JP2001330603A - 定量分析法 - Google Patents
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Abstract
とを可能にする。 【解決手段】 検体中の分析対象成分量を測定し、さら
に、これ以外の恒常的に前記検体中に元来存在する標準
成分の量を測定し、この標準成分の量と、前記検体中で
の前記標準成分の既知濃度とから前記検体の量を決定
し、この前記検体量と、前記分析対象成分量とから、前
記検体中の分析対象成分の濃度を決定する。本発明の定
量分析法によれば、図1に示すように、高い定量性で分
析対象成分の測定を行うことができる。
Description
存在する成分の量を決定する定量分析法に関する。
ために、医療機関に出向き、血液や尿等を採取して検査
してもらう必要があった。しかし、次回の受診まで待つ
か、または、長時間待たなければ、これらの検査結果を
得ることはできないため、患者や医療機関にとって非常
に手間がかかるという問題があった。
濾紙等から形成された検体採取用カードが提案されてい
る。例えば、特開平10−104226号公報には、採
血カードが開示されており、このようなカードは、以下
に示す遠隔臨床診断システムに使用されている。この遠
隔臨床診断システムにおいて、患者は、例えば、この採
血カードに自分自身で採血した血液を含浸・乾燥させ、
これを医療機関に郵送する。これを受け取った医療機関
は、前記採血カードの血液含浸部分を切り抜き、これか
ら血液を抽出して、各検査項目についての検査を行な
う。そして、患者が医療機関に来た時に、前記検査結果
に基づいて治療や診断を行なう。
えば、患者自身が前述のように採血を行なうため、前記
採血カードに含浸させる血液量は未知量であり、血液中
の成分量を正確に定量することは困難であった。そこ
で、例えば、一定面積に一定量の血液を保持する濾紙を
使用し、前記濾紙の血液含浸部分を一定面積切り出すこ
とによって一定量の血液を確保する方法や、一定量の血
液を保持する一定面積の濾紙を使用し、前記濾紙に飽和
保持量の血液を供給することによって一定量を確保する
方法等が提案されている。
ような濾紙には、以下に示すような問題がある。例え
ば、前者の濾紙を用いた場合、切り出した濾紙全体に血
液が含浸されている必要があるため、切り出し部分の選
択や、切り出しの操作が困難である。また、後者の濾紙
に飽和保持量の血液を含浸させる場合、実際には、飽和
保持量以上の血液を供給して充分に血液を含浸させる必
要があるため、手間もかかり患者の負担が大きくなる。
さらに、これらの定量性濾紙は、その定量性を向上させ
るためには、その製造自体が非常に複雑困難となり、コ
ストも高くなる。
の他に、例えば、キャピラリー管を用いて、液状のまま
検体を保持・保存する方法がある。しかし、この場合、
保持した検体が乾燥したり、前記キャピラリー管から緩
衝液等を用いて回収する際に、回収液中に含まれる検体
量が未知量となり、実際に検体中に含まれる成分量の定
量精度が悪くなるおそれがある。
用いる場合でも、検体中の成分量を精度よく測定できる
定量分析法の提供である。
に、本発明の定量分析法は、検体中の分析対象成分の濃
度を測定する定量分析法であって、前記検体中の分析対
象成分量を測定し、さらに、これ以外の恒常的に前記検
体中に元来存在する標準成分の量を測定し、この標準成
分の量と、前記検体中での前記標準成分の既知濃度とか
ら前記検体の量を決定し、この検体量と、前記分析対象
成分量とから、前記検体中の分析対象成分の濃度を決定
する方法である。本発明において、標準成分とは、検体
中に元来存在し、その濃度が、例えば、生体内等におい
て一定量(恒常的)に維持されている物質をいう。
体の分析対象成分量だけでなく、標準成分の量も測定す
ることにより、検体中の分析対象成分の濃度を優れた精
度で求めることができ、検体中の分析対象成分の定量性
が向上する。前記標準成分は、前述のように、検体中に
恒常的に含まれている物質であり、検体中の含有量が既
知であるため、その理論値(濃度)を予め求めておくこ
とができる。このため、例えば、未知量の検体を含む分
析試料であっても、前記標準成分の既知濃度と、前記標
