2)記載の血漿または血清の採取方法;
(4)採取した全血を、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩を担持させた血球分離膜に添加して血球を分離することを特徴とする上記(1)記載の血漿または血清の採取方法;
(5)有機酸化合物がケト−エノール型カルボン酸化合物、二価以上のカルボン酸化合物、二価以上の有機リン酸化合物または二価以上の有機スルホン酸化合物である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の血漿または血清の採取方法;
(6)有機酸化合物がホスホエノールピルビン酸、α−ケトグルタル酸、オキザロ酢酸、アセチルリン酸、ピルビン酸、3−ホスホグリセリン酸、リンゴ酸、蓚酸、アデノシン−5'−二リン酸、アデノシン−5'−三リン酸、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチド、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチドリン酸、エチレンジアミン四酢酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)及びピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)二水和物からなる化合物群より選択される1種あるいは2種以上である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の血漿または血清の採取方法;
(7)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の血漿または血清の採取方法におけるカルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩;
に関する。
本発明により、より少ない血液から、より多くの血漿や血清を分離することが可能となり、また、低コストで簡便で且つ迅速な血液成分分析が可能となった。さらに、本発明の血漿または血清の採取方法に使用するカルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩は、これまでになかった切れ味の鋭い血球の分離を示し、血液の粘度が高い「高ヘマトクリット血液」であっても同様の効果を有するもので、血球分離促進剤と呼ばれることもある。
本発明の血漿または血清の採取方法は、採取した全血と、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩とを接触させて血球を分離することを特徴とする。
本発明が適用される全血とは、通常、生体から採取される血液であれば、採取方法等は特に限定されず、ヘパリン、フッ化ナトリウムなどの抗凝固剤や解糖阻止剤などが含まれていてもよい。
アミノ酸には、通常のα−またはβ−アミノ酸が含まれ、D−アミノ酸もL−アミノ酸も含まれる。
全血と接触させるとは、採取した全血と、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩あるいはその溶液とを混合する方法や採取した全血を、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩を担持させた血球分離膜に添加する方法等がある。
本発明の血漿または血清の採取方法において、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物としては特に限定されず、例えば、ピルビン酸、α−ケトグルタル酸、オキザロ酢酸等のケト−エノール型カルボン酸化合物;クエン酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、グルタル酸、イタコン酸、蓚酸等の二価以上のカルボン酸化合物;ギ酸、酢酸、グルコン酸、乳酸、プロピオン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、クロトン酸、シキミ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);2、3−ジホスホグリセリン酸、アデノシン−5'−二リン酸(ADP)、アデノシン−5'−三リン酸(ATP)、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチド、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチドリン酸等の二価以上の有機リン酸化合物;グルコース−6−リン酸、フルクトース−6−リン酸、クレアチンリン酸、アセチルリン酸(Acetyl