準成分の測定量との比率から、前記分析試料における検
体の含有率(例えば、検体の希釈率または濃縮率)がわ
かり、この含有率と前記分析対象成分測定値とから、検
体に実際に含まれている分析対象成分の濃度を決定する
ことができる。さらに、本発明の定量分析法によれば、
定量性を向上させるために、例えば、前述のような特殊
な多孔質材等を使用することなく、検体の分析対象成分
量を測定できるため、低コスト化を図ることも可能であ
る。また、例えば、標準物質として色素等の外来物質を
予め検体に添加した場合、溶解性の問題や、それが分析
対象成分の検出に影響するおそれがあるが、前記標準成
分は、検体中に元来存在する物質であるため、分析に影
響なく、添加操作も不要であり、定量操作が簡便であ
る。このため、本発明の定量分析法は、特に、臨床医療
等における各種検査等に有用である。
多孔質材に保持させた後、前記多孔質材から回収した検
体を分析することが好ましい。本発明の定量分析法によ
れば、前述のように、患者自身が採取した未知量の検体
を各種多孔質材に含浸・乾燥させ、これを医療機関に輸
送しても、前述のようにして回収した検体について、簡
便に分析対象成分の定量分析を行なうことができる。こ
のため、患者と医療機関の両方の手間を省くことがで
き、例えば、臨床医療等における各種検査に有用であ
り、特に前記遠隔臨床診断システムに有用である。な
お、本発明の定量分析法は、例えば、前述のように、未
知量の検体の分析に有用であり、前記多孔質材に検体を
保持させた場合には限定されない。この他にも、例え
ば、前述のように、キャピラリー管に保持させた検体を
回収した場合等にも有用である。
分は、検体中に恒常的に含有されているものであれば、
特に制限されず、例えば、ナトリウムイオン(N
a+)、塩素イオン(Cl-)、カリウムイオン
(K+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウム
イオン(Ca2+)、総タンパク質(以下、「TP」とい
う)、アルブミン(以下、「Alb」という)等があげ
られる。この中でも好ましくは、Na +、Cl-、K+、
Mg2+、Ca2+、TPであり、より好ましくは、N
a+、Cl-、Mg2+、Ca2+、TPであり、特に好まし
くは、Na+、Cl-、TPである。
は、生体由来の水性液状検体であることが好ましく、例
えば、血液、尿、唾液、リンパ液、髄液、間質液等があ
げられる。この中でも好ましくは、血液、間質液であ
り、より好ましくは血液である。前記血液検体として
は、例えば、全血、血球、血漿、血清等のいずれでもよ
く、好ましくは全血、血漿、血清であり、より好ましく
は、血漿、血清である。このような生体由来の検体の定
量に本発明を適用すれば、例えば、臨床医療における各
種診断等を精度よく行なうことができる。
て、以下に説明する。
(保持)させ、これを風乾または自然乾燥等により乾燥
した後、前記多孔質材の検体含浸部分の切り抜きまたは
打ち抜き等を行なう。打ち抜きには、例えば、パンチ等
が使用できる。打ち抜く箇所は、検体含浸部分を多く含
んでいることが好ましいが、本発明の定量分析法によれ
ば、未知量の検体中の分析対象成分量を定量できるた
め、打ち抜く箇所やその面積には影響されず、例えば、
前述のような定量性濾紙を用いる場合とは異なり、検体
を含浸していない部分を含んでいても定量性には問題な
い。
ば、細かく切ってチューブ等に入れ、これに抽出溶液を
添加し、放置することにより検体を抽出して、例えば、
遠心分離等により上清を回収する。前記抽出溶液として
は、前記検体を抽出でき、検体中の分析対象成分の検出
に影響を与えないものであれば特に制限されず、例え
ば、緩衝液、生理食塩水、精製水等が使用できる。ま
た、分析対象成分および標準成分の測定に影響を与えな
ければ、前記抽出液として、例えば、アルブミン等の蛋
白溶液が使用できる。前記緩衝液としては、例えば、リ
ン酸、クエン酸、塩酸、酢酸等を含む各種緩衝液等があ
げられる。前記緩衝液のpHは、例えば、pH3〜9の
範囲であり、好ましくは5〜9の範囲であり、より好ま
しくは6〜8の範囲である。前記抽出溶液の添加量は、
例えば、その量が既知であることが好ましく、例えば、
切片の大きさ等によって適宜決定できる。具体的には、
切片の体積に体積に対して、例えば、抽出溶液量1〜1
000倍の範囲であり、好ましくは1〜100倍の範囲
であり、より好ましくは1〜10倍の範囲である。な
お、さらに定量性を向上できることから、例えば、切片
の大きさに対する前記抽出溶液の添加量を、一定にする
ことが好ましい。また、抽出処理時間は、特に制限され
ないが、例えば、1〜300分の範囲であり、好ましく
は1〜180分の範囲であり、より好ましくは10〜6
0分の範囲である。
象成分の量と、標準成分の量とを測定し、これらの値
と、標準成分の既知濃度値(恒常的濃度)とから検体中
の分析対象成分の量を決定することができる。具体的に
は、以下に示すようにして決定できる。
(濃度:X)と検体中の標準成分の既知濃度値(濃度:
Y)とから、抽出・回収操作による検体の希釈率(Y/
X)を求める。そして、この希釈率(Y/X)を、前記
回収液中の分析対象成分の測定値(濃度:Z)に乗ずる
ことにより、実際に検体に含まれる分析対象成分の濃度
[Z×(Y/X)]を求めることができる。また、前記
回収液の液量(V)を計量すれば、この液量(V)と前
記希釈率(Y/X)とから、前記多孔質材から回収した
検体量[V×(X/Y)]を求めることもできる。
えば、生体内において、その濃度が恒常的に維持されて
いる物質であれば特に制限されず、前述のような、Na
+、Cl-、K+、Mg2+、Ca2+、TP等があげられ
る。
前述のように、恒常的に維持されているため、予め、知
ることができる。検体が血清または血漿の場合、Na+
濃度は、約134〜146mEq/リットル(平均値:
約140mEq/リットル)であり、Cl-濃度は、約
97〜107mEq/リットル(平均値:約102mE
q/リットル)であり、K+濃度は、約3.2〜4.8
mEq/リットル(平均値:約4.0mEq/リット
ル)であり、Mg2+濃度は、約1.5〜2.0mEq/
リットル(平均値:約1.8mEq/リットル)であ
り、Ca2+濃度は、約8.4〜10.2mEq/リット
ル(平均値:約9.3mEq/リットル)であり、TP
濃度は、約6.7〜8.3g/100ml(平均値:約
7.5g/100ml)である。
ず、従来公知の方法により行うことができる。
は、例えば、炎光光度法、ガラス電極法、滴定法、イオ
ン選択電極法、前記各種イオン濃度(Na+濃度、Cl-
濃度、K+濃度)によって活性の変化する酵素の酵素活
性を測定する方法(酵素活性法)等により測定できる。
この中でも好ましくは、イオン選択性電極法であり、例
えば、以下に示すようにして測定できる。
ン選択電極の二つの電極のうち、一方の電極に標準液、
他方の電極に血清をそれぞれ滴下し、一定時間経過後、
前記二つの電極の電位差を測定する。標準溶液のイオン
濃度と血清中のイオン濃度とが等しい場合に電位差が0
となることから、電位差とイオン濃度との相関関係を示
す検量線を予め準備し、この検量線と測定した電位差と
から血清中のイオン濃度を求める。前記イオン選択電極
法に使用できる測定装置としては、例えば、商品名スポ
ットケムSE(京都第一科学社製)があげられる。
シリジルブルー法により測定できる。キシリジルブルー
とMg2+とは、下記式の反応によりキレートを形成す
る。キシリジルブルーは、波長620nmに吸収を持つ
が、前記キレートは前記波長に吸収を持たないため、こ
の波長の吸光度の減少を測定することにより、Mg2+濃
度を求めることができる。
リジルブルー − Mg2+]キレート
7℃にインキュベートし、これに0.13mmol/リ
ットル キシリジルブルーI(キシリルアゾバイオレッ
トI)、0.045mmol/リットル グリコールエ
ーテルジアミン四酢酸(GEDTA)および界面活性剤
を含む発色試薬350μlを添加して反応を開始する。
そして、反応開始7.5分後の反応溶液について、主波
長660nm、副波長700nmの吸光度を測定する。
そして、予め、特定濃度のMg標準溶液の測定により作
成した検量線と前記測定値とからMg2+濃度を求める。
えば、前記Na+濃度等と同様に前記炎光光度法、ガラ