phosphate)、2−ホスホグリセリン酸、3−ホスホグリセリン酸;ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)二水和物(POPSO)等の二価以上の有機スルホン酸化合物;2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES);ホスホエノールピルビン(PEP)酸、アスコルビン酸、アラボアスコルビン酸等が挙げられ、ケト−エノール型カルボン酸化合物、二価以上のカルボン酸化合物、二価以上の有機リン酸化合物または二価以上の有機スルホン酸化合物が好ましく、例えば、ホスホエノールピルビン酸、α−ケトグルタル酸、オキザロ酢酸、クレアチンリン酸、アセチルリン酸、ピルビン酸、3−ホスホグリセリン酸、リンゴ酸、蓚酸、アデノシン−5'−二リン酸、アデノシン−5'−三リン酸、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチド、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチドリン酸、エチレンジアミン四酢酸、PIPES、POPSO等が好ましく、特にホスホエノールピルビン酸、クレアチンリン酸、アセチルリン酸または3−ホスホグリセリン酸が好ましい。
本発明において使用する有機酸化合物の塩としては特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、シクロヘキシルアンモニウム塩等が挙げられ、その無水塩であっても水和物であってもよい。
さらに、上記の有機酸化合物またはその塩は単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
本発明の血漿または血清の採取方法に使用する有機酸化合物またはその塩は、全血と接触すると、血漿または血清と、赤血球等の血球とを迅速に分離し、血液凝固や溶血は起こさず、より多くの血漿または血清を採取可能とするものである。採取とは、血漿または血清を取り出さず血球と分離することも含む。また、ヘマットクリットを低下させたり、浸透圧の作用により細胞を収縮させる作用を有していてもよい。さらには、赤血球表面の極性を変化させ赤血球の凝固若しくは凝集を促進させる作用も有していてもよい。
本発明の血漿または血清の採取方法についてさらに説明する。
全血から血球を分離する方法は、遠心分離による方法、血球分離膜、濾紙や親水性の高分子膜を用いる方法などがあるが、本発明の血漿または血清の採取方法はこれらのどの方法にも適用できる。
本発明において有機酸化合物またはその塩は、水溶液等の溶液状態、ゾルやゲル状のような半液体や半固体状態または粉末などの固体状態で使用することができる。
血漿または血清の採取方法として具体的には、例えば、採血後2分以内に全血と前記の有機酸化合物またはその塩と抗凝固剤とを混合し、3000回転で約15分(4℃)遠心分離して血漿を得る方法;採血した全血と前記の有機酸化合物またはその塩とを混合し、室温で約30分放置後、3000回転で約15分(4℃)遠心分離して血清を得る方法等がある。
全血と前記の有機酸化合物またはその塩と抗凝固剤とを混合して、あるいは全血と前記の有機酸化合物またはその塩とを混合して室温で約30分放置した後に、血球分離膜や濾紙あるいは親水性の高分子膜を用い血漿または血清を得る方法もあり、これらも本発明に含まれる。また、血球分離膜や濾紙あるいは親水性の高分子膜にあらかじめ抗凝固剤を担持させておけば、全血と前記の有機酸化合物またはその塩を添加後すぐに血球分離操作が進行し血漿が得られる。
さらに、あらかじめ血球分離膜や濾紙あるいは親水性の高分子膜に前記の有機酸化合物またはその塩、血漿の場合には抗凝固剤をも担持させ、採取した全血を添加して血漿または血清を得ることもでき、これらの方法も本発明に含まれる。
前記の有機酸化合物またはその塩を全血と混在させる時のpHは特に制限はないが、あまりにpHが低いと血液が凝固を起こすため、好ましくはpH3.5〜pH12程度であり、より好ましくはpH4.0〜pH10.0である。
全血と混在させる時の前記の有機酸化合物またはその塩の濃度についても特別な制限はないが、低濃度側ではその効果が弱く、高濃度側では溶血が生じやすいため、好ましくは全血と混合状態にある時、全血中における濃度が0.02mol/L〜0.6mol/L程度が好ましく、0.1mol/L〜0.5mol/L程度がより好ましい。
前記の有機酸化合物またはその塩と混合する全血の量は特に制限はないが、遠心分離が困難な量、例えば、1mL以下で本発明の方法は有用である。微量であるほど好ましいが、採取が可能な量を考慮すると0.1μL〜200μL程度が好ましい。
血球分離膜としては、市販のガラス繊維濾紙、表面が親水化処理された弗素含有ポリマー、ポリスルホンなどの微多孔性材料等が使用可能である。また、それらを組み合わせた積層体でもよい。
また、本発明は血糖測定用のバイオセンサなどの電極表面に形成され低分子物質のみを透過させて血球等の高分子物質を排除する親水性高分子層を使用する血球分離にも使用可能である。
さらに、カラムや流路中に血球分離膜や親水性高分子膜やそれらの積層体等を配置して、毛細管現象、引圧や加圧などにより血液を通過させて行う血球分離にも応用可能である。