ス電極法、滴定法、イオン選択電極法、酵素活性法等に
よっても測定できる。
チルキシレノールブルー法により測定できる。メチルキ
シレノールブルーとCa2+とは、下記式の反応によりキ
レートを形成する。メチルキシレノールブルーは、波長
600nmに吸収を持たないが、前記キレートは前記波
長に吸収を持つため、この波長の吸光度の増加を測定す
ることにより、Ca2+濃度を求めることができる。
[メチルキシレノールブルー − Ca2+]キレート
て測定できる。サンプル8μlと3.3mol/リット
ル モノエタノールアミン緩衝液(pH12.0)40
0μlとを混合して37℃でインキュベートする。5分
後に発色試薬(0.29mmol/リットル メチルキ
シレノールブルーおよび31mmol/リットル 8−
キノリノール)200μlを添加して反応を開始して、
反応開始5分後の反応溶液について、主波長600n
m、副波長700nmの吸光度を測定する。そして、予
め、特定濃度のCa標準溶液の測定により作成した検量
線と前記測定値とからCa2+濃度を求める。
同様に前記炎光光度法、ガラス電極法、滴定法、イオン
選択電極法、酵素活性法等も採用できる。
法、ローリー法、ブラッドフォード法、塩化銅法、屈折
計を用いた測定法等により測定でき、この中でも好まし
くは、簡便性に優れる点からビューレット法である。
ールグリーン(以下、「BCG」という)等の色素を用
いた方法により測定できる。AlbはBCGと結合して
青緑色の色素結合物となるため、この青緑色の吸光度を
測定することにより、Alb濃度を求めることができ
る。
CG試薬(0.18mM BCG、76mMコハク酸緩
衝液(pH4.25)、非イオン系界面活性剤)350
μlとを混合し、37℃で7.5分間反応させた後の反
応溶液について、700nmと660nmの吸光度を測
定する。そして、予め、特定濃度のAlb標準溶液の測
定により作成した検量線と前記測定値とからAlb濃度
を求める。
孔質材としては、例えば、濾紙、ガラスフィルター、樹
脂製の多孔質膜等が使用できる。前記多孔質膜の材質と
しては、例えば、ポリスルホン、ポリエステル、ナイロ
ン、ニトロセルロース、ポリカーボネート、ポリフッ化
ビニリデン等があげられる。また、前記多孔質膜は、そ
の平均孔径が、多孔質膜の厚み方向または面方向に沿っ
て連続的もしくは段階的に変化する孔構造(異方性孔径
傾斜構造)の非対称性多孔質膜であってもよい。これら
の多孔質材は、単独で使用してもよいし、二種類以上を
併用してもよい。この多孔質材の平均孔径は、検体が浸
透し、かつ保持されれば、特に制限されないが、例え
ば、0.1〜1000μmの範囲であり、好ましくは
0.1〜100μmの範囲、より好ましくは5〜50μ
mの範囲である。また、その厚みは、例えば、10〜1
000μmの範囲であり、好ましくは100〜500μ
mの範囲、より好ましくは200〜400μmの範囲で
ある。
安定に保つために、例えば、スクロース、トレハロー
ス、ラクトース、グルコース等の糖類、グリシン、塩化
ナトリウム、塩化カリウム等の塩類、リン酸緩衝剤、ク
エン酸緩衝剤、グッド緩衝剤等の緩衝剤等の安定化剤を
含有してもよい。前記安定化剤の含有量は、その種類等
によって適宜決定できるが、例えば、検体保持用多孔質
材の体積1cm3当たり0.01〜10mgの範囲であ
る。
の成分である場合、例えば、前記多孔質材上に血球分離
材を積層することが好ましい。これにより、本発明の定
量分析法において、血液試料の前処理として血球分離操
作が不要となる。
されず、例えば、ガラスフィルター、樹脂製多孔質膜等
が使用でき、前記樹脂製多孔質膜の材料としては、前述
と同様のものがあげられる。また、その平均孔径は、血
球が分離できれば、特に制限されず、例えば、0.1〜
100μmの範囲である。また、その孔構造が、例え
ば、膜の厚み方向に沿って、連続的もしくは段階的に変
化する孔構造の非対称性多孔質膜であってもよい。
回収し、その回収液中の標準成分および各種分析対象成
分の測定を行うことにより、前記血清検体中の分析対象
成分の濃度を測定した例である。以下に、使用した検体
分析用具、試薬および測定方法等を示す。
て、その平均孔径が変化する非対称性多孔質膜(長さ3