血漿または血清の採取の際に前記の有機酸化合物またはその塩以外の添加剤を用いてもよい。該添加剤には乳化剤や湿潤剤、長期の保存を可能にする防腐剤や安定化剤、乾燥や濃縮防止を目的とする界面活性剤、pH調節を目的とする緩衝剤などが挙げられる。さらに、検査の目的に応じて各種の化合物、例えば、1,5−アンヒドログルシトール測定の前処理試薬である選択的にグルコースを消去したり変換したりする試薬等とともに用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例になんら制約されるものではない。
実施例1
血漿用または血清用の採血管で採取した全血200μLに、以下の有機酸化合物の水溶液(0.5mol/L)をpH約6〜7に調製し、50μLをマイクロピペットで添加して混ぜ、ヘパリン処理済ヘマトクリット毛細管(血漿用)または未処理ヘマトクリット毛細管(血清用)にその約3分の2程度入れて片端をパテで栓をした。
血清用については室温で30分以上放置した後、3000回転で10分間遠沈して、赤血球層(%)=赤血球層長/全層長x100を求めた。
血漿用についてはすぐに3000回転で10分間遠沈して、赤血球層(%)=赤血球層長/全層長x100を求めた。その結果を表1に示す。
有機酸化合物またはその塩
ホスホエノールピルビン酸シクロヘキシルアンモニウム塩(PEP Cyclohexl−NH )、ホスホエノールピルビン酸ナトリウム塩(PEP Na)、ホスホエノールピルビン酸カリウム塩(PEP)、蓚酸、リンゴ酸、α−ケトグルタル酸、オキザロ酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アセチルリン酸、3−ホスホグリセリン酸、アデノシン−5'−二リン酸、アデノシン−5'−三リン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレチドリン酸(NADP)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)二水和物(POPSO)
[表1]
Figure 0004671441
結果から明らかなように赤血球層(%)は血漿で21.9%〜29.2%、血清で25.3%〜29.5%であった。
比較例1
実施例1の有機酸化合物に代えて、生理食塩水またはアミノ酸(アラニン若しくはセリン)または糖類(グルコース、マンニトール若しくはガラクトース)の水溶液(0.5mol/L)を用いて実施例1と同様に赤血球層(%)を求めた。その結果を表2に示す。
[表2]
Figure 0004671441
結果から明らかなように、赤血球層(%)は血漿で30.3%〜39.5%、血清で32.5%〜40.7%であった。
実施例1は比較例1に比べて、赤血球層(%)が低下している。即ち、血漿層または血清層(%)の割合が増加しており、血漿または血清がより多く採取可能であることが示されている。
実施例2
健常女子から、20mLの全血を血漿用採血管に採取してヘマトクリット(Hct)値(ヘマトクリット値とは全血液に対する赤血球の容積比であり、正常値の目安は男性で40〜50%、女性で35〜45%である。)を測定したところ、45%であった。その一部を遠心分離して血漿を抜き取り高いHct値の全血を調製した。また、全血に血漿を添加して低いHct値の全血を調製した。
このように調製した全血検体6種類について、全血200μLあたり50μLの0.5mol/Lのホスホエノールピルビン酸カリウム塩溶液をマイクロピペットにて添加し、実施例1と同様にして赤血球層(%)を計測し、血漿層(%)=100−赤血球層(%)を求めた。結果を表3に示す。
比較例2
実施例2と同様の実験において、実施例2の0.5mol/Lのホスホエノールピルビン酸カリウム塩溶液を生理食塩水に代えて血漿層(%)を求めた。結果を表3に示す。
[表3]
Figure 0004671441
結果から明らかなように、実施例2で得られた血漿層(%)は比較例2で得られた血漿層(%)より大きく、血漿がより多く採取可能であることが示されている。さらに、実施例2で得られた血漿層(%)と比較例2で得られた血漿層(%)との比は、検体のHct値(%)が増加するに伴って増加している。このことはより高いHct値の全血ほど本発明の効果が高いことを示している。
参考例1
87.5mM リン酸buffer(pH7.0)中に、表4に記載の有機酸化合物を
87.5mMとなるように溶解し、pHを7.0に再調製した液と、血漿用採血管で採取
した全血とをマイクロピペットにて10μLずつ等量混合した後、血球分離膜であるヘマ
セップL(PALL製)5mmx15mmの左端に15μLをマイクロピペットにより滴
下した。5分放置後、赤血球部と血漿部に分離して全てが濡れた状態となったヘマセップ
Lの赤血球部分長 A(mm)を左端より計測した。A/15x100を赤血球層(%)
として求め、表4に示した。
有機酸化合物またはその塩
ホスホエノールピルビン酸シクロヘキシルアンモニウム塩(PEP Cyclohexl−NH )、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、蓚酸、プロピオン酸、ピルビン酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、アラボアスコルビン酸、グルコース−6−リン酸、フルクトース−6−リン酸、α−ケトグルタル酸、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒドロキシ酪酸、グルタル酸、オキザロ酢酸、グリセリン酸、イタコン酸、クロトン酸、シキミ酸、エチレンジアミン四酢酸 2ナトリウム塩(EDTA・2Na)、アデノシン−5'−二リン酸(ADP)、アデノシン−5'−三リン酸(ATP)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレチドリン酸(NADPH)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレチド(NADH)、アセチルリン酸、2、3−ジホスホグリセリン酸、3−ホスホグリセリン酸、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)
比較例3
参考例1と同様の実験において、有機酸化合物を添加しない87.5mM リン酸buffer(pH7.0)のみと血漿用採血管で採取した全血とをマイクロピペットにて10μLずつ等量混合して行い、以下参考例1と同様に操作して、赤血球層(%)を求め、表4に示した。
[表4]
Figure 0004671441
参考例1のように上記有機酸化合物と血球分離膜を組み合わせることにより、比較例3に比べて赤血球層(%)の割合が低下しており、多くの血漿が採取可能、即ち少量の全血にて検査可能であることを示している。
参考例2
以下の表5に示すホスホエノールピルビン酸 ナトリウム塩を含有する試薬を調製し、血球分離膜であるヘマセップL(PALL製)に含浸後、温風乾燥した。こうして得られた血球分離膜5mmx15mmの左端に、血漿用または血清用採血管で採取した10μLの全血をマイクロピペットにより滴下した。5分放置後、赤血球部と血漿部または血清部に分離して全てが濡れた状態となったヘマセップLの赤血球部分長 A(mm)を左端より計測した。赤血球層(%)=A/15x100を求め、表6に示した。同じ操作にて測定は2回行った。
[表5]
試薬 濃度(mmol/L)
リン酸緩衝液(pH7.0) 50
リンゴ酸 20
PEP Na 200
比較例4
参考例2における上記有機酸化合物を含浸して温風乾燥処理した血球分離膜の代わりに、未処理の血球分離膜を使用して参考例2と同様に行い、赤血球層(%)を求め表6に示した。
[表6]
赤血球層(%) 実施例4 比較例4
血漿検体 測定1 33.0% 60.0%
血漿検体 測定2 33.0% 60.0%
血清検体 測定1 53.0% 73.0%
血清検体 測定2 53.0% 73.0%
結果から明らかなように、上記有機酸化合物を血球分離膜上に温風乾燥状態にして全血を添加しても、上記有機酸化合物を用いない比較例4に比べて赤血球層(%)の割合が低下していた。即ち、多くの血漿や血清が採取可能であることが明らかである。
本発明の上記有機酸化合物は、液体状態でも固体状態でも全血と接触させることで効果を発揮することが確認された。

Claims (4)

  1. 採取した全血から血球分離膜を用いずに血漿または血清を採取する方法において、全血と、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基から選ばれる1種若しくは2種の基を有し、アミノ酸以外の有機酸化合物またはその塩あるいはその溶液とを接触させて血球を分離することを特徴とする血漿または血清の採取方法。
  2. 有機酸化合物がケト−エノール型カルボン酸化合物、二価以上のカルボン酸化合物、二価以上の有機リン酸化合物または二価以上の有機スルホン酸化合物である請求項1記載の血漿または血清の採取方法。
  3. 有機酸化合物がホスホエノールピルビン酸、α−ケトグルタル酸、オキザロ酢酸、アセチルリン酸、ピルビン酸、3−ホスホグリセリン酸、リンゴ酸、蓚酸、アデノシン−5'−二リン酸、アデノシン−5'−三リン酸、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチド、酸価型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレチドリン酸、エチレンジアミン四酢酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)及びピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)二水和物からなる化合物群より選択される1種あるいは2種以上である請求項1記載の血漿または血清の採取方法。
  4. 有機酸化合物がホスホエノールピルビン酸、アセチルリン酸または3−ホスホグリセリン酸である請求項1記載の血漿または血清の採取方法。
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