5mm、幅16mm、厚み320μm、最大孔径100
μm、最小孔径1μm)を、スクロース溶液(濃度30
0g/リットル)に浸漬させて、15分間超音波処理
(50kHz)した後、これを自然乾燥させた。そし
て、この多孔質膜の長さ方向の一端から11mmの部分
に厚み1mmの鉄板を押し付けて、その幅方向に溝を形
成し、図30に示す多孔質膜を調製した。同図(a)
は、前記加工した多孔質膜の平面図であり、同図(b)
は、前記平面図のI−I方向断面図である。図示よう
に、前記加工した多孔質膜10には、その幅方向に形成
された溝により、検体供給部11と検体展開部12とが
形成され、前記溝の底面からこの底面に対応する多孔質
膜表面までの部分13が血球分離部となる。この多孔質
膜10は、溝の深さ200μm、その幅1mm、検体供
給部の長さ11mm、展開部の長さ23mmである。こ
の多孔質膜を用いた場合、血液を検体供給部11の孔径
が大きい側の面(同図(b)において、上面)に滴下す
ると、血液は、検体供給部11の内部を厚み方向に移行
しながら血球を分離しつつ、その面方向(同図(b)に
おいて矢印方向)に移動する。そして、面方向の移動に
より血球分離部13に達した血液のうち、血球は血球分
離部13を通過できずに捕獲され、血清のみが血球分離
部13を通過して、展開部12に展開される。
図31および図32に示す検体分析用具を作製した。図
31(A)は、この検体分析用具1の平面図であり、同
図(B)はその裏面図であり、同図(C)は前記平面図
のI−I方向断面図である。また、図32は、その斜視
図である。前記両図において、同一箇所には同一符号を
付している。
方形状の下基板9bの縁部にスペーサー4が配置され、
この上に、長方形状の上基板9aが配置されて容器が構
成されており、この内部に前記多孔質膜10が収納され
ている。前記下基板9bの一部には、スペーサー4が配
置されておらず、その空間が空気孔6となっている。上
基板9aの一方の端部には、検体供給用の孔3が形成さ
れており、多孔質膜10の孔3に対応する部分が検体供
給部11の中心部となる。上基板9aの内面において、
孔3周辺に直方体状の押え部材7が形成されており、こ
の押え部材7にも前記孔3と連通する孔が形成され、こ
れが検体ガイドの役割を果たす。また、下基板9bの内
面において、前記孔3に対応する部分より長辺方向のや
や中心より、幅方向に、突起状の支持部8が形成され、
これにより多孔質膜10の血球分離部13が持ち上げら
れ、下基板9b内面と多孔質膜10との間に空隙が形成
されている。そして、上版9a内面に形成された2つの
直方体状の押え部5により、多孔質膜10の展開部12
の短辺方向両端が、下基板9b内壁に固定されている。
前記検体分析用具1の検体供給用の孔3から、健常者全
血約100μlを多孔質膜10に滴下し、前述のよう
に、血球分離部13で血球を分離させ、展開部12に血
清を充分展開させた後、24時間自然乾燥した。そし
て、検体分析用具1から多孔質膜10を取り外し、展開
部12を切り抜き、これをさらに短冊状に切断した。こ
の切片を試験管に入れ、抽出溶液として150μlの生
食等張PBS溶液(Phosphate−buffered saline:p
H7.4、以下同じ)を添加し、室温で20分間放置し
た後、遠心分離により得られた上清を分析試料とした。
そして、同様にして、11名の健常者の全血についてそ
れぞれ分析試料を調製し、以下に示すようにして、前記
各分析試料について各種標準成分および各種分析対象成
分の測定を行った。なお、前記標準成分として、C
a2+、Mg2+およびTPの測定を行った。
は、以下に示す市販の測定キットを用い、それらの使用
方法に準じて、自動分析機(商品名BM−8、日本電子
社製)により測定した。各種測定において、ブランク
は、精製水を使用した。
(和光純薬工業社製)(メチルキシレノールブルー法) 2.Mg2+: 商品名マグネシウム−HRII(和光純薬
工業社製)(キシリジルブルー法) 3.TP: 商品名TP II−HAワコー(和光純薬工
業社製)
ナーゼ(GOT): 商品名トランスアミナーゼHR−
II(GOT−7070:和光純薬工業社製) 2.グルタミック−ピルビックトランスアミナーゼ(G
PT): 商品名トランスアミナーゼHR−II(GPT
−7070:和光純薬工業社製) 3.γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GT
P): 商品名γ−GTP J−HAテストワコー(和
光純薬工業社製) 4.クレアチンキナーゼ(CPK): 商品名CK E
−HAテストワコー(和光純薬工業社製) 5.トリグリセライド(TG): 商品名トリグリセラ
イドE−HAテストワコー(和光純薬工業社製) 6.アミラーゼ(Amy): 商品名AmyII−HAテ
ストワコー(和光純薬工業社製) 7.HDL−コレステロール(HDL−C): 商品名
コレテストHDL(第一科学薬品社製) 8.アルカリホスファターゼ(ALP): 商品名AL
PII−HAテストワコー(7150:和光純薬工業社
製)
析対象成分の測定値および各種標準成分の測定値を、下
記数式(1)に代入して血清検体中の各分析対象成分の
量を求めた。血清検体における標準成分の既知理論値
(濃度)は、それぞれ、Mg2+濃度1.8mEq/リッ
トル、Ca2+濃度9.3mEq/リットル、TP濃度
7.5g/100mlである。また、比較例としては、
下記数式(1)に示す標準成分による補正を行わなかっ
た。コントロールとしては、同健常者の全血を遠心分離
して得られた血清を使用し、前記測定方法により、各種
分析対象成分の測定を行った。
の分析対象成分濃度(x軸)と補正後の分析対象成分濃
度(y軸)とを示すグラフを作成し、比較例の測定結果
について、コントロールの分析対象成分濃度(x軸)と
未補正の分析対象成分濃度(y軸)とを示すグラフを作
成し、それぞれの相関関係を示す式の相関係数と傾きと
を求めた。これらの結果を下記表1および表2に示す。
度および比較例の前記未補正分析対象成分濃度に、さら
に下記係数を乗じて得られた濃度値をプロットしたグラ
フを、図1〜29に示す。前記係数は、前記多孔質膜か
らの各分析対象成分の回収率を100%とするための係
数である。この係数は、例えば、予め、分析対象成分の
濃度が既知である既知量の血清検体を、前述と同じ条件
で、前記多孔質膜に含浸後回収し、この回収液について
前記分析対象成分および標準成分の測定を行うことによ
り、各分析対象成分および各標準成分ごとの多孔質膜か
らの回収率を求め、この回収率から算出できる。
(B)および(C)は、コントロールの分析対象成分濃
度(x軸)と補正後の分析対象成分濃度(y軸)との相
関関係を示すグラフ(実施例)であり、それぞれぞれ
(A)Mg2+、(B)Ca2+、(C)TPによる補正の
結果を示す。また、グラフ(D)は、コントロールの分
析対象成分濃度(x軸)と標準成分による補正をしてい
ない分析対象成分濃度(y軸)との相関関係を示すグラ
フ(比較例)である。図中の式は前記相関関係を表し、
R2は相関係数を表す。なお、図1〜4はGOTの分析
結果、図5〜図8はGPTの分析結果、図9〜図12は
γ−GTPの分析結果、図13〜図16はCPKの分析
結果、図17〜図20はTGの分析結果、図21〜図2
4はAmyの分析結果、図25〜図27はHDL−Cの
分析結果、図28および図29はALPの結果をそれぞ
れ示す。また、これらのグラフから得られた相関式の傾
きを下記表2に示す。
は、比較例よりもその相関係数が高く、コントロールの
分析対象成分濃度との間に高い相関性が見られた。この
ように、本発明の定量分析法によれば、標準成分の測定
により、分析試料における検体の希釈率がわかるため、
検体中の分析対象成分の濃度をより正確に測定すること
ができた。なお、前記係数の乗算は、回収率を100%
と仮定するために行うものであるため、前記乗算によっ
ても測定精度を示す相関係数は向上しないが、前記表2
および図に示すように、相関式の傾きは実施例および比
較例ともに「1」に近くなった。
れば、測定試料中の検体量を決定できるため、検体中の
分析対象成分の定量性が向上する。このような本発明の
定量分析法は、例えば、臨床医療における診断等に有用
である。
Mg測定値により補正した濃度とコントロールのGOT
濃度との相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのGOT濃度と
の相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのGOT濃度と
の相関関係を示すグラフである。
ルのGOT濃度との相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのGPT濃度と
の相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのGPT濃度と
の相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのGPT濃度と
の相関関係を示すグラフである。
ロールのGPT濃度との相関関係を示すグラフである。
g測定値により補正した濃度とコントロールのγ−GT
P濃度との相関関係を示すグラフである。
Ca測定値により補正した濃度とコントロールのγ−G
TP濃度との相関関係を示すグラフである。
TP測定値により補正した濃度とコントロールのγ−G
TP濃度との相関関係を示すグラフである。
コントロールのγ−GTP濃度との相関関係を示すグラ
フである。
測定値により補正した濃度とコントロールのCPK濃度
との相関関係を示すグラフである。
測定値により補正した濃度とコントロールのCPK濃度
との相関関係を示すグラフである。
測定値により補正した濃度とコントロールのCPK濃度
との相関関係を示すグラフである。
トロールのCPK濃度との相関関係を示すグラフであ
る。
定値により補正した濃度とコントロールのTG濃度との
相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのTG濃度との
相関関係を示すグラフである。
定値により補正した濃度とコントロールのTG濃度との
相関関係を示すグラフである。
ロールのTG濃度との相関関係を示すグラフである。
測定値により補正した濃度とコントロールのAmy濃度
との相関関係を示すグラフである。
測定値により補正した濃度とコントロールのAmy濃度
との相関関係を示すグラフである。
測定値により補正した濃度とコントロールのAmy濃度
との相関関係を示すグラフである。
トロールのAmy濃度との相関関係を示すグラフであ
る。
Mg測定値により補正した濃度とコントロールのHDL
−C濃度との相関関係を示すグラフである。
Ca測定値により補正した濃度とコントロールのHDL
−C濃度との相関関係を示すグラフである。
コントロールのHDL−C濃度との相関関係を示すグラ
フである。
測定値により補正した濃度とコントロールのALP濃度
との相関関係を示すグラフである。
トロールのALP濃度との相関関係を示すグラフであ
る。
分析用具を構成する多孔質膜の平面図であり、(B)
は、その断面図である。
(B)はその裏面図であり、(C)はその断面図であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 検体中の分析対象成分の濃度を測定する
定量分析法であって、前記検体中の分析対象成分量を測
定し、さらに、これ以外の恒常的に前記検体中に元来存
在する標準成分の量を測定し、この標準成分の量と、前
記検体中での前記標準成分の既知濃度とから前記検体の
量を決定し、この検体量と、前記分析対象成分量とか
ら、前記検体中の分析対象成分の濃度を決定する定量分
析法。 - 【請求項2】 検体を多孔質材に保持させた後、前記多
孔質材から回収した検体を分析する請求項1記載の定量
分析法。 - 【請求項3】 標準成分が、ナトリウムイオン、塩素イ
オン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウ
ムイオン、総タンパク質およびアルブミンからなる群か
ら選択された少なくとも一つの物質である請求項1また
は2記載の定量分析法。 - 【請求項4】 検体が、生体由来の水性液状検体である
請求項1〜3のいずれか一項に記載の定量分析法。 - 【請求項5】 検体が、血液である請求項4記載の定量
分析法。